説明

画像記録方法及び装置

【課題】各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を測定し、着弾位置誤差に起因する濃度ムラを補正する。
【解決手段】ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって得られたリファレンス濃度特性を記憶する手段と、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得する手段と、前記取得された各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正する補正手段と、前記補正された打滴率信号を量子化する手段とを備え、打滴率信号を補正することにより着弾位置誤差に起因するムラを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録方法及び装置に係り、特に、被記録媒体上にドットを形成して画像を記録する画像記録装置における濃度ムラを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像記録装置として、例えば多数のノズル(記録素子)を配列させたインクジェットヘッド(記録ヘッド)を有するインク吐出装置を備え、インクジェットヘッドと被記録媒体を相対的に移動させながら、被記録媒体に向けてノズルからインクを吐出することにより、被記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)が知られている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置においては、ノズル毎の印字特性(吐出特性)の誤差に起因する1次元的な濃度ムラが問題となる。特に、記録紙幅全域をカバーし、記録紙とヘッドを相対的に移動させる動作を一回行う(シングルパス)だけで記録紙の全面に画像を記録することができるフルラインヘッドの場合には、ノズルの印字特性が記録紙に素直に反映されるため、記録紙の搬送方向のすじムラが目立ち易いという問題がある。
【0004】
例えば、図29(a)に示すように、ノズル902が一列に配列されたライン型記録ヘッド900に対して、ノズル配列方向と略直交する方向(図に矢印で示す方向)に記録紙904を搬送しながら、各ノズル902からインク滴906を吐出して、記録紙904上にインクドット908を形成して画像を記録するものとする。
【0005】
このとき、ノズル902から吐出されたインク滴906の中に、着弾位置がずれたインク滴906aや吐出量が通常より多いインク滴906b等が存在すると、記録紙904に白すじ910や濃度が濃くなった黒すじ912等の部分ができ、濃度ムラが発生する。その結果、図29(b)に示すように、記録紙904上にすじムラとして視認されるようになり、画質上問題となる。
【0006】
このように、吐出量の誤差や記録紙の搬送方向に垂直な方向における着弾位置の誤差が記録紙の搬送方向のすじ状の濃度ムラの原因となっている。
【0007】
従来、このような濃度ムラに対して、ノズルの印字特性の誤差を事前に測定しておき、その測定された誤差に基づいて濃度ムラを補正する技術が多数開示されている。
【0008】
このような濃度ムラの補正手法には大きく分けて2通りの方法が知られている。
【0009】
一つは物理的補正法と呼ぶべきものであり、吐出量の誤差に対して駆動波形の制御等により吐出量を目標値に制御し、また着弾位置誤差に対して、吐出されたインクの飛翔方向の制御等により着弾位置を目標位置に制御することで濃度ムラを補正するものである。
【0010】
また他の一つは視覚的補正法と呼ぶべきものであり、画像信号を制御して打滴率を制御することにより、ある面積を持つエリア内における濃度を目標濃度値に制御することで濃度ムラを補正するものである。
【0011】
例えば、濃度ムラを光学的に読み取った上で、主に吐出量誤差に起因する濃度ムラを補正する目的で、テストチャートとしてムラを持つベタ画像を作成して、これを光学的にスキャンすることで、各ノズルの濃度特性を測定し、ノズルの濃度特性を目標値に揃えるように打滴率を補正するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0012】
また、例えば、着弾位置誤差に起因するすじムラを補正するために、まずノズル毎の着弾位置誤差情報を専用テストパターンを用いて取得しておき、次にあるノズルが担当する印字エリアの濃度特性を、周囲のノズルの着弾位置誤差の影響(隣りのノズルの着弾位置がよれることによる影響)も考慮して推測し、推測された濃度特性に基づいて補正を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開平5−69545号公報
【特許文献2】特開2004−58282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来技術では、着弾位置誤差に起因するすじムラに対して完全な補正はできないという問題がある。これについて、図を用いて以下詳しく説明する。
【0014】
例えば、図30に示すような関係に、(ライン型)記録ヘッド900と記録紙(メディア)904が配置されている場合、i番目のノズル902iが担当する記録紙904上の領域(印字エリア)をDiとする。そして、光学センサ920を、図に矢印で示す方向にノズルピッチづつ送りながら、各ノズル902iの印字エリアDiの光学濃度を測定する。なお、このとき光学センサ920のスキャン方向のアパーチャ径はノズルピッチ相当とする。
【0015】
例えば、上記特許文献1においては、テストパターンを印字してエリア毎に光学濃度を測定し、ノズルの濃度特性としている。また、上記特許文献2においては、ノズル特性を事前に測定しておき、ドット形状からエリア毎の濃度特性を推測している。
【0016】
このとき、例えば、i番目のノズル902iの吐出量に誤差がある場合を考える。図31に示すように、i番目のノズル902iから理想値よりもサイズの大きいドット908iが打滴されるとする。このように、ドットサイズが大きくなると、光学センサ920で濃度を測定した際、濃度値も大きくなり、このドット908iが打滴された部分の濃度が理想値より上昇する。
【0017】
この場合に、上記特許文献1に記載されたような濃度測定を行うと、ノズル毎に対応するエリアの濃度特性(ミクロ濃度特性D)が図31中の右側に表したグラフのようになる。すなわち、i番目のノズル902iの担当エリアDiの濃度が上昇するように測定される。この場合には、特許文献1に記載されたような方法により、この測定された濃度特性に基づいて、駆動力制御により吐出量自体を(物理的)補正をすることにより、濃度ムラ補正を行うことができ、図32中右側に示したように平坦な濃度測定値のグラフを得ることができる。
【0018】
またこのとき、図33に示すように、例えばi番目のノズル902iの打滴率を4/5に制御して、i番目のノズル902iを5回中1回は打滴しないようにして視覚的な補正を行うようにしても、その担当エリアDiの濃度を抑えて右側に示すような平坦な濃度測定グラフを得ることができる。また、上記特許文献2に記載された方法でも同様な補正を行うことが可能である。このように、上記従来技術によってもノズルの吐出量誤差に起因する濃度ムラの補正は可能である。
【0019】
しかしながら、次に述べるように、従来技術ではノズルの着弾位置誤差に起因する濃度ムラを補正することはできないという問題がある。
【0020】
いま、図34に示すように、ノズルピッチよりドット径が小さい場合を考える。このようにノズルピッチよりドット径が小さいドットを打滴するのは、例えば、複数のドットサイズのドットを打滴可能な多値インクジェットプリンタにおいて、低濃度領域において小ドットを打滴する場合に行われる。
【0021】
このとき、i番目のノズル902iに着弾位置誤差がある場合を考える。すなわち、図34に示すように、i番目のノズル902iから吐出されたドット908iが破線で示す理想的な打滴位置からずれているとする。
【0022】
この場合、図34に示したように、i番目のノズル902iが打滴したドット908iは理想的な打滴位置からは、ずれているが、i番目のノズル902iの担当エリアDiにあるので、このエリアDi内における総色材量には変化がないため、上述したような光学センサ920によって濃度測定を行うと、ノズル毎の濃度特性としては図34中の右側に示したグラフのように平坦な濃度測定結果が得られるので、濃度ムラなしと計測されてしまうため、これでは濃度ムラ補正を行うことができない。
【0023】
しかし、図34に示したようなサンプルを肉眼で見ると人間の目にはすじムラとして視認されてしまう。これに対し、前述した従来の濃度ムラ補正方法では、このような問題は考慮されていないため十分な補正ができず、着弾位置誤差に起因する濃度ムラに対しては、あまり有効ではない。
【0024】
今まで述べて来た例では、光学センサの分解能がノズルピッチに等しかったが、光学センサの分解能をより高解像度にすれば、図34のような場合でも濃度ムラを検知することは原理的には可能となる。例えば、図35に示すように、光学センサの分解能を2倍にして、各ノズル902iの担当エリアDiを2つに分けて測定するようにすれば、図中右側に表したような濃度特性を示すグラフが得られ、濃度ムラを検知することができる。
【0025】
しかし、このようにして得られた濃度特性は、制御可能単位であるノズルピッチの解像度を越えているため、上記特許文献1あるいは、特許文献2に記載されているような従来の濃度ムラ補正方法では、図34に示すような着弾位置誤差に起因する濃度ムラを補正することはできない。
【0026】
また、このようにノズルピッチよりドット径が小さい場合のみならず、より一般的にはノズルピッチよりドット径の方が大きい場合もあるが、この場合にもやはり問題の本質は同じであり、同様に着弾位置誤差に起因する濃度ムラを補正することはできない。
【0027】
この場合に濃度特性を上記従来の方法で測定すると、例えば図36に示したように隣ノズルの印字エリアにはみ出したドット908i面積分に相当する濃度変動は、各印字エリアDiの濃度特性として測定され、補正対象として一応は考慮される。ここで、隣の印字エリアにはみ出さなかった部分のドットの面積は、補正対象とはならないが、実は同印字エリアDi内で、ある偏り、例えば図37に示すように印字エリアDi内において下方向への偏り、を持って分布しているため、濃度ムラの要因となる。しかし、上記従来技術では、この要因を考慮していないため、補正が不完全なものとなる問題があった。
【0028】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性(ミクロ濃度特性)を測定することで、着弾位置誤差に起因する濃度ムラの補正を可能とする画像記録方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する画像記録装置であって、前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって得られたリファレンス濃度特性を記憶する手段と、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得する手段と、前記取得された各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正する補正手段と、前記補正された打滴率信号を量子化する手段と、を備えたことを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0030】
これによれば、打滴率信号を補正することで、すじムラ等の濃度ムラを好適に解消することが可能となる。
【0031】
また、請求項2に示すように、前記打滴率信号を補正する際、ある前記ノズルに対応する印字エリアに着弾位置誤差が発生した場合、その影響によって前記濃度特性が増加した印字エリアに対応するノズルについては打滴率を減少させ、前記濃度特性が減少した印字エリアに対応するノズルについては打滴率を増加させるように前記打滴率信号を補正することにより、前記着弾位置誤差による濃度ムラを解消するようにしたことを特徴とする。
【0032】
これによれば、着弾位置誤差を好適に解消することができ、濃度ムラを補正することが可能となる。
【0033】
また、請求項3に示すように、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得する手段は、ノズルピッチの少なくとも2倍以上の実数倍の解像度で濃度データを取得する取得手段と、取得された濃度データを処理するフィルタリング処理手段と、前記フィルタリング処理されたデータを平均化する平均化処理手段と、を含むことを特徴とする。
【0034】
これにより、着弾位置誤差に起因するムラを高精度に補正することが可能となる。
【0035】
また、請求項4に示すように、前記フィルタリング処理手段におけるフィルタは、カットオフ周波数が略ノズルピッチの逆数であるローパスフィルタであることを特徴とする。
【0036】
これによれば、着弾位置誤差に起因するムラを高精度に補正することが可能となる。
【0037】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する際、前記各ノズルが吐出するドットのドットサイズを変調可能な画像記録装置であって、前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって、各ドットサイズ毎に、予め得られたリファレンス濃度特性を記憶する手段と、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を、各ドットサイズ毎に取得する手段と、各ドットサイズ毎に、取得された前記各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正する補正手段と、前記補正された打滴率信号を量子化する手段と、を備えたことを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0038】
これによれば、ドットサイズ毎に異なる着弾位置誤差を適切に補正することが可能となる。
【0039】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する画像記録方法であって、前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって、予め得られたリファレンス濃度特性を記憶しておき、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得し、前記取得された各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正し、前記補正された打滴率信号を量子化することを特徴とする画像記録方法を提供する。
【0040】
これによれば、打滴率信号を補正することで、すじムラ等の濃度ムラを好適に解消することが可能となる。
【0041】
また、請求項7に示すように、前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性は、ノズルピッチの少なくとも2倍以上の実数倍の解像度で濃度データを測定し、該測定したデータをフィルタリング処理した後、平均化することによって算出されることを特徴とする。
【0042】
これによれば、着弾位置誤差に起因するムラを高精度に補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように、本発明に係る画像記録方法及び装置によれば、打滴率信号を補正することで、すじムラ等の濃度ムラを好適に解消することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る画像記録方法及び装置について詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【0046】
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送するベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
【0047】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0048】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合にはカッター28は不要である。
【0049】
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0050】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0051】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0052】
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
【0053】
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
【0054】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0055】
なお、ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0056】
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0057】
図2は、インクジェット記録装置10の印字部12周辺を示す要部平面図である。
【0058】
図2に示すように、印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。
【0059】
各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたフルライン型ヘッドで構成されている。
【0060】
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0061】
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回だけ行うシングルパス(すなわち、一回の副走査)で記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0062】
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
【0063】
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0064】
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
【0065】
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0066】
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。また、印字検出部24は、後述するように濃度ムラを補正する目的で、ノズルに対応するエリアの濃度特性であるミクロ濃度特性を取得するために、テストパターンの濃度プロファイルを光学的に測定するためにも用いられる。
【0067】
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0068】
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
【0069】
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
【0070】
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0071】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0072】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
【0073】
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
【0074】
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
【0075】
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通液室から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
【0076】
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。
【0077】
また、図4は他の印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。図4に示すように、複数の短尺ヘッド50’を2次元の千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、これらの複数の短尺ヘッド50’全体で印字媒体の全幅に対応する長さとなるようにして1つの長尺のフルラインヘッドを構成するようにしてもよい。
【0078】
また、図3中の5−5線に沿った断面図を図5に示す。
【0079】
図5に示すように、圧力室ユニット54は、インクを吐出するノズル51と連通する圧力室52によって形成され、圧力室52には、供給口53を介してインクを供給する共通液室55が連通するとともに、圧力室52の一面(図では天面)は振動板56で構成され、その上部には、振動板56に圧力を付与して振動板56を変形させる圧電素子58が接合され、圧電素子58の上面には個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねている。
【0080】
圧電素子58は、共通電極(振動板56)と個別電極57によって挟まれており、これら2つの電極56、57に駆動電圧を印加することによって変形する。圧電素子58の変形によって振動板56が押され、圧力室52の容積が縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。2つの電極56、57間への電圧印加が解除されると圧電素子58がもとに戻り、圧力室52の容積が元の大きさに回復し、共通液室55から供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
【0081】
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示省略)からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を替える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
【0082】
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは印字ヘッド50のノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
【0083】
なお、図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
【0084】
また、インクジェット記録装置10には、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、印字ヘッド50のノズル51が形成されたノズル面(インク吐出面)50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
【0085】
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニット(メンテナンス部)は、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
【0086】
キャップ64は、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aのノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。
【0087】
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50Aに摺動可能である。ノズル面50Aにインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに接触させ、摺動させることでノズル面50Aを拭き取り、ノズル面50Aを清浄化するようになっている。
【0088】
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、そのノズル51近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排出すべく、キャップ64に向かって予備吐出が行われる。
【0089】
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
【0090】
すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電素子58(図5参照)が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
【0091】
また、ノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、上述したような吸引動作を行う。
【0092】
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ64を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ67で吸引する動作が行われる。
【0093】
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図6で説明したキャップ64は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。
【0094】
また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
【0095】
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0096】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなどの磁気媒体を用いてもよい。
【0097】
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒーター89を制御する制御信号を生成する。なお、システムコントローラ72で実行されるソフトウエアプログラムはプログラム格納部90に格納されている。
【0098】
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42(図1参照)等のヒーター89を駆動するドライバである。
【0099】
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。
【0100】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0101】
また、プリント制御部80は、濃度ムラ補正のために濃度特性取得部100、ムラ補正処理部102、2値化処理部(量子化処理部)104を有するとともに、予め取得されたリファレンス濃度特性を記憶しておくリファレンス濃度特性メモリ106を備えている。
【0102】
濃度特性取得部100は、ノズルに対応する(ノズル近傍)エリアの濃度特性であるミクロ濃度特性を専用パターンから測定された着弾位置誤差を基に算出するものである。着弾位置誤差は、例えば、専用テストパターンから光学的に読み取った濃度プロファイルを基に算出するものである。そのため、濃度特性取得部100は、専用パターンから着弾位置誤差を測定するのに必要なセンサ(例えば、本実施形態では印字検出部24で兼用)、濃度ムラの1次元濃度プロファイルを推測(予測)する濃度プロファイル予測部108、上で推測された1次元濃度プロファイルに対してフィルタリング処理を行うフィルタリング処理部110、及びフィルタリング処理を施した濃度プロファイルに対してノズルに対応するエリア毎に平均化処理を行ってミクロ濃度特性を算出する平均化処理部112を有している。
【0103】
なお、ノズルに対応するエリアの濃度特性の取得は、このような算出方法に限定されるものではない。
【0104】
ムラ補正処理部102は、算出されたミクロ濃度特性をリファレンス濃度特性に一致させるようにして打滴率信号を補正することによって濃度ムラを補正するものである。また、2値化処理部104は、補正後の打滴率信号を誤差拡散法等のハーフトーニングによって2値化するものである。
【0105】
通常印字時において、プリント制御部80は、このようにして、入力画像信号に対して濃度ムラ補正を行い、ヘッドドライバ84に補正後の出力画像信号を出力する。以下、濃度ムラを補正する方法について説明することにより、これら各部のさらに詳しい作用について説明する。
【0106】
図8は、本実施形態における濃度ムラ補正処理を含む画像処理の手順を示すフローチャートである。
【0107】
まず、図8のステップS100において、濃度階調の情報を持った画像信号がインクジェット記録装置10に入力される。画像信号は、ホストコンピュータ86から通信インターフェース70を介して画像メモリ74に取り込まれる。
【0108】
次に、ステップS110において、プリント制御部80は、システムコントローラ72を介して画像メモリ74から入力画像信号を受け取り、濃度変換(リファレンス濃度特性の逆変換)を行い、0%〜100%の打滴率情報を持つC(シアン)/M(マゼンタ)/Y(イエロー)(/K(黒)/LC(ライトシアン)/LM(ライトマゼンタ))の制御信号に変換する。
【0109】
このとき、UCR(下色除去)処理やLC/LM等のライトインクへの分配処理等も同時に行うようにする。
【0110】
なお、リファレンス濃度特性Dreff(P)は、例えば、装置の出荷前等に測定して、テーブル化してリファレンス濃度特性メモリ106に記憶しておく。
【0111】
リファレンス濃度特性Dreff(P)の測定は、例えば次のように行う。すなわち、まず図9に示すように、印字ヘッド50から打滴率Pを、例えば20%から100%まで、20%きざみで振って、チャート(ベタ画像)114を作成する。
【0112】
なお、このとき、リファレンス濃度特性を取得する方法は、このようにマクロな濃度を実測してリファレンスとする方法の他に、各ミクロ濃度特性の平均値をリファレンスとしてもよいし、各ミクロ濃度特性のうち、当該ノズル及びその周辺ノズルの打滴誤差が最も少ないものを算出して、そのミクロ濃度特性をリファレンスとするようにしてもよい。
【0113】
次に、印字検出部24の光学センサで各チャート114の光学濃度を測定し、図10に示すような、打滴率と光学濃度との関係を表すリファレンス濃度特性Dreff(P)を得る。図10に示すようなリファレンス濃度特性のテーブルを保持しておくことで、入力信号として濃度階調情報を得た場合に、ある濃度を出したいというときは、このテーブルを参照して演算すれば打滴率を求めることができる。
【0114】
次に、ステップS120において、ムラ補正処理部102で、打滴率情報を持つC/M/Y制御信号に対して濃度ムラ補正処理を行う。
【0115】
例えば、図11に示すように、ノズルに対応する(ノズル近傍の)エリアの濃度特性(ミクロ濃度特性)D(i,P)(ここで、iはノズル番号、Pは打滴率)は、リファレンス濃度特性Dreff(P)に対して、誤差(ずれ)を持っている。このミクロ濃度特性D(i,P)がリファレンス濃度特性Dreff(P)に一致するように打滴率信号を補正する。
【0116】
次のステップS130において、このように濃度ムラ補正処理が施された打滴率信号(C/M/Y/K(LC/LM)制御信号)に対して、誤差拡散法などのハーフトーニング処理を行い、打滴率信号を2値化する。
【0117】
以上の濃度ムラ補正画像処理の概念図を図12に示す。印字ヘッド50のi番目のノズル51iに対応する印字エリアAiのミクロ濃度特性D(i,P)を取得して、これに対してミクロ濃度特性の逆変換を行って打滴率信号を得、これに対してムラ補正処理を行い、さらにハーフトーニング処理を行って2値化信号とする。この2値化された信号にもとづいて印字ヘッド50からドットを打滴して画像を記録することにより、濃度ムラが補正された画像を得ることができる。
【0118】
次に、ムラ補正処理で用いたミクロ濃度特性の取得方法について説明する。
【0119】
それぞれの色のヘッドで着弾位置誤差特性が異なるため、ミクロ濃度特性の取得は、C/M/Y(/K/LC/LM)の各色毎に行われる。
【0120】
図13は、ミクロ濃度特性取得方法を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。
【0121】
まず、図13のステップS200において、ノズルの着弾位置誤差を測定する。そのため、図14に示すように、印字ヘッド50の各ノズル51からドットを打滴して専用のテストパターン116を作成する。このテストパターン116の各ラインは、符号116aで示すようにその一部を拡大して示すと一つのノズル51から吐出されたドットで形成されている。
【0122】
また、このとき、隣り合うラインが接触することを防ぐために、図15に示すようなステップ状のパターンにしてもよい。
【0123】
このテストパターン116の濃度プロファイルを例えば印字検出部24の光学センサにより光学的に読み取る。印字検出部24は、その読み取り領域118がテストパターン116の各ラインに略直交するように読み取りを行う。読み取りはステップ毎に複数回に分けて行うようにしてもよい。
【0124】
読み取った濃度プロファイルから各ノズル51(ノズル番号i)毎に理想着弾位置からのずれ(着弾位置誤差ΔY(i))を算出する。図16に、それぞれの着弾位置を表す濃度プロファイルを示す。図16に実線で示したものが読み取った濃度プロファイル(着弾位置)であり、点線で示したものが理想の濃度プロファイル(着弾位置)である。各濃度プロファイルは半円状に表されているが、その中心間の距離が着弾位置誤差ΔY(i)となる。
【0125】
以下の説明では、ノズルピッチは400npi(ノズルパーインチ)、ドット径は30μm、ノズル番号iのノズルの着弾位置誤差ΔY(i)は10μmであると仮定する。
【0126】
なお、吐出量の誤差に起因してライン幅及びライン濃度にも無視できない誤差が発生する場合には、濃度ムラの発生原因としてノズルの吐出量の誤差も無視できない。このような場合には、着弾位置誤差以外にも、このような吐出量の誤差特性の測定をも盛り込むようにしてもよい。
【0127】
次にステップS210において、ムラの1次元濃度プロファイルを推測する。ステップS200における濃度プロファイルは特定テストパターンの濃度プロファイルであり、ステップS210におけるムラの1次元濃度プロファイルとは異なる。
【0128】
図17に、ムラの1次元濃度プロファイルを推測する手順をフローチャートで示し、このフローチャートに沿って、ムラの1次元濃度プロファイルの推測について説明する。
【0129】
まず図17のステップS300において、一様な打滴率信号を入力する。次に、ステップS310において、ハーフトーニング処理により2値化された画像データとする。
【0130】
次にステップS320において、今得られた2値画像情報に対して、図18に示すようなドットモデルと上で推定した着弾位置誤差とに基づいて、2次元の濃度プロファイルをD(X,Y,P)を求める。図18に示すようなドットモデルは、1つの濃度プロファイルをモデル化したものであり、位置座標(x,y)に対するドットの濃度プロファイルDdot(x,y)を立体的に表現したものである。このようなドットモデルは、例えば製品の出荷時に測定をして保有しておくようにすればよい。
【0131】
いま例えば図19において、印字ヘッド50のi番目のノズル51iに着弾位置誤差があったとする。すなわち、図19に示すように、i番目のノズル51iから打滴されたドット120iが、ノズル51iに対応する印字エリア内で少し下方にずれているとする。このとき、ドット120iに対して、着弾位置誤差を加味した現実の着弾位置上に、図18のようなモデル濃度プロファイルを加算していき、出力画像の2次元的濃度プロファイルD(X,Y,P)を予測する。
【0132】
次にステップS330において、図19において、この2次元的濃度プロファイルD(X,Y,P)をX方向(副走査方向)に平均化してムラの1次元濃度プロファイルD(Y,P)を予測する。
【0133】
このようにした得られた1次元濃度プロファイルD(Y,P)を図20に示す。図20において、縦線で区切られた中央の位置座標が0(Y=0)のエリアがi番目のノズル51iに対応するエリアであるとする。
【0134】
図20において、実線で表示されたものが今求めた1次元濃度プロファイルであり、点線で表示されたものが着弾位置誤差のない理想的な濃度プロファイルを表している。図20に示す例では、i番目のノズル51iはプラス方向(図中右方向)に着弾位置誤差を有している場合を想定している。
【0135】
また、このとき濃度プロファイルには少なくともノズルピッチの倍の分解能を持たせている。さらに、濃度プロファイルがノズルピッチの2以上の整数倍の分解能を有していることがより好ましい。
【0136】
また、メディア(記録紙16)の特性によってはドットが重なりあった部分の濃度上昇特性が線形でない場合もあり得るが、そのような場合にはドットモデルを加算する際、非線形な加算方法を用いるようにしてもよい。
【0137】
再び図13のフローチャートに戻り、ステップS220において、得られた濃度プロファイルと理想的な濃度プロファイルとの差分を取る。図21に、差分を取った結果を示す。この差分が濃度ムラとして視認されている成分である。
【0138】
次にステップS230において、得られた濃度プロファイルに対してローパスフィルタリング処理を行う。具体的には、まずフーリエ変換を行い、ついでローパスフィルタ処理を行い、次に逆フーリエ変換を行う。ここでフィルタのカットオフ周波数は、ノズルピッチの逆数に等しく設定し、ノズルピッチ以上の高周波成分を除去するようにする。
【0139】
なお、このとき濃度プロファイルをフーリエ変換してローパスフィルタ処理を行っているが、反射濃度(光学濃度)Dは光反射率R=10-Dの対数値であるため、平均化、フーリエ変換という空間処理に関しては(厳密には)指数領域で演算を行う必要がある。
【0140】
図22に、このようにして得られた濃度プロファイルを示す。図22に示すように、位置座標0が示す印字エリアのi番目のノズル51iが印字するドットは、隣の印字エリアには、はみ出していないが、濃度プロファイルの低周波成分を見ると両隣の印字エリア(位置座標±60の印字エリア)に影響を及ぼしていることがわかる。
【0141】
人間の視覚特性(VTF)は、図23に示すようなローパス型の特性を持っているため、濃度ムラを適切に補正するには、この低周波成分を考慮すればよいことがわかる。このように、高解像度でプロファイルを取得した上でローパスフィルタ処理を行うことで、周囲の印字エリアへの影響を適切に考慮することができる。また、ここでノズルピッチ以上の高周波成分は、ノズルピッチ400dpi以上の場合、人間の目には視認されない成分であるため、この部分をカットすることによる悪影響は生じない。
【0142】
次にステップS240において、各ノズル位置に対応する印字エリア単位で、上で算出した濃度プロファイルに対して平均化処理を行うことで、ミクロ濃度特性(ノズルに対応するエリアの濃度特性)D(i,P)を算出する。ここで、iはノズル番号、Pは打滴率である。
【0143】
図24に、各印字エリア単位で平均化処理を行って得たミクロ濃度特性を示す。ミクロ濃度特性は、図24に示すように各印字エリア毎に一定の濃度値を有するステップ状のグラフとして表示されている。
【0144】
このように、本実施形態においては、ノズルに対応する印字エリアの濃度特性(ミクロ濃度特性)を取得しておいて、各印字エリアの濃度特性が予め保持されているリファレンス濃度特性に一致するように信号を補正することで、濃度ムラ補正が可能となる。
【0145】
例えば、図25に示すように、印字ヘッド50のi番目のノズル51iが図19に示したものと同様の着弾位置誤差を有しているとする。このとき、上述したように、両隣のノズル51i-1 及び51i+1 に対応する印字エリアの濃度プロファイルも影響を受ける。上に述べた方法で取得したミクロ濃度プロファイルを図中右側に示す。このミクロ濃度プロファイルは図24に示したものと同じである。すなわち、ノズル51iの隣のノズル51i+1 に対応するエリアにおいては、濃度がプラス方向に影響を受け、ノズル51i-1 に対応するエリアにおいては、濃度がマイナス方向に影響を受けている。
【0146】
そこで、ノズル51iの影響を受けた両隣のノズル51i+1 及び51i-1 において、このミクロ濃度特性に従って打滴率を補正して印字したものを図26に示す。図26に示すように、ノズル51i+1 の打滴率を減少させるとともに、ノズル51i-1 の打滴率を増加させるように補正することにより、図中右側のミクロ濃度特性が示すように濃度プロファイルが平坦化し、濃度ムラが補正され、すじムラが解消している。
【0147】
なお、従来はこのようなミクロ濃度特性を取得することができなかったため、このような濃度ムラ補正を行うことができなかった。
【0148】
また、上述したように本実施形態においては、ノズルピッチの少なくとも倍、より好ましくは2以上の整数倍の解像度で濃度プロファイルを取得し、ローパスフィルタリング処理後に各エリア内で平均化することによりミクロ濃度特性を求めるようにしているため、着弾位置誤差に起因するムラを高精度に補正することが可能である。
【0149】
また、特にローパスフィルタのカットオフ周波数を略ノズルピッチの逆数とすることにより、着弾位置誤差に起因するムラを高精度に補正することが可能となる。
【0150】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。この実施形態は、駆動波形によってドットサイズを変調して異なるサイズのドットを打滴することができる多値プリンタの場合に本発明を適用したものである。
【0151】
図27は、本実施形態の画像処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、特にドットサイズの個数は制限されないが、ここでは大ドット、中ドット、小ドットの3種類のドット、及びドットを打たない場合を含めて4値のプリンタを例にとって説明する。
【0152】
図27の各ステップS400〜S430は、図8の各ステップS100〜S130に対応している。本実施形態においては、濃度変換時に大中小各ドット毎の打滴率信号に変換され、また大中小ドット毎に異なるミクロ濃度特性を持ち、それに従って補正が行われる点が前述した実施形態と異なるのみで、その他の処理は前述した実施形態と同様である。
【0153】
このような多値プリンタにおいては、同じノズルから大中小ドットが打滴されるため、従来は、ドットサイズに拘わらず同一の着弾位置誤差を有するとされていたが、本出願人が行った実験により、ドットサイズが変わると着弾位置誤差に多少の変化が生じるという知見が得られた。そのため、例えば大ドットの着弾位置誤差に基づいて小ドット打滴の補正を行うと、適切にムラを補正することができない。そこで大中小ドット毎に個別に着弾位置誤差を測定し、ミクロ濃度特性を求めることによって、このような場合にも適切に濃度ムラ補正を行うことが可能となる。
【0154】
すなわち、図27のステップS400において、濃度階調の情報を持った画像信号がインクジェット記録装置10に入力され、ステップS410において、大中小各ドット毎に、濃度変換(リファレンス濃度特性の逆変換)を行い、大ドット、中ドット、小ドットそれぞれの打滴率情報に変換する。このとき、UCR(下色除去)処理やLC/LM等のライトインクへの分配処理等も同時に行うようにするのも前述した実施形態と同様である。
【0155】
次に、ステップS420において、大ドット、中ドット、小ドット毎に濃度ムラ補正処理を行い、次のステップS430において、このように濃度ムラ補正処理が施された打滴率信号に対して、大ドット、中ドット、小ドット毎に誤差拡散法などのハーフトーニング処理を行い、打滴率信号を2値化する。
【0156】
なお、大中小各ドット毎にミクロ濃度特性を求める際、各ドットサイズ毎に着弾位置誤差を求めるために、大中小ドット毎にテストパターンを作成して測定する。例えば、図28に示すように、印字ヘッド50から、大ドット用のテストパターン118a、中ドット用のテストパターン118b、小ドット用のテストパターン118cをそれぞれ打滴して、それを光学センサ例えば印字検出部24によって光学濃度を測定するようにする。
【0157】
このように、ドットサイズ毎にミクロ濃度特性を取得し、それぞれの信号を補正するようにしたため、ドットサイズ毎に異なる着弾位置誤差を適切に補正することができ、この場合にも濃度ムラによるすじムラを解消することができる。
【0158】
以上、本発明の画像記録方法及び装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
【図3】印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図4】印字ヘッドの他の例を示す平面図である。
【図5】図3中の5−5線に沿った断面図である。
【図6】本実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
【図7】本実施形態のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る濃度ムラ補正処理を含む画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】リファレンス濃度特性測定のためのチャートを示す説明図である。
【図10】リファレンス濃度特性の例を示す線図である。
【図11】ミクロ濃度特性とリファレンス濃度特性の差を示す線図である。
【図12】濃度ムラ補正画像処理を示す概念図である。
【図13】ミクロ濃度特性取得方法を示すフローチャートである。
【図14】着弾位置誤差の測定方法を示す説明図である。
【図15】同じく着弾位置誤差の測定方法を示す説明図である。
【図16】着弾位置を表す濃度プロファイルを示す説明図である。
【図17】ムラの1次元濃度プロファイルを推測する手順を示すフローチャートである。
【図18】ドットモデルの例を示す説明図である。
【図19】2次元濃度プロファイルから1次元濃度プロファイルを予測する方法を示す説明図である。
【図20】1次元濃度プロファイルの例を示す線図である。
【図21】濃度プロファイルの差分を示す線図である。
【図22】差分に対してローパスフィルタ処理を施した濃度プロファイルを示す線図である。
【図23】人間の視覚特性(VTF)を示す線図である。
【図24】平均化処理を施して得られたミクロ濃度特性を示す線図である。
【図25】濃度ムラを生じる着弾位置誤差の例を示す説明図である。
【図26】図25の例に対して補正を行った結果を示す説明図である。
【図27】本発明の他の実施形態に係る画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】図27の実施形態における着弾位置誤差の測定方法を示す説明図である。
【図29】(a)は、すじムラの発生原因を示す説明図であり、(b)は、すじムラの例を示す説明図である。
【図30】ノズルと記録紙との配置関係を示す説明図である。
【図31】吐出量誤差を示す説明図である。
【図32】従来の補正方法による結果を示す説明図である。
【図33】打滴率制御による補正を示す説明図である。
【図34】着弾位置誤差によるすじムラの発生を示す説明図である。
【図35】ミクロ濃度特性を取得する様子を示す説明図である。
【図36】ドットが他のノズルの印字エリアにはみ出した着弾位置誤差の例を示す説明図である。
【図37】同じく、ドットが他のノズルの印字エリアにはみ出した着弾位置誤差の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0160】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電素子、60…インクタンク、62…フィルタ、64…キャップ、66…ブレード、67…吸引ポンプ、68…回収タンク、70…通信インターフェース、72…システムコントローラ、74…画像メモリ、76…モータドライバ、78…ヒータドライバ、80…プリント制御部、82…画像バッファメモリ、84…ヘッドドライバ、86…ホストコンピュータ、88…モータ、89…ヒータ、90…プログラム格納部、100…濃度特性取得部、102…ムラ補正処理部、104…2値化処理部、106…リファレンス濃度特性メモリ、108…濃度プロファイル予測部、110…フィルタリング処理部、112…平均化処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する画像記録装置であって、
前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって得られたリファレンス濃度特性を記憶する手段と、
前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得する手段と、
前記取得された各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正する補正手段と、
前記補正された打滴率信号を量子化する手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記打滴率信号を補正する際、ある前記ノズルに対応する印字エリアに着弾位置誤差が発生した場合、その影響によって前記濃度特性が増加した印字エリアに対応するノズルについては打滴率を減少させ、前記濃度特性が減少した印字エリアに対応するノズルについては打滴率を増加させるように前記打滴率信号を補正することにより、前記着弾位置誤差による濃度ムラを解消するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得する手段は、
ノズルピッチの少なくとも2倍以上の実数倍の解像度で濃度データを取得する取得手段と、取得された濃度データを処理するフィルタリング処理手段と、前記フィルタリング処理されたデータを平均化する平均化処理手段と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記フィルタリング処理手段におけるフィルタは、カットオフ周波数が略ノズルピッチの逆数であるローパスフィルタであることを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する際、前記各ノズルが吐出するドットのドットサイズを変調可能な画像記録装置であって、
前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって、各ドットサイズ毎に、予め得られたリファレンス濃度特性を記憶する手段と、
前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を、各ドットサイズ毎に取得する手段と、 各ドットサイズ毎に、取得された前記各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正する補正手段と、
前記補正された打滴率信号を量子化する手段と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項6】
複数のノズルを有する印字ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させながら前記印字ヘッドから前記被記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する画像記録方法であって、
前記ノズルから前記被記録媒体上に吐出された所定のテストパターンを測定することによって、予め得られたリファレンス濃度特性を記憶しておき、
前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を取得し、
前記取得された各ノズルに対応する印字エリアの濃度特性を前記リファレンス濃度特性に一致させるように、前記ノズルの打滴率信号を補正し、
前記補正された打滴率信号を量子化することを特徴とする画像記録方法。
【請求項7】
前記ノズルに対応する印字エリアの濃度特性は、ノズルピッチの少なくとも2倍以上の実数倍の解像度で濃度データを測定し、該測定したデータをフィルタリング処理した後、平均化することによって算出されることを特徴とする請求項6に記載の画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−264069(P2006−264069A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84556(P2005−84556)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】