説明

画像表示装置

【課題】本発明の目的は、装置の小型化および低コスト化を図るとともに、スクリーンの形状に影響を受けずに優れた画像表示特性を発揮できる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置1は、光を走査する光走査手段5と、光走査手段5によって光が走査される光走査面32を有するスクリーン3とを有している。光走査手段5は、光を出射する光源ユニット(光出射部)54と、光源ユニット54から出射した光を反射する光反射部531eを備えた可動板531aが回動可能に設けられたアクチュエータ53と、アクチュエータ53を回動中心軸Jと平行な線分に対して直交するZ軸まわりに回転可能に支持する回転体51とを有している。画像表示装置1は、回転体51を回転させつつ可動板531aを回動させることにより、光反射部531eで反射したレーザ光を光走査面32に2次元的に走査するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、光を投影して画像を表示する画像表示装置として、特許文献1のようなアクリル等で形成された半球体の投影面を有する球体と、この球体の内側に設けられ、球体の投影面に投影画像を投影するプロジェクタと、プロジェクタにより投影された画像が球体上で歪んでしまうことうことを防止する魚眼レンズとを有するものが知られている。
しかしながら、特許文献1の画像表示装置では、投影画像を球体に投影するためにプロジェクタを使用しているため、装置の大型化を招いてしまう。また、プロジェクタにより投影された画像が球体上で歪んでしまわないように魚眼レンズを設けているが、この魚眼レンズは、比較的高価であり、装置の高コスト化を招いてしまう。
また、特許文献1の画像表示装置では、球体の位置や形状が一定の場合には、球体上に、所望の画像を映し出すことができるが、球体の位置や形状が変化する場合には、球体上に映し出される画像にピンぼけが発生したり、画像が歪んでしまったりする。
【0003】
【特許文献1】特開2003−241648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、装置の小型化および低コスト化を図るとともに、スクリーンの形状に影響を受けずに優れた画像表示特性を発揮できる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像表示装置は、光を走査する光走査手段と、
シート状をなし、その一方の面が前記光走査手段によって光が走査される光走査面であるスクリーンとを有し、
前記光走査手段は、光を出射する光出射部と、該光出射部から出射した光を反射する光反射部を備えた可動板が回動可能に設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記可動板の回動中心軸と平行な線分に対して直交する軸まわりに回転可能に支持する回転体とを有し、前記回転体を回転させつつ前記可動板を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を前記光走査面に2次元的に走査するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、小型化および低コスト化を図るとともに、スクリーンの形状に影響を受けずに優れた画像表示特性を発揮できる画像表示装置を提供することができる。
【0006】
本発明の画像表示装置では、前記アクチュエータおよび前記光出射部は、前記回転体に、前記回転体の回転軸を介して互いに対向するよう設けられていることが好ましい。
これにより、アクチュエータと光出射部との離間距離を十分に確保しつつ、アクチュエータと光出射部とを設けることができる。その結果、アクチュエータによる光の走査が、光出射部に阻害されてしまうことを抑制することができる。
【0007】
本発明の画像表示装置では、前記アクチュエータおよび前記光出射部は、前記回転体、前記アクチュエータおよび前記光出射部の集合体の重心が前記回転軸上またはその近傍に位置するよう設けられていることが好ましい。
これにより、回転体を回転させたときに、不本意な振動が発生してしまうことを抑制し、画像表示装置を安定して作動させることができる。
【0008】
本発明の画像表示装置では、前記アクチュエータは、側面視にて、前記回転体の一方側に位置しており、前記光走査面の他方側に光を走査するよう構成されていることが好ましい。
これにより、光反射部と、光走査面の光が照射される位置との離間距離を比較的長く確保することができ、可動板の回動角を比較的小さくしても、光走査面の全域に光を走査することができる。その結果、可動板をより高速で回動させることができ、画像表示特性が向上する。
【0009】
本発明の画像表示装置では、前記光走査面は、略球面をなしていることが好ましい。
これにより、地球、野球ボールなどの略球状の物体の一部をスクリーン上に、歪みを発生させずに映し出すことができる。また、光走査手段は、球状の光走査面に光を走査するのに適した構成となっているため、前述した効果がより顕著なものとなる。
本発明の画像表示装置では、前記光走査面は、略半球面をなしていることが好ましい。
これにより、地球、野球ボールなどの略球状の物体の半分をスクリーン上に、歪みを発生させずに映し出すことができる。このように、略球状の物体の半分を映し出すことができれば、画像表示装置の利便性が向上する。
【0010】
本発明の画像表示装置では、前記スクリーンは、可撓性を有していて、前記光走査面が前記回転体と反対側へ凸の略球面をなし得るよう形成され、前記光走査面の曲率を変更する曲率変更手段を有していることが好ましい。
これにより、スクリーンの形状を変化させることができ、その形状に適した画像を表示することにより、優れた画像表示特性を発揮できる。
【0011】
本発明の画像表示装置では、前記スクリーンは、前記光走査面が略平面をなす第1の状態と、前記光走査面が略球面をなす第2の状態と、前記光走査面が前記第2の状態よりも曲率の大きい略球面をなす第3の状態とをとり得ることができ、前記曲率変更手段は、前記第1の状態と前記第2の状態と前記第3の状態とを切り換えるよう構成されていることが好ましい。
これにより、スクリーンの形状を変化させることができ、その形状に適した画像を表示することにより、優れた画像表示特性を発揮できる。
本発明の画像表示装置では、前記光走査面は、前記第3の状態にて略半球面をなしていることが好ましい。
これにより、スクリーンの過度な変形を防止し、スクリーンの耐久性が向上する。
【0012】
本発明の画像表示装置では、前記スクリーンは、伸縮性を有し、前記スクリーンの内側には、気体が充填された充填部が形成され、前記曲率変更手段は、前記充填部内の圧力を調整することにより、前記光走査面の前記曲率を変更することが好ましい。
これにより、より確実かつ安全に光走査面の曲率を所望の曲率に変更することができる。
本発明の画像表示装置では、前記曲率変更手段は、前記充填部内の前記気体の量を調整することにより前記充填部内の圧力を調整することが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で光走査面の曲率を変更することができる。
【0013】
本発明の画像表示装置では、前記スクリーンは、伸縮性を有し、
前記曲率変更手段は、前記スクリーンの中央部から放射状に設けられた複数の超弾性合金と、該複数の超弾性合金を加熱または冷却する加熱冷却手段とを有し、該加熱冷却手段により、前記超弾性合金の形状を変化させ、それにより、前記光走査面の前記曲率を変更するよう構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で光走査面の曲率を変更することができる。
【0014】
本発明の画像表示装置では、前記スクリーンの前記光走査面と反対の面は、押圧操作される入力面であり、
前記入力面の押圧による、前記光反射部と前記光走査面との間の前記光の光路長の変化に基づいて、前記入力面の押圧位置を検出する押圧位置検出手段を有していることが好ましい。
これにより、簡単な構成で、入力面の複数の箇所を同時にタッチ入力できるタッチセンサ機能を付加することができる。その結果、押圧位置に対応してスクリーンに映し出された画像を変更したり動かしたりすることができ、利便性が向上する。
本発明の画像表示装置では、前記光反射部から出射してから、前記光走査面で反射し、再び前記光反射部に戻ってくるまでの時間に基づいて、前記光路長の変化を検知することが好ましい。
これにより、より正確に、光路長の変化を検知することができる。
【0015】
本発明の画像表示装置では、前記押圧位置検出手段は、前記光出射部と前記光反射部との間の光路の途中または分岐した位置に設けられ、前記光走査面で反射し再び前記光反射部に戻ってきた光を受光する受光部と、前記光出射部から光が出射されるタイミングとその光が前記受光部で受光されたタイミングとの時間差を算出する時間差算出部と、前記時間差算出部による算出結果に基づいて前記入力面の押圧位置を検出する検出部とを有していることが好ましい。
これにより、簡単な構成でかつ正確に、入力面の押圧位置を検出することができる。
【0016】
本発明の画像表示装置では、前記時間差算出部は、前記光走査面の所定箇所における前記時間差を所定の時間間隔毎に算出し、前記検出部は、前記時間差算出部がn回目に算出した前記時間差と、n+1回目に算出した前記時間差との差を求め、その差が所定の閾値を超えた場合に当該箇所を前記押圧位置として検出することが好ましい(ただし、nは自然数である)。
これにより、正確に、入力面の押圧位置を検出することができる。また、例えば、衝撃や長時間の使用によって、シート材が変形してしまった場合でも、その変形に影響されずに、押圧位置を検出することができる。また、閾値を設けることにより、例えば振動等によるシート材の微小変形を押圧と誤認識してしまうことを効果的に防止できる。
【0017】
本発明の画像表示装置では、前記検出部は、さらに、前記時間差算出部がn回目に算出した前記時間差と、n+1回目に算出した前記時間差との差から前記押圧の押圧速度を求めることが好ましい(ただし、nは自然数である)。
これにより、押圧位置が同じであっても、押圧速度の違いから異なる作動を行うことができ、画像表示装置の操作性、利便性およびアミューズメント性が向上する。
【0018】
本発明の画像表示装置では、前記光反射部から前記光走査面の所定箇所までの距離に基づいて、前記光走査面の前記曲率を検知する曲率検知手段を有していることが好ましい。
これにより、光走査面の曲率に合わせて、光走査面に映し出す画像の倍率を変更することができ、違和感のない画像を映し出すことができる。
本発明の画像表示装置では、前記光走査手段によって、前記スクリーンに描画される画像の拡大倍率と、前記光走査面の曲率とが連動していることが好ましい。
これにより、光走査面の曲率に対応するように映像を拡大または収縮することができ、違和感のない画像を映し出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の画像表示装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の画像表示装置の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の画像表示装置の第1実施形態を示す斜視図、図2ないし図4は、それぞれ、図1に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図、図5は、図1に示す画像表示装置の光走査手段が備えるアクチュエータの拡大図、図6は、図5に示すアクチュエータの駆動を示す図、図7は、図1に示す画像表示装置が備える制御系のブロック図、図8は、スクリーンの曲率を検知する曲率検知手段を示す図、図9および図10は、それぞれ、図1に示画像表示装置が備える押圧位置検出手段の作動を示す図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図2〜図4、図6、図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図5中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。また、図1に示すように、互いに直交する3軸をそれぞれ、x軸、y軸およびz軸とする(他の図についても同様)。
【0020】
図1に示すように、画像表示装置1は、ケーシング2と、画像が映し出されるスクリーン3とを有している。また、図2に示すように、画像表示装置1は、ケーシング2の内部に、スクリーン3の内面(後述する光走査面32)に光を走査する光走査手段5と、光走査面32(スクリーン3)の曲率を変更する曲率変更手段4と、光走査面32の曲率を検知する曲率検知手段6と、スクリーン3の外面(後述するタッチ入力面31)の押圧位置を検出する押圧位置検出手段7と、光走査手段5および曲率変更手段4の作動を制御する作動制御装置8とを有している。
【0021】
このような画像表示装置1は、光走査手段5によって光走査面32に光を走査することでスクリーン3に画像を描画し(この画像は、スクリーン3の外側から視認できる)、タッチ入力面31が押圧されると、その押圧された位置などに基づいて、スクリーン3の曲率を変更したり、スクリーン3に映し出された画像を動かしたり、拡大・縮小したりするよう構成されている。
【0022】
以下、これらについて、順次説明する。
ケーシング2は、上部開口21を有している。この上部開口21は、x−y平面にて、略円状をなしている。ケーシング2の大きさとしては、特に限定されないが、長さ、幅、厚さが、それぞれ、5〜50cm、5〜50cm、1〜10cmであるのが好ましく、10〜20cm、10〜20cm、1〜5cmであるのが好ましい。また、上部開口21の内径としては、特に限定されないが、1〜30cmであるのが好ましく、3〜10cmであるのがさらに好ましい。ケーシング2をこのような大きさとすることにより、スクリーン3に映し出された画像の視認性を確保しつつ、コンパクトで、持ち運び性、収納性などの利便性に優れた画像表示装置1を提供することができる。
【0023】
上部開口21は、スクリーン3によって覆われている。スクリーン3は、x−y平面にて、上部開口21と同心的な円状をなしている。また、スクリーン3の外径は、上部開口の21の内径よりも若干大きく設計されている。このようなスクリーン3は、上部開口21の縁部と重なる部分で、例えば接着剤を介してケーシング2の内壁に接着、固定されている。なお、スクリーン3をケーシング2に固定する方法としては、特に限定されず、例えば、溶着、圧着などにより固定してもよい。
【0024】
本実施形態では、より確実にスクリーン3をケーシング2に固定するため、スクリーン3の縁部を下側から押圧してケーシング2に固定する固定部材24を備えている。この固定部材24は、上部開口21の縁部に沿うような円環状をなしている。このような固定部材24は、例えば嵌合、螺合、溶着などによりケーシング2に固定されている。
本実施形態では、前記効果を顕著とするために、ケーシング2の内壁に、上部開口21の外周に沿った円環状の凹条22を形成し、固定部材24の上面に、凹条22に係合する円環状の凸条241を形成し、凹条22と凸条241とでスクリーン3の縁部を撓ませながら狭持している。
【0025】
このようなケーシング2および固定部材24の構成材料としては、それぞれ、スクリーン3を支持することができれば特に限定されず、例えば、各種ガラスや、Al、Feなどの各種金属材料や、アルミナ、チタニア等の酸化物セラミックスや、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックスや、グラファイト、タングステンカーバイト等の炭化物系セラミックスや、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
固定部材24の下面には、上部開口21を覆うように光透過性を有する光透過板25が設けられている。これにより、スクリーン3の下面と、固定部材24の内周面と、光透過板25の上面とで、気体(空気)が充填された気密空間(充填部)Kが画成される。
光透過板25は、例えば接着剤により固定部材24の下面に接合されている。光透過板25は、固定部材24の下面の周方向の全域と接合されていることが好ましい。これにより、光透過板25と固定部材24との密着性を向上させることができ、光透過板25と固定部材24の境界から気体が漏れ出すことを効果的に防止することができる。
【0027】
このような光透過板25は、光透過性を有していればよいが、実質的に無色透明であることが好ましい。光透過板25の構成材料としては、光透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、各種ガラスや、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、光透過板25の両面には、それぞれ、反射防止膜が設けられていてもよい。これにより、後述するアクチュエータ53により走査された光が光透過板25で反射してしまうことを効果的に防止することができる。
【0028】
スクリーン3は、上述したように、上部開口21を覆うように設けられている。
スクリーン3は、光透過性および光拡散性を有していて、いわゆる背面投影型のスクリーンである。スクリーン3の上部開口21から露出する部分の上面は、タッチペン等の入力器具や人間の指等で押圧(タッチ)され得るタッチ入力面31を構成し、下面は、光走査手段5によって光が走査される光走査面32を構成している。
このようなスクリーン3によれば、ケーシング2の内側から光走査手段5が光走査面32に光を走査することにより描画された画像を画像表示装置1の外側から視認できる。
【0029】
スクリーン3は、可撓性および伸縮性を有していて、光走査面32が図2ないし4中上側(後述する回転体51と反対側)へ凸の略球面をなし得るよう形成されている。すなわち、スクリーン3は、光走査面32の曲率を自在(無段階)に変更できるように形成されている。これにより、スクリーン3に映し出される画像によって、光走査面32の曲率を適宜変更し、より臨場感ある(すなわち、画像として映し出された物体の実際の形状と、スクリーン3の形状とが一致した)画像をスクリーン3に映し出すことができる。
【0030】
具体的には、スクリーン3は、図2に示すような光走査面32が略平面をなす第1の状態と、図3に示すような光走査面32が略球面をなす第2の状態と、図4に示すような光走査面32が第2の状態よりも曲率の大きい略半球面をなす第3の状態とをとり得ることができる。これにより、前述と同様の効果を発揮することができる。なお、「第2の状態」とは、第1の状態と第3の状態の間で、光走査面32が球面をなす全ての状態を言い、このうち、どの状態を前述の「第2の状態」と言ってもよい。
【0031】
また、画像表示装置1を使用していないときには、スクリーン3を第1の状態とすることにより、画像表示装置1のコンパクト化を図ることができ、さらに、スクリーン3の損傷を効果的に防止することができる。
また、光走査面32の第3の状態、すなわち曲率が最も大きい状態を半球面とすることにより、スクリーン3の過度な変形を防止し、スクリーン3の耐久性が向上する。
なお、第1の状態では、スクリーン3が中央部から放射状に若干伸張された状態となっているのが好ましい。これにより、スクリーン3に張りを与えることができ、光走査面32を第1の状態とすることが容易となる。
【0032】
このようなスクリーン3は、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ラテックスゴムなどのゴム材料や、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等の各種エラストマーで形成されている。これにより、上述した特性を備えるスクリーン3を容易に形成することができる。
【0033】
なお、例えば、織編物のように繊維を編組し、スクリーン3に構造的に伸縮性を持たせる場合には、スクリーン3の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
次に、曲率変更手段4について説明する。
曲率変更手段4は、気密空間K内に充填された気体の量を調節することにより、気密空間K内の圧力を調整し、光走査面32の曲率を変更するよう構成されている。このように気密空間K内の圧力を調整することにより、より確実かつ安全に光走査面32の曲率を所望のものとすることができる。
【0035】
具体的には、曲率変更手段4は、気密空間K内の気体の量を徐々に増加することにより、スクリーン3を風船が膨らむように膨張させ、光走査面32を第1の状態から第2の状態を経由して第3の状態とし、反対に、気密空間K内の気体の量を徐々に減少することにより、スクリーン3を風船がしぼむように収縮させ、光走査面32を第3の状態から第2の状態を経由して第1の状態とするよう構成されている。
【0036】
図2に示すように、このような曲率変更手段4は、気密空間K内に気体(空気)を送り込むポンプ(コンプレッサ)41と、ポンプ41と気密空間Kとを連通する配管42と、配管42の途中に設けられたコック43とを有している。
コック43は、例えば二股コックであり、連通状態と開放状態と遮断状態とを切り換えることができる。
【0037】
「連通状態」は、気密空間Kがポンプ41に連通し、かつ、ケーシング2の内部空間に連通していない状態である。また、「開放状態」は、気密空間Kがポンプ41に連通しておらず、かつ、ケーシング2の内部空間に連通している状態である。また、「遮断状態」は、気密空間Kが、ポンプ41およびケーシング2の内部空間のいずれにも連通していない状態である。
ポンプ41およびコック43は、それぞれ、作動制御装置8によって駆動が制御されている。作動制御装置8は、ポンプ41およびコック43を作動させて、気密空間K内の気体の量を調整し、以下に示すように光走査面32の曲率を変更する。
【0038】
画像表示装置1が作動していない場合には、スクリーン3は、第1の状態となっている。画像表示装置1が作動すると、作動制御装置8は、コック43を連通状態とするとともに、ポンプ41を作動させる。これにより、ポンプ41から気密空間K内に空気が供給される。気密空間K内に空気が供給されるにつれて、気密空間K内の圧力が高くなっていき、これに伴って、スクリーン3が画像表示装置1の外部へ向けて、風船が膨らむように膨らんでいく。
【0039】
スクリーン3が徐々に膨らんでいき、第3の状態となると、作動制御装置8は、コック43を遮断状態とするとともに(または、した後に)、ポンプ41の作動を停止する。
もちろん、スクリーン3が第3の状態となる前に、作動制御装置8がコック43を遮断状態とすれば、スクリーン3を第2の状態とすることができる。
なお、光走査面32の曲率は、曲率検知手段6により検知されており、この検知結果に基づいて作動制御手段7がポンプ41およびコック43の作動を制御するようになっている。曲率検知手段6については後述する。
【0040】
反対に、スクリーン3が第3の状態となっているときには、作動制御装置8は、コック43を開放状態とする。これにより、気密空間K内の空気が気密空間K外へ開放され、気密空間K内の圧力が徐々に低下していき(大気圧に近づいていき)、大気圧とほぼ等しくなったときに、気密空間Kからの空気の開放が自然に停止する。これにより、スクリーン3が第1の状態となる。
もちろん、スクリーン3が第1の状態となる前に、作動制御装置8がコック43を遮断状態とすれば、スクリーン3を第2の状態とすることができる。
【0041】
以上のようにして、曲率変更手段4は、スクリーン3を第1の状態と第3の状態との間で自在に変更することができる。このように、気密空間K内の気体の量を調整することにより、比較的簡単な構成で、より確実に、光走査面32の曲率を変更することができる。
なお、気密空間Kは、気密的に形成されていなくてもよい。この場合、少なくとも、気密空間Kから漏れ出す単位時間あたりの気体の量が、ポンプ41から気密空間Kに供給される単位時間あたりの気体の量よりも少なければよい。これにより、気密空間Kから気体が漏れ出していても、ポンプ41からの気体の供給により、スクリーン3を膨らませることができる。
【0042】
次に、光走査手段5について説明する。
図2ないし図4に示すように、光走査手段5は、ケーシング2の内側に設けられていて、スクリーン3の光走査面32に光を走査するよう構成されている。このように、光走査手段5をケーシング2内に設けることにより、光走査面32に光を確実に走査することができるとともに、画像表示装置1の小型化を図ることができる。
【0043】
光走査手段5は、ケーシング2に回転可能に支持された回転体51と、回転体51を回転させるモータ52と、回転体51に固定されたアクチュエータ53および光源ユニット(光出射部)54とを有している。
回転体51は、円盤状をなしている。この回転体51の上面は、x−y平面とほぼ平行である。このような回転体51は、図2に示すように、x−y平面にて上部開口21のほぼ中心と交わり、かつ、z軸と平行な線分を回転軸(以下この軸を「回転軸Z」と言う)として回転可能となっている。なお、回転体51の構成材料としては、前述したケーシング2の構成材料と同様の材料を用いることができる。
【0044】
このような回転体51は、回転軸Zに沿って設けられた連結軸511を介してモータ52に連結している。モータ52としては、回転体51を回転させることができれば特に限定されず、例えばスピンドルモータなどを用いることができる。モータ52は、作動制御装置8と接続されていて、この作動制御装置8によって作動が制御されている。
以上の回転体51の挙動は、作動制御装置8によって検知されている。
【0045】
作動制御装置8は、図2に示すような、回転体51の下面に設けられ、下方へ向けてレーザ光を出射するレーザ光出射装置81と、レーザ光出射装置81と対向するよう設けられたフォトダイオード(受光素子)82とを有している。
レーザ光出射装置81は、回転体51の回転とともに回転し、レーザ光出射装置81がフォトダイオード82の上方を通過する(横切る)ときに、レーザ光出射装置81からのレーザ光がフォトダイオード82によって受光される。
【0046】
作動制御装置8は、フォトダイオード82の受光タイミングとモータ52の回転数(周期)とに基づいて、回転体51の挙動を検知することができる。なお、作動制御装置8は、リアルタイムで回転体51の挙動を検知してもよいし、例えば、フォトダイオード82がレーザ光出射装置81からのレーザ光を1度受光した後は、その受光タイミングとモータ52の周期とから回転体51の挙動を予測してもよい。
【0047】
図2ないし図4に示すように、このような回転体51には、アクチュエータ53と光源ユニット54とが、回転体51の回転軸Zを介して互いに対向するように設けられている。また、アクチュエータ53および光源ユニット54は、互いに間隔を隔てて回転体51に設けられている。このように、アクチュエータ53および光源ユニット54を回転軸Zを介して互いに対向するよう設けることにより、アクチュエータ53と光源ユニット54との離間距離を十分に確保することができる。その結果、アクチュエータ53による光の走査が、光源ユニット54に阻害されてしまうことを抑制することができる。
【0048】
次に、アクチュエータ53について説明する。
図5に示すように、アクチュエータ53は、回転体51の上面(すなわち、x−y平面)に対して傾斜するように傾斜台512を介して回転体51に固定されている。傾斜台512は、回転体51と一体的に形成されていてもよいし、別体として形成されていてもよい。また、アクチュエータ53の形状などによっては省略してもよい。
【0049】
アクチュエータ53は、基体531と、基体531の下面に対向するよう設けられた対向基板533と、基体531と対向基板533との間に設けられたスペーサ部材532とを有している。
基体531は、可動板531aと、可動板531aを回動可能に支持する支持部531bと、可動板531aと支持部531bとを連結する1対の連結部531c、531dを有している。
【0050】
可動板531aは、その平面視にて、略長方形状をなしている。このような可動板531aの上面には、光反射性を有する光反射部531eが設けられている。光反射部531eは、例えば、Al、Ni等の金属膜で構成されている。また、可動板531aの下面には、永久磁石534が設けられている。
支持部531bは、可動板531aの平面視にて、可動板531aの外周を囲むように設けられている。すなわち、支持部531bは、枠状をなしていて、その内側に可動板531aが位置している。
【0051】
連結部531cは、可動板531aの左側にて、可動板531aと支持部531bとを連結し、連結部531dは、可動板531aの右側にて、可動板531aと支持部531bとを連結している。
連結部531c、531dは、それぞれ、長手形状をなしている。また、連結部531c、531dは、それぞれ、弾性変形可能である。このような1対の連結部531c、531dは、互いに同軸的に設けられており、この軸(回動中心軸J)を中心として、可動板531aが支持部531bに対して回動する。本実施形態では、回動中心軸Jは、x−y平面と平行である。すなわち、回転中心軸Jは、回転体51の回転軸Zと平行な線分に対して直交している。
【0052】
このような基体531は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板531aと支持部531bと連結部531c、531dとが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ53の小型化を図ることができる。
【0053】
スペーサ部材532は、枠状をなしていて、その上面が基体531の下面と接合している。また、スペーサ部材532は、可動板531aの平面視にて、支持部531bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサ部材532は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiOなどで構成されている。
なお、スペーサ部材532と基体531との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよいし、スペーサ部材532の構成材料などによっては陽極接合などを用いてもよい。
対向基板533は、スペーサ部材532と同様に、例えば、各種ガラス、シリコン、SiOなどで構成されている。このような対向基板533の上面であって、可動板531aと対向する部位には、コイル535が設けられている。
【0054】
永久磁石534は、板棒状をなしていて、可動板531aの下面に沿って設けられている。このような永久磁石534は、可動板531aの平面視にて、回動中心軸Jに対して直交する方向に磁化されている。すなわち、永久磁石534は、両極(S極、N極)を結んだ線分が、回動中心軸Jに対して直交するよう設けられている。図6に示すように、本実施形態では、回動中心軸Jの左側がN極、右側がS極となっている。
このような永久磁石534としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
【0055】
コイル535は、可動板531aの平面視にて、永久磁石534の外周を囲むように設けられている。すなわち、可動板531aの平面視にて、コイル535の内側に、永久磁石534が位置している。このようなコイルには、作動制御装置8によって所定の電圧が印加される。
例えば、作動制御装置8によりコイル535に交番電圧を印加すると、可動板531aの厚さ方向(図6中上下方向)の磁界が発生し、かつ、その磁界の向きが周期的に切り換わる。すなわち、コイル535の上側付近がS極、下側付近がN極となる状態Aと、コイル535の上側付近がN極、下側付近がS極となる状態Bとが交互に切り換わる。
【0056】
状態Aでは、図6(a)に示すように、永久磁石534の右側が、コイル535への通電により発生する磁界との反発力により上側へ変位するとともに、永久磁石534の左側が、前記磁界との吸引力により下側へ変位する。これにより、可動板531aが反時計回りに傾斜する。
反対に、状態Bでは、図6(b)に示すように、永久磁石534の右側が下側へ変位するとともに、永久磁石534の左側が上側へ変位する。これにより、可動板531aが時計回りに傾斜する。
【0057】
このような状態Aと状態Bとを交互に繰り返すことにより、連結部531c、531dを捩り変形させながら、可動板531aが回動中心軸Jまわりに回動する。このようなアクチュエータ53を用いることで、画像表示装置1の小型化を図ることができるとともに、比較的簡単に光走査面32に光を走査することができる。
なお、このようなアクチュエータ53の構成としては、可動板531aを回動させることができれば、特に限定されず、いわゆる2自由度振動系のアクチュエータであってもよいし、コイル535と永久磁石534とを用いた電磁駆動にかえて、圧電素子を用いた圧電駆動や静電引力を用いた静電駆動を用いてもよい。
【0058】
このようなアクチュエータ53は、前述したように回転体51に設けられているため、モータ52の作動により、回転体51とともに回転軸Zまわりに回転する。さらに、アクチュエータ53は、回動中心軸Jまわりに可動板531aを回動させることができるため、これにより、光反射部531eで反射した光を光走査面32の全域に走査することができる。
【0059】
また、図2ないし図4に示すように、アクチュエータ53は、画像表示装置1の側面視(例えばx−z平面視)にて、回転体51の回転軸Zに対して左側に位置しており、光走査面32の回転軸Zに対して右側の部位に光を走査するよう構成されている。すなわち、アクチュエータ53は、回転軸Zを通過して(越えて)、アクチュエータ53とは反対側へ光を走査するよう構成されている。これにより、光反射部531eと、光反射部531eで反射した光が照射される部位との離間距離(光路長)を比較的長くすることができ、可動板531aの回動角を比較的小さくしても、光走査面32の全域に光を走査することができる。その結果、可動板531aをより高速で回動させることができ、画像表示装置1の画像表示特性が向上する。
【0060】
以上のようなアクチュエータ53の挙動(可動板531aの挙動)は、作動制御装置8によって検知されている。これにより、作動制御装置8は、可動板531aの向き(回動角)を検知することができる。
図5に示すように、作動制御装置8は、連結部531c上に設けられた圧電素子83を有している。圧電素子83は、可動板531aの回動に伴って連結部531cが捩り変形すると、それに伴って変形する。圧電素子83は、外力が付与されていない自然状態から変形すると、起電力を発生する性質を有していて、その起電力の大きさは、圧電素子83の変形量と対応している。
【0061】
作動制御装置8は、圧電素子83から発生する起電力の大きさを検出することにより、連結部531cの捩れの程度を求め、その捩れの程度から、可動板531aの挙動を検知する。
なお、作動制御装置8は、可動板531aの挙動をリアルタイムで検知していてもよいし、例えば、所定のタイミングで可動板531aの挙動を検知した後は、その検知タイミングと、コイル535に印加する交番電圧(波形や周波数)と基づいて予測してもよい。
【0062】
また、可動板531aの挙動を検知することができれば、本実施形態のように圧電素子を用いたものに限定されず、例えば、フォトダイオードを用いてもよい。この場合には、例えば、可動板531aが所定の向き(回動角)となった時に、フォトダイオードが光を受光する(または、受光が遮られる)よう構成されていて、このフォトダイオードでの受光タイミングから可動板531aの挙動を検知するよう構成してもよい。
【0063】
次に光源ユニット54について説明する。
図7に示すように、光源ユニット54は、各色のレーザ光源541r、541g、541bと、各レーザ光源541r、541g、541bに対応して設けられたコリメータレンズ542r、542g、542bおよびダイクロイックミラー543r、543g、543bとを備えている。
【0064】
各色のレーザ光源541r、541g、541bは、それぞれ赤色、緑色、及び青色のレーザ光RR、GG、BBを出射する。レーザ光RR、GG、BBは、それぞれ、作動制御装置8から送信される駆動信号に対応して変調された状態で出射され、コリメート光学素子であるコリメータレンズ542r、542g、542bによって平行化されて細いビームとされる。
ダイクロイックミラー543r、543g、543bは、それぞれ、赤色レーザ光RR、緑色レーザ光GG、青色レーザ光BBを反射する特性を有し、各色のレーザ光RR、GG、BBを結合して1つのレーザ光LLを出射する。
【0065】
なお、コリメータレンズ542r、542g、542bに代えてコリメータミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色のレーザ光源541r、541g、541bから平行光束が出射される場合、コリメータレンズ542r、542g、542bは省略することができる。さらに、レーザ光源541r、541g、541bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換することができる。
【0066】
作動制御手段7は、前述したように、回転体51および可動板531aの挙動をそれぞれ検知しているため、光走査面32の所望の位置に、所望の色のレーザ光LLを走査するためには、どのタイミングで光源ユニット54からレーザ光LLを出射すればよいかを求めることができる。
作動制御手段7は、前記求められたタイミングで、レーザ光LLを出射するよう光源ユニット54の作動を制御する(すなわち、駆動信号を送信する)。これにより、光走査手段5によって、光走査面32の所望の位置に、所望の色のレーザ光LLを走査させることができ、光走査面32に所望の画像を描画することができる。
なお、光走査面32に走査されたレーザ光LLは、その一部が、光走査面32で反射し、再び光反射部531eに戻ってくる戻りレーザ光LL’となる。画像表示装置1は、このような戻りレーザ光LL’を利用して、タッチ入力面31の押圧位置を検出するよう構成されている。
【0067】
本実施形態では、光走査面32上には、規則的に区切られた多数(例えば数10万〜数100万)の仮想領域(この各領域を便宜上「画素」とも言う)が予め設定されていて、光源ユニット54は、1つの画素ごとに、所望の色のレーザ光LLが照射されるように、パルス状のレーザ光LLを出射する。
すなわち、光走査手段5による光走査面32へのレーザ光LLの走査が開始されると、各画素には、回転体51が一回転するごとに一度、レーザ光LLが照射されることとなる。これにより、各画素には、モータ52の周期(回転数)と対応した時間間隔で間欠的にレーザ光LLが照射されることとなる。
【0068】
次に、曲率検知手段6について説明する。
曲率検知手段6は、x−y平面にて、光走査面32の中央に位置する部位(以下「頂部T」と言う)と可動板531a(光反射部531e)との離間距離に基づいて、光走査面32の曲率を検知するものである。これにより、比較的簡単な構成で、かつ、正確に光走査面32の曲率を検知することができる。
【0069】
図8に示すように、曲率検知手段6は、回転体51に固定された複数のフォトダイオード61a、61b、61cと、フォトダイオード61a、61b、61cから発生する電圧を検知する電圧検知部62とを有している。
フォトダイオード61a、61b、61cは、x−y平面視にて、互いに間隔を隔てて回転体51の径方向に沿って配列している。図8に示すように、フォトダイオード61aは、光走査面32が第1状態の時に、頂部Tで反射されたレーザ光LLの一部を受光し、フォトダイオード61bは、光走査面32が第2状態の時に、頂部Tで反射されたレーザ光LLの一部を受光し、フォトダイオード61cは、光走査面32が第3状態の時に、頂部Tで反射されたレーザ光LLの一部を受光する。
【0070】
フォトダイオードは、光を受けると光起電力効果により電圧が生じる性質を有しているため、電圧検知部62によって、フォトダイオード61a、61b、61cのうちのどのフォトダイオードから電圧が生じているのかを検知すれば、光走査面32の状態(曲率)を検知することができる。なお、本実施形態では、3つのフォトダイオードを用いているが、フォトダイオードの数は、特に限定されない。フォトダイオードの数を多くすれば、その分、光走査面32の曲率をより細かく検知することができる。フォトダイオードの数は、光走査面32の大きさや画像表示装置1の使用目的に合わせて適宜設定すればよい。
電圧検知部62での検知結果は、作動制御装置8に送信される。
【0071】
なお、曲率検知手段6としては、本実施形態に限定されず、例えば、光走査面32が第1状態の時に頂部Tで反射されたレーザ光LLと、光走査面32が第2状態の時に頂部Tで反射されたレーザ光LLと、光走査面32が第3状態の時に頂部Tで反射されたレーザ光LLとの交点に対応する位置に、フォトダイオードを設置してもよい。この場合、第1〜第3の状態では、互いに、光反射部531eから頂部Tまでの光路長が異なっている。そのため、第1〜第3の状態では、互いに、光源ユニット54から照出されたレーザ光LLがフォトダイオードに受光されるまでの時間が異なる。この時間(光路長)は、第1の状態が最も短く、第3の状態が最も長くなる。このような時間(時間差)を検出し、それに基づいてスクリーン3の状態を検知してもよい。
また、曲率検知手段6としては、気密空間K内に圧力センサを設け、この圧力センサにより検知される気密空間K内の圧力に基づいてスクリーン3の状態を検知してもよい。
【0072】
次に、押圧位置検出手段7について説明する。
タッチ入力面31が押圧され、スクリーン3が内側へ撓むと、その撓んだ部分における光反射部531eと光走査面32との間のレーザ光LLの光路長(以下、単に「光路長L」と言う)が、押圧されていない自然状態のときと比べて短くなる。
押圧位置検出手段6は、このような光路長Lの変化に基づいて、タッチ入力面31の押圧位置を検出するよう構成されている。これにより、押圧位置をより正確に検出することができる。
【0073】
また、押圧位置検出手段6は、レーザ光LLが光反射部531eで反射されてから、光走査面32で反射し、戻りレーザ光LL’として、再び光反射部531eに戻ってくるまでの時間に基づいて、光路長Lの変化(出射光と反射光との位相差)を検知する。これにより、より正確に、光路長Lの変化を検知することができる。
具体的な構成としては、図7に示すように、押圧位置検出手段7は、光源ユニット54と光反射部531eとの間に設けられ、戻りレーザ光LL’を分岐するビームスプリッタ71と、ビームスプリッタ71で分岐された戻りレーザ光LL’を受光するフォトダイオード(受光部)72と、フォトダイオード72に接続された時間差算出部73と、時間差算出部73に接続された検出部74とを有している。
【0074】
本実施形態では、これらの、ビームスプリッタ71、フォトダイオード72、時間差算出部73および時間差算出部73は、回転体51に設けられている。
時間差算出部73は、フォトダイオード72および作動制御装置8のそれぞれと接続されたタイミング記録部731と、タイミング記録部731に接続された算出部732とを有している。
【0075】
タイミング記録部731は、1つの画素ごとに、レーザ光LLが光源ユニット54から出射されたタイミングTと、そのレーザ光LLが戻りレーザ光LL’となってフォトダイオード72に受光されたタイミングTとを記録する。また、タイミング記録部731は、1つの画素ごとに、所定の時間間隔(例えば、モータ52の周期)でタイミングTとタイミングTとを記録する。
【0076】
タイミング記録部731は、作動制御装置8から光源ユニット54に送信される前記駆動信号を受信できるようになっている。タイミング記録部731は、この駆動信号に基づいて、タイミングTを記録する。なお、タイミング記録部731は、レーザ光源541rへの駆動信号に基づいてタイミングTを記録してもよいし、レーザ光源541bへの駆動信号に基づいてタイミングTを記録してもよいし、レーザ光源541gへの駆動信号に基づいてタイミングTを記録してもよい。
【0077】
算出部732は、光源ユニット54から1つの画素に対応するレーザ光LLが出射される度に、そのレーザ光LLにおけるタイミングTとタイミングTとの時間差S(すなわち、レーザ光LLが光源ユニット54から出射されてからフォトダイオード72に受光されるまでの時間)を算出する。
算出部732で算出された時間差Sは、検出部74に送信される。
【0078】
検出部74は、1つの画素ごとに、時間差算出部73がn回目(ただし、nは自然数である)に算出した時間差Sと、n+1回目に算出した時間差Sn+1との差分を求め、その差分が所定の閾値を超えた場合に、その画素に対応するタッチ入力面31の位置を押圧位置として検出する。検出された押圧位置や押圧速度などの情報は、作動制御装置8に送信される。
【0079】
このように、時間差Sと時間差Sn+1との差分によってタッチ入力面31が押圧されたか否かを検出するよう構成することで、確実に、タッチ入力面31のタッチ位置を検出することができる。また、例えば、衝撃や長時間の使用によって、スクリーン3が変形してしまった場合(へこんでしまった場合)でも、検出部74は、その変形に影響されずに、押圧位置を検出することができる。
また、閾値を設けることにより、検出部74が、例えば振動等によるスクリーン3の微小変形を押圧と誤認識してしまうことを効果的に防止できる。その結果、押圧位置をより正確かつ確実に検出することができる。
【0080】
以下、図9および図10に基づいて具体的例を挙げつつ説明する。
図9は、タッチペンによってタッチ入力面が押圧された場合における、その押圧位置での時間差Sの経時変化を示した図である。以下では、同図に基づいて、押圧位置検出手段7が、どのようにしてタッチ入力面31の押圧位置を検出するかを説明する。
以下では、説明の便宜上、画素Pが押圧されている場合について代表して説明する。また、光反射部531eと画素Pとの間のレーザ光LLの光路長を「光路長L」と言う。
【0081】
[1]図9中(a)の状態では、タッチ入力面31は、押圧されていない。そのため、(a)では、スクリーン3は、自然状態を維持しており、実質的に形状変化していない。
[2]図9中(b)の状態でも、タッチ入力面31は、押圧されておらず、スクリーン3の形状は、(a)−(b)間で変化していない。すなわち、(b)の状態での光路長Lは、(a)の状態での光路長Lと等しく、当然、時間差Sと時間差Sとが等しくなる。これにより、検出部74は、(b)の状態では、画素Pは、押圧されていないと判断する。
【0082】
[3]図9中(c)の状態では、画素Pが押圧され、その部分が下方(ケーシング2の内側)へ撓んでいる。そのため、(c)の状態においては、(b)の状態と比較して、光路長Lが短くなり、これに伴って、時間差Sが時間差Sよりも小さくなる。時間差Sと時間差Sとの差が所定の閾値を超えているため、検出部74は、(c)の状態では、画素Pが押圧されていると判断する。
このとき、検出部74は、さらに、押圧速度(平均速度)を求めることができる。具体的には、レーザ光LLの速度と、SとSとの差から(b)−(c)間での画素Pの変位量が求められ、この変位量と光走査の周期(モータ52の周期)とに基づいて、画素Pを押圧する際の(b)−(c)間での押圧速度を求めることができる。
【0083】
[4]図9中(d)の状態では、(c)の状態よりもさらに画素Pが下方へ撓んでいる。そのため、(d)の状態においては、(c)の状態と比較して、光路長Lが短くなり、これに伴い、時間差Sが時間差Sよりも小さくなる。これにより、検出部74は、(d)では、画素Pの押圧が(c)のときから継続していると判断する。
[5]図9中(e)の状態では、(d)の状態と同じ状態を維持している。そのため、時間差Sが時間差Sと等しくなる。これにより、検出部74は、(e)の状態では、(d)の押圧状態が維持されていると判断する。
[6]図9中(f)の状態では、画素Pの押圧が終了し、スクリーン3が自然状態に復帰している。そのため、時間差Sが時間差Sよりも大きくなる。これにより、検出部74は、(f)の状態では、画素Pが押圧されていない(すなわち、押圧が終了した)と判断する。
【0084】
なお、検出部74は、前記[3]で説明した閾値と同様にして、時間差Sと時間差Sとの差が、所定の閾値を超えている場合に、(f)の状態では、押圧が終了したと判断するよう構成されていてもよい。これにより、より正確に押圧の終了を検出することができる。
このようにして押圧位置検出手段7は、画素Pが押圧されているか否かを判断するとともに、押圧速度を検出する。以上、画素Pについて代表して説明したが、当然、タッチ入力面31の画素P以外の位置においても、これと同様にして、その位置が押圧されたか否かを判断することができる。
ここで、タッチ入力面31を押圧するときに、指の腹など比較的面積の大きいものによって押圧すると、タッチ入力面31は、操作者が意図しない部分が比較的広い範囲にわたって撓んでしまう場合がある。
【0085】
図10では、画素P5を押圧したときに、画素P3〜P8に対応する比較的広い範囲にわたってスクリーン3が撓んでしまった場合を示している。
このようなスクリーン3の撓みにより、画素P3〜P8に対応する部位では、それぞれ、時間差算出部73が1回目(図10(a)に示すスクリーン3が自然状態のとき)に算出した時間差Sに対して、2回目(図10(b)に示すスクリーン3が押圧状態のとき)に算出した時間差Sが小さくなっている。
画素P3〜P8における時間差Sと時間差Sとの差分は、画素P5が最も大きく、画素P5から図10中左右方向へ向けて小さくなっている。
【0086】
検出部74は、前述したように、時間差Sと時間差Sn+1との差分が、所定の閾値以上となっている部分のみを押圧位置として検出するよう構成されている。図10の場合では、閾値を超えているのは、画素P5のみであるため、検出部74は、画素P5に対応する部位が押圧位置であると判断する。このように、閾値を設けることで、スクリーン3を押圧操作することによって、不本意に撓んでしまった部位を押圧位置として検出してしまうことを効果的に防止することができる。
【0087】
なお、前記閾値を適宜調整することにより、検出部74は、押圧された領域を検出することもできる。例えば、前記閾値が、画素P8での差分と画素P9での差分との間に位置するように設定されていた場合には、検出部74は、画素P3〜8に対応する部分を押圧領域として検出することができる。また、検出部74は、このように閾値を超える前記差分(時間差Sと時間差Sとの差分)が発生している画素の数から、押圧領域の面積を算出することができる。
【0088】
以上のような押圧位置検出手段7によれば、タッチ入力面31の所定位置ごとに、時間差Sと時間差Sn+1とを比較しているため、タッチ入力面31の複数の箇所を同時に押圧(タッチ入力)しても、そのすべての押圧位置を検出することができる。これにより、画像表示装置1は、マルチタッチ機能を発揮することができる。
さらには、押圧位置検出手段7によれば、タッチ入力面31で指などをスライドさせた場合には、このスライドの軌跡およびスライド速度を検出することができる。これにより、スライド方向に沿って、スクリーン3に映し出された画像を回転させたり、スライド方向によって、スクリーン3に映し出される画像を異なるものとしたりでき、画像表示装置1は、優れた操作性、利便性およびアミューズメント性を発揮することができる。
【0089】
また、押圧位置検出手段7によれば、平均押圧速度を求めることができるため、例えば、平均押圧速度の違いによってスクリーン3に映し出される画像を変化させる(異なるものとする)ことができる。この点からも、表示装置1は、優れた操作性、利便性およびアミューズメント性を発揮することができる。
また、押圧位置検出手段7によれば、押圧された領域の面積を求めることができるため、これらの違いによってスクリーン3に映し出される画像を変化させることができる。この点からも、画像表示装置1は、優れた操作性、利便性およびアミューズメント性を発揮することができる。
また、光走査ユニット54から出射されるレーザ光LLを利用するため、部品点数を削減することができ、画像表示装置1の低コスト化を図ることができる。
【0090】
なお、曲率変更手段4によって光走査面32の曲率が変更されると、各画素において、変更前(例えば第3の状態)と変更後(例えば、第2の状態)とで光路長Lが変化する。そのため、押圧位置検出手段7が、光走査面32の曲率変化に伴う光路長Lの変化を押圧と誤認識してしまうことを防止するために、タイミング記録部731は、作動制御装置8による曲率変更手段4の作動を検知すると、それまで記録していた各画素におけるタイミングTおよびタイミングTを消去し、光走査面32の曲率が変更された後に、改めて各画素におけるタイミングTおよびタイミングTの記録を開始するよう構成されていることが好ましい。
【0091】
また、本実施形態では、曲率検知手段6が、押圧位置検出手段7とは別に設けられているが、押圧位置検出手段7が曲率検知手段を兼ねていてもよい。具体的には、押圧位置検出手段7によっても、前述したように、光反射部531eと光走査面32の所定部位(例えば頂部T)との間の光路長Lを求めることができる。光走査面32は、球面を維持しながら、その曲率を変化させていくため、光路長Lを検出することができれば、その光路長Lに対応した光走査面32の曲率を求めることができる。
【0092】
そのため、押圧位置検出手段7は、曲率変更手段4が作動し、光走査面32が実際に変形している最中においては、光走査面32の曲率を検知する曲率検知手段として機能してもよい。もちろん、曲率変更手段4の作動が終了すれば、押圧位置検出手段7は、押圧位置を検出するよう作動する。これにより、画像表示装置1の部品点数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
【0093】
次に作動制御装置8について説明する。
作動制御装置8は、押圧位置検出手段7から送信される信号(押圧位置等に関する情報)および曲率検知手段6から送信される信号(光走査面32の曲率に関する情報)に基づいて、図示を省略する制御部から送信される電気的信号を駆動信号に変換し、当該信号に応じて曲率変更手段4(ポンプ41、コック43)および光走査手段5(モータ52、コイル535および光源ユニット54)の作動を制御するものである。この際、作動制御装置8によって光源ユニット54及びアクチュエータ53の動作が制御され、レーザ光LLの強度、投射位置、照射タイミング等の調整が行われる。これにより、画像表示装置1は、タッチ入力操作に連動して、光走査面32の曲率を変更するとともに、スクリーン3上に映し出す画像を動かしたり変更したりすることができる。
【0094】
以上、画像表示装置1の各構成について詳述した。
ここで、本実施形態では、回転体51には、アクチュエータ53、光源ユニット54、フォトダイオード61a〜61cおよび押圧位置検出手段7が設けられているが、これらは、回転体51、アクチュエータ53、光源ユニット54、フォトダイオード61a〜61cおよび押圧位置検出手段7の集合体の重心が、回転軸Z上またはその近傍に位置するように回転体51に設けられている。これにより、回転体51を回転させたときに、不本意な振動が発生してしまうことを抑制し、画像表示装置1を安定して作動させることができる。
【0095】
このような画像表示装置1は、例えば、次のような地球儀として使用することができる。なお、言うまでもないが、以下に示す使用例は、一例であって、使用方法や装置の大きさなどは、これに限定されるものではない。
図11ないし図13は、それぞれ、図1に示す画像表示装置を地球儀として用いたときの模式図である。この場合、画像表示装置1の大きさとしては、ケーシング2の厚さ、長さ、幅が、それぞれ、3cm、10cm、15cm、上部開口21の内径が約8cm程度である。
【0096】
[1]操作者がタッチ入力面を押圧(タッチ)すると、作動制御装置8に電力が供給される。電力供給を受けた作動制御装置8は、曲率変更手段4を作動し、曲率検知手段6からの信号に基づいて、光走査面32を第3の状態とする。
[2]次いで、作動制御装置8は、モータ52を所定の回転数(例えば、3000回転/秒)で駆動させて回転体51を回転させるとともに、コイル535に所定の周波数(例えば、60KHz程度)の交番電圧を印加して可動板531aを所定の回動速度で回動させる。
【0097】
[3]これと同時に、作動制御装置8は、光源ユニット54に駆動信号を送信する。この駆動信号を受けた光源ユニットは、所定のタイミングでレーザ光LLを出射し、光走査面32の曲率に対応した地球の画像を光走査面32に描画する。このとき、光走査面32は、半球状をなしているため、スクリーン3には、北半球や南半球など、地球の半分に対応する画像が映し出されることとなる。図11では、スクリーン3には、北半球が映し出されている。
【0098】
[4]この状態にて、例えば、タッチ入力面をなぞってやると、その方向に地球が回転する。このときの地球の回転速度や回転量などは、なぞり速度(スライド速度)や、なぞった長さに比例する。これにより、操作者は、自由自在に地球を回転させることができ、例えば、図11では隠れていた南半球を見ることができたり、見たい地域(国)を正面に位置させたりすることができる。
【0099】
[5]また、タッチ入力面31を押圧すると、光走査面32の曲率が変化するとともに、押圧位置を中心として画像が拡大されたり縮小されたりする。なお、画像を拡大するか縮小するかの決定は、例えば、押圧時間によって決定してもよいし(押圧時間が所定時間以上であれば拡大、以下であれば縮小)、押圧速度によって決定してもよいし(押圧速度が所定速度以上であれば拡大、以下であれば縮小)、その他のファクターによって決定してもよい。以下では、説明の便宜上、画像を拡大する場合について説明するが、画像を縮小する場合についても同様である。
【0100】
例えば、タッチ入力面31の日本列島に対応する部位を押圧すると、図12に示すように、日本列島を中心として画像が拡大表示される。このとき、画像表示装置1は、タッチ入力面31が一回押圧されるごとに、所定倍率(一定の倍率)で画像が拡大するよう構成されていて、タッチ入力面31の押圧を繰り返ことで、目的の地域を目的の倍率で表示することができる。なお、画像表示装置1は、タッチ入力面31の押圧時間に比例して、画像が拡大するよう構成されていてもよい。
【0101】
作動制御装置8は、このような画像の拡大に連動させて、光走査面32の曲率を大きくしていく。これにより、前述したようなタッチ入力面31の押圧操作によって、スクリーン3に映し出された画像が拡大されていくと、最終的には、スクリーン3は、図13に示すように、第1の状態となる。なお、画像表示装置1は、スクリーン3が第1の状態となってからも、スクリーン3に映し出された画像を拡大し続けることができるように構成されていてもよい。
【0102】
このように、スクリーン3に映し出された画像の拡大倍率と光走査面32の曲率とを連動させることで、スクリーン3に映し出された画像を拡大、縮小した場合であっても、実際の地形の曲率等と対応した画像を映し出すことができるため、操作者に違和感を与えずに、画像を表示することができる。よって、画像表示装置1は、優れた表示特性を発揮することができる。
【0103】
以上、画像表示装置1を地球儀として用いた場合について説明した。なお、地球の画像にかえて天体(星座)を映し出し、遊星儀として用いてもよい。
この他にも、画像表示装置1を対面型ゲーム機として用いることもできる。
例えば、画像表示装置1でトランプ遊戯のひとつである「ポーカー」を行うとき、操作者2名(以下、操作者N、Mと言う)は、画像表示装置1を介して向かい合う。
【0104】
この状態にて、タッチ入力面31を押圧すると、地球儀のときと同じように、スクリーン3が膨れて光走査面32が第3の状態となるとともに、スクリーン3に所定の画像が映し出される。
そして、例えば、スクリーン3に映し出された「開始ボタン」を押圧すると、スクリーン3の操作者N側の面には、操作者Nの手札(5枚のトランプ)が映し出され、操作者M2側の面には、操作者Mの手札が映し出される。この状態では、スクリーン3が半球状となっているため、操作者N、Mは、互いに相手の手札を見ることはできない。
【0105】
操作者N、Mは、それぞれ、交換したい手札をタッチすることで手札の交換を行う。手札の交換が終了すると、光走査面32が第1の状態に変化し、これにより、操作者N、Mは、互いに、相手の手札を確認することができる。このとき、スクリーン3に勝者を示す画像が映し出されるよう構成されていてもよい。
以上、画像表示装置1を対面型ゲーム機として用いた場合について説明した。なお、操作者の数は、2名に限定されず、例えば、スクリーン3を囲むようにして4人で行ってもよい。このとき、スクリーンは、x−y平面にて4分割される。
【0106】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像表示装置の第2実施形態について説明する。
図14は、本発明の画像表示装置の第2実施形態を示す模式的斜視図、図15ないし図17は、それぞれ、図14に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。なお、説明の便宜上、図15ないし図17中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0107】
以下、第2実施形態の画像表示装置1について、前述した実施形態の画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる画像表示装置は、曲率変更手段の構成が異なる以外は、第1実施形態の画像表示装置とほぼ同様である。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0108】
以下、本実施形態の画像表示装置1Aが備える曲率変更手段4Aについて図14ないし図17に基づいて説明する。なお、図15ないし図17では、説明の便宜上、光走査手段5、曲率検知手段6および押圧位置検出手段7については、図示を省略している。
曲率変更手段4Aは、温度により形状が変化する8本の超弾性合金(形状記憶合金)45a〜45hと、超弾性合金45a〜45hを加熱または冷却する加熱冷却手段46Aとを有している。
【0109】
超弾性合金45a〜45hには、所定の熱処理(形状記憶処理)が施されており、これにより、超弾性合金45a〜45hは、二方向性形状記憶効果を発揮することができる。すなわち、超弾性合金45a〜45hは、低温側と高温側とで、それぞれ形状を記憶することができ、温度を変更することにより、低温側の形状と高温側の形状との間で、形状を自在に変更することができる。
【0110】
超弾性合金45a〜45hは、それぞれ線材である。また、超弾性合金45a〜45hは、それぞれ、一方の端部(この端を以下、「基端」と言う)で、固定部材24の下面に接合されている。また、超弾性合金45a〜45hは、x−y平面にて、上部開口21の縁部(外周)に沿って互いに間隔を隔てつつ、等角度間隔(本実施形態では45度間隔)で設けられている。超弾性合金45a〜45hと固定部材24との接合方法は、特に限定されず、例えば、接着、圧着、溶着などを用いることができる。
超弾性合金45a〜45hは、それぞれ、常温で図15に示すような渦巻状となるよう形成されている。このような超弾性合金45a〜45hは、温度が上昇するに連れ、図16に示すように基端側から渦巻が解かれていき、光走査面32を上側へ押圧しながら光走査面32の中央部に向かうよう延びていく。
【0111】
光走査面32は、超弾性合金45a〜45hによる押圧により、超弾性合金45a〜45hの温度上昇に伴って、略球面を保ったまま曲率が大きくなっていく。そして、超弾性合金45a〜45hの温度が所定温度まで上昇すると、図17に示すように、光走査面32が第3の状態となる。この時、超弾性合金45a〜45hは、渦巻が完全に解かれた状態となり、x−y平面にて、光走査面32の中央部から放射線状に延在していようになる。
反対に、図17の状態から、超弾性合金45a〜45hを冷却していくと、超弾性合金45a〜45hは、図16の状態を経由して図15の状態に復帰する。
【0112】
このような超弾性合金45a〜45hの好ましい組成としては、49〜52原子%NiのNi−Ti合金等のNi−Ti系合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(Xは、Be、Si、Sn、Al、Gaのうちの少なくとも1種)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等が挙げられる。このなかでも特に好ましいものは、上記のNi−Ti系合金である。
【0113】
固定部材24は、Al、Ni、Cuなどの比較的熱伝導率を高い金属材料で構成されていて、この固定部材24には、加熱冷却手段46Aが熱的に接続されている。これにより、加熱冷却手段46Aによって、固定部材24を介して各超弾性合金45a〜45hを加熱、冷却することができる。
【0114】
加熱冷却手段46Aとしては、超弾性合金45a〜45hを加熱、冷却することができれば、特に限定されないが、例えば、加熱および冷却が可能なペルチェ素子や、電熱線ヒータ、セラミックヒータ、オイルヒータなどの各種ヒータや、ファンなどの各種クーラを用いることができる。
加熱冷却手段46Aとしてペルチェ素子を用いる場合には、吸熱面または発熱面となり得るいずれか一方の面を固定部材24に対して熱的に接続する(間接的であるか直接的であるかは問わない)。これにより、ペルチェ素子に一方の方向の電流を印加すれば、固定部材24を介して超弾性合金45a〜45hを加熱することができるし、他方の方向の電流を印加すれば、固定部材24を介して超弾性合金45a〜45hを冷却することができる。このようなペルチェ素子によれば、比較的簡単な構成で、超弾性合金45a〜45hの形状、すなわち、光走査面32の曲率を所望のものとすることができる。
【0115】
また、加熱冷却手段46Aとして各種ヒータを用いる場合には、ヒータを作動することで超弾性合金45a〜45hを加熱することができるし、ヒータの作動を停止することで、超弾性合金45a〜45hが雰囲気温度によって自然に冷却される。もちろん、ヒータのほかに、前述したようなクーラを設け、このクーラにより超弾性合金45a〜45hを冷却してもよい。
このような加熱冷却手段46Aは、作動制御装置8により作動が制御されている。
【0116】
以上のように、超弾性合金45a〜45hを用いて光走査面32の曲率を変更することで、曲率変更手段4Aの構成を比較的簡単としつつ、より確実に光走査面32の曲率を変更することができる。
なお、超弾性合金の数、形状、配置などは、本実施形態に限定されず、例えば、超弾性合金は、7本以下であってもよいし、9本以上であってもよい。また、複数の超弾性合金は、等角度間隔で配置されていなくてもよいし、常温で渦巻状をなしていなくてもよい。
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0117】
<第3実施形態>
次に、本発明の画像表示装置の第3実施形態について説明する。
図18は、本発明の画像表示装置の第3実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態の画像表示装置1Bについて、前述した実施形態の画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかる画像表示装置1Bは、曲率変更手段4Bの構成が異なる以外は、第1実施形態のディスプレイ装置1とほぼ同様である。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。なお、図18では、説明の便宜上、光走査手段5、曲率検知手段6、押圧位置検出手段7については、図示を省略している。
【0118】
曲率変更手段4Bは、気密空間K内の気体(空気)を加熱または冷却することにより、気体の体積を膨張または収縮させ、それにより、気密空間K内の圧力を調整するように構成されている。このような曲率変更手段4Bは、光透過板25を介して気密空間K内の気体を加熱または冷却する加熱冷却手段46Bを備えている。ここで、光透過板25は、高熱伝導樹脂材料など、比較的、熱伝導性に優れた材料で構成されているのが好ましい。
【0119】
加熱冷却手段46Bとしては、前述した第2実施形態と同様のものを用いることができる。
加熱冷却手段46Bによって、気密空間K内の気体が加熱されれば、当該気体の体積が膨張し、よって、光走査面32が第1の状態から第3の状態へ向けて変化する。反対に、気密空間K内の気体が冷却されれば、当該気体の体積が収縮し、よって、光走査面32が第3の状態から第1の状態へ向けて変化する。
【0120】
以上のように、加熱冷却手段46Bを用いて光走査面32の曲率を変更することで、曲率変更手段4Bの構成を比較的簡単としつつ、より確実に光走査面32の曲率を変更することができる。
なお、本実施形態では、気密空間K内に気体が充填されているが、さらに液体が封入されていてもよい。加熱により液体が気化したときの体積の膨張は、気体の昇温による体積の膨張に比べ大きいため、これにより、より効率的に光走査面32の曲率を所望の曲率とすることができる。このような液体としては、比較的沸点の低い液体が好ましく、例えば、水、グリセリンなどが挙げられる。
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0121】
<第4実施形態>
次に、本発明の画像表示装置の第4実施形態について説明する。
図19は、本発明の画像表示装置が備える光源ユニットを示す図である。
以下、第4実施形態の画像表示装置1Cについて、前述した実施形態の画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第4実施形態にかかる画像表示装置は、光源ユニット54Cの構成が異なる以外は、第1実施形態の画像表示装置とほぼ同様である。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0122】
図19に示すように、光源ユニット54Cは、3つのレーザ光源541r、541b、541vと、各レーザ光源541r、541b、541vに対応して設けられたコリメータレンズ542r、542b、542vおよびダイクロイックミラー543r、543b、543vとを備えている。各色のレーザ光源541r、541b、541vは、それぞれ赤色、青色、及び紫外のレーザ光RR、BB、VVを射出する。
ダイクロイックミラー543r、543b、543vは、それぞれ、赤色レーザ光RR、青色レーザ光BB、紫外のレーザ光VVを反射する特性を有し、各色のレーザ光RR、BB、VVを結合して1つのレーザ光LLを射出する。
【0123】
このようなレーザ光LLが走査されるスクリーン3には、紫外レーザVVが照射されることにより緑色の蛍光を発生する蛍光体が含まれている。
レーザ光LLのうち赤色及び青色のレーザ光RR、BBついては、光走査面32で散乱されるだけであるが、紫外のレーザ光VVについては、光走査面32に含まれる蛍光体によって緑色の蛍光を発生する。結果的に、各色のレーザ光RR、BB、VVに対応して赤色、青色、及び緑色の像光を発生させることができる。
もちろん、紫外のレーザ光と蛍光体との組み合わせではなく、紫等のレーザ光と蛍光体との組み合わせにより緑色の蛍光を発生させることによって、当初の目的を達することができる。
【0124】
なお、以上の説明では、紫外レーザ光VVから緑色の像光を得る場合について説明したが、紫外レーザ光VVから赤色の像光や青色の像光を得ることもできる。さらに、複数種類の紫外レーザ光VVから個別に各色の像光を得ることもできる。
以上のような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0125】
<第5実施形態>
次に、本発明の画像表示装置の第5実施形態について説明する。
図20は、本発明の画像表示装置の第5実施形態を示す図である。
以下、第5実施形態の画像表示装置1Dについて、前述した実施形態の画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第5実施形態にかかる画像表示装置1Dは、スクリーンが変形しないことと、それに伴って、曲率変更手段、曲率検知手段および押圧位置検出手段が省略されていること以外は、前述した第1実施形態の画像表示装置とほぼ同様である。また、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0126】
スクリーン3は、実質的に可撓性および伸縮性を有しておらず、その形状が一定に保たれているものである。図20に示すように、スクリーン3は、半球体状をなしていて、そのため、光走査面32も半球面をなしている。これにより、地球、野球ボールなどの略球状の物体の一部をスクリーン3上に、歪み等を発生させずに映し出すことができる。その結果、画像表示装置1Dは、球状の物体をスクリーン3に映し出すときに、特に優れた画像表示特性を発揮する。
【0127】
特に、本実施形態では、光走査面32が半球面をなしているため、略球状の物体の半分を映し出すことができる。これにより、画像表示装置の利便性が向上する。
また、例えば、スクリーン3を図20中左右に二分割することで、右側の面と左側の面とで異なる画像を映し出すことができる。これにより、例えば、複数の観察者が、それぞれ所望の画像(映像)を見ることができる。このとき、各観察者からは、他の観察者が見ている画像(映像)がほとんど見えないため、より集中して画像を見ることができる。
【0128】
このようなスクリーン3の構成材料としては、上記特性を備えるものであれば、特に限定されず、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂や、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマーのうちの、1種または2種以上を組み合わせて(例えば、積層体として)用いることができる。
【0129】
本実施形態では、アクチュエータ53および光源ユニット54は、回転体51、アクチュエータ53および光源ユニット54の集合体の重心が回転軸Z上またはその近傍に位置するよう設けられている。これにより、回転体51を回転させたときに、不本意な振動が発生してしまうことを抑制し、画像表示装置1Dを安定して作動させることができる。
以上のような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0130】
以上、本発明の画像表示装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の画像表示装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、各実施形態を好適に組み合わせることもできる。
また、前述した第1実施形態および第2実施形態では、光走査手段が気密空間の下側、すなわち、気密空間外に設けられていたが、これに限定されず、気密空間内に設けられていてもよい。具体的には、光透過板とスクリーンとの間に、回転体、アクチュエータ、光源ユニットが位置していてもよい。このとき、光透過板は、光透過性を有していなくてもよい。
また、前述した第4実施形態では、光走査面が半球面をなしていたが、これに限定されず、例えば、光走査面は、中央部と縁部とで曲率が異なる湾曲凸面であてもよいし、かまぼこ状であってもよいし、平面であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の画像表示装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図3】図1に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図4】図1に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図5】図1に示す画像表示装置の光走査手段が備えるアクチュエータの拡大図である。
【図6】図5に示すアクチュエータの駆動を示す図である。
【図7】図1に示す画像表示装置が備える制御系のブロック図である。
【図8】スクリーンの曲率を検知する曲率検知手段を示す図である。
【図9】図1に示す画像表示装置が備える押圧位置検出手段の作動を示す図である。
【図10】図1に示す画像表示装置が備える押圧位置検出手段の作動を示す図である。
【図11】図1に示す画像表示装置を地球儀として用いた模式図である。
【図12】図1に示す画像表示装置を地球儀として用いた模式図である。
【図13】図1に示す画像表示装置を地球儀として用いた模式図である。
【図14】本発明の画像表示装置の第2実施形態を示す模式的斜視図である。
【図15】図12に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図16】図12に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図17】図12に示す画像表示装置が備えるスクリーンの変形を示す断面図である。
【図18】本発明の画像表示装置の第3実施形態を示す模式的断面図である。
【図19】本発明の画像表示装置の第4実施形態を示すブロック図である。
【図20】本発明の画像表示装置の第5実施形態を示す模式的断面図図である。
【符号の説明】
【0132】
1、1A、1B、1C、1D……画像表示装置 2……ケーシング 21……上部開口 22……凹条 24……固定部材 241……凸条 25……光透過板 3……スクリーン 31……タッチ入力面 32……光走査面 4、4A、4B……曲率変更手段 41……ポンプ 42……配管 43……コック 45a〜45h……超弾性合金 46A、46B……加熱冷却手段 5……光走査手段 51……回転体 511……連結軸 512……傾斜台 52……モータ 53……アクチュエータ 531……基体 531a……可動板 531b……支持部 531c、531d……連結部 531e……光反射部 532……スペーサ部材 533……対向基板 534……永久磁石 535……コイル 54、54C……光源ユニット 541r、541b、541g、541v……レーザ光源 542r、542b、542g、542v……コリメータレンズ 543r、543b、543g、543v……ダイクロイックミラー 6……曲率検知手段 61a、61b、61c……フォトダイオード 62……電圧検知部 7……押圧位置検出手段 71……ビームスプリッタ 72……フォトダイオード 73……時間差算出部 74……検出部 731……タイミング記録部 732……算出部 74……検出部 8……作動制御装置 81……レーザ光出射装置 82……フォトダイオード 83……圧電素子 K……気密空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を走査する光走査手段と、
シート状をなし、その一方の面が前記光走査手段によって光が走査される光走査面であるスクリーンとを有し、
前記光走査手段は、光を出射する光出射部と、該光出射部から出射した光を反射する光反射部を備えた可動板が回動可能に設けられたアクチュエータと、該アクチュエータを前記可動板の回動中心軸と平行な線分に対して直交する軸まわりに回転可能に支持する回転体とを有し、前記回転体を回転させつつ前記可動板を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を前記光走査面に2次元的に走査するよう構成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記アクチュエータおよび前記光出射部は、前記回転体に、前記回転体の回転軸を介して互いに対向するよう設けられている請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記アクチュエータおよび前記光出射部は、前記回転体、前記アクチュエータおよび前記光出射部の集合体の重心が前記回転軸上またはその近傍に位置するよう設けられている請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、側面視にて、前記回転体の一方側に位置しており、前記光走査面の他方側に光を走査するよう構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光走査面は、略球面をなしている請求項1ないし4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光走査面は、略半球面をなしている請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記スクリーンは、可撓性を有していて、前記光走査面が前記回転体と反対側へ凸の略球面をなし得るよう形成され、前記光走査面の曲率を変更する曲率変更手段を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記スクリーンは、前記光走査面が略平面をなす第1の状態と、前記光走査面が略球面をなす第2の状態と、前記光走査面が前記第2の状態よりも曲率の大きい略球面をなす第3の状態とをとり得ることができ、前記曲率変更手段は、前記第1の状態と前記第2の状態と前記第3の状態とを切り換えるよう構成されている請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光走査面は、前記第3の状態にて略半球面をなしている請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記スクリーンは、伸縮性を有し、前記スクリーンの内側には、気体が充填された充填部が形成され、前記曲率変更手段は、前記充填部内の圧力を調整することにより、前記光走査面の前記曲率を変更する請求項7ないし9のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記曲率変更手段は、前記充填部内の前記気体の量を調整することにより前記充填部内の圧力を調整する請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記スクリーンは、伸縮性を有し、
前記曲率変更手段は、前記スクリーンの中央部から放射状に設けられた複数の超弾性合金と、該複数の超弾性合金を加熱または冷却する加熱冷却手段とを有し、該加熱冷却手段により、前記超弾性合金の形状を変化させ、それにより、前記光走査面の前記曲率を変更するよう構成されている請求項7ないし9のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記スクリーンの前記光走査面と反対の面は、押圧操作される入力面であり、
前記入力面の押圧による、前記光反射部と前記光走査面との間の前記光の光路長の変化に基づいて、前記入力面の押圧位置を検出する押圧位置検出手段を有している請求項1ないし12のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記光反射部から出射してから、前記光走査面で反射し、再び前記光反射部に戻ってくるまでの時間に基づいて、前記光路長の変化を検知する請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記押圧位置検出手段は、前記光出射部と前記光反射部との間の光路の途中または分岐した位置に設けられ、前記光走査面で反射し再び前記光反射部に戻ってきた光を受光する受光部と、前記光出射部から光が出射されるタイミングとその光が前記受光部で受光されたタイミングとの時間差を算出する時間差算出部と、前記時間差算出部による算出結果に基づいて前記入力面の押圧位置を検出する検出部とを有している請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記時間差算出部は、前記光走査面の所定箇所における前記時間差を所定の時間間隔毎に算出し、前記検出部は、前記時間差算出部がn回目に算出した前記時間差と、n+1回目に算出した前記時間差との差を求め、その差が所定の閾値を超えた場合に当該箇所を前記押圧位置として検出する請求項15に記載の画像表示装置(ただし、nは自然数である)。
【請求項17】
前記検出部は、さらに、前記時間差算出部がn回目に算出した前記時間差と、n+1回目に算出した前記時間差との差から前記押圧の押圧速度を求める請求項16に記載の画像表示装置(ただし、nは自然数である)。
【請求項18】
前記光反射部から前記光走査面の所定箇所までの距離に基づいて、前記光走査面の前記曲率を検知する曲率検知手段を有している請求項7ないし17のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記光走査手段によって、前記スクリーンに描画される画像の拡大倍率と、前記光走査面の曲率とが連動している請求項1ないし18のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−109540(P2009−109540A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278540(P2007−278540)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】