説明

画像記録装置

【課題】 記録濃度のキャリブレーションを無人で行う。
【解決手段】 画像記録装置(図示せず)の搬送切替部48に、主搬送路24上を搬送される通常サイズの記録紙シート35を排出するための主排出口59を形成する。主排出口59の上方に副排出口60を形成する。主搬送路24の途中から、副排出口60に向かって副搬送路61を分岐させる。搬送路の分岐点にシート搬送路を切り替える搬送切替機構84を設ける。副搬送路61上に濃度判別用センサ94を設ける。シートサイズ情報を含む各種のシート情報に基づき、露光部(図示せず)の記録濃度較正用の較正用シート90を副排出口60から排出させるとともに、較正用シート90のキャリブレーションパターン(図示せず)の濃度を測定できるようにしたので、画像記録装置の記録濃度のキャリブレーションを無人で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録材料に画像を記録する画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真フイルムに記録された画像を光電的に読み取ることで得られるデジタルの画像データや、メモリカードなどの記録媒体に記録された画像データに基づいて強度変調された記録光により感光記録紙(記録材料)に画像を露光し、現像・洗浄・乾燥処理を施して写真プリントを生成する画像記録装置(プリンタプロセサ)が広く普及している。
【0003】
このような画像記録装置では、感光記録紙の品種や環境条件などが異なると、感光記録紙への記録濃度に変動が生じてしまうため、適正な写真プリントが得られないおそれがある。そのため、例えば特許文献1に記載されているように、記録濃度補正用(較正用)のキャリブレーションパターンを記録(露光)するとともに、パターンが記録される感光記録紙の品種情報や、パターン記録時の環境情報等を記録したキャリブレーション用の較正用シート(パッチシートともいう)を予め生成しておく。また、感光記録紙が収納されるマガジンから写真プリントが排出される排出口に至る主搬送路上に、キャリブレーションパターンの濃度を測定しつつ、各種情報の読み取りが可能な濃度測定部を設けておく。
【0004】
そして、オペレータが定期的に較正用シートを濃度測定部にセットし、操作パネルなど操作してキャリブレーションの濃度測定や情報の読取りを行わせることで、キャリブレーションパターンの測定濃度と予め記憶されている既知の基準濃度との差分を算出されるため、露光部の記録濃度をキャリブレーション(較正)することができる。この際に、読み取られた品種情報から、較正用シートの品種名とマガジンにセットされている感光記録紙の品種名とを照合させることができ、さらに、読み取られた環境情報から較正用シート作成時の環境とキャリブレーション時の環境との差を補正することができるので、正確なキャリブレーションを行うことができる。その結果、適正な濃度の写真プリントが得られる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−241893号公報(第8〜第10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャリブレーションに使用された較正用シートは、そのまま濃度測定部から排出口に向けて搬送されて、排出口の近傍に設けられているトレイに送出されるのが通常であるが、このトレイには、製品として扱われる写真プリントが集積される。そのため、集積された写真プリントの中に較正用シートが混入しないように、キャリブレーションを行うときは、オペレータがトレイから較正用シートを取り除く必要があり、手間がかかってしまう。
【0007】
また、この画像記録装置が写真店などに設置されている場合には、店員(オペレータ)がキャリブレーションを実行時に較正用シートを取り除けばよいが、近年、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラで撮像した画像を簡単に写真プリントにできるように、プリンタプロセッサがコンビニエンスストア、デパート、駅などにも設置されるようになっている。この場合には、画像記録装置を管理する専属の店員やオペレータはいないので、サービスマンなどが定期的にキャリブレーションを行う必要があり、維持費が高くなってしまう。そのため、無人でキャリブレーションが行われるような画像記録装置の開発が強く望まれていた。
【0008】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、較正用シートなどの不要な記録材料の除去作業を行わなくともよいようにするとともに、キャリブレーションを自動的に行えるようにした画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート状の記録材料に画像記録を行う画像記録部と、前記記録材料が収納されるとともに、前記画像記録部に前記記録材料を供給するマガジンと、前記画像記録がなされ、製品として扱われる前記記録材料を排出する排出部と、前記マガジンから前記排出部に形成された主排出口に至る主搬送路とを備えた画像記録装置において、前記主搬送路から分岐し、前記製品として扱われない不要な前記記録材料が排出される副排出口に至る副搬送路と、前記副搬送路が前記主搬送路から分岐する分岐点に設けられ、前記記録材料を前記主搬送路に向けて搬送させる第1の状態、及び前記記録材料を前記副搬送路に向けて搬送させる第2の状態に切替可能な搬送路切替機構と、前記記録材料が前記不要なものであるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記不要な前記記録材料が前記分岐点を通過するときに、前記第1の状態にある前記搬送路切替機構を前記第2の状態に切り替える切替制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記マガジンからは少なくとも通常サイズの前記記録材料と、前記通常サイズよりも大きい大サイズの記録材料とが前記画像記録部に供給され、前記切替制御部は、前記記録材料が前記大サイズのものであるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記大サイズの記録材料が前記分岐点を通過するときに、前記第1の状態にある前記搬送路切替機構を前記第2の状態に切り替えることが好ましい。さらに、前記副排出口の搬送方向下流側に、前記不要な前記記録材料を集積させるための集積部材を設けることが好ましい。
【0011】
また、前記副搬送路に設けられ、前記記録材料に記録された画像の濃度を測定する濃度測定部と、前記マガジンから前記画像記録部に前記記録材料を供給させて、前記画像記録部で前記記録材料に記録濃度較正用のキャリブレーションパターンを記録させるとともに、前記濃度測定部よる前記キャリブレーションパターンの測定濃度と既知の基準濃度との差分を算出し、この差分算出結果に基づいて、前記画像記録部の記録濃度の較正を行うキャリブレーション制御部とを備え、前記不要な前記記録材料は、前記キャリブレーションパターンが記録された前記記録材料であることが好ましい。
【0012】
また、前記キャリブレーションを自動的に開始させる自動モードと、前記キャリブレーションを手動操作で開始させる手動モードとを有し、前記キャリブレーション制御部は、前記自動モードが選択され、且つ前記マガジンが装置本体に装着されたとき、前記装置本体の電源がONされたとき、予め設定された所定の時刻になったときの少なくともいずれか1つの条件を満たしたときに、前記記録濃度の較正を開始させることが好ましい。さらに、少なくとも前記記録材料の品種情報を含む前記マガジンの識別情報を記録した記録部材を前記マガジンに設けるとともに、前記記録部材に記録された前記識別情報を読み取る読取部を前記装置本体に設け、前記自動モードが選択されている状態で前記マガジンが装着されたときに、前記読取部に読み取られた前記識別情報が、前に装着されていた前記マガジンの前記識別情報と同じである場合には、前記キャリブレーション制御部は前記記録濃度の較正を行わないことが好ましい。
【0013】
また、前記マガジンには、複数の前記記録材料を接合したものをロール状に巻き取った記録紙ロールが収納されるとともに、前記記録紙ロールから引き出された前記記録材料を所定長にカットするカッタを備え、前記カッタによりカットされた前記記録材料の接合部分と、前記カッタによりカットされた前記記録材料の先端部分との少なくともいずれか1つが、前記不要な記録材料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像記録装置は、シート状の記録材料を供給するマガジンから画像記録部を介して、製品として扱われる前記記録材料が排出される主排出口に至る主搬送路から、前記製品として扱われない不要な前記記録材料が排出される副排出口に至る副搬送路を分岐させ、この分岐点に前記記録材料を前記主搬送路に向けて搬送させる第1の状態、及び前記記録材料を前記副搬送路に向けて搬送させる第2の状態に切替可能な搬送路切替機構を設けるとともに、前記記録材料が前記不要なものであるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記不要な前記記録材料が前記分岐点を通過するときに、前記第1の状態にある前記搬送路切替機構を前記第2の状態に切り替える切替制御部とを備えるようにしたので、前記製品として扱われる前記記録材料に、前記不要な前記記録材料が混入するのを防止できる。。その結果、オペレータが前記不要な記録材料を取り除く必要がなくなる。
【0015】
また、本発明の画像記録装置は、大サイズの前記記録材料も前記副搬送路に向けて搬送させるようにしたので、通常サイズの記録材料と大サイズの記録材料とを別々に集積させることができる。
【0016】
また、本発明の画像記録装置は、前記記録材料に記録された画像の濃度を測定する濃度測定部を前記副搬送路上に設けるとともに、前記画像記録部の記録濃度較正用のキャリブレーションパターンを記録された記録材料を副搬送路に向けて搬送させて、記録濃度の較正を行うようにしたので、キャリブレーションパターンを記録された記録材料が前記製品として扱われる記録材料に混入するのが防止される。その結果、無人の状態でも画像記録部の記録濃度のキャリブレーションを自動的に行わせることができる。
【0017】
また、本発明の画像記録装置は、マガジン装着時、装置本体の電源ON時、予め設定された所定の時刻に達した時に、前記記録濃度のキャリブレーションを自動的に行わせるようにしたので、オペレータが定期的にキャリブレーションを行う必要がなくなる。その結果、この装置を特にコンビニエンスストア、デパート、駅などの装置を専属で管理する人がいないような場所にも問題なく設置することができる。
【0018】
また、本発明の画像記録装置は、前に装着されているマガジンと同じ種類のマガジンが装着されたときには、記録濃度のキャリブレーションを行わないようにしたので、不要なキャリブレーションが実行されるのを防止できる。
【0019】
また、前記不要な記録材料として、前記記録材料の接合部分や先端部分も前記副排出口から排出されるようにしたので、これらをオペレータが取り除く手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明を実施した画像記録装置10の概略図を示したものである。図1に示すように、画像記録装置10は、大別して、画像入力装置11、画像処理装置12、プリンタ13及びプロセサ14等から構成されている。画像記録装置10を構成する各部は、図示しない配線を介して制御部15に接続されている。そして、この制御部15によって画像記録装置10全体の動作が制御される。
【0021】
画像入力装置11は、写真フイルムに記録された画像の投影光をCCDイメージセンサなどの撮像素子を用いて光電的に読み取ることで画像データを生成し、あるいはメモリカードなどの記録媒体に記録された画像データを読み出すことで、画像データを取得する。この画像データは画像処理装置12に送られ、カラーバランス補正や濃度補正などの画像処理が行われる。画像処理が行われた画像データはプリンタ13に送られる。
【0022】
プリンタ13は、カットシート状の感光記録紙(記録材料)を副走査方向(搬送方向)に搬送しながら、画像を記録するものであり、供給部17、裏印字部18、スキュー補正部19、露光部(画像記録部)20、副走査受け部21、振分部22、搬出部23等から構成されている。これら各部位には、駆動ローラとニップローラとから構成される搬送ローラ対が、感光記録紙の主搬送路(図中1点鎖線で表示)24に沿って複数設けられている。
【0023】
供給部17には、感光記録紙25をロール状に巻き取った記録紙ロール26を収納したマガジン27a,27bがセットされる。各マガジン27a,27b内には、感光記録紙25を引き出して裏印字部18に向けて搬送するための給紙ローラ対28a,28bが設けられている。ここで、本実施例では2つのマガジン27a、27bが設けられているが、マガジンは1個でもよいし、3個以上でもよい。また、2つマガジン27a、27bにそれぞれ異なる幅や厚みの感光記録紙25が収納されていてもよい。さらに、このマガジン27a、27bに収納される感光記録紙25は、複数の帯状感光記録紙25の端部同士を接合したものを用いるのが通常であり、その接合部(図示せず)には、接合部であることを示すスプライスホール(図示せず)が形成されている。
【0024】
各マガジン27a,27bには、感光記録紙25(記録紙ロール26)の厚みや材質などの品種情報を含んだマガジン識別情報(マガジンID情報)が記録されたバーコード29a,29bが設けられている。そして、供給部17には、所定位置にセットされたマガジン27a,27bのバーコード29a,29bと対面する位置に、バーコードリーダ30a,30bが設けられている。各バーコードリーダ30a,30bで読み取られたマガジンID情報は制御部15に送られる。
【0025】
給紙ローラ対28a,28bが、図示しない給紙用モータによって回転駆動されると、記録紙ロール26から感光記録紙25が引き出され、カッタ31a,31bへ向けて送り出される。カッタ31a,31bは、制御部15からの制御信号を受けて駆動し、プリントサイズに合わせて所定長だけ送り出された感光記録紙25を切断して記録紙シート35を形成する。なお、カッタを2つ設ける代わりに、単一のカッタを裏印字部18の近傍に配置してもよい。
【0026】
本実施例では、記録紙シート35は、後述する振分部22までは単列搬送されるため、それぞれのマガジン27a,27bから供給される記録紙シート35のタイミングは自動的に調整される。また、各マガジン27a,27bに収納されている感光記録紙25が同一品種である場合には、1つのマガジンからの送出が完了してから次のマガジンの送出を開始するようにしてもよい。各カッタ31a,31bにおいて、カットされた記録紙シート35は、搬送路に配置された複数の搬送ローラ対により主搬送路24に沿って、裏印字部18、スキュー補正部19、露光部20、副走査受け部21、振分部22、搬出部23の順に搬送される。
【0027】
裏印字部18は、写真の撮影日、プリント日、コマ番号、各種ID等のプリント情報を、記録紙シート35の裏面(記録面と反対側の面)に記録する裏印字ヘッド37を備える。裏印字ヘッド37としては、ドットインパクトヘッド、インクジェットヘッド、熱転写プリントヘッド等の公知のプリントヘッドが用いられる。
【0028】
スキュー補正部19は、露光部20における露光位置・角度ずれを防止するために、記録紙シート35の傾きを補正するレジスト用ローラ対39と、このレジスト用ローラ対39の前後に配置される複数の搬送ローラ対から構成される。レジスト用ローラ対39によるスキュー補正の方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、特開昭60−153358号公報や特開平11−349191号公報に記載の方法を適用することができる。
【0029】
露光部20は、露光ユニット41、副走査ローラ対42,43などから構成されている。この露光ユニット41には、図示は省略するが、周知のレーザプリンタと画像メモリとが備えられている。画像メモリには、画像処理装置12から送られてきた画像データが記憶される。レーザプリンタは、記録する画像に対応して強度変調された記録光(レーザ光)を副走査方向と直交する主走査方向に走査して、記録紙シート35に画像を露光する。副走査ローラ対42,43のニップローラは、記録紙シート35を挟持するニップ位置と記録紙シート35から離れるニップ解除位置との間で切り替え可能とされ、図示しない位置センサで記録紙シート35の先端又は後端を検出したときに、これらの位置が切り替えられる。これにより、露光中に記録紙シート35の搬送速度が変動するのが防止される。
【0030】
副走査受け部21は、露光中に露光部20から送り出される記録紙シート35の先端部を保持する複数のローラ対を備えており、露光部20による搬送速度と同一の速度にて記録紙シート35を搬送方向下流側(以下、単に下流側という)へ送り出す。副走査受け部21の各搬送ローラ対は、駆動ローラと、ニップ解除可能なニップローラとからなり、露光記録中の記録紙シート35をニップせず、その後端部の露光記録が終了するとニップローラがニップ位置に移動して、記録紙シート35を振分部22へ挟持搬送する。
【0031】
振分部22は、単列で搬送された記録紙シート35を予め定められた第1速度で搬送しながら、これをシートサイズに応じて複数列に振り分ける。例えば、通常サイズまたは小サイズの記録紙シート35が搬送されてきたときは、2列に振分けを行い、2列搬送できない大サイズの記録紙シート35aが搬送されてきたときは、そのまま単列で搬送させる。なお、主搬送路24の幅に応じて3列以上に振り分けてもよい。この振分部22は、交換可能なユニットとして構成されており、写真プリンタ10の処理速度に応じた能力のものが着脱自在にセットされる。また、搬出部23は、振分部22から送られる記録紙シート35を、プロセサ14の処理速度に対応する第2速度で、プロセサ14へ搬送する。
【0032】
プロセサ14は、現像処理部46、乾燥処理部47、搬送路切替部48、振戻部49、ソータ50等から構成され、プリンタ13から送り出された記録紙シート35は、図中1点鎖線で示した搬送路に沿ってプロセサ14内を搬送される。現像処理部46には、その上流側から順に、現像槽52、漂白定着槽53、及び水洗槽54が設けられている。現像槽52には現像液が、漂白定着槽53には漂白定着液が、また、水洗槽54には洗浄水がそれぞれ所定量貯留されている。各処理槽52〜54内を順に記録紙シート35が搬送されることで、記録紙シート35に現像・定着・洗浄の各処理が施される。
【0033】
乾燥処理部47は、各処理槽52〜54の上方に配置されており、図示しない搬送ベルトと送風ダクトとから構成されている。送風ダクトは、搬送ベルト上を搬送されている記録紙シート35に、ヒータ(図示せず)で熱せられた乾燥風を吹き付ける。これにより、水洗槽54で洗浄された際に、記録紙シート35に付着した洗浄水が除去される。乾燥処理された記録紙シート(写真プリント)35は、乾燥処理部47出口の図中上方向に設けられた搬送路切替部48へ搬送される。
【0034】
搬送路切替部48は本発明を実施したものであり、詳しくは後述するが、2列搬送されている通常サイズの記録紙シート35を振戻部49へ搬送するとともに、大サイズの記録紙シート35aや、写真プリント以外の製品にならないシートが搬送されてきたときは、搬送路の切り替えを行って、これらのシートを副搬送路61の下流側に取り付けられた集積ボックス57へ搬送する。
【0035】
振戻部49は、2列で搬送されている通常サイズの記録紙シート35を単列に振り戻して搬送するものであり、写真プリンタ10の処理能力に応じた振戻処理能力を有するもの(例えば、振戻速度が速いもの、振り戻しを行わないもの等)が交換可能にセットされる。ソータ50は、振戻部49から送られた複数の記録紙シート35をプリントジョブ毎にまとめて出力する。
【0036】
次に、図2を用いて搬送路切替部48についての説明を行う。図2に示すように、搬送路切替部48の切替部本体48aの底面には、乾燥処理部47から送られてきた記録紙シート35を受け入れる受入口58が形成されている。また、切替部本体48aの図中右側面には、主搬送路24上を搬送される通常サイズの記録紙シート35を振戻部49へ排出するための主排出口59が形成されている。さらに、この主排出口59の上方には、大サイズの記録紙シート35a(図1参照)などを集積ボックス57に排出するための副排出口60が形成されている。そして、切替部本体48a内部には、通常サイズの記録紙シート35が搬送される主搬送路24の途中から、副排出口60に向かって分岐した副搬送路62が形成されている。
【0037】
主搬送路24には、受入口58から主排出口59までの間に、第1〜第3搬送ローラ対65〜67、高速送出ローラ対69が上流側から順に配置されている。この主搬送路24は、受入口58から鉛直上方に延びており、主排出口59の付近では略水平方向へ延びるように屈曲している。各ローラ対65〜67,69は、屈曲する主搬送路24に沿って並べられている。第1〜第3搬送ローラ対65〜67は、それぞれ図示しない搬送モータによって回転駆動される第1〜第3キャプスタンローラ65a〜67aと、従動ローラである第1〜第3ニップローラ65b〜67bとからなり、各キャプスタンローラ65a〜67a及び各ニップローラ65b〜67bは、主搬送路24を挟み込むように配置されている。
【0038】
第1〜第3キャプスタンローラ65a〜67aには、図示は省略するがベルトが架けられており、ほぼ同じ周速にて回転駆動される。また、高速送出ローラ対69も、高速駆動ローラ69aと、高速ニップローラ69bとからなる。高速駆動ローラ69aは、第1〜第3キャプスタンローラ65a〜67aよりも高速回転可能になっているので、記録紙シート35を振戻部49に送り出す時間を短縮できる。ここで、高速駆動ローラ69aは、記録紙シート35の後端辺が、第3搬送ローラ対67から送りだされるまでは、第1〜第3キャプスタンローラ65a〜67aと同速度で回転される。
【0039】
副搬送路61は、本実施例では、第2搬送ローラ対66の搬送方向下流側から副排出口60に向かって分岐しており、この分岐点から副排出口60までの間に、第4〜第6搬送ローラ対73〜75が配置されている。この副搬送路61も主搬送路24と同様に、副排出口60の付近では略水平方向へ延びるように屈曲しているので、第4〜第6搬送ローラ対73〜75は、第2搬送路62に沿って屈曲するように並んで配置されている。ここで、第4〜第6搬送ローラ対73〜75としては、第1〜第3搬送ローラ対65〜67と基本的には同じものが用いられており、それぞれ、副搬送路61を挟み込むように配置された第4〜第6キャプスタンローラ73a〜75aと、第4〜第6ニップローラ73b〜75bとから構成される。
【0040】
受入口58、第1〜第3搬送ローラ対65〜67、高速送出ローラ対69、第4〜第6搬送ローラ対73〜75の間には、それぞれ上流側の搬送ローラ対から送り出された記録紙シート35の先端を、下流側の搬送ローラ対へ案内する第1〜第6搬送ガイド77〜82がそれぞれ設けられている。これら第1〜第6搬送ガイド77〜82としては、金属製及び樹脂製のなどの任意の材質のものを用いてよい。
【0041】
また、主搬送路24から副搬送路61に分岐する分岐点には、搬送路切替機構84が設けられている。搬送路切替機構84は、例えば、切替ガイド85と、切替ガイド85に固定されたアーム部材86と、アーム部材86のもう一方の端部に接続されたソレノイド87とから構成される。切替ガイド85は、樹脂材料から形成され、さらに、この切替ガイド85には、通常サイズの記録紙シート35を第3搬送ローラ対67側へ案内する第1ガイド面85aと、大サイズの記録紙シート35a(図1参照)を第4搬送ローラ対73側へ案内する第2ガイド面85bとが形成されている。ソレノイド87の駆動は、上述の制御部15(図1参照)によって制御されている。従って、制御部15がソレノイド87を駆動して切替ガイド85を回動させることで、シートの搬送路を主搬送路24と副搬送路61とに切り替えることができる。
【0042】
このように、主搬送路24の途中から副搬送路61を分岐させるとともに、シート搬送路を主搬送路24と副搬送路61とに切り替えられるようにしたので、本実施例では、大サイズの記録紙シート35aの他に、露光部20による記録紙シート35への記録濃度をキャリブレーション(較正)するための較正用シート90を副排出口60から排出させることで、写真プリントに較正用シート90が混入しないようにする。さらに、本実施例では、オペレータ(店員)などがキャリブレーションを手動操作で開始させなくとも良いように、自動的にキャリブレーションを開始させる。具体的には、記録紙シート35の品種が切り替わる可能性があるとき、つまり、新しいマガジン27a,27bがプリンタ13にセット(装着)されたときに、キャリブレーションを開始させる。
【0043】
キャリブレーションを行うために、副搬送路61上の第5搬送ローラ対74と第6搬送ローラ対75との間に、較正用シート90に記録されたキャリブレーションパターン93(図3参照)の濃度を測定するための濃度測定用センサ94を設ける。なお、濃度測定用センサ94と対面する位置にある搬送ガイド82には、濃度測定用の開口(図示せず)が形成されている。
【0044】
較正用シート90は、図3に示すように、露光部20において所定のキャリブレーションパターン93が記録された記録紙シート35を、現像・定着・洗浄・乾燥処理したものであり、キャリブレーション時に形成される。このキャリブレーションパターン93の色や形状などは特に限定はされないが、本実施例では、キャリブレーションパターン93として、シアン、マゼンタ、イエロー、グレーなどの各色を、高濃度から低濃度までの複数の矩形状の濃度パターン93aに分割したものを記録紙シート35に記録する。さらに、各濃度パターン91aは、濃度測定用センサ94で検出しやすいように、記録紙シート35の幅方向に長くなるように形成されている。例えば、本実施例では、較正用シート90(記録紙シート35)の幅L1を89mmとしたときに、各濃度パターン93aは、搬送方向の長さL2が29mm、記録紙シート35の幅方向の長さL3が50mmになるように形成されている。
【0045】
搬送されるシートが大サイズの記録紙シート35aや較正用シート90であるか否かは、マガジン27a,27b内の記録紙ロール26から感光記録紙25が引き出され、カッタ31a,31bでカットされて記録紙シートに形成された時点で既に分かっている。従って、例えば通常サイズの記録紙シート35用、大サイズの記録紙シート35a用、較正用シート90用のシートがそれぞれカッタ31a,31bでカットされて主搬送路24上に送り出されたという情報に基づいて、このシートの位置をトラッキング(追跡)することで切替ガイド85に搬送されてくるシートが通常サイズの記録紙シート35であるか、或いは大サイズの記録紙シート35aや較正用シート90であるかということを容易に判別できる。
【0046】
本実施例では、写真プリントに較正用シート90が混入しないようにするため、主搬送路24上で通常サイズの記録紙シート35と較正用シート90とを並べて搬送はしない。つまり、振分部22(図1参照)では、大サイズの記録紙シート35a以外に、キャリブレーションパターン93が露光された記録紙シート35が搬送されてきたときは、そのまま単列で搬送させる。なお、通常サイズの記録紙シート35と較正用シート90とを並べて搬送する場合には、搬送路切替部48内の搬送路切替機構84を各列毎に設ければよい。
【0047】
図2に示すように濃度測定用センサ94としては、任意のセンサを用いることができるが、本実施例では、例えばカラーCCDイメージセンサを用いる。この濃度測定用センサ94は、キャリブレーションパターン93の画像が確実に得られるように、シート幅方向の長さが主搬送路24の幅よりも長く形成されていることが好ましい。濃度測定用センサ94からの検出(画像)信号は、図示しないA/D変換部及び画像処理部によりそれぞれ画像データに変換された後、制御部15に送信される。
【0048】
図3は、制御部15の機能ブロック図を示したものである。図3に示すように、制御部15は、シート情報記憶メモリ92、切替制御部95、キャリブレーション制御部96、濃度データメモリ97、基準濃度記憶メモリ98、補正パラメータメモリ99等から構成されている。また、この制御部15には、上述の供給部17、露光部20、搬送路切替部48、濃度測定用センサ94の他に、プリンタプロセッサ10の操作や設定を行うための操作パネル100が接続されている。なお、制御部15には、上述したように、図示されている以外の画像記録装置10の各部が接続されているとともに、これら各部を制御するための制御部が設けられている。
【0049】
シート情報記憶メモリ92には、より上位のコンピュータ(図示せず)から送られてくる通常サイズの記録紙シート35用、大サイズの記録紙シート35a用、較正用シート90用のシートのシートサイズ情報を含む各種のシート情報が記憶されている。従って、シート情報記憶メモリ92に記憶されているシート情報に基づいて、カッタ31a,31bでカットされて主搬送路24に送り出された記録紙シートの種類を判別することできる。
【0050】
切替制御部95は、シート情報記憶メモリ92に記憶されたシート情報に基づいて、供給部17から送り出されたシートが通常サイズの記録紙シート35であるか、或いは大サイズの記録紙シート35aまたは較正用シート90であるかを判別するともに、その位置をトラッキングする。ここで、シートの位置は主搬送路24上を搬送されるシートの搬送速度情報より容易に追跡できる。そして、この切替制御部95は、通常サイズの記録紙シート35が切替ガイド85に搬送されてきたときには、ソレノイド87を制御してシート搬送路を主搬送路24に切り替える。また、大サイズの記録紙シート35aまたは較正用シート90が搬送されてきたときには、シート搬送路を副搬送路61に切り替える。
【0051】
キャリブレーション制御部96は、マガジン27a,27bがセットされたときに、供給部17や露光部20などを制御して較正用シート90を形成するとともに、濃度測定用センサ94より送信される画像データから算出されるキャリブレーションパターン93の各濃度パターン93aの測定濃度値に基づいて、露光部20の記録濃度をキャリブレーションする。
【0052】
マガジン27aまたはマガジン27bが供給部17内の所定位置にセットされると、バーコード29a,29bに記録されているマガジンID情報がバーコードリーダ30a,30bにより読み取られる。読み取られたマガジンID情報は、制御部15内のキャリブレーション制御部96に送信される。この際に、キャリブレーション制御部96は、新しく装着されたマガジン27a(27b)のマガジンIDが、前にセットされていたマガジン27a(27b)のマガジンIDと一致するか否かを判定する。マガジンIDが一致する場合には、マガジン27a(27b)に収納されている感光記録紙25(記録紙ロール26)の品種(厚さや材質)が同じであるということなので、キャリブレーション制御部96は、キャリブレーションを実施しない。これにより、感光記録紙25のロスを減らすことができる。
【0053】
マガジンIDが一致しない場合には、キャリブレーション制御部96は、供給部17に装着されたマガジン27a(27b)から感光記録紙25を所定長だけ引き出すとともに、カッタ30a(30b)を駆動して記録紙シート35を形成する。形成された記録紙シート35は、裏印字部18、スキュー補正部19を介して露光部20へ搬送され、所定のキャリブレーションパターン93が記録(露光)される。キャリブレーションパターン93が記録された記録紙シート35は、副走査受け部21、振分部22、搬出部23を通過して、プロセサ14に搬送される。プロセサ14に搬送された記録シート35は、現像処理部46、乾燥処理部47において現像・定着・洗浄・乾燥の各処理が施され、較正用シート90となる。この較正用シート90は搬送路切替部48に搬送され、上述したように副搬送路61上を搬送されながら濃度測定用センサ94を通過する。
【0054】
較正用シート90が濃度測定用センサ94を通過する際に検出されたキャリブレーションパターン93の画像データに基づいて、キャリブレーションパターン93の各濃度パターン93aの測定濃度値が図示しない演算処理部より算出されて、濃度データメモリ97に記憶される。キャリブレーション制御部96は、各濃度パターン93aの測定濃度値と、基準濃度記憶メモリ98に予め記憶されている各濃度パターン93aの基準濃度値との差分を算出する。ここで、基準濃度値とは、記録濃度が適正に較正された露光部20で記録(露光)されたキャリブレーションパターン93(各濃度パターン93a)の濃度を測定した既知の値である。
【0055】
キャリブレーション制御部96は、この差分算出結果に基づいて、露光部20(露光ユニット41)の記録濃度、つまり、露光を行う際に照射する記録光の照射量または照射時間などを補正するための補正値を求めて、補正パラメータメモリ99に記憶させる。この補正値は各マガジン27a,27b別に補正パラメータメモリ99に記憶される。そして、装着されるマガジン27a,27bのマガジンIDが変わったときには、算出された新しい補正値が補正パラメータメモリ99に上書きされる。露光部20は、補正パラメータメモリ99に記憶された各マガジン27a,27b毎の補正値に基づいて、記録光の照射量または照射時間などを補正するので、適正な濃度の写真プリントが得られる。
【0056】
ここで、補正値を求める際に、予め測定濃度値と基準濃度値と差分と、画像記録装置10の周囲または内部の温度及び湿度と、補正値とを対応させたデータテーブルを作成して記憶しておき、このデータテーブルより補正値を求めるようにしてもよい。この場合は、画像記録装置10の周囲または内部に温度センサや湿度センサなどを設けておく。また、記録濃度を較正する際に、記録光の照射量または照射時間などを補正する代わりに、画像処理装置12で濃度補正する際の補正量を変えるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施例では、マガジン27a,27bセット時に記録濃度のキャリブレーションを自動的に開始させるだけではなく、店員(オペレータ)が手動操作でも開始させることができる。つまり、画像記録装置10は、記録濃度のキャリブレーションを自動的に開始させる「自動モード」と、記録濃度のキャリブレーションを手動操作で開始させる「手動モード」との2つのモードを有している。そして、これらのモードの切替は、操作パネル100内のモード切替レバー102を切替操作することで切替可能である。
【0058】
モード切替レバー102により自動モードが選択されているときは、マガジン27a,27bセット時に上述の手順に従って記録濃度のキャリブレーションが開始される。また、手動モードが選択されるときは、店員(オペレータ)により操作パネル100を介して、キャリブレーション開始指示がなされない限りは、記録濃度のキャリブレーションは開始されない。手動モードを選択した場合には、店員(オペレータ)が操作パネル100上で、記録濃度のキャリブレーションの開始操作をする必要があるが、その代わりに、不必要なキャリブレーションが行われなくなるため、感光記録紙25のロスを減らすことができる。従って、画像記録装置10をコンビニエンスストア、デパートなどに設置する場合には、専属の店員がいないので自動モードに設定しておき、専属の店員がいる写真店などに設置する場合には、必要に応じて手動モードに設定しておけばよい。
【0059】
次に、本構成の画像記録装置10において、露光部20の記録濃度のキャリブレーションを開始する際の手順について、図5及び図6のフローチャートを用いて説明する。キャリブレーションのモードとして手動モードが選択されている場合には、操作パネル100上で記録濃度のキャリブレーションの開始操作がなされるまでは、キャリブレーションは開始されずに、画像記録装置10は待機状態にあるか、または、画像入力装置12(図1参照)に入力された画像データに基づいて写真プリントの作成(プリント処理)を行う。
【0060】
キャリブレーションのモードとして自動モードが選択されている場合には、供給部17にマガジン27a(27b)がセットされると、マガジン27a(27b)のバーコード30a,30bに記録されているマガジンID情報が、供給部17内のバーコードリーダ30a(30b)により読み取られる。読み取られたマガジンID情報は、制御部15内のキャリブレーション制御部96に送信される。
【0061】
キャリブレーション制御部96は、新しく装着されたマガジン27a(27b)のマガジンIDが、前にセットされていたマガジン27a(27b)のマガジンIDと一致するか否かを判定する。この際に、マガジンIDが一致する場合には、上述したように収納されている感光記録紙25(記録紙ロール26)の品種が変わらないので、キャリブレーション制御部96はキャリブレーションを実施しない。マガジンIDが一致しない場合には、キャリブレーション制御部96は図6のフローチャートに従って露光部20の記録濃度のキャリブレーションを開始する。
【0062】
キャリブレーション制御部96は、供給部17に装着されたマガジン27a(27b)から感光記録紙25を所定長だけ引き出すとともに、カッタ30a(30b)を駆動して記録紙シート35を形成する。形成された記録紙シート35は、裏印字部18、スキュー補正部19を介して露光部20へ搬送され、所定のキャリブレーションパターン93が記録(露光)される。キャリブレーションパターン93が記録された記録紙シート35は、副走査受け部21、振分部22、搬出部23を通過した後、現像処理部46、乾燥処理部47において現像・定着・乾燥の各処理が施され、較正用シート90となる。この較正用シート90は搬送路切替部48に搬送される(図1参照)。
【0063】
搬送路切替部48に搬送された較正用シート90は、受入口58から切替部本体48a内へ搬送される(図2参照)。切替部本体48a内に搬送された較正用シート90は、第1及び第2搬送ローラ対65,66により主搬送路24上を搬送される。制御部15内の切替制御部95(図3参照)はシート情報記憶メモリ92に記憶されたシート情報に基づいて、シートの種類が較正用シート90であると判別するのと同時に、その位置をトラッキングする。そして、切替制御部95は、較正用シート90が切替ガイド85まで搬送されてきたときに、ソレノイド87(搬送路切替機構84)を駆動してシート搬送路を副搬送路61に切り替える。これにより、較正用シート90は、副搬送路61上を副排出口61に向けて搬送される。
【0064】
較正用シート90は、切替ガイド85を通過した後、第4〜第6搬送ローラ対73〜75により副排出口60に向けて副搬送路61上を搬送される途中で、上述の濃度測定用センサ94を通過する。この際に、濃度測定用センサ90により得られた画像データに基づいて、図示しない演算処理部においてキャリブレーションパターン93の各濃度パターン93aの測定濃度値が算出されて、制御部15内の濃度データメモリ97に記憶される。
【0065】
キャリブレーション制御部96は、濃度データメモリ97に記憶された各濃度パターン93aの測定濃度値と、基準濃度記憶メモリ98に予め記憶されている各濃度パターン93aの基準濃度との差分を算出する。そして、キャリブレーション制御部96は、この差分算出結果に基づいて、露光を行う際に照射する記録光の照射量または照射時間などを補正するための補正値を求めて、各マガジン27a,27b別に補正パラメータメモリ99に記憶させる。また、濃度測定用センサ90を通過した較正用シート90は、副排出口60から集積ボックス57に排出されてキャリブレーションが終了する。なお、集積ボックス57に集積された較正用シート90は、定期的、例えば1週間おきに処分すればよい。
【0066】
制御部15は、キャリブレーションが終了したら、マガジン27a(27b)から感光記録紙25を所定長だけ引き出すとともに、カッタ30a(30b)を駆動して記録紙シート35の形成を開始する。そして、画像入力装置12に入力された画像データに基づいて、写真プリントの作成(プリント処理)を開始する。この際に、露光部20は、補正パラメータメモリ99に記憶された各マガジン27a,27b毎の補正値に基づいて、記録光の照射量または照射時間などを補正するので、適正な濃度の写真プリントが得られる。そして、プリント処理を継続して行って、マガジン27a(27b)を再セットした場合には、上述の処理を繰り返して行えばよい。
【0067】
ここで、本実施例のように2つのマガジン27a,27bが供給部17にセットされる場合には、一方のマガジン、例えばマガジン27aから記録紙シート35を主搬送路24に送出している最中に、他方のマガジン27bの交換作業を行うのが通常である。この場合には、マガジン27aから連続送出される写真プリント用の記録紙シート35の間に、マガジン27bから送出される較正用シート90用の記録紙シート35を割り込ませて搬送させればよい。なお、シート搬送路の切り替えを容易に行えるように、写真プリント用の記録紙シート35と較正用シート90用のシートとは、所定の間隔があけられた状態で搬送されることが好ましい。
【0068】
そして、搬送切替部48では、シート判別用センサ92の検出結果に基づいて、較正用シート90が搬送されてきたときにのみシート搬送路を主搬送路24から副搬送路61に切り替えるので、写真プリントへの較正用シート90の混入は防止される。また、濃度測定用センサ92の検出結果に基づいて求められたマガジン27bの補正値は、補正パラメータメモリ99記憶される。その結果、マガジン27aの送出完了後に、連続して記録紙シート35をマガジン27bから送出させてプリント処理を行うことができる。
【0069】
以上のように、主搬送路24の途中から副搬送路61を分岐させるとともに、搬送路切替機構84でシート搬送路を主搬送路24と副搬送路61とに切替可能にし、製品にならない不要な較正用シート90を副排出口60から排出させるようにしたので、写真プリントに較正用シート90が混入するのを防止できる。さらに、キャリブレーションを行うたびに較正用シート90を取り除かなくてもよいので、店員(オペレータ)の作業の手間を減らすことができるとともに、キャリブレーション終了後にプリント処理を連続して開始させることができる。その結果、無人の状態でキャリブレーションとプリント処理とを自動的、且つ連続的に行わせることができる。
【0070】
また、新しいマガジン27a,27bが供給部13にセットされたときに、自動的にキャリブレーションを行うようにしたので、店員やオペレータなどがキャリブレーションを手動操作で開始させる必要がなくなる。その結果、この画像記録装置10をコンビニエンスストア、デパート、駅など画像記録装置10を専属で管理する人がいないような場所にも問題なく設置することができる。
【0071】
なお、本実施例では、供給部13にマガジン27a(27b)がセットされたときに、自動的にキャリブレーションを開始させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、画像記録装置10の電源がONされたときや、予め設定された時刻になったときにキャリブレーションを開始させるようにしてもよい。
【0072】
画像記録装置10の電源をONしたときにキャリブレーションを開始する場合について、図7のフローチャートを用いて説明する。図7に示すように、キャリブレーションのモードとして自動モードが選択されている場合には、画像記録装置10の電源がONされるのと同時に、キャリブレーション制御部96によりキャリブレーションが開始される。キャリブレーション開始以降の手順、及びキャリブレーションのモードとして手動モードが選択されている場合については、図5及び図6で説明した内容と変わらないので、ここでは説明を省略する。画像記録装置10が写真店などに設置されている場合には、夜間や休業日などには電源をOFFしているのが通常であるため、この方法を用いることで最低でも1営業日に1回はキャリブレーションを行わせることができる。
【0073】
次に、予め設定された時刻になったときにキャリブレーションを開始させる場合について、図8のフローチャートを用いて説明する。この場合には、操作パネル100を介してキャリブレーションを開始する時刻を予め設定して、制御部15内の任意のメモリに記憶しておく。なお、キャリブレーションを開始する時刻としては、プリント処理の処理量が少ない時間帯が好ましい。そして、図8に示すように、キャリブレーションのモードとして自動モードが選択されている場合には、キャリブレーション制御部95は、図示しない時計回路からの現在の時刻が予め設定された時刻になった時に、キャリブレーションを開始する。キャリブレーション開始以降の手順、及びキャリブレーションのモードとして手動モードが選択されている場合については、図5及び図6で説明した内容と変わらないので、ここでは説明を省略する。画像記録装置10がコンビニエンスストアなどに設置されている場合には、ほぼ24時間電源をONしているのが通常であるため、この方法を用いることで最低でも1日に1回はキャリブレーションを行わせることができる。
【0074】
また、これらキャリブレーション開始の条件を組み合わせて、マガジン27a(27b)セット時、電源ON時、予め設定された時刻に達した時などの少なくともいずれか1つの条件を満たしたときにキャリブレーションを開始させるようにしてもよい。この場合は、より正確に露光部20の記録濃度をキャリブレーションすることができる。
【0075】
なお、本実施例では、大サイズの記録紙シート35aの他に、較正用シート90を副排出口60から排出させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものでなく、製品にならない不要なシート(感光記録紙25)、例えば図示は省略するが、記録紙シート25が形成される際にカッタ30a,30bによりカットされる感光記録紙25の接合部分(スプライスシート)や、記録紙ロール26から感光記録紙25が引き出される際に同じくカットされる感光記録紙25の先端部分(カブリシート)などを副排出口61から排出させるようにしてもよい。この場合にも、切替制御部95はシート情報記憶メモリ92に記憶されているシート情報に基づいて、スプライスシートやカブリシートの位置をトラッキングすることで、これらのシートが切替ガイド85まで搬送されてきた時にシート搬送路を副搬送路61に切り替えることができる。
【0076】
また、本実施例ではシート情報に基づいて、供給部17から送り出されたシートの種類を判別するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば切替ガイド85の搬送方向上流側にカラーCCDイメージセンサ等のシート判別用センサを設け、このセンサからの検出信号に基づいてシートの種類を判別するようにしてもよい。
【0077】
なお、大サイズのシートのプリントを行う場合には、この大サイズの写真プリントが不要シートの集積ボックス57に集積されてしまうため、コンビニエンスストア等での自動プリントでは、大サイズシートのプリントが選択されないようにしておくことが好ましい。また、プリントを制限する代わりに不要シートが排出される副排出口60に切替(分岐)ガイド(図示せず)等を設けて、大サイズプリントのみ集積ボックス57の上側に排出させるようにしてもよい。さらに、集積ボックス57の代わりに開放型のトレイが設けられていてもよい。
【0078】
また、本実施例では、濃度測定用センサ94は、副搬送路61上に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、乾燥部47と搬送路切替機構84との間に設けられていてもよい。
【0079】
なお、本実施例では、感光記録紙25はロール状に巻き取られた記録紙ロール26の形態でマガジン27a,27b内に収納されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、予め所定のサイズにカットされた感光記録紙25を収納するようにしてもよい。
【0080】
また、本発明は、写真プリントを作成する画像記録装置に限定されるものではなく、シート状の記録材料に画像を記録する各種プリンタ、例えば、感熱プリンタ、熱転写プリンタ、インクジェットプリンタなどにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明を実施した画像記録装置の概略図である。
【図2】同画像記録装置の概略図である。
【図3】同画像記録装置の露光部の記録濃度をキャリブレーションする際に作成される較正用シートの概略図である。
【図4】同画像記録装置の制御部の機能ブロック図である。
【図5】同露光部の記録濃度のキャリブレーションを開始する際の手順を示したフローチャートである。
【図6】同露光部の記録濃度のキャリブレーションの手順を示したフローチャートである。
【図7】同画像記録装置の電源をONしたときに、キャリブレーションを開始する際の手順を示したフローチャートである。
【図8】予め設定された時刻になったときに、キャリブレーションを開始する際の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
10 画像記録装置
15 制御部
17 供給部
20 露光部
24 主搬送路
27a,27b マガジン
29a,29b バーコード
30a,30b バーコードリーダ
48 切替搬送部
59 主排出口
60 副排出口
61 副搬送路
84 搬送路切替機構
90 較正用シート
92 シート情報記憶メモリ
94 濃度測定用センサ
95 切替制御部
96 キャリブレーション制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録材料に画像記録を行う画像記録部と、前記記録材料が収納されるとともに、前記画像記録部に前記記録材料を供給するマガジンと、前記画像記録がなされ、製品として扱われる前記記録材料を排出する排出部と、前記マガジンから前記排出部に形成された主排出口に至る主搬送路とを備えた画像記録装置において、
前記主搬送路から分岐し、前記製品として扱われない不要な前記記録材料が排出される副排出口に至る副搬送路と、
前記副搬送路が前記主搬送路から分岐する分岐点に設けられ、前記記録材料を前記主搬送路に向けて搬送させる第1の状態、及び前記記録材料を前記副搬送路に向けて搬送させる第2の状態に切替可能な搬送路切替機構と、
前記記録材料が前記不要なものであるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記不要な前記記録材料が前記分岐点を通過するときに、前記第1の状態にある前記搬送路切替機構を前記第2の状態に切り替える切替制御部とを備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記マガジンからは少なくとも通常サイズの前記記録材料と、前記通常サイズよりも大きい大サイズの記録材料とが前記画像記録部に供給され、
前記切替制御部は、前記記録材料が前記大サイズのものであるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記大サイズの記録材料が前記分岐点を通過するときに、前記第1の状態にある前記搬送路切替機構を前記第2の状態に切り替えることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記副排出口の搬送方向下流側に、前記不要な前記記録材料を集積させるための集積部材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記副搬送路に設けられ、前記記録材料に記録された画像の濃度を測定する濃度測定部と、
前記マガジンから前記画像記録部に前記記録材料を供給させて、前記画像記録部で前記記録材料に記録濃度較正用のキャリブレーションパターンを記録させるとともに、前記濃度測定部よる前記キャリブレーションパターンの測定濃度と既知の基準濃度との差分を算出し、この差分算出結果に基づいて、前記画像記録部の記録濃度の較正を行うキャリブレーション制御部とを備え、
前記不要な前記記録材料は、前記キャリブレーションパターンが記録された前記記録材料であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つ記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記キャリブレーションを自動的に開始させる自動モードと、前記キャリブレーションを手動操作で開始させる手動モードとを有し、
前記キャリブレーション制御部は、前記自動モードが選択され、且つ前記マガジンが装置本体に装着されたとき、前記装置本体の電源がONされたとき、予め設定された所定の時刻になったときの少なくともいずれか1つの条件を満たしたときに、前記記録濃度の較正を開始させることを特徴とする請求項4記載の画像記録装置。
【請求項6】
少なくとも前記記録材料の品種情報を含む前記マガジンの識別情報を記録した記録部材を前記マガジンに設けるとともに、前記記録部材に記録された前記識別情報を読み取る読取部を前記装置本体に設け、
前記自動モードが選択されている状態で前記マガジンが装着されたときに、前記読取部に読み取られた前記識別情報が、前に装着されていた前記マガジンの前記識別情報と同じである場合には、前記キャリブレーション制御部は前記記録濃度の較正を行わないことを特徴とする請求項5記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記マガジンには、複数の前記記録材料を接合したものをロール状に巻き取った記録紙ロールが収納されるとともに、
前記記録紙ロールから引き出された前記記録材料を所定長にカットするカッタを備え、 前記カッタによりカットされた前記記録材料の接合部分と、前記カッタによりカットされた前記記録材料の先端部分との少なくともいずれか1つが、前記不要な記録材料であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つ記載の画像記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−1049(P2006−1049A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177312(P2004−177312)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】