説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】スキャナで読み取られた画像データから裏紙データを削除するための裏紙パターンデータの登録に関して、ユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減する。
【解決手段】原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理モードのときに、当該原稿の裏面画像情報も読み取るとともに(S5)、該裏面画像情報が白紙情報でなければ当該裏面画像情報を前記裏紙パターンデータとして仮登録する(S8)。前記仮登録対象の裏面画像情報がすでに仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合に、当該裏紙パターンデータを本登録に切り替える(S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能等を搭載したデジタル複合機等の画像形成装置に用いられる画像読取装置であって、特に裏紙を用いた原稿を読み取る際に好適な画像読取装置およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複合機等の画像形成装置では、自動原稿送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)等の画像読取装置によって、原稿の表裏両面を自動的に読み取るものがある。
【0003】
原稿の両面に情報が記録されている場合であっても、それがいわゆる裏紙を使用した片面原稿であることもある。裏紙を使用した片面原稿の場合、必要な情報は表面のみであり、裏面の情報は不要である。
【0004】
例えば、両面原稿(表裏両面に必要な情報が記録されている原稿)に裏紙を使用した片面原稿が混在していた場合、両面読取に対応した自動原稿送り装置でこれらの原稿をスキャンすれば、不要な裏紙データを含んだかたちでコピー処理またはファイル化処理がなされてしまう。
【0005】
そこで、特許文献1には、裏紙を特定するための情報である裏紙パターンデータをユーザが予め設定できるようにしておき、両面読取に対応した自動原稿送り装置で原稿をスキャンした画像データの中から裏紙パターンデータと合致する裏紙データを検知し、スキャンした画像データから裏紙データを排除してコピー処理またはファイル化処理する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−82010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、裏紙を特定するための情報である裏紙パターンデータを予めユーザが設定しておく必要があるため、ユーザに煩雑な当該設定作業を強いる必要があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、裏紙パターンデータの登録に関して、ユーザに事前の特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる画像読取装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿の表裏両面の画像を読み取り可能な画像読取手段と、裏紙パターンデータを本登録する裏紙パターンデータ登録手段と、前記画像読取手段で読み取られた画像データと本登録された前記裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行う裏紙判定手段と、前記裏紙判定手段によって前記画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データと判定された場合に、前記画像読取手段で読み取られた画像データから裏紙データを削除する裏紙削除手段と、を備え、前記裏紙パターンデータ登録手段は、原稿の表面画像情報を読み取る片面読み取り処理のときに、当該原稿の裏面画像情報も読み取るとともに、該裏面画像情報が白紙情報でなければ当該裏面画像情報を前記裏紙パターンデータとして仮登録する仮登録手段と、前記仮登録対象の裏面画像情報がすでに前記仮登録手段により仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合に、当該裏紙パターンデータを本登録に切り替える本登録手段と、を備えていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
上記の構成によれば、画像読取手段で読み取られた画像データと、裏紙パターンデータ登録手段にて登録されている裏紙パターンデータとの照合により、当該読み取られた画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データか否かが、裏紙判定手段にて判定される。この判定結果に基づいて、裏紙削除手段が読み取られた画像データの中から裏紙データを削除するので、読み取られた画像データから裏紙データが排除されたかたちでその後の処理(例えばコピー処理やファイル化処理)を実施することができる。
【0010】
ここで、前記裏紙パターンデータ登録手段は、原稿の表面画像情報を読み取る片面読み取り処理のときに、当該原稿の裏面画像情報も読み取り、該裏面画像情報が白紙情報でなければ当該裏面画像情報を前記裏紙パターンデータとして仮登録するようになっている。このように、原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理の場合に、読取対象である表面のみならず、本来なら読取対象ではない裏面の画像情報までも読み取るのは、当該原稿の裏面が白紙でなければ、当該原稿が「裏紙」の可能性があるからである。そこで、裏面画像情報が白紙情報でなければ、この時点で、一旦、当該裏面画像情報を裏紙パターンデータとして仮登録しておくのである。
【0011】
一方、片面読取処理モードの際に読み取った原稿の裏面画像情報がすでに仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合は、当該原稿が「裏紙」である可能性が高いため、前記裏紙パターンデータ登録手段は、当該裏紙パターンデータを仮登録から本登録に切り替えるようになっている。すなわち、本読取装置が使用される場所(職場等の特定の領域)において、チラシ等の同一内容の画像情報を多部数印刷したもので、使われずに余ったものが裏紙として使用されることがよくある。このような裏紙のデータが仮登録されている場合、再度、同じ内容の裏面画像情報が片面読取処理の際に読み取られる可能性が高いのである。
【0012】
以上のように、片面読取処理の際に原稿の裏面画像情報を読み取りながら、仮登録およびその後の本登録の切り替えを行うことにより、自動的に裏紙パターンデータを蓄積しておけば、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0013】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記画像読取装置と、当該画像読取装置が読み取った画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を備えている(請求項2)。
【0014】
上記の構成によれば、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる画像形成装置を実現できる。
【0015】
上記の構成において、さらに、前記画像読取装置が読み取った画像情報をファクシミリ送信するファクシミリ送信を含むことが望ましい(請求項3)。
【0016】
上記の構成において、さらに、前記画像読取装置が読み取った画像情報を記憶する情報蓄積手段を含むことが望ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザに事前の特別な作業を強いることなく、画像読取装置が自動で裏紙パターンデータを登録・蓄積するので、ユーザの作業負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る画像読取装置及びそれを用いた画像形成装置を、カラーコピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ、ファイル化(情報蓄積)等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
【0019】
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。複合機(画像形成装置)1は大きく分けると画像読取装置2と装置本体(画像形成手段、ファクシミリ送信手段、情報蓄積手段)3とからなる。画像読取装置2は、原稿給紙部21とスキャナ部(画像読取手段)22とCIS(Contact Image Sensor)231と操作部5と、更に後述する反転機構及び制御部61(図2参照)とを備えてなる。原稿給紙部21はADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、搬送ドラム213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれて搬送ドラム213へ搬送される。搬送ドラム213を経由した原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ排出される。
【0020】
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部22は、プラテンガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を備えている。このスキャナ部22は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、上記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導くものである。スキャナ部22は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
【0021】
プラテンガラス221には、上記原稿給紙部21によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。プラテンガラス221は、光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0022】
画像読取装置2の原稿読取方式としては、プラテンガラス221上に載置された原稿をスキャナ部22が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部21(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。フラットベッド読取モードでは、光源222がプラテンガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像を同時に処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、当該主走査方向と直交する方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0023】
ADF読取モードでは、原稿給紙部21が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方位置に配置される。原稿給紙部21による原稿搬送で、原稿が搬送ドラム213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー233、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部21によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0024】
更に、原稿給紙部21は切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218からなる原稿反転機構を有する。この原稿反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面(原稿の一方の面)が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230(スキャナ部22)に再搬送することで、再度CCD229によって裏面(原稿の他方の面)の読み取りを行わせる。この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、搬送ドラム213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿を搬送ドラム213へ再給紙する。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0025】
更に、本実施形態の画像読取装置2は、ADF読取モード時において、上記で説明したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部22)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略同時に(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部21により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部21による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
【0026】
さらに、複合機1は、装置本体3と、装置本体3の左方に配設されたスタックトレイ6を有している。装置本体3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して印刷部(印刷手段)40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する印刷部40とを備えている。また、装置本体3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された記録紙を1枚ずつ印刷部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備えている。
【0027】
印刷部(画像形成部)40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部22で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、印刷部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463、464等が設けられている。
【0028】
記録紙の両面に画像を形成する場合は、印刷部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って印刷部40の上流域に再度搬送し、印刷部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0029】
また、装置本体3の前方には、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視認することができる表示部や、種々の操作命令を入力するための操作ボタンを有する操作部5が備えられている。
【0030】
複合機1は、前述のような原稿搬送構成を有するため、両面同時読取モードで読取動作が行われた原稿は、当該原稿が原稿トレイ211に載置されていたときの該原稿と表裏反転した状態で排紙トレイ215に排紙される。したがって、原稿トレイ211に原稿束が載置された場合には、排紙トレイ215に積層的に各原稿が排出されるが、このときの各原稿を最も下に位置する原稿からみたとき、それらの原稿は原稿トレイ211に載置されていたときの頁順で積層状態となる。
【0031】
また、両面反転読取モードで読取動作が行われた原稿は、CCD229により裏面の画像を読み取った原稿をそのまま原稿トレイ211に原稿を排出するように構成した場合、排紙トレイ215に積層状態で排出された原稿の頁順が、原稿トレイ211に載置されていたときの頁順と異なるため、この場合には、CCD229により裏面の画像を読み取った原稿を、再度、原稿反転機構により反転した上で原稿トレイ211に原稿を排出することで、排紙トレイ215に積層的に排出される各原稿を最も下に位置する原稿からみたとき、それらの原稿が原稿トレイ211に載置されていたときの頁順で積層状態となるようにしている。
【0032】
図2は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。尚、図1に示した各部と同一のものには同一の符号を付して詳細な説明は省略する。複合機1は、原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、操作部5、画像処理部(画像形成手段)64、印刷部40、通信部(ファクシミリ送信手段)66、情報蓄積部(情報蓄積手段)67及び制御部61を備えて構成される。
【0033】
原稿給紙部21は、前記ADF読取モードで原稿のコピーやスキャンが行われる際に、原稿トレイ211に載置された原稿を自動的に取り込んで、CCD229やCIS231による原稿の読み取りが可能なように搬送する。スキャナ部22、CIS231及び操作部は、図1に示すスキャナ部22、CIS231及び操作部5に相当するものである。
【0034】
画像処理部64は、画像データに関する各種画像処理を行うものである。例えば、画像処理部64は、CCD229又はCIS231によって取得された画像データや、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ、公衆回線で接続されたファクシミリ装置等から通信部66を介して転送されてくる画像データに対して、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像加工処理を行う。
【0035】
印刷部40は、CCD229又はCIS231によって得られた画像データや、上記パーソナルコンピュータやファクシミリ装置等から通信部66を介して転送された画像データに基づいた画像を記録媒体に形成する。
【0036】
通信部66は、ネットワークインターフェースを用い、ネットワークを介して接続されたコンピュータやファクシミリ装置等の外部装置との間で種々のデータの送受信を行うものである。
【0037】
情報蓄積部67は、画像読取装置2が読み取った画像情報をファイル化して記憶するものであり、内蔵記憶装置(HDD等)を具備している。
【0038】
制御部61は、複合機1の全体動作制御を司るものであり、CPUおよび記憶装置等によって構成される。上記原稿給紙部21、スキャナ部22、CIS231、操作部5、画像処理部64、印刷部40及び通信部66は、制御部61による制御の下で動作する。制御部61は、ユーザから操作部5に入力された各種の指示信号等に応じて、図略のROM又はHDDに記憶されている動作制御プログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って複合機1を統括的に制御する。
【0039】
制御部61は、図3の機能ブロック図に示すように、裏紙パターンデータ登録部(裏紙パターンデータ登録手段)611、裏紙パターンデータ格納部612、画像データ格納部613、裏紙判定部614、および裏紙削除部615を含んでいる。
【0040】
裏紙パターンデータ登録部611は、仮登録部(仮登録手段)611aおよび本登録部(本登録手段)611bを含んでいる。
【0041】
仮登録部611aは、原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理モードのときに、当該原稿の裏面画像情報も読み取るとともに、該裏面画像情報が白紙情報でなければ当該裏面画像情報を前記裏紙パターンデータとして裏紙パターンデータ格納部612に仮登録する。
【0042】
ここで、原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理モードとは、例えば、(1)ユーザにより片面原稿コピーモードが選択され、スキャナ部22によりコピー対象となる原稿の片面(表面)が読み取られる処理、(2)ユーザにより片面原稿FAX送信モードが選択され、スキャナ部22によりFAX送信対象となる原稿の片面が読み取られる処理、(3)ユーザにより片面原稿蓄積モードが選択され、内蔵記憶装置(HDD等)に画像データとして蓄積すべき原稿の片面がスキャナ部22により読み取られる処理、などが挙げられる。
【0043】
また、本登録部611bは、前記仮登録対象の裏面画像情報がすでに裏紙パターンデータ格納部612に仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合に、当該裏紙パターンデータを本登録に切り替える。
【0044】
すなわち、裏紙パターンデータ登録部611は、前記仮登録対象の裏面画像情報と裏紙パターンデータ格納部612に仮登録されている裏紙パターンデータとを照合し、新たな仮登録を行うのか、あるいは仮登録されている裏紙パターンデータを本登録に切り替えるのかの判断を行う。ここで、仮登録対象の裏面画像情報と裏紙パターンデータ格納部612に仮登録されている裏紙パターンデータとの照合処理には、一般的な画像照合アルゴリズムを適用することができる。例えば、仮登録対象の裏面画像情報および裏紙パターンデータの各画素値の差分をとって平均二乗誤差を算出するアルゴリズムや、仮登録対象の裏面画像情報および裏紙パターンデータを複数領域に分割して各分割領域ごとに特徴量を比較する画像マッチングアルゴリズム等を用いることが可能である。
【0045】
裏紙パターンデータ格納部612は、裏紙パターンデータを格納する記憶領域(HDD等の記憶装置の所定領域)を有する。この裏紙パターンデータ格納部612は、仮登録データ(仮登録部611aに仮登録された裏紙パターンデータ)と本登録データ(本登録部611bに本登録された裏紙パターンデータ)とが識別可能に、複数の裏紙パターンデータを格納している。たとえば、裏紙パターンデータ格納部612は、仮登録データ記憶領域と本登録データ記憶領域とを有し、仮登録データと本登録データとを別領域に分けて格納する構成をとることができる。あるいは、裏紙パターンデータ格納部612は、仮登録データと本登録データとを同一の記憶領域に混在して記憶し、本登録データに該当する裏紙パターンデータに本登録フラグを立てて(または、仮登録データに該当する裏紙パターンデータに仮登録フラグを立てて)、仮登録データと本登録データとを識別可能に格納する構成をとることもできる。
【0046】
また、裏紙パターンデータ格納部612には、裏紙パターンデータを、縮小・圧縮せずにビットマップ形式のデータとして格納してもよいし、マッチング処理が可能な程度に縮小したデータとして格納してもよいし、画像符号化等の一般的な圧縮方法を用いて圧縮したデータとして格納してもよい。
【0047】
画像データ格納部613は、スキャナ部22で読み取られた画像データを格納するための記憶領域(RAMやHDD等の記憶装置の所定領域)を有する。
【0048】
裏紙判定部614は、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データと、裏紙パターンデータ格納部612に格納されている裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行うものである。この画像データと裏紙パターンデータとの照合処理には、一般的な画像照合アルゴリズムを適用することができる。例えば、画像データおよび裏紙パターンデータの各画素値の差分をとって平均二乗誤差を算出したり、画像データおよび裏紙パターンデータを複数領域に分割して各分割領域ごとに特徴量を比較する等の画像マッチングアルゴリズムを用いることが可能である。
【0049】
裏紙削除部615は、裏紙判定部614の判定結果に基づいて、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データから裏紙データだけを削除するものである。画像データの中から裏紙データを削除することに関し、裏紙データに該当する画像データを消去してしまってもよいし、裏紙データに該当する画像データに削除フラグを立てて、削除フラグの設定されている画像データについては削除されたものとみなしてその後の処理(コピー処理やファイル化処理等)を行うようにしてもよい。
【0050】
次に、本実施形態にかかる複合機1の動作について説明する。図4は、複合機1による原稿読取処理のフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、原稿読取処理が開始されると(S1でYES)、原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理モードか否かが判断される(S2)。ここで、片面読取処理モードとは、片面原稿コピーモード、片面原稿FAX送信モードまたは片面原稿蓄積モードなどがユーザにより選択され、スキャナ部22により原稿の片面(表面)が読み取られる処理モード全般が対象である。
【0052】
片面読取処理モードではない場合(S2でNO)、裏紙パターンデータの登録はなされずに、両面読取処理が実行される(S3)。
【0053】
一方、片面読取処理モードの場合(S2でYES)、スキャナ部22により原稿表面の画像情報の読み取りが行われる(S4)。ここで読み取られた原稿表面の画像データは、コピー処理、FAX送信処理またはファイル化(画像データ蓄積)処理に用いられる。
【0054】
本実施形態においては、さらに、スキャナ部22により原稿裏面の画像情報の読み取りも行われる(S5)。なお、上記S4およびS5を同時に実行することも可能である。そして、読み取られた裏面画像情報が白紙情報か否かが判断される(S6)。ここで、裏面画像情報が白紙情報の場合は(S6でYES)、当該原稿は裏紙を使用した原稿ではないので、裏紙パターンデータの登録処理はされずに終了となる。
【0055】
一方、裏面画像情報が白紙情報でなければ(S6でNO)、当該原稿は裏紙を使用した原稿の可能性がある。そこで、裏紙パターンデータ登録部611により、当該裏面画像情報がすでに裏紙パターンデータ格納部612に仮登録されている裏紙パターンデータと一致しているか否かが判断される(S7)。
【0056】
前記裏面画像情報が仮登録されている裏紙パターンデータと一致しなければ(S7でNO)、仮登録部611aは当該裏面画像情報を裏紙パターンデータとして裏紙パターンデータ格納部612に仮登録する(S8)。一方、前記裏面画像情報が仮登録されている裏紙パターンデータの何れかと一致すれば(S7でYES)、本登録部611bは当該裏紙パターンデータを本登録に切り替える(S9)。
【0057】
上記のように、原稿の表面画像情報を読み取る片面読取処理モードの場合に、読取対象である表面のみならず、本来なら読取対象ではない裏面の画像情報までも読み取るのは、当該原稿の裏面が白紙でなければ、当該原稿が「裏紙」の可能性があるからである。そこで、裏面画像情報が白紙情報でなければ、この時点で、一旦、当該裏面画像情報を裏紙パターンデータとして仮登録しておくのである。そして、その後、片面読取処理モードの際に読み取った原稿の裏面画像情報がすでに仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合は、当該原稿が「裏紙」である可能性が高いため、当該裏紙パターンデータを仮登録から本登録に切り替えるのである。すなわち、複合機が使用される場所(職場等の特定の領域)において、チラシ等の同一内容の画像情報を多部数印刷したもので、使われずに余ったものが裏紙として使用されることがよくある。このような裏紙のデータが仮登録されている場合、再度、同じ内容の裏面画像情報が片面読取処理モードの際に読み取られる可能性が高いのである。上記のように、片面読取処理モードの際に原稿の裏面画像情報を読み取りながら、仮登録およびその後の本登録の切り替えを行うことにより、自動的に裏紙パターンデータを蓄積しておけば、当該裏紙パターンデータ登録に関してユーザに特別な作業を強いることなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0058】
なお、上記のように片面読取処理モードの度に仮登録・本登録の判断がなされ、自動で裏紙パターンデータが登録される「裏紙パターンデータ自動登録モード」の他に、ユーザが裏紙パターンデータを自ら登録することが可能な「裏紙パターンデータ手動登録モード」を設けてもよい。操作部5の操作により、裏紙パターンデータ手動登録モードを選択した場合、裏紙をスキャナ部22でスキャンして裏紙パターンデータとして登録可能となる。
【0059】
また、ユーザが裏紙パターンデータとして登録されることを望まない原稿を片面読取処理する場合には、操作部5の操作により、裏紙パターンデータ自動登録モードを一時的に解除することも可能である。
【0060】
なお、裏紙パターンデータとして登録する条件を、原稿束の読み取り処理のときに、同じパターンデータが連続して存在した場合に仮登録をへて本登録とするように設定してもよい。この条件設定は、例えば、1枚の原稿に対し大量の同じ裏紙が存在する場合に、連続して同じパターンデータが存在する可能性が高いため、効果的である。
【0061】
また、裏紙パターンデータとして登録する条件を、同じパターンデータが連続して存在していない場合は、別の原稿束でなければ本登録できないというように設定してもよい。この条件設定は、例えば、複数ページの原稿を多数裏紙として用いられる場合に効果的である。
【0062】
また、自動登録されている裏紙パターンデータが多くなりすぎると、裏紙パターンデータ格納部612の記憶容量が増大すると共に、裏紙判定部614による判定処理時間が長くなるので、これを回避するために、以下のような対応をとることが可能である(特に、仮登録の裏紙パターンデータを対象にすることが望ましい。)。
【0063】
自動登録されている裏紙パターンデータが所定の記憶容量に達した場合、もっとも古い裏紙パターンデータを削除しつつ、新しい裏紙パターンデータを新たに格納するようにすることができる。
【0064】
また、自動登録されている裏紙パターンデータが所定の裏紙枚数に達した場合、もっとも古い裏紙パターンデータの登録を削除しつつ、最新の裏紙パターンデータを新たに格納するようにすることができる。
【0065】
なお、自動登録されている裏紙パターンデータの中でも、本登録の裏紙パターンデータや、裏紙パターンデータ手動登録モードで登録された裏紙パターンデータについては、最新の裏紙パターンデータを新たに格納するために、その登録を削除しない方がよい。
【0066】
また、古いパターンデータが継続的に現在もよく利用される場合を考えると、古いパターンデータとなり、削除される可能性があるが、本実施の形態に係る図4に示す処理によれば、必要な裏紙パターンデータが古いパターンデータとして削除されてしまうといった問題を回避することができる。すなわち、裏紙パターンデータが本登録されると仮登録データは削除される。このため、本登録されている裏紙パターンデータと同じデータが再度読取られると、仮登録、本登録と進み、本登録される際に、既に本登録されている裏紙パターンデータに上書きされる。これにより、裏紙パターンデータの登録日を更新することができるため、必要な裏紙パターンデータが削除されることを回避することができる。
【0067】
次に、本実施形態にかかる複合機1によるコピー処理(画像形成処理)について説明する。特に、ここでは、両面原稿を両面読取するコピー処理について説明する。もし、両面原稿の中に裏紙を使用した片面原稿が混在していた場合、各原稿を両面読取すれば、不要な裏紙データも含まれてしまう。しかし、本実施の形態の複合機1は、以下に詳述するように、両面原稿の中に裏紙を使用した片面原稿が混在していても、不要な裏紙データを排除したコピー処理が可能である。図5は、複合機1によるコピー処理を示すフローチャートである。
【0068】
先ず、ユーザによる操作部5の操作により、コピーモードが選択されるとともに、コピーに関する各種設定(コピー枚数、拡大/縮小、片面原稿/両面原稿、片面コピー/両面コピーの設定等)がなされることになる。ここで、両面原稿が設定され、原稿トレイ211に原稿束が載置された状態で、操作部5のスタートボタン(不図示)が押下されると(S11でYES)、スキャナ部22により各原稿の画像の読み取り動作が行われるとともに、該読取動作で得られた画像データが画像データ格納部613に格納される(S12)。
【0069】
次に、裏紙判定部614は、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データと、裏紙パターンデータ格納部612に格納されている裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行う(S13)。
【0070】
裏紙判定部614が裏紙データありと判定した場合(S14でYES)、裏紙削除部615は、当該裏紙判定部614の判定結果に基づいて、スキャナ部22で読み取られて画像データ格納部613に格納された画像データから裏紙データだけを削除する(S15)。その後、裏紙データが削除された画像データに対して、印刷部40等による印刷処理がなされる(S16)。これにより、スキャンした画像データから裏紙データが排除されたかたちでコピー処理を実施することができる。
【0071】
なお、裏紙判定部614が裏紙データなしと判定した場合(S14でNO)、画像データ格納部613に格納されている画像データの全てに対して、印刷部40等による印刷処理がなされる(S16)。
【0072】
なお、上記では、図5を用いて複合機1によるコピー処理を説明したが、複合機1によるファイル化処理にも適用できる。すなわち、ファイル化処理が開始された場合も、上記S12〜S15が実行され、スキャンした画像データから裏紙データが排除されたかたちで画像データのファイリング(内臓HDD等へのデータ保存)がなされるのである。
【0073】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記では、本発明に係る画像形成装置の構成及び処理の実施形態を図1乃至図5に示したが、これらはあくまでも一例に過ぎず、本発明に係る画像形成装置、上述した構成及び制御に限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機の内部構成を模式的に示した縦断面図である。
【図2】上記複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】上記複合機における制御部の機能ブロック図である。
【図4】上記複合機による読取処理を示すフローチャートである。
【図5】上記複合機によるコピー処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 複合機(画像読取装置、画像形成装置)
2 画像読取装置
5 操作部
21 原稿給紙部
22 スキャナ部(画像読取手段)
40 印刷部
61 制御部
611 裏紙パターンデータ登録部(裏紙パターンデータ登録手段)
611a 仮登録部(仮登録手段)
611b 本登録部(本登録手段)
612 裏紙パターンデータ格納部
613 画像データ格納部
614 裏紙判定部(裏紙判定手段)
615 裏紙削除部(裏紙削除手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の表裏両面の画像を読み取り可能な画像読取手段と、
裏紙パターンデータを本登録する裏紙パターンデータ登録手段と、
前記画像読取手段で読み取られた画像データと本登録された前記裏紙パターンデータとを照合して、当該読み取られた画像データが裏紙データか否かの判定を行う裏紙判定手段と、
前記裏紙判定手段によって前記画像データが前記裏紙パターンデータに合致する裏紙データと判定された場合に、前記画像読取手段で読み取られた画像データから裏紙データを削除する裏紙削除手段と、を備え、
前記裏紙パターンデータ登録手段は、
原稿の表面画像情報を読み取る片面読み取り処理のときに、当該原稿の裏面画像情報も読み取るとともに、該裏面画像情報が白紙情報でなければ当該裏面画像情報を前記裏紙パターンデータとして仮登録する仮登録手段と、
前記仮登録対象の裏面画像情報がすでに前記仮登録手段により仮登録されている裏紙パターンデータと一致している場合に、当該裏紙パターンデータを本登録に切り替える本登録手段と、を備えている画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置が読み取った画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項3】
さらに、前記画像読取装置が読み取った画像情報をファクシミリ送信するファクシミリ送信手段を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、前記画像読取装置が読み取った画像情報を記憶する情報蓄積手段を含む、請求項2または3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−154277(P2010−154277A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330702(P2008−330702)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】