説明

画像読取装置

【課題】 収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が読取経路の選択部に到達するまでに反転経路の経路長よりも長い紙媒体を正しく検知することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】 収容部内の紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、読取経路の分岐点までの距離が反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、収容部内の紙媒体に接触し、分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、連れ回りローラの回転量を検出するローラ回転量検出部と、分離部による紙媒体の送出開始からの回転量に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さを判定する紙長判定部と、長さの判定結果に基づいて、紙媒体の搬送を制御する搬送制御部により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に係り、さらに詳しくは、読取部に紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路と、紙媒体を収容部から読取経路選択部を経由して読取部に案内した後、紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度読取部に案内する両面読取経路とを有する画像読取装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送中の原稿から画像を読み取る読取部に原稿の一方の面を読み取らせる片面パスと、両方の面を読み取らせる両面パスとを備えた2パス1スキャナ型の画像読取装置が従来から知られている。片面パスとしては、例えば、原稿を収容部からパスの分岐点を経由して読取部に案内した後、排出部に案内する経路が用いられる。一方、両面パスとしては、原稿を収容部からパスの分岐点を経由して読取部に案内した後、原稿を反転させる反転経路を経由して再度読取部に案内する経路が用いられる。
【0003】
上述した画像読取装置の場合、原稿の搬送方向の長さが上記反転経路の経路長よりも長ければ、原稿の後端が反転経路内に案内されるよりも前に、当該原稿の前端が反転経路の出入り口に案内されてしまう。従って、この様な原稿が反転経路内に案内されれば、出入り口付近で紙ジャムが生じたり、両面読み取りが正しく行えなくなるので、原稿が反転経路長、すなわち、上記反転経路の経路長よりも長いか否かを予め検知する必要がある。特に、反転経路長よりも長い原稿を片面パスに退避させるためには、原稿の前端がパスの分岐点に到達するまでに、当該原稿の長さが反転経路長よりも長いか否かが検知可能であることが望ましい。
【0004】
そこで、光学式センサを収容部内に配置し、収容部内に収容されている原稿の搬送方向の長さを検知することが考えられる。しかしながら、この方法は、原稿群の中に一定の長さよりも長い原稿が存在するか否かは検知できるが、収容部から搬送路へ送出中の原稿の長さを検知できないという問題があった。また、光学式センサを搬送経路上に配置し、原稿の前端及び後端を検知して原稿の長さを判定することも考えられる。しかし、この方法では、原稿が光学式センサを通過し終えるまで長さが検知できないので、長さが検知できるまでに、原稿の前端がパスの分岐点に到達してしまうという問題があった。
【0005】
紙媒体としての原稿の搬送方向の長さを検知する他の方法としては、収容部内の原稿に接触し、当該原稿の搬送路への送出時に連れ回りする連れ回りローラを配設し、連れ回りローラの回転量から長さを検知する技術が従来から知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、連れ回りローラの回転量から長さを検知する方法では、原稿の長さが反転経路長よりも長いか否かが検知できるまでに、原稿の前端がパスの分岐点に到達してしまう場合が生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−130762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる画像読取装置を提供することを目的とする。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに反転経路長よりも長い紙媒体を正しく検知することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による画像読取装置は、紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置であって、上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、上記連れ回りローラの回転量を検出するローラ回転量検出部と、上記分離部による上記紙媒体の送出開始からの上記回転量に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さを判定する紙長判定部と、上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えて構成される。
【0009】
この様な構成によれば、収容部内の紙媒体に接触して連れ回りする長さ検知用の連れ回りローラが、読取経路の分岐点までの距離が反転経路長、すなわち、反転経路の経路長よりも長い位置に配置されるので、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定することができる。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を正しく検知することができる。従って、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる。また、分離部が紙媒体の送出を開始してからの連れ回りローラの回転量に基づいて当該紙媒体の長さを判定するので、収容部内の紙媒体がピックアップされてから分離部により送出が開始されるまでの間の連れ回りローラの回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。
【0010】
第2の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記分離部及び上記連れ回りローラ間の距離が、上記反転経路の経路長よりも短いように構成される。この様な構成によれば、連れ回りローラが、分離部までの距離が反転経路長よりも短い位置に配置されるので、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を常に正しく検知することができる。また、紙媒体が分離部及び連れ回りローラ間の距離よりも短いか否かを紙媒体の送出開始時における連れ回りローラの回転の有無によって判定することができる。
【0011】
第3の本発明による画像読取装置は、紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置であって、上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、上記連れ回りローラの回転量を検出するローラ回転量検出部と、上記読取経路選択部及び上記分離部間に配置され、搬送中の上記紙媒体の前端を検出する紙前端検出センサと、上記紙媒体の前端が検出されてからの上記回転量に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さを判定する紙長判定部と、上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備え、上記紙前端検出センサ及び上記連れ回りローラ間の距離が、上記反転経路の経路長よりも短いように構成される。
【0012】
この様な構成によれば、収容部内の紙媒体に接触して連れ回りする長さ検知用の連れ回りローラが、読取経路の分岐点までの距離が反転経路長、すなわち、反転経路の経路長よりも長く、紙前端検出センサまでの距離が反転経路長よりも短い位置に配置されるので、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを常に正しく判定することができる。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を常に正しく検知することができる。従って、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる。また、読取経路選択部及び分離部間に配置される紙前端検出センサによって紙媒体の前端が検出されてからの連れ回りローラの回転量に基づいて当該紙媒体の長さを判定するので、紙媒体が収容部から紙前端検出センサまで搬送される間の連れ回りローラの回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。ここでいう紙前端検出センサとは、搬送中の紙媒体の前端を少なくとも検出することができるセンサのことであり、前端のみを検出可能なセンサだけでなく、紙媒体の前端及び後端を検出可能なセンサも含まれる。
【0013】
第4の本発明による画像読取装置は、紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置であって、上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長く、上記分離部までの距離が上記反転経路の経路長よりも短い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、上記連れ回りローラの回転を検出するローラ回転検出部と、上記分離部による上記紙媒体の送出開始からの上記連れ回りローラの回転継続時間に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さが上記反転経路の経路長よりも長いか否かを判定する紙長判定部と、上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えて構成される。
【0014】
この様な構成によれば、収容部内の紙媒体に接触して連れ回りする長さ検知用の連れ回りローラが、読取経路の分岐点までの距離が反転経路長、すなわち、反転経路の経路長よりも長く、分離部までの距離が反転経路長よりも短い位置に配置されるので、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを常に正しく判定することができる。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を常に正しく検知することができる。従って、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる。また、分離部が紙媒体の送出を開始してからの連れ回りローラの回転継続時間に基づいて当該紙媒体の長さを判定するので、収容部内の紙媒体がピックアップされてから分離部により送出が開始されるまでの間の連れ回りローラの回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。さらに、紙媒体が分離部及び連れ回りローラ間の距離よりも短いか否かを紙媒体の送出開始時における連れ回りローラの回転の有無によって判定することもできる。
【0015】
第5の本発明による画像読取装置は、紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置であって、上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、上記連れ回りローラの回転を検出するローラ回転検出部と、上記読取経路選択部及び上記分離部間であって、上記連れ回りローラまでの距離が上記反転経路の経路長と略同一である位置に配置され、搬送中の上記紙媒体の前端を検出する紙前端検出センサと、上記紙媒体の前端が検出された際の上記連れ回りローラの回転の有無に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さが上記反転経路の経路長よりも長いか否かを判定する紙長判定部と、上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えて構成される。
【0016】
この様な構成によれば、収容部内の紙媒体に接触して連れ回りする長さ検知用の連れ回りローラが、読取経路の分岐点までの距離が反転経路長、すなわち、反転経路の経路長よりも長く、紙前端検出センサまでの距離が反転経路長と略同一である位置に配置されるので、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを常に正しく判定することができる。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を常に正しく検知することができる。従って、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる。また、読取経路選択部及び分離部間に配置される紙前端検出センサによって紙媒体の前端が検出された際の連れ回りローラの回転の有無に基づいて当該紙媒体の長さを判定するので、紙媒体が収容部から紙前端検出センサまで搬送される間の連れ回りローラの回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。
【0017】
第6の本発明による画像読取装置は、上記構成に加え、上記収容部内で積み重ねられた2以上の上記紙媒体の前端の搬送方向の位置を位置決めする位置決め手段を備えて構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による画像読取装置によれば、収容部内の紙媒体に接触して連れ回りする長さ検知用の連れ回りローラが、読取経路の分岐点までの距離が反転経路長よりも長い位置に配置されるので、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定することができる。特に、収容部から搬送路へ送出中の紙媒体について、紙媒体の前端が上記分岐点に到達するまでに、搬送方向の長さが反転経路長よりも長い紙媒体を正しく検知することができる。従って、紙媒体の前端が読取経路の分岐点に到達するまでに当該紙媒体が反転経路長よりも長いか否かを判定して搬送制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1による画像読取装置の一構成例を示した外観図であり、画像読取装置の一例として複合機100が示されている。
【図2】図1の複合機100の要部における構成例を示した断面図であり、ADF部10周辺の様子が模式的に示されている。
【図3】図1の複合機100の要部における構成例を示したブロック図であり、読取制御部60が示されている。
【図4】図1の複合機100における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2による画像読取装置の構成例を示した断面図であり、複合機200のADF部210周辺の様子が模式的に示されている。
【図6】図5の複合機200の要部における構成例を示したブロック図であり、読取制御部70が示されている。
【図7】図6の複合機200における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3による画像読取装置の構成例を示したブロック図であり、読取制御部80が示されている。
【図9】図8の画像読取装置における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態4による画像読取装置の構成例を示したブロック図であり、読取制御部90が示されている。
【図11】図10の画像読取装置における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
<複合機>
図1は、本発明の実施の形態1による画像読取装置の一構成例を示した外観図であり、画像読取装置の一例として複合機100が示されている。複合機(Multifunction Peripheral:MFP)100は、スキャナ機能、プリンタ機能、FAX(ファクシミリ)送受信機能などの機能を備えた画像処理装置であり、これらの機能を選択的に実行させることができる。
【0021】
この複合機100は、給紙トレイ部11及び排紙トレイ部12が設けられたADF(オートドキュメントフィーダ)部10と、スキャナ部、印刷部、通信処理部などを内蔵する本体部20とからなる。給紙トレイ部11は、原稿を収容する原稿収容部である。
【0022】
ADF部10は、給紙トレイ部11内の原稿を1枚ずつ分離して搬送路へ送出し、本体部20のスキャナ部に画像を読み取らせて排紙トレイ部12内に排出する自動原稿搬送装置である。このADF部10では、給紙トレイ部11及び排紙トレイ部12が、いずれもADF部10筐体の右端部に配設されており、排紙トレイ部12は、給紙トレイ部11の下側に位置している。
【0023】
本体部20には、筐体上面に操作パネル21が配設され、筐体下部に印刷用の用紙を収容する給紙カセット22が設けられている。操作パネル21には、スタートキー、テンキーなどの各種操作キーと、操作情報、動作状態などを表示する表示部が設けられている。
【0024】
<ADF部>
図2は、図1の複合機100の要部における構成例を示した断面図であり、ADF部10周辺の様子が模式的に示されている。このADF部10は、給紙トレイ部11から送出された原稿A1をスキャナ部24を経由して排紙トレイ部12まで案内する読取経路として、片面パス及び両面パスを有し、パス選択部5を制御することによって切り替えることができる。原稿A1は、文字、記号、図形などの画像が印刷などによって予め記録された紙媒体である。
【0025】
本体部20筐体の上面の一部は、光源部23及びスキャナ部24を左右方向に移動させながら光学読み取りが行われるフラットベッドとなっている。ADF部10は、その筐体下面を本体部20のフラットベッドに対向させて配置されている。
【0026】
光源部23は、上記フラットベッド上の原稿に光を照射する投光器である。スキャナ部24は、原稿から画像を光学的に読み取る読取部であり、原稿によって反射された光を受光するイメージセンサなどからなる。
【0027】
この光源部23及びスキャナ部24は、ADF部10により搬送中の原稿A1から画像を読み取るオートドキュメントフィード動作と、本体部20のフラットベッドに載置された原稿を読み取る直接読取動作とに用いられる。
【0028】
ADF部10は、給紙トレイ部11及び排紙トレイ部12の他に、ピックアップローラ1、分離ローラ2、リタードローラ3、搬送ローラ4,41〜50及びパス選択部5を備えて構成される。また、給紙トレイ部11には、原稿台31、原稿ストッパー32、ガイド板33及び長さ検知ローラ35が配設され、例えば、搬送方向、この図では、左右方向の長さの異なる原稿A1が混在した状態で複数の原稿A1が収容されている。
【0029】
原稿台31は、主面を水平面と略平行に配設され、バネなどの付勢手段によって上方向に付勢された薄い平面板であり、上面上に載置された原稿A1をピックアップローラ1に押し付けている。原稿ストッパー32は、原稿台31上に積み重ねて載置された複数の原稿A1について、各原稿A1の前端、すなわち、紙送り方向、この図では左方向の端の搬送方向の位置を位置決めする位置決め手段である。
【0030】
ガイド板33は、給紙トレイ部11内で積み重ねられた複数の原稿A1について、搬送方向に交差する方向の位置を規制し、各原稿A1を搬送方向に案内する規制手段であり、主面を水平方向に向けて配設された平面板からなる。
【0031】
ピックアップローラ1、分離ローラ2及びリタードローラ3は、給紙トレイ部11内の原稿A1を1枚ずつ分離して搬送路B1へ送出する分離部である。ピックアップローラ1は、原稿A1を送り方向に付勢することによって給紙トレイ部11内の原稿A1を1枚ずつ取り出し、分離ローラ2側へ送出するための搬送ローラである。
【0032】
ここでは、上方向に付勢された原稿台31上に多数の原稿A1が積載されており、原稿A1の積載量に関わらず、最上部の原稿A1は、常にピックアップローラ1に当接しているものとする。
【0033】
分離ローラ2及びリタードローラ3は、ピックアップローラ1によって送出された原稿A1を1枚ずつ分離して搬送路B1へ送出するための分離装置である。分離ローラ2は、原稿A1を送り方向に搬送する搬送ローラである。
【0034】
リタードローラ3は、重送状態の原稿A1に戻り方向の摩擦力を作用するための従動ローラであり、搬送中の原稿A1を挟むように周面を分離ローラ2に対向して配置されている。つまり、分離ローラ2が搬送路B1の上側に配置されているのに対して、リタードローラ3は、搬送路B1の下側に配置されている。このリタードローラ3には、一定レベルを越えるトルクが付加された際に従動回転するようにトルクリミッタが設けられている。
【0035】
片面パスは、スキャナ部24に原稿A1の一方の面、すなわち、給紙トレイ部11内に収容された原稿A1の上側の面(第1面)を読み取らせる読取経路であり、搬送路B1、パスの分岐点、搬送路B11及びB2からなる。この片面パスは、原稿A1を給紙トレイ部11から搬送路B1、分岐点、搬送路B11、スキャナ部24及び搬送路B2を経て排出部34に案内する経路となっている。
【0036】
排出部34は、ADF部10筐体に設けられた読取済みの紙媒体を排出するための開口部であり、排出部34から排出された原稿A1は、排紙トレイ部12内に収容される。
【0037】
一方、両面パスは、スキャナ部24に原稿A1の第1面と、他方の面、すなわち、給紙トレイ部11内の原稿A1の下側の面(第2面)との両方の面を読み取らせる読取経路であり、搬送路B1、パスの分岐点、搬送路B21,B22及びB2からなる。この両面パスは、原稿A1を給紙トレイ部11から搬送路B1、分岐点、搬送路B21、スキャナ部24、搬送路B22、スキャナ部24及び搬送路B2を経て排出部34に案内する経路となっている。
【0038】
搬送路B1は、片面パス及び両面パスに共通の搬送路であり、分離ローラ2によって送出された原稿A1をパス選択部5へ搬送する搬送ローラ4が配設されている。
【0039】
パス選択部5は、片面パス又は両面パスのいずれかを選択する読取経路のセレクタであり、パスの分岐点に配置されている。このパス選択部5は、例えば、爪状の回転部材を回転させることによって読取経路の切り替えが行われる。
【0040】
搬送路B11は、原稿A1の第1面の読み取りに使用される搬送路であり、パス選択部5を通過した原稿A1をスキャナ部24へ搬送する搬送ローラ41〜44が配設されている。搬送路B2は、片面パス及び両面パスに共通の搬送路であり、スキャナ部24による画像読取後の原稿A1を排出部34へ搬送する搬送ローラ45及び46が配設されている。
【0041】
搬送路B21は、原稿A1の第2面をスキャナ部24に読み取らせるために、パス選択部5を通過した原稿A1をスキャナ部24へ搬送する搬送路であり、搬送ローラ47及び45が配設されている。
【0042】
搬送路B22は、スキャナ部24による第2面の読取後の原稿A1を反転させて、当該スキャナ部24に原稿A1の第1面を読み取らせるための反転経路であり、搬送ローラ43,44,48〜50が配設されている。
【0043】
搬送路B11及びB22は、その一部が片面パス及び両面パスに共通の搬送路となっており、搬送ローラ43及び44は、両パスの共通部分に配置されている。
【0044】
ピックアップローラ1、分離ローラ2、搬送ローラ4及び41〜50は、給紙トレイ部11から排出部34まで原稿A1を搬送する搬送手段であり、ローラ駆動部、例えば、共通の電気モーターによって駆動される。
【0045】
搬送ローラ4,41〜43,46及び47〜50は、ローラ駆動部によって回転駆動される駆動ローラと、搬送路を挟んで駆動ローラに対向して配置された従動ローラとからなる。搬送ローラ44及び45は、駆動ローラと、駆動ローラを挟むようにそれぞれ配置された2つの従動ローラとからなる3連ローラである。
【0046】
搬送ローラ44は、搬送ローラ43によって送出された原稿A1をスキャナ部24へ搬送し、また、スキャナ部24による第2面の読取後の原稿A1を搬送ローラ48へ搬送する。搬送ローラ45は、搬送ローラ47によって送出された原稿A1をスキャナ部24へ搬送し、また、スキャナ部24による第1面の読取後の原稿A1を搬送ローラ46へ搬送する。
【0047】
片面パスは、原稿A1を給紙トレイ部11から排出部34まで搬送する際に、分離ローラ2、搬送ローラ4、パス選択部5、搬送ローラ41〜44、スキャナ部24、搬送ローラ45及び46をこの順序で案内する経路となっている。
【0048】
一方、両面パスは、分離ローラ2、搬送ローラ4、パス選択部5、搬送ローラ47,45、スキャナ部24、搬送ローラ44,48〜50,43,44、スキャナ部24、搬送ローラ45及び46をこの順序で案内する経路となっている。つまり、両面パスは、原稿A1を給紙トレイ部11からパス選択部5を経由してスキャナ部24に案内した後、原稿A1を反転させる搬送路B22を経由して再度スキャナ部24に案内する経路となっている。
【0049】
長さ検知ローラ35は、給紙トレイ部11内の原稿A1に接触し、分離ローラ2による当該原稿A1の送出時に連れ回りする連れ回りローラであり、その回転量に基づいて原稿A1の搬送方向の長さを検知することができる。
【0050】
この長さ検知ローラ35は、原稿A1の前端がパスの分岐点に到達するまでに、当該原稿A1が搬送路B22の経路長よりも長いか否かを検知するために、上記分岐点までの距離D1が上記経路長よりも長い位置に配置されている。具体的には、搬送路B22の経路長を反転経路長Dとして、距離D1が反転経路長Dよりも長い位置に配置されている(D1>D)。また、長さ検知ローラ35は、搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長い原稿A1を常に正しく検知するために、分離ローラ2までの距離D2が反転経路長Dよりも短い位置に配置されている(D2<D)。
【0051】
<読取制御部>
図3は、図1の複合機100の要部における構成例を示したブロック図であり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5を制御し、搬送ローラを駆動する読取制御部60が示されている。この読取制御部60は、ローラ回転量検出部61、紙長判定部62、搬送制御部63、ローラ駆動部64及び回転量リセット部65からなり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5を制御し、搬送ローラを駆動する動作を行っている。
【0052】
ローラ駆動部64は、ピックアップローラ1、分離ローラ2、搬送ローラ4及び41〜50を回転駆動する動作を行っている。搬送制御部63は、原稿A1の搬送を制御する制御部であり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5及びローラ駆動部64を制御する動作を行っている。
【0053】
例えば、ユーザが指定した読取経路に搬送路を切り替え、読み取り開始の指示に基づいて搬送ローラを駆動させる動作が行われる。
【0054】
ローラ回転量検出部61は、回転量リセット部65からのリセット信号に基づいて、長さ検知ローラ35の回転量を検出し、その検出結果を紙長判定部62へ出力する動作を行っている。ここでは、リセット後の回転量、例えば、長さ検知ローラ35の回転角度又は回転数を一定時間ごとに検出する動作が行われるものとする。
【0055】
紙長判定部62は、ローラ回転量検出部61による検出結果に基づいて、原稿A1の搬送方向の長さを判定し、その判定結果を搬送制御部63へ出力する動作を行っている。回転量リセット部65は、回転量の検出値をリセットするためのリセット信号を分離ローラ2による原稿A1の送出開始時に生成する動作を行っている。
【0056】
紙長判定部62では、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転量を原稿A1の搬送方向の長さに換算し、これに分離ローラ2及び長さ検知ローラ35間の距離D2を加算して紙長を判定する動作が行われる。
【0057】
搬送制御部63では、紙長判定部62による長さの判定結果に基づいて、原稿A1の搬送を制御する動作が行われる。例えば、搬送中の原稿A1の搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いことが検知された場合に、当該原稿A1の前端がパス選択部5に到達するまでに搬送を停止させる制御が行われる。
【0058】
<両面読取動作>
図4のステップS101〜S107は、図1の複合機100における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、搬送制御部63は、ローラ駆動部64を制御して搬送ローラを回転駆動させる(ステップS101)。
【0059】
次に、ローラ回転量検出部61は、分離ローラ2による原稿A1の送出開始後の長さ検知ローラ35の回転量を検出し、紙長判定部62は、回転量の検出結果に基づいて当該原稿A1の搬送方向の長さを判定する(ステップS102,S103)。
【0060】
このとき、搬送制御部63は、搬送中の原稿A1について、搬送方向の長さが上限、すなわち、反転経路長Dよりも長ければ、直ちに搬送を停止させ、この処理を終了する(ステップS104,S107)。
【0061】
一方、搬送方向の長さが上限を越えていない場合には、原稿A1の搬送をそのまま継続させ、長さ検知ローラ35の回転が停止するまでステップS102からステップS104までの処理手順を繰り返す(ステップS105)。
【0062】
搬送制御部63は、長さの判定値が上限を越えることなく、長さ検知ローラ35の回転が停止すれば、原稿A1をそのままスキャナ部24まで搬送させ、スキャナ部24に画像読み取りを実行させてこの処理を終了する(ステップS106)。
【0063】
本実施の形態によれば、給紙トレイ部11内の原稿A1に接触して連れ回りする長さ検知ローラ35が、パスの分岐点までの距離D1が反転経路長Dよりも長い位置に配置されるので、原稿A1の前端が上記分岐点に到達するまでに当該原稿A1が反転経路長Dよりも長いか否かを判定することができる。また、分離ローラ2が原稿A1の送出を開始してからの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて当該原稿A1の長さを判定するので、給紙トレイ部11内の原稿A1がピックアップされてから分離部により送出が開始されるまでの間の長さ検知ローラ35の回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。
【0064】
また、長さ検知ローラ35が、分離ローラ2までの距離D2が反転経路長Dよりも短い位置に配置されるので、搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長い原稿A1を常に正しく検知することができる。また、原稿A1が分離ローラ2及び長さ検知ローラ35間の距離D2よりも短いか否かを原稿A1の送出開始時における長さ検知ローラ35の回転の有無によって判定することもできる。
【0065】
実施の形態2.
実施の形態1では、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて、当該原稿A1の搬送方向の長さが判定される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、原稿A1の前端が紙検出センサによって検出されてからの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて、原稿A1の長さを判定する場合について説明する。
【0066】
図5は、本発明の実施の形態2による画像読取装置の構成例を示した断面図であり、複合機200のADF部210周辺の様子が模式的に示されている。このADF部210は、図2のADF部10と比較すれば、紙前端検出センサ71を備えている点で異なる。
【0067】
紙前端検出センサ71は、パス選択部5及び分離ローラ2間に配置され、搬送中の原稿A1の前端を少なくとも検出することができるセンサであり、所定の繰返し間隔で紙媒体の有無を検出することによって、搬送中の原稿A1の前端の通過時点を検知することができる。紙前端検出センサ71は、搬送中の原稿A1の前端のみを検出可能なセンサであっても良いし、搬送中の原稿A1の前端及び後端を検出可能なセンサであっても良い。
【0068】
この様な紙前端検出センサ71として、例えば、検出光を出射する投光部と、投光部からの検出光を受光する受光部とからなる光学式センサを用いることができる。
【0069】
長さ検知ローラ35は、搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長い原稿A1を常に正しく検知するために、紙前端検出センサ71までの距離D3が、反転経路長Dよりも短くなる位置に配置されている(D3<D)。この場合、D3>D2であることから、分離ローラ2までの距離D2は、D2<Dとなっている。
【0070】
この例では、紙前端検出センサ71が、搬送ローラ4及び分離ローラ2間に配置されている。
【0071】
図6は、図5の複合機200の要部における構成例を示したブロック図であり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5を制御し、搬送ローラを駆動する読取制御部70が示されている。この読取制御部70は、ローラ回転量検出部72、紙長判定部62、搬送制御部63及びローラ駆動部64からなる。紙長判定部62、搬送制御部63及びローラ駆動部64は、図3の読取制御部60と同様の動作を行っている。
【0072】
ローラ回転量検出部72は、紙前端検出センサ71の出力に基づいて、長さ検知ローラ35の回転量を検出し、その検出結果を紙長判定部62へ出力する動作を行っている。具体的には、搬送中の原稿A1の前端が紙前端検出センサ71によって検出されてからの回転量を一定時間ごとに検出する動作が行われる。
【0073】
図7のステップS201〜S208は、図6の複合機200における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、搬送制御部63は、ローラ駆動部64を制御して搬送ローラを回転駆動させる(ステップS201)。
【0074】
次に、ローラ回転量検出部72は、紙前端検出センサ71によって搬送中の原稿A1の前端が検出されれば(ステップS202)、前端検出後の長さ検知ローラ35の回転量を検出し、紙長判定部62は、回転量の検出結果に基づいて当該原稿A1の搬送方向の長さを判定する(ステップS203,S204)。
【0075】
このとき、搬送制御部63は、搬送中の原稿A1について、搬送方向の長さが上限、すなわち、反転経路長Dよりも長ければ、直ちに搬送を停止させ、この処理を終了する(ステップS205,S208)。
【0076】
一方、搬送方向の長さが上限を越えていない場合には、原稿A1の搬送をそのまま継続させ、長さ検知ローラ35の回転が停止するまでステップS203からステップS205までの処理手順を繰り返す(ステップS206)。
【0077】
搬送制御部63は、長さの判定値が上限を越えることなく、長さ検知ローラ35の回転が停止すれば、原稿A1をそのままスキャナ部24まで搬送させ、スキャナ部24に画像読み取りを実行させてこの処理を終了する(ステップS207)。
【0078】
本実施の形態によれば、給紙トレイ部11内の原稿A1に接触して連れ回りする長さ検知ローラ35が、パス選択部5までの距離D1が反転経路長Dよりも長く、紙前端検出センサ71までの距離D3が反転経路長Dよりも短い位置に配置されるので、原稿A1の前端がパスの分岐点に到達するまでに当該原稿A1が反転経路長Dよりも長いか否かを常に正しく判定することができる。また、パス選択部5及び分離ローラ2間に配置される紙前端検出センサ71によって原稿A1の前端が検出されてからの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて当該原稿A1の長さを判定するので、原稿A1が給紙トレイ部11から紙前端検出センサ71まで搬送される間の長さ検知ローラ35の回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態1では、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて、当該原稿A1の搬送方向の長さが判定される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転継続時間に基づいて、原稿A1の長さを判定する場合について説明する。
【0080】
図8は、本発明の実施の形態3による画像読取装置の構成例を示したブロック図であり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5を制御し、搬送ローラを駆動する読取制御部80が示されている。この読取制御部80は、ローラ回転検出部81、紙長判定部82、タイマー83、搬送制御部63及びローラ駆動部64からなる。搬送制御部63及びローラ駆動部64は、図3の読取制御部60と同様の動作を行っている。
【0081】
ローラ回転検出部81は、長さ検知ローラ35の回転を検出し、その検出結果を紙長判定部82へ出力する動作を行っている。ここでは、長さ検知ローラ35が回転しているか否かを一定時間ごとに検出する動作が行われるものとする。
【0082】
タイマー83は、分離ローラ2による原稿A1の送出に基づいて起動し、送出開始からの経過時間を計測するための計時手段である。
【0083】
紙長判定部82は、タイマー83の出力に基づいて、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転継続時間を判断し、この回転継続時間に基づいて、当該原稿A1の搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いか否かを判定する動作を行っている。
【0084】
図9のステップS301〜S308は、図8の画像読取装置における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、搬送制御部63は、ローラ駆動部64を制御して搬送ローラを回転駆動させる(ステップS301)。
【0085】
次に、紙長判定部82は、分離ローラ2による原稿A1の送出開始時に、ローラ回転検出部81によって長さ検知ローラ35の回転が検出されていなければ、当該原稿A1は距離D2よりも短いと判定する。このとき、搬送制御部63は、原稿A1をそのままスキャナ部24まで搬送させ、スキャナ部24に画像読み取りを実行させてこの処理を終了する(ステップS302,S307)。
【0086】
一方、長さ検知ローラ35の回転が検出されていれば、タイマー83が起動し(ステップS302,S303)、紙長判定部82は、長さ検知ローラ35の回転の継続時間から原稿A1の搬送方向の長さを判定する(ステップS304)。
【0087】
このとき、搬送制御部63は、搬送中の原稿A1について、搬送方向の長さが上限、すなわち、反転経路長Dよりも長ければ、直ちに搬送を停止させ、この処理を終了する(ステップS305,S308)。
【0088】
一方、搬送方向の長さが上限を越えていない場合には、原稿A1の搬送をそのまま継続させ、長さ検知ローラ35の回転が停止するまでステップS304からステップS305までの処理手順を繰り返す(ステップS306)。
【0089】
搬送制御部63は、長さの判定値が上限を越えることなく、長さ検知ローラ35の回転が停止すれば、原稿A1をそのままスキャナ部24まで搬送させ、スキャナ部24に画像読み取りを実行させてこの処理を終了する(ステップS307)。
【0090】
本実施の形態によれば、給紙トレイ部11内の原稿A1に接触して連れ回りする長さ検知ローラ35が、パス選択部5までの距離D1が反転経路長Dよりも長く、分離ローラ2までの距離D2が反転経路長Dよりも短い位置に配置されるので、原稿A1の前端がパスの分岐点に到達するまでに当該原稿A1が反転経路長Dよりも長いか否かを常に正しく判定することができる。また、分離ローラ2が原稿A1の送出を開始してからの長さ検知ローラ35の回転継続時間に基づいて当該原稿A1の長さを判定するので、給紙トレイ部11内の原稿A1がピックアップされてから分離部により送出が開始されるまでの間の長さ検知ローラ35の回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。さらに、原稿A1が分離ローラ2及び長さ検知ローラ35間の距離D2よりも短いか否かを原稿A1の送出開始時における長さ検知ローラ35の回転の有無によって判定することもできる。
【0091】
実施の形態4.
実施の形態1では、分離ローラ2による原稿A1の送出開始からの長さ検知ローラ35の回転量に基づいて、当該原稿A1の搬送方向の長さが判定される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、原稿A1の前端が紙前端検出センサ71によって検出された際の長さ検知ローラ35の回転の有無に基づいて、原稿A1の搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いか否かを判定する場合について説明する。
【0092】
図10は、本発明の実施の形態4による画像読取装置の構成例を示したブロック図であり、操作パネル21からの入力信号に基づいてパス選択部5を制御し、搬送ローラを駆動する読取制御部90が示されている。この読取制御部90は、ローラ回転検出部81、紙長判定部91、搬送制御部63及びローラ駆動部64からなる。搬送制御部63及びローラ駆動部64は、図3の読取制御部60と同様の動作を行っている。
【0093】
ローラ回転検出部81は、長さ検知ローラ35の回転を検出し、その検出結果を紙長判定部91へ出力する動作を行っている。ここでは、長さ検知ローラ35が回転しているか否かを一定時間ごとに検出する動作が行われるものとする。
【0094】
紙前端検出センサ71は、パス選択部5及び分離ローラ2間であって、長さ検知ローラ35までの距離D3が反転経路長Dと略同一である位置に配置される。
【0095】
紙長判定部91は、紙前端検出センサ71によって搬送中の原稿A1の前端が検出された際の長さ検知ローラ35の回転の有無に基づいて、当該原稿A1の搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いか否かを判定する動作を行っている。
【0096】
図11のステップS401〜S405は、図10の画像読取装置における両面読取時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、搬送制御部63は、ローラ駆動部64を制御して搬送ローラを回転駆動させる(ステップS401)。
【0097】
次に、紙長判定部91は、紙前端検出センサ71によって搬送中の原稿A1の前端が検出されれば(ステップS402)、ローラ回転検出部81によって長さ検知ローラ35の回転が検出されているか否かを参照する(ステップS403)。
【0098】
このとき、紙長判定部91は、長さ検知ローラ35の回転が検出されていなければ、当該原稿A1の搬送方向の長さは上限、すなわち、反転経路長Dよりも短いと判定する。そして、搬送制御部63は、原稿A1をそのままスキャナ部24まで搬送させ、スキャナ部24に画像読み取りを実行させてこの処理を終了する(ステップS404)。
【0099】
一方、紙長判定部91は、長さ検知ローラ35の回転が検出されていれば、当該原稿A1の搬送方向の長さが上限よりも長いと判断する。そして、搬送制御部63は、直ちに搬送を停止させ、この処理を終了する(ステップS405)。
【0100】
本実施の形態によれば、給紙トレイ部11内の原稿A1に接触して連れ回りする長さ検知ローラ35が、パス選択部5までの距離D1が反転経路長Dよりも長く、紙前端検出センサ71までの距離D3が反転経路長Dと略同一である位置に配置されるので、原稿A1の前端がパスの分岐点に到達するまでに当該原稿A1が反転経路長Dよりも長いか否かを常に正しく判定することができる。また、パス選択部5及び分離ローラ2間に配置される紙前端検出センサ71によって原稿A1の前端が検出された際の長さ検知ローラ35の回転の有無に基づいて当該原稿A1の長さを判定するので、原稿A1が給紙トレイ部11から紙前端検出センサ71まで搬送される間の長さ検知ローラ35の回転を無視することができ、長さの検知精度を向上させることができる。
【0101】
なお、実施の形態1から4では、搬送中の原稿A1について、搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いと判定されれば、当該原稿A1の搬送を直ちに停止させる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、搬送中の原稿A1の搬送方向の長さが反転経路長Dよりも長いと判定された場合に、エラー報知し、或いは、両面パスから片面パスに搬送路を切り替え、或いは、搬送方向を反転させても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 ピックアップローラ
2 分離ローラ
3 リタードローラ
4,41〜50 搬送ローラ
5 パス選択部
10 ADF部
11 給紙トレイ部
12 排紙トレイ部
20 本体部
21 操作パネル
22 給紙カセット
23 光源部
24 スキャナ部
31 原稿台
32 原稿ストッパー
33 ガイド板
34 排出部
35 長さ検知ローラ
60 読取制御部
61 ローラ回転量検出部
62 紙長判定部
63 搬送制御部
64 ローラ駆動部
65 回転量リセット部
71 紙前端検出センサ
100,200 複合機
210 ADF部
A1 原稿
B1,B2,B11,B21,B22 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置において、
上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、
上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、
上記連れ回りローラの回転量を検出するローラ回転量検出部と、
上記分離部による上記紙媒体の送出開始からの上記回転量に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さを判定する紙長判定部と、
上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記分離部及び上記連れ回りローラ間の距離が、上記反転経路の経路長よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置において、
上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、
上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、
上記連れ回りローラの回転量を検出するローラ回転量検出部と、
上記読取経路選択部及び上記分離部間に配置され、搬送中の上記紙媒体の前端を検出する紙前端検出センサと、
上記紙媒体の前端が検出されてからの上記回転量に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さを判定する紙長判定部と、
上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備え、
上記紙前端検出センサ及び上記連れ回りローラ間の距離が、上記反転経路の経路長よりも短いことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置において、
上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、
上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長く、上記分離部までの距離が上記反転経路の経路長よりも短い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、
上記連れ回りローラの回転を検出するローラ回転検出部と、
上記分離部による上記紙媒体の送出開始からの上記連れ回りローラの回転継続時間に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さが上記反転経路の経路長よりも長いか否かを判定する紙長判定部と、
上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
紙媒体を収容する収容部と、上記収容部から排出部まで上記紙媒体を搬送する搬送手段と、搬送中の上記紙媒体から画像を読み取る読取部と、上記読取部に上記紙媒体の一方の面を読み取らせる片面読取経路、及び、上記紙媒体の両方の面を読み取らせる両面読取経路の分岐点に配設され、上記片面読取経路及び上記両面読取経路のいずれかを選択する読取経路選択部とを有し、上記両面読取経路が、上記紙媒体を上記収容部から上記分岐点を経由して上記読取部に案内した後、上記紙媒体を反転させる反転経路を経由して再度上記読取部に案内する画像読取装置において、
上記収容部内の上記紙媒体を分離して搬送路へ送出する分離部と、
上記分岐点までの距離が上記反転経路の経路長よりも長い位置に配置され、上記収容部内の上記紙媒体に接触し、上記分離部による当該紙媒体の送出時に連れ回りする連れ回りローラと、
上記連れ回りローラの回転を検出するローラ回転検出部と、
上記読取経路選択部及び上記分離部間であって、上記連れ回りローラまでの距離が上記反転経路の経路長と略同一である位置に配置され、搬送中の上記紙媒体の前端を検出する紙前端検出センサと、
上記紙媒体の前端が検出された際の上記連れ回りローラの回転の有無に基づいて、当該紙媒体の搬送方向の長さが上記反転経路の経路長よりも長いか否かを判定する紙長判定部と、
上記長さの判定結果に基づいて、上記紙媒体の搬送を制御する搬送制御部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
上記収容部内で積み重ねられた2以上の上記紙媒体の前端の搬送方向の位置を位置決めする位置決め手段を備えたことを特徴とする請求項1又は3から5のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−215358(P2010−215358A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63890(P2009−63890)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】