説明

界面重合によるカプセル化疎水性活性物質

本発明は、パーソナルケア組成物及び低粘度疎水性液体活性物質の保護方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのパーソナルケア組成物は水不溶性又は疎水性活性物質を含んでいる。このような活性物質は、前記組成物をべとついた感触にし得る。感性知覚は、パーソナルケアマーケットに於いて重要なセールスポイントであるので、これは望ましくない。更に、例えば製品の感触が不十分な有効活用を起こす場合には、日焼け止め(サンスクリーン)又は他の有益なパーソナルケア組成物の好ましくない感性知覚を伴う健康問題が存在する。
【0003】
刺激性及び感性問題に加えて、日焼け止め配合者は、従来、アボベンゾン(avobenzone)が感光性(photolabile)であるという課題を抱えてきた。このような困難を克服するための一つの戦略は、疎水性活性物質を絶縁する又はカプセル化することである。従来、カプセル化には、高剪断及び/又は溶媒交換プロセスが必要であった。従って、必要なものは、カプセルに入れられた又は他の方法で保護された疎水性パーソナルケア活性物質を含む改良方法及び組成物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及び第一の界面重合性成分と組み合わせて、油相を形成し、そして次に、この第一の界面重合性成分を、相補的界面重合性(complementary interfacially polymerizable)成分と反応させることによって、ポリマーのシェル中に疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0005】
一つの態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、そして次に、このイソシアネートをアミンと反応させることによってポリウレアのシェル中にこの疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0006】
別の態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、この油相を水によって乳化し、多官能性アミンを水と組合せる、そしてこのイソシアネートをアミンと反応させ、それによってポリウレアのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0007】
更に別の態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の、易拡布性を改良し、皮膚への吸着性を改良し、粘着性を減少し、べとつき性を減少する方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、この油相を水によって乳化し、多官能性アミンを水と組合せ、そしてこのアミン及び水の混合物を、混合しながら増分的に(incrementally)、このエマルジョンに添加することによって、このイソシアネートをアミンと反応させてポリウレアのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一つの態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及び第一の界面重合性成分と組合せて、油相を形成し、そして次に、この第一の界面重合性成分を、相補的界面重合性成分と反応させることによって、ポリマーのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0009】
好ましい界面重合性成分(interfacially polymerizable component)は、(ポリアミドを形成する)ジアミン及び二酸クロリド、(ポリスルホンアミドを形成する)ジアミン及びジ/ポリスルホニルクロリド、(ポリエステルを形成する)ジ/ポリオール及びポリ酸クロリド若しくはジカルボン酸、(ポリカーボネートを形成する)ジ/ポリオール及びポリクロロホルメート若しくはホスゲン、(ポリウレタンを形成する)イソシアネート及びジオール又は(ポリウレアを形成する)ジアミン及びイソシアネートを含む。特に好ましい界面重合性成分はジアミン及びイソシアネートを含む。
【0010】
従って、一つの態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、そして次に、このイソシアネートをアミンと反応させることによってポリウレアのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0011】
「感性(Aesthetics)」は、感覚知覚、例えば外観、嗅覚及び触感特性を指す。一つの態様に於いて、本発明の方法によって製造されたパーソナルケア組成物は、改良された易拡布性(ease of spread)及び皮膚への吸着性を示す。一つの態様に於いて、本発明の方法によって製造されたパーソナルケア組成物は、減少した粘着性(tackiness)及びべとつき性(greasiness)を示す。一つの態様に於いて、本発明の方法によって製造されたパーソナルケア組成物は、改良された易拡布性、改良された皮膚への吸着性、減少した粘着性及び減少したべとつき性を示す。
【0012】
「パーソナルケア」は、人に局所的に適用されるべき(口、耳及び鼻腔を含むが、摂取されない)組成物に関連する。パーソナルケア組成物の例には、スキンケア製品(例えばフェイシャルクリーム、モイスチャーライザー、リーブオン(leave on)及びリンスオフ(rinse off)ローション、日焼け止め(サンスクリーン)、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、リップスティック等)、口腔ケア製品(例えば練り歯磨き及びリンス(含漱剤))、爪ケア製品(例えばポリッシュ及びコンディショナー)並びにヘアケア製品(リーブオン及びリンスオフコンディショナー、スタイリングジェル及びヘアスプレーを含む)が含まれる。
【0013】
本開示の目的のための「疎水性」は水中よりもドデカン中に一層可溶性である成分を指す。このような成分は、一般的に、1よりも大きい対数オクタノール/水分配係数を有する。例は、D.R.Linde編、CRC Handbook of Chemistry & Physics、CRC Press、Florida、第74版(1993−94)(セクション16、第24頁以下参照)に記載されている。
【0014】
本明細書の目的のために、パーソナルケアのための「活性物質」は、配合物自体の創造を単独で容易にするのとは対照的に、ユーザーに主なパーソナルケア利益を与える任意の成分を指す。従って、例えば水は活性物質ではない。パーソナルケア活性物質の例には、スキンケア製品(例えばフェイシャルクリーム、モイスチャーライザー、リーブオン及びリンスオフローション、日焼け止め、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、リップスティック等)、口腔ケア製品(例えば練り歯磨き及びリンス)、爪ケア製品(例えばポリッシュ及びコンディショナー)並びにヘアケア製品(リーブオン及びリンスオフコンディショナー、スタイリングジェル及びヘアスプレーを含む)のための典型的な活性物質が含まれる。この活性物質は化粧品的に許容されなくてはならない。「化粧品的に許容される」は、パーソナルケア組成物中に典型的に使用される成分を指し、パーソナルケア組成物中に典型的に見出される量で存在するとき毒性である物質は、本発明の一部としては考えられないことを強調しようとするものである。
【0015】
一つの態様に於いて、疎水性活性物質はモイスチャーライザー、エモリエント、日焼け止め、コンディショナー、ビタミン、染料、フレーバー(flavor)又はフレグランス(fragrance)である。
【0016】
好ましい態様に於いて、この疎水性活性物質は日焼け止めである。日焼け止めの例には、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキサート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニラート(menthyl anthranilate)、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO(padimate O)、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン(sulisobenzone)、トロラミンサリチレート(trolamine salicylate)、二酸化チタン及び酸化亜鉛、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、ジガロイトリオレエート(digalloy trioleate)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトンを有するローソン(lawsone)並びにレッドペトロラタム(red petrolatum)が含まれる。好ましくは、この疎水性活性物質は、メトキシケイ皮酸オクチルである。
【0017】
活性物質の他の例は、練り歯磨き中の抗菌化合物(例えばトリクロサン(triclosan))、ポリフェノール、フラビノイド(flavinoid)及びイソフラビノイド、補酵素(コエンザイム)Q10及びその誘導体、カロテン及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、疎水性多糖類、酵素及びペプチドを含むタンパク質並びに植物性薬品(botanicals)を含む。
【0018】
ビタミンはビタミンA及びそのエステル、ビタミンD及びその誘導体、ビタミンB3及びB5並びにそれらの誘導体、ビタミンE及びそのエステル、ビタミンF及びその誘導体並びにビタミンKを含む。
【0019】
染料は、脂溶性染料、例えばスーダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β−カロテン、ダイズ油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5及びキノリンイエローを含む。
【0020】
フレーバーは、フレーバー油、例えばペパーミント、冬緑樹、柑橘類、果物、バニラ及びシナモンを含む。殆どのフレーバーは疎水性であり、従って意図するものである。
【0021】
フレグランスは、心地よい香気をもたらす任意の成分を含む。例は花、琥珀、木材、皮革、白檀、シダ、麝香、バニラ、果物及び/又は柑橘類である香気(scents)を含む。フレグランスは、しばしば、天然物質の抽出によって得られる油又は合成的に製造される油である。一つの態様に於いて、このフレグランスは精油(essential oil)の1種である。
【0022】
一つの態様に於いて、前記イソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリマー性MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の少なくとも1種である。好ましい態様に於いて、このイソシアネートは、ザ・ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から入手可能な、MDIを含むPAPI27ポリメチレンポリフェニルイソシアネートである。
【0023】
一つの態様に於いて、前記界面活性剤は、それがイソシアネートと反応しないという条件で、アニオン性、非イオン性又はカチオン性界面活性剤である。一つの態様に於いて、前記界面活性剤は界面活性剤の混合物である。一つの態様に於いて、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルである。
【0024】
一つの態様に於いて、本発明の方法は、更に、油相を乳化させることを含む。一つの態様に於いて、この方法は、更に、油相を水によって乳化させることを含む。一つの態様に於いて、この方法は、更に、油相を水及び保存剤によって乳化させることを含む。この油相は剪断下で乳化される。
【0025】
水が存在する態様に於いて、前記アミンは、水と接触したとき、或る種のイソシアネートのアミンへの転化から得ることができることが理解されるべきである。
【0026】
その代わりに、好ましい態様に於いて、前記アミンは、別個に添加される成分である。一つの態様に於いて、このアミンは、最初に水と組み合わせられる。従って、一つの態様に於いて、イソシアネートをアミンと反応させる工程には、最初にアミンを水と組合せ、次にこの混合物を、混合しながら増分的にエマルジョンに添加することが含まれる。
【0027】
一つの態様に於いて、前記アミンは多官能性アミンである。好ましくは、このアミンはエチレンジアミンである。
【0028】
イソシアネートの量は、所望のカプセル化粒子サイズ及びシェル厚さに依存し、これは、下記の式から決定することができる。
【0029】
【数1】

【0030】
[式中、VTは全粒子体積であり、
Sはシェルに起因する体積(イソシアネートの体積プラス(アミンが別個に添加される成分である場合には)アミンの化学量論的量)であり、
Cは油相に起因するコア体積であり、
meanは(光散乱によって測定された)体積平均粒子サイズであり、そして
tは、シェル厚さである。]
好ましくは、4μmよりも小さい粒子に対しては、10nmよりも大きいシェル厚さが必要である。好ましくは、10μmよりも大きい粒子に対しては、100nmよりも大きいシェル厚さが必要である。
【0031】
別の態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、この油相を水によって乳化し、多官能性アミンを水と組合せ、そしてこのイソシアネートをアミンと反応させることによってポリウレアのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0032】
更に別の態様に於いて、本発明は、疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の、易拡布性を改良し、皮膚への吸着性を改良し、粘着性を減少し、べとつき性を減少する方法であって、この疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、この油相を水によって乳化し、多官能性アミンを水と組合せ、そしてこのアミン及び水の混合物を、混合しながら増分的に、このエマルジョンに添加することによって、このイソシアネートをアミンと反応させてポリウレアのシェル中に、この疎水性活性物質をカプセル化することを含んでなる方法を提供する。
【0033】
本発明のパーソナルケア組成物のための他の任意的成分は、化粧品的に許容される、エモリエント、日焼け止め、界面活性剤、乳化剤、保存剤、レオロジー改質剤、着色剤、保存剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、フレグランス、発泡剤、日焼け剤、脱毛剤、フレーバー、アストリンゼント、殺菌剤、デオドラント、発汗防止剤、虫除け剤、漂白剤、増白剤(lightener)、ふけ止め剤、接着剤、研磨剤、補強剤、充填剤、バリヤー材料又は殺生物剤を含む。
【0034】
前記モイスチャーライザーは、2−ピロリドン−5−カルボン酸並びにその塩及びエステル、アルキルグルコースアルコキシラート又はそれらのエステル、脂肪アルコール、脂肪エステル、グリコール、特にメチルグルコースエトキシレート又はプロポキシレート及びそれらのステアリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン又はセチルアルコール、アロエ、シリコーン、プロピレングリコール、グリセロール並びにソルビトールを含む。
【0035】
コンディショナーは、ステアルアルコニウムクロリド(stearalkonium chloride)、ジセチルジモニウムクロリド(dicetyldimonium chloride)、ラウリルメチルグルセス−10ヒドロキシプロピルジモニウムクロリド(lauryl methyl gluceth-10 hydroxypropyldimonium chloride)並びにコンディショニングポリマー、例えばポリクァンテルニウム−10(polyquanternium-10)、ポリクァンテルニウム−24及びキトサン並びにこれらの誘導体を含む。
【0036】
油の例は、動物起源の炭化水素系油、例えばスクアレン、植物起源の炭化水素系油、例えば炭素数4〜10の脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又は、代わりに、植物起源の油、例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種油、ゴマ種油、ヘイゼルナッツ油、アプリコット油、マカデミア油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ひまし油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、MIGLYOL810、812及び813(Dynamit Nobelから)、特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えば式R1COOR2及びR1OR2(式中、R1は炭素数8〜29の脂肪酸残基を表し、R2は炭素数3〜30の枝分かれした又は枝分かれしていない炭化水素系鎖を表す)の油、例えばパーセリン油(purcellin oil)、イソノニルイソノナノエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル並びに脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエート及びデカノエート、ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート及びジエチレングリコールジイソノナノエート、ペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート、アミノ酸の親油性誘導体、例えば(味の素社から)名称ELDEW SL205で販売されているようなイソプロピルラウロイルサルコシネート、鉱物又は合成起源の線状又は枝分かれした炭化水素、例えば鉱油(石油誘導炭化水素系油の混合物)、揮発性又は非揮発性液体パラフィン及びこれらの誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、イソへキサデカン、イソドデカン、水素化イソパラフィン(又はポリイソブテン)、シリコーン油、例えば室温で液体又はペースト状である線状又は環式シリコーン鎖からなる揮発性又は非揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン(cyclomethicone))、例えばシクロペンタシロキサン及びシクロヘキサジメチルシロキサン、シリコーン鎖の側鎖であるか又は末端にあるアルキル、アルコキシ又はフェニル基(これらの基は2〜24個の炭素原子からなる)を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサン、フルオロ油、例えば部分的に炭化水素系及び/又は部分的にシリコーン系フルオロ油、エーテル、例えばジカプリリルエーテル(CTFA名:ジカプリリルエーテル)並びにC12〜C15脂肪アルコールベンゾエート(FinetexからのFINSOLV TN)、これらの混合物を含む。
【0037】
油は、鉱油、ラノリン油、ヤシ油及びその誘導体、ココア脂、オリーブ油、アーモンド油、マカデミアナッツ油、アロエ抽出物、例えばアロエベラリポキノン、ホホバ油、サフラワー油、トウモロコシ油、液体ラノリン、綿実油、落花生油、水素化植物油、スクアラン、ひまし油、ポリブテン、甘扁桃油、アボカド油、カロフィルム油(calophyllum oil)、リシン油、ビタミンEアセテート、オリーブ油、シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン及びシクロメチコーン、リノレンアルコール、オレイルアルコール並びに穀物種の油を含む。
【0038】
他の適切なエモリエントは、ジカプリリルエーテル、C1215アルキルベンゾエート、DC200FLUID350シリコーン流体(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から)、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸へキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、C1215アルコールのオクタノエート及びベンゾエート、グリコール及びグリセリルのもののようなアルコール及びポリアルコールのオクタノエート及びデカノエート、リシノール酸エステル、アジピン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ドデカン酸オクチル、マレイン酸ジカプリリル、フェニルトリメチコーン並びにアロエベラ抽出物を含む。固体又は半固体化粧品エモリエントは、グリセリルジラウレート、水素化ラノリン、ヒドロキシル化ラノリン、アセチル化ラノリン、ペトロラタム、イソプロピルラノレート(isopropyl lanolate)、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、セチルアルコール、イソステアリルアルコール及びイソセチルラノレートを含む。
【0039】
幾つかの態様に於いて、パーソナルケア組成物は、更に、任意的なレオロジー改質剤、例えば増粘剤を含む。増粘剤の例は、ポリマー、例えば変性又は未変性カルボキシビニルポリマー、例えば名称CARBOPOL及びPEMULEN(INCI名称;アクリレート/C1030アルキルアクリレートクロスポリマー(crosspolymer);Noveonから入手可能)で販売されている製品、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えば名称LUBRAJEL及びNORGEL(Guardianから)又はHISPAGEL(Hispano Chimicaから)で販売されている製品、ポリアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びポリマー群(これらは、任意的に架橋及び/又は中和されている)、例えばClariantによって販売されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸)(INCI名称:アンモニウム ポリアクリルジメチルタウラミド)、アクリルアミド及びAMPSの乳化され、架橋されたアニオン性ポリマー、例えば名称SEPIGEL305(INCI名称:ポリアクリルアミド/C13−14イソパラフィン/ラウレス(Laureth)−7:Seppicから)並びに名称SIMULGEL600で販売されているもの(INCI名称:アクリルアミド/ナトリウム アクリロイルジメチルタウレートポリマー/イソへキサデカン/ポリソルベート80;Seppicから)、多糖類バイオポリマー、例えばキサンタンガム、グアーガム、キャロブゴム、アカシアゴム、スクレログルカン(scleroglucan)、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギネート、セルロース、例えば微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、会合性ポリマー(associative polymer)、例えば会合性ポリウレタン、少なくとも2個の、親水性シーケンスによって分離された炭素数6〜30の炭化水素系親油性鎖を含むポリマー、例えば名称SERAD FX1010、SERAD FX1100及びSERAD FX1035(Huels Americaから)、RHEOLATE255、RHEOLATE278及びRHEOLATE244(INCI名称:ポリエーテル−ウレア−ポリウレタン;Rheoxから)、DW1206F、DW1206J、DW1206B、DW1206G及びACRYSOL RM2020(Roehm & Haasから)で販売されているポリウレタンを含む。
【0040】
着色剤は、特にメーキャップの際に使用され、金属酸化物顔料、二酸化チタン、任意的に表面処理されている、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色又は赤色)、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロムハイドレート(chromium hydrate)及びフェリックブルー、カーボンブラック、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムの顔料(例えばD&C又はFD&C)、コチニールカルミン、チタン又はオキシ塩化ビスマスによって被覆された雲母、酸化鉄を有するチタン雲母、特にフェリックブルー又は酸化クロムを有するチタン雲母、有機顔料を有するチタン雲母、オキシ塩化ビスマスをベースにする真珠光沢顔料、ゴニオクロマチック(goniochromatic)顔料、例えば多層干渉構造を有する顔料、反射性顔料、例えば銀被覆ガラス基体を有する粒子、ニッケル/クロム/モリブデン合金で被覆されたガラス基体、褐色酸化鉄で被覆されたガラス基体、少なくとも2個のポリマー層の積み重ねを含む粒子、例えばMIRROR GLITTER(3Mから)を含む顔料を含む。
【0041】
染料は、水溶性染料、例えば硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、天然染料、例えばカロテン及びビートの根汁、メチレンブルー、カラメル、タルトラジンの二ナトリウム塩及びフシン(fuschin)の二ナトリウム塩並びにこれらの混合物を含む。上記リストからの油溶性染料も任意的に使用できる。
【0042】
保存剤は、アルコール、アルデヒド、メチルクロロイソチアゾリノン及びメチルイソチアゾリノン、p−ヒドロキシベンゾエート、特にメチルパラベン、プロピルパラベン、グルタルアルデヒド及びエチルアルコールを含む。
【0043】
pH調節剤は、無機及び有機の酸及び塩基、特にアンモニア水溶液、クエン酸、リン酸、酢酸及び水酸化ナトリウムを含む。
【0044】
還元剤は、チオグリコール酸アンモニウム、ヒドロキノン及びチオグリコール酸ナトリウムを含む。
【0045】
フレグランスは、前記のように、アルデヒド、ケトン又は天然物質の抽出によって得られる若しくは合成的に製造される油であってよい。しばしば、フレグランスは、補助材料、例えば揮発保留剤(fixative)、増量剤、安定剤及び溶剤によって付随されてよい。
【0046】
殺生物剤は、抗菌剤、殺菌剤、殺真菌剤、アルジサイド(殺藻剤)、ミルジサイド(mildicide)、消毒剤、防腐剤(antiseptics)及び殺虫剤を含む。
【0047】
このような成分によってもたらされる所望の特性を達成するために有効な、任意の成分の量は、当業者によって容易に決定することができる。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、例示目的のみのためであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。全てのパーセントは、他の方法で特定しない限り重量基準である。
【0049】
実施例1
本発明の代表的なカプセル化疎水性活性物質は、表1に列挙した成分が含有されている。
【0050】
【表1】

【0051】
A成分を混合する。B成分を、例えば2−1/4インチの高剪断乳化ヘッドを有するSilverson Model L4RTAを使用して乳化する。例えば1000〜1500rpmで混合しながら、AをBにゆっくり添加する。次いで、小滴サイズが、所望の最終粒子サイズよりも小さい約0.5ミクロンになるまで、混合速度を増加させ、この速度を、以下「所望の小滴速度」として参照する。次いで、Cを、所望の小滴速度よりも低い混合速度1000〜2000rpm(「C−混合速度」)で、滴下により添加する。次いで、この混合速度を、再び相対的に低い速度まで下げ、この混合物を3〜4分間撹拌し、その後、この混合速度を、C−混合速度まで増加させて戻し、そしてD、E及びFを添加する。その後、この混合物を3〜4分間撹拌し、この組成物は、界面重合されたシェルによってカプセル化されたOMC粒子からなる。
【0052】
実施例2
代表的な日焼け止めベースは表2に列挙した成分を含む。
【0053】
【表2】

【0054】
Aを一緒にし、約80℃のオーブン内に、固体成分が溶解するまで置く。次いで、Aをオーブンから取り出し、約40℃以下まで冷却する。Bを一緒にし、次いで、A及びBを一緒にし、好ましくは、例えばIKAミキサーを使用することによって均質にする。
【0055】
実施例3
実施例1及び2に於いて、実質的に前記のプロトコルに従って製造した配合物を、比較成分と共に、表3に列挙したようにして一緒にして、日焼け止め組成物を得た。
【0056】
【表3】

【0057】
添加の順序は、ベース日焼け止め(バッチ2)を、バッチ1又はDDS621乳化OMC(ザ・ダウ・ケミカル社)及びCARBOPOLポリマーと、次いで水と混合した。
【0058】
10人のパネリストは、彼らの右又は左前腕の指定領域に、それぞれのサンプル0.05gを適用した。最初に、それぞれのサンプルを、易拡布性、皮膚への吸着性、スリップ、粘着性、べとつき、湿った感触及び全体の皮膚感触について評価し、次いで、1時間後に、再び、湿った感触、べとつき、皮膚滑らかさ及び皮膚柔らかさ並びに全体の皮膚感触について評価した。評価スケールは0〜10であり、10が最良であった。これらの規準について、本発明に従ったサンプル(バッチ4)は、表4に示されるように、最初の湿った感触以外は、比較サンプル(バッチ3)と同様の又は比較サンプルよりも良い性能を示した。
【0059】
【表4】

【0060】
更に、数値を使用する代わりに、サンプルを、より良い、より悪い又は同じとしてランク付けするよう依頼したとき、パネリストは、総合的に、表5(数値は、カテゴリーに於いてサンプルをランク付けしたパネリストの人数を示す)に示されるように、全てのカテゴリーに於いて、本発明に従ったサンプル(バッチ4)が、比較サンプル(バッチ3、以下、対照)と同様の又は比較サンプルよりも良い性能を示したことを見出した。
【0061】
【表5】

【0062】
本発明は、本明細書中に具体的に開示され、例示された態様に限定されないことが理解される。本発明の種々の修正が、当業者に明らかであろう。このような変更及び修正は、付属する特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0063】
更に、それぞれ挙げた範囲には、それらに含まれる特定の数値と同様に、範囲の全ての組合せ及び下位の組合せが含まれる。更に、本明細書中に引用した又は記載したそれぞれの特許、特許出願及び刊行物の開示は、それらの全部を参照することによって本明細書中に含める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、そして次に
前記イソシアネートをアミンと反応させることによってポリウレアのシェル中に前記疎水性活性物質をカプセル化する
ことを含んでなる疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法。
【請求項2】
前記油相を乳化することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記油相を水によって乳化することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記油相を水及び保存剤によって乳化することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アミンが、或るイソシアネートの水との接触によるアミンへの転化から得られる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記アミンが別に添加される成分である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アミンを先ず水と組合せることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記イソシアネートをアミンと反応させる工程が、アミンを先ず水と組合せ、そして次にこの混合物を、混合しながら、増分的に前記エマルジョンに添加することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記疎水性活性物質がモイスチャーライザー、エモリエント、日焼け止め、コンディショナー、ビタミン、染料、フレーバー又はフレグランスである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記疎水性活性物質が日焼け止めである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記疎水性活性物質がメトキシケイ皮酸オクチルである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記イソシアネートがジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリマー性MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アミンが多官能性アミンである請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記アミンがエチレンジアミンである請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記パーソナルケア組成物が改良された易拡布性及び皮膚への易吸着性を示す請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記パーソナルケア組成物が減少した粘着性及びべとつき性を示す請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記パーソナルケア組成物が改良された易拡布性、改良された皮膚への易吸着性、減少した粘着性及び減少したべとつき性を示す請求項1に記載の方法。
【請求項18】
疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、
前記油相を水によって乳化し、
多官能性アミンを水と組合せ、そして
前記イソシアネートをアミンと反応させることによってポリウレアのシェル中に前記疎水性活性物質をカプセル化する
ことを含んでなる疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法。
【請求項19】
疎水性活性物質を、界面活性剤及びイソシアネートと組合せて、油相を形成し、
前記油相を水で乳化し、
多官能性アミンを水と組合せ、そして
前記アミン及び水の混合物を、混合しながら増分的に前記エマルジョンに添加することによって、前記イソシアネートをアミンと反応させることによって、ポリウレアのシェル中に疎水性活性物質をカプセル化する
ことを含んでなる疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の、易拡布性を改良し、皮膚への易吸着性を改良し、粘着性を減少し、べとつき性を減少する方法。
【請求項20】
疎水性活性物質を、界面活性剤及び第一の界面重合性成分と組合せて、油相を形成し、そして次に
前記第一の界面重合性成分を、相補的界面重合性成分と反応させることによって、ポリマーのシェル中に疎水性活性物質をカプセル化する
ことを含んでなる疎水性活性物質を含むパーソナルケア組成物の感性の改良方法。

【公表番号】特表2011−510006(P2011−510006A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543186(P2010−543186)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030836
【国際公開番号】WO2009/091726
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】