説明

画像表示装置及び画像診断装置

【課題】三次元画像データを容易に認識することができる画像表示装置及び画像診断装置を提供する。
【解決手段】撮影部6で生成された画像データに基づいて、三次元画像データを生成する画像データ処理部72と、画像データ処理部72で生成された三次元画像データを表示する第2モニタ73とを備え、画像データ処理部72は、予め設定された左及び右反転角度θL,θRの間を往復回転する三次元画像データを生成して第2モニタ73に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像診断装置に係り、特にX線、MRI、超音波等の撮影によって得られた画像データを表示する画像表示装置及び画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線画像診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置などの画像診断装置においては、これらの画像診断装置の撮影部から得られ、画像診断装置の画像表示部又は画像表示装置に表示された画像データを読影して診断や治療が行われる。
【0003】
X線画像診断装置では、近年ではカテーテルを用いた血管造影検査やIVR(Interventional Radiology)の発展に伴い循環器分野を中心に進歩を遂げている。この循環器領域における画像診断は、心血管系をはじめ、全身の動静脈を対象としている。そして、血管内に造影剤を注入した状態で複数の角度から撮影を行い、画像表示部や画像表示装置に血管の三次元画像データを表示させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
血管の検査や治療を行う場合、予め撮影によって得られた血管の三次元画像データである参照画像データを、例えば画像表示装置の1つのモニタに表示し、この参照画像データを参照して別のモニタに表示した血管の画像データを見ながら行う。そして、モニタに表示した参照画像データの例えば血管の分岐や重なり等の立体構造を前もって把握するために、参照画像データを一方向及び他方向に回転する操作を行う。
【特許文献1】特開平8−79628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モニタに表示された参照画像データを一方向に回転した後、他方向に回転しようとすると、他方向である回転方向を指定してから回転操作を行う必要があり、操作に手間がかかるため参照画像データの構造の認識を困難なものにしている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、三次元画像データを容易に認識することができる画像表示装置及び画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の本発明の画像表示装置は、画像診断装置から得られた画像データに基づいて、三次元画像データを生成する三次元画像データ生成手段と、前記三次元画像データ生成手段により生成された三次元画像データを、予め設定された角度範囲内の表示方向に連続的に設定して前記角度範囲を往復回転する処理を行う往復回転処理手段と、前記往復回転処理手段により処理された三次元画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項12に記載の本発明の画像表示装置は、画像診断装置から得られた画像データに基づく三次元画像データを表示する表示手段を備え、前記表示手段は、前記画像診断装置からの前記三次元画像データの往復回転の指示に基づいて、前記三次元画像データの往復回転する動画を表示することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項13に記載の本発明の画像診断装置は、被検体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、前記撮影手段により生成された画像データに基づいて三次元画像データを生成する三次元画像データ生成手段と、前記三次元画像データ生成手段により生成された三次元画像データの表示方向を、予め設定された角度の範囲内で連続的に設定して往復回転の処理を行う往復回転処理手段と、前記往復回転処理手段により処理された往復回転する三次元画像データを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な操作で、往復回転する三次元画像データをモニタに表示することができる。これにより、三次元画像データの立体構造の把握が容易になり、検査や治療の迅速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明によるX線画像診断装置の実施例を、図1乃至図6を参照して説明する。なお、本発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等の画像診断装置にも適用可能である。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示したブロック図である。このX線画像診断装置100は、被検体Pに透視用や撮影用のX線を照射して透視画像データや撮影画像データなどの二次元画像データを生成する撮影部6と、撮影部6で生成された二次元画像データの表示や、撮影部6で生成された二次元画像データに基づいて三次元画像データの生成及び生成した三次元画像データの表示を行う画像表示部7と、被検体PのIDや氏名等の被検体情報の設定、撮影時刻、画像の拡大率、撮影角度、天板位置、X線照射時間等の透視条件や撮影条件の設定、画像表示部7に表示する二次元画像データや三次元画像データを生成するための表示モード(透視画像モード、撮影画像モード、三次元画像モード)の設定、種々のコマンドの入力等を行う操作部8と、撮影部6及び画像表示部7を統括して制御するシステム制御部9とを備えている。
【0014】
撮影部6は、被検体PにX線を照射するX線発生部1と、被検体Pを透過したX線を二次元的に検出してX線投影データを生成するX線検出部2と、X線発生部1及びX線検出部2を支持するCアーム32aと、被検体Pが載置される天板31aと、X線発生部1におけるX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、Cアーム32aの角度及び天板31aの位置を設定する機構部3と、X線検出部2で生成されたX線投影データから二次元画像データの生成を行なう画像データ生成部5と、画像データ生成部5で生成された二次元画像データを保存する画像データ記憶部51とを備えている。
【0015】
X線発生部1は、陰極(フィラメント)から放出された電子を高電圧により加速し、陽極に衝突させてX線を発生するX線管11と、X線管11と被検体Pの間に位置し、X線管11から発して被検体Pに照射するX線の照射範囲を設定するX線絞り器12とを備えている。そして、透視条件及び撮影条件に基づいて高電圧発生部4から供給される高電圧により、X線を発生する。
【0016】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出して光に変換するイメージインテンファイア21と、イメージインテンシファイア21からの光を撮影して電気信号に変換するテレビカメラ22と、テレビカメラ22からの電気信号をデジタル信号に変換する図示しないA/D変換器とを備え、デジタル信号に変換された信号をX線投影データとして画像データ生成部5へ出力する。なお、被検体Pを透過したX線を検出して電荷に変換する半導体等の光検出素子を備えた平面検出器を用いるようにしてもよい。
【0017】
そして、イメージインテンシファイア21は、X線発生部1のX線管11に対して位置を前後に移動可能な移動機構を備え、X線管11とイメージインテンシファイア21間の距離(SID)を調整できるようになっている。また、イメージインテンシファイア21は、被検体Pを透過したX線を入射する図示しないX線受像面を有し、X線受像面におけるX線の入力視野サイズ(FOV)を調整できるようになっている。
【0018】
機構部3は、被検体Pが載置された天板31aを長手方向、幅方向、及び上下方向への移動を行う天板移動機構31と、X線発生部1及びX線検出部2を支持するCアーム32aを被検体Pの周囲に回動するCアーム回動機構32と、システム制御部9から供給される制御信号に基づいて天板移動機構31及びCアーム回動機構32を制御するCアーム・天板機構制御部33とを備えている。
【0019】
Cアーム・天板機構制御部33は、天板移動機構31に配置した天板31aの移動距離を検出する例えばエンコーダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づいて天板移動機構31を制御する。この制御により、天板移動機構31は、天板31aを移動して所望の位置に設定する。
【0020】
また、Cアーム回動機構32に配置したCアーム32aの回動角度を検出するエンコーダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づいてCアーム回動機構32を制御する。この制御により、Cアーム回動機構32は、Cアーム32aを回動して、X線発生部1及びX線検出部2を所望の撮影角度に設定する。そして、その撮影角度に設定した角度設定信号をシステム制御部9に出力する。更に、システム制御部9からの制御信号に基づいて被検体Pの検査対象部位に対して最適なSIDを設定する。
【0021】
高電圧発生部4は、X線発生部1のX線管11の陰極から発生する熱電子を加速するために陽極と陰極の間に印加する高電圧を供給する高電圧発生器41と、システム制御部9から供給される制御信号に基づいて高電圧発生器41を制御するX線制御器42とを備えている。
【0022】
高電圧発生器41は、X線制御器42からの制御信号に基づいて、X線発生部1のX線管11に透視用のX線や、この透視用よりも高エネルギーの撮影用のX線を発生させるための高電圧や加熱電圧を供給する。
【0023】
X線制御器42は、システム制御部9から供給される透視及び撮影条件の管電圧、管電流、及びX線照射時間を含むX線照射条件の情報に基づいて、高電圧発生器41を制御する。そして、高電圧発生器41の供給電圧及び加熱電圧を制御することにより、X線管11を透視及び撮影条件の前記管電圧及び管電流に設定すると共に、X線管11に前記X線照射時間に対応する時間照射させる。
【0024】
画像データ生成部5は、X線発生部1から透視用のX線が照射され、X線検出部2よりライン単位で出力されるX線投影データから透視画像データを生成する。また、X線発生部1から撮影用のX線が照射され、X線検出部2よりライン単位で出力されるX線投影データから撮影画像データを生成する。そして、生成した透視画像データや撮影画像データなどの二次元画像データにシステム制御部9から供給される撮影条件を付帯して画像表示部7に出力する。また、画像データ記憶部51に出力する。
【0025】
画像データ記憶部51は、磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体を備え、画像データ生成部5から出力された透視画像データ、撮影画像データ、複数の角度から撮影された撮影画像データ等を保存する。
【0026】
画像表示部7は、撮影部6の画像データ生成部5から出力された二次元画像データを表示する第1モニタ71と、撮影部6で生成された複数の二次元画像データに基づいて静止した三次元画像データの生成や、予め設定された2つの角度の間を往復回転する三次元画像データの生成を行う画像データ処理部72と、画像データ処理部72で生成された三次元画像データを表示する第2モニタ73とを備えている。
【0027】
第1モニタ71は、液晶パネル或いはCRTを備え、画像データ生成部5から出力された二次元画像データを表示する。
【0028】
画像データ処理部72は、操作部8から表示モードが三次元画像モードに設定されると、撮影部6の画像データ記憶部51から複数の撮影角度から撮影された二次元画像データを読み出してボリュームデータを生成する。そして、生成したボリュームデータを、例えばボリュームレンダリング法による処理を行うことにより、静止した三次元画像データを生成する。また、操作部8から往復回転操作が行われると、予め設定された2つの角度の間を往復回転する三次元画像データを生成する。そして、生成した三次元画像データを第2モニタ73に出力する。
【0029】
第2モニタ73は、液晶パネル又はCRTを備え、三次元画像データを往復回転させる2つの角度、往復回転させる往復回数、及び往復回転を停止するトリガとなる操作などの往復回転条件を設定するための往復回転条件設定画面を表示する。また、画像データ処理部72から出力された三次元画像データを表示する。
【0030】
図2は、第2モニタ73に表示される往復回転する三次元画像データを上から見た図である。この三次元画像データ73aは、例えば被検体Pの体軸に相当する軸を回転軸として往復回転可能に初期角度θ0に設定される。そして、初期角度θ0に設定された三次元画像データ73aの正面側に位置する視点73bに対して、初期角度θ0を例えば0°として初期角度θ0から予め設定された左反転角度θL(例えば、−180°≦θL<0°)まで時計回り(矢印R1方向)に回転する。この回転により三次元画像データ73aの正面から右側面、又は右側面及び背面に亘る部分が第2モニタ73に表示される。
【0031】
次いで、左反転角度θLで反転した後、予め設定された右反転角度θR(例えば、0°<θL≦180°)まで反時計周り(矢印R2方向)に回転する。この回転により三次元画像データ73aの背面又は右側面から正面を経由して左側面、又は左側面及び背面に亘る部分が第2モニタ73に表示される。
【0032】
更に、右反転角度θRで反転した後、初期角度θ0までR1方向に回転する。この回転により三次元画像データ73aの背面又は左側面から、正面に亘る部分が第2モニタ73に表示される。
【0033】
このようにして、初期角度θ0、左反転角度θL、右反転角度θR、初期角度θ0の順に各間を回転する工程を1往復として、予め設定された往復回数だけ前記工程を繰り返して往復回転する。
【0034】
なお、初期角度θ0に設定された三次元画像データ73aを第2モニタ73に表示した後、その三次元画像データ73aの回転軸を任意の方向に設定することができる。これにより、様々な方向への往復回転ができるようになっている。
【0035】
図1の操作部8は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウス、三次元画像データの往復回転を行うための往復回転スイッチ8a、往復回転している三次元画像データを停止するための往復回転停止スイッチ8b等の入力デバイスを備えている。この入力デバイスを用いて入力される表示モード(透視画像モード、撮影画像モード、三次元画像モード)の設定操作、撮影条件の設定操作、往復回転条件の設定操作、往復回転スイッチ8aの操作、往復回転停止スイッチ8bの操作等に対応する操作情報をシステム制御部9に出力する。
【0036】
ここで、往復回転スイッチ8aを例えば2秒未満の短時間押す単押し操作の入力情報に基づいて、画像データ処理部72では、往復回転する三次元画像データを生成する。そして往復回転中に往復回転スイッチ8aの単押し操作を連続して2回繰り返すダブルクリック操作の入力情報に基づいて、ダブルクリックを行ったときの回転角度で停止した三次元画像データを生成する。
【0037】
また、往復回転スイッチ8aの1回目の単押し操作の後、往復回転中に2回目の単押し操作を行うと、単押し操作したときの回転角度θxで反転した後、この回転角度θxから左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。次いで、近い反転角度で反転した後、回転して回転角度θxで反転する。そして、近い反転角度と回転角度θxの間を往復回転する三次元画像データを生成する。
【0038】
更に、往復回転中に3回目の単押し操作を行うと、単押し操作したときの回転角度θyで反転した後、回転して近い反転角度又は回転角度θxの近い角度で反転する。そして、近い角度と回転角度θyの間を往復回転する三次元画像データを生成する。
【0039】
なお、2回目の単押し操作したときの回転角度θxで反転した後、回転角度θxから左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。そして、左反転角度θLと右反転角度θRの間を往復回転させるようにしてもよい。
【0040】
更に、往復回転スイッチ8aを例えば2秒以上の長時間押し続ける長押し操作が行われると、その操作の押したときの入力情報に基づいて往復回転し、押した後の開放したときの回転角度で反転した後、左又は右反転角度θR,θLの近い反転角度まで回転する。そして、左反転角度θLと右反転角度θRの間を往復回転する三次元画像データを生成する。
【0041】
なお、往復回転スイッチ8aの長押し操作の押したときの入力情報に基づいて往復回転を開始し、押した後の開放したときの回転角度で反転した後、この回転角度から左又は右反転角度θR,θLの近い反転角度まで回転する。そして、その回転角度と近い反転角度の間を往復回転するようにしてもよい。
【0042】
更にまた、往復回転スイッチ8aの単押し又は長押し操作の後の往復回転中に、往復回転停止スイッチ8bを押すと、三次元画像データは初期角度θ0で停止した三次元画像データを生成する。
【0043】
システム制御部9は、図示しないCPU及び記憶回路9aを備え、操作部8から供給される様々な設定操作や入力操作による入力情報を一旦記憶回路9aに保存した後、これらの入力情報に基づいてシステム全体の制御を行なう。
【0044】
次に、図1乃至図3を参照して、三次元画像データの往復回転の動作の一例を説明する。
図3は、往復回転する三次元画像データの生成の一例を説明するための図である。画像データ処理部72は、生成したボリュームデータ72aを初期角度θ0に設定し、そのボリュームータの正面に位置する仮想の第0の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、この視線方向に垂直な第0の投影面に投影されるボリュームデータ72aの投影データを、図2の三次元画像データ73aを初期角度θ0における視点73bから見た三次元画像データとして生成する。即ち、第0の視線方向に沿ったボリュームデータ72aのボクセル値に基づいて例えば不透明度と色を割り当てたピクセル値へのマッピングを行うことで三次元画像データを生成する。
【0045】
また、ボリュームデータ72aに対して初期角度θ0から反時計回りに所定の角度だけ回転した第1の角度に、仮想の第1の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な第1の投影面に投影されるボリュームデータ72aの投影データを、三次元画像データ73aを角度θ1回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。
【0046】
更に、反時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に仮想の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な投影面に投影されるボリュームデータの投影データを、図2の三次元画像データ73bを各角度回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。
【0047】
第Lの角度では、仮想の第Lの視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な第Lの投影面に投影されるボリュームデータの投影データを、左反転角度θL回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。
【0048】
そして、第0乃至第Lの投影面への投影により三次元画像データを順次生成することにより、初期角度θ0から左反転角度θLまで時計回りに回転する三次元画像データを生成する。
【0049】
なお、左反転角度θLから右反転角度θRへの回転においても初期角度θ0から左反転角度θLへの回転の場合と同様にして、ボリュームデータ72aに対して第Lの角度から時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に、仮想の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な投影面に投影されるボリュームデータ72aの投影データを、各角度回転したときに視点73bから見える三次元画像データとして生成する。そして、各投影面への投影により三次元画像データを順次生成することにより、左反転角度θLから右反転角度θRまで反時計回りに回転する三次元画像データを生成する。
【0050】
また、右反転角度θRから初期角度θ0への回転において、ボリュームデータ72aに対して第Rの角度から反時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に仮想の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な投影面に投影されるボリュームデータ72aの投影データを、各角度に回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。そして、各投影面への投影により三次元画像データを順次生成することにより、右反転角度θRから初期角度θ0まで時計回りに回転する三次元画像データを生成する。
【0051】
次に、図4を参照して、第2モニタ73に表示される往復回転条件設定画面の一例を説明する。図4に示した往復回転条件設定画面90は、左及び反転角度θL,θRを設定するための「回転範囲」の欄、往復回転の往復回数を設定するための「往復回数」の欄、及び往復回転を停止するトリガとなる操作を設定するための「トリガ操作」の欄により構成される。
【0052】
「回転範囲」の欄は、左反転角度θLを入力するダイアログボックス901及び右反転角度θRを入力するダイアログボックス902を備えている。そして、操作部8から左反転角度θLである例えば「−90°」、及び右反転角度θRである例えば「90°」を入力する操作が行われると、「−90°」及び「90°」がダイアログボックス901,902内に表示され、システム制御部9の記憶回路9aに保存される。
【0053】
「往復回数」の欄は、往復回数を入力するダイアログボックス903を備えている。そして、往復回数である1乃至K(K>3)、及び無限の中から例えば「3」を選択する入力が操作部8から行われると、「3」がダイアログボックス903内に表示され、システム制御部9の記憶回路9aに保存される。なお、「無限」を選択すると、往復回転停止操作又は往復回転を停止するトリガとなる操作が行われるまで往復回転が行われる。
【0054】
「トリガ操作」の欄は、往復回転を停止するトリガとなる操作を入力するダイアログボックス904を備えている。そして、操作部8からの可能な操作の中から例えば透視を開始する「透視操作」を選択する入力が操作部8から行われると、「透視操作」がダイアログボックス904内に表示され、システム制御部9の記憶回路9aに保存される。
【0055】
以下、図1乃至図6を参照して、X線画像診断装置100の動作の一例を説明する。図5は、X線画像診断装置100の動作を示すフローチャートである。図6は、第2モニタ73に表示された往復回転している三次元画像データの画面を示す図である。
【0056】
図5において、システム制御部9の記憶回路9aには、操作部8からの操作により、図2の往復回転条件設定画面90で設定された左及び右反転角度θL,θRである「−90°」、「90°」、往復回数である「3」、及びトリガ操作である「透視操作」の入力情報が保存されている。また、被検体Pの撮影条件の入力情報が保存されている。
【0057】
まず、被検体Pの検査を行うために、撮影部6の画像データ記憶部51に保存されている複数の撮影角度からの撮影により生成された撮影画像データを、参照画像データとして画像表示部7の第2モニタ73に表示させる操作が行われる。被検体Pの複数の撮影角度からの撮影画像データを選択し、表示モードを三次元画像モードに設定する操作が操作部8から行われると、X線画像診断装置100は検査を開始する(ステップS1)。
【0058】
システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に三次元画像データの生成及び表示を指示する。画像表示部7の画像データ処理部72は、選択された複数の撮影角度からの撮影画像データを画像データ記憶部51から読み出してボリュームデータを生成する。そして、生成したボリュームデータから初期角度θ0に設定した三次元画像データを生成して第2モニタ73に出力する。第2モニタ73は、画像データ処理部72からの初期角度θ0に設定された静止した三次元画像データを表示する(ステップS2)。
【0059】
次に、第2モニタ73に表示された三次元画像データの構造を把握するために、操作部8の往復回転スイッチ8aの単押し操作が行われると、画像データ処理部72は、左反転角度θLである「―90°」と右反転角度θRである「90°」の間を往復回転する三次元画像データを生成し、生成した各角度における三次元画像データを順次第2モニタ73に出力する。第2モニタ73は、画像データ処理部72から出力された往復回転している三次元画像データを表示する(ステップS3)。
【0060】
図6は、第2モニタ73の画面に表示された往復回転している三次元画像データの一例を示した図である。図6(a)の画面91には、初期角度θ0における三次元画像データ911が表示されている。この後、三次元画像データ911は、R1方向に回転する。
【0061】
図6(b)の画面92には、初期角度θ0からR1方向に回転した後の「−90°」における三次元画像データ912が表示されている。この後、三次元画像データ912は、R2方向に回転する。
【0062】
図6(c)の画面93には、R2方向に回転した後の「90°」における三次元画像データ912が表示されている。この後、三次元画像データ913は、R1方向に回転する。
【0063】
このように、往復回転スイッチ8aの単押し操作を行うだけの簡単な操作により、第2モニタ73上で三次元画像データを往復回転させることができる。これにより、三次元画像データの立体構造を容易に認識することができる。
【0064】
次に、第2モニタ73に表示された三次元画像データの立体構造を把握でき、この画像データが往復回転しているときに操作部8から往復回転している三次元画像データを停止する操作が行われた場合(図5のステップS4のはい)、ステップS5に移行する。また、停止操作が行われない場合(図5のステップS4のいいえ)、ステップS7に移行する。
【0065】
そして、停止操作が操作部8の往復回転スイッチ8aのダブルクリック操作である場合(図5のステップS5のはい)、画像データ処理部72は、ダブルクリック操作が行われたときの回転角度に停止した三次元画像データを第2モニタ73に出力する。第2モニタ73は、操作に応じた回転角度で停止した三次元画像データを表示する(図5のステップS6)。
【0066】
また、停止操作が操作部8の往復回転停止スイッチ8bを押す操作、又は操作部8からの透視操作である場合(図5のステップS5のいいえ)、ステップS8へ移行する。
【0067】
ステップS4の「いいえ」の後に、三次元画像データの往復回数が3往復回数未満である場合(ステップS7のいいえ)、ステップS3に戻る。また、3往復回数である場合(ステップS7のはい)、ステップS8に移行する。
【0068】
ステップS5の「いいえ」又はステップS7の「はい」の後に、画像データ処理部72は、初期角度θ0に設定した三次元画像データを第2モニタ73に出力する。第2モニタ73は、初期角度θ0に設定された三次元画像データを表示する(ステップS8)。
【0069】
次に、被検体Pの三次元画像データの立体構造を認識した操作者により、操作部8から透視操作が行われると、システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に被検体Pの透視を指示する。そして、透視条件に含まれる天板位置や撮影角度の情報を機構部3のCアーム・天板機構制御部33に供給する。Cアーム回動機構32は、Cアーム・天板制御部33の制御信号により、天板31aを移動して天板位置に設定すると共に、Cアーム32aを回動して撮影角度に設定する。
【0070】
システム制御部9は、被検体Pに透視用のX線を照射させるための制御信号を撮影部6における高電圧発生部4のX線制御器42に出力する。高電圧発生部4の高電圧発生器41は、X線制御器42からX線照射の情報に基づいて、X線照射用の高電圧をX線発生部1に供給する。X線発生部1は、高電圧発生器41から供給される高電圧に応じたX線を被検体Pに照射する。
【0071】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成し、生成したX線投影データを画像データ生成部5へ出力する。画像データ生成部5は、X線検出部2から出力されたX線投影データから透視画像データを生成する。次いで、システム制御部9から供給されるその画像データに対応する透視条件を付帯して画像表示部7の第1モニタ71に出力する。第1モニタ71は、画像データ生成部5から出力された透視画像データを表示する。
【0072】
このように、第2モニタ73に初期角度θ0又は所望の角度に設定された三次元画像データである参照画像データを表示すると共に、第1モニタ71にリアルタイムに被検体Pの透視画像データを表示することができる。
【0073】
そして、被検体Pの検査が終了したときに操作部8から撮影終了の操作が行われると、システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に撮影及び表示の停止を指示する。そして、X線画像診断装置100は、検査を終了する(図5のステップS9)。
【0074】
以上述べた本発明の実施例によれば、操作部8からの往復回転スイッチ8aを単押しする操作により、予め設定された左及び右反転角度θL,θRの間を、予め設定された往復回数だけ往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0075】
そして、往復回転スイッチ8aを単押し操作の後にダブルクリック操作を行うことにより、ダブルクリックしたときの回転角度で停止した三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。また、往復回転スイッチ8aを単押し操作の後に、往復回転停止スイッチ8bを押す操作、又は画面90に設定したトリガ操作に対応する操作を行うことにより、初期角度θ0に停止した三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0076】
また、往復回転スイッチ8aの1回目の単押し操作の後の往復回転中に2回目の単押し操作を行うことにより、そのときの回転角度θxで三次元画像データを反転した後、回転角度θxから左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。そして、近い反転角度と回転角度θxの間を往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0077】
更に、往復回転スイッチ8aの3回目の単押し操作を行うことにより、そのときの回転角度θyで反転した後、回転して前記近い反転角度又は回転角度θxの近い角度で反転する。そして、近い角度と回転角度θyの間を往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0078】
更にまた、往復回転スイッチ8aを長押し操作を行うことにより、その長押し操作の押したときの入力情報に基づいて往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示し、押した後の開放したときの回転角度で反転した後、左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。そして、左及び右反転角度θL,θRの間を往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0079】
これにより、三次元画像データの構造を容易に認識することができ、検査や治療の迅速化及び正確化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る往復回転する三次元画像データを上から見た図。
【図3】本発明の実施例に係る往復回転する三次元画像データの生成の一例を説明するための図。
【図4】本発明の実施例に係る第2モニタに表示される往復回転条件設定画面の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る第2モニタの画面に表示された往復回転する三次元画像データの一例を示す図。
【符号の説明】
【0081】
P 被検体
1 X線発生部
2 X線検出部
3 機構部
4 高電圧発生部
5 画像データ生成部
6 撮影部
7 画像表示部
8 操作部
8a 往復回転スイッチ
8b 往復回転停止スイッチ
9 システム制御部
9a 記憶回路
11 X線管
12 X線絞り器
21 イメージインテンシファイア
22 テレビカメラ
31 天板移動機構
31a 天板
32 Cアーム回動機構
32a Cアーム
33 Cアーム・天板機構制御部
41 高電圧発生器
42 X線制御器
51 画像データ記憶部
71 第1モニタ
72 画像データ処理部
73 第2モニタ
100 X線画像診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置から得られた画像データに基づいて、予め設定された回転範囲を往復回転する三次元画像データを生成する画像データ処理手段と、
前記画像データ処理手段により生成された三次元画像データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記回転範囲を設定する往復回転条件設定手段を有し、
前記画像データ処理手段は、前記往復回転条件設定手段により設定された左反転角度と右反転角度の間を往復回転する三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記回転範囲を往復回転する往復回数を設定する往復回転条件設定手段を有し、
前記画像データ処理手段は、前記往復回転条件設定手段により設定された往復回数だけ往復回転する三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記画像データ処理手段により往復回転する三次元画像データの生成を指示する操作手段を有し、
前記画像データ処理手段は、前記操作手段からの指示に基づいて、往復回転する三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記操作手段は、2通りの入力操作が可能な1つの入力デバイスを有していることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像データ処理手段は、
前記入力デバイスによる1回目の単押し操作の入力情報に基づいて、往復回転する三次元画像データを生成し、
前記入力デバイスによる2回目以降の単押し操作の入力情報に基づいて、その三次元画像データの回転方向を反転するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像データ処理手段は、前記入力デバイスによる2回目の単押し操作の入力情報に基づいて、その三次元画像データの回転方向を反転し、この反転した第1の角度とこの第1の角度の前に反転した第2の角度の間を往復回転する三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像データ処理手段は、
前記入力デバイスによる単押し操作の入力情報に基づいて、往復回転する三次元画像データを生成し、
前記入力デバイスによる単押し操作の後のダブルクリック操作の入力情報に基づいて、そのダブルクリックを行ったときの回転角度で停止した三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像データ処理手段は、
前記入力デバイスによる長押し操作の押したときの入力情報に基づいて、往復回転する三次元画像データを生成し、
前記長押し操作の押した後の開放したときの入力情報に基づいて、その三次元画像データの回転方向を反転するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記画像データ処理手段は、
前記入力デバイスによる長押し操作の押した後の開放したときの入力情報に基づいて、その三次元画像データの回転方向を反転し、この反転した第1の角度とこの第1の角度の前に反転した第2の角度の間を往復回転する三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記表示手段に表示された三次元画像データの往復回転の停止操作が可能な操作手段を有し、
前記画像データ処理手段は、前記操作手段からの停止操作による入力情報に基づいて、正面から見た静止した三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項12】
被検体を撮影して画像データを生成する撮影手段と、
前記撮影手段により生成された画像データに基づいて、予め設定された回転範囲を往復回転する三次元画像データを生成する画像データ処理手段と、
前記画像データ処理手段により生成された三次元画像データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする画像診断装置。
【請求項13】
前記撮影手段による撮影条件の入力操作が可能な操作手段と、
前記操作手段からの入力操作に対応する操作の設定が可能な往復回転条件設定手段とを有し、
前記画像データ処理手段は、前記操作手段からの操作の内、前記往復回転条件設定手段により設定されたトリガ操作に基づいて、往復回転を停止した三次元画像データを生成するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の画像診断装置。
【請求項14】
画像診断装置から得られた画像データに基づく三次元画像データを表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記画像診断装置からの往復回転の指示に基づいて、往復回転している三次元画像データを表示することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−68980(P2010−68980A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239022(P2008−239022)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】