説明

異方性の応力発光体を含有する応力発光組成物、及びその製造方法

【課題】高輝度の蛍光を発することが可能な形状を有する応力発光体、それを含有する組成物、構造物、その製造方法を提供する。異方性のアスペクト比を有する応力発光体を提供する。
【解決手段】応力発光体粒子は、アルミン酸塩及び/又はケイ酸塩で、異方性のアスペクト比を有する。原料を水溶媒で混合し、アンモニア水を添加してpH値を変化させることによって応力発光体粒子のアスペクト比を制御する。また、応力発光体を含有する塗料、インキ、接着剤などの組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的なエネルギー変化の強度に応じて発光する応力発光材料を含む応力発光組成物、及びその製造方法に関する。詳しくは、異方性の応力発光体を含有する応力発光組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部から刺激を与えると光を発する現象が蛍光現象としてよく知られている。 この蛍光を発光する蛍光体は、照明灯、ディスプレイ等をはじめ幅広くに利用されている。外部刺激としては、紫外線、電子線、X線、放射線、電界、化学反応等が掲げられる。
近年、機械的な外力を加えると発光する応力発光材料が本発明者らによって開発されている(特許文献1〜6を参照)。
特許文献1には、スピネル構造、コランダム構造やβアルミナ構造の応力発光材料について記述している。
特許文献2には、ケイ酸塩の応力発光材料について記述している。
特許文献3には、欠陥制御型アルミン酸塩の高輝度応力発光体について記述している。
特許文献4には、多色型応力発光材料について記述している。
特許文献5には、エポキシ樹脂との複合材料及びこの複合材料の塗布膜とで製作した試験片に圧縮、引張、摩擦、ねじり等の機械的な作用を印加することによって応力発光性を評価している。
特許文献6には、ウルツ鉱型構造とせん亜鉛鉱型構造が共存する構造をもつ、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物を主成分で構成される高輝度メカノルミネッセンス材料について記述している。
【特許文献1】特開2000−119647号
【特許文献2】特開2000−313878号
【特許文献3】特開2001−049251号
【特許文献4】特開2002−194349号
【特許文献5】特開2003−292949号
【特許文献6】特開2004−043656号
【0003】
これらの応力発光材料は、肉眼でも確認できるほどの輝度で、半永久的に繰返して発光可能である。この応力発光材料を用いて構造体の応力分布の測定が望ましい(特許文献7、8を参照)。特許文献7には、応力発光体を用いた応力または応力分布の測定方法および測定システムについて記述している。特許文献8には、機械的な外力を直接光信号に変換して伝達することが可能な発光ヘッド、及びそれを用いた遠隔スイッチシステムについて記述している。
【特許文献7】特開2001−215157号
【特許文献8】特開2004−077396号
【0004】
その他に、特許文献9、10には、応力発光性を示すユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムを、ポリメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有するシリコーン化合物および有機圧電材料と複合化させることが提案されている。特許文献11には、透明な応力発光材料の作成について記述している。
【特許文献9】特開2003−253261号
【特許文献10】特開2004−071511号
【特許文献11】特開2004−149738号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、開示されたこれらの特許文献には、応力発光粒子の大きさについて言及されているものの、その形状については球状又は球状に近いもの以外は記述されていない。
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、高輝度の蛍光を発することが可能な形状を有する応力発光体、それを含有する組成物、構造物、その製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明の第1の発明は、外部から機械的なエネルギーを加えると発光し、異方性のアスペクト比を有することを特徴とする応力発光体を提供する。
本発明の第2の発明は、上記応力発光体を含有する接合剤を提供する。また、前記接合剤は、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、ゴム系接着剤(エラストマー)のいずれか又はこれらの2以上の組からなる複合接着剤であると良い。更に、前記接合剤は、前記接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とを含有すると良い。
本発明の第3の発明は、外部から機械的なエネルギーを加えると発光し、異方性のアスペクト比を有する応力発光体を含有することを特徴とする応力発光組成物を提供する。また、前記接合剤を含有すると良い。更に、前記接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物とを含有すると良い。
本発明の第3の発明の応力発光組成物は、添加物として塗料、インキ、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、結晶核剤、発泡剤、抗菌・防黴剤、充填剤、強化剤、導電性フィラー、帯電防止剤の内から選択される1以上のものを含有すると良い。
本発明の第4の発明は、前記応力発光体を含有することを特徴とする塗料である。塗料を構成する前記応力発光体以外の樹脂、顔料、添加剤等の組成物は、塗料分野で用されている周知の組成物で構成するので、その説明は省略する。
本発明の第5の発明は、前記応力発光体を含有することを特徴とするインキである。インキを構成する前記応用発光体以外の溶剤、染料等の組成物は、インキ技術分野では周知の組成物で構成するので、その説明は省略する。
【0007】
本発明の第6の発明は、前記応力発光組成物を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである含有することを特徴とする。
本発明の第7の発明は、外部から機械的なエネルギーを加えると発光し、前記機械的なエネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上を発光中心として無機母体材料中にドープしてなり、異方性のアスペクト比を有する応力発光体の製造方法である。本発明でいうシートとは、薄い板状の部材を意味し、天然繊維を用いた紙、合成紙、天然、又は合成繊維等で作られた織布、又は不織布、各種合成樹脂製のシート、フィルムを意味する。
本発明の第7の発明の応力発光体の製造方法は、前記希土類又は遷移金属の酸塩と、前記無機母体材料の原料を溶媒で混合しながら所定のpH値になるようにアンモニア水を添加させてゾル・ゲル溶液を形成し、前記ゾル・ゲル溶液の中に分散・乳化剤を添加して混合して乾燥させた後に、加熱処理をして生成し、前記pH値を変化させることによって前記アスペクト比を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1から7の発明の前記応力発光体は、角の張った形状、板状、針状、棒状のいずれかの外形を有すると良い。また、前記棒状又は前記針状粒子のアスペクト比は2から1000であると良い。更に、前記棒状又は前記針状粒子のアスペクト比は5から100であることが好ましい。また、前記応力発光体の微粒子が負荷エネルギーの変化に比例して発光強度を変化させると良い。
前記応力発光体は、前記機械的なエネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上を発光中心として無機母体材料中にドープしてなると良い。更に、前記応力発光体は、アルミン酸塩又はケイ酸塩であると良い。
本発明の第3から5の発明においては、前記応力発光体の微粒子が分散していると良い。更に、本発明の第2、3の発明の前記微細構造物は、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック、人口繊維、天然繊維のいずれか又は2以上の組からなる微粒子であると良い。 更に、本発明の第2、3の発明の前記微細構造物は、繊維状、針状、球状のいずれかの形状を有する微粒子であると良い。更に、本発明の第2、3の発明の前記接合剤は透明性及び柔軟性であると良い。
更に、本発明の第2、3の発明の前記接合剤は、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、ゴム系接着剤(エラストマー)のいずれか又はこれらの2以上の組からなる複合接着剤であると良い。この複合接着剤は、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂若しくはエラストマー、又は熱可塑性樹脂若しくはエラストマーに熱硬化性樹脂を添加した接着剤であると良い。
【0009】
[熱硬化性樹脂接着剤]
熱硬化性樹脂接着剤としては、フェノール、レゾルシノール、尿素、エチレン尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、フラン、キシレン等のホルムアルデヒド系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリジアリルフタレート、又はこれらの共縮合体であることが好ましい。
[熱可塑性樹脂接着剤]
熱可塑性樹脂接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メチルシアノアクリレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ナイロン、ポリパラフェニルオキシド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ブタジエンと共重合プラスチックポリマー(ABS、耐衝撃ポリスチレン)等ガラス転移点が室温以上のポリマー接着剤であることが好ましい。
【0010】
[ゴム系接着剤(エラストマー)]
ゴム系接着剤(エラストマー)としては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン・イソブチレン、チオコールゴム、ポリアクリレート等の室温より低いガラス転移温度を有する弾性体であることが好ましい。
[複合接着剤]
複合接着剤としては、尿素−ポリ酢酸ビニル、−ポリビニルアルコール;フェノール樹脂−ポリ酢酸ビニル、−ポリビニルホルマール、−ポリビニルブチラール、−ニトリルゴム、−クロロプレンゴム、−ナイロン;メラミン樹脂−アクリル樹脂、−ポリ酢酸ビニル、−アルキド樹脂;エポキシ樹脂−ナイロン、−ポリアミド、−アクリル樹脂、−合成ゴム、−ポリサルファイド、−ポリイソシアネート、−キシレン樹脂、−フェノール樹脂等であることが好ましい。
【0011】
本発明の第3、5の発明の前記塗料の組成は、分散媒である樹脂、分散体である顔料、添加剤、溶剤から構成されていることが好ましい。また、溶剤は有機溶剤であることが好ましい。更に、有機溶剤を減らしたハイソリッド塗料、溶剤を水にした水性塗料、溶剤を無くした粉体塗料であることが好ましい。
[無機母体材料]
前記無機母体材料としては、メリライト構造、FeS構造、ウルツ構造、スピネル構造、コランダム構造又はβ−アルミナ構造を有する酸化物、硫化物、炭化物又は窒化物が掲げられる。この無機母体材料にドープされる発光中心としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類イオン、およびTi、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、Wの遷移金属イオン内の1種類以上を用いることが好ましい。
[応力発光材料]
この応力発光材料としては、次に掲げる母体材料に、機械的なエネルギーによって励起され電子が基底状態に戻る場合に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上からなる発光中心をドープしてなるものが好ましい。
この応力発光材料は、ストロンチウム及びアルミニウム含有複合金属酸化物を母体材料として用い、それに希土類金属又は遷移金属を発光中心としてドープさせたものである、たとえば、xSrO・yAl2O3・zMO(Mは二価金属、Mg、Ca、Ba、x、y、zは整数である)、xSrO・yAl2O3・zSiO2(x、y、zは整数である)を上げることができる。SrMgAl10O17:Eu、(SrXBa1-x)Al2O4:Eu(0<x<1)、SrAl2SiO7:Euなどが望ましい。特に応力発光材料は、欠陥制御型ユーロピュウム賦活アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4:Eu)を主成分とするセラミック粉体であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、次の効果が奏される。
本発明は、所定のアスペクト比を有する応力発光体、その製造方法を提供し、この応力発光体が外部からの負荷によって球状又は球状に近い形状の応力発光粒子に比べて効率よく発光することが可能になった。
また、応力発光体を含有する接合剤は、接合剤自体より大きな弾性率を有する微細構造体を有するため、外部からの負荷が微細構造体と微細構造体との間の応力発光体に集中し効率良く発光することが可能になった。このような接合剤を有する構造体は、外部から与えられる機械的なエネルギーを効率的に応力発光として光に変換して発光できる。
また、応力発光体を含有する塗料は構造体に塗り付けされて利用され、構造体の弾性又は塑性変形される部分の応力発光体が発光することが可能になった。構造体を弾性又は塑性変形が集中される部分が他のところより強く発光することが可能になった。特に、構造体が紙等のシート状の場合は、折りたたみ稜線の部分が他の部分より強く光る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の概要を説明する。応力発光材料は、外部から機械的な負荷をかけると光を発する。この応力発光材料からなる粒子、又はこの粒子を含有する複合材料はさまざまな用途で利用される。たとえば、接合剤、塗料に混入されて利用することが可能である。
本発明の応力発光粒子は、その最大径と最小径が異なる異方性の外形を有する。この応力発光粒子は、従来の球状粒子又は回転楕円体粒子等の球状に近い形状のものよりも、応力集中が起こりやすく、同じ励起外力では強い発光が得られる特徴がある。異方性の粒子の中では、角の張った粒子、板状粒子、針状粒子が好ましい。特に、アスペクト比が2から1000の棒状又は針状粒子が好ましい。更にアスペクト比が5から100の粒子がより好ましい(実施例1を参照)。
【0014】
本発明の発明者等は、応力発光体の生成条件を検討し、それを変更することにより、様々な粒子形状の応力発光体を作り出すことができることを見出した。これにより、応力発光体の粒子形状の制御が可能になった。また、応力発光材料の微粒子を含む均質な接合剤を、接合剤より大きな弾性率を有する微細構造物と共存させると、微細構造物間に存在する接合剤に応力集中が発生し、その結果、接合剤中に含まれる応力発光材料の微粒子に大きな応力が作用して強い発光が発生することが可能である。
これら多くの接着剤に応力発光体を混入させて実施することが可能である。接着剤としては、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、ゴム系接着剤(エラストマー)、又は複合接着剤等を利用することが可能である。複合接着剤は、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂若しくはエラストマー、又は熱可塑性樹脂若しくはエラストマーに熱硬化性樹脂を添加した接着剤が好ましい。その実施例としては、エポキシ系接着剤の実施例(実施例2を参考)を下述する。
【実施例1】
【0015】
(異方性応力発光粒子)
以下に本発明の実施例1を示す。
図1には、生成された異方性外形の応力発光粒子の電子顕微鏡写真を図示している。写真の応力発光粒子のアスペクト比は2以上である。粒子の長い方向は2μm程度で、短い方向は0.3μm程度である。
(製造方法)
原料が純度99%以上のトリーイソプロポキシアルミニウム、ストロンチウムの硝酸塩、ユウロピウムの硝酸塩、硼酸、を用いた。これらの原料をSr0.9Al:Eu0.01%になるように秤量し、水溶媒で混合しながらアンモニア水を添加した。pH値を6.0に調整し、ゾル・ゲル溶液を形成した。このゾル・ゲル溶液の中に、分散・乳化剤としてジメチルホルムアミドを添加して混合し、100−200℃で乾燥させた後に、空気中に置いて、700℃で熱処理した。これにより得られた生成物を粉砕し、還元雰囲気中に置いて、1300℃に6時間を焼成することにより応力発光体粒子が得られた。
得られた応力発光体粒子の結晶構造をX線回折により同定した結果、α―SrAl純相であることが確認された。pH値を変更することにより、アスペクト比を調整することができる。たとえば、pH値が8になるように調整して得られた応力発光体粒子の電子顕微鏡写真を図2に図示している。アスペクト比は1.5以内の球状に近い粒子になっている。pH値が11の場合は、図3に図示している。この粒子は、アスペクト比は5以上の板状粒子になっている。
【実施例2】
【0016】
次に、異方粒子を含有する接着剤について説明する。この応力発光接着剤は、エポキシ系接着剤(A)、応力発光粒子(B)、応力増強構造体(C)からなる。エポキシ系接着剤(A)は透明で次のように生成された。Struers製反応性エポキシ樹脂であるビスフェノールーA・エピクロロヒドリン(平均分子量<700)と、硬化剤であるイソプロヂアミン、溶剤であるベンジルアルコールとを重量比2.5対1で秤量して3分間気泡が混入されないように混合し、3分間脱気した。これによって、気泡のない接着剤ができた。
応力発光粒子(B)は、上述の実施例1に示したセラミックス異方性Sr0.9Al:Eu0.01%粒子である。粒子の長い方向は平均2μm、短い方向は平均0.3μmの棒状粒子を利用した。応力増強構造体(C)は、高純度化学製のアルミナ粒子を利用した。このアルミナ粒子の平均粒子径は10μmである。応力発光粒子(B)と応力増強構造体(C)の粉体をそれぞれ0.9gと0.1gずつ秤量し十分に混合した後、エポキシ系接着剤(A)と重量比は1対1で混合して応力発光体を含む接着剤を得た。
【0017】
試験片1の概要を図4、5に図示している。試験片1は、エポキシ樹脂3と、透明なアクリルシート4を重ね合わせて、接着剤によって接着させている。図4のエポキシ樹脂3と、透明なアクリルシート4を接着剤によって接着させた重ね合せの部分2は、図5に拡大して図示している。図5の7は接着剤、8は応力発光粒子、9は応力増強構造体である。
この応力発光体を含む接着剤は、エポキシ樹脂3の厚さ1mmの表面に50μmの厚さになるように両端スペーサーで固定し、透明なアクリルシート4(厚さ0.3mm)を重ね合わせて接着して、30℃で24時間硬化した。得られた試験片1は、TENSILON社製の材料試験機で引っ張り100N 負荷を印加して発光を観察した。
材料試験機から加えられる負荷の増大に伴って発光強度は増大し、その発光は肉眼で明確に観測できた。図6は、試験片からの発光の様子を示す写真である。また、手で曲げても強い発光が観測できた。繰り返し試験をしてもエポキシ樹脂試験片上の応力発光体の接着層は強固に接合し、エポキシ樹脂の破壊まで接着層の剥離はまったくなかった。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の概要を説明する。本発明の第2の実施形態の実施例としては、アクリル系接着剤の実施例(実施例3を参考)を下述する。図7には、試験片11の概要を図示している。図7(a)には、試験片11の正面図を図示している。図6(b)には、試験片11の平面図を図示している。図8には、測定装置の概要を図示している。試験片11は、被接着体である第1材料12と第2材料13が接着剤14によって接着結合されている。接着剤14には、粉体の応力発光材料が混入されている。測定装置は、応力負荷手段17と、受信手段30、解析手段31から構成されている。応力負荷手段7は、試験片11に機械的な応力を加えるためのものである。
【0018】
試験片11に加えられる機械的な応力は、試験片11を両端から引っ張る引力、又は、試験片11を両端から圧縮する圧力である。また、応力負荷手段17は試験片11に一定の時間間隔で引力、圧力を繰り返す応力でも良い。応力発光材料は負荷によるひずみエネルギーを光エネルギーに変換する。このため単独の負荷では発光量が時間とともに減衰する。測定を容易にするため、繰返し負荷を行い、継続的な発光を維持しつつ試験片11の観察を行うことが望ましい。
【0019】
この応力発光体は、ストロンチウム及びアルミニウム含有複合金属酸化物を母体材料として用い、それに希土類金属又は遷移金属を発光中心としてドープさせたものである、SrMgAl1017:Eu、SrAl11:Eu、SrLaAl:Eu、SrYAl:Eu、SrAlSi0:Euなどが望ましい。発光を肉眼でも確認するためには、応力発光体は可視光を発光する希土類金属又は遷移金属をドープした材料であることが好ましい。特に応力発光体は、欠陥制御型ユウロピウム賦活アルミン酸ストロンチウム(SrAl:Eu)を主成分とするセラミック粉体であることが好ましい。さらに、異方性応力発光体粒子を利用すると、発光強度を増強することができ、より好ましい。
【0020】
受信手段30は、試験片1から発光する光波を受信するためのものである。受信手段30としては、CCDカメラや高速ビデオ撮影装置等の可視光、赤外線、遠赤外線、紫外線を撮影するための撮影装置がある。解析手段31は、受信手段30によって受信された光波を分析し、その分布等の特徴を得るためのものである。解析手段31は、受信手段30によって受信又は撮影された画像又は映像を解析し、接着剤14から発光された光波を解析し、その特徴を把握できるものであればどのような形式の機械、装置であっても良い。
【0021】
この応力発光材料としては、次に掲げる母体材料に、機械的なエネルギーによって励起され電子が基底状態に戻る場合に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上からなる発光中心をドープしてなるものが好ましい。
この応力発光材料は、ストロンチウム及びアルミニウム含有複合金属酸化物を母体材料として用い、それに希土類金属又は遷移金属を発光中心としてドープさせたものである、たとえば、xSrO・yAl2O3・zMO(Mは二価金属、Mg、Ca、Ba、x、y、zは整数である)、xSrO・yAl2O3・zSiO2(x、y、zは整数である)を上げることができる。SrMgAl10O17:Eu、(SrXBa1-x)Al2O4:Eu(0<x<1)、SrAl2SiO7:Euなどが望ましい。特に応力発光材料は、欠陥制御型ユーロピュウム賦活アルミン酸ストロンチウム(SrAl2O4:Eu)を主成分とするセラミック粉体であることが好ましい。
【0022】
(測定装置の動作)
試験片11をその両端から応力負荷手段17の把持部18,19によって固定する。そして、応力負荷手段7によって、一定の繰り返しサイクルで荷重を加える。この外部の応力によって、接着剤4に含まれる応力発光材料が発光し、光波を発生する。発光された光波を、受信手段30によって受信又は撮影する。受信又は撮影された画像又は映像を解析手段31によって解析し、応力発光材料の発光する様子や、その発光する周波数等が分かる。この解析によって、接着剤14がどのように分布しているかをわかる。特に、接着剤14に亀裂が生じたりすると、この亀裂部分から発光されないため、接着剤14の亀裂を把握することが可能である。亀裂の端部を把握し、その傾向を把握することも可能である。
【実施例3】
【0023】
次に、試験片11と測定装置の具体的な実施例13を説明する。試験片11は、2枚のアクリル板を接着剤によって接合し、単純重ね合わせ継手試験片として使用した。応力発光粉を接着剤に混入している。これにより、透明なアクリル板の内部の発光が測定できる。応力発光材料として実施例1の異方性応力発光体を使用した。
【0024】
接着剤としては、アクリル板との接合性を考慮し反応性アクリル接着剤MA310(アイ・ティー・ダブリュー・インダストリー株式会社、プレクサス部門製)を用い、これに応力発光粉を20wt%混入して使用した。アクリル板は板厚を2mmとし,重ね合わせ長さを25mmとし、その他の寸法はJIS K6850(2)準規とした。接着作業では,スペーサーを使用し接着剤層厚さが1mmとなるようにアクリル板を接合した。
【0025】
応力負荷手段17として、油圧式10t疲労試験機(Instron社製)を用いた。試験片11への負荷として、応力負荷手段17によって変位振幅+0.6mm、負荷サイクル20Hzの繰返し荷重を加えた。試験片11の応力発光材料は負荷によるひずみエネルギーを光エネルギーに変換する。このため単独の負荷では発光量が時間とともに減衰する。測定を容易にするため本実験では繰返し負荷を行い、継続的発光を維持しつつ試験片の測定を行った。
【0026】
受信手段30として、高感度のCCDカメラであるWAT−525EX(ワテック株式会社製)を用いた。試験片11の発光の様子は、受信手段により撮影し、これをビデオテープに録画した。その後、これをコンピュータにより画像解析を行い、輝度データおよび画像の強調などを行った。実験では、負荷開始後に接着接合部が発光を始め、この様子が肉眼でもはっきりと確認できる可視光であった。
【0027】
図9には、CCDカメラで撮影した接合部画像を示している。ここでは試験片11の長手方向が上下となっており、上下両端部(接着接合部端部)に輝度の高い横縞20がある。したがって、この箇所で強い応力集中の発生していることがわかる。これは従来の理論を裏付けるものである。試験片1の接合部4の中央には幾つかの輝度の低い横縞21が写っている。これは静的負荷では予想されない結果であり、繰返し負荷による振動もしくは撓み波の干渉により生じたものであると考えられる。
【0028】
図10のグラフには、試験片1の接着接合部の長手方向の輝度分布と、有限要素法により求めた応力分布を示している。グラフの横軸は、試験片1の接着接合部の位置をmmで表示している。グラフの縦軸は、発光の輝度分布と、有限要素法により求めた応力分布を相対値で表示している。グラフの右側の縦軸は、発光の輝度を相対値で示している。発光分布は実線22で図示されている。
【0029】
グラフの左側の縦軸は、有限要素法により求めた試験片1にかかる負荷を示している。この負荷の分布は、点線23で図示されている。輝度分布は,動的負荷の影響と思われる小さなピークが幾つか存在するものの、予想した応力分布と良い傾向の一致を示している。図10の実線22の両端部には、2つ大きな山が表示されている。これは、図9の横縞20で、真ん中の複数の小さな山は、横縞21である。
【0030】
試験片1を応力負荷手段17によってゆっくりと引っ張って接着剤層内の応力分布を測定した。接着剤層内から発光される様子をCCDカメラで撮影した。接着剤層からの発光は肉眼で確認できた。図11には、試験片1を応力負荷手段17によってゆっくりと引っ張るときの写真である。図11の写真の上下の部分に発光輝度が高いことがわかる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の概要を説明する。本発明の第3の実施形態の実施例としては、塗料に応力発光体を混入させ紙面に塗布してシート状応力発光構造物40を製作した。
図12には、シート状応力発光構造物40の概要を図示している。図示するように、塗料42に応力発光体43を混入させて、紙41に塗布している。塗料の一部は、紙41に浸透し、浸透層44を形成している。よって、このシート状応力発光構造物40に手で触ったり、鉛筆等の道具で接触したりすると接触部分に負荷がかかり、応力発光体43が発光する。
【実施例4】
【0031】
塗料に応力発光体を混入させて実施する実施例4を説明する。具体的には、実施例1の応力発光材料の粉末を含有するシート状応力発光構造物を製作した。応力発光材料の粉末は、アスペクト比が2以上の異方性の粒子である。応力発光材料の粉末をスクリーン印刷用のインキと均質に混合した。インキは透明で、ウレタン系二液型である。
インキに混入する応力発光体異方性粉末の直径は平均2μmである。混合された、応力発光材料の粉末とインキを厚さ90μm坪量64g/m2のPPC用紙にスクリーン印刷し含浸させて、室温で乾燥させた。紙の片面に応力発光材料の粉末を含有するインキを印刷している。応力発光材料の粉末の形状は細長く2以上のアスペクト比を有する。
【0032】
インキは、紙にスクリーン印刷され、その一部は紙に浸透して乾燥し固定化されている。応力発光材料の粉末を含有するインキは、紙の上に均等に又は、その一部にスクリーン印刷される。このように製作されたシート状応力発光構造物の表面に接触すると接触位置に伴って発光し、図13、14に示すように光の軌跡を描いた。特に、図14には、「O」を描くとその光の軌跡がはっきり写っている。
また、シート状応力発光構造物を折りたたんだり、折りたたんだところを展開させたりすると折りたたみ部分の稜線付近ではその他の部分より強い発光を行うことを確認した。
応力発光材料の粉末を含有するインキを印刷するときに所定の絵柄をなすように印刷することが可能である。
また、本発明の組成物は、他の添加物を含んでも良い。他の添加物としては、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、結晶核剤、発泡剤、抗菌・防黴剤、充填剤、強化剤、導電性フィラー、帯電防止剤等であると良い。
本発明は、上述した実施形態1から4に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更、適宣した技術手段を組み合わせて得られる実施形態は本発明の技術的範囲に含まれる。上記の接着剤はむろん塗料としての利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の応力発光材料は、機械的な振動、負荷を光エネルギーに変換して発生するため、本発明は、機械的な振動を伝達する個所の検知、機械的な振動の発生源の監視等を目的に使用されると良い。工業用途としては、プラント、建物、トンネル等の構造物の振動、崩壊、破壊を検知するシステムに用いることにより、これらの構造物の安全管理、防災診断に利用されると良い。
また、リモートでこれらの構造物を監視するシステムに適応でき、受動型センサとして利用されると良い。更に、これの構造物の点検、安全管理が速やかにでき、長寿命化にも繋がる。また、電極、配線等の不要な、非接触型の光応力センサとして、従来の応力センサでは対応できない各種応力計測に用いると良い。
また、民用品としては、靴、スポーツウエア等の衣料品、車、自転車等の車輪のタイヤ、道路上の標識等、夜間の防犯や安全視認具への応用が可能である。また、玩具やイベントグッズ等のアミューズメント商品、夜間の間に手で触れると光って表示されるキーボタン等に利用される。金属、樹脂、ゴム、繊維といった広範囲な材料と一体として様々な分野に新たな用途を生み出し展開されるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1の異方性外形の応力発光粒子の電子顕微鏡写真(アスペクト比は2以上)である。
【図2】図1は、実施例1の異方性外形の応力発光粒子の電子顕微鏡写真(アスペクト比は1.5以内)である。
【図3】図1は、実施例1の異方性外形の応力発光粒子の電子顕微鏡写真(アスペクト比は5以上)である。
【図4】図4は、実施例2の試験片の概要を図示している図である。
【図5】図5は、実施例2の試験片の接合部分の概要を図示している図である。
【図6】図6は、実施例2の試験片から発光する様子を撮影した写真である。
【図7】図7は、第2の実施の形態の試験片の概要を図示している図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態の測定装置の概要を図示している図である。
【図9】図9は、実施例3の試験片から発光する様子を撮影した写真である。
【図10】図10は、試験片から発光する可視光の強度分布、及び有限要素法により求めた応力分布を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例3の試験片を応力測定手段によってゆっくりと引っ張るとき、試験片から発光する様子を撮影した写真である。
【図12】図12は、第3の実施の形態のシート状応力発光構造物の概念図である。
【図13】図13は、実施例4のシート状応力発光構造物の表面が接触によって発光する様子を示す写真(A)である。
【図14】図14は、実施例4のシート状応力発光構造物の表面が接触によって発光する様子を示す写真(O)である。
【符号の説明】
【0035】
1,11…試験片
2…重ね合せの部分
3…エポキシ樹脂
4…アクリルシート
7、14…接着剤
8…応力発光粒子
9…応力増強構造体
12…第1材料
13…第2材料
17…応力負荷手段
18、19…把持部
30…受信手段
31…解析手段
40シート状応力発光構造物
42…塗料
43…応力発光体
41…紙
44…浸透層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から機械的なエネルギーを加えると発光する応力発光体において、
前記応力発光体が異方性のアスペクト比を有する
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項2】
請求項1において、
前記応力発光体は、角の張った形状、板状、針状及び棒状から選択される1種
以上の外形を有する
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項3】
請求項2において、
前記棒状及び/又は前記針状粒子のアスペクト比は2から1000である
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項4】
請求項3において、
前記応力発光体の微粒子が負荷エネルギーの変化に比例して発光強度を変化させる
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項5】
請求項1から4の中から選択されるいずれか1つの項において、
前記応力発光体は、前記機械的なエネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上を発光中心として無機母体材料中にドープしてなる
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項6】
請求項5において、
前記応力発光体は、アルミン酸塩及び/又はケイ酸塩である
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項7】
被接合体である第1材料と第2材料を接合剤によって接合させるための接合剤において、
前記接合剤は、請求項1から6の中から選択されるいずれか1項に記載された前記応力発光体を含有する
ことを特徴とする接合剤。
【請求項8】
請求項7において、
前記接合剤は、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、及びゴム系接着剤から選択される1種以上からなる複合接着剤である
ことを特徴とする接合剤。
【請求項9】
請求項7又は8において、
応力を増強する機能のための微細構造物を含有し、
前記微細構造物は前記接合剤より大きな弾性率を有する
ことを特徴とする接合剤。
【請求項10】
請求項9において、
前記微細構造物は、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック、人口繊維、及び天然繊維から選択される1種以上の微粒子である
ことを特徴とする接合剤。
【請求項11】
請求項10において、
前記微細構造物は、繊維状、針状、及び球状から選択される1種以上の微粒子である
ことを特徴とする接合剤。
【請求項12】
請求項7又は8において、
前記接合剤は透明性及び柔軟性を有するものである
ことを特徴とする接合剤。
【請求項13】
外部から機械的なエネルギーを加えると発光する応力発光組成物において、
前記応力発光組成物が異方性のアスペクト比を有する応力発光体を含有する
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項14】
請求項13において、
前記応力発光体は、角の張った形状、板状、針状、及び棒状から選択される1種以上の外形を有する
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項15】
請求項14において、
前記棒状又は前記針状粒子のアスペクト比は2から1000である
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項16】
請求項15において、
前記応力発光体の微粒子が負荷エネルギーの変化に比例して発光強度を変化させる
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項17】
請求項16において、
前記応力発光体は、前記機械的なエネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上を発光中心として無機母体材料中にドープしてなる
ことを特徴とする応力発光体。
【請求項18】
請求項17において、
応力発光体は、アルミン酸塩及び/又はケイ酸塩である
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項19】
請求項13から18において、
前記応力発光体の微粒子が均等に分散している
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項20】
請求項7において、
接合剤を含有する
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項21】
請求項20において、
前記接合剤は、熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤、及びゴム系接着剤から選択される1種以上からなる複合接着剤である
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項22】
請求項21において、
応力を増強する機能のための微細構造物を含有し、
前記微細構造物は前記接合剤より大きな弾性率を有することを特徴とする応力発光組成物。
【請求項23】
請求項22において、
前記微細構造物は、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック、人口繊維、及び天然繊維から選択される1種以上からなる微粒子である
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項24】
請求項23において、
前記微細構造物は、繊維状、針状、及び球状から選択される1種以上の形状を有する微粒子である
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項25】
請求項21において、
前記接合剤は透明性及び柔軟性を有するものである
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項26】
請求項19において、
添加物として塗料、インキ、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、結晶核剤、発泡剤、抗菌・防黴剤、充填剤、強化剤、導電性フィラー、及び帯電防止剤から選択される1種以上のものを含有する
ことを特徴とする応力発光組成物。
【請求項27】
請求項1から6の中から選択されるいずれか1項に記載された前記応力発光体が、塗料中に分散して含有されている
ことを特徴とする塗料。
【請求項28】
請求項1から6の中から選択されるいずれか1項に記載された前記応力発光体が、インキ中に分散して含有されている
ことを特徴とするインキ。
【請求項29】
請求項1から6の中から選択されるいずれか1項に記載された前記応力発光体を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである
ことを特徴とするシート状応力発光物。
【請求項30】
請求項20に記載された前記応力発光組成物を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである
ことを特徴とするシート状応力発光物。
【請求項31】
請求項21に記載された前記応力発光組成物を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである
ことを特徴とするシート状応力発光物。
【請求項32】
請求項25に記載された前記応力発光組成物を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである
ことを特徴とするシート状応力発光物。
【請求項33】
請求項26に記載された前記応力発光組成物を、シート状物の表面又は内部に含浸して配置されているシートである
ことを特徴とするシート状応力発光物。
【請求項34】
外部から機械的なエネルギーを加えると発光し、
前記機械的なエネルギーによって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上を発光中心として無機母体材料中にドープしてなり、
異方性のアスペクト比を有する応力発光体の製造方法において、
前記希土類又は遷移金属の酸塩と、前記無機母体材料の原料を溶媒で混合しながら所定のpH値になるようにアンモニア水を添加させてゾル・ゲル溶液を形成し、
前記ゾル・ゲル溶液の中に分散・乳化剤を添加して混合して乾燥させた後に、加熱処理をして生成し、
前記pH値を変化させることによって前記アスペクト比を制御する
ことを特徴とする応力発光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−36887(P2006−36887A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217716(P2004−217716)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】