説明

異方性導電膜およびその製造方法

【課題】導電性物質が充填される膜の取扱い性に優れ、セパレータの剥離時に導電性物質の剥離・脱落などを抑制可能な異方性導電膜を提供すること。
【解決手段】多数の非貫通孔を有し、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に一定範囲にわたって架橋が形成されている、架橋性高分子よりなる部分架橋膜と、非貫通孔内に充填された導電性物質と、部分架橋膜の両面に被覆された接着層とを備えた異方性導電膜とする。架橋は、非貫通孔の形成面側から膜厚方向に密から疎に傾斜して形成されていると良い。また、部分架橋膜は、疎水性及び揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを含んだ高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより形成された多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、非貫通孔の形成面側からエネルギー線が照射されて形成されていると良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電膜およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、狭ピッチに配列された複数の導体間を電気的、機械的に接続するのに好適な異方性導電膜およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化、小型化などに伴い、狭ピッチに配列された複数の導体間を電気的、機械的に接続する必要性が増大している。このような必要性が生ずる場合としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)の分野において、TCP(Tape Carrier Package)に駆動用ICを搭載したTAB(Tape Automated Bonding)の電極と液晶パネルの電極とを接続する場合や、液晶パネルのガラス基板上に駆動用ICを直接接続する(Chip On Glass:COG)場合などが挙げられる。
【0003】
上記接続においては、一般に、膜厚方向に導電性を示し、かつ、膜面方向に絶縁性を示す異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:ACF)が多用されている。
【0004】
この種の異方性導電膜としては、例えば、特許文献1には、非水溶性の熱可塑性膜と、この熱可塑性膜の両面に配置される水溶性膜と、これら熱可塑性膜および水溶性膜を膜厚方向に貫通する多数の貫通孔内に充填された導電性物質とを有する異方性導電膜が開示されている。
【0005】
ところで最近、電子部品の小型化などにより、被接続物の導体ピッチは一層狭ピッチ化されてきている。そのため、これに合わせて、異方性導電膜も狭ピッチ化に対応することが求められている。
【0006】
しかしながら、上記異方導電性膜は、膜厚方向に微小な貫通孔を多数形成するため、X線やSR(シンクロトロン放射光)などを用いる必要がある。そのため、製造コストが高くなり、長尺物の量産性にも乏しいなどといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明者らは、上記事情に鑑み、膜厚方向に貫通した多数の貫通孔を有し、これら貫通孔はハニカム状に配列されるとともに、貫通孔の内壁面は外側方向に湾曲されている、高分子よりなる多孔質膜を用い、この多孔質膜の貫通孔内に導電性物質を充填し、その膜の両面に接着層を被覆した異方性導電膜を開発し、既に特許出願も行っている(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平8−273442号
【特許文献2】PCT/JP2005/006584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この異方性導電膜は、被接続物の狭ピッチ化に対応しやすいなどの利点があるものの、多孔質膜が薄いこと、膜厚方向に貫通する貫通孔を有する多孔質膜を用いていることなどに起因して、以下のような問題を抱えており、未だ改良の余地が残されていた。
【0010】
すなわち、上記異方性導電膜を構成する多孔質膜は、その膜厚が薄いため、異方性導電性膜の製造時における取扱い性が極めて悪い。
【0011】
そのため、この多孔質膜の取扱い性を確保するなどの観点から、これまで、セパレータ上に多孔質膜を載置し、この状態のまま、貫通孔内への導電性物質の充填など、各種処理を行ってきた。
【0012】
しかしながら、セパレータは、多孔質膜の貫通孔内に導電性物質を充填した後、接着層を形成する前に、剥離する必要がある。
【0013】
ところが、貫通孔内に充填された導電性物質は、セパレータに接触しているため、セパレータの剥離時に、導電性物質が一緒に剥離したり、あるいは、脱落したりしてしまう場合があった。したがって、このまま接着層を形成すれば、膜厚方向の接続信頼性が低下することも考えられうる。
【0014】
特に、水などの親水性溶媒に導電性物質を分散した分散溶液を用い、疎水性である多孔質膜の貫通孔内に導電性物質を充填しようとした場合、多孔質膜表面に親水処理を施すことがあるが、その際に、貫通孔内に臨んでいるセパレータ表面も同時に親水化されることがある。このような場合には、セパレータと導電性物質とが強固に固着するので、上記問題が一層顕著に発生する。
【0015】
そうかといって、セパレータ上に多孔質膜を載置することなく、その微細な貫通孔内に導電性物質を充填するのは、取扱い性の悪化、これに起因する生産性の低下などの問題があり難しい。
【0016】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、導電性物質が充填される膜の取扱い性に優れ、セパレータの剥離時に導電性物質の剥離・脱落などを抑制可能な異方性導電膜を提供することにある。また、この異方性導電膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明に係る異方性導電膜は、多数の非貫通孔を有し、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に一定範囲にわたって架橋が形成されている、架橋性高分子よりなる部分架橋膜と、非貫通孔内に充填された導電性物質と、部分架橋膜の両面に被覆された接着層とを備えたことを要旨とする。
【0018】
この際、上記架橋は、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に密から疎に傾斜して形成されていると良い。
【0019】
また、上記部分架橋膜は、非貫通孔がハニカム状に配列されるとともに、非貫通孔の内壁面が外側方向に湾曲されていると良い。
【0020】
また、上記部分架橋膜は、疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより形成されうる、多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、非貫通孔の形成面側からエネルギー線が照射されて形成されていると良い。
【0021】
一方、本発明に係る異方性導電膜の製造方法は、セパレータ上に載置された多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、非貫通孔の形成面側からエネルギー線を照射し、部分架橋膜を形成する工程と、非貫通孔内に導電性物質を充填する工程と、セパレータを剥離するとともに、非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜の両面に接着層を被覆する工程とを含むことを要旨とする。
【0022】
この際、上記前駆体膜は、疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより形成すると良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る異方性導電膜において、部分架橋膜は、非貫通孔を有している。そのため、非貫通孔の下部に孔がない高分子層を形成できるので、その分、部分架橋膜全体の膜厚を厚くすることができる。これにより導電性物質が充填される膜の取扱い性が向上する。したがって、本発明に係る異方性導電膜膜は、生産性に優れる。
【0024】
また、上記に加え、本発明に係る異方性導電膜では、部分架橋膜の非貫通孔内に導電性物質が充填されている。そのため、この異方性導電膜の製造時において、非貫通孔の形成面とは反対面に密着されるセパレータの剥離性に優れる。さらに、セパレータを剥離しても、セパレータと一緒に導電性物質が剥離したり、あるいは、導電性物質が脱落したりしてしまうことがない。そのため、本発明に係る異方性導電膜膜は、膜厚方向の接続信頼性に優れる。
【0025】
ここで、本発明に係る異方性導電膜を構成する部分架橋膜は、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に一定範囲にわたって架橋が形成されている。そのため、非貫通孔の形成面側は耐熱性が向上しているが、非貫通孔の形成面と反対側の面は相対的に耐熱性が低いままである。
【0026】
一般に、異方性導電膜は、熱圧着されて使用されるところ、本発明に係る異方性導電膜を熱圧着した場合には、その架橋部位により、隣接する導電性物質同士の接触は妨げられる。そのため、膜面方向の絶縁性が確保される。
【0027】
一方、非貫通孔の形成面とは反対面側の非架橋部位、すなわち、非貫通孔下部の高分子層は、熱により流動可能な状態になり、圧着力により接着層と一緒に流動排除される。そのため、膜厚方向の導通が確保される。
【0028】
したがって、上記構成を採用することにより、異方導電性という基本的な機能が損なわれることはほとんどない。また、上記高分子層も流動排除されるので、異方性導電膜の膜厚が極端に厚くなることも回避できる。
【0029】
この際、上記架橋が、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に密から疎に傾斜して形成されている場合には、非貫通孔の形成面から膜厚方向に向かって徐々に耐熱性が低くなるので、上記作用効果に優れる。
【0030】
一方、本発明に係る異方性導電膜の製造方法によれば、上記作用効果を奏する異方性導電膜を得ることができる。とりわけ、本発明に係る異方性導電膜の製造方法では、非貫通孔を有する前駆体膜、部分架橋膜を用いているので、これら膜の取扱い性に優れる。そのため、膜の損傷などによる不良が減少し、生産性を向上させることができる。
【0031】
また、セパレータの剥離時に、セパレータと一緒に導電性物質が剥離したり、あるいは、導電性物質が脱落したりしてしまうこともない。そのため、膜厚方向の接続信頼性に優れた異方性導電膜が得られる。
【0032】
この際、上記前駆体膜の形成を、疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより行った場合には、多数の非貫通孔を有する前駆体膜を簡単かつ安価に形成することができる。そのため、異方性導電膜の製造コストを低廉にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本実施形態に係る異方性導電膜およびその製造方法について詳細に説明する(以下、本実施形態に係る異方性導電膜を「本ACF」と、本実施形態に係る異方性導電膜の製造方法を「本製造方法」ということがある。)。
【0034】
1.本ACF
図1に示すように、本ACF10は、部分架橋膜12と、導電性物質14と、接着層16とを基本的構成として備えている。
【0035】
1.1 部分架橋膜
本ACFにおいて、部分架橋膜は、架橋性高分子よりなり、多数の非貫通孔を有し、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に一定範囲にわたって架橋が形成されている。
【0036】
ここで、本願にいう架橋性高分子とは、紫外線、赤外線、電子線などのエネルギー線により架橋が形成されうる高分子をいう。また、本ACFは、基本的には、熱圧着して使用されるが、後述する理由により、架橋性高分子のうち、非架橋部分は、その熱圧着時の熱により流動可能となり、圧着力により流動する必要がある。なお、熱圧着時の温度は、架橋性高分子の種類などにより異なるが、一般的に、80〜180℃程度を例示することができる。
【0037】
このような架橋性高分子としては、例えば、二重結合を有するポリマーおよび/またはオリゴマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0038】
上記二重結合を有するポリマー、オリゴマーとしては、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基などの(メタ)アクリロイル基、シンナモイル基、ビニル基、アリル基などの二重結合を主鎖、末端またはペンダント基として有する、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、マレイン化油樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0039】
上記二重結合を主鎖、末端またはペンダント基として有するアクリル樹脂を調製する方法としては、例えば、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物など)と、エチレン性不飽和化合物(メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなど)とを共重合して、更に、グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物(グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−グリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなど)やクロライドアクリレート化合物(クロライドアクリレート、クロライドメタアクリレート、アリルクロライドなど)を付加反応させて調製する方法などを例示することができる。
【0040】
また、部分架橋膜は、一方の膜面に多数の非貫通孔を有している。ここで、非貫通孔の形状としては、図2に示す形状を好適な形状として例示することができる。
【0041】
すなわち、図2(a)に示すように、非貫通孔18は、その内壁面20が、外側方向に向かって略球面上に湾曲されている。また、図2(b)に示すように、これら非貫通孔18は、ハニカム状に配列されており、隣接する各非貫通孔18同士は、隔壁22により離間されている。また、隔壁22は、隣接する各非貫通孔18の内壁面20同士が最も近接する付近に、肉厚の薄いくびれ部24を有している。
【0042】
なお、非貫通孔の形状は、膜を貫通しさえしなければ、円柱状、円錐上、多角柱状、多角錐状などの形状であっても良く、特に限定されるものではない。
【0043】
非貫通孔の径および間隔は、被接続物(例えば、ICチップ、フレキシブルプリント配線板:FPCなど)が有する複数の導体(例えば、突起電極、配線パターンなど)の幅や間隔などを考慮して決定すれば良く、特に限定されるものではない。
【0044】
もっとも、高い接続信頼性を得るなどの観点から、非貫通孔の径は、被接続物が有する複数の導体の間隔のうち、最も狭いものよりも小さく、かつ、非貫通孔の間隔は、被接続物が有する複数の導体の幅のうち、最も狭いものよりも小さいことが望ましい。
【0045】
好ましくは、非貫通孔の径は、被接続物が有する複数の導体の間隔のうち、最も狭いものの1/2以下、かつ、非貫通孔の間隔は、被接続物が有する複数の導体の幅のうち、最も狭いものの1/2以下とするのが良い。
【0046】
なお、非貫通孔が図2に示した形状である場合、非貫通孔の径とは、膜表面に表れた非貫通孔の開口部分の直径Rを測定して平均した値をいう。一方、非貫通孔の間隔とは、膜表面に表れた非貫通孔同士の間の距離Lを測定して平均した値をいう。また、上記直径Rおよび距離Lは、部分架橋膜表面の電子顕微鏡写真、光学顕微鏡写真などにより測定することができる。
【0047】
また、図1に示すように、部分架橋膜12は、非貫通孔18の形成面側から膜厚方向に一定範囲にわたって架橋26が形成されている。この架橋は、膜を形成する架橋性高分子の耐熱性を部分的に高めるためのものである。また、非貫通孔18の下部には、孔がなく、実質的に架橋が形成されていない高分子層28が形成されている。
【0048】
つまり、部分架橋膜は、その全体が架橋されているわけではなく、膜中には、非貫通孔の形成面側に主として架橋部位が、非貫通孔の形成面と反対の面側に主として非架橋部位が分布している。
【0049】
架橋部位は、ACFを熱圧着した場合に、その熱ないし圧着力によって膜を形成する架橋性高分子が流動して導電性物質同士が接触しないように導電性物質を保持する役割を主として有している。架橋部位としては、具体的には、例えば、非貫通孔同士の間に位置する隔壁部分がこれに該当する。
【0050】
一方、非架橋部位は、ACFを熱圧着した場合に、その熱ないし圧着力により流動排除されることにより、導電性物質と被接続物との導通を妨げないようにする役割を主として有している。非架橋部位としては、具体的には、例えば、非貫通孔の下部に形成される高分子層がこれに該当する。
【0051】
したがって、部分架橋膜中において、架橋部位および非架橋部位は、上記役割を果たすことができるように分布しておれば良い。
【0052】
このような見地から、部分架橋膜において、架橋が形成されている「一定範囲」としては、具体的には、例えば、非貫通孔の形成面から非貫通孔の最深部までの範囲を例示することができる。
【0053】
もっとも、非貫通孔の最深部よりも上側の隔壁(主として架橋部位)が、上記役割を果たすことができれば、隔壁中に非架橋部位が存在していても良い。また、非貫通孔下部の高分子層(主として非架橋部位)が上記役割を果たすことができれば、高分子層中に架橋部位が存在していても良い。つまり、部分架橋膜における架橋部位と非架橋部位との境界は、明確である必要性はない。
【0054】
部分架橋膜において、架橋部位は、ほぼ同じ架橋密度で形成されていても良いし、異なる架橋密度で形成されていても良い。後者の場合、非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に向かって密から疎に傾斜して架橋が形成されていると良い。非貫通孔の形成面から膜厚方向に向かって徐々に耐熱性が低くなるので、架橋部位および非架橋部位の役割が効果的に発現されるからである。
【0055】
非貫通孔下部の高分子層の厚さは、用いる架橋性高分子の種類などにより異なるが、本ACFの熱圧着時の温度や、高分子層の流動性などを考慮して適宜設定すれば良い。一般に、高分子層の厚さが過度に薄すぎると、部分架橋膜の取扱い性が悪くなる傾向が見られる。一方、高分子層の厚さが過度に厚すぎると、高分子層が流動排除されにくくなる傾向が見られる。したがって、高分子層の厚さは、これらに留意して選択すると良い。
【0056】
また、部分架橋膜の厚さは、本ACFの機械的強度、耐電圧性などを考慮して決定すれば良い。一般的には、好ましい上限値として100μm、50μmなどを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、1μm、5μmなどを例示することができる。
【0057】
1.2 導電性物質
図1に示すように、本ACF10において、導電性物質14は、基本的には部分架橋膜12の非貫通孔18内に充填されている。
【0058】
導電性物質としては、微小な非貫通孔内へ均一に充填されやすく、膜厚方向の導通に優れるなどの観点から、導電性粒子の群より構成されていると良い。この場合、導電性粒子の平均径は、非貫通孔の孔径などに応じて決定すれば良い。導電性粒子の平均径としては、概ね1μm程度以下を例示することができる。
【0059】
上記導電性粒子としては、具体的には、金属粒子、樹脂めっき粒子、カーボン粒子などが挙げられる。これらは、1種または2種以上混合されていても良い。
【0060】
これら導電性粒子の内では、金属粒子を好適に用いることができる。電気抵抗が小さく、また、粒子の小径化により、金属の融点が下がるので、低温で熱融着させやすいからである。
【0061】
金属粒子としては、具体的には、例えば、Ag粒子、Au粒子、Pt粒子、Ni粒子、Cu粒子、Pd粒子などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。これらの金属粒子は、電気導電性に優れるので、膜厚方向の導通を得やすい利点がある。これら金属粒子の内、とりわけ、Ag粒子を好適に用いることができる。
【0062】
ここで、導電性粒子が、金属粒子や樹脂めっき粒子など、少なくとも粒子表面が金属からなる場合、非貫通孔内に充填されたこれら粒子の群は、非貫通孔内において、熱融着されて一体化されていると良い。これら粒子間の隙間が少なくなるとともに接触抵抗が小さくなり、膜厚方向の電気抵抗を小さくすることができるからである。また、熱融着により、これら粒子間に存在する有機物質などが取り除かれるので、これによっても膜厚方向の電気抵抗を小さくすることができるからである。
【0063】
なお、本ACFでは、部分架橋膜が有する全ての非貫通孔内に導電性物質が充填されていても良いし、非貫通孔の一部に導電性物質が充填されていない箇所が部分的に存在していても良い。すなわち、被接続物が有する導体と対向する非貫通孔のうち、少なくとも1つ以上の非貫通孔内に導電性物質が充填されていれば良い。
【0064】
1.3 接着層
図1に示すように、本ACF10において、接着層16は、非貫通孔18内に導電性物質14が充填された部分架橋膜12の両面に被覆されている。
【0065】
接着層の厚さは、被接続物が有する導体の高さ、導体の間隔などを考慮して適宜設定すれば良い。一般に、接着層の厚さが過度に薄すぎると、熱圧着後の機械的強度が低くなる傾向が見られる。一方、接着層の厚さが過度に厚すぎると、熱圧着時に接着層が流動排除されにくくなる傾向が見られる。したがって、接着層の厚さは、これらに留意して選択すると良い。
【0066】
接着層の厚さとしては、好ましい上限値として100μm、50μmなどを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、0.1μm、1μmなどを例示することができる。
【0067】
接着層形成材料としては、被接続物との接着性、絶縁性を有するものであれば、何れのものでもあっても用いることができる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂を半硬化状態としたプリプレグなどを例示することができる。接着層がプリプレグである場合には、被接続物が有する導体間の隙間部分に接着層が流動排除されやすく、また、被接続部との密着性も高まり、高い接続信頼性を確保しやすい。
【0068】
上記熱硬化性樹脂としては、被接続部との密着性に優れるなどの観点から、エポキシ系樹脂を好適に用いることができる。
【0069】
2.本製造方法
本製造方法は、基本的には、部分架橋膜を形成する工程と、部分架橋膜の非貫通孔内に導電性物質を充填する工程と、部分架橋膜の両面に接着層を被覆する工程とを含んでいる(以下、順に「部分架橋膜形成工程」、「導電性物質充填工程」、「接着層被覆工程」ということがある。)。
【0070】
2.1 部分架橋膜形成工程
本製造方法において、部分架橋膜形成工程は、セパレータ上に載置された多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、非貫通孔の形成面側からエネルギー線を照射し、部分架橋膜を形成する工程である。
【0071】
2.1.1 前駆体膜の形成
先ず、前駆体膜の形成について説明する。前駆体膜の形成手法としては、例えば、(1)膜状に形成した架橋性高分子に対して、ドリリング、レーザなどの加工手段を用いて非貫通孔を後形成する手法や、(2)非貫通孔を転写可能な鋳型に架橋性高分子融液を流し込んだ後、その膜を剥離することにより、膜表面に非貫通孔を転写する手法や、(3)疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質をと少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を高湿度雰囲気下に存在させる手法などを例示することができる。
【0072】
好ましくは、多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜を簡易かつ安価に得ることができるなどの観点から、(3)の手法を好適に用いることができる。以下、この手法について詳細に説明する。
【0073】
この手法を用いた場合、概ね以下の原理によって上記前駆体膜が自発的に形成される。
【0074】
すなわち、支持基板上に、所定濃度、所定塗布厚でキャストされた高分子溶液は、有機溶媒が蒸発する際に潜熱を奪われる。そのため、温度が下がった高分子溶液の表面には、雰囲気中の水蒸気が凝結して形成された微小な水滴群が付着する。付着した水滴群は、潜熱によって高分子溶液内に生じた対流やキャピラリーフォースなどにより輸送、集積され、最終的には最密充填される。その後、水滴群が蒸発すると、水滴群を鋳型として、多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜が形成される。
【0075】
上記高分子溶液において、疎水性および揮発性を有する有機溶媒としては、具体的には、例えば、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン(MEK)、アセトンなどのケトン類などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0076】
上記高分子溶液において、有機溶媒に可溶な架橋性高分子としては、上述した架橋性高分子が挙げられ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0077】
上記高分子溶液において、両親媒性物質とは、いわゆる、界面活性剤のことであり、疎水的な部位と親水的な部位とを合わせ持った化合物をいう。この両親媒性物質は、主として、高分子溶液の表面上に付着する水滴群を安定化させるなどの目的で添加される。
【0078】
このような両親媒性物質としては、具体的には、例えば、親水性のアクリルアミドポリマーを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基、親水性側鎖としてラクトース基もしくはカルボキシル基を併せもつポリマー、または、ヘパリンやデキストラン硫酸などのアニオン性多糖と4級の長鎖アルキルアンモニウム塩とのポリイオン性錯体などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0079】
上記高分子溶液には、必要に応じて、架橋助剤(例えば、二重結合を有するモノマーなど)などの添加剤が1種または2種以上含まれていても良い。
【0080】
この際、上記高分子溶液に含まれる架橋性高分子の濃度としては、好ましい上限値として50重量%、10重量%などを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、0.05重量%、0.1重量%などを例示することができる。
【0081】
上記高分子溶液に含まれる両親媒性物質の割合としては、架橋性高分子に対し、好ましい上限値として20重量%、10重量%などを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、0.01重量%、0.05重量%などを例示することができる。
【0082】
また、上記高分子溶液をキャストする支持基板の材料としては、ガラス、金属、シリコンウェハーなどの無機材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂などの高分子材料、水、流動パラフィンなどを例示することができる。
【0083】
また、上記高分子溶液を支持基板上にキャストする際の塗布厚としては、好ましい上限値として3500μm、2000μmなどを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、300μm、500μmなどを例示することができる。
【0084】
また、上記高分子溶液をキャストした支持基板は、相対湿度50%〜95%の大気下に存在させることが望ましい。相対湿度が50%未満では、結露が不十分となる傾向が見られ、95%を越えると、環境の制御が難しくなる傾向が見られるからである。
【0085】
この手法では、相対湿度50%〜95%の大気中で高分子溶液を支持基板上にキャストしても良いし、予め高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%〜95%の大気中に置いても良い。また、相対湿度50%〜95%の大気を、高分子溶液に吹きかけても良い。また、上記雰囲気中には、空気以外にも、アルゴンガスなどの不活性ガスなどが含まれていても良い。
【0086】
また、有機溶媒の蒸発や、水滴群の蒸発を促進させるなどの観点から、前駆体膜の形成に影響を及ぼさない範囲内で、加熱、乾燥などを行っても良い。
【0087】
このような手法により形成される前駆体膜は、非貫通孔を有している必要がある。非貫通孔を形成するには、上述した高分子溶液の塗布厚(キャスト量)を厚くする(多くする)、高分子溶液に含まれる架橋性高分子の濃度を高くする、相対湿度を低くするなど、前駆体膜の形成条件を適宜調整することにより行うことができる。このうち、高分子溶液の塗布厚を厚くするのが最も効果的である。
【0088】
なお、形成された前駆体膜に貫通孔が形成されていないかどうかは、前駆体膜の裏面を確認したり、孔内におけるセパレータの露出の有無を確認すれば、容易に判断することができる。
【0089】
2.1.2 前駆体膜に対する付加的な処理
このようにして前駆体膜を形成した場合、架橋処理を行う前に、膜を形成する架橋性高分子のガラス転移温度近傍まで、前駆体膜をさらに加熱しても良い。
【0090】
上述した原理によれば、隣接する各非貫通孔同士の間に位置する隔壁は、隣接する水滴同士の隙間に入り込んだ高分子溶液により形成されている。
【0091】
そのため、水滴と水滴とが最も近接するくびれ部付近では、特に、隔壁が薄くなる傾向がある。場合によっては、隣接する非貫通孔同士が部分的に連通してしまうこともありうる。
【0092】
したがって、上記手法により形成した前駆体膜をそのまま用い、次工程においてその非貫通孔内に導電性物質を充填した場合には、くびれ部に存在することがある膜面方向の連通孔を介して、隣接する非貫通孔内の導電性物質同士が導通し、異方性導電膜の膜面方向の絶縁性が低下することも考えられる。
【0093】
ところが、前駆体膜の形成後、膜を形成する架橋性高分子のガラス転移温度近傍までさらに加熱した場合には、前駆体膜の隔壁のうち、肉厚の薄いくびれ部がいち早く軟化・溶融し、くびれ部に存在することがある連通孔が潰される。そのため、隣接する各非貫通孔間の独立性が増大する。その後、この前駆体膜の非貫通孔内に導電性物質を充填すれば、得られる異方性導電膜の膜面方向の絶縁性を向上させることができる。
【0094】
この際、上記において「ガラス転移温度近傍」と規定しているのは、前駆体膜の隔壁のうち、くびれ部が軟化・溶融されることにより、くびれ部に存在することがある膜面方向の連通孔を潰すことができる温度範囲に前駆体膜が加熱されれば良いという趣旨である。
【0095】
したがって、上記趣旨が損なわれない範囲内であれば、膜を形成する架橋性高分子のガラス転移温度を中心にして、その前後の温度範囲まで前駆体膜を加熱することが可能である。
【0096】
もっとも、架橋性高分子のガラス転移温度より過度に高温であると、前駆体膜自体が溶けてしまうなど、膜の立体構造がくずれてしまう場合がある。一方、架橋性高分子のガラス転移温度より過度に低温であると、くびれ部に存在することがある膜面方向の連通孔が十分に潰されない場合がある。したがって、前駆体膜を加熱する場合には、これらに留意すると良い。
【0097】
また、前駆体膜を加熱する時間は、上記温度範囲などとの兼ね合いで、適宜調節することが可能である。加熱時間が過度に長すぎると、膜の立体構造がくずれてしまう場合がある。一方、加熱時間が過度に短すぎると、くびれ部に存在することがある膜面方向の連通孔が十分に潰されない場合がある。したがって、前駆体膜を加熱する場合には、これらに留意すると良い。
【0098】
なお、上記連通孔は、可能な限り、閉塞状態となるまで潰されていることが、膜面方向の絶縁信頼性上好ましいが、非貫通孔内に充填される導電性物質が連通孔に侵入できない程度まで潰されておれば、前駆体膜を加熱する目的は達せられる。
【0099】
前駆体膜を加熱する方法は、接触式、非接触式の何れの加熱方法であっても良く、特に限定されるものではない。
【0100】
具体的な加熱方法としては、例えば、前駆体膜を形成する架橋性高分子が、そのガラス転移温度近傍の温度となるように調温された加熱源と、前駆体膜とを一定時間当接させる方法などが挙げられる。より具体的には、所定温度に調温されたホットプレートなどの加熱源上に、一定時間前駆体膜を載置する方法などが挙げられる。
【0101】
また例えば、当該加熱源と前駆体膜とを近接させる方法、前駆体膜をマイクロ波により加熱する方法、前駆体膜のくびれ部周辺をレーザなどで加熱する方法などが挙げられる。
【0102】
また、上述したように前駆体膜の形成後、前駆体膜を任意で加熱する場合、さらに、膜厚方向に前駆体膜を任意で加圧しても良い。
【0103】
上述した原理によれば、高分子溶液の表面上に結露した水滴は、浮島状に密集する。そして、この浮島状に密集した水滴群が輸送、集積されると、水滴群同士がぶつかり合った境界近辺に、膜厚方向の段差ないし凹凸が生じやすい。
【0104】
したがって、上記手法により形成した前駆体膜をそのまま用い、次工程において非貫通孔内に導電性物質を充填した場合には、非貫通孔内に導電性物質が均一に充填され難い場合がある。
【0105】
ところが、前駆体膜の形成後、前駆体膜を加熱・加圧した場合には、前駆体膜表面に生じた段差ないし凹凸が均一化される。その後、この前駆体膜の非貫通孔内に導電性物質を充填すれば、非貫通孔内に導電性物質が均一に充填されやすく、得られる異方性導電膜の膜厚方向の導通性を向上させることができる。また、くびれ部に存在することがある膜面方向の連通孔も潰されやすくなるので、隣接する各非貫通孔間も独立化されやすく、得られる異方性導電膜の膜面方向の絶縁性を一層向上させることができる。
【0106】
前駆体膜を加圧する方法としては、平坦面を有する板状部材により前駆体膜を挟持し、この状態を保持したまま、公知の加圧装置により直接あるいは介在物を介して間接的に加圧する方法などを例示することができる。
【0107】
また、前駆体膜を加圧する圧力は、その膜を形成する架橋性高分子の硬さ、くびれ部の肉厚、前駆体膜の加熱時間などを考慮して種々調節すれば良い。すなわち、前駆体膜の形成過程において生じた段差を平坦にすることができる圧力であれば良い。前駆体膜を過度に加圧すると、膜の立体構造がくずれてしまう場合がある。一方、前駆体膜に対する加圧力が過度に少ないと、段差を平坦にし難い。したがって、前駆体膜を加圧する場合には、これらに留意すると良い。
【0108】
また、前駆体膜を加圧する場合、この加圧は、前駆体膜の加熱とほぼ同時に行っても良いし、加圧した前駆体膜を加熱しても、加熱した前駆体膜を加圧しても良い。すなわち、前駆体膜に対して少なくとも所望の熱および圧力が掛かった状態が得られれば、何れのタイミングで加圧しても良い。
【0109】
2.1.2 エネルギー線の照射
次に、図3に示すように、上記のようにして形成された前駆体膜30を、非貫通孔18の形成面側を上面にしてセパレータ32上に載置する。セパレータは、架橋性高分子との剥離性に優れた材料から形成されておれば、基本的には、何れのものであっても用いることができる。
【0110】
セパレータ材料としては、具体的には、例えば、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素系樹脂、シリコーン樹脂や、シリコーン樹脂層などの離型層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂、オレフィン樹脂などを例示することができる。
【0111】
その後、図4に示すように、前駆体膜30に対して、非貫通孔18の形成面側からエネルギー線34を照射し、部分架橋膜12を形成する。照射するエネルギー線としては、紫外線、電子線などを例示することができる。
【0112】
このうち、照射するエネルギー線としては、紫外線を好適に用いることができる。紫外線を用いると、膜を形成する架橋性高分子中に架橋が生じるのみならず、疎水性の前駆体膜表面が親水化される。そのため、次工程において、例えば、水中に導電性物質を分散した分散溶液を用いて導電性物質を充填する場合に、非貫通孔内に導電性物質を均一に充填しやすくなるからである。また、紫外線は、電子線に比較して取扱いやすいからである。
【0113】
上記エネルギー線を照射するにあたり、その照射量、照射時間などの照射条件は、上述した架橋部位および非架橋部位が形成されるように、適宜設定すれば良い。
【0114】
一般に、エネルギー線の照射量が多く、照射時間が長くなると、前駆体膜の裏面側に非架橋部位が少なくなり、得られた異方性導電膜の熱圧着時に、高分子層が流動排除され難くなる傾向が見られる。一方、エネルギー線の照射量が少なく、照射時間が短くなると、非貫通孔間の隔壁中に架橋部位が少なくなり、得られた異方性導電膜の熱圧着時に、導電性物質が膜面方向に動きやすくなる傾向が見られる。したがって、エネルギー線の照射条件の設定には、これらに留意すると良い。
【0115】
エネルギー線の照射量、照射時間は、エネルギー線の種類、前駆体膜を形成する架橋性高分子の種類などによっても異なるが、一般的には、例えば、紫外線を用いる場合、波長184nm〜254nmの紫外光を1分〜20分程度照射することなどを例示することができる。
【0116】
なお、上記エネルギー線の照射条件にもよるが、非貫通孔の形成面側からエネルギー線を照射するため、基本的には、非貫通孔の形成面側から膜厚方向に向かって密から疎に傾斜した架橋が自然に形成される。
【0117】
2.2 導電性物質充填工程
本製造方法において、導電性物質充填工程は、上記部分架橋膜の非貫通孔内に導電性物質を充填する工程である。
【0118】
導電性物質を充填する手法は、上述した導電性物質の種類や性状などを考慮して適宜選択することができる。
【0119】
具体的な導電性物質の充填手法としては、例えば、部分架橋膜を形成する架橋性高分子が不溶な溶媒中に導電性物質を分散させた分散溶液を用い、(1)この分散溶液中に、セパレータ上に載置された部分架橋膜を浸漬する方法、(2)セパレータ上に載置された部分架橋膜の表面に、上記分散溶液を滴下もしくは塗布する方法、(3)セパレータ上に載置された部分架橋膜表面と一定距離離間させてガラスなどの基板を配置し、部分架橋膜と基板との隙間に、上記分散溶液を導入し、基板および/またはセパレータを膜面方向にスライド移動させる方法などを例示することができる。
【0120】
ここで、上記分散溶液において、溶媒としては、エタノールなどのアルコール系溶媒、水、エステル系溶媒、アミド系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
【0121】
この際、親水性の溶媒を用いる場合には、疎水性を示す部分架橋膜の表面に、予め親水処理を施しておくと良い。部分架橋膜と溶媒との濡れ性が改善され、非貫通孔内に分散溶液を浸透させ易くなるので、非貫通孔内に導電性物質が均一に充填され易くなるからである。
【0122】
親水処理としては、具体的には、例えば、紫外線照射、コロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。もっとも、部分架橋膜を形成する際に、エネルギー線として紫外線を用いた場合には、架橋の形成とともに、親水処理も同時に施される。
【0123】
また、上記分散溶液において、導電性物質の含有量としては、好ましい上限値として30重量%、20重量%、10重量%、5重量%などを例示することができ、これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値としては、0.1重量%、0.5重量%、1重量%などを例示することができる。
【0124】
上記導電性物質の充填手法のうち、好ましくは、非貫通孔内に選択的に導電性物質を充填することができるなどの観点から、(3)の手法を好適に用いることができる。以下、この手法について詳細に説明する。
【0125】
この充填手法によれば、図5に示すように、基板36を膜面方向にゆっくり移動させると、溶媒の表面張力により、部分架橋膜12の表面では導電性物質14が滑っていく。そして、非貫通孔18上を分散溶液38の界面が通り越すときに、毛管現象による非貫通孔18内への分散溶液38の浸透と、非貫通孔18内での溶媒の蒸発とが繰り返し行われ、非貫通孔18内に徐々に導電性物質14が充填されていく。これにより、部分架橋膜12の非貫通孔18内に選択的に導電性物質14が充填される。
【0126】
この充填手法において、基板は、平坦で平滑な面を有しておれば、特に限定されることなく用いることができる。基板の具体的な材質としては、ガラス、セラミックス、金属などの無機材料、ポリマーなどの有機材料、あるいは、これらを複合した複合材料などが挙げられる。
【0127】
また、部分架橋膜の表面と基板との間の距離は、隙間に導入される分散溶液の溶媒の表面張力により、分散溶液を保持できる範囲内にあれば良い。
【0128】
一般的には、両者の距離が過度に近すぎると、隙間に導入できる分散溶液の量が少なくなるので、非貫通孔内に充填される導電性物質の量が少なくなる傾向が見られる。一方、両者の距離が過度に遠すぎると、部分架橋膜の表面と基板との間に分散溶液を保持できなくなり、基板および/またはセパレータをスライド移動させること自体が難くなる傾向が見られる。したがって、部分架橋膜の表面と基板との間の距離は、これらに留意して設定すれば良い。
【0129】
また、この充填手法を用いる場合、上述した分散溶液の溶媒としては、水を好適に用いることができる。表面張力が大きく、導電性物質を膜表面で移動させやすいなどの利点があるからである。
【0130】
また、基板および/またはセパレータの移動速度は、基本的には、分散溶液の溶媒の種類、溶媒の表面張力、分散溶液の濃度などを考慮し、非貫通孔内への分散溶液の浸透と非貫通孔内での溶媒の蒸発とがバランス良く生じるように、適宜最適な速度を選択すれば良い。
【0131】
この際、上記移動速度が過度に速くなると、非貫通孔内に充填される導電性物質の量が少なくなったり、導電性物質が不均一に充填される傾向が見られる。一方、上記移動速度が過度に遅くなると、分散溶液中の溶媒が蒸発し、分散溶液の濃度が高くなりすぎて、部分架橋膜の表面に導電性物質が付着する傾向が見られる。したがって、これらに留意して移動速度を選択すると良い。
【0132】
好ましくは、非貫通孔内に導電性物質をより均一に充填できるなどの観点から、移動速度は等速であると良い。移動速度としては、具体的には、例えば、1〜15μm/secなどを例示することができる。
【0133】
また、この充填手法では、非貫通孔内に充填される導電性物質の量などに影響がない範囲で、環境雰囲気の温度を高温にしたり、部分架橋膜を加熱したりするなどして、非貫通孔内へ浸透した分散溶液の溶媒の蒸発を促進させても良い。これらを行った場合には、非貫通孔内への導電性物質の充填が促進されるので、上記移動速度を速くすることができる。そのため、異方性導電膜の生産能力などを種々調節することが可能となる。
【0134】
なお、導電性物質充填工程において、上述した各種の充填手法を用いて、金属粒子や樹脂めっき粒子など、少なくとも粒子表面が金属からなる粒子を非貫通孔内に充填した場合には、これら粒子の群を熱融着させる工程を任意で追加しても良い。
【0135】
2.3 接着層被覆工程
本製造方法において、接着層被覆工程は、セパレータを剥離するとともに、非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜の両面に接着層を被覆する工程である。
【0136】
上述した導電性物質充填工程を経た後、非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜は、セパレータ上に載置された状態にある。そのため、この接着層被覆工程では、不要なセパレータを剥離し、非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜の両面に接着層を被覆する必要がある。
【0137】
ここで、セパレータの剥離および接着層の被覆は、最終的に、非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜の両面に接着層が被覆できれば、どのような手順で行っても良い。
【0138】
具体的な手順としては、例えば、セパレータ上の部分架橋膜の表面(非貫通孔の形成面)に接着層を被覆した後、セパレータを剥離し、部分架橋膜の裏面(非貫通孔の形成面とは反対の面)に接着層を被覆したり、セパレータを剥離し、部分架橋膜の裏面に接着層を被覆した後、部分架橋膜の表面に接着層を被覆したりする手順を例示することができる。
【0139】
これら手順のうち、好ましくは、前者の手順で行うと良い。導電性物質が充填された非貫通孔の表面を接着層で先に覆えば、導電性物質の脱落などを防止しやすいなどの利点があるからである。
【0140】
また、接着層を被覆する具体的な方法としては、コーターなど公知の塗布手段を用いて接着層材料を塗布する方法や、予め作製しておいた膜状の接着層をラミネートする方法などが挙げられる。
【0141】
後者の方法を用いる場合、取扱い性などを向上させる観点から、セパレータ上に接着層を形成したものを用いて、接着層をラミネートすると良い。
【0142】
具体的には、例えば、図6〜図7に示すように、セパレータ32上の部分架橋膜12の表面に、セパレータ40上に形成された接着層16をラミネートした後、セパレータ32を剥離し、部分架橋膜12の裏面に、他のセパレータ42上に形成された接着層16をラミネートするなどの方法を例示することができる。
【0143】
この場合のセパレータは、接着層との剥離性に優れた材料から形成されておれば、基本的には、何れのものであっても用いることができる。
【0144】
セパレータ材料としては、上述した材料などを例示することができる。
【0145】
このように、セパレータ上に接着層を形成したものを用いた場合には、得られた異方性導電膜の両面にセパレータが形成されるので、接着層に埃などが付着しにくく、取扱い性も向上する。
【0146】
なお、異方性導電膜の使用時には、図7中のセパレータ40、42を剥離することから、セパレータ40、42の剥離性に差をつけておくと、セパレータ40、42をより剥離しやすくなる。
【0147】
3.本ACFの使用方法
図8に示すように、この異方性導電膜10を、例えば、基板44と基板46の間に置き、所定温度で熱圧着すると、このときの熱により、接着層16および部分架橋膜12中の高分子層28は、熱により流動可能な状態になり、圧着力により流動排除される。また、基板44の電極48と基板46の電極50との間に導電性物質14が挟み込まれる。そしてこの状態を保持したまま接着層16が硬化すると、導電性物質14を介して両電極44、46間は電気的に接続される。一方、隣接する電極48(50)同士(隣の電極は図示せず)は、接着層16により電気的に絶縁される。また、接着層16の硬化により、基板44と基板46とは機械的に接続される。
【実施例】
【0148】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0149】
1.実施例に係る異方性導電膜の作製
クロロホルムにポリブタジエンゴム(JSR製、「RB820」)を0.5[wt%]の濃度で溶解した液に、両親媒性物質として、ドデシルアクリルアミドとカプロン酸の共重合体をポリブタジエンゴムに対して10[wt%]添加し、高分子溶液を調製した。
【0150】
次いで、この高分子溶液を、相対湿度50%の空気を連続的に吹き付けているシャーレ(φ90[mm])に塗布膜厚1560[μm]でキャストし、クロロホルムを揮発させた。その結果、多数の非貫通孔を有し、非貫通孔がハニカム状に配列されるとともに非貫通孔の内壁面が外側方向に湾曲されている、ポリブタジエンゴムよりなる前駆体膜が得られた。なお、前駆体膜の非貫通孔の孔径は、5μmであった。また、この前駆体膜の裏面は平滑であり、貫通孔は全く確認されなかった。
【0151】
次いで、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体フィルム(以下、「FEPフィルム」という。)上に前駆体膜を載置し、これを一対のガラス基板により挟持した。次いで、これを、ホットプレート上に載置するとともに、ゴムシートを介してガラス基板上面を加圧装置により加圧した。この時の加熱・加圧条件は100℃×1分間×6Paとした。図9に、加熱・加圧処理した前駆体膜の電子顕微鏡像を示す。
【0152】
次いで、ガラス基板を取り外し、FEPフィルム上に載置された前駆体膜に対して、非貫通孔の形成面側から254nmのUV光を10分間照射し、膜表面側のポリブタジエンゴムを部分的に架橋させ、部分架橋膜とした。なお、UV光の照射により、部分架橋膜の表面には親水処理が施されている。
【0153】
次に、上記FEPフィルム上に載置された部分架橋膜と一定距離隔ててガラス基板を配置し、部分架橋膜とガラス基板との隙間に、濃度3[wt%]のAg水分散溶液(日本ペイント製、「ファインスフィアSVW102」、平均粒径50nm)を注入し、部分架橋膜とガラス基板との隙間にAg水分散溶液を表面張力により保持させた。
【0154】
次いで、ガラス基板を一定速度(5〜10μm/sec)でスライド移動させ、ガラス基板を引き離した。その結果、非貫通孔内にAg粒子が充填された部分架橋膜が得られた。なお、非貫通孔内に充填したAg粒子は、150℃で3分間加熱することにより、熱融着させた。
【0155】
次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、「エピコート1001」)と、NBR(日本ゼオン製、「ニポール1072J」)と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、「キュアゾールC11Z」)とを、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:NBR:イミダゾール硬化剤=40:50:5の重量割合で、固形分が30[wt%]となるようにMEK/THF=50/50の混合溶媒に溶解し、この液を60℃で10分間乾燥させて接着層を作製した。
【0156】
次いで、この接着層を、非貫通孔内にAg粒子が充填された部分架橋膜の表面にラミネートした後、部分架橋膜の裏面からFEPフィルムを剥離した。この時、Ag粒子が脱落することなく、容易にFEPフィルムを剥離することができた。また、部分架橋膜は全く破れなかった。
【0157】
次いで、部分架橋膜の裏面に、同様にして接着層をラミネートした。これにより、実施例に係る異方性導電膜を作製した。
【0158】
2.異方導電性の評価
次に、上記作製した実施例に係る異方性導電膜につき、膜厚方向の導通性能および膜面方向の絶縁性能を評価することにより異方導電性の評価を行った。
【0159】
(1)膜厚方向の導通性能の評価
膜厚方向の導通性能の評価は、以下のように行った。すなわち、実施例に係る異方性導電膜の一方面を、ピッチ30μmのくし型電極(隣り合う電極が、絶縁基材により互いに絶縁されて配置されているくし状の電極)に仮圧着した。次いで、くし型電極を仮圧着した異方性導電膜を、その他方面側が、ガラス板上に積層した銅板と接するように載置した。次いで、この状態のまま、170℃×20secで本圧着することにより試料Aを作製した。
【0160】
次いで、得られた試料Aにつき、テスターで導通性能を評価した。なお、本評価では、サンプル数は、N=10[個]とした。
【0161】
本評価の結果、試料Aは、10/10[個]のサンプルにおいて、くし型電極間の抵抗値が0[Ω]となった。この結果から、実施例に係る異方性導電膜は、膜厚方向の導通が十分に確保できていることが確認できた。
【0162】
(2)膜面方向の絶縁性能の評価
膜面方向の絶縁性能の評価は、以下のように行った。すなわち、実施例に係る異方性導電膜の一方面を、上記と同様のくし型電極にそれぞれ仮圧着した。次いで、くし型電極を仮圧着した異方性導電膜を、その他方面側が、ガラス板と接するように載置した。次いで、この状態のまま、170℃×20secで本圧着することにより試料Bを作製した。
【0163】
次いで、得られた試料Bにつき、テスターで絶縁性能を評価した。なお、本評価における、サンプル数とくし型電極のピッチは上記と同様とした。
【0164】
本評価の結果、試料Bは、10/10[個]のサンプルにおいて、くし型電極間の抵抗値が10[Ω]以上となった。この結果から、実施例に係る異方性導電膜は、膜面方向の絶縁性が十分に確保できていることが確認できた。
【0165】
以上、本実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本実施形態に係る異方性導電膜の断面図である。
【図2】部分架橋膜の好適な一形態を示した図あり、(a)が部分架橋膜の断面図、(b)が部分架橋膜の平面図である。
【図3】セパレータ上に載置された前駆体膜を示した図である。
【図4】セパレータ上に載置された前駆体膜の非貫通孔の形成面側からエネルギー線を照射して部分架橋膜とする様子を示した図である。
【図5】セパレータ上に載置された部分架橋膜の非貫通孔内に導電性物質を充填する一充填手法を示した図である。
【図6】部分架橋膜の裏面よりセパレータを剥離する様子を示した図である。
【図7】他のセパレータに挟持された本実施形態に係る異方性導電膜を示した図である。
【図8】本実施形態に係る異方性導電膜の使用方法を説明するための図である。
【図9】実施例に係る異方性導電膜の作製途中で得られた、加熱・加圧処理した前駆体膜の電子顕微鏡像である。
【符号の説明】
【0167】
10 異方性導電膜
12 部分架橋膜
14 導電性物質
16 接着層
18 非貫通孔
20 内壁面
22 隔壁
24 くびれ部
26 架橋
28 高分子層
30 前駆体膜
32 セパレータ
34 エネルギー線
36 基板
38 分散溶液
40 セパレータ
42 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の非貫通孔を有し、前記非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に一定範囲にわたって架橋が形成されている、架橋性高分子よりなる部分架橋膜と、
前記非貫通孔内に充填された導電性物質と、
前記部分架橋膜の両面に被覆された接着層とを
備えたことを特徴とする異方性導電膜。
【請求項2】
前記架橋は、前記非貫通孔の形成面側からその膜厚方向に密から疎に傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の異方性導電膜。
【請求項3】
前記部分架橋膜は、前記非貫通孔がハニカム状に配列されるとともに、前記非貫通孔の内壁面が外側方向に湾曲されていることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性導電膜。
【請求項4】
前記部分架橋膜は、疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより形成されうる、多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、前記非貫通孔の形成面側からエネルギー線が照射されて形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の異方性導電膜。
【請求項5】
セパレータ上に載置された多数の非貫通孔を有する架橋性高分子よりなる前駆体膜に対して、前記非貫通孔の形成面側からエネルギー線を照射し、部分架橋膜を形成する工程と、
前記非貫通孔内に導電性物質を充填する工程と、
前記セパレータを剥離するとともに、前記非貫通孔内に導電性物質が充填された部分架橋膜の両面に接着層を被覆する工程とを
含むことを特徴とする異方性導電膜の製造方法。
【請求項6】
前記前駆体膜は、疎水性および揮発性を有する有機溶媒と、この有機溶媒に可溶な架橋性高分子と、両親媒性物質とを少なくとも含む高分子溶液をキャストした支持基板を相対湿度50%以上の大気下に存在させることにより形成することを特徴とする請求項5に記載の異方性導電膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−310082(P2006−310082A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131113(P2005−131113)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】