説明

画像読取装置及び画像読取装置の制御方法

【課題】画像読取装置が読み取った画像をユーザが生成した本文と一緒に送信する際に、ユーザの操作性及び利便性に富んだ画像読取装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】外部装置と通信可能に構成される画像読取装置であって、外部装置から送信されるメッセージを受信する受信手段と、原稿画像を読み取り画像データを生成する画像読取手段と、受信手段により受信したメッセージに含まれる本文情報と画像読取手段により生成された画像データを、メッセージに含まれる送信先に送信する送信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像読取装置の制御方法に関し、特に、読み取った画像を指定された送信先に送信する機能を備えた画像読取装置及び画像読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの発達に伴い、メールによる情報の伝達が活用されるようになってきている。例えば、メール送信機能を備えたファクシミリに関する技術が、特開平9−252393(特許文献1)及び特開平11−55486号公報(特許文献2)などに記載されている。また、複写機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の機能を1つの筐体に収めたいわゆる複合機(MFP:Multi Function Peripheral)と呼ばれる画像形成装置においても、このようなメール送信機能を備えるものが登場している。
【特許文献1】特開平9−252393公報
【特許文献2】特開平11−55486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、スキャンした画像をメールに添付して指定された宛先に送信する機能を備える画像読取装置では、画像読取装置上でユーザが任意にメールの本文情報を作成して送信することは困難であった。したがって、ユーザが、スキャンした画像を所望のメール本文と一緒に送信したいような場合には、まず、スキャンした画像を一旦自分のメールアドレス宛に送信し、自分のコンピュータ上で受信したメールの本文を作成し、その後、当該メールを送信するという工程を踏まなければならず、スキャンデータの送信操作が煩雑であり、ユーザの利便性に欠けていた。
【0004】
そこで、本願発明は、画像読取装置が読み取った画像をユーザが生成した本文と一緒に送信する際に、ユーザの操作性及び利便性に富んだ画像読取装置とその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、外部装置と通信可能に構成される画像読取装置であって、前記外部装置から送信される、本文情報と送信先を含むメッセージを受信する受信手段と、原稿画像を読み取り画像データを生成する画像読取手段と、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データを、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する送信手段と、を備える。
【0006】
好適には、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成する生成手段をさらに備え、前記送信手段は、前記生成手段により生成されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する。
【0007】
好適には、予め設定された認証情報に基づいてユーザを認証する認証処理手段をさらに備え、前記生成手段は、前記認証処理手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成することを特徴とする。
【0008】
好適には、前記生成手段は、前記認証処理手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記ユーザの認証に使用した認証情報に基づいて、前記受信手段により受信されたメッセージの中からユーザのメッセージを特定し、特定されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成する。
【0009】
好適には、前記受信手段が受信するメッセージに証明書が含まれている場合に、前記証明書を用いて前記生成手段により生成されたメールを暗号化する証明書処理手段をさらに備え、前記送信手段は、前記証明書処理手段により暗号化されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する。
【0010】
好適には、前記画像読取手段により生成された画像データを、当該画像データを一意的に特定する画像IDと対応付けて記憶する記憶手段をさらに備え、前記生成手段は、前記受信手段が受信するメッセージに画像IDが含まれている場合に、前記記憶手段に記憶される前記画像IDに対応する画像データと前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報とを含むメールを生成することを特徴とする。
【0011】
好適には、前記画像データと対応する画像IDを表示する表示手段、をさらに備える。
【0012】
好適には、前記送信手段は、前記受信手段により受信されたメッセージに複数の送信先が含まれる場合に、前記複数の送信先に前記生成手段により生成されたメールをそれぞれ送信する。
【0013】
また、本発明は、外部装置と通信可能に構成される画像読取装置の制御方法であって、前記外部装置から送信される、本文情報と送信先を含むメッセージを受信するステップと、原稿画像を読み取り画像データを生成するステップと、前記受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記生成された画像データとを含むメールを生成するステップと、前記生成されたメールを前記受信されたメッセージに含まれる送信先に送信するステップと、を備える。
【0014】
また、本発明は、外部装置と、該外部装置と通信可能に構成された画像読取装置とを備える画像形成システムであって、前記外部装置は、本文情報と送信先を含むメッセージを画像読取装置へ送信する送信手段を備え、前記画像読取装置は、前記外部装置から送信されるメッセージを受信する受信手段と、原稿画像を読み取り画像データを生成する画像読取手段と、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、本発明の情報処理方法の各工程をコンピュータ上で実行させるプログラムとしても成立する。この場合のプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じてコンピュータにインストールまたはロードすることができる。また、コンピュータプログラムが、PCカードやオプションボードに記録されて流通する場合も含む。
【0016】
なお、本明細書において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像読取装置が生成した画像データをメールに添付して送信する際に、外部から受信した本文情報をメールの本文に設定して送信する構成としたので、ユーザは、原稿画像の読み取りと同時に所望のメールを送信することが可能になる。これにより、画像データをメールで送信する際のユーザの利便性及び操作性が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図を参照しつつ本発明にかかる画像読取装置について詳細に説明する。なお、本実施形態では、一例として、本発明に係る画像読取装置が、外部装置と通信可能に構成され、スキャンしたデータをメールに添付して送信する機能(以下、「ScantoMail」という。)を備える複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に適用される場合について説明する。複合機とは、例えば、コピー、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ等の機能を1つの筐体に収めた画像形成装置である。
【0019】
(1)複合機の構成
【0020】
図1〜図3を用いて、本実施形態に係る複合機の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る複合機の機能構成を示すブロックダイアグラムである。図1に示すように、複合機1は、通信網としてのネットワーク(有線、無線を含む)N1を介して1または複数の外部装置2と通信可能に構成されている。なお、図1では、便宜上、1の外部装置2のみを示している。
【0021】
複合機1は、主な構成として、認証処理部(認証処理手段)11、画像読取部(画像読取手段)12、メッセージ処理部(メッセージ処理手段)13、メール生成部(メール生成手段)14、証明書処理部(証明書処理手段)15、メール送信部(メール送信手段)16を備える。
【0022】
認証処理部11は、予め設定された所定の認証情報に基づいてユーザを認証する。認証処理部11は、ログイン画面を操作表示手段(ディスプレイ108)へ表示し、ユーザからユーザID等の認証情報が入力されると、この認証情報が予め設定された認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合はユーザのログインを許可し、一致しない場合は、ユーザのログインを許可しない。
【0023】
画像読取部12は、原稿画像を読み取り、画像データを生成する。画像読取部12は、外部記憶装置110に記憶される複合機制御プログラムのうちスキャナに関するプログラムを実行することによってスキャナエンジン106による画像読取処理を実行させ、生成された画像データをスキャンデータとしてイメージメモリ等の記憶手段に記憶する。スキャンデータは、スキャンデータを一意的に特定する画像IDと対応付けて記憶される。
【0024】
メッセージ処理部13は、外部装置2から送信されるメッセージを受信するとともに、所定フォーマットに従ってメッセージに記載された情報(本文情報、送信先、証明書など)を解析し、解析した情報をメッセージの送信者と対応づけて記憶する。
【0025】
メール生成部14は、メッセージに含まれる本文情報とスキャンデータとを含むメールを生成する。メール生成部14は、メッセージ処理部13が解析した情報に従って、送信先をメールの送信先領域に設定し、本文情報をメールの本文領域に設定し、画像データをメールの添付ファイルに設定する。また、メール生成部14は、画像IDが含まれているメッセージを受信した場合には、この画像IDに基づいてイメージメモリからスキャンデータを特定し、特定したスキャンデータをメールの添付ファイルに設定する。
【0026】
証明書処理部15は、メッセージに証明書が含まれている場合においてメールの暗号化が指定されている場合には、その証明書に含まれる公開鍵を用いて所定の暗号化方式に従いメールを暗号化する。なお、証明書は、スキャンデータを送信する相手方の証明書である。
【0027】
メール送信部16は、本文情報とスキャンデータを含むメールをメッセージで指定された送信先に通信網N2を介して送信する。
【0028】
本発明が適用される複合機1は、各処理部の処理によって、スキャンデータをメールに添付して送信するScantoMail処理を実行する際に、外部から送信されてきた本文情報を当該メールの本文として取り込んだ上で、指定された宛先へ送信することを特徴とする。
【0029】
なお、複合機1の各処理部(手段)は、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合、すなわち、図2に示すCPU101が、例えば外部記憶装置110からRAM103にロードされた所定のプログラムを実行することにより実現する場合を単に意味するものではなく、所定の集積回路等による物理的手段によって構成する場合も含むものである。
【0030】
図2は、本実施形態に係る複合機1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
CPU101は、ROM102や外部記憶装置110からRAM103に格納されているプログラムやデータを用いて複合機1全体の制御を行う制御手段であり、本発明に係るScantoMail処理を実行制御する。
【0032】
ROM102は、CPU101によって実行されるプログラムやデータ等を格納する記憶手段である。これらは、RAM103にロードされてCPU101の処理対象となる。
【0033】
RAM103は、ネットワークI/F104、通信インタフェースI/F105、スキャナエンジン106、入力I/F109を介して外部から受信したデータを一時的に記憶するための領域を提供する記憶手段である。また、外部記憶装置110からロードされたプログラムやデータを維持的に記憶するための領域を備える。
【0034】
ネットワークI/F104は、複合機1(CPU101)を所定のネットワークに接続し、外部の機器とデータ通信を行うためのインタフェースである。CPU101は、ネットワークI/F104を介して本発明のScantoMail処理に必要な情報を外部装置2と送受信する。
【0035】
通信I/F105は、例えばNCUやMODEM等によって構成され、一般的なファクシミリの送受信を行うためのインタフェースである。
【0036】
スキャナエンジン106は、図示しないスキャナを駆動制御して、紙などの記録媒体上に記録されている情報を読み取ってスキャンデータを生成する画像読取手段である。生成したスキャンデータは、RAM103や外部記憶装置110に出力され記憶される。
【0037】
プリンタエンジン107は、図示しないプリンタを駆動制御して、紙などの記録媒体上に画像や文字を印刷する印刷手段である。
【0038】
ディスプレイ108は、例えばLCD等の液晶デバイスによって構成され、CPU101の制御に基づき、本発明のScantoMail処理に必要な情報を表示する表示手段である。また、ディスプレイ108を、タッチパネル式の液晶画面により構成する操作表示手段としてもよい。
【0039】
入力インタフェース109は、ボタンやスイッチで構成される入力手段であり、操作者が、本発明のScantoMail処理に必要な指示を入力可能に構成されている。
【0040】
外部記憶装置110は、複合機1の制御をCPU101に実行させるためのソフトウェア(プログラム)である複合機制御プログラム及びデータを記憶する記憶手段である。また、外部記憶装置110は、複合機1へのログインの際に操作者を認証するための認証プログラム及びデータや、本発明に係るScantoMail処理を規定したScantoMailプログラム及びデータを記憶する。
【0041】
図3は、本実施形態に係る複合機1が備える記憶手段のデータ構造の例を示す。なお、図3に示すデータ構造は一例であり、他の構成やデータ構造等を採用しても良い。
【0042】
図3(A)は、認証情報を管理するための認証用テーブルであり、ユーザを一意的に特定するユーザIDを認証情報として予め記憶している。ユーザIDには、例えば、社員IDなどが該当する。認証処理部11は、複合機1へのログイン時にユーザの入力した情報が、認証用テーブルに格納されているいずれかのユーザIDと一致する場合には、当該ユーザのログインを許可する。なお、認証情報は、ユーザIDに限られず、ユーザを一意的に特定することができる情報であればよく、また、パスワードや他の複数の情報と組み合わせてもよい。
【0043】
図3(B)は、ユーザ情報を管理するための管理用テーブルであり、ユーザのユーザIDと当該ユーザのメールアドレスとを予め対応づけて記憶している。メッセージ処理部13は、所定のメールを受信すると、その送信元アドレスに基づいて管理用テーブルを参照し、メールを送信したユーザのユーザIDを特定する。
【0044】
図3(C)は、外部装置2から送信されてきたメッセージを管理するためのメッセージ記憶領域であり、メッセージ送信者のメールアドレスごとに、本文情報、1または複数の送信先(TO、CC、BCC)、1または複数の証明書、及びスキャンデータをメールで送信する際に暗号化をするか否かを指定する暗号化指定を記憶する。メッセージ処理部13は、外部装置2からのメッセージを受信すると、このメッセージを解析して送信者毎にメッセージの情報をメッセージ記憶領域に格納する。これらの情報は、スキャンデータをメールに添付して送信する際に、メール生成部14によって参照される。なお、メッセージ記憶領域に記憶される情報は図3(C)に示すものに限られず、仕様に応じて、また、ScantoMail処理内容に矛盾を生じない範囲で適宜追加または変更することが可能である。
【0045】
(2)外部装置にて生成されるメッセージ
【0046】
図4は、複合機1と通信可能に構成された外部装置2において生成されるメッセージの一例である。なお、外部装置2は、図示してはいないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、入出力I/F及びネットワークI/Fを備える汎用の情報処理装置(コンピュータ)を用いることができる。
【0047】
図4(A)は、外部装置2において生成されたメッセージの一例を説明する図である。メッセージM1には、ScantoMailの1または複数の送信先(TO、CC、BCC)、メールの本文を形成する本文情報、及びメールの暗号化の有無を指定する暗号化指定、などが所定のフォーマットに従って記載されている。例えば、図中<at></at>は、メッセージの送信先である複合機1を指定する情報である。なお、メッセージM1には、送信先となる相手方の証明書を添付することができ、複数の送信先が指定されている場合には、複数の証明書を添付することができる。
【0048】
また、メッセージを記載する際のフォーマットは、図4(A)に示したものに限られない。図4(A)では、XML(Extensible Markup Language)言語を使用しているが、複合機1と外部装置2が認識可能な形式であればよい。また、メッセージの送信項目も、図4(A)に示したものに限られず、例えば、送信者のユーザIDや、他のメッセージと区別するためにメッセージ名等を含むようにしてもよい。また、メッセージの送信形式は、例えば、電子メールの形式や、HTTPリクエストの形式などで送信することができる。
【0049】
図4(B)は、外部装置2において生成されたメッセージの他の例を説明する図である。メッセージM2のフォーマットは、上述したメッセージM1の項目に加えて、スキャンデータの画像IDをさらに備えている。スキャンデータの画像IDは、複合機1内にすでに記憶されているスキャンデータを特定するためのものである。ユーザは、原稿画像をスキャンしてからメッセージを作成する場合や、既存のスキャンデータを何度も使用するような場合に、画像IDを指定したメッセージを作成する。複合機1は、このメッセージを受信すると、指定された画像IDのスキャンデータを添付したメールを生成して送信する。
【0050】
(3)外部装置から送信されるメッセージの受信処理
【0051】
図5は、本実施形態に係る複合機1によるメッセージの受信処理の流れを示すフローチャートである。なお、後述するフローチャートにおける各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。メッセージの受信処理は、外部装置2から送信されるメッセージを複合機1が検知することにより開始される。
【0052】
メッセージ処理部13は、ネットワークN1を介して外部装置2から送信されるメッセージを受信する(S101)。このメッセージには、所定のフォーマットに従って、本文情報、1または複数の送信先情報および暗号化指定の有無が記載されており、1または複数の証明書が添付または非添付されている。
【0053】
メッセージ処理部13は、受信したメッセージの内容を送信者と対応付けて、RAM103に設けられたメッセージ記憶領域に記憶する(S102)。具体的には、メッセージ処理部13は、受信したメッセージから送信者のメールアドレスを特定する。また、メッセージを解析してメッセージから各情報(本文情報、1または複数の送信先情報、暗号化指定の有無)をそれぞれ抽出する。そして、メッセージ処理部13は、送信者のメールアドレスにメッセージから抽出した各情報を対応付けて記憶する。
【0054】
次に、メッセージ処理部13は、メッセージに証明書が添付されているか否かを判断し(S103)、添付されている場合は(S103;Yes)、送信者のメールアドレスに対応づけて証明書を記憶する(S104)。一方、添付されていない場合は(S103;No)、処理を終了する。
【0055】
以上によれば、複合機1が外部装置2から送信されるメッセージを受信すると、送信者のメールアドレス毎にメッセージ内の各情報がメッセージ記憶領域に記憶される。このメッセージ内の各情報は、後述するScantoMail処理において使用される。
【0056】
(4)第1のScantoMail処理
【0057】
図6は、本実施形態に係る複合機1による第1のScantoMail処理の流れを示すフローチャートである。第1のScantoMail処理は、複合機1が原稿画像の読み取り時に既に外部装置からメールの本文情報を受信している場合に実行される処理である。第1のScantoMail処理は、ユーザが複合機1にログインすることにより開始される。
【0058】
複合機1へのログインに際し、ユーザは、タッチパネル108または入力インタフェース109を操作することにより、認証情報(ユーザID)を入力する(S201)。
【0059】
認証処理部11は、ユーザの入力に基づいてユーザが正規なユーザが否かを認証する(S202)。すなわち、認証処理部11は、認証情報を管理する認証用テーブルを参照し、ユーザより入力されたユーザIDが登録されているか否かを判断する(S202)。入力されたユーザIDが認証用テーブルに登録されている場合には、認証成功として、ユーザによる複合機1の使用を許可する(S202;Yes)。また、使用中のユーザを管理するために、ユーザIDを所定の記憶領域に記憶しておく。これに対し、入力されたユーザIDが認証用テーブルに登録されていない場合には、認証失敗として、ユーザによる複合機1の使用を拒否する(S202;No)。
【0060】
次に、画像読取部11は、ユーザが、タッチパネル108等を操作することにより原稿画像の読み取りを指示すると、画像読取部12は、原稿台に置かれた原稿画像を読み取り、所定のデータ形式(JPEG、PDF、TIFF、BMPなど)に従うスキャンデータを生成し、イメージメモリ等の記憶手段に記憶する(S203)。
【0061】
次に、画像読取部11による原稿画像の読み取りが終了すると、メール生成部14は、ScantoMailにおいてメッセージにより送信された本文情報の使用が指定されているか否かを判断する(S204)。タッチパネル108等を介してユーザからメッセージによる本文情報の使用が指定されている場合は(S204;Yes)、メール生成部14は、ScantoMail処理を開始し、一方、本文情報の使用が指定されていない場合は(S204;No)、S206の暗号化処理へ進む。
【0062】
本文情報の使用が指定されている場合(S204;Yes)、メール生成部14は、ログイン時にユーザが入力した認証情報(ユーザID)に基づいて管理用テーブルを参照し、ユーザのメールアドレスを特定する。そして、特定したメールアドレスに対応するメッセージを、メッセージ記憶領域から特定する。そして、特定したメッセージの本文情報をメールの本文領域に設定する(S205)。なお、ユーザが送信したメッセージが複数存在する場合(例えば、ユーザがクライアント毎やプロジェクト毎に異なるテンプレートを用意している場合)には、メール生成部14は、メッセージのリストをタッチパネル108に表示させ、使用するメッセージをユーザがリストから選択するようにしてもよい。この場合、メール生成部14は、ユーザが選択したメッセージの本文情報をメールの本文領域に設定する(S205)。
【0063】
また、メール生成部14は、このメールのヘッダにある送信先領域に、特定したメッセージの送信先を設定する。また、このメールに、画像読取部11が生成したスキャンデータを添付ファイルとして添付する(S205)。
【0064】
メール生成部14によりメールが生成されると、証明書処理部15は、メールの暗号化が指定されているか否かを判断する(S206)。メールの暗号化が指定されている場合は(S206;Yes)、生成したメールを所定の暗号化方式に従って、送信先毎に暗号化する(S207)。なお、ここでは、予め外部装置2から送信するメッセージにおいてメールの暗号化を指定しているが、ユーザが本文情報の使用を指定する際に、メールの暗号化についても指定するように構成してもよい。また、送信先が複数指定されている場合には、送信先ごとに暗号化の有無を指定することが可能である。
【0065】
メールの暗号化は、例えば、S/MIME(Secure MIME)方式に従う場合には、メッセージに添付された証明書に含まれている公開鍵を使用して暗号化することができる。なお、S/MIME方式に従う暗号化処理には、既知の技術を使用することができるので、ここでは説明を省略する。一方、メールの暗号化が指定されていない場合は(S206;No)、証明書処理部15は、S208のメール送信処理へ進む。
【0066】
メール送信部16は、証明書処理部15による暗号化が終了すると、暗号化された(または暗号化されていない)メールを、メッセージで指定された1または複数の送信先に通信ネットワークN2を介してそれぞれ送信する(S208)。
【0067】
以上によれば、ユーザは、予め自身のPC(外部端末)2にてメールの本文を作成して複合機1へ送っておけば、原稿画像のスキャンと同時にスキャンデータを送信することが可能になるので、ScantoMailの利便性が向上する。
【0068】
また、ユーザは、スキャンデータを送信する際に、自分が作成した本文情報を何度も指定することができるので、本文情報の作成時間も短縮することが可能になる。
【0069】
また、ユーザは、メール本文を自身のPC(外部端末)2にて作成することができるので、使い慣れたユーザインタフェースを使用した本文の作成が可能になり、ScantoMailにおける操作性が高まる。
【0070】
また、ユーザは、複数の宛先を指定することができるので、送信先毎にスキャンデータの送信作業を行う必要がなる結果、操作が簡便になるとともにスキャンデータの送信に要する時間を短縮することができる。
【0071】
また、ユーザはメッセージに予め証明書を添付しておくことによりメールを自動的に暗号化して相手方へ送信することができるので、ScantoMailにおけるセキュリティを維持することができる。また、別途、証明書を複合機1へ送信する必要がないので、暗号化の際の処理が簡易になる。
【0072】
(5)第2のScantoMail処理
【0073】
次に、本実施形態に係る複合機1による第2のScantoMail処理について説明する。第2のScantoMail処理は、複合機1が原稿画像の読み取り後にメッセージを受信する場合に実行される処理である。例えば、ユーザが本文情報を生成するときにすでにスキャンデータが複合機1に存在する場合、ユーザは、本文情報等を含むメッセージにスキャンデータを特定する画像IDを含めることができる。複合機1は、受信したメッセージに含まれる画像IDからユーザが所望するスキャンデータを特定し、本文情報とともに送信先に送信する。
【0074】
図7は、本実施形態に係る複合機1による第2のScantoMail処理の流れを示すフローチャートである。第2のScantoMail処理は、例えば、ユーザが複合機1にログインすることにより開始される。
【0075】
なお、図7に示す複合機1へのログインに関する処理(S301、S302)は、図6に示す複合機1へのログインに関する処理(S201及びS202)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
ユーザの認証が成功した場合、ユーザは、タッチパネル108または入力インタフェース109を操作することにより原稿画像の読み取りを指示する。画像読取部11は、原稿台に置かれた原稿画像を読み取り、所定のデータ形式(JPEG、PDF、TIFF、BMPなど)に従うスキャンデータを生成し、イメージメモリ等の記憶手段に記憶する(S303)。
【0077】
また、画像読取部11は、スキャンデータを当該スキャンデータを一意的に特定する画像IDと対応付けて記憶する(S303)。画像IDは、例えば、スキャンデータを記憶する際のファイル名を使用することができる。画像読取部11は、この画像IDをディスプレイ108に表示する。ユーザは、ディスプレイ108に表示された画像IDを確認すると、メモするなどしてこの画像IDを控えておく。
【0078】
ユーザは、その直後もしくは所定期間経過したのちに、当該スキャンデータを所定の本文情報とともに送信したい場合、メッセージ作成時にこの画像IDを指定することができる。図4(B)は、画像IDが指定されたメッセージを示す一例である。メッセージM2では、送信先や本文などの情報に加え、画像IDが、「<File ID>img-11513352</File ID>」の構成によって指定されていることがわかる。ユーザが、外部装置2を操作してメッセージM2の送信を指示すると、外部装置2は、メッセージM2を複合機1へ送信する。なお、画像IDは複数選択することも可能である。また、画像IDの入力は、ユーザが直接入力してもよいし、外部装置2のディスプレイに画像IDのリストを表示させて選択させるようにしてもよい。この場合、外部装置2から複合機1へ画像IDのリスト要求を送信し、複合機1が当該リクエストに応じて外部装置2へ画像IDのリストを送信する。
【0079】
複合機1のメッセージ処理部13は、メッセージを受信すると、これを解析し、メッセージ内容を送信元アドレスと対応付けて記憶手段に記憶するとともに、メッセージが1または複数の画像IDを含むことを検出すると、メール生成部14を起動する。
【0080】
メール生成部14は、メッセージの送信元(メールアドレス)に対応するメッセージをメッセージ記憶領域から特定し、特定したメッセージの本文情報を本文とするメールを生成する(S305)。また、このメールの送信先に、特定したメッセージの送信先を設定する。また、メール生成部14は、メッセージで指定された1または複数の画像IDに対応する1または複数のスキャンデータをイメージメモリから特定し、作成したメールに添付ファイルとして添付する(S305)。
【0081】
以下、メールの暗号化及び送信に関する処理(S306、S307、S308)については、図6に示すメールの暗号化及び送信に関する処理(S206、S207、S208)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0082】
以上によれば、ユーザが本文情報とともに画像IDを指定するメッセージを生成して複合機1へ送信すると、複合機1が、メッセージに含まれる画像IDに基づいてスキャンデータを特定し本文情報と一緒に自動的に送信する構成としたので、例えば、予め本文情報を送信しておいたけれども原稿画像のスキャン後に本文情報を修正する必要が生じた場合、同じスキャンデータを異なる本文情報で送信する必要がある場合、複数のスキャンデータをまとめて送信する必要がある場合などにもスムーズに対応することが可能である。
【0083】
(6)他の実施形態
上記実施形態では、本文情報をメールの本文領域に設定し、スキャンデータをメールに添付して送信する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、スキャンデータを指定された宛先へFAXするScantoFAX機能にも適用可能である。この場合、本文情報をメールの本文領域に設定してスキャンデータをメールに添付して送信する代わりに、本文情報を予め設定されたFAX送付状の所定の本文領域に設定し、スキャンデータとともに、指定された送信先へ送信するように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る複合機の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
【図2】本実施形態に係る複合機1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る複合機1が備える記憶手段のデータ構造の例を示す。
【図4】複合機1と通信可能に構成された外部装置2において生成されるメッセージの一例である。
【図5】本実施形態に係る複合機1によるScantoMail処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る複合機1によるScantoMail処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】他の実施形態に係る複合機1によるScantoMail処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1…複合機、2…外部装置、11…認証処理部、12…画像読取部、13…メッセージ処理部、14…メール生成部、15…証明書処理部、16…メール送信部、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…ネットワークI/F、105…通信I/F、106…スキャナエンジン、107…プリンタエンジン、108…ディスプレイ(タッチパネル)、109…入力インタフェース、110…外部記憶装置I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信可能に構成される画像読取装置であって、
前記外部装置から送信される、本文情報と送信先を含むメッセージを受信する受信手段と、
原稿画像を読み取り画像データを生成する画像読取手段と、
前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データを、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成する生成手段をさらに備え、
前記送信手段は、
前記生成手段により生成されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
予め設定された認証情報に基づいてユーザを認証する認証処理手段をさらに備え、
前記生成手段は、
前記認証処理手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記認証処理手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記ユーザの認証に使用した認証情報に基づいて、前記受信手段により受信されたメッセージの中からユーザのメッセージを特定し、特定されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記受信手段が受信するメッセージに証明書が含まれている場合に、前記証明書を用いて前記生成手段により生成されたメールを暗号化する証明書処理手段をさらに備え、
前記送信手段は、
前記証明書処理手段により暗号化されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信することを特徴とする請求項2から4いずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取手段により生成された画像データを、当該画像データを一意的に特定する画像IDと対応付けて記憶する記憶手段をさらに備え、
前記生成手段は、
前記受信手段が受信するメッセージに画像IDが含まれている場合に、前記記憶手段に記憶される前記画像IDに対応する画像データと前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報とを含むメールを生成することを特徴とする請求項2から5いずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記画像データと対応する画像IDを表示する表示手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記送信手段は、
前記受信手段により受信されたメッセージに複数の送信先が含まれる場合に、前記複数の送信先に前記生成手段により生成されたメールをそれぞれ送信することを特徴とする請求項2から7いずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
外部装置と通信可能に構成される画像読取装置の制御方法であって、
前記外部装置から送信される、本文情報と送信先を含むメッセージを受信するステップと、
原稿画像を読み取り画像データを生成するステップと、
前記受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記生成された画像データとを含むメールを生成するステップと、
前記生成されたメールを前記受信されたメッセージに含まれる送信先に送信するステップと、
を備えることを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項10】
外部装置と、該外部装置と通信可能に構成された画像読取装置とを備える画像読取システムであって、
前記外部装置は、
本文情報と送信先を含むメッセージを画像読取装置へ送信する送信手段を備え、
前記画像読取装置は、
前記外部装置から送信されるメッセージを受信する受信手段と、
原稿画像を読み取り画像データを生成する画像読取手段と、
前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる本文情報と前記画像読取手段により生成された画像データとを含むメールを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたメールを前記受信手段により受信されたメッセージに含まれる送信先に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする画像読取システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−213079(P2009−213079A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56660(P2008−56660)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】