説明

画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラム

【課題】複数枚の搬送原稿の両面画像を読取る場合に、画像データを記憶する空き容量が十分でない場合でも原稿の読み取りを行う。
【解決手段】搬送される原稿の表面を読取り後反転搬送される原稿の裏面を読取る第1の読取モードと、搬送される1枚目及び2枚目の原稿の表面を読取り後反転搬送される1枚目及び2枚目の原稿の裏面を読取る第2の読取モードとを有する画像読取装置に、読取開始前の記憶手段の空き容量が第2の読取モードまたは第1の読取モードによる原稿読取を実行するための空き容量以上であるかどうかを判断する判断工程と、第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は第2の読取モードに決定し、判断工程が第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断し、かつ、第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、第1の読取モードに決定する制御工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置、画像読取装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機に搭載される画像読取装置は、搬送される原稿を読み取り、読み取った画像データを画像処理して記録部で印刷したり、通信部を介してファクシミリ送信したりできるように構成されている。
このような画像読取装置には、原稿を重ねて置くと自動的に読み取り部に1枚ずつ搬送する自動原稿送り装置が備えているものがある。
【0003】
一方、自動原稿送り装置を備えていない画像読取装置では、ユーザが1枚ずつ原稿を置いて読み込ませなければならないため、非常に手間がかかる。そのため、自動原稿送り装置はユーザにとって生産性の向上をもたらす、非常に便利な装置である。
【0004】
自動原稿送り装置の中には、入力された原稿の両面を自動的に読み取る自動両面原稿送り機能が付いているものもある。自動両面原稿送りの方法としては、最初に、原稿の表面を読み取る。次に、読み取り部内で原稿を反転し、原稿の裏面を読み取る。このままだと入力した原稿位置と逆になるので、裏面読み取り後に再度読み取り部内で原稿を再反転し、原稿の向きを元に戻して排紙する。
【0005】
上記のように自動両面原稿送り装置は、ユーザの手間をかけることなく自動的に原稿の両面を読み取るため有益な機能である。しかし、表面読み取り後の原稿反転動作時や、裏面読み取り後の原稿再反転時の間などで、原稿を読み取れない期間ができてしまう。そのため、両面原稿読み取り速度は、片面原稿読み取り速度と比べて遅くなる。
【0006】
このように自動原稿送り装置での、片面原稿読み取り時と、両面原稿読み取り時に読み取りパフォーマンスの差が出ることに起因する両面読み取り時の読み取り性能低下を改善する下記特許文献1が提案されている。この特許文献1に記載される画像読取装置は、自動原稿送り装置の紙搬送経路と比較して、同時に複数枚読み取れるほど小さい原稿を読み取る場合に以下のように読取制御を実行する。具体的には、原稿の表面を先に連続して読み取り、その後で原稿の裏面を連続して読み取ることにより、前述の原稿反転時に読み取られない時間を少なくするようにして、両面の読み取り性能を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−327728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の原稿の読み取り方法では、1枚目の印刷物を印刷するまでに、先に読む複数枚の原稿の表面の画像を記憶しておかなければならない。そのため、先に読む複数枚の原稿の表面の画像を記憶するための十分な空き容量がメモリに存在しないときには、原稿の読み取りを実行することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、複数枚の原稿を搬送して原稿の両面画像を読取る場合に、読み取る画像データを記憶するための空き容量が十分でない場合でも原稿の読み取りを行える仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の画像読取装置は以下に示す構成を備える。
【0011】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送または反転搬送させる搬送手段と、前記搬送手段により搬送される原稿の表面または前記搬送手段により反転搬送される裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、前記読取手段が前記搬送手段により搬送される原稿から読み取る画像データを記憶する記憶手段と、前記読取手段は、前記搬送手段により搬送される原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される原稿の裏面を読取る第1の読取モードと、前記搬送手段により搬送される1枚目および2枚目の原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される1枚目および2枚目の原稿の裏面を読取る第2の読取モードとを有する場合に、前記読取手段による原稿読取開始前の前記記憶手段の空き容量が前記第2の読取モードまたは前記第1の読取モードによる原稿読取を実行するための空き容量以上であるかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第2の読取モードに決定し、前記判断手段が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断し、かつ、前記判断手段が前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第1の読取モードに決定する制御手段と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数枚の原稿を搬送して原稿の両面画像を読取る場合に、読み取る画像データを記憶するための空き容量が十分でない場合でも原稿の読み取りを行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像読取装置を含む画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の外観を示す図である。
【図3】図1に示した読取部に読み取らせる原稿の搬送状態を説明する断面図である。
【図4】本実施形態を示す画像読取装置の搬送経路を説明する断面図である。
【図5】図4に示した画像読取装置の原稿搬送状態を説明する断面図である。
【図6】本実施形態を示す画像読取装置による原稿読取モードを説明する図である。
【図7】本実施形態を示す画像読取装置の制御手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を示す画像読取装置を含む画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【0015】
図1において、CPU101はシステムの制御部であり、装置全体を制御する。ROM102は、CPU101が実行する制御プログラムを格納する。SRAM103は、オペレータが登録した設定値や装置の管理データ等や各種ワーク用バッファ等を格納する。DRAM104は、画像データやプログラム制御変数等を格納するためのものである。ラインイメージセンサを備える読取部105は、搬送される原稿の画像を所定位置で読み取り、バイナリデータに変換する。本画像形成装置では、読取部105を用いて、読み取った画像データを記録部106で印刷するコピー機能を実行可能に構成されている。
【0016】
なお、CPU101は、DRAM104は、読取部105が読み取る原稿を基準として3面分の画像データを記憶できる程度の空き容量を確保できるかどうかを判断する。具体的には、後述する図7に示す手順に従いDRAM104の空き容量が第1のメモリ容量以上であるとCPU101は判断する。ここで、第1のメモリ容量とは、読取部105の読取モードにより異なる。例えば読取部105がカラー原稿を読取可能な場合と、モノクロ原稿のみを読取可能な場合は、基準となる第1のメモリ容量は異なる。
【0017】
また、読取基準は、標準原稿として、例えばA4サイズ、等倍読取り等を基準とするが、他の基準を組み合わせてもよい。また、第2のメモリ容量とは、第1のメモリ容量よりも少ないメモリ容量であって、少なくとも上記原稿を2面分記憶できる容量とする。なお、操作部107よりユーザが読み取るべき原稿の解像度を指定する場合には、その空き容量も異なる値として上記判断処理が実行される。
【0018】
読取部105では、原稿を自動的に読取部105が配置される位置に搬送する自動原稿送り装置を備える。さらに、原稿を自動原稿送り装置内の反転搬送するための搬送経路を用いて原稿の読取面を反転させ、原稿の表面と裏面を読み取ることのできる自動両面原稿送り装置を備える。
【0019】
記録部106は、画像データを、記録紙に出力する。記録紙へは画像データを両面に印字することも可能である。操作部107は、機器内の情報を表示するユーザとのインタフェース部として機能する。ユーザは、操作部107を介して各種装置に対する設定や設定内容の確認等を行うことが可能に構成されている。
また、ユーザは、操作部107を用いて設定された各種の設定を変更することも可能に構成されている。ここで、ユーザは、実行する機能に合わせて複数の設定項目を設定する。
【0020】
また、操作部107を用いて変更した変更情報はSRAM103に保存される。画像処理部108は、読取部105が読み取る画像データに対して符号化処理、あるいは復号化処理を行う。なお、CPU101は、データバス109を介して繋がっているデバイスから画像データを取得したり、取得した画像データを記録部106に転送したりできるように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態において、CPU101は、原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送または反転搬送させる搬送手段の駆動を制御する。この際、CPU101は、搬送経路上に設けられる原稿を搬送するためのローラの駆動を制御して、原稿の搬送あるいは反転搬送を制御する。この際、CPU101は、搬送される原稿の表面または前記搬送手段により反転搬送される裏面の画像を所定位置で読み取り、DRAM104上に読取部105が搬送される原稿から読み取る画像データを記憶する。
【0022】
また、読取部105は、後述するように搬送される原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される原稿の裏面を読取る第1の読取モードを備える。さらに、搬送される1枚目および2枚目の原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される1枚目および2枚目の原稿の裏面を読取る第2の読取モードとを有する。
図2は、図1に示した画像形成装置の外観を示す図である。
【0023】
図2において、原稿は、読取部105の原稿搬送装置の原稿台上にセットされる。以下、原稿台にセットされた両面原稿を読み取って複写するコピー動作の一手順を説明する。コピー動作は、読取部105に原稿が置かれて、操作部からのコピー動作指示を受け付けると、原稿を片面ずつ読取り、読み取った画像データを記録部106より印刷することで実現される。読取部105には自動原稿搬送装置を備えており、複数の搬送経路を用いて複数枚の両面原稿を自動的に給紙して搬送および反転搬送することで原稿の両面画像を読み取る。そして、読取部105は、各面について読み取った画像データを記録部106に出力することで、両面複写された出力結果を得ることができる。
【0024】
図3は、図1に示した読取部105に読み取らせる原稿の搬送状態を説明する断面図である。本例は、原稿台から1枚ずつ分離される両面原稿について、表面、裏面の順に読取部105で画像を読み取らせる例である。
【0025】
図3において、自動原稿搬送装置上で表面を上にした状態の2枚の原稿を原稿台上に重ねて載置し、ユーザが操作部107から両面読み取りを指示すると、CPU101は読取部105と記録部106の動作を以下のように制御する。
【0026】
まず、1枚目の原稿P1が搬送経路上を読取部105が配置される方向に搬送される(S201)。1枚目の原稿は表面を下にした状態で読取部105の上を通過し、1枚目の表面がスキャンされる(S202)。なお、本例の読取部105の上は、プラテンガラス等が配置され、その上を原稿P1の表面が下面となる状態で読取部105の上を通過するように搬送される。
【0027】
このようにして1枚目の原稿P1の表面の読み取りが終わると、原稿P1の裏面を読み取るために原稿P1を反転搬送経路を用いて反転する。そのため、一旦原稿P1を先に送り反転準備に入る(S203)、(S204)。次に、1枚目の原稿P1の裏面を読取部105で読み取るため、反転した原稿P1を再度読取部105に向けて送る(S205)。この時、原稿P1は裏面が上になっており、原稿の後端が前に来る向きで搬送されることになる。原稿P1は搬送経路に沿って送られ、裏面を下にした状態で再度読取部105上を通過し原稿P1の裏面が読み取られる(S206)。
【0028】
これで原稿P1に対する表面、裏面の読み取りが終了するが、この状態のまま原稿P1を排紙すると、原稿台に置かれたページの順番と逆の状態で排紙されるため、排紙前に再度原稿P1の反転搬送を行う。
【0029】
そのため、再度原稿P1を先に送り反転準備に入る(S207)。そして同様の搬送経路を通り、再反転する(S208)。最後に排紙の搬送経路を通過して原稿P1を排紙する(S209)。1枚目の原稿P1の表面、裏面の画像を読み取り終えると、2枚目の原稿P2を読み始める(S210)。2枚目の原稿P2に対する両面読み取りの動作は(S210)〜(S217)に示した通りであるが、1枚目の原稿P1と同じ動作であるため説明は省略する。
【0030】
このように従来の自動原稿搬送装置での両面読み取りは、表面の読取り、原稿反転、裏面の読取り、原稿再反転、排紙という順に動作することで実現している。前述のような自動原稿搬送装置では、両面読み取り時に読取部105が動作しない期間が存在してしまうため、両面読み取り時の効率が低下してしまう。
【0031】
一方、片面読取時には、自動原稿搬送装置から次々に原稿が搬送されてくるため、読取部は常に連続して動作することができる。これは、読取部105で原稿をスキャンしている時に、次の読み取り原稿が読取部の直前まで事前に搬送できているため、間隔を詰めて読取部105で原稿を読み取ることができる。
【0032】
しかし、両面読み取り時では、表面を読み取っている場合、次の読取面は同じ原稿の裏面ということになってしまうため、次の読み取り原稿をあらかじめ読取部105の直前まで搬送できない。そのため、読取部105で表面の画像を読み取ってから、反転し、裏面の画像を読み取り始める期間(S203)〜(S205)が大きく開いてしまうため、両面読み取り時の性能は片面読み取り時よりも遅くなってしまう。
【0033】
さらに前記の例では、裏面の画像を読み終えた後、原稿を再反転する期間(S206)〜(S208)においても、2枚目の原稿の通る搬送パスと同じ経路を使用するため、再反転中は次の原稿を読み込めなくなっている。
【0034】
この部分においても両面読み取り時の性能は片面読み取り時よりも遅くなってしまう。このような両面読み取り時の短所に対して効率を高めるため、読み取り順序を変えて読み取ることにより効率を高める両面読み取りに対応した自動原稿搬送装置が提案されている。
その一例の自動原稿搬送装置を図4に示す。
【0035】
図4は、本実施形態を示す画像読取装置の搬送経路を説明する断面図である。本例に示す自動原稿搬送装置では、2つの搬送経路を持っており、その搬送経路をフラッパ301、302を使用して切り替えている。
【0036】
第一の搬送経路としては、まず、原稿台300に原稿を置いて、操作部107より読取開始を指示すると、CPU101は、ローラ310、311、312を駆動して原稿を搬送し、読取部105を通過するときに原稿の画像の読み取りを行う。その後、CPU101は、ローラ314を駆動して原稿を搬送し、フラッパ301を下にして、上側の搬送経路350を通す動作を行い、さらに、CPU101は、ローラ315を駆動して原稿を上部反転出口303に一旦退避する。
【0037】
反転後、CPU101は、ローラ315、311、312を駆動して原稿を搬送し、読取部105を通過させて裏面の画像を読み取らせる。そして、CPU101は、今度はフラッパ301を上向きした状態で、フラッパ302を上向きにして下の搬送経路351を通し、さらにCPU101は、ローラ317を駆動して原稿を下側の再反転出口305に再度退避する。
最後に、CPU101は、ローラ317、316を駆動して、下部反転出口304から排紙させる。
【0038】
一方、第二の搬送経路としては、まず原稿台300に原稿を置いて、操作部107より読取開始を指示すると、CPU101は、ローラ310、311、312を駆動して原稿を搬送し、読取部105を通過させて画像の読み取りを行う。その後、CPU101は、ローラ314を駆動し、フラッパ301を上向とし、フラッパ302を下向きとして、下側の搬送経路352を通す動作を行い、さらに、CPU101は、ローラ316を駆動して下部反転出口304に原稿を一旦退避する。
【0039】
反転後、CPU101は、ローラ315、311、312を駆動し、読取部105を通過させて原稿の裏面側の画像を読み取らせる。そして、CPU101は、フラッパ301を上向きとし、フラッパ302を上向きとして、下の搬送経路351を通し、さらに、ローラ317を駆動して原稿を下側の再反転出口305に再度退避する。
【0040】
最後に、CPU101は、ローラ317、316を駆動し、下部反転出口304から原稿を排紙する。このような図4で示された、高効率の自動原稿送り装置における、両面読み取りの動作に関して図5を用いて説明する。
【0041】
図5は、図4に示した画像読取装置の原稿搬送状態を説明する断面図である。なお、読取部105は、S401にのみ記載し、他の図においては省略する。以下、自動原稿搬送装置で2枚の原稿を両面読み取りした時の動作例を説明する。
【0042】
図5において、2枚の原稿を重ねて、原稿の表面を上にした状態で原稿台に載置して、操作部107から設定した条件に従い、原稿の両面読み取りの開始を指示する。すると、CPU101は、まず、1枚目の原稿P1を搬送経路に沿って搬送する(S401)。
【0043】
1枚目の原稿P1は表面を下にした状態で読取部105を通過し、1枚目の表面の画像が読み取られる(S402)。1枚目の原稿P1の表面の画像の読み取りが終わると、裏面の画像を読み取るために原稿を反転する。そのため、CPU101は、一旦原稿P1を先に送り反転準備に入る。この時、原稿P1は上側の搬送経路350を通るようにフラッパ等を制御する。
【0044】
また、この時点で2枚目の原稿P2の表面を読み取るために、2枚目の原稿を送る動作を始める(S403)。このように1枚目の原稿P1を先に送りつつ、2枚目の原稿P2の表面の画像を読取部105で読み取る(S404)。
【0045】
次に1枚目の原稿P1の裏面を読取部105で読み取るため、CPU101は、反転した原稿P1を再度読取部105に向けて搬送する制御を行う。さらに、CPU101は同時に、2枚目の原稿P2も裏面側の画像を読む取るために先に送り反転する制御を行う。この時2枚目の原稿P2は下側の搬送経路352を通るように制御される。
この時、1枚目の原稿P1は裏面側が上になっており、原稿P1の後端が前に来る向きで搬送する(S405)。
【0046】
1枚目の原稿P1は搬送経路に沿って搬送され、裏面側を下にした状態で再度読取部105を通過させて裏面側の画像を読み取る。この時、CPU101は、2枚目の原稿P2は先に送られて反転する制御を行う(S406)。これで1枚目の原稿P1の表面、裏面の読み取りが終了したので、CPU101は、原稿P1を再反転する制御を行う。
【0047】
1枚目の原稿P1は読取部105を通った後、一番下の搬送経路351を通り再反転する。同時に、CPU101は、2枚目の原稿P2は裏面が上で、原稿P2の後端が前に来る向きで搬送され裏面側の画像を読み取る制御を開始する(S407)。
これにより、1枚目の原稿P1は再反転の搬送経路内で反転される。同時に2枚目の原稿P2は読取部105で裏面の画像が読み取られる(S408)。
【0048】
その後、1枚目の原稿P1は反転後排紙動作に入り、同時に2枚目の原稿P2はそのまま再反転するための搬送経路に入り、反転する制御を行う(S409)。その後は、1枚目の原稿P1は自動原稿搬送装置から排紙され、2枚目の原稿P2も反転された後、排紙される(S410)〜(S412)。
【0049】
このように高効率な自動両面原稿搬送装置を備える画像読取装置では、原稿の反転期間に次の原稿を読み込ませることで、高い読取効率を実現している。図2に示した自動両面原稿搬送装置では、原稿の読み取られる順番として、1枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の表面、2枚目の裏面、3枚目の表面、3枚目の裏面‥‥という順番で読まれることになる。
【0050】
しかし、図4に示す画像読取装置では、原稿の読み取られる順番として、1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の裏面、3枚目の表面、4枚目の表面‥‥という順番で読み取られる。ここで、この読み取り順序の変化について課題が発生する。
【0051】
例えば、両面原稿を両面印刷する場合を考える。この場合、出力される印刷物は両面印刷であるため、1枚目の印刷物には1枚目の原稿P1の表面と裏面が印刷されていることになる。そのため、1枚目の印刷準備が整うのは、1枚目の原稿P1の表面の画像データと1枚目の原稿P1の裏面の画像データがそろった時となる。この場合図2に示した画像読取装置では、1枚目の表面、1枚目の裏面と読まれた段階で1枚目の印刷に必要なデータが揃うため印刷準備がこの時点で整うことになる。
【0052】
しかし、高効率な画像読取装置の場合は、1枚目の原稿P1の表面、2枚目の原稿P2の表面、1枚目の原稿P1の裏面と、3ページ分の画像データが読み込まれないと、1枚目の印刷に必要な画像データが揃わない。このため、高効率な画像読取装置では、両面原稿を両面印刷する場合、原稿の読み取り順の違いから、少なくとも3ページ分(1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面)以上のメモリが必要となってくる。
【0053】
本実施形態では、DRAM104上に読取部105が読み取る画像データを記憶するメモリ領域が確保される。なお、メモリ領域は、画像形成装置の機能処理状態の経過に応じて変動するので、常に3面分の画像データを記憶するメモリ領域を確保できるとは限らない。そこで、本実施形態では、後述する図7に示す制御手順に従い読取モードを第1の読取モードまたは第2のモードのいずれか、あるいは第1の読取モードでの読取開始可能な状態に遷移するまで待つ等のいずれかの処理をCPU101が実行する。
【0054】
図6は、本実施形態を示す画像読取装置による原稿読取モードを説明する図である。本例は、図4に示した画像読取装置において、設定可能な2つの原稿読取モードを説明する例である。また、本例は図2、図4に示した読取部にある画像読取装置に4枚の原稿を載置した状態で、両面読み取りをした場合の例を示したものである。
以下、4枚の両面原稿の表面を上にして4枚重ねて置いた場合の読み取り順序について各読取モードに対応づけて説明する。
【0055】
まず、画像読取装置が図2に示した画像読取装置である場合における読み取り順を低速読みモード(第1の読取モード)501とする。低速読みモードでは、図6に示すように1枚ずつ原稿を搬送し、反転して読み取る。
そのため、原稿の読取の順序は、1枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の表面、2枚目の裏面、3枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の表面、4枚目の裏面という順序になる。
次に、図4に示した画像読取装置に最適な読取モードについて説明する。
【0056】
図4に示した画像読取装置においては、原稿の読み取りの順序を第1の読取モードとは異なるモードに代える。本例は、第1の原稿P1の原稿反転中に原稿P2の画像を読み取るため読取効率を上げる。そこで、この読取モードを高速読みモード(第2の読取モード)502と呼ぶ。この例では2枚の高速読みモードの例を示したものである。
【0057】
2枚の高速読みモード502では、原稿P1の反転中にもう1枚の原稿P2を読み取る。そのため、読み取り順序としては図6に示す通り、1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の裏面、3枚目の表面、4枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の裏面という順序になる。このように、本実施形態に示す画像読取装置においては、読み取り順および原稿の搬送経路の異なる2つの読取モードで原稿の読み取りを行うことが可能に構成されている。
【0058】
図7は、本実施形態を示す画像読取装置の制御手順を説明するフローチャートである。本例は、画像読取装置が備えるメモリであって、読取部105が読み取る画像データを記憶するメモリの空き容量を判断して、読取部105の読取モードを決定する処理例である。なお、各ステップは、CPU101がROM102から読み出す制御プログラムを実行することにより実現される。以下、CPU101が第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、読取部105の読取モードを第2の読取モードに決定する処理並びに、読取手段の読取モードを第1の読取モードに決定する処理を説明する。また、本処理は、CPU101が原稿台に載置された原稿の原稿読取開始前に読取モードを決定等する処理に対応する。
【0059】
ユーザが操作する操作部107より、原稿台に載置された複数枚の原稿に対する読取開始指示をCPU101が受け付けると、DRAM104のメモリ空き容量が十分かどうかを判断する(S701)。つまり、CPU101は、後述するように例えばA4原稿で3枚分の画像データを記憶できる量(第1のメモリ空き容量)分、DRAM104に空き容量を確保できるかどうかを判断する。第1のメモリ空き容量は、予め定められたサイズであってもよいし、CPU101が、検知した原稿のサイズやカラー/モノクロの判定結果、、操作部107で設定された読取解像度等の読取条件に従って、第1のメモリ空き容量を計算してもよい。
【0060】
本実施形態は、図4で説明したようにコピー動作での両面読み取り両面印字の場合、CPU101は、所定サイズの原稿、例えばA4サイズの原稿で3面以上の画像データを蓄積するだけのメモリ空き容量があるかにより判断する。なお、標準的な解像度で、かつ、等倍であることを条件として付加してもよい。
【0061】
ここで、CPU101がDRAM104のメモリ空き容量が十分であると判断した場合は、読取部105に対する読取モードを高速読みモード502と決定し(S702)、搬送される原稿P1、P2の読取処理を行い(S703)、本処理を終了する。
【0062】
なお、S701で、搭載されているDRAM104の容量が装置の構成上、少ない場合もメモリ空き容量は不十分と判断する。また、ここでは3面以上の画像データを蓄積するためのメモリ空き容量を基準値として挙げたが、操作部107にてユーザが指定したジョブの内容によっては基準値を変えても構わない。
【0063】
一方、S704で、CPU101は、低速モードを許可する情報がSRAM103に格納されているかどうかを判断する。なお、低速モードを許可するかどうかを示す情報は、事前に操作部107からのユーザ入力操作によりSRAM103に登録されている。
【0064】
ここで、低速モードが許可されているとCPU101が判断した場合、DRAM104のメモリ空き容量が第2のメモリ空き容量分程度確保できるかどうかを判断する(S705)。第2のメモリ空き容量は、予め定められたサイズであってもよいし、CPU101が、検知した原稿のサイズやカラー/モノクロの判定結果、操作部107で設定された読取解像度等の読取条件に従って、第2のメモリ空き容量を計算してもよい。ここで、CPU101がDRAM104のメモリ空き容量が十分残っていると判断した場合、読取部105に対する読取モードを低速読みモード501に決定する(S706)。そして、CPU101は、低速読みモード501で搬送される順次搬送される原稿P1、P2の画像を読み取り(S703)、本処理を終了する。
【0065】
本実施形態では、DRAM104に確保できる空き容量が、第2の読取モードに対応する高速読みモード502による原稿読取を実行できる空き容量以下と判断した場合でも、第1の読取モードに対応する低速読みモード501を実行する。
【0066】
これにより、第1の読取モードに対応する低速読みモード501による原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、原稿読取を制限することなく、低速であっても原稿読取を実行させることで、ユーザの利便性を向上させている。しかしながら、このような読取モードの切り替え制御を望まないユーザを考慮して、本実施形態では、S704を実行している。その詳細は後述する。
【0067】
なお、S705でのメモリ空き容量のチェックにおける第2のメモリ空き容量とは、S701での第1のメモリ空き容量分よりもメモリ空き容量が少ない、例えばA4原稿サイズで2面分のメモリ空き容量を判断基準とする。
【0068】
一方、S704で低速モードを許可しないとCPU101が判断する場合とは、DRAM104に十分な空き容量を確保してから、高速読みモードにて原稿P1、P2の読取りを実行した方が、ユーザにとって結果的に作業効率が高いことが考えられるためである。
【0069】
そこで、S704で、低速モードを許可していないとCPU101が判断した場合は、S707へ進む。そして、CPU101は、メモリフル(メモリの空き容量が少なすぎること)により読取部105が原稿を読取りできる状態にない旨の警告(例えばメッセージ)を操作部107の表示部に表示して、本処理を終了する。
【0070】
なお、本実施形態に示す制御は、両面読み取り、両面コピー動作に限定されるものではない。したがって、DRAM104のメモリ空き容量に応じて、原稿の読み取り順序または原稿の搬送経路を変更して読み取る画像読取装置であればどのような形態をとっても構わない。
【0071】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【符号の説明】
【0072】
101 CPU
102 ROM
103 SRAM
104 DRAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送または反転搬送させる搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される原稿の表面または前記搬送手段により反転搬送される裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、
前記読取手段が前記搬送手段により搬送される原稿から読み取る画像データを記憶する記憶手段と、
前記読取手段は、前記搬送手段により搬送される原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される原稿の裏面を読取る第1の読取モードと、前記搬送手段により搬送される1枚目および2枚目の原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される1枚目および2枚目の原稿の裏面を読取る第2の読取モードとを有する場合に、
前記読取手段による原稿読取開始前の前記記憶手段の空き容量が前記第2の読取モードまたは前記第1の読取モードによる原稿読取を実行するための空き容量以上であるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第2の読取モードに決定し、前記判断手段が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断し、かつ、前記判断手段が前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第1の読取モードに決定する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判断手段が前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断した場合は、前記記憶手段の空き容量で前記読取手段による原稿読取が制限される状態であることを表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2の読取モードに代えて第1の読取モードによる読取を許可する、許可しないを設定する設定手段を有し、
前記判断手段は、前記設定手段による設定で前記第2の読取モードに代えて第1の読取モードによる読取を許可している場合、前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断した場合、前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上あるかどうかを判断しないことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上あるかどうかを判断しない場合、前記記憶手段の空き容量で前記読取手段による原稿読取が制限される状態であることを表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿台に載置される両面原稿を複数の搬送路を用いて搬送または反転搬送させる搬送手段と、前記搬送手段により搬送される原稿の表面または前記搬送手段により反転搬送される裏面の画像を所定位置で読み取る読取手段と、前記読取手段が前記搬送手段により搬送される原稿から読み取る画像データを記憶する記憶手段とを備える画像読取装置の制御方法であって、前記読取手段は、前記搬送手段により搬送される原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される原稿の裏面を読取る第1の読取モードと、前記搬送手段により搬送される1枚目および2枚目の原稿の表面を読取り、前記搬送手段により反転搬送される1枚目および2枚目の原稿の裏面を読取る第2の読取モードとを有する場合に、
前記読取手段による原稿読取開始前の前記記憶手段の空き容量が前記第2の読取モードまたは前記第1の読取モードによる原稿読取を実行するための空き容量以上であるかどうかを判断する判断工程と、
前記判断工程が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第2の読取モードに決定し、前記判断工程が前記第2の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以下と判断し、かつ、前記判断工程が前記第1の読取モードによる原稿読取を実行できる空き容量以上と判断した場合は、前記読取手段の読取モードを前記第1の読取モードに決定する制御工程と、
を備えることを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−222446(P2012−222446A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83687(P2011−83687)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】