説明

異物混入判別装置および異物混入判別方法

【課題】水に濡れた被検査体に含まれる異物を判別する精度を向上させること。
【解決手段】特定の単一波長且つ直線偏光のレーザー光を被検査体(S)に照射する照射光源系(7)と、前記被検査体(S)自身による前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光と、前記被検査体(S)表面の水による前記レーザー光と同じ偏光方向の反射光と、を含む反射・散乱光の中で、少なくとも前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分を含む反射・散乱光を受光する受光素子(PD1〜PDn)を有する受光光学系(8)と、受光した反射・散乱光の前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体(S)が異物であるか否かを判別する異物混入判別手段(11A)と、を備えた異物混入判別装置(6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の被検査体への異物の混入を判別、検出する異物混入判別装置および異物混入判別方法に関し、特に、異物の検出にレーザー光を使用する光学式の異物混入判別装置および異物混入判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品産業においては、食品等に異物が混入することは社会的な大問題であり、その経営基盤をも揺るがす事態となることも少なくない。したがって、従来から、さまざまな方法により食品へ混入した異物を検出し、除去している。例えば、食品としてのレーズン(干しぶどう)において、生産、流通の過程で混入する恐れのある異物の代表例として、小石、木の枝やステム(茎やそのかけら)、ビニール、プラスチック片などが挙げられる。また、例えば、食品としてのクルミに対して、異物の代表例として、殻や渋皮が挙げられる。
食品等に混入する異物を検出する方法として、従来は、電磁誘導を利用した金属検出方法やX線の透過による検査、あるいは物体そのものの形状や外見上の色等の画像処理により判別する方法(例えば、特許文献1:特開2000−162136号公報等参照)が知られている。しかし、これらの方法では外見や色が似通ったものや、非金属のもの、X線に対する透過率がほぼ等しい材料のものを異物と判別することは困難であった。
【0003】
このほかに、光を利用した異物検出方法として、下記の従来技術(J01)〜(J04)が従来公知である。
(J01)特許文献2(特開昭61−196143号公報)記載の技術
特許文献2には、シート状の被検査体(11)の移動方向に垂直な幅方向に単色光の光ビームを走査して、透過した光ビームを受光器(22)で検出する際に、受光器(22)のスリット(52)から導入された透過光を、拡散板(54)で拡散させて光導棒(55)に入射させて光電子増倍素子(68)で検出することで、幅方向の各位置から入射された光の感度を一様に近づける技術が記載されている。
すなわち、特許文献2には、幅方向における感度のバラツキを少なくして、欠陥や異物を判別する精度を向上させる技術が記載されている。
【0004】
(J02)特許文献3(特開2007−64734号公報)記載の技術
特許文献3には、レーザー光を落下中の粉粒体に水平方向に走査しながら照射し、粉粒体(F)からの反射光を受光して異物の判別を行う際に、レーザー光の投光機構(31)の反対側に光拡散部材(37)を配置して、拡散反射させる技術が記載されている。特許文献2記載の技術では、落下中の粉粒体(F)に層厚や密度のムラを生じて粉粒体(F)間に隙間が形成されるようなことがあっても、この隙間を通過したレーザー光が光拡散部材(37)によって拡散反射されることで、層厚や密度の状態にかかわらず、光検出部(40)で受光される受光量を均一に近づけ、異物がないときと異物があるときの差(コントラスト)を明確にして、異物検出を高精度に行っている。
【0005】
(J03)特許文献4(特開2005−233724号公報)記載の技術
特許文献4には、食品に照射された単波長(波長980nm)の近赤外光の透過光の受光強度の差に基づいて、異物の混入を検出する技術が記載されている。また、特許文献2には、2つ波長(波長900nm、1300nm)の近赤外光を照射した時の透過光の受光強度に基づいて、異物の混入と、混入した異物の種類とを判別する技術も記載されている。
(J04)特許文献5(特開2007−278846号公報)記載の技術
特許文献5には、食品に照射された波長532nmの可視領域のレーザー光の反射光と、波長980nmの赤外領域のレーザー光の反射光との強度比に基づいて、異物の混入を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−162136号公報
【特許文献2】特開昭61−196143号公報(第4頁右上欄第4行〜第20行、第2図、第7図、第9図)
【特許文献3】特開2007−64734号公報(「0015」、「0022」、「0044」〜「0049」、図5、図6)
【特許文献4】特開2005−233724号公報(図2、図4)
【特許文献5】特開2007−278846号公報(「0018」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(従来技術の問題点)
前記従来技術(J01)〜(J04)のようなレーザー光を使用した異物混入判別装置では、乾燥した被検査体と水に濡れた被検査体とで、精度(全異物中から検出できた異物の割合である検出率や、総量に対して良品側に搬送された割合である歩留まり)に大きな差異が認められた。
水に濡れた被検査体を検査する場合、乾燥した被検査体に比べて、水に濡れた良品の表面の水により、レーザー光が反射され、良品を異物と誤認、誤判別してしまう場合があり、精度が低下する問題があった。
【0008】
特に、被検査体としてのレーズンの検査を行う場合、レーズンの梱包や加工工程において、糖分によるベタつきで梱包や搬送の工程における搬送が困難になる場合があるため、水を加えてほぐす場合がある。また、被検査体に付着したゴミや砂、石等を落とすために、水で洗浄する場合もある。また、異物混入判別の段階でも、レーズンが団子状に固まっていると、団子状の良品が異物と判別されてしまうことがあるため、水でほぐす場合もある。また、レーズンに限らず、被検査体を冷蔵庫や冷凍庫で保管していた場合には、異物混入判別のために保管場所から出すと、結露等で表面が水に濡れた状態となる場合もある。また、被検査体を水で濡らしてからの経過時間によっては、一度水に濡れた被検査体の一部が乾燥することもあり、乾燥した被検査体と水に濡れた被検査体とが混ざった状態となることもあり、異物を判別する精度が低下する問題がある。
【0009】
本発明は、水に濡れた被検査体に含まれる異物を判別する精度を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するために請求項1に記載の発明の異物混入判別装置は、
特定の単一波長且つ直線偏光のレーザー光を被検査体に照射する照射光源系と、
前記被検査体自身による前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光と、前記被検査体表面の水による前記レーザー光と同じ偏光方向の反射光と、を含む反射・散乱光の中で、少なくとも前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分を含む反射・散乱光を受光する受光素子を有する受光光学系と、
受光した反射・散乱光の前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する異物混入判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異物混入判別装置において、
前記反射・散乱光の光路上に配置され且つ前記反射・散乱光に含まれる前記レーザー光の偏光方向に直交する方向の偏光成分の光を透過させる偏光光学素子と、前記偏光光学素子を通過した光を受光する前記受光素子と、を有する前記受光光学系、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の異物混入判別装置において、
前記反射・散乱光の光路上に配置され且つ前記反射・散乱光を互いに直交する第1の偏光方向および第2の偏光方向の成分に分離する偏光光学素子と、前記第1の偏光方向の光を受光する第1の受光素子および前記第2の偏光方向の光を受光する第2の受光素子を有する前記受光素子と、を有する前記受光光学系と、
前記第1の偏光方向の光と、前記第2の偏光方向の光と、前記被検査体に照射された前記レーザー光の偏光方向と、に基づいて、前記レーザー光の偏光方向に直交する方向の偏光成分を演算する直交成分演算手段と、
前記直交成分演算手段で演算された前記レーザー光の偏光方向とは直交する方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する前記異物混入判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の異物混入判別方法は、
特定の単一波長且つ直線偏光のレーザー光を被検査体に照射し、
前記被検査体自身による前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光と、前記被検査体表面の水による前記レーザー光と同じ偏光方向の反射光と、を含む反射・散乱光の中で、少なくとも前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分を含む反射・散乱光を受光し、
受光した反射・散乱光の前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、4に記載の発明によれば、被検査体自体からの前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光に基づいて判別が行われ、直線偏光の入射レーザー光と同じ偏光方向の水による反射光による影響を抑えることができ、水に濡れた被検査体に含まれる異物を判別する精度を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、偏光光学素子を通過した直線偏光の入射レーザー光に直交する偏光方向の成分に基づいて、異物の判別ができ、水における反射の悪影響を抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、水における反射光が含まれないレーザー光の偏光方向とは直交する方向の偏光成分に基づいて異物の判別を行うことができ、異物を判別する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例1の異物混入判別装置を有する食品試料選別装置の説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の異物混入判別装置の要部拡大説明図である。
【図3】図3は実施例1の履歴データの説明図である。
【図4】図4は実施例1の異物混入判別処理のフローチャートである。
【図5】図5は実施例1の異物画素判別処理のフローチャートである。
【図6】図6は実施例1のサイズフィルタ処理のフローチャートである。
【図7】図7は実施例1の被検査体の受光素子における信号の一例の説明図であり、図7Aは偏光フィルタが使用されていない従来の場合の説明図、図7Bは偏光フィルタが使用された実施例1の場合の説明図である。
【図8】図8は本発明の実施例2の異物混入判別装置の要部拡大説明図であり、実施例1の図2に対応する図である。
【図9】図9は実施例2の反射・散乱光から水による影響を除去する演算方法の説明図である。
【図10】図10はレーズンとステムの分光特性の測定結果の説明図であり、横軸に波長を取り、縦軸に反射率を取ったグラフである。
【図11】図11は比較例1および実験例1で使用した装置の説明図である。
【図12】図12は比較例1および実験例1の実験結果の説明図であり、図12Aは比較例1の実験結果のグラフ、図12Bは実験例1の実験結果のグラフである。
【図13】図13は比較例2および実験例2の実験結果の説明図であり、図13Aは比較例2の実験結果のグラフ、図13Bは実験例2の実験結果のグラフである。
【図14】図14は比較例3および実験例3の実験結果の説明図であり、図14Aは比較例3の実験結果のグラフ、図14Bは実験例3の実験結果のグラフである。
【図15】図15は比較例4および実験例4の実験結果の説明図であり、図15Aは比較例4の実験結果のグラフ、図15Bは実験例4の実験結果のグラフである。
【図16】図16は比較例5および実験例5の実験結果の説明図であり、図16Aは比較例5の実験結果のグラフ、図16Bは実験例5の実験結果のグラフである。
【図17】図17は比較例6および実験例6の実験結果の説明図であり、図17Aは比較例6の実験結果のグラフ、図17Bは実験例6の実験結果のグラフである。
【図18】図18は比較例7および実験例7の実験結果の説明図であり、図18Aは比較例7の実験結果のグラフ、図18Bは実験例7の実験結果のグラフである。
【図19】図19は比較例8および実験例8の実験結果の説明図であり、図19Aは比較例8の実験結果のグラフ、図19Bは実験例8の実験結果のグラフである。
【図20】図20は実験例9で使用した実験装置の説明図である。
【図21】図21は実験例9の実験結果の説明図であり、図21Aは検出された反射・散乱光の強度のグラフ、図21Bは図21Aの反射・散乱光のデータを回転角0°の強度を1として正規化したグラフである。
【図22】図22は実験例10の実験結果の説明図であり、図22Aは検出された反射・散乱光の強度のグラフ、図22Bは図22Aの反射・散乱光のデータを回転角0°の強度を1として正規化したグラフである。
【図23】図23は実験例11および比較例11の実験結果の説明図であり、図23Aは比較例11の実験結果の説明図、図23Bは実験例11の実験結果の説明図である。
【図24】図24は実験例12のレーザー光照射時におけるサンプルからの散乱光角度分布の実験装置図である。
【図25】図25は比較例12の実験結果の説明図であり、偏光フィルタを設置せずに水に濡れたレーズンおよびステムに830nmのレーザー光を照射した実験結果のグラフである。
【図26】図26は実験例12の実験結果の説明図であり、偏光フィルタを設置して水に濡れたレーズンおよびステムに830nmのレーザー光を照射した実験結果のグラフである。における偏光方向90°のレーズンおよびステムの実験結果のグラフである。
【図27】図27は実験例1〜8の図10に対応するクルミの実と殻と渋皮の分光特性の測定結果の説明図であり、横軸に波長を取り、縦軸に反射率を取ったグラフである。
【図28】図28は実験例13のレーザー光照射時におけるサンプルからの散乱光角度分布に関する実験の実験装置の説明図である。
【図29】図29は実験例13の実験結果の説明図であり、532nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
【図30】図30は実験例13の実験結果の説明図であり、635nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
【図31】図31は実験例13の実験結果の説明図であり、830nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1の異物混入判別装置を有する食品試料選別装置の説明図である。
図2は本発明の実施例1の異物混入判別装置の要部拡大説明図である。
図1において、実施例1の異物選別装置の一例としての食品試料選別装置1は、被検査体の一例としての食品試料Sが投入される投入部1aと、投入部1aから投入された試料が搬送される試料搬送部材2とを有する。前記試料搬送部材2は、試料搬送部材2を振動させて試料搬送部材2上の試料を搬送させる振動装置3に支持されている。
図1,図2において、前記試料搬送部材2により右端部(+Y端部)に搬送された食品試料Sは、試料搬送部材2から落下し、落下搬送路4を鉛直下方に落下しながら搬送される。前記落下搬送路4の途中には、異物混入判別領域5が設定されており、異物混入判別領域5の側方には、異物混入判別装置6が配置されている。
【0018】
図2において、前記異物混入判別装置(異物検出装置)6は、前記異物混入判別領域5にレーザー光を照射するレーザー光源装置(照射光源系)7を有する。実施例1のレーザー光源装置7は、複数のレーザーLS1〜LSnを有する。前記レーザーLS1〜LSnは、それぞれ、予め設定された特定の単一波長で互いに異なる波長のレーザー光を出射する。なお、前記レーザーLS1〜LSnは、検査の対象とする被検査体の種類や状態、要求される検出率や歩留まり等に応じて、異物の検出が可能な波長のレーザー光を出射するレーザーLS1〜LSnが選択的に使用される。すなわち、前記レーザーLS1〜LSnとしては、例えば、青色や緑色、赤色等の可視領域の特定の波長のレーザー光を出力するレーザー光源や、赤外領域の特定の波長のレーザー光を出力するレーザー光源を使用可能である。なお、実施例1では、複数のレーザーLS1〜LSnの中から、ユーザが選択入力して設定した被検査体の種類等に応じて特定の2つのレーザーが選択されて、互いに異なる単一波長の2つのレーザー光が照射されるように設定されている。
【0019】
前記レーザーLS1〜LSnから出射されたレーザー光は、特定の偏光方向の成分のみを通過させる第1の偏光光学素子7aを通過し、特定の偏光方向のみのレーザー光、いわゆる直線偏光されたレーザー光となる。前記第1の偏光光学素子7aは、特定の偏光方向の成分のみを通過可能な偏光光学素子を使用可能であり、偏光フィルタや偏光ビームスプリッタを使用可能である。
直線偏光されたレーザー光は、反射する複数の反射鏡を有し且つ高速で回転駆動する回転多面鏡(ポリゴンミラー)PMにより反射され、異物混入判別領域5をスキャン(走査)される。
前記レーザーLS1〜LSnや第1の偏光光学素子7a、ポリゴンミラーPM等により、実施例1のレーザー光源装置(照射光源系)7が構成されている。
【0020】
前記レーザー光源装置7の下方には、異物混入判別領域5を通過する食品試料Sおよび異物により反射・散乱されたレーザー光の反射・散乱光を受光して、電気信号に変換する受光器(受光光学系)8が配置されている。前記受光器8は、異物混入判別領域5において被検査体Sに照射されたレーザー光が、被検査体Sで反射・散乱した反射・散乱光が通過する第2の偏光光学素子8aを有する。実施例1の第2の偏光光学素子8aは、特定の偏光方向の成分のみを通過可能な偏光光学素子である偏光フィルタにより構成されている。また、実施例1の第2の偏光光学素子8aは、前記第1の偏光光学素子7aを通過した直線偏光のレーザー光の偏光方向とは異なる偏光方向の一例である直交方向の光のみを通過させるように配置されている。
【0021】
前記偏光光学素子8aを通過したレーザー光は、レーザーLS1〜LSnに対応して設けられた受光素子PD1〜PDnで受光される。実施例1の受光素子PD1〜PDnは、光電子増倍管により構成された受光素子により構成されている。なお、受光素子は、光電子増倍管に限定されず、例えば、フォトダイオード等、従来公知の受光素子を採用可能である。
各受光素子PD1〜PDnの受光部には各レーザーLS1〜LSnから出力されたレーザー光の波長域近傍の光のみ通過させる波長選択フィルタFL1〜FLnが支持されている。
前記受光素子PD1〜PDnや第2の偏光光学素子8a、波長選択フィルタFL1〜FLn等により、実施例1の受光器8が構成されている。
【0022】
前記受光器8の受光素子PD1〜PDnには、光強度測定器10が接続されており、前記光強度測定器10は受光器8から入力される電気信号に基づいて光の強度を測定(検出)する。前記光強度測定器10には、演算処理装置11が接続されており、前記光強度測定器10からの出力信号は、演算処理装置11の異物混入判別手段11Aに入力される。
前記異物混入判別手段11Aは、光強度測定器10から入力された光の強度に基づいて、異物混入判別領域5を通過した物体が食品試料、いわゆる良品であるか、茎や木の枝、石等の異物であるか否かを判別する。実施例1の異物混入判別手段11Aは、フィルタ処理手段11A1と、異物混入判別値記憶手段11A2と、異物画素判別手段11A3と、判別履歴データ記憶手段11A4と、判別結果更新手段11A5と、サイズフィルタ処理手段11A6とを有する。
【0023】
前記フィルタ処理手段11A1は、受信した信号に基づいて、平滑化、強調、微分、エッジ強調等の従来公知のフィルタ処理(例えば、特開2001−99783号公報等参照)を実行する。
異物混入判別値記憶手段11A2は、異物や不良品質の試料Sであるか否かを判別するための異物混入判別値を記憶する。実施例1では、使用される被検査体の種類等に応じて照射される各レーザー光の反射・散乱光について、予め実験等で測定された異物混入判別値が記憶されており、検査される被検査体に対応する異物混入判別値が読み出し可能になっている。なお、実施例1では、各被検査体毎に、第1のレーザー光の強度R1が良品であると判別される上限値L1および下限値L2と、第2のレーザー光の強度R2が良品であると判別される上限値L3および下限値L4と、2つのレーザー光の強度の比R2/R1が良品であると判別される上限値L5および下限値L6と、を記憶している。
異物画素判別手段11A3は、演算処理装置11の異物混入判別値記憶手段11A2に記憶された異物であるか否かを判別するための異物混入判別値と、フィルタ処理後の光の強度とに基づいて、異物混入判別領域5上の被検査体において光が反射・散乱された微小領域が、良品の領域(良品画素)であるか、異物の領域(異物画素)であるかを判別する。
【0024】
図3は実施例1の履歴データの説明図である。
判別履歴データ記憶手段11A4は、異物画素判別手段11A3で判別された判別結果の履歴データを記憶する。実施例1の判別履歴データ記憶手段11A4は、履歴データとして、図3に示すように、異物混入判別領域5を光が走査する主走査方向(実施例1では水平方向)と、主走査方向に垂直で被検査体が移動する副走査方向(実施例1では鉛直方向)と、に網目状に区切られた各領域(画素、ピクセル)と、異物画素判別手段11A3の判別結果とを対応づけて記憶する。すなわち、実施例1では、判別された画素の位置と、判別結果とを対応づけて記憶する。なお、実施例1では、履歴データとして、主走査方向に1ライン分走査したデータが15ライン分記憶されている。
【0025】
判別結果更新手段11A5は、レーザーLS1〜LSnから照射された光の走査に伴って、判別履歴データ記憶手段11A4に記憶された履歴データを更新する。実施例1の判別結果更新手段11A5は、ポリゴンミラーPMの回転に伴って光が次の面で反射され、主走査方向の走査が開始されると、最も古い1ライン分のデータが削除され、最新の走査データを順次記憶していくことで、時間経過に伴って順次履歴データを更新する。
【0026】
サイズフィルタ処理手段(除去対称異物判別手段)11A6は、判別履歴データ記憶手段11A4に記憶された履歴データに基づいて、異物であると判別された被検査体が、予め設定された大きさ以上の大きさの除去対象異物であるか否かを判別する。すなわち、異物と判別された被検査体のサイズが、予め設定されたサイズ以上であるか否かのフィルタリングを行う。実施例1のサイズフィルタ処理手段11A6は、異物領域抽出手段11A6aと、領域判別値記憶手段11A6bと、異物信号出力手段11A6cとを有する。
異物領域抽出手段11A6aは、履歴データに基づいて、主走査方向または副走査方向に2つ以上連続する異物画素より構成された異物領域を抽出する。
【0027】
領域判別値記憶手段11A6bは、被検査体が良品と見なされる異物(例えば、レーズンの梱包工程では所定のサイズ以下の茎等は「良品」とされる)や小さすぎて除去が困難である等の理由で、被検査体が除去を実行する異物であるか否かを判別するための領域判別値を記憶する。実施例1では、前記領域判別値として「18」を記憶しており、連続する異物画素の総数が18以上の場合に、除去対象の異物であると判別される。すなわち、実施例1のサイズフィルタ処理手段11A6では、履歴データにおいて、異物画素が18画素以上の被検査体は、除去対象の異物と判別され、18画素未満の被検査体は除去対象の異物ではないと判別される。
【0028】
異物信号出力手段11A6cは、除去対象異物と判別された被検査体が存在する場合、除去対象異物の主走査方向および副走査方向の位置情報を含む異物混入信号を除去装置制御回路に出力する。
除去装置制御回路12は、異物混入判別手段11aからの入力信号に応じて、前記レーザー光源装置7の下方に配置された異物除去装置13を駆動する。
【0029】
図1、図2において、前記異物除去装置13は、圧縮空気を噴出して、落下搬送路4を落下する物体を、落下搬送路4から食品試料選別装置1の異物回収路14に移動させて、異物回収容器15で異物を回収させる。実施例1の異物除去装置13は、主走査方向に平行に複数の噴出口を有し、除去対象異物の主走査方向の位置に対応する噴出口に空気が供給されて、噴出されるように構成されている。
したがって、前記異物混入判別手段11aにより異物混入判別領域5を通過している物体が異物または不良品質の食品試料Sであると判別されると、異物が異物除去装置13に対向する異物除去領域13aに搬送されるタイミングに合わせて、異物除去装置13が駆動されて、異物が異物回収路14を通じて異物回収容器15に回収される。
前記異物除去装置13の下方には、異物除去装置13で除去されなかった良品の食品試料Sを搬送して、次の工程(例えば、洗浄工程や包装工程等)に搬送するための下流側搬送装置16が配置されている。
【0030】
(実施例1のフローチャートの説明)
(異物混入判別処理のフローチャートの説明)
図4は実施例1の異物混入判別処理のフローチャートである。
図4のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記異物混入判別装置6に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は食品試料選別装置1の他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
図4に示すフローチャートは異物混入判別装置6の電源オンにより開始される。
【0031】
図4のST1において、ユーザにより図示しない操作部から測定開始の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の処理(1)〜(3)を実行し、ST3に進む。
(1)レーザーLS1〜LSnの中から予め設定された2つのレーザー、すなわち、第1レーザーおよび第2レーザーを駆動して、第1レーザー光および第2レーザー光を照射する。
(2)ポリゴンミラーPMの回転駆動を開始する。
(3)受光素子PD1〜PDnを作動させる。
ST3において、受光素子PD1〜PDnが信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に進み、ノー(N)の場合はST3を繰り返す。
【0032】
ST4において、受信した信号の平滑化、強調、微分、エッジ強調等の従来公知のフィルタ処理(例えば、特開2001−99783号公報等参照)を実行し、ST5に進む。
ST5において、異物画素判別処理(後述する図5のサブルーチン参照)を実行して、ST6に進む。
ST6において、ユーザにより操作部から測定終了の入力がされたか否かを判別する。ノー(N)の場合はST7に進み、イエス(Y)の場合はST9に進む。
ST7において、異物混入領域5の一端側から他端側までの1回分の走査(一ライン分)の信号を受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST8に進み、ノー(N)の場合はST3に戻る。
【0033】
ST8において、サイズフィルタ処理(後述する図6のサブルーチン参照)を実行して、ST3に戻る。
ST9において、次の処理(1)〜(3)を実行し、ST1に戻る。
(1)駆動中のレーザーLS1〜LSnを停止して、レーザー光の照射を終了する。
(2)ポリゴンミラーPMの回転駆動を停止する。
(3)受光素子PD1〜PDnを停止させる。
【0034】
(異物画素判別処理のフローチャートの説明)
図5は実施例1の異物画素判別処理のフローチャートである。
図5のST11において、第1レーザー光の強度R1が第1レーザー光強度の良品判別用の上限値L1以上であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST12に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
ST12において、第1レーザー光の強度R1が第1レーザー光強度の良品判別用の下限値L2以下であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST13に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
【0035】
ST13において、第2レーザー光の強度R2が第2レーザー光強度の良品判別用の上限値L3以上であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST14に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
ST14において、第2レーザー光の強度R2が第2レーザー光強度の良品判別用の下限値L4以下であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST15に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
ST15において、第1レーザー光の強度R1と第2レーザー光の強度R2との強度比R2/R1が強度比の良品判別用の上限値L5以上であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST16に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
【0036】
ST16において、強度比R2/R1が強度比の良品判別用の下限値L6以下であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST17に進み、イエス(Y)の場合はST18に進む。
ST17において、受信した信号を、良品画素と判別し、判別履歴データ記憶手段11A4の履歴データとして記憶、更新する。そして、異物画素判別処理を終了する。
ST18において、受信した信号を、異物画素と判別し、判別履歴データ記憶手段11A4の履歴データとして記憶、更新する。そして、異物画素判別処理を終了する。
【0037】
(サイズフィルタ処理のフローチャートの説明)
図6は実施例1のサイズフィルタ処理のフローチャートである。
図6のST21において、判別履歴データ記憶手段11A4に記憶された履歴データから異物画素が連続する異物領域を全て抽出する。そして、ST22に進む。
ST22において、抽出された各異物領域の広さは、領域判別値以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST23に進み、ノー(N)の場合はST24に進む。
ST23において、領域判別値以上の異物領域を、除去対象異物と判別し、除去対象異物と判別された異物領域の座標(履歴データ上の異物領域の主走査方向および副走査方向位置)を含む異物混入信号を出力する。そして、ST24に進む。
ST24において、抽出された全ての異物領域の判別を終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST22に戻り、イエス(Y)の場合はサイズフィルタ処理を終了する。
【0038】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の食品試料選別装置1では、異物混入の判別が開始されると、異物混入判別領域5を通過する被検査体(食品試料Sまたは異物)に2つの波長の直線偏光したレーザー光が照射される。被検査体Sに照射された直線偏光のレーザー光は、被検査体Sの表面で反射または被検査体の表面から内部に微小に進入して散乱する。また、被検査体S表面が水で濡れている場合、表面の水でレーザー光が反射することがある。
このとき、本発明者らの研究の結果、被検査体(良品や異物)Sからの反射・散乱光は、照射された直線偏光のレーザー光とは偏光方向が異なる方向成分を含む反射・散乱光、いわゆる、無偏光の反射・散乱光となる一方で、被検査体S表面に付着した水でレーザー光が反射した場合、直線偏光の入射レーザー光と同じ偏光方向のレーザー光が反射されることが判明した。
【0039】
したがって、実施例1の食品試料選別装置1では、被検査体S自体からの反射・散乱光および表面の水からの反射光を含む光は、偏光光学素子8aを通過する際に、照射された直線偏光のレーザー光と同じ偏光方向の成分がカットされる。この結果、照射されたレーザー光と同じ偏光方向の水からの反射光はカットされる。これにより、受光素子PD1〜PDnでは、被検査体S自体からの反射・散乱光の中で、照射された直線偏光のレーザー光と同じ偏光方向の成分を除いた強度の光が受光され、受光した光の強度や強度比に基づいて良品や異物の判別が行われる。
【0040】
図7は実施例1の被検査体の受光素子における信号の一例の説明図であり、図7Aは偏光フィルタが使用されていない従来の場合の説明図、図7Bは偏光フィルタが使用された実施例1の場合の説明図である。
図7において、偏光光学素子8aとしての偏光フィルタが使用されていない従来の構成では、図7Aに示すように、良品の表面に付着した水の膜で反射が発生すると、異物混入判別用の上限値L1(L3)を超える強度が測定されることがあり、良品を異物と誤判別する恐れがあった。これに対して、実施例1のように偏光フィルタ8aを使用すると、図7Bに示すように、水による反射光が偏光フィルタ8aでカットされ、受光素子PD1〜PDnで測定されないため、良品を異物と誤判別することが低減される。よって、実施例1の食品試料選別装置1では、水からの反射光の影響を受けることなく、被検査体Sからの反射光、散乱光に基づいて、良品と異物の判別を行うことができ、判別の精度を向上させることができる。
【0041】
また、実施例1の食品試料選別装置1では、サイズフィルタ処理を実行して、除去可能な大きさの異物が判別されると共に、判別された異物の主走査方向の位置に対応する噴出口からエアが噴出され、除去される。したがって、品質上良品と見なされる程度の小さな異物については除去しないようにも設定でき、除去対象の異物にのみ、対応する噴出口からエアが噴出されて除去される。したがって、異物除去時に良品が巻き込まれて除去されてしまうことを低減でき、異物の除去精度を向上させることができる。
さらに、実施例1の食品試料選別装置1では、受光した光の強度だけでなく、強度比も使用して判別を行っており、特定の単一波長に対する反射光の強度が良品と同じ異物が存在する場合に強度だけを使用して判別する場合に比べて、精度を向上させることができる。
【0042】
また、実施例1の食品試料選別装置1では、複数のレーザー光を使用しているので、各レーザー光は優れた単色性を有しており、特定の波長に高輝度の光を得ることができる。したがって、選別対象の食品試料Sの反射特性に応じて、最適な波長のレーザー光を選択することにより、大きな反射光量差として明確に検出することができる。さらに、レーザー光の指向性により、異物あるいは変質部位(不良部位)が微小な範囲であっても、大きな輝度差を得ることができる。この結果、光源としてレーザーを使用することにより、微小な異物や変質部位を高感度で検出できる。特に、ガラス片やプラスチックのような透明体でも表面反射を利用して反射光の強度比を容易に検出でき、異物を検出できる。
【実施例2】
【0043】
図8は本発明の実施例2の異物混入判別装置の要部拡大説明図であり、実施例1の図2に対応する図である。
なお、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図8において、実施例2の異物混入判別装置(異物検出装置)6の受光器8′では、偏光光学素子8a′として、実施例1の偏光フィルタに替えて、偏光ビームスプリッタを使用している。偏光ビームスプリッタ8a′は、異物混入判別領域5からの反射・散乱光を分離する分光光学素子であり、偏光ビームスプリッタ8a′の入射面21に平行な偏光成分(P偏光、第1の偏光方向)の光を透過させると共に、入射面21に垂直な偏光成分(S偏光、第2の偏光方向)の光を反射させる。偏光ビームスプリッタ8a′を透過したP偏光の光は、第1の受光素子PD1′〜PDn′で受光され、偏光ビームスプリッタ8a′で反射されたS偏光の光は、第2の受光素子PD1″〜PDn″で受光される。
各受光素子PD1′〜PDn′およびPD1″〜PDn″の受光部には各レーザーLS1〜LSnから出力されたレーザー光の波長域近傍の光のみ通過させる波長選択フィルタFL1′〜FLn′およびFL1″〜FLn″が支持されている。
前記受光素子PD1′〜PDn′およびPD1″〜PDn″や偏光ビームスプリッタ8a′、波長選択フィルタFL1′〜FLn′およびFL1″〜FLn″等により、実施例2の受光器8′が構成されている。
【0045】
前記受光器8′の第1の受光素子PD1′〜PDn′および第2の受光素子PD1″〜PDn″で受光された光は、光強度測定器10に入力されて光の強度が測定され、演算処理装置11′に出力される。実施例2の演算処理装置11′の異物混入判別手段11A′は、実施例1の各手段11A1〜11A6に加え、判別用強度演算手段11A7を有する。判別用強度演算手段11A7は、直線偏光成分傾斜角記憶手段11A7aと、偏光方向演算手段11A7bと、直交成分演算手段11A7cとを有し、各受光素子PD1′〜PDn′,PD1″〜PDn″で受光したP偏光成分およびS偏光成分に基づいて、各手段11A2〜11A6で使用される判別用の強度Xs′を演算する。
【0046】
図9は実施例2の反射・散乱光から水による影響を除去する演算方法の説明図である。
前記直線偏光成分傾斜角記憶手段11A7aは、判別用の強度Xs′を演算する際に使用される直線偏光成分のP偏光の軸に対する傾斜角θを記憶する。図9において、被検査体Sの表面の水でレーザー光が反射された場合、反射光が偏光ビームスプリッタ8a′で分離されて、P偏光成分LpとS偏光成分Lsが測定されるため、この反射光ベクトルLS=(Lp,Ls)のP偏光軸に対する角度を直線偏光成分の傾斜角θとして記憶する。なお、実施例2では、前記傾斜角θは、被検査体Sの検査を行う前に、異物混入判別領域5に直線偏光のレーザー光を反射する反射鏡(ミラー)を配置した状態でレーザー光を照射し、第1の受光素子PD1′〜PDn′で検出した直線偏光の反射光のP偏光成分Lpと、第2の受光素子PD1″〜PDn″で検出したS偏光成分Lsとに基づいて、以下の式(1)から導出され、予め記憶されている。
θ=tan−1(Ls/Lp) …式(1)
【0047】
偏光方向演算手段11A7bは、被検査体Sの異物混入の判別を行う際に、異物混入判別領域5を通過する被検査体Sからの反射・散乱光のベクトルのP偏光軸に対する角度である偏光方向γを演算する。図9において、異物混入判別領域5からの反射・散乱光は、偏光ビームスプリッタ8a′でP偏光成分とS偏光成分に分離され、第1の受光素子PD1′〜PDn′で検出された反射・散乱光のP偏光成分RFpと、第2の受光素子PD1″〜PDn″で検出したS偏光成分RFsとして検出される。したがって、被検査体Sからの反射・散乱光ベクトルRFは、水による影響がなかった場合には、被検査体S自体からの散乱光となり、水膜の反射があった場合には、被検査体Sからの反射・散乱光と水膜からの反射光の成分が合成されたベクトルとなる。そして、実施例2の偏光方向演算手段11A7bは、検出されたRFp、RFsに基づいて、以下の式(2)からベクトルの傾斜方向である偏光方向γを演算、導出する。
γ=tan−1(RFs/RFp) …式(2)
【0048】
直交成分演算手段11A7cは、P偏光方向の光RFpと、S偏光方向の光RFsと、被検査体Sに照射されたレーザー光の偏光方向である傾斜角θと、に基づいて、前記レーザー光の偏光方向の傾斜角θに直交する方向の偏光成分Xs′を演算する。実施例2の直交成分演算手段11A7cは、P偏光成分の光の強度RFpおよびS偏光成分の光の強度RFsと、RFpおよびRFsから導出された偏光方向γと、傾斜角θと、に基づいて、以下の式(3)から直交方向の偏光成分の強度Xs′を演算する。
Xs′={(RFp)+(RFs)1/2sin(γ−θ) …式(3)
すなわち、実施例2では、図9に示すように、水による反射の影響がある傾斜角θ方向の成分、すなわち、P′軸方向の成分を異物の判別に使用せず、水による反射の影響が少ない傾斜角θの直交方向の成分、すなわちS′軸方向の成分Xs′を異物の判別に使用する。
【0049】
なお、実施例2の各手段11A2〜11A6は、実施例1の各手段11A2〜11A6の各手段において、強度R1、R2に替えて、第1レーザー光および第2レーザー光のS′軸方向の成分Xs1′、Xs2′を使用するだけで、同様の処理が実行されるため、説明の簡単化のため、実施例2の各手段11A2〜11A6の詳細な説明は省略する。
また、実施例2では、実施例1の図4のST4とST5との間に、偏光方向γを演算し、直交方向の偏光成分の強度Xs′を演算する処理が追加されて実行されるだけで、図4のその他のSTの処理や、図5、図6に示す各処理は、実施例1と同様であるため、実施例2のフローチャートの図示および詳細な説明は省略する。
【0050】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の食品試料選別装置1では、偏光光学素子としての偏光ビームスプリッタ8a′を使用して、反射・散乱光をP偏光成分とS偏光成分とに分離して、それぞれ受光し、水による反射光が含まれるP′方向成分を判別に使用せず、水による反射光の影響が少なく、被検査体S自体からの散乱光によるS′方向成分を判別に使用しており、水の影響を受ける従来の構成に比べて、異物の判別精度を向上させることができる。
また、実施例2の食品試料選別装置1では、偏光ビームスプリッタ8a′を配置して、異物の測定開始前に、P′方向の傾斜角θを導出しておくため、偏光ビームスプリッタ8a′を設置する際に多少位置がずれていても、傾斜角θが変化するだけで、異物の検出への影響は少なくなっている。すなわち、実施例1の構成では、偏光フィルタ8aを水の反射による直線偏光の入射レーザー光と同じ偏光方向成分が減衰および消去されるように、位置および向きを精度良く設置、調整する必要があったが、実施例2では、このような手間を省略することができると共に、設置時の位置や向きの誤差の影響を受けることなく判別を行うことができる。
その他、実施例2は実施例1と同様の作用、効果を有する。
【0051】
(実験例)
図10はレーズンとステムの分光特性の測定結果の説明図であり、横軸に波長を取り、縦軸に反射率を取ったグラフである。
次に、本発明の効果を確認するために、実験を行った。
実験例1〜8では被検査体Sとしてのレーズンを対象とし、混入される異物としてのステム(茎)を対象とした。図10に、レーズンとステムの分光特性の測定結果を示す。
図10に示すように、レーズンでは、ステムに対して、波長600nm以上において、反射率に差が見られ、特に、800nm以上になると差が大きくなることが確認された。よって、以下の実験例では、波長635nmの赤色のレーザー光または波長830nmの近赤外光のレーザー光を選択して実験を行った。
【0052】
図11は比較例1および実験例1で使用した装置の説明図である。
図11において、実験例では、被検査体Sからの反射・散乱光31をハーフミラー32で分離し、ハーフミラー32を透過した反射・散乱光31aは、偏光フィルタ33を介して、光電子増倍管で構成された実験例用の受光素子34で検出する。そして、ハーフミラー32で反射された反射・散乱光31bは、偏光フィルタを介さずに、光電子増倍管で構成された比較例用の受光素子36で検出する。なお、本実験例では、偏光フィルタ33は、照射されるレーザー光の偏光方向に対して垂直方向の偏光成分が透過するように配置した。
【0053】
(比較例1)
比較例1では、635nmの赤色のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例1では、被検査体Sとして、乾燥レーズンを使用した。
(実験例1)
実験例1では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例1と同様である。
比較例1および実験例1の結果を図12に示す。
【0054】
図12は比較例1および実験例1の実験結果の説明図であり、図12Aは比較例1の実験結果のグラフ、図12Bは実験例1の実験結果のグラフである。
図12に示す実験結果のグラフは、3軸方向のグラフであり、縦軸(高さ方向)に出力信号の値を取り、幅方向の軸に落下方向の位置を取り、奥行き方向の軸に走査方向の位置を取った。また、図12に示すグラフでは、基準信号に対して信号の伸び率で評価を行った。基準信号とは、バックグラウンドからの反射・散乱光の検出信号である。なお、実験例では、閾値の設定を容易にするために、基本的には、良品レーズンの場合、赤色レーザー等の可視光照射時には基準信号に対してグラフの上方に、近赤外光(NIR:Near Infrared)照射時には下方に信号がでるように、バックグラウンドは予め調整されている。なお、以下の説明における各3軸方向のグラフでは、各軸の取り方やバックグラウンドの調整等については同様に行っている。
なお、図12〜図19については、カラーの図面を参考図面として、出願後、上申書に添付して提出する予定となっている。
【0055】
図12Aにおいて、比較例1では、基準信号に対して全体的に強い反射・散乱光を受光していることが確認された。一方、図12Bにおいて、実験例1では、基準信号に対して、所々に強い反射・散乱光を受光していることが確認された。実験例1と比較例1とを比較すると、偏光フィルタ33の有無により、反射・散乱光の強度のレベルが全体的に減衰すると共に、減衰されずに強い強度を保った信号によりレーズンが確認可能である。
【0056】
(比較例2)
比較例2では、比較例1と同様の実験装置において、830nmの近赤外(NIR)のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例2では、比較例1と同様に、被検査体Sとして、乾燥レーズンを使用した。
(実験例2)
実験例2では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例2と同様である。
比較例2および実験例2の結果を図13に示す。
【0057】
図13は比較例2および実験例2の実験結果の説明図であり、図13Aは比較例2の実験結果のグラフ、図13Bは実験例2の実験結果のグラフである。
図13Aにおいて、比較例2では、基準信号に対して、上下に反射・散乱光強度が確認できる。
図13Bにおいて、実験例2では、図13Aの比較例2に比べて、全体的に、反射・散乱光強度が小さくなっていることがわかり、基準信号に対してのレーズンの反射・散乱光強度が低いことがわかる。
したがって、実験例1、2および比較例1、2の結果から、乾燥したレーズンにおいて、偏光フィルタ33を設置することにより、波長に関わらず、鏡面反射および表面の凹凸による反射光や強い散乱光を減衰することができることが確認された。
【0058】
(比較例3)
比較例3では、比較例1と同様の実験装置において、635nmの赤色のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例3では、被検査体Sとして、水に濡れたレーズンを使用した。
(実験例3)
実験例3では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例3と同様である。
比較例3および実験例3の結果を図14に示す。
【0059】
図14は比較例3および実験例3の実験結果の説明図であり、図14Aは比較例3の実験結果のグラフ、図14Bは実験例3の実験結果のグラフである。
図14Aにおいて、比較例3では、基準信号に対して、全体的に強い反射・散乱光が検出されていることが確認された。
図14Bにおいて、実験例3では、基準信号に対して、強い反射・散乱光も確認できるが、図14Aの比較例3と比較して、信号が減衰されていることが確認された。
【0060】
(比較例4)
比較例4では、比較例1と同様の実験装置において、830nmの近赤外(NIR)のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例4では、比較例3と同様に、被検査体Sとして、水で洗って、水に濡れたレーズンを使用した。
(実験例4)
実験例4では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例4と同様である。
比較例4および実験例4の結果を図15に示す。
【0061】
図15は比較例4および実験例4の実験結果の説明図であり、図15Aは比較例4の実験結果のグラフ、図15Bは実験例4の実験結果のグラフである。
図15Aにおいて、比較例4では、1箇所、基準信号に対して、上方に強い反射・散乱光強度が確認できる。これは、水の膜による反射光であると考えられる。したがって、従来は、この水の膜による反射光により誤検知が発生していた。そして、レーズンは、基準信号に対して、下側(低い電圧値側)に出力されることが確認された。
図15Bにおいて、実験例4では、図15Aの比較例4に比べて、基準信号に対して明らかに強い反射・散乱光がないことが確認された。また、実験例4でも、レーズンは、基準信号に対して、下側(低い電圧値側)に出力されている。
したがって、実験例3、4および比較例3、4の結果から、偏光フィルタ33を設置することにより、レーズン表面に付着した水膜による反射・散乱光を減衰できることが確認された。
【0062】
(比較例5)
比較例5では、比較例1と同様の実験装置において、635nmの赤色のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例5では、被検査体Sとして、異物の一例としての乾燥ステム(茎)を使用した。
(実験例5)
実験例5では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例5と同様である。
比較例5および実験例5の結果を図16に示す。
【0063】
図16は比較例5および実験例5の実験結果の説明図であり、図16Aは比較例5の実験結果のグラフ、図16Bは実験例5の実験結果のグラフである。
図16Aにおいて、比較例5では、基準信号に対して、全体的に強い反射・散乱光が検出されていることが確認された。
図16Bにおいて、実験例5では、図16Aの比較例5と比較して、信号が減衰されているが、基準信号に対して、2[V]以上の比較的強い出力値を維持していることが確認された。
【0064】
(比較例6)
比較例6では、比較例1と同様の実験装置において、830nmの近赤外(NIR)のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例6では、比較例5と同様に、被検査体Sとして、乾燥ステムを使用した。
(実験例6)
実験例6では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例6と同様である。
比較例6および実験例6の結果を図17に示す。
【0065】
図17は比較例6および実験例6の実験結果の説明図であり、図17Aは比較例6の実験結果のグラフ、図17Bは実験例6の実験結果のグラフである。
図17A、図17Bにおいて、実験例6では、比較例6に比べて全体的に減衰しているが、ステムの反射・散乱光の強度が、偏光フィルタ33を設置した場合でも、約2「V」以上の強度を保持していることが確認された。
したがって、実験例5、6および比較例5、6の結果から、ステムでは、偏光フィルタ33を設置しても、基準信号に対して上側に、2[V]以上の比較的強い出力値が出力されることが確認された。
【0066】
(比較例7)
比較例7では、比較例1と同様の実験装置において、635nmの赤色のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例7では、被検査体Sとして、異物の一例としての水に濡れたステムを使用した。
(実験例7)
実験例7では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例7と同様である。
比較例7および実験例7の結果を図18に示す。
【0067】
図18は比較例7および実験例7の実験結果の説明図であり、図18Aは比較例7の実験結果のグラフ、図18Bは実験例7の実験結果のグラフである。
図18Aにおいて、比較例7では、基準信号に対して、全体的に強い反射・散乱光が検出されていることが確認された。
図18Bにおいて、実験例7では、図18Aの比較例7と比較して、信号が減衰されているが、基準信号に対して、3[V]以上の比較的強い出力値を維持していることが確認された。
【0068】
(比較例8)
比較例8では、比較例1と同様の実験装置において、830nmの近赤外(NIR)のレーザー光を使用して、偏光フィルタが設置されていない比較例用の受光素子36を使用して実験を行った。また比較例8では、比較例7と同様に、被検査体Sとして、水に濡れたステムを使用した。
(実験例8)
実験例8では、実験例用の受光素子34を使用して実験を行った以外は、比較例8と同様である。
比較例8および実験例8の結果を図19に示す。
【0069】
図19は比較例8および実験例8の実験結果の説明図であり、図19Aは比較例8の実験結果のグラフ、図19Bは実験例8の実験結果のグラフである。
図19A、図19Bにおいて、実験例8では、比較例8に比べて全体的に減衰しているが、実験例6と同様に、偏光フィルタ33を設置した場合でも、ステムの反射・散乱光の強度が、約2「V」以上の強度を保持していることが確認された。
したがって、実験例5〜8および比較例5〜8の結果から、ステムの場合、表面の状態に関わらず、偏光フィルタ33を設置しても、基準信号に対して上側に、2[V]以上の比較的強い出力値が出力されることが確認された。
【0070】
したがって、実験例1〜8および比較例1〜8の結果から、偏光フィルタ33を配置することにより、水の反射・散乱光を減衰させ、レーズンおよびステムからの反射・散乱光を受光することにより、水の影響により起こっていた誤検知を減少させることが可能であることが確認された。その結果、水に濡れた被検体も高精度に検査、選別が可能になった。
そして、実験例1〜8および比較例1〜8の結果から、レーズンとステムを選別する場合には、830nmのNIRのレーザー光を使用した方が、反射・散乱光の強度に明確な電位差が確認されることから、635nmの赤色のレーザー光を使用する場合に比べて、有利であることが確認された。
【0071】
すなわち、635nmのレーザー光を採用した場合には、基準信号に対して、レーズンもステムも乾燥、水濡れに関係なく、また偏光フィルタ33の設置の有無に関わらず、プラス方向の信号になるが、閾値の設定は可能であり、レーズンとステムを判別することができる。しかし、時折、判別閾値を超えるような強い反射・散乱光を受光する場合がある。一方、830nmのNIRのレーザー光を採用した場合、基準信号に対して、レーズンはマイナス方向の信号となり、ステムはプラス方向の信号となるため、明確な差があり、判別に適した波長と言える。
しかしながら、実験例1〜8、特に実験例4および比較例4から、レーズンの部分的な鏡面反射、あるいは、濡れたレーズンの水膜反射といった、判別に影響をもたらす不要な反射が強い状態になると、レーズンでもプラス方向の信号が現れ、誤判別が発生してしまう。
そこで、次に、偏光フィルタの回転角を調整することで、ステムは乾燥時と同じプラス方向の信号のまま、レーズンに付着した水の膜やレーズン表面の凹凸の影響による不要な反射を減少させて、判別閾値を超え、誤判別につながるプラス方向の信号を減衰もしくは消去することが可能であることを確認する実験を行った。
【0072】
図20は実験例9で使用した実験装置の説明図である。
(実験例9)
実験例9では、図20において、直線偏光のレーザー光源41から被検査体Sに対して照射されたレーザー光41aに対して、45°の位置に配置され且つ±90°の範囲で回転可能な偏光フィルタ42を設置して、偏光フィルタ42を通過した反射・散乱光を受光素子43で検出した。
実験例9では、635nmの赤色のレーザー光を使用し、偏光フィルタ42の回転角を10°刻みで、−90°〜+90°の範囲で制御してそれぞれ実験を行った。また、被検査体Sとしては、乾燥したレーズン、水に濡れたレーズン、乾燥したステム、水に濡れたステムを対象とした。
図21に実験結果を示す。
【0073】
図21は実験例9の実験結果の説明図であり、図21Aは検出された反射・散乱光の強度のグラフ、図21Bは図21Aの反射・散乱光のデータを回転角0°の強度を1として正規化したグラフである。
なお、図21のグラフでは、横軸に回転角を取り、縦軸に反射・散乱光の強度を取っている。
図21において、乾燥したレーズンや濡れたレーズンでは、回転角が0°、すなわち、照射されたレーザー光41aと同じ偏光方向のレーザー光の強度に対して、回転角が90°になると0°での強度と比較して反射・散乱光強度が低下しているので偏光解消度が低いのに対して、乾燥したステムや濡れたステムでは、反射・散乱光強度の低下率がレーズンの場合と比較すると少ないので偏光解消度がレーズンよりも高いことが確認された。すなわち、図21Bに示すように、回転角を90°に近くし、且つ、正規化された強度、すなわち、強度の比を使用することで、635nmの赤色のレーザー光でもレーズンの精確な判定が可能であることが確認された。
【0074】
(実験例10)
実験例10では、830nmのNIRのレーザー光を使用した以外は、実験例9と同様にして実験を行った。
実験結果を図22に示す。
【0075】
図22は実験例10の実験結果の説明図であり、図22Aは検出された反射・散乱光の強度のグラフ、図22Bは図22Aの反射・散乱光のデータを回転角0°の強度を1として正規化したグラフである。
図22において、実験例10でも、実験例9と同様に、乾燥したレーズンや濡れたレーズンでは、回転角が0°、すなわち、照射されたレーザー光41aと同じ偏光方向のレーザー光の強度に対して、回転角が90°になると0°での強度と比較して反射・散乱光強度が低下しているので偏光解消度が低いのに対して、乾燥したステムや濡れたステムでは、反射・散乱光強度が0°での強度と比較すると大差がないので偏光解消度が高いことが確認された。
【0076】
すなわち、図22Bに示すように、回転角を90°に近くし、且つ、正規化された強度、すなわち、強度の比を使用することで、830nmのNIRのレーザー光でもレーズンの精確な判定が可能であることが確認された。なお、図21B、図22Bに示すように、回転角は45°〜60°程度でも十分に高精度な判定が可能であることも確認された。すなわち、照射レーザー光の偏光成分(0°)とは異なる偏光成分の反射・散乱光を受光することで、検査、識別が可能であることが確認された。
また、図22Aにおいて、830nmのレーザー光の場合は、回転角を90°に近い角度にすることで、強度の比を使用せず、強度の値をそのまま使用しても、レーズンとステムとを識別することが可能であることが確認された。
【0077】
(実験例11)
次に、実施例1の装置を使用して、実際に実験を行った。実験例11では、実施例1の装置を使用して、635nmおよび830nmのレーザー光を使用し、レーザー光の偏光成分に対して垂直(90°)の偏光成分が透過するように偏光フィルタ8aを設置して実験を行った。実験は、約50[cc]の水を加えたレーズンを約3kg使用し、データは3回採取した。
(比較例11)
比較例11では、偏光フィルタを配置しなかった以外は、実験例11と同様の条件で実験を行った。
実験結果を図23に示す。
【0078】
図23は実験例11および比較例11の実験結果の説明図であり、図23Aは比較例11の実験結果の説明図、図23Bは実験例11の実験結果の説明図である。
図23において、偏光フィルタを配置しない比較例11では、誤検知の割合が27%、19%、30%であったのに対して、偏光フィルタを配置した実験例11では、誤検知の割合が9%、6%、6%となり、誤検知率が10%以下にまで減少していることが確認された。すなわち、図12に示すグラフからわかるように、乾燥レーズンにおいても、レーズンの表面形状(表面の凹凸)の影響により、場合によっては、判別閾値よりも強い反射・散乱光を受光し、誤検知の原因となっていたが、水に濡れたレーズンの場合と同様に偏光方向を操作、調整することにより良品誤検知が減少した。これは、レーズンからの散乱光は偏光解消されるが、水膜および表面凹凸による反射光は偏光が解消されにくいためである。
したがって、偏光フィルタを使用することで、レーズン表面の水による反射光を減衰することができ、検出精度を高めることができることがわかった。
【0079】
(実験例12)
図24は実験例12のレーザー光照射時におけるサンプルからの散乱光角度分布の実験装置図である。
次に、被検査体Sに照射されたレーザー光の透過光、反射光、散乱光の分布、すなわち、どの角度方向で透過光や反射光、散乱光が検出されるかについて、実験を行った。
図24において、レーザー51から830nmのレーザー光51aを被検査体Sに照射した。実験例12の被検査体Sは、表面形状(凹凸)を均一化するために厚さ1mmのガラス板2枚で挟み込んで、ガラス板の間隔が1mmになるまで圧縮し、表面を可能な限り平面化した後、レーザー光照射側のガラス板を取り外したものを使用して、角度45°の方向からレーザー光51aを照射した。被検査体Sからの反射・透過・散乱光は偏光フィルタ54を通過した後に、光電子増倍管55にて受光した。
【0080】
なお、光電子増倍管55の出力は、電圧に変換後、アンプ56によりおよそ20倍に増幅し、その点での光強度とした。また光電子増倍管55は10°ずつ時計回りに回転させ、各位置において、偏光フィルタ54を照射レーザー光51aの偏光方向に垂直な90°として測定を行った。
(比較例12)
比較例12では、実験例12において、偏光フィルタ54を設置しなかった以外は、同様にして、実験を行った。
実験結果を図25、図26に示す。
【0081】
図25は比較例12の実験結果の説明図であり、偏光フィルタを設置せずに水に濡れたレーズンおよびステムに830nmのレーザー光を照射した実験結果のグラフである。
図26は実験例12の実験結果の説明図であり、偏光フィルタを設置して水に濡れたレーズンおよびステムに830nmのレーザー光を照射した実験結果のグラフである。
なお、図25、図26のグラフは、周方向に回転位置を取っており、半径方向に光強度を取っている。また、図25、図26において、レーズンの実験結果を黒丸で示し、ステムの実験結果を白抜き十字で示す。
【0082】
図25において、偏光フィルタを設置していない比較例12では、反射・後方散乱光において、レーズンとステムとを判別するための閾値を、良品である水に濡れたレーズンが、光電子増倍管55が配置されている270°方向で超えてしまっている。これは、水の膜による反射光であり、これが良品誤検知の原因である。
図26において、照射レーザー光の偏光方向に対して垂直成分のみを受光するように偏光フィルタを設置した実験例12では、反射・後方散乱光において、図25の270°方向に見られた水の膜による強い反射・散乱光が減衰され、レーズンとステムを判別するための閾値を超えること無く分布していることがわかる。
したがって、図25、図26の結果から、偏光フィルタ54を設置することで、水に濡れた良品のレーズンの誤検知を減少させることができる。
【0083】
(実験例13)
図27は実験例1〜8の図10に対応するクルミの実と殻と渋皮の分光特性の測定結果の説明図であり、横軸に波長を取り、縦軸に反射率を取ったグラフである。
次に、レーズンとは異なる被検査体の一例としてのクルミを対象として、実験を行った。実験は、レーズンに対する異物であるステム(ブドウの茎)に替えて、クルミの殻や渋皮(以下「隔壁」と記載することもある)について実験を行った。
まず、クルミの実と、殻と、渋皮の分光特性を測定した。測定結果を図27に示す。
図27の結果から、クルミの場合は、クルミの実に対して、「殻」や「渋皮(隔壁)」については、800nmよりも長波長の近赤外光または、500nm〜800nmの可視光において分光特性の違いが見られることがわかった。したがって、クルミの選別については、532nmの緑色のレーザー光と、635nmの赤色のレーザー光、830nmの近赤外光を使用して実験を行った。
【0084】
図28は実験例13のレーザー光照射時におけるサンプルからの散乱光角度分布に関する実験の実験装置の説明図である。
次に、実験例12と同様に、クルミに対して、レーザー光の透過光、反射光、散乱光の分布について、実験を行った。
図28において、第1のレーザー61からの波長830nmのレーザー光61aと、第2のレーザー62からの635nmのレーザー光62aと、が、赤色を反射し且つ赤外光を透過させる第1のダイクロイックミラー64で同一軸にされ、第3のレーザー63からの532nmのレーザー光63aが、緑色を反射し且つ赤外および赤色を透過させる第2のダイクロイックミラー65で同一軸にされる。そして、同一軸上にされた各レーザー光61a〜63aが、角度45°の方向から被検査体Sに照射した。被検査体Sからの反射・透過・散乱光を、光電子増倍管67にて受光した。
【0085】
なお、光電子増倍管67の出力は、実験例12と同様に、電圧に変換後、アンプ68によりおよそ20倍に増幅し、その点での光強度とした。
また、実験例13では、後方散乱光について測定を行った。すなわち、回転位置が220°から330°の範囲で10°ずつ時計回りに回転させて測定を行った。
実験結果を図29〜図31に示す。
【0086】
図29は実験例13の実験結果の説明図であり、532nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
図30は実験例13の実験結果の説明図であり、635nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
図31は実験例13の実験結果の説明図であり、830nmのレーザー光におけるクルミの実、殻および隔壁の実験結果のグラフである。
なお、図29〜図31のグラフは、図25〜図28と同様に、周方向に回転位置を取っており、半径方向に光強度を取っている。また、図29〜図31において、クルミの実の実験結果をアスタリスクで示し、隔壁の実験結果を黒丸、殻の実験結果を白抜きの四角で示す。
【0087】
図29において、532nmのレーザー光63aを使用した場合、全体的に反射角度方向である270°の方向に若干偏った分布となっている。
クルミの実に対して、殻の選別は、330°において、強度が同じ値になっていることから選別は困難であるが、クルミの実に対して、隔壁の選別は、クルミの実も隔壁も散乱光強度が等方的に分布することと、コントラストが明確なことから可能であることがわかる。
【0088】
図30において、635nmのレーザー光62aを使用した場合、図29と同様に、全体的に反射角度方向である270°の方向に若干偏った分布となっている。
クルミの実に対して、殻の選別は、図29の場合と同様に、270°において、強度が同じ値になっていることから選別は困難であるが、クルミの実に対して、隔壁の選別は、クルミの実も隔壁も散乱光強度が等方的に分布することと、コントラストが明確なことから可能であることがわかる。但し、図29の場合と比較すると、実と隔壁について、散乱光の分布の等方性がやや劣る(図30中の260°において若干強い反射・散乱光が確認され、選別用の閾値の設定がし難くなる)ことがわかる。したがって、クルミの実と隔壁を選別する場合には、532nmのレーザー光63aの方が有利であることがわかる。
【0089】
図31において、830nmのレーザー光61aを使用した場合、クルミの実に対して、隔壁の選別は、280°において、強度が同じ値になっていることから選別は困難であり、さらに、両者の散乱光強度が逆転していることから上限閾値および下限閾値を定めることができず、判別は困難である。
一方、クルミの実に対して、殻の選別は、両者に散乱光強度の差が確認でき、コントラストも明確であるため、選別は可能であることがわかる。
図29〜図31の結果から、実験例13では、クルミの実に対して、隔壁を選別するには、532nmまたは635nmの両波長で可能であるが、わずかながら532nmの方が有利であることがわかった。また、クルミの殻を選別する場合、830nmのレーザー光を採用することで可能であることもわかった。
なお、クルミについても、レーズンと同様に、農産物、食品であるため、水で洗浄する場合も考えられ、その場合には、レーズンと同様に、特定の偏光成分のみを受光することで、水の反射光を減少させることで、高精度な検査、選別が可能になる。
【0090】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施例において、被検査体として食品試料を例示したが、食品試料に限定されず、粒状、粉状、板状、棒状、塊状等の任意の形状の被検査体に対して異物混入の判別を行うことができる。
【0091】
また、前記実施例において、複数のレーザーLS1〜LSnおよび受光素子PD1〜PDn,PD1′〜PDn′,PD1″〜PDn″を設ける構成を例示したが、この構成に限定されず、レーザーや受光素子の個数は設計や仕様、測定対象の被検査体の種類等に応じて、任意の個数とすることができ、1つのみとすることも可能である。
【0092】
さらに、前記実施例において、2つの波長のレーザー光の反射光の強度と、強度比に基づいて選別を行ったが、この構成に限定されず、使用する食品試料Sの種類や要求される精度等に応じて、強度のみで判別を行ったり、強度比のみで判別を行ったり、あるいは強度差で判別を行うことも可能である。さらに、2つのレーザー光に基づいて判別を行ったが、1つのみとしたり、3つや4つ以上の波長のレーザー光の強度や強度比、強度差等を使用することも可能である。
【0093】
また、前記実施例において、異物の判別は、2つのレーザー光の強度および強度比の全てが、上限値から下限値の範囲内にある場合に良品と判別したが、この構成に限定されず、例えば、強度比を使用せず且つ2つのうちいずれか一方のレーザー光の強度が上限値から下限値の間に入っていれば良品と判別したり、2つのレーザー光の強度が上限値から下限値の間に入っていなくても強度比が上限値から下限値の間に入っていれば良品と判別したり等、良品と判別する基準は、必要とされる精度や測定対象の被検査体の種類等に応じて、変更することが可能である。
【0094】
さらに、前記実施例において、サイズフィルタ処理を実行したが、サイズフィルタ処理を省略することも可能である。すなわち、判別された異物画素(異物信号)が1つ検出される度に、異物画素に対応してエアを噴出するように構成することも可能である。
また、前記実施例において、サイズフィルタ処理では、連続する異物画素の数が18個以上の場合に除去を行うように構成したが、この構成に限定されず、例えば、2(画素)×2(画素)や3×3、2×4等の予め設定された広さの異物画素の領域が存在する場合に、その領域を異物として判別するといった構成を採用することも可能である。
【0095】
さらに、前記実施例において、サイズフィルタ処理では、15ライン分の履歴データに基づいて処理を行ったが、この構成に限定されず、対象とする被検査体の大きさや解像度、要求される精度等に応じて、15ラインより多いまたは少ない任意の領域の履歴データを採用することも可能である。また、サイズフィルタ処理は、1ライン分のデータが更新されるたびに実行されたが、この構成に限定されず、例えば、15ライン分のデータが蓄積されてサイズフィルタ処理を実行した後、データを一度全部破棄し、次の15ライン分のデータが蓄積されてから次のサイズフィルタ処理を実行するといったように、予め設定された所定の期間分のデータが蓄積されるたびにサイズフィルタ処理を実行するように構成することも可能である。
【0096】
さらに、前記実施例において、直線偏光のレーザー光に直交する成分に基づいて判別を行う構成を例示し、この構成を採用することが望ましいが、要求される精度や、装置や各部材の設置時の精度等に応じて、直交する成分ではなく、直線偏光の偏光方向に対して異なる任意の偏光方向の成分に基づいて判別を行うことが可能である。なお、この場合、傾斜する方向は、直交方向に近いことが望ましい。
また、前記実施例において、エアを噴出して異物を除去したが、この構成に限定されず、エアを吸引する構成としたり、落下経路中に進入・退避して進入時に異物を物理的に弾き飛ばして除去する構成とする等、任意の除去方法で除去することも可能である。
また、前記実施例において、第1の偏光光学素子7aを使用して被検査体Sに照射されるレーザー光を直線偏光のレーザー光としたが、直線偏光のレーザー光を出射可能なレーザーを使用する場合、偏光光学素子7aを省略することも可能である。
【0097】
さらに、前記実施例において、異物混入判別領域にレーザー光を照射する際に、回転多面鏡を利用してスキャンしたが、この構成に限定されず、ビームエキスパンダや光学レンズ等を使用して、異物混入判別領域の幅にレーザー光を照射するように構成することも可能である。
【0098】
さらに、異物除去について、本実施例では落下搬送路4に1つの異物除去装置13(エアノズル)を配置して除去対象異物を除去しているが、この構成に限定されず、被検査体の落下軌跡が変化しやすかったりして、異物混入判別領域5で判別された被検査体がエアノズルに対して安定した位置に落下しにくい場合等には、主走査方向にエアを吹付けるエアノズルの数を増加させて噴出幅を増加させたり、複数の方向からエアを吹付けたりすることにより、確実に異物の除去可能な構成とすることも可能である。
また、副走査方向についても、除去対象異物に対応した時間エアを噴射しているが、落下時間のバラツキを考慮して、異物の大きさより長くエア噴射時間を変更設定したり、副走査方向に沿って複数の異物除去装置を配置したりすることも可能であり、確実に異物の除去ができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
前記本発明は、食品等の各種材料を対象として、出荷前検査、受け入れ検査に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…食品試料選別装置
2…試料搬送部材
3…振動装置
4…落下搬送路
5…異物混入判別領域
6…異物混入判別装置
7…レーザー光源装置
7a…第1の偏光光学素子
8…受光器
8a,8a′…第2の偏光光学素子
10…光強度測定器
11…演算処理装置
11A…異物混入判別手段
11A1…フィルタ処理手段
11A2…異物混入判別値記憶手段
11A3…異物画素判別手段
11A4…判別履歴データ記憶手段
11A5…判別結果更新手段
11A6…サイズフィルタ処理手段
11A6a…異物領域抽出手段
11A6b…領域判別値記憶手段
11A6c…異物信号出力手段
11A7…判別用強度演算手段
11A7a…直線偏光成分射影角記憶手段
11A7b…偏光方向演算手段
11A7c…直交成分演算手段
12…除去装置制御回路
13…異物除去装置
14…異物回収路
15…異物回収容器
16…下流側搬送装置
FL1〜FLn,FL1′〜FLn′,FL1″〜FLn″…波長選択フィルタ
L1…異物混入判別上限値
LS1〜LSn…レーザー
PD1〜PDn,PD1′〜PDn′,PD1″〜PDn″…受光素子
PM…ポリゴンミラー
S…被検査体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の単一波長且つ直線偏光のレーザー光を被検査体に照射する照射光源系と、
前記被検査体自身による前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光と、前記被検査体表面の水による前記レーザー光と同じ偏光方向の反射光と、を含む反射・散乱光の中で、少なくとも前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分を含む反射・散乱光を受光する受光素子を有する受光光学系と、
受光した反射・散乱光の前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する異物混入判別手段と、
を備えたことを特徴とする異物混入判別装置。
【請求項2】
前記反射・散乱光の光路上に配置され且つ前記反射・散乱光に含まれる前記レーザー光の偏光方向に直交する方向の偏光成分の光を透過させる偏光光学素子と、前記偏光光学素子を通過した光を受光する前記受光素子と、を有する前記受光光学系、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の異物混入判別装置。
【請求項3】
前記反射・散乱光の光路上に配置され且つ前記反射・散乱光を互いに直交する第1の偏光方向および第2の偏光方向の成分に分離する偏光光学素子と、前記第1の偏光方向の光を受光する第1の受光素子および前記第2の偏光方向の光を受光する第2の受光素子を有する前記受光素子と、を有する前記受光光学系と、
前記第1の偏光方向の光と、前記第2の偏光方向の光と、前記被検査体に照射された前記レーザー光の偏光方向と、に基づいて、前記レーザー光の偏光方向に直交する方向の偏光成分を演算する直交成分演算手段と、
前記直交成分演算手段で演算された前記レーザー光の偏光方向とは直交する方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する前記異物混入判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の異物混入判別装置。
【請求項4】
特定の単一波長且つ直線偏光のレーザー光を被検査体に照射し、
前記被検査体自身による前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向成分を含む反射・散乱光と、前記被検査体表面の水による前記レーザー光と同じ偏光方向の反射光と、を含む反射・散乱光の中で、少なくとも前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分を含む反射・散乱光を受光し、
受光した反射・散乱光の前記レーザー光の偏光方向とは異なる方向の偏光成分に基づいて、前記被検査体が異物であるか否かを判別する
ことを特徴とする異物混入判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図20】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図3】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−112943(P2010−112943A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204199(P2009−204199)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業(レーザーを利用した新しい食品異物検査装置)に係わる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(803000078)株式会社みやざきTLO (20)
【出願人】(000226781)日新電子工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】