説明

異常発生時のエレベータかご内状況確認システム

【課題】エレベータ異常発生時において、ビルの管理者やそのエレベータの保守員がエレベータかご内に閉じ込められた乗客の状況をエレベータ乗場において画像により確認し関係者に開示する異常発生時のエレベータかご内状況確認システムを提供する。
【解決手段】エレベータに異常が発生し、乗客15がエレベータかご14内に閉じ込められた場合に、エレベータ乗場18に設けられた乗場画像表示部5に表示された画像に含まれる2次元コードに書き込まれた情報センタ10に関する情報を読取った特定の携帯電話17が、情報センタ10にアクセスすることで、情報センタ10は、エレベータかご14内部の天井に設置されたかご内撮影手段2が撮影したかご内の画像をその特定の携帯電話17の指示に従って転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムに係り、特に、エレベータの異常発生時において、エレベータ乗場の乗客がエレベータかご内の乗客の状況を確認する異常発生時のエレベータかご内状況確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物のエレベータには、エレベータの乗客に対する安全性、エレベータの運行の正常性などを常に確保するため、遠隔の情報センタ(中央監視センタ)からの遠隔監視サービスが行われている。エレベータに異常が発生した場合には、この遠隔監視サービスによりエレベータかご内の乗客は情報センタの監視員と交信することができる。エレベータかご内に設けられるかご操作盤には、エレベータの乗客の安全を確保するために非常呼釦及びスピーカが設置され、乗客はこの非常呼釦を押すことで情報センタの監視員とスピーカによる通話が可能となる。
【0003】
また、エレベータかご内部の天井には監視カメラが設置される場合がある。この監視カメラはエレベータかご内部を終日(24時間)撮影する。撮影された画像はエレベータに設けられたかご内画像記憶部に保存され、情報センタに伝送される。情報センタは伝送された画像によりエレベータかご内部での犯罪や乗客の異常事態を監視し、或いは確認することができる。
【0004】
また、エレベータの乗場には、ディスプレイ画面が設置される場合がある。このディスプレイ画面は、例えば建物内の利用案内などの一般情報の提供場所として、或いは、例えば建物内の企業の宣伝などの広告媒体として用いられる場合がある。これは、乗場の乗客が、呼び登録をしたエレベータが到着するまでの間にこのディスプレイ画面に表示される画像を見ることで、待つことの心理的苦痛や不便さを解消する効果がある。
【0005】
ところで、エレベータの異常発生時、例えば、地震など災害が発生した場合には、エレベータは、乗客の安全を確保するためその運行が制御される。つまり、エレベータに損傷を与えるおそれのないような軽微な揺れの場合には、一定時間が経過した後に通常の運転に自動的に復帰するという運用がなされる。また、強い揺れ(震度4以上程度)を感じて運転を休止した場合には、エレベータに損傷がない場合であっても保守員による点検を受けるまで復旧しないという運用がなされる。しかし、地震によりエレベータに何らかの損傷が発生し、エレベータの乗客が一時的にエレベータかご内に閉じ込められるという事態が発生し得る。
【0006】
また、地震などの災害が発生した場合以外に、エレベータの故障や制御システムの異常が発生した場合には、エレベータかごを最寄りの停止階まで移動させて乗客を降車させ、技術者による点検修理が行われる。このときにも、エレベータの乗客は一時的にエレベータかご内に閉じ込められるという事態が発生し得る。
【0007】
このようにエレベータの乗客が一時的にエレベータかご内に閉じ込められるという事態が発生した場合には、上述した遠隔監視サービスによりエレベータかごの乗客は情報センタの監視員に報知し、監視員はそのエレベータの保守員に通報して対処するのが一般的である。
【0008】
一方、特許文献1には、公衆回線を用いてエレベータかご内の監視カメラや乗り場の監視カメラの画像を、エレベータ監視情報管理センタへ送信すると、センタはそれらの画像を監視者の携帯電話へ送信し、そのディスプレイに表示することが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−206309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、地震などの災害が発生した場合、或いはエレベータの故障や制御システムの異常が発生した場合には乗客がエレベータかごに閉じ込められる虞がある。現状では、乗客がエレベータかごに閉じ込められた場合には、その閉じ込められた乗客の関係者が乗客の安否、精神状態、或いは救急医療が必要な乗客の有無などの状況をエレベータかごの外部から視覚的に確認できないという問題がある。
【0011】
例えば、異常発生がオフィスビルに設置されたエレベータの場合には、閉じ込められた者は、オフィスビル内の職場に勤務している社員の可能性が高い。このため、職場の上司、同僚、或いは部下は、エレベータかごに閉じ込められた社員の安否などの状況を確認しようとしてエレベータ乗場に集合して待機する。また、異常発生がマンションに設置されたエレベータの場合には、閉じ込められた者は、マンションの住民である可能性が高い。このため、マンションに同居する家族は、エレベータかごに閉じ込められた家族の安否などの状況を確認しようとしてエレベータ乗場に集合して待機する。これらの関係者は、エレベータに閉じ込められた者に関する情報の開示を要求する場合がある。
【0012】
また、ビルの管理者(オーナー)やそのエレベータの保守員は、エレベータの速やかな復旧を目指すとともに、エレベータかごの内部に閉じ込められた者についてその状況を正確に把握し、エレベータ乗場に待機する上述した関係者に説明しなければならない場合がある。しかし、ビルの管理者やそのエレベータの保守員がエレベータかご内に閉じ込められた乗客の状況をエレベータ乗場において画像により確認し、関係者に説明する手段がないのが現状である。
【0013】
本願の目的は、かかる課題を解決し、エレベータ異常発生時において、ビルの管理者やそのエレベータの保守員がエレベータかご内に閉じ込められた乗客の状況をエレベータ乗場において画像により確認し関係者に開示する異常発生時のエレベータかご内状況確認システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータかご内部の天井に設置され、エレベータかご内部を撮影するかご内撮影手段と、かご内撮影手段が撮影した画像を情報センタに送信するかご内画像送信手段と、かご内撮影手段が撮影した画像からエレベータかご内の乗客の有無を検出するかご乗客検出手段と、予め設定された所定時間内においてエレベータ扉の開閉動作がない場合にエレベータの異常発生を検知する異常発生検知手段と、エレベータ乗場に設置され、乗場の乗客に画像を表示する乗場画像表示部と、通常時に乗場の乗客に提供する通常時画像と、エレベータの異常発生時に乗場の乗客に提供する異常発生時画像と、を記憶する乗場画像記憶部と、通常時には乗場画像記憶部が記憶する通常時画像を選択して乗場画像表示部に表示させ、異常発生検知手段がエレベータの異常発生を検知し、かご乗客検出手段がエレベータかご内の乗客を検出した場合には、通常時画像を異常発生時画像に切替えて乗場画像表示部に表示させる乗場画像制御部と、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部に表示された画像に含まれる2次元コードに書き込まれた情報センタに関する情報を読み取りアクセスした携帯電話からの指示に従い、かご内画像送信手段から送信された画像を転送する情報センタと、を備える。
【0015】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタの電子メールアドレスと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタが、予め登録された携帯電話が電子メールアドレスを読み取って情報センタに空メールを発信した場合に、その携帯電話に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することが好ましい。
【0016】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタの電子メールアドレスと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、乗場画像表示部を特定する識別情報とが書き込まれ、情報センタが、予め登録された携帯電話が電子メールアドレスを読み取って情報センタに空メールを発信した場合に、識別情報により特定される乗場画像表示部に対して識別情報により特定されるエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することが好ましい。
【0017】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、情報センタが、情報センタの電子メールアドレスに空メールを発信した予め登録された携帯電話に対して情報センタのホームページのURLを添付した返信メールを送信し、エレベータの異常発生に関する情報を提供することが好ましい。
【0018】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタのホームページのURLと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタが、そのURLを読取ってそのホームページをダウンロードし、予め登録された認証番号をそのホームページの所定の欄に入力して送信した携帯電話に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することが好ましい。
【0019】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタのホームページのURLと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、その乗場画像表示部を特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタが、そのURLを読取って情報センタのホームページをダウンロードし、予め登録された認証番号を情報センタのホームページの所定の欄に入力して送信した携帯電話に対して識別情報により特定される乗場画像表示部に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することが好ましい。
【0020】
また、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、乗場画像記憶部が、記憶する異常発生時画像にエレベータの異常発生に対する乗場の乗客へのガイダンスを含み、乗場画像制御部は、エレベータの異常発生時において乗場の乗客へのガイダンスを含む画像を選択して乗場画像表示部に表示させることが好ましい。
【0021】
さらに、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、乗場画像記憶部が、記憶する通常時画像にエレベータの異常発生に対する乗場の乗客へのガイダンスを含み、乗場画像制御部は、エレベータの通常時において乗場の乗客へのガイダンスを含む画像を選択して乗場画像表示部に表示させることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
上記構成により、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムは、エレベータに異常が発生しエレベータかご内に乗客が閉じ込められた場合に、そのエレベータ乗場において、例えば、ビルの管理者やそのエレベータの保守員などが所持する特定の携帯電話からの指示により、エレベータかご内部に設けられた監視カメラが撮影した画像を、その携帯電話、或いは乗場画像表示部に表示させることができる。これにより、ビルの管理者やそのエレベータの保守員は、その画像から閉じ込められた乗客の関係者が乗客の安否、精神状態、或いは救急医療が必要な乗客の有無などの状況を確認することができる。また、エレベータ乗場において待機するエレベータかごに閉じ込められた乗客の関係者に状況を開示することができる。
【0023】
以上のように、本発明に係る異常発生時のエレベータかご内状況確認システムによれば、エレベータ異常発生時において、ビルの管理者やそのエレベータの保守員がエレベータかご内に閉じ込められた乗客の状況をエレベータ乗場において画像により確認し関係者に開示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明に係る異常発生時のエレベータかご内状況確認システムの実施の形態につき、詳細に説明する。
【0025】
図1に、異常発生時のエレベータかご内状況確認システムの1つの実施形態の概略構成を示す。異常発生時のエレベータかご内状況確認システム1は、かご内撮影手段2、かご乗客検出手段3、異常発生検知手段4、乗場画像表示部5、乗場画像制御部6、乗場画像記憶部7、かご内画像送信部8、乗場画像受信部9、及び情報センタ10から構成される。また、エレベータ昇降路13のエレベータかご14の内部にはかご乗客15が閉じ込められている。また、エレベータ乗場18の乗場乗客16はその乗場乗客16の特定の携帯電話17によりエレベータ乗場18に設けられた乗場画像表示部であるディスプレイ画面5に表示された2次元コード24を読み取る。さらに、情報センタ10、かご内画像送信部8、乗場画像受信部9、及び乗場乗客16の携帯電話17はそれぞれ公衆通信回線35を介して送信又は受信を行なう。
【0026】
かご内撮影手段である監視カメラ2は、エレベータかご14の内部の天井に設置され、エレベータかご14の内部を撮影する。監視カメラ2により撮影されたエレベータかご14の内部の画像は、かご内画像送信部8から公衆通信回線35を介して情報センタ10に送信される。この監視カメラ2はエレベータかご14の内部を終日(24時間)撮影する。情報センタ10は、かご内画像送信部8から送信された画像をハードディスクに保存する。情報センタ10の監視員は、送信された画像によりエレベータかご14の内部での犯罪や乗客の異常事態を監視し、或いは確認する。
【0027】
かご乗客検出手段3は、かご内撮影手段2が撮影した画像からかご内での人の動きを判定し、エレベータかご14の内部の乗客16の有無を検出する。すなわち、かご乗客検出手段3は、監視カメラ2が撮影した画像のうち撮影時刻が所定の時間だけ異なる2枚の画像を抽出してかご内の乗客16の動きを判定する。撮影時刻が所定の時間だけ異なる2枚の画像は、例えば、ビデオカメラを用いてNTSC方式で撮影した場合、撮影は1/30秒ごとに行なわれる。この場合、所定の時間だけ異なる2枚の画像としては、連続した2枚の画像とすることもできるが、途中の画像を間引いたり、撮影間隔を変えたりすることで、1/10秒ごとにしたり、1秒ごとにしたりすることも可能である。かご乗客検出手段3は、上記2枚の画像の比較により、エレベータかご14の内部に乗客16の動きを検出できない場合には、エレベータかご14の内部は無人であるものとみなす。
【0028】
エレベータかご14の内部の乗客16の有無を検出する他の方法として、エレベータかご14の重量から乗客16の有無を検出しても良い。すなわち、一般的にエレベータには、荷重検出装置12が設けられ、エレベータかご14の乗客数が定員をオーバした場合には警告のブザーを鳴らす。従って、この荷重検出装置12が計量した結果からエレベータかご14内部の乗客16の有無を検出することが可能である。
【0029】
異常発生検知手段4は、予め設定された所定時間内においてエレベータ扉19の開閉動作がない場合にエレベータ9の異常発生を検知する。一般的にエレベータ扉19の開閉は、エレベータ制御盤11により検知される。従って、異常発生検知手段4は、エレベータ制御盤11からエレベータかご14に関するエレベータ扉19の開閉の信号を一定時間内に受信しない場合には、エレベータかご14に異常が発生を検知する。
【0030】
図2に、エレベータ乗場に設置される乗場ディスプレイ画面5の異常発生時画像36の表示例を示す。乗場ディスプレイ画面5には、エレベータ29に異常が発生したことを報せるメッセージ及び2次元コード24が表示される。乗場画像記憶部7が記憶する異常発生時画像36には、エレベータの異常発生に対する乗場乗客16へのガイダンス31が含まれてもよい。この場合には、乗場画像制御部6は、エレベータの異常発生時において乗場乗客16へのガイダンス31を含む画像を選択して乗場ディスプレイ画面5に表示させることができる。
【0031】
また、乗場画像記憶部7は、通常時に乗場乗客16に提供する通常時画像と、エレベータの異常発生時に乗場乗客16に提供する異常発生時画像36との双方を記憶する。この通常時画像は、例えば、建物内の案内、建物内の企業に関する情報などでも良い。乗場乗客16は、エレベータ29の到着を待つ間にこの通常時画像を見ることで、待つことの心理的苦痛や不便さを解消することができる。そして、乗場画像制御部6は、通常時には乗場画像記憶部7が記憶する通常時画像を選択して乗場ディスプレイ画面5に表示させ、異常発生検知手段4がエレベータの異常を検知し、かご乗客検出手段3がエレベータかご14内の乗客を検出した場合には、通常時画像を異常発生時画像36に切替えて乗場ディスプレイ画面5に表示させる。また、乗場画像記憶部7が記憶する通常時画像には、エレベータの異常発生に対する乗場乗客16へのガイダンス31が含まれても良い。この場合には、乗場画像制御部6は、エレベータの通常時において乗場乗客16へのガイダンス31を含む画像を選択して乗場ディスプレイ画面5に表示させることができる。
【0032】
図3及び図4に、本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第1の実施例を示す。図3はエレベータ乗場18及びエレベータかご14から情報センタ10への発信を示し、図4は、情報センタ10から携帯電話17への返信を示す。まず、図3において、上述したエレベータの異常発生時に、乗場ディスプレイ画面5には2次元コード24が表示される。そして、この2次元コード24には情報センタ10に関する情報として、情報センタ10の電子メールアドレス20とそのエレベータを特定するエレベータ識別情報22とが書き込まれている。エレベータ乗場18の乗場乗客16のうちの特定の者、例えばそのオフィスビルの管理者やそのエレベータの保守員などは、所持する携帯電話17により情報センタ10の電子メールアドレス20及びエレベータ識別情報22を読み取り、その電子メールアドレス20に空メール26を発信する。この空メール26は、公衆通信回線35を介して情報センタ10の情報センタ送受信手段27に送信される。情報センタ10の情報センタ制御部28は、送信された空メール26の電子メールアドレス21に対して、データベース34を検索する。情報センタ制御部28は、空メール26の電子メールアドレス21がデータベース34に登録されている場合には、この空メール26を受理し、データベース34に登録されていない場合には、この空メール26を無視する。一方、エレベータかご14に設置された監視カメラ2が撮影したかご内画像25は、公衆通信回線35を介して情報センタ10の情報センタ送受信手段27に送信される。
【0033】
図4に示すように、情報センタ10の情報センタ制御部28は、空メール26により発信された携帯電話17の電子メールアドレス21が予め登録されている場合には、情報センタ送受信部27に対してその携帯電話17に返信メール29を送信させる。この返信メール29には、情報センタ10のホームページのURL30及び監視カメラ2が撮影したかご内画像25が含まれる。こうして、空メール26を発信した携帯電話17には、情報センタ10からの返信メール29によりかご内画像25が閲覧可能となり、エレベータかご14内に閉じ込められたかご乗客15を携帯電話17に表示される画像により確認することができる。また、携帯電話17には、情報センタ10のホームページのURL30が送信され、特定の者は、この情報センタ10のホームページから、地震等の災害の状況やエレベータの復旧に関する情報などを取得できる。
【0034】
これにより、上記特定の者は、マンションの住民やオフィスビルの関係者が集合し待機しているエレベータ乗場18において、情報センタ10からの返信メール29によりかご内画像25を閲覧し、マンションの住民やオフィスビルの関係者に対してエレベータかご14内の乗客の状況を開示することができる。或いは、マンションの住民やオフィスビルの関係者に対して携帯電話17に表示されたエレベータかご14内の乗客の状況を閲覧或いは回覧させることができる。
【0035】
このように、エレベータ乗場18の乗場ディスプレイ画面5に表示された2次元コード24を読込んで情報センタ10からかご内画像25を受信できるのは、その電子メールアドレス21を予め情報センタ10に登録した特定の者が所持する携帯電話17に限られる。これは、エレベータかご14内の画像は個人情報に関わるものであり、不特定多数の者に公開されるべきものではないことによる。従って、上記特定の者には、そのオフィスビルの管理者、そのエレベータの保守員など、エレベータかご14内の乗客の救出に関与する者が、その救出のために限り使用可能とする。また、上記特定の者には、マンションの場合にはそのマンションの住人が含まれていても良く、オフィスビルの場合には、オフィスビルに入居するテナントの管理者が含まれていても良い。
【0036】
図5及び図6に、本システムによるエレベータかご14内の状況を確認する第2の実施例を示す。図5はエレベータ乗場18及びエレベータかご14から情報センタ10への発信を示し、図6は、情報センタ10からエレベータ乗場18の乗場ディスプレイ画面5への送信を示す。本実施例では、乗場ディスプレイ画面5が表示する画像に含まれる2次元コード24には、情報センタ10の電子メールアドレス20と、そのエレベータのエレベータ識別情報22と、乗場ディスプレイ画面5を特定する乗場ディスプレイ識別情報23とが書き込まれている。特定の携帯電話17は、読取った電子メールアドレス20に空メール26を発信し、情報センタ10は、空メール26により発信された電子メールアドレス21が予め登録されている場合に、乗場ディスプレイ識別情報23に基づき特定された乗場ディスプレイ画面5に対して監視カメラ2が撮影したかご内画像25を、公衆通信回線35を介して送信する。一方、エレベータかご14に設置された監視カメラ2が撮影したかご内画像25は、公衆通信回線35を介して情報センタ10の情報センタ送受信手段27に送信される。また、携帯電話17には、情報センタ10のホームページのURL30が送信され、特定の者は、この情報センタ10のホームページから、地震等の災害の状況やエレベータの復旧に関する情報を取得できる。
【0037】
このように、異常発生時のエレベータかご内状況確認システム1によれば、例えば、オフィスビルの管理者やそのエレベータの保守員などの特定の者は、状況によっては、監視カメラ2が撮影したかご内画像25を乗場ディスプレイ画面5に表示させ、マンションの住民やオフィスビルの関係者に公開することで情報開示を行い、かご乗客15を確認させることができる。また、上記特定の者は、マンションの住民やオフィスビルの関係者が集合して待機しているエレベータ乗場18の乗場ディスプレイ画面5を選択してかご内画像25を表示することができる。
【0038】
図7及び図8に、本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第3の実施例を示す。図7はエレベータ乗場18及びエレベータかご14から情報センタ10への発信を示し、図8は、情報センタ10から携帯電話17への返信を示す。エレベータの異常発生時に、乗場ディスプレイ画面5に表示される2次元コード24には情報センタ10のホームページのURL30及びエレベータ識別情報22が書き込まれ、特定の携帯電話17は、読取ったそのURL30から情報センタ10のホームページをダウンロードし、予め登録されたその携帯電話17の認証番号33を情報センタ10のホームページの所定の欄に入力し、ホームページに記載された電子メールアドレス20により情報センタ10に空メール26を送信する。この空メール26は、公衆通信回線35を介して情報センタ10の情報センタ送受信手段27に送信される。情報センタ10の情報センタ制御部28は、送信された空メール26に含まれる認証番号33に対して、データベース34を検索する。情報センタ制御部28は、この認証番号33がデータベース34に登録されている場合には、この空メール26を受け付け、データベース34に登録されていない場合には、この空メール26を無視する。情報センタ制御部28は、入力された認証番号33に基づきその携帯電話17に対して監視カメラ2が撮影したかご内画像25を返信メール29として送信する。
【0039】
これにより、異常発生時のエレベータかご内状況確認システム1によれば、上記特定の者は、マンションの住民やオフィスビルの関係者が集合し待機しているエレベータ乗場18において、情報センタ10からの返信メール29によりかご内画像25を閲覧し、マンションの住民やオフィスビルの関係者に対してエレベータかご14内の乗客の状況を説明することができる。或いは、マンションの住民やオフィスビルの関係者に対して携帯電話17に表示されたエレベータかご14内の乗客の状況を閲覧或いは回覧させることができる。
【0040】
図9及び図10に、本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第4の実施例を示す。図9はエレベータ乗場18及びエレベータかご14から情報センタ10への発信を示し、図10は、情報センタ10からエレベータ乗場18の乗場ディスプレイ画面5への送信を示す。エレベータの異常発生時に、乗場ディスプレイ画面5に表示される2次元コード24には情報センタ10のホームページのURL30、エレベータ識別情報22、及び乗場ディスプレイ識別情報23が書き込まれ、特定の携帯電話17は、読取ったそのURL30から情報センタ10のホームページをダウンロードし、予め登録されたその携帯電話17の認証番号33を情報センタ10のホームページの所定の欄に入力し、ホームページに記載された電子メールアドレス20により情報センタ10に空メール26を送信する。この空メール26は、公衆通信回線35を介して情報センタ10の情報センタ送受信手段27に送信される。情報センタ10の情報センタ制御部28は、送信された空メール26に含まれる認証番号33に対して、データベース34を検索する。情報センタ制御部28は、この認証番号33がデータベース34に登録されている場合には、この空メール26を受け付け、データベース34に登録されていない場合には、この空メール26を無視する。情報センタ制御部28は、乗場ディスプレイ識別情報23に対して監視カメラ2が撮影したかご内画像25を送信する。また、携帯電話17に対して返信メール29を送信する。
【0041】
このようにして、異常発生時のエレベータかご内状況確認システム1によれば、例えば、オフィスビルの管理者やそのエレベータの保守員などの特定の者は、状況によっては、監視カメラ2が撮影したかご内画像25を乗場ディスプレイ画面5に表示させ、マンションの住民やオフィスビルの関係者に公開することで情報開示を行い、かご乗客15を確認させることができる。また、上記特定の者は、マンションの住民やオフィスビルの関係者が集合しているエレベータ乗場18の乗場ディスプレイ画面5を選択してかご内画像25を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る異常発生時のエレベータかご内状況確認システムの1つの実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】エレベータ乗場に設置される乗場ディスプレイ画面の異常発生時画像の表示例を示す説明図である。
【図3】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第1の実施例であり、エレベータ乗場及びエレベータかごから情報センタへの発信を示す説明図である。
【図4】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第1の実施例であり、情報センタから携帯電話への返信を示す説明図である。示す説明図である。
【図5】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第2の実施例であり、エレベータ乗場及びエレベータかごから情報センタへの発信を示す説明図である。
【図6】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第2の実施例であり、情報センタからエレベータ乗場の乗場ディスプレイ画面への送信を示す説明図である。
【図7】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第3の実施例であり、エレベータ乗場及びエレベータかごから情報センタへの発信を示す説明図である。
【図8】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第3の実施例であり、情報センタから携帯電話への返信を示す説明図である。
【図9】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第4の実施例であり、エレベータ乗場及びエレベータかごから情報センタへの発信を示す説明図である。
【図10】本システムによるエレベータかご内の状況を確認する第4の実施例であり、情報センタからエレベータ乗場の乗場ディスプレイ画面への送信を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 異常発生時のエレベータかご内状況確認システム、2 かご内撮影手段(監視カメラ)、3 かご乗客検出手段、4 異常発生検知手段、5 乗場画像表示部(乗場ディスプレイ画面)、6 乗場画像制御部、7 乗場画像記憶部、8 かご内画像送信部、9 乗場画像受信部、10 情報センタ、11 エレベータ制御盤、12 荷重検出装置、13 エレベータ昇降路、14 エレベータかご、15 かご乗客、16 乗場乗客、17 携帯電話、18 エレベータ乗場、19 エレベータ扉、20,21電子メールアドレス、22 エレベータ識別情報、23 乗場ディスプレイ識別情報、24 2次元コード、25 かご内画像、26 空メール、27 情報センタ送受信手段、28 情報センタ制御部、29 返信メール、30 (情報センタのホームページの)URL、31 ガイダンス、33 認証番号、34 データベース、35 公衆通信回線、36 異常発生時画像、37 異常発生メッセージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかご内部の天井に設置され、エレベータかご内部を撮影するかご内撮影手段と、
かご内撮影手段が撮影した画像を情報センタに送信するかご内画像送信手段と、
かご内撮影手段が撮影した画像からエレベータかご内の乗客の有無を検出するかご乗客検出手段と、
予め設定された所定時間内においてエレベータ扉の開閉動作がない場合にエレベータの異常発生を検知する異常発生検知手段と、
エレベータ乗場に設置され、乗場の乗客に画像を表示する乗場画像表示部と、
通常時に乗場の乗客に提供する通常時画像と、エレベータの異常発生時に乗場の乗客に提供する異常発生時画像と、を記憶する乗場画像記憶部と、
通常時には乗場画像記憶部が記憶する通常時画像を選択して乗場画像表示部に表示させ、異常発生検知手段がエレベータの異常発生を検知し、かご乗客検出手段がエレベータかご内の乗客を検出した場合には、通常時画像を異常発生時画像に切替えて乗場画像表示部に表示させる乗場画像制御部と、
エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部に表示された画像に含まれる2次元コードに書き込まれた情報センタに関する情報を読み取りアクセスした携帯電話からの指示に従い、かご内画像送信手段から送信された画像を転送する情報センタと、
を備えることを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタの電子メールアドレスと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタは、予め登録された携帯電話が電子メールアドレスを読み取って情報センタに空メールを発信した場合に、その携帯電話に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタの電子メールアドレスと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、乗場画像表示部を特定する識別情報とが書き込まれ、情報センタは、予め登録された携帯電話が電子メールアドレスを読み取って情報センタに空メールを発信した場合に、識別情報により特定される乗場画像表示部に対して識別情報により特定されるエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、情報センタは、情報センタの電子メールアドレスに空メールを発信した予め登録された携帯電話に対して情報センタのホームページのURLを添付した返信メールを送信し、エレベータの異常発生に関する情報を提供することを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項5】
請求項1に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタのホームページのURLと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタは、そのURLを読取ってそのホームページをダウンロードし、予め登録された認証番号をそのホームページの所定の欄に入力して送信した携帯電話に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項6】
請求項1又は5に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、エレベータの異常発生時に、乗場画像表示部が表示する画像に含まれる2次元コードには情報センタのホームページのURLと、異常が発生したエレベータを特定する識別情報と、その乗場画像表示部を特定する識別情報と、が書き込まれ、情報センタは、そのURLを読取って情報センタのホームページをダウンロードし、予め登録された認証番号を情報センタのホームページの所定の欄に入力して送信した携帯電話に対して識別情報により特定される乗場画像表示部に対して識別情報により特定されたエレベータのかご内撮影手段が撮影した画像を転送することを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、乗場画像記憶部は、記憶する異常発生時画像にエレベータの異常発生に対する乗場の乗客へのガイダンスを含み、乗場画像制御部は、エレベータの異常発生時において乗場の乗客へのガイダンスを含む画像を選択して乗場画像表示部に表示させることを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1に記載の異常発生時のエレベータかご内状況確認システムにおいて、乗場画像記憶部は、記憶する通常時画像にエレベータの異常発生に対する乗場の乗客へのガイダンスを含み、乗場画像制御部は、エレベータの通常時において乗場の乗客へのガイダンスを含む画像を選択して乗場画像表示部に表示させることを特徴とする異常発生時のエレベータかご内状況確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−51641(P2009−51641A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221443(P2007−221443)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】