説明

疎水性シリコーン−有機ゲルブレンドを含有するパーソナルケア組成物

本発明は、少なくとも50Pa・秒の粘度を有する疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドを含有するパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物を提供する。この疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーとキャリア液体とを含有する。このゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーまたはシリコーン-有機エラストマーゲルをキャリア液体と共に剪断することによって調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月26日に出願された米国特許出願US60/975,318の優先権を請求する。
本発明は、少なくとも50Pa・秒の粘度を有する疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドを含むパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物に関する。この疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーとキャリア液体とを含有する。このゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーまたはシリコーン-有機エラストマーゲルをキャリア液体と共に剪断することによって調製することができる。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーゲルは、適用時に独特の感覚プロフィルをもたらすことによって、パーソナルケア配合物の美的感覚を高めるために広く使われている。ほとんどのシリコーンエラストマーゲルは、SiHポリシロキサンと、不飽和炭化水素置換基を有する他のポリシロキサン、例えばビニル官能性ポリシロキサンとを、ヒドロシリル化架橋反応させることによって、あるいは、SiHポリシロキサンと、炭化水素ジエンとを架橋させることによって得られる。シリコーンエラストマーを、キャリア液体(例えば、揮発性シリコーンなど)の存在下で形成させて、ゲル化組成物を得ることができる。あるいは、シリコーンエラストマーを、高固形分で形成させ、続いてせん断にかけ、キャリア液体と混合して、ゲルまたはペースト状組成物を作ることもできる。このようなシリコーンエラストマーの代表的な例は、米国特許第5,880,210号および米国特許第5,760,116号に教示されている。
【0003】
シリコーンエラストマーは、パーソナルケア配合物の改良に飛躍的な進歩をもたらしてきたが、その使用を制限する幾つかの欠点を有している。例えば、大部分がジメチルシロキサン含量であるシリコーンエラストマーは、有機ベースの溶媒およびキャリア液体のゲル化には効果が小さい。ジメチルシロキサン含量が高いシリコーンエラストマーゲル組成物も、多くのパーソナルケア成分との相溶性が限られている。例えば、広く使われているサンスクリーン剤であるオクチルメトキシシンナメートは、これらのシリコーンエラストマーゲルの多くにおいて限られた溶解性しか有さない。別の問題は、そのような非相溶性成分の存在下で、シリコーンエラストマーゲルの粘度が減少することである。したがって、有機溶媒をゲル化することができるシリコーンエラストマーを見出す必要がある。さらに、シリコーンエラストマーゲルに付随する美的感覚を維持しながら、さまざまなパーソナルケア成分との高められた相溶性を有するシリコーンエラストマーゲルを見出す必要がある。この目的を達成するため、シリコーンエラストマーと各種のパーソナルケア成分との相溶性を改良するための多くの試みがなされてきた。これらの試みでは、アルキル、ポリエーテル、アミンまたは他の有機官能性基が、シリコーン-有機エラストマー骨格にグラフトされてきた。このような有機官能性シリコーンエラストマーの代表例は、米国特許第5,811,487号、米国特許第5,880,210号、米国特許第6,200,581号、米国特許第5,236,986号、米国特許第6,331,604号、米国特許第6,262,170号、米国特許第6,531,540号、および米国特許6,365,670号に教示されている。
【0004】
しかし、シリコーンエラストマーをベースとするゲルの相溶性、特に有機物をベースとする揮発性液体およびパーソナルケア成分との相溶性を改良することが、依然として求められている。こうして改良される相溶性は、感覚的な美的プロファイルを犠牲にしてはならない。さらに、キャリア液体中のシリコーンエラストマーのゲル化または増粘化効果は、維持されるか、あるいは改良されるべきである。
【0005】
近年、シリコーンエラストマーまたはシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルおよびゲルペーストが、米国特許出願第60/937827号、国際出願番号PCT/US07/006833号、国際出願番号PCT/US07/006894号、および国際出願番号PCT/US07/006936号に記載されている。これらは、本出願の出願人と同一の出願人により出願されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,880,210号
【特許文献2】米国特許第5,760,116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願人らは、疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンド組成物を見出した。このゲルブレンド組成物は、美的感覚が維持されたままで、多くの一般的パーソナルケア成分との相溶性が改善されている。したがって、これらは、さまざまなパーソナルケアおよびヘルスケア配合物に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、少なくとも50Pa・秒の粘度を有する疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドを含むパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物に関する。この疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーとキャリア液体とを含有する。このシリコーン-有機エラストマーは、
A)SiH含有オルガノポリシロキサン、
B)分子内に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する有機化合物、および
C)ヒドロシリル化触媒
の反応生成物を含む。
【0009】
本疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドは、さまざまなパーソナルケア組成物、例えば、カラー化粧品、口紅、ファンデーション、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘア固定剤、シャワーゲル、皮膚の保湿剤、皮膚のコンディショナー、ボディコンディショナー、日焼け防止製品、制汗剤、およびデオドラントなどに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、少なくとも50Pa・秒の粘度を有する疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドを含むパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物に関する。本明細書において、「疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンド」は、キャリア液体中にシリコーン-有機エラストマーを含有する組成物を意味し、この組成物は疎水性である。すなわち、この組成物は、水または水性ベースの組成物と混和して安定な分散液またはエマルションを形成しない。言い換えると、組成物は水と混合した場合に「自動乳化」されない。この疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドは、いずれも以下に記述する、シリコーン-有機エラストマーと、キャリア液体とを含有する。このゲルブレンドは、シリコーン-有機エラストマーまたはシリコーン-有機エラストマーゲルを、本明細書に記載するように、追加量のキャリア液体、および場合によりE)のパーソナルまたはヘルスケア活性剤と共に剪断して、ゲルブレンドまたはペースト組成物を形成させることによって調製することができる。
【0011】
[シリコーン-有機エラストマー]
本開示のシリコーン-有機エラストマーは、オルガノ水素シロキサン、分子内に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する有機化合物、およびヒドロシリル化触媒〔成分A)、B)、およびC)の各成分〕のヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。用語「ヒドロシリル化」は、触媒(例えば、成分C)の存在下、ケイ素に結合した水素を有する有機ケイ素化合物(例えば、成分A)を、脂肪族不飽和を有する化合物(例えば、成分B)に付加反応させることを意味する。ヒドロシリル化反応は当技術分野では公知であり、そのような公知な方法または技術はいずれも、成分A)、B)、およびC)のヒドロシリル化反応を行わせて、本開示のシリコーン-有機エラストマーを製造するために用いることができる。
【0012】
本シリコーン-有機エラストマーは、2〜30個の炭素を含有する炭化水素基、疎水性ポリオキシアルキレン基、およびこれらの混合から独立に選択される、側鎖(pendant)の非架橋部分を含むこともできる。このような側鎖の基は、
成分D’)2〜30個の炭素を含有し、末端不飽和脂肪族基を1個有する炭化水素、および/または
成分D”)末端不飽和脂肪族基を1個有する疎水性ポリオキシアルキレン
が、シリコーン-有機エラストマーに、ヒドロシリル化反応によって任意に付加することによって得られる。
【0013】
本シリコーン-有機エラストマーを製造するためのヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下で行うことができ、溶媒は、その後、公知の技術により除去することができる。あるいは、ヒドロシリル化反応は、成分ii)として記載するキャリア液体と同じ溶媒中で行うことができる。
【0014】
(A)オルガノ水素シロキサン
本発明の成分A)は、SiHを有するオルガノポリシロキサンである。本明細書において、オルガノ水素シロキサンは、ケイ素に結合した水素原子(SiH)を有する任意のオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンは、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)のシロキシ単位から独立に選択されるシロキシ単位を有するポリマーである(式中、Rは、任意の一価の有機基であってよい)。オルガノポリシロキサンのシロキシ単位(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)のRがメチル基である場合、これらのシロキシ単位は、一般に、それぞれM単位、D単位、T単位、およびQ単位と呼ばれる。これらのシロキシ単位は、さまざまな態様で組み合わされて、環状、線状、または分岐状の構造を形成することができる。オルガノ水素シロキサンは、少なくとも1個のSiHを有するシロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである。すなわち、オルガノポリシロキサンの少なくとも1個のシロキシ単位は、式(RHSiO0.5)、(RHSiO)、または(HSiO1.5)を有する。したがって、本発明で有用なオルガノ水素シロキサンは、(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、(RHSiO0.5)、(RHSiO)、(HSiO1.5)または(SiO)のシロキシ単位の任意の数を含んでいてよく、1分子中に平均して少なくとも2個のSiHシロキシ単位が存在する。成分A)は、直鎖状、環状、または分岐状のオルガノ水素シロキサン単独であっても、以下の特性;構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、および配列の少なくとも1つが異なる二種以上の直鎖状、環状、または分岐状のオルガノ水素シロキサンを含む組合せであってもよい。
【0015】
オルガノ水素シロキサンは、平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
v≧2であり、
x≧0、あるいはx=1から500、あるいはx=1から200であり、
y≧2、あるいはy=2から200、あるいはy=2から100である)
を有することができる。
【0016】
は、置換または非置換の脂肪族または芳香族ヒドロカルビルであってよい。一価非置換脂肪族ヒドロカルビルは、これらだけに限定されないが、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシルなど)、ならびにシクロアルキル基(例えばシクロヘキシルなど)によって例示される。一価置換脂肪族ヒドロカルビルは、これらだけに限定されないが、ハロゲン化アルキル基(例えばクロロメチル、3−クロロプロピル、および3,3,3‐トリフルオロプロピルなど)によって例示される。芳香族炭化水素基は、これらだけに限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、および2‐フェニルエチルによって例示される。
【0017】
一つの実施態様では、オルガノ水素シロキサンは、追加のシロキシ単位を含んでいてもよく、平均式:
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(RSiO1.5
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO
(RSiO0.5(RSiO)(RHSiO)(SiO(RSiO1.5
(式中、
は水素またはRであり、
は一価ヒドロカルビルであり、
さらに、v≧2、w≧0、x≧0、y≧2、かつz≧0である)
を有していてよく、あるいは、これらの任意の混合物であってよい。
【0018】
別の実施態様では、オルガノ水素シロキサンは、平均式;
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、x≧0、あるいはx=1から500、あるいはx=1から200であり、
かつ、y≧2、あるいはy=2から200、あるいはy=2から100である)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサンから選ばれる。
【0019】
別の実施態様では、成分(A)は、SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂である。例えば、成分(A)のSiH含有オルガノポリシロキサン樹脂は、式;
(RHSiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(R’SiO3/2(SiO4/2
(ここで、aは0を超えて大きく、
bは0から0.8であり、
cは0から0.4であり、
dは0から0.95であり、
eは0から0.9、あるいは0から0.95であり、
ただし、少なくともdまたはeはゼロを超えて大きく、かつ、a、b、c、dおよびeの合計が少なくとも0.9であり、
Rは上述により定義したとおり有機基であり、典型的にはRはメチルであり、
R’は2個から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である)
を含んでいてよい。
【0020】
R’は直鎖状または分岐状アルキル、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル基などであってよい。典型的には、R’はプロピルである。
【0021】
上記式(RHSiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(R’SiO3/2(SiO4/2で、および下記のそれに続く使用において、下付き文字a、b、c、d、およびeはそれぞれ指定されたシロキシ単位のモル分率を表す。a、b、c、d、およびeの合計は少なくとも0.9である。したがって、SiH含有オルガノ水素シロキサン樹脂は、追加のシロキシ単位、例えばシラノールおよび/またはアルコキシ官能性シロキシ単位を含んでもよい。
【0022】
別の実施態様では、本発明の成分(A)は、1分子当たり平均して少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンであり、例えば、国際出願番号PCT/US07/006833号、国際出願番号PCT/US07/006894号、および国際出願番号PCT/US07/006936号に記載されているオルガノ水素シロキサンである。これらは、本出願の出願人と同一の出願人により出願されており、これら全体を参照により本明細書に組み込む。
【0023】
(B)分子内に脂肪族不飽和炭化水素基を少なくとも2個有する有機化合物
成分(B)は、その分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する、有機化合物または化合物の混合物である。これらの化合物は、任意のジエン、ジイン、またはエン‐イン化合物であってよい。ジエン、ジイン、またはエン‐イン化合物は、少なくとも2個の脂肪族不飽和基が存在し、それら基が分子内でいくぶん隔たっている化合物(高分子状化合物を含む)である。典型的には、不飽和基は化合物の末端に、または高分子状化合物の側鎖にある。末端また側鎖不飽和基を含有する化合物は、式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を含有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、Yは二価の有機もしくはシロキサン基またはこれらの組合せである)で表すことができる。典型的には、RはCH=CH‐、CH=CHCH‐、CH=C(CH)CH‐、またはCH≡C‐、ならびに、同様な置換不飽和基、例えばHC=C(CH)‐、およびHC≡C(CH)‐などである。
【0024】
成分(B)として式R−Y−Rを有する化合物は、Yの選択次第で、「有機」、「炭化水素」、「有機ポリマー」、「ポリエーテル」または「シロキサン」、またはそれらの組合せであり得る。Yは、二価の炭化水素、シロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレン、ポリイソアルキレン、炭化水素‐シリコーンコポリマー、またはこれらの混合物であってよい。
【0025】
一つの実施態様では、成分(B)は、本明細書で(B)と表示する有機化合物から選択され、Bは、式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族基であり、Yは二価の炭化水素である)を有する。二価の炭化水素Yは、1個から30個の炭素を、脂肪族または芳香族構造のいずれかとして含有し、および分岐状であっても非分岐状であってもよい。あるいは、B中の連結基Yは、1個〜12個の炭素を含むアルキレン基であってよい。成分(B)は、1個から30個の炭素を含むα、ω‐不飽和アルケンもしくはアルキンまたはこれらの混合物から選択してもよい。成分(B)は、以下に限定されないが、1,4‐ペンタジエン、1,5‐ヘキサジエン;1,6‐へプタジエン;1,7‐オクタジエン、1,8‐ノナジエン、1,9‐デカジエン、1,11‐ドデカジエン、1,13‐テトラデカジエン、および1,19‐エイコサジエン、1,3‐ブタジイン、1,5‐ヘキサジイン(ジプロパルギル)、および1‐ヘキセン‐5‐インによって例示することができる。
【0026】
他の実施態様では、成分(B)は、本明細書で(B)と表示する、R−Y−R化合物(ここで、Yはシロキサンである)から選ばれる。Yシロキサン基は、Rとして示される脂肪族不飽和を有する有機基少なくとも2個と結合して、R−Y−R構造を形成する任意のオルガノポリシロキサンから選ぶことができる。したがって、成分(B)は、任意のオルガノポリシロキサンおよびこれらの混合物であってよく、平均式:
SiO(4−m)/2
(式中、
Rは有機基であり、
は上述により定義した一価不飽和脂肪族基であり、
mはゼロから3である)
で表されるシロキサン単位を少なくとも2個を含む。
【0027】
基は、オルガノポリシロキサン分子中の任意のモノ、ジ、またはトリ−シロキシ単位上に存在していてよく、例えば;(RSiO0.5)、(RRSiO)、または(RSiO1.5)上に存在していてよく;R置換基を有さない他のシロキシ単位、例えば(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)シロキシ単位との組合せ(式中、Rは独立して任意の有機基、あるいは1個から30個の炭素を含む炭化水素、あるいは1個から30個の炭素を含むアルキル基、あるいはメチルであり;ただし、オルガノポリシロキサンには少なくとも2個のR置換基が存在する)、上に存在していてよい。
【0028】
成分(B)として適するR−Y−R構造をベースとするこのようなシロキサンの代表的な、限定されない例として、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、w≧0、x≧0、y≧2、およびzは≧0であり、Rは有機基であり、ならびにRは一価不飽和脂肪族炭化水素基である)
が挙げられる。
【0029】
は、ビニル官能性ポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)、例えば、平均式:
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]Si(Me)CH=CH
MeSiO[(Me)SiO][CH=CH(Me)SiO]SiMe
(式中、Meはメチルであり、
x≧0、あるいはxは0から200であり、あるいはxは10から100であり、
y≧2、あるいはyは2から200であり、あるいはyは10から100である)
を有するものから選ぶことができる。ビニル官能性ポリジメチルシロキサンは公知であり、多くが市販されている。
【0030】
別の実施態様では、成分(B)は、本明細書で(B)と表示する、ポリエーテル化合物から選択することができる。Bは、式:
‐Y‐R
〔式中、Rは上述により定義したとおりであり、
は、式:(C2nO)
(式中、nは3から4であり、
bは2を超えて大きく、あるいはbは2から100までであり得、あるいはbは2から50までであり得る)
を有するポリオキシアルキレン基である〕
を有する化合物である。
ポリオキシアルキレン基は、典型的には、オキシプロピレン単位(CO)、オキシテトラメチレンもしくはその異性体オキシブチレン単位(CO)、またはこれらの混合を含むことができる。したがって、R‐Y‐R化合物は、平均式:
‐O[(CO)(CO)]‐R
(式中、Rは、2個から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、dは、0〜100であり、eは1〜100であり、但し、d+e>1である)
を有するポリオキシアルキレンから選ぶことができる。
【0031】
あるいは、ポリオキシアルキレン基は、オキシプロピレン単位(CO)のみを含む。ポリオキシプロピレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な、限定されない例として、
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
(ここで、dは上述により定義したとおりである)
が挙げられる。
ポリオキシブチレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な、限定されない例として、
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
が挙げられる。
成分(B)は、種々のポリエーテルの混合物、すなわちB成分の混合物であってもよい。
【0032】
別の実施態様では、成分(B)は、本明細書で(B)と表示する、R‐Y‐R化合物(式中、Rは上述により定義したとおりであり、YはC2からC6のアルキレン単位またはこれらの異性体から選択されるポリアルキレン基である)から選ばれる。一つの例は、イソブチレン単位を含有するポリマーであるポリイソブチレン基である。ポリイソブチレン基の分子量はさまざまであるが、典型的には、100から10,000g/モルまでである。ポリイソブチレン基を含有するR‐Y‐R化合物の代表的な、限定されない例として、BASF社からOPPONOL BVの商品名、例えばOPPONOL BV 5K(平均分子量5000g/モルを有するジアリル末端ポリイソブチレン)などで商業的に入手可能なものが挙げられる。
【0033】
さらに他の実施態様では、成分(B)は、本明細書で(B)と表示する、R‐Y‐R化合物(式中、Rは、上述により定義したとおりであり、Yは、炭化水素‐シリコーンコポリマー基である)から選ばれる。炭化水素‐シリコーンコポリマー基は、式:
‐[R(RSiO)
(ここで、RおよびRは上述により定義したとおりであり;
uおよびvは独立して、1以上であり、あるいはuは1から20までであり、あるいはvは2から500、または2から200までであり、
qは1より大であり、あるいはqは2から500までであり、あるいはqは2から100までである)
を有することができる。
炭化水素‐シリコーンコポリマー基を有するR‐Y‐R化合物は、α‐ω不飽和炭化水素(例えば、Bとして上述したものなど)と、オルガノ水素シロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって製造することができる。このような反応の代表的な、限定されない例を、以下に示す。
【化1】

【0034】
成分(B)は、任意のジエン、ジイン、またはエン‐イン化合物の混合物(例えば、B、B、B、B、およびBの任意の組合せなど)であってもよい。
【0035】
本組成物を製造するために用いる成分(A)および成分(B)の量は、個々の成分、および脂肪族不飽和に対するSiHの所望の割合次第である。本発明の組成物を製造するために有用な、成分(A)中のSiHの、成分(B)からの脂肪族不飽和に対する比は、10:1から1:10、あるいは5:1から1:5、あるいは4:1から1:4であってよい。
【0036】
成分(A)および(B)が、それぞれ、本組成物中の脂肪族不飽和基およびSiH含有基を含有するただ一つの物質でない場合、上記比はその成分だけではなく、組成物中に存在するそのような基の合計量に関連する。
【0037】
(C)ヒドロシリル化触媒
成分C)は、ヒドロシリル化反応に典型的に用いられる任意の触媒を含む。白金族金属含有触媒を用いるのが好ましい。白金族は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金ならびにこれらの錯体を意味する。本発明の組成物の製造に有用な白金族金属含有触媒は、ウィリングの米国特許第3,419,593号およびブラウンらの米国特許第5,175,325号に記載のとおりに製造された白金錯体である。これらの特許の内容を、そのような錯体およびその製法を示すために、参考として本明細書に組み込む。有用な白金族金属含有触媒の他の例は、リーらの米国特許第3,989,668号;チャンらの米国特許第5,036,117号;アシュビーの米国特許第3,159,601号;Lamoreauxの米国特許第3,220,972号;チョークらの米国特許第3,296,291号;Modicの米国特許第3,516,946号;カールシュテットの米国特許第3,814,730号;およびチャンドラらの米国特許第3,928,629号に見ることができ、これらすべてを、有用な白金属金属含有触媒およびそれらの製造方法を示すために参考として本明細書に組み込む。白金族含有触媒は、白金族金属、担体(例えば、シリカゲルもしくは粉末木炭など)に堆積させた白金族金属、または白金族金属の化合物もしくは錯体であってもよい。好ましい白金含有触媒としては、六水和物もしくは無水物形態のいずれかのクロロ白金酸、および/または、クロロ白金酸と、脂肪族不飽和有機ケイ素化合物(例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンなど)との反応を含む方法によって得られる白金含有触媒、または2001年12月7日出願米国特許出願番号10/017229に記載されているとおりのアルケン‐白金‐シリル錯体〔例えば、(COD)Pt(SiMeCl(式中、CODは1,5‐シクロオクタジエンであり、Meはメチルである)〕が挙げられる。これらのアルケン‐白金‐シリル錯体は、例えば0.015モルの(COD)PtClと、0.045モルのCODおよび0.0612モルのHMeSiClとを混合することによって製造することができる。
【0038】
触媒の適正量は、用いる個々の触媒によって決まる。白金触媒は、組成物中の固形分(非溶媒成分すべて)の全重量パーセントに基づいて百万部あたり少なくとも2部(ppm)、あるいは4〜200ppmの白金を与えるのに十分な量で存在させるべきである。典型的には、白金を、同じ基準で、4から150重量ppmの白金を与えるのに十分な量で存在させる。触媒は、単一種として添加することができ、あるいは二つ以上の異なる種の混合物として添加することができる。
【0039】
(D)末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する任意の成分
シリコーン-有機エラストマーは、2〜30個の炭素を含む炭化水素基、疎水性ポリオキシアルキレン基、およびこれらの基の混合から独立に選ばれる、側鎖の非架橋性部分をも有していてよい。これらの基は、成分D)の末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する有機化合物が付加することによるヒドロシリル化反応によって、シリコーン-有機エラストマー上に形成される。成分D)は、
成分D’)6〜30個の炭素を含み、末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する炭化水素、および/または
成分D”)末端不飽和脂肪族基を1個有する疎水性オキシアルキレン
から選択することができる。
【0040】
成分D)を添加することによって、結果として得られるシリコーン-有機エラストマーの化学的および物理的特性を変化させることができる。例えば、D’を選択すると、炭化水素基をシリコーン-有機エラストマーに付加することになり、したがって、シリコーン-有機エラストマーの疎水性特性をより高めることになる。
【0041】
D’またはD”中の不飽和脂肪族炭化水素基は、アルケニルであっても、アルキニル基であってもよい。アルケニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC=CH‐、HC=CHCH‐、HC=C(CH)CH‐、HC=CHCHCH‐、HC=CHCHCHCH‐、およびHC=CHCHCHCHCH‐。アルキニル基の代表的な、限定されない例は、次の構造により示される:HC≡C‐、HC≡CCH‐、HC≡CC(CH)‐、HC≡CC(CH‐、HC≡CC(CHCH‐。
【0042】
成分D’)は、6〜30個の炭素を有し、末端不飽和脂肪族基を1個有する炭化水素であり、アルファオレフィン(例えば、1‐ヘキセン、1‐オクテン、1‐デセン、1‐ウンデセン、1‐デカデセン、および類似の同族体など)から選択することができる。成分D’)は、アリール含有炭化水素(例えば、アルファメチルスチレンなど)から選択することもできる。
【0043】
成分D”)は、平均式:
O‐[(CO)d’(CO)]‐R
(式中、Rは、2から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
d’は、0から100までであり、eは、0から100までであり、ただしd’およびeの合計は0より大であり、
は、水素、アシル基、または1から8個の炭素を含む一価炭化水素基である)
を有するポリオキシアルキレンから選択することができる。
成分D”)として有用なポリオキシアルキレンの代表的な、限定されない例として、
C=CHCHO(CO)d’H、
C=CHCHO(CO)d’CH
C=CHCHO(CO)d’C(O)CH
C=CHCHO(CO)d’(CO)H、
C=CHCHO(CO)d’(CO)CH
C=CHCHO(CO)C(O)CH
C=C(CH)CHO(CO)d’H、
C=CC(CHO(CO)d’H、
C=C(CH)CHO(CO)d’CH
C=C(CH)CHO(CO)d’C(O)CH
C=C(CH)CHO(CO)d’(CO)H、
C=C(CH)CHO(CO)d’(CO)CH
C=C(CH)CHO(CO)d’C(O)CH
HC≡CCHO(CO)d’H、
HC≡CCHO(CO)d’CH
HC≡CCHO(CO)d’C(O)CH
HC≡CCHO(CO)d’(CO)H、
HC≡CCHO(CO)d’(CO)CH
HC≡CCHO(CO)d’C(O)CH
(式中、d’は上で定義したとおりである)
が挙げられる。
【0044】
ポリエーテルは、その内容をポリエーテルの教示のために参考として本明細書に組み込む米国特許第6,987,157号に記載されているものから選ぶこともできる。
【0045】
成分D’またはD”は、シリコーン-有機エラストマーにその形成中〔すなわち、成分A)、B)、C)およびD)を反応させると同時に〕に加えるか、最初の反応に加える〔例えば、成分A)のSiH基の一部の量をC)およびD)と反応させ、引き続いてさらにB)との反応させる〕かのいずれかであってよく、あるいは、SiH含量(例えば、シリコーン-有機エラストマーに存在する未反応SiH単位に由来するもの)を有する形成されたシリコーン-有機エラストマーに、後で加えることができる。
【0046】
ヒドロシリル化反応に用いる成分D’またはD”の量はさまざまであってよく、成分A)のSiH単位と、成分B)およびD)の脂肪族不飽和基とのモル比が10/1から1/10までの範囲になるように、反応物中に存在する成分B)およびD)からの全ての脂肪族不飽和基のモル量を供給する。
【0047】
[キャリア液体]
シリコーン-有機エラストマー(i)はキャリア液体(ii)に含有されて、シリコーン-有機ゲル組成物を与える。典型的には、キャリア液体は、シリコーン-有機エラストマーを形成させるためのヒドロシリル化反応を行うために用いる溶媒である。好適なキャリア液体として、有機液体(オイルおよび溶媒)、シリコーン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
典型的に、キャリア液体は、有機液体である。有機液体は、オイルまたは溶媒と認識されているものを含む。有機液体は、これらだけに限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、および芳香族ハライドにより例示される。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11〜C13)、Isopar H(C11〜C12)、水素化ポリデセン、鉱物油、および他の石油派生物が挙げられる。エーテルおよびエステルとしては、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールn‐ブチルエーテル、エチル3‐エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ネオペンタン酸トリデシル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルパルミテートが挙げられる。独立した化合物として、あるいはキャリア液体への成分として好適な追加の有機キャリア液体としては、脂肪、油、脂肪酸、脂肪アルコール、植物油、およびトリグリセリド類(例えば、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリドなど)が挙げられる。
【0049】
本キャリア液体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、または揮発性メチルエチルシロキサンであって、25℃で1から1,000mm/秒の粘度を有するもの、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルへプタシロキサン、へプタメチル‐3‐[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ヘキサメチル‐3,3‐ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、加えて、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどであってもよい。
【0050】
i)のシリコーン-有機エラストマーおよびii)のキャリア液体の量は、組成物が、
2〜95重量パーセント、あるいは5から95重量パーセント、あるいは10から90重量パーセントのi)のシリコーン-有機エラストマーと、
98〜5重量パーセント、あるいは95から5重量パーセント、あるいは90から10重量パーセントのii)のキャリア液体と
を含むような量である。
【0051】
[ゲル組成物の製造方法]
ゲル組成物を、本開示の製法によって製造することができる。
開示する製法は;
I)A)SiHを含むオルガノポリシロキサン、
B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する有機化合物、
C)ヒドロシリル化触媒、
ならびに、任意に、
D’)6〜30個の炭素を含み、末端不飽和脂肪族炭化水素基を1個有する炭化水素、
D”)末端不飽和脂肪族基を1個有するポリオキシアルキレン、
またはD’)およびD”)の混合物を、
ii)キャリア液体の存在下で
反応させて、ゲルを形成させる工程を含む。
【0052】
成分A)、B)、C)、およびD)およびキャリア液体ii)、ならびに本方法に用いる量は、上述したものと同じである。工程I)における成分A)、B)、C)、および任意のD)の添加順序は、重要ではない。典型的には、成分A)、B)、および場合によりD)を、キャリア液体と共に撹拌しながら混ぜ合わせ、この混合物を、70〜90℃に加熱する。その後、ヒドロ化シリル反応を引き起こすために触媒C)を添加する。あるいは、成分A)およびD)を混ぜ合わせ、混合し、70〜90℃に加熱し、触媒C)を添加し、その後成分B)を加える。
【0053】
本開示の製法は、さらに、オルガノビニルシロキサンをゲル組成物に混合する工程を含むこともできる。オルガノビニルシロキサンは、少なくとも1個のビニル(ViはCH=CH‐である)含有シロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである。すなわち、オルガノポリシロキサン中の少なくとも1個のシロキシ単位が、式:(RViSiO0.5)、(RViSiO)、または(ViSiO1.5)を有する。オルガノビニルシロキサンを添加すると、ゲル組成物の長期安定性を高めることができる。理論により拘束されるものではないが、本発明者らは、オルガノビニルシロキサンの添加により、シリコーン-有機エラストマーに残存している可能性がある残余のSiHとの反応が起こると考える。
【0054】
(E)パーソナルケア用またはヘルスケア用活性成分
成分E)は任意のパーソナルケア用またはヘルスケア用活性成分から選ばれる活性成分である。本明細書で用いる「パーソナルケア用活性成分」は、パーソナルケア配合物における添加剤として当技術分野で知られている任意の化合物または化合物の混合物を意味する。この添加剤は、典型的に、毛髪または皮膚を手当てする目的に加えられ、化粧上および/または美容上の利益をもたらす。「ヘルスケア用活性成分」は、医薬上または医療上の利点を与えるとして当技術分野で知られている任意の化合物または化合物の混合物を意味する。このように「ヘルスケア用活性成分」は、一般的に使用されかつ米国保健福祉省食品医薬局(連邦規制基準タイトル21(21巻)、第1章Parts200−299およびParts300−499に含まれる)により定義される活性成分または活性薬物成分と認められる物質を含む。
【0055】
したがって、活性成分には、薬理学的活性、または病気の診断、治療、軽減、処置、もしくは予防における他の直接的な効果を与えること、あるいはヒトまたは他の動物の体の構造または何らかの機能に影響を与えることを意図する任意の成分が含まれる。活性成分には、薬剤製品の製造において化学変化を受け得る成分が含まれ、特定の活性または効果を与えることを意図した修飾された形態で薬剤製品中に存在している。
【0056】
代表的な活性成分のいくつかの例には、薬剤、ビタミン、ミネラル;ホルモン;局所的な抗菌剤(例えば、抗生物質活性成分、例えば運動選手の脚、頑癬、または白癬の治療のための抗真菌活性成分、および座瘡活性成分など);収斂活性成分、:デオドラント活性成分;いぼ除去活性成分;コーンおよびカルス除去活性成分;頭、陰部、および体のシラミを処理するための殺シラミ活性成分;ふけ、脂漏性皮膚炎、または乾癬のコントロールのための活性成分;ならびに日焼けの予防または治療用薬剤が含まれる。
【0057】
本発明の方法における使用に有用な活性成分として、ビタミンおよびその誘導体(「プロビタミン」を含む)が挙げられる。ここで有用なビタミンとして、以下に限定されないが、ビタミンA、レチノール、レチノールのC‐C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、およびこれらの混合物が挙げられる。レチノールとして、トランス‐レチノール、1,3‐シス‐レチノール、11‐シス‐レチノール、9‐シス‐レチノール、および3,4‐ジデヒドロレチノール、ビタミンCおよびその誘導体、ビタミンB、ビタミンB、プロビタミンB、パンテノール、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、およびパントテン酸が挙げられる。他の好適なビタミンおよびここに含まれると考えられるビタミンのINCI名称としては、アスコルビルジパルミテート、アスコルビルメチルシラノールペクチン、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムが挙げられる。
【0058】
注目すべきは、レチノールは、ビタミンAの化粧品工業会(CTFA、米国ワシントンDC地区)が指定する化粧品原料の国際命名法(INCI)の名称である。他の適するビタミンおよびここで含まれると考えられるINCI名称として、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルプロピオネート、α‐トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセテート、トコフェリルリノレレート、トコフェリルニコチネート、およびトコフェリルスクシネートが挙げられる。
【0059】
ここでの使用に適する市販品のいくつかの例には、ビタミンAアセテートおよびビタミンC〔いずれもFluka Chemie AG.(スイス国ブックス)の商品〕;COVI−OX T−50〔ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)のビタミンE製品〕;COVI−OX T−70〔ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)の他のビタミンE製品〕;およびビタミンEアセテート〔Rocheビタミン&ファインケミカル(米国ニュージャージー州ナトリー)の製品〕がある。
【0060】
本発明の方法において使用することができる活性成分は、活性薬剤成分であってよい。使用することができるいくつかの好適な活性薬剤成分の代表的な例は、ヒドロコルチゾン、ケトプロフェン、チモロール、ピロカルピン、アドリアマイシン、マイトマイシンC、モルヒネ、ヒドロモルフォン、ジルチアゼム、テオフィリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ヘパリン、ペニシリンG、カルベニシリン、セファロチン、セホキシチン、セフォタキシム、5-フルオロウラシル、シタラビン、6-アザウリジン、6-チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、アウロチオグルコース、スラミン、メベンダゾール、クロニジン、スコポラミン、プロプラノロール、フェニルプロパノラミン塩酸塩、ウアベイン、アトロピン、ハロペリドール、イソソルビド、ニトログリセリン、イブプロフェン、ユビキノン、インドメタシン、プロスタグランジン、ナプロキセン、サルブタモール、グアナベンズ、ラベタロール、フェニラミン、メトリホネート、およびステロイド類である。
【0061】
本発明の目的のためにここで活性薬剤成分として含むことが想定されるものは、抗座瘡剤(例えば、過酸化ベンゾイルおよびトレチノインなど);抗菌物質(例えば、クロロヘキサジエングルコネートなど);抗真菌剤(例えば、硝酸ミコナゾールなど);抗炎症剤、コルチコステロイド剤;非ステロイド抗炎症性剤(例えば、ジクロフェナクなど);抗乾癬剤(例えば、プロピオン酸クロベタゾールなど);麻酔剤(例えば、リドカインなど);抗掻痒剤;抗皮膚炎剤;およびバリア膜と一般に考えられている薬剤である。
【0062】
本発明の活性剤E)は、タンパク質、例えば酵素であってよい。これらの組成物において酵素を内部に含ませることは、酵素が不活性化されることを避け、酵素の生物活性効果をより長い時間維持するために有利である。酵素には、これらだけに限られないが、商業的に入手可能な種類のもの、改良型、組換え型、野生型、天然には存在しない変種、およびこれらの混合物が含まれる。例えば、好適な酵素には、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、還元酵素、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼおよびこれらの混合物が含まれる。ヒドロラーゼには、これらだけに限られないが、プロテアーゼ(バクテリア、菌類、酸、中性、あるいはアルカリ性)、アミラーゼ(アルファまたはベータ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびこれらの混合物が含まれる。プロテアーゼには、これらだけに限られないが、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチンおよび他の哺乳動物酵素類;パパイン、ブロメラインおよび他の植物酵素;サブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L-rhammnosidase)ウロキナーゼおよび他の細菌酵素が含まれる。リパーゼには、これらだけに限られないが、トリアシルグリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセリンリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ(例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の哺乳類、植物、バクテリアのリパーゼおよび精製されたリパーゼなど)が含まれる。天然のパパインは、酵素として好ましい。さらに、刺激ホルモン(例えば、インシュリン)を、これらの酵素と一緒に用いて、これらの効果を高めてもよい。
【0063】
成分E)は、サンスクリーン剤であってもよい。サンスクリーン剤は、太陽光への暴露の弊害から皮膚を保護するために当技術分野で知られている任意のサンスクリーン剤から選択することができる。サンスクリーン化合物は、典型的には、紫外線(UV)光を吸収する、有機化合物、無機化合物、またはこれらの混合物から選択される。したがって、サンスクリーン剤として使用可能な代表的な、制限されない例として、以下のものを挙げることができる:
アミノ安息香酸、シノキサート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、エチル4‐[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンとのローソン、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、レッドペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、およびトロラミンサリチレート、アセトアミノサロール、アラトインPABA(Allatoin PABA)、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1−12,3‐ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチレート、ボルネロン、ブメトリゾール(Bumetrizole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカ タルク、シノキサート、DEA‐メトキシシンナメート、ジベンゾオキサゾール ナフタレン(Dibenzoxazol Naphthalene)、ジ‐t‐ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレエート、ジイソプロピルメチルシンナメート、ジメチルPABAエチルセテアリールジモニウムトシレート、
ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナメート、エチルメトキシシンナメート、エチルPABA、エチルウロカネート、エトロクリレン(Etrocrylene)フェルラ酸、グリセリルオクタノエートジメトキシシンナメート、グリセリルPABA、グリコールサリチレート、ホモサレート、イソアミルp‐メトキシシンナメート、イソプロピルベンジルサリチレート、イソプロピルベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メンチルアントラニレート、メンチルサリチレート、4−メチルベンジリデン、カンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクチルトリアゾン、PABA (p‐アミノ安息香酸)、PABA、PEG−25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、レッドペトロラタム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、TEA‐フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、TEA‐サリチレート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、およびVA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン‐1コポリマー。
【0064】
これらのサンスクリーン剤は、1種であっても2種以上の組合せであってもよい。
【0065】
あるいは、サンスクリーン剤は、シンナメートをベースとする有機化合物であり、あるいはサンスクリーン剤は、オクチルメトキシシンナメート、エチルヘキシルメトキシシンナメート〔例えば、Uvinul(登録商標)MC80(パラ‐メトキシケイ皮酸と2‐エチルヘキサノールとのエステル)など〕である。
【0066】
成分E)は、芳香剤または香料であってもよい。香料は、一般的に香料業界において用いられているいかなる香料または芳香活性成分であってもよい。これらの組成物は、典型的に、さまざまな化学種に属し、その種類は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アセテート類、亜硝酸塩類、テルペンの炭化水素類、ヘテロ環式窒素あるいは硫黄含有化合物、ならびに天然または合成由来のエッセンシャルオイルにわたる。これらの香料成分の多くは、標準的な参考文献、例えば、Perfume and Flavour Chemicals, 1969, S. Arctander, Montclair, New Jerseyなどに詳細に記載されている。
【0067】
芳香剤は、これらだけに限られないが、香料ケトンおよび香料アルデヒドによって例示される。香料ケトンの実例は、ブッコキシム;イソジャスモン;メチルベータナフチルケトン;ムスクインダノン;トナリド/ムスクプラス;アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、デルタ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマスセノン、ダマローズ、メチル-ジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、アルファ-ロノン、ベータ-ロノン、ガンマ-メチルロノン、フラモン、ジヒドロジャスモン、シス形ジャスモン、イソ-E-スーパー、メチル-セドレニル-ケトンまたはメチル-セドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-ベータ-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトンもしくはリブスコン、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメント、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,-テトラメチル-シクロヘキサノン、メチルヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルナン、6,7-ジヒドロー-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、4-ダマスコル、ダルシニル(Dulcinyl)もしくはカシオン(Cassione)、ゲルソン、ヘキサロン、イソシクレモンE、メチルシクロシトロン、メチル-ラベンダー-ケトン、オリボン、パラ-第三級ブチル-シクロヘキサノン、ベルドン、デルフォン、ムスコン、ネオブテノン、プリカトン、ベロウトン、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、およびテトラメランである。
【0068】
より好ましくは、香料ケトンは、アルファダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、カルボン、ガンマ-メチル-ロノン、イソ-e-スーパー、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、ベンジルアセトン、ベータダマスコン、ダマスセノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルセドリロン、およびこれらの混合物から、その芳香特性のために選択される。
【0069】
好ましくは、香料アルデヒドは、アドキサール;アニスアルデヒド;シマール;エチルバニリン;フロヒドラル;ヘリオナール;ヘリオトロピン;ヒドロキシシトロネラール;コアボン;ラウリン酸アルデヒド;リーラル;メチルノニルアセトアルデヒド;P. T.ブシナール;フェニルアセトアルデヒド;ウンデシレンアルデヒド;バニリン;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、3-ドデセン-1-アール、アルファ-n-アミルシンナムアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2(1)-シクロヘキセン-1-イル)ブタナール、3-フェニル-2-プロペナール、シス/トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-アール、[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド、2-メチル-3-(イソプロピルフェニル)プロパナール、1-デカナール;デシルアルデヒド、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]-デシリデン-8)-ブタナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンカルボキサルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ-エチル-アルファ,アルファ-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、アルファ-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)-ヒドロシンナムアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、アルファ-n-ヘキシル経皮アルデヒド、m-シメン-7-カルボキサルデヒド、アルファ-メチル-フェニル-アセトアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド、4-(3)(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-カルボキサルデヒド、1-ドデカナール、2,4-ジメチル-シクロヘキセン-3-カルボキサルデヒド、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール、2-メチルウンデカナール、2-メチルデカナール、1-ノナナール、1-オクタナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチル)プロパナール、ジヒドロシンナムアルデヒド、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、5-または6-メトキシル-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-もしくは2-カルボキシアルデヒド、3,7-ジメチルオクタン-1-アール、1-ウンデカナール、10-ウンデセン-1-アール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、1-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、trans-4-デセナール、2,6-ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、オルトメトキシシンナムアルデヒド、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセンカルボキサルデヒド、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、シャクヤクアルデヒド(6,10-ジメチル-3-オキサ-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-カルボキサルデヒド、2-メチルオクタナール、アルファ-メチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6-ジメチル-2-ノルピネン-2-プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2-メチル-3-フェニル-2-プロペン-1-アール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、3-プロピル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタ-5-エン-2-カルバルデヒド、9-デセナール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、trans-2-ヘキセナール、1-p-メンテン-q-カルボキサルデヒド、およびこれらの混合物から、その芳香特性のために選択される。
【0070】
より好ましいアルデヒドは、1-デカナール、ベンズアルデヒド、フロヒドラル、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド;シス/トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール;ヘリオトロピン;2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド;2,6-ノナジエナール;アルファ-n-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-n-ヘキシルシンナムアルデヒド、P.T.ブシナール、リーラル、シマール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、trans-2-ヘキセナール、およびこれらの混合物から、その芳香特性のために選択される。
【0071】
香料成分の上記リストのうち、一部は当分野で従来知られている商業名であり、異性体をも含む。このような異性体も、本発明の使用に適している。
【0072】
成分E)は、1種以上の植物抽出物であってもよい。これらの成分の例は、以下のとおりである:アシタバ抽出物、アボカド抽出物、アジサイ抽出物、ムクゲ抽出物、アルニカ抽出物、アロエ抽出物、アプリコット抽出物、キョウニン抽出物、イチョウの抽出物、ウイキョウ抽出物、ウコン[Curcuma]抽出物、ウーロン茶抽出物、バラの実抽出物、エキナシア抽出物、オウゴン抽出物およびPhellodendro樹皮抽出物、日本のオウレン抽出物、大麦抽出物、Hyperium抽出物、白イラクサ抽出物およびオランダガラシ抽出物、オレンジ抽出物、乾燥させた海水、海藻抽出物、加水分解エラスチン、加水分解小麦パウダー、加水分解シルク、カミツレ抽出物、ニンジン抽出物、ヨモギ抽出物、カンゾウ抽出物、ハイビスカス茶抽出物、火棘(Pyracantha Fortuneana)の実の抽出物、キーウィ抽出物、キナ皮抽出物、キュウリ抽出物、グアノシン、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、クジン抽出物、クルミ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレマチス抽出物、クロレラエキス、クワ抽出物、ゲンチアナエキス、紅茶抽出物、酵母エキス、ゴボウ抽出物、米糠酵母抽出物、コメ胚芽油、コンフリー抽出物、コラーゲン、コケモモ抽出物、クチナシ抽出物、サイシン抽出物、ミシマサイコ族の抽出物、臍帯抽出物、サルビア抽出物、サボンソウ抽出物、竹エキス、サンザシの実抽出物、サンショウの実抽出物、椎茸抽出物、ジオウ抽出物、
ムラサキ抽出物、シソ抽出物、シナノキ抽出物、フィリペンデュラ抽出物、シャクヤク抽出物、ショウブ根抽出物、シラカバ抽出物、トクサ抽出物、ヘデラヘリックス(ツタ)抽出物、サンザシ抽出物、ニワトコ黒質抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、セージ抽出物、ゼニアオイ抽出物、センキュウの根抽出物、日本の緑のゲンチアナ抽出物、大豆抽出物、タイソウ抽出物、タイムエキス、茶エキス、ショウコウ抽出物、イネ科白茅抽出物、チンピの抽出物、日本のアンゼリカ根抽出物、キンセンカ抽出物、トウニン抽出物、トウヒ抽出物、ドクダミ抽出物、トマト抽出物、納豆抽出物、チョウセンニンジン抽出物、緑茶抽出物(camelliea sinesis)、ニンニクエキス、野バラ抽出物、ハイビスカスエキス、バクモンドウ抽出物、ハス抽出物、パセリ抽出物、ハチミツ、マンサク抽出物、パリエタリア抽出物、エンメイソウ抽出物、ビサボロール抽出物、ビワ抽出物、カントウ抽出物、フキ抽出物、ブクリョウ抽出物、肉屋ほうき抽出物、ブドウ抽出物、プロポリスエキス、ヘチマ抽出物、紅花抽出物、ペパーミント抽出物、リンデン抽出物、シャクヤク抽出物、ホップ抽出物、松の木抽出物、マロニエ抽出物、ミズバショウ[Lysichiton camtschatcese]抽出物、ムクロジ皮抽出物、メリッサ抽出物、桃抽出物、ヤグルマギク抽出物、ユーカリ抽出物、雪の下抽出物、シトロン抽出物、ヨクイニン抽出物、ヨモギ抽出物、ラベンダー抽出物、りんご抽出物、レタス抽出物、レモンエキス、中国のレンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカミツレ抽出物、およびローヤルゼリー抽出物。
【0073】
シリコーンゲル組成物中に存在する成分E)の量は変化し得るが、典型的には次のように変動し得る;シリコーンゲル組成物中の成分A)、B)、C)およびD)の合計重量である、組成物中のシリコーンエラストマーゲルの重量に基づいて、
0.05から50重量%、あるいは1から25重量%、あるいは1から10重量%。
【0074】
活性成分である成分E)は、シリコーンゲル組成物に、シリコーンエラストマーを製造する際に添加する(前配合法)か、シリコーンエラストマーのゲルが形成された後に添加する(後配合法)かのいずれであってもよい。
【0075】
[シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルブレンドまたはペースト組成物]
本発明のゲル組成物を用いて、ゲルブレンドまたはペースト組成物を形成することができる。すなわち:
I)上述したシリコーン-有機エラストマーゲルをせん断にかけ、
II)せん断したシリコーン-有機エラストマーゲルを、
追加量の、ii)上述したキャリア液体、および
場合により、E)パーソナルケア用またはヘルスケア用活性成分
と混合することによって、ゲルペースト組成物を形成させることができる。
【0076】
本発明のシリコーン-有機エラストマーゲル組成物は、キャリア液体中に分散された不連続架橋シリコーン-有機エラストマーであると考えることができる。このシリコーン-有機エラストマーゲル組成物は、多くの有機液体およびシリコーン液体の効果的なレオロジー増粘剤でもある。したがって、これらを用いて、有用なゲルブレンド組成物、例えば「ペースト」組成物などを調製することができる。
【0077】
このようなシリコーン-有機エラストマーペーストを製造するために、既知の初期エラストマー含量の上記シリコーン-有機エラストマーゲルを、せん断にかけて小粒径のものを得、これを、場合によりさらに希釈して最終エラストマー含量にすることができる。本明細書において「せん断にかける」は、任意のせん断混合法、例えば、ホモジナイジング、ソノレーティング、またはせん断混合として当技術分野で知られているその他の混合法を指す。シリコーン-有機エラストマーゲル組成物をせん断混合すると、粒径が低減された組成物が得られる。その結果生じた粒径が低減された組成物を、その後、追加量のii)のキャリア液体とさらに混合する。典型的には、ゲルペーストを形成させるためにゲルに加えるキャリア液体の量は、30重量%、あるいは20重量%、あるいは10重量%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルペースト組成物を提供するに十分な量である。キャリア液体は、上述した任意のキャリア液体であってよいが、典型的には脂肪族炭化水素である。ii)のキャリア液体と、シリコーン-有機エラストマー組成物とを混合する技術は、典型的には、単純な攪拌または混合である。得られる組成物は、ブロックフィールドDVII+粘度計(ヘリパス付属品付)で、スピンドルT−D(20.4mmクロスバー)を用い、2.5rpmで測定して、少なくとも50Pa・秒、あるいは少なくとも100Pa・秒、あるいは200Pa・秒の粘度を有するペーストと考えられ得る。
【0078】
F)追加の任意成分
本発明の組成物は、多くの追加の成分を含むことができる。より詳細には、これらの追加の成分は、当分野でパーソナルケア配合物の成分となり得ることが知られている成分から選択される。例示的な、非限定的例には、界面活性剤、溶媒、パウダー、着色剤、増粘剤、ワックス、安定剤、pH調整剤、およびシリコーン類が含まれる。
【0079】
増粘剤は、都合のよい粘度を与えるために添加することができる。例えば、25℃で500〜25,000mm/秒、あるいは3,000〜7,000mm/秒の範囲の粘度が通常好ましい。好ましい増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、エトキシル化アルコール類(例えば、ラウレス-4またはポリエチレングリコール400など)、セルロース誘導体(メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースによって例示されるもの)、デンプン、ならびにデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロースおよびデンプンアミロースによって例示されるもの)、ローカストビーンガム、電解質(塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムによって例示されるもの)、単糖類(例えば、フルクトースおよびグルコースなど)、単糖類の誘導体(例えば、PEG−120メチルグルコースジオレートなど)、またはこれらの2種以上の混合物によって例示される。あるいは増粘剤は、セルロース誘導体、単糖類誘導体、電解質、または上記増粘剤の2種以上の組合せ(セルロース誘導体と任意の電解質との組合せ、デンプン誘導体と任意の電解質との組合せによって例示されるもの)から選択される。増粘剤は、本発明のシャンプー組成物中で500〜25,000mm/秒の最終的なシャンプー組成物の粘度をもたらすために十分な量で使用する。あるいは、増粘剤は、組成物の総重量に基づいて0.05重量%〜10重量%、あるいは0.05重量%〜5重量%の量で存在する。アクリレート誘導体、例えば、ポリアクリレートクロスポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、ポリアクリルアミド誘導体、ポリアクリル酸ナトリウムなどを添加することができる。
【0080】
安定剤は、組成物の水相中に用いることができる。好適な水相安定剤には、1種以上の電解質、ポリオール類、アルコール類(例えば、エチルアルコールなど)、および親水コロイドが、単独でまたは組み合わせで含まれ得る。典型的な電解質は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、とりわけナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩および硫酸塩、ならびにアルミニウムクロロハイドレードおよび高分子電解質、とりわけヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウムである。安定化剤が、電解質であるかまたはこれらを含む場合、その量は、総組成物の約0.1重量%〜5重量%、あるいは0.5重量%〜3重量%である。親水性コロイドには、ゴム(例えば、キサンタンガムまたはビーガムなど)および増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースなど)が含まれる。ポリオール類(例えば、グリセリン、グリコール、およびソルビトールなど)も使用することができる。別のポリオール類は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、およびブチレングリコールである。ポリオール類を大量に使用する場合、電解質を添加する必要はない。しかし、典型的には、電解質、ポリオール、および親水性コロイドの組合せ(例えば、硫酸マグネシウム、ブチレングリコール、およびキサンタンガム)を、水相を安定化するために使用する。
【0081】
その他の添加剤として、特に、本発明による組成物がメーキャップに使用される目的とする場合には、パウダーおよび顔料を挙げることができる。本発明のパウダー成分は通常乾燥した、0.02〜50ミクロンの粒径を有する粒子状物質として一般的に定義することができる。粒子状物質は着色されていても、または着色されていなくても(例えば白色であっても)よい。好適なパウダーは、以下に限定されないが、塩化酸化ビスマス、チタネート化雲母、ヒュームドシリカ、球状シリカビーズ、ポリメチルメタクリレートビーズ、窒化ボロン、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、カオリン、ナイロン、シルク粉末が挙げられる。上述のパウダーは、粒子に疎水性の性質を付与するために表面が処理されていてもよい。
パウダー成分は、種々の有機および無機顔料をも含む。パウダー顔料は、一般に、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、およびキサンチン染料を含む種々の芳香族型の顔料であり、それらはD&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イェローなどと指名されている。無機顔料は、一般に、認定色添加剤の不溶性金属塩からなり、レーキまたは酸化鉄と称される。粉末着色剤(例えば、カーボンブラック、酸化クロムまたは酸化鉄、ウルトラマリン、ピロリン酸マンガン、紺青、および二酸化チタンなど)、真珠光沢剤(通常、着色顔料との混合物として用いられるもの)、または有機染料(通常、着色顔料との混合物として用いられ、かつ化粧品産業で通例用いられるもの)を、組成物に加えることができる。一般に、これらの着色剤は、最終組成物の重量に対して0から20%の量で存在していてよい。
粉末無機または有機充填剤を、一般に、最終組成物の重量に対して0から40%の量で添加することができる。これら粉末充填剤は、タルク、雲母、カオリン、酸化亜鉛または酸化チタン、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウム、シリカ、球状二酸化チタン、ガラスまたはセラミックビーズ、8−22個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導される金属石鹸、非膨張性合成ポリマーパウダー、膨張性パウダー、および天然有機化合物(例えば、穀物デンプンなど、架橋されたかまたは架橋されていないもの)からのパウダー、コポリマーミクロスフェア〔例えば、EXANCEL(Nobel Industrie)〕、ポリトラップ(polytrap)、ならびにシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、トスパール、東芝製)から選択することができる。
【0082】
本発明の組成物に有用なワックスまたはワックス様材料は、通常大気圧で35から120℃の融点を有する。この範疇のワックスとして、合成ワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト、蜜ろう、カルナウバろう、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン、ラノリン誘導体、キャンデリラワックス、カカオ脂、セラックろう、鯨ろう、ぬかろう、カポックワックス(capok wax)、 サトウキビろう、モンタンワックス、鯨ろう、ヤマモモろう、またはこれらの混合物が挙げられる。非シリコーン系脂肪物質として用いることのできるワックスとしては、例えば蜜ろうなどの動物系ワックス;例えばカルナウバ、キャンデリラワックスなどの植物系ワックス;鉱物系ワックス、例としてはパラフィンもしくは亜炭ワックス、またはマイクロクリスタリンワックス、またはオゾケライト;合成系ワックス(例えば、ポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプシュ合成により得られたワックスを含む)を挙げることができる。シリコーンワックスとしては、ポリメチルシロキサンのアルキル類、アルコキシ類および/またはエステル類を有するものをあげることができる。
【0083】
このような任意成分には、他のシリコーン(上述した任意のシリコーンを含む)、有機官能性シロキサン、アルキルメチルシロキサン、シロキサン樹脂、およびシリコーンガムが含まれる。
【0084】
アルキルメチルシロキサンを、本発明の組成物に含ませることができる。このシロキサンポリマーは、通常、式:MeSiO[MeSiO][MeRSiO]SiMe(式中、Rは、6〜30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、Meはメチルを示し、かつ、重合度(DP)、すなわちyおよびzの合計は3〜50である)を有する。アルキルメチルシロキサンの揮発性および液状の両方の種を、前記組成物に用いることができる。フェニル官能性シロキサン〔例えば、Dow Corning(登録商標)556Fluidなど〕を添加することもできる。
【0085】
シリコーンガムを、本発明の組成物に含ませることができる。ポリジオルガノシロキサンガムは、当技術分野で知られており、市販されている。これらは、通常、25℃で1,000,000センチストーク(mm/秒)を超える粘度、好ましくは25℃で5,000,000センチストーク(mm/秒)を超える粘度を有する不溶性ポリジオルガノシロキサンからなる。これらのシリコーンガムは、典型的には、加工し易くするために、適する溶剤に既に分散された組成物として販売されている。超高粘度シリコーンを、任意成分として含めることもできる。これらの超高粘度シリコーンは、典型的には、25℃で5百万センチストーク(mm/秒)より高く、25℃で約2千万センチストーク(mm/秒)までである、動粘度を有する。このタイプの組成物は、懸濁液の形状で最も好ましく、例えば米国特許第6,013,682号(2000年1月11日)に記載されている。
【0086】
シリコーン樹脂を、本発明の組成物に含ませることができる。これらの樹脂組成物は、一般に、高度に架橋したポリマー状シロキサンである。架橋は、三官能性および/または四官能性シランを、製造に用いる一官能性シランおよび/または二官能性シランに組み入れることによって得られる。好適なシリコーン樹脂を得るために必要とされる架橋の程度は、シリコーン樹脂の製造の際に組み入れるシランモノマー単位の種によってさまざまである。一般に、三官能性および四官能性シロキサンモノマー単位を十分なレベルで有し、したがって、乾燥させて剛性または硬質のフィルムとなるために十分なレベルの架橋を有する任意のシリコーンが、シリコーン樹脂として用いるために好適であると考えられる。本明細書において好適な市販のシリコーン樹脂は、一般に、低粘度揮発性シリコーン液体または非揮発性シリコーン液体中、未硬化の形態で市販されている。これらのシリコーン樹脂は、これらが硬化した樹脂状構造としてよりむしろ未硬化の形態で、本発明の組成物に組み入れるべきである。
【0087】
シリコーンカルビノール液体を、本発明の組成物に含ませることができる。これらの材料は、国際公開第2003/101412号に記載されており、一般に、置換ヒドロカルビル官能性シロキサン液体または樹脂として記述することができる。
【0088】
水溶性または水分酸性シリコーンポリエーテル組成物を、本発明の組成物に含ませることができる。これらは、ポリアルキレンオキシドシリコーンコポリマー、シリコーンポリ(オキシアルキレン)コポリマー、シリコーングリコールコポリマー、またはシリコーン界面活性剤としても知られている。これらは、線状の熊手型もしくはグラフト型材料、またはABA型〔式中、Bはシロキサンポリマーブロックであり、Aはポリ(オキシアルキレン)基である〕であり得る。ポリ(オキシアルキレン)基は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、または混合ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド基からなっていてよい。その他のオキシド類、例えばブチレンオキシドまたはフェニレンオキシドなども可能である。
【0089】
本発明による組成物は、シリコーン乳化剤を用いて、油中水、シリコーン中水、または多相のエマルジョンの形で供給され得る。典型的には、このような配合物中のシリコーン中水用乳化剤は、非イオン系であり、ポリオキシアルキレン置換シリコーン(熊手型もしくはABn型)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、およびシリコーングリコシドから選ばれる。適するシリコーンベースの界面活性剤は、当技術分野では周知であり、例えば米国特許第4,122,029号(ジィー他)、米国特許第5,387,417号(Rentsch)、および米国特許第5,811,487号(シュルツ他)、特開2001−294512号に記載されている。
【0090】
本発明による組成物が水中油型エマルジョンである場合には、エマルジョンの製造に一般的に用いられる通常の成分、例えば以下に限定されないが、水中油エマルジョンの製造に当技術分野で周知の非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤の例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシ化トリメチルノナノール、およびポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。
【0091】
本発明の組成物は、噴霧ガスと組み合わせたエアロゾルの形態であってもよい。噴霧ガスは、例えば、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、揮発性炭化水素(例えば、ブタン、イソブタン、またはプロパンなど)、塩素化またはフッ素化炭化水素(例えば、ジクロロジフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタンなど)、およびジメチルエーテルなどである。
【0092】
シリコーンエラストマーゲル組成物は、さまざまなパーソナル用、家庭用、およびヘルスケア用の用途に用いることができる。より詳細には、本発明の組成物は、増粘剤として(米国特許第6,051,216号、同第5,919,441号、および同第5,981,680号に記載されている);構造用オイルに(国際公開第2004/060271号および同2004/060101に記載されている);サンスクリーン組成物に(国際公開第2004/060276号に記載されている);フィルム形成性樹脂をさらに含有する化粧品組成物中の構造化剤として(国際公開第03/105801号に記載されている);化粧品組成物中に(米国特許出願公開第2003/0235553号、同第2003/0072730号、同第2003/0170188号、欧州特許第1,266,647号、同1,266,648第号、同第1,266,653号、国際公開第03/105789号、同第2004/000247号、および同第03/106614号に記載されている);構造化剤として(国際公開第2004/054523号に記載されている);耐用期間の長い化粧品組成物に(米国特許出願公開第2004/0180032号に記載されている);透明または半透明ケアおよび/またはメークアップ組成物に(国際公開第2004/054524号に記載されている)、使用することができる。これらの文献全てを、参照により本明細書に組み込む。
【0093】
シリコーンエラストマーゲルは、これらだけに限定されないが、棒状、柔らかい固体、回転塗布式、エアロゾル、およびポンプスプレーの形態で、制汗およびデオドラント組成物に用いることができる。制汗剤およびデオドラント剤のいくつかの例として、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPEG、アルミニウムクロロヒドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPG、アルミニウムクロロヒドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドラート、アルミニウムクロロヒドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロヒドレート、炭酸水素ナトリウム、アルミニウムセスキクロロヒドレックスPEG、クロロフィリン−銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドレート、およびリシノール酸亜鉛が挙げられる。
【0094】
本発明のパーソナルケア組成物は、クリーム、ゲル、パウダー、ペースト、または自由に注ぐことができる液体の形態であってよい。一般に、このような組成物は、室温で組成物中に固体物質が全く存在しない場合には、単純なプロペラミキサー、Brookfield逆回転ミキサー、またはホモジナイジングミキサーを使用して室温で調製することができる。典型的には、特殊な装置または加工条件は全く必要とされない。製造する形態のタイプに応じて調製方法はさまざまであるが、そのような方法は当分野で周知である。
【0095】
本発明による組成物は、標準的な方法、例えば人体、例として皮膚または毛に、塗布器、ブラシ、手による適用、注ぐ方法、および/または、場合により組成物を体の外または内に塗るかあるいはマッサージするなどの方法によって用いることができる。除去方法、例えばカラー化粧品の除去方法も、よく知られている標準方法であり、洗浄、ふき取り、剥がすなどの工程を含む。皮膚上の使用については、本発明による組成物は、例えば皮膚のコンディショニングなどの従来からの方法で用いられ得る。組成物のその目的のための有効量を、皮膚に適用する。その有効量は、通常約1mg/cmから約3mg/cmまでの範囲である。皮膚への適用は、典型的には、組成物を皮膚内に作用させる工程を含む。この皮膚への適用方法は、皮膚を有効量の組成物に接触させる工程、および、その後組成物を皮膚に塗り込む工程を含む。これらの工程は、望ましい利益を実現するため必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0096】
本発明による組成物のヘアへの使用には、ヘアのコンディショニングするための従来からの方法を用いることができる。ヘアをコンディショニングするための有効量を、ヘアに適用する。そのような有効量は、通常、約1gから50g、好ましくは約1gから約20gまでの範囲である。ヘアへの適用は、典型的には、ほとんどまたはすべてのヘアが組成物に接触するように組成物をヘア全体に作用させる工程を含む。ヘアのコンディショニング方法は、有効量のヘアケア組成物をヘアに適用する工程、および、その後組成物をヘア全体に作用させる工程を含む。これらの工程は、好ましいコンディショニングによる利益を実現するため必要に応じて何度でも繰り返すことができる。シリコーンの高含量を本発明によるヘアケア組成物に組み込む場合には、組成物は、枝毛用ヘア製品用に有用な材料となり得る。
【0097】
本発明による組成物は人間または動物の皮膚に、例えば保湿、着色、または全体的な外見の改善のために、あるいは、活性成分、例えば日焼け止め剤、デオドラント剤、虫よけなどを適用するために、用いることができる。
【実施例】
【0098】
これらの実施例は、本発明を当業者に例証することを意図するものであり、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。すべての測定および実験は、別段の指示がない限り23℃で行った。
[材料]
オルガノ水素シロキサン1=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
〔式中、xおよびyは、オルガノ水素シロキサンが、23℃で116mm/秒(cSt)の粘度を有し、0.084重量%のHをSiHとして含有するような値である〕
を有するジメチル-メチル水素ポリシロキサン。
オルガノ水素シロキサン2=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
〔式中、xおよびyは、オルガノ水素シロキサンが、23℃で67(cSt)の粘度を有し、0.15重量%のHをSiHとして含有するような値である〕
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサン。
オルガノビニルシロキサン=平均式:
(ViMeSiO0.5(MeSiO)
(式中、xは、オルガノビニルシロキサンが、23℃で5mm/秒(cSt)の粘度を有するような値である)
を有するビニル末端ジメチルポリシロキサン。
ポリアルキルオキシレン:1個もしくは2個のいずれかの末端アリル基と、さまざまな量のプロピレンもしくはエチレンオキシド単位とを有するポリアルキルオキシレン。
これらを、下記表にまとめるように、これらの実施例で使用した。
【化2】

ジ-アリル官能性ポリアルキレンオキシドは、相当するOH末端ポリアルキレンオキシドから、NaHを用いる反応によってアルコキシドを形成させ、次いで、アリルクロライドと反応させて、アリル末端ポリエーテルを形成させることによって製造した。あるいは、ジ-アリル官能性ポリアルキレンオキシドは、商業的に購入することができる。
【0099】
[実施例1]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの製造〕
最初に、42.40g(SiH35.5ミリモル)のオルガノ水素シロキサン1、9.83gのポリアルキルオキシレン1、および194gのイソドデカンを、テフロン(登録商標)コーティングされた攪拌バーを有する16オンス広口ジャーに秤り入れた。次いで、ジャーをシールし、湯浴またはオーブンのいずれかを用いて70℃に加熱した。このジャーを加熱から外し、次いで、攪拌しながら、0.6gのSYLOFF4000触媒(0.52重量%白金)を添加して、白金の濃度を12ppmにした。ジャーに栓をし、70℃の湯浴に入れ、反応混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。混合物を、湯浴またはオーブンのいずれかでさらに3時間70℃に維持して、21.1%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルを得た。
【0100】
異なるプロピレンオキシド単位の含量(17.3または34.6)を有するポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマー含有ゲルを、上述した手順を用いて合成した。これらのゲル組成物の製造に用いた配合を、表1にまとめる。
【0101】
【表1】

【0102】
[実施例2(比較)]
〔ヘキサジエン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの製造〕
最初に、50.32g(SiH42.2ミリモル)のオルガノ水素シロキサン1、1.88g(46.3m当量不飽和)の1,5‐ヘキサジエン、および194gのイソドデカンを、攪拌バーを有する16オンス広口ジャーに秤り入れた。8.5%過剰のオレフィン(Si−H:Vi=0.92)は、残余のSi‐Hの量を最少化することを意図した。ジャーをシールした後、オーブン内で70℃に加熱した。ジャーを加熱から外した後、攪拌しながら、0.6gのSYLOFF4000触媒(0.52重量%白金)を添加した。これにより、混合物に最高で12ppmまでの白金がもたらされた。ジャーに栓をした後、70℃の湯浴に入れ、反応混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。混合物を、オーブン内で70℃にて3時間維持して、21.1%のエラストマーを含有するゲルを形成させた。
【0103】
[実施例3]
〔エラストマーゲルからのゲルペーストの製法〕
実施例1および実施例2で製造したエラストマーゲルを、高せん断混合を用いてゲルペーストに製造した。このせん断工程は、表2〜5に示したペーストを製造するために、イソドデカン、オルガノビニルシロキサン、およびオクチルメトキシシンナメート(OMC)を添加する工程を含んでいた。表2の材料を、ワーリング・コマーシャル・ラボラトリー・ブレンダーでせん断にかけた。せん断工程1では、ゲルを設定1で20秒、次いで設定3で20秒、次いで設定5で20秒せん断した。イソドデカンおよびオルガノビニルシロキサンを加え、次いで、次の設定:1、2、3、3でそれぞれ30秒せん断した。各設定の間に、材料を、スパチュラを用いて混合カップの側面からこすりとった。三番目のせん断工程前に、追加のイソドデカンおよびオクチルメトキシシンナメートを表2に従って加え、次いで、次の設定:1、1、1でそれぞれ20秒せん断した。各設定の間に、材料を混合カップの側面からこすりとった。表3〜5の材料は、FlackTek社から購入したハウスチャイルド・スピード・ミキサー・モデルDAC150FVZを用いてせん断した。最初のせん断工程では、ゲルを、最大設定(約3500rpm)で25秒間せん断した。イソドデカンおよびオルガノビニルシロキサンを加え、次いで、最大設定で25秒間せん断した。追加のイソドデカンおよびオクチルメトキシシンナメートを加え、材料を、最大設定で25秒間せん断した。表6の材料は、2つの剪断工程を25秒間ではなく30秒間継続させたこと以外は、表3〜5の方法と同じ方法で加工した。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
[実施例4]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの、オクチルメトキシシンナメートとの相溶性〕
シリコーン-有機エラストマーゲルの有機相溶性は、この実施例において実証されたとおり、ポリプロピレングリコール(PPG)架橋剤の重合度(DP)を増加させることにより改良することができる。同じオルガノ水素シロキサンを用いる場合、ポリアルコキシレン中のプロピレンオキシド単位の数を増やすと、エラストマー性成分中の有機含量および有機相溶性が高くなる。これは、シリコーン-有機エラストマーゲルに限られた溶解性しか有さないことが知られている有機サンスクリーン剤であるオクチルメトキシシンナメートを用いる本実施例で実証したとおりである。表7にまとめたとおり、シリコーン-有機エラストマーのオクチルメトキシシンナメートとの相溶性は、透明度に基づく、プロピレンオキシドの含量が(DPすなわち重合度、すなわちプロピレンオキシド単位数によって示されるとおりに)増加するにしたがって高くなる。
【0110】
粘度変化も、相溶性の指標を提供する。表8で示したとおり、ヘキサジエン架橋エラストマーペースト中では、オクチルメトキシシンナメートの濃度が高くなるにつれて粘度が低下するのに対し、ポリプロピレングリコール架橋エラストマーペースト中では、粘度が保持されるかまたは増加した。粘度は、ブルックフィールドDV−II+レオメーターで、ヘリパス付属品およびT−Dスピンドル(t−バー-ジオメートリ)を用いて、2.5RPMで測定した。粘度は、サンプルを合成した1日後に測定した。サンプルは、真空脱気し、試験前に最低4時間静置した。データは、サンプルを通過させるダウン・アップの二サイクル中に得た。報告した粘度は、サンプルを通過するt‐バーの最初の上方向への通過および二番目の下方向への通過の平均であった。
【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
[実施例5]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマー含有ゲルペーストの、各種パーソナル成分との相溶性〕
表9に、ポリプロピレングリコール架橋剤に基づくシリコーン-有機エラストマーゲルペーストであって、各種のパーソナルケア成分を15重量%添加レベルで配合したペーストを、ヘキサジエン架橋剤に基づくシリコーン-有機エラストマーゲルペーストの場合と比較する相溶性データをまとめる。相溶性は、外観(透明性および均質性)と、増粘挙動との両方の評価に基づいている。表10は、同様の相溶性試験であるが、25重量%活性成分を用いた試験を示す。これらの表でまとめたとおり、相溶性は、ポリプロピレングリコールをエラストマーに組み込むことにより改善された。
【0114】
【表9】

【0115】
【表10】

【0116】
[実施例6]
〔ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーを含有するゲルの感覚的挙動〕
純粋(neat)なエラストマーゲルペーストの感覚的美観を、訓練されたベテラン感覚パネリストにより評価した。得られた感覚的データを、チャート1および2に示す。これらの図は、ポリアルキルオキシレン架橋シリコーン-有機エラストマーペースト(ペースト2A)と、ヘキサジエン架橋シリコーン-有機エラストマーペーストとの感覚的美観を比較している。この結果から、感覚的プロフィルは類似していることが明らかとなった。
【0117】
【化3】

【0118】
[実施例7]
本実施例では、架橋疎水性シリコーンエラストマーブレンドを、側鎖(pendant)疎水性ポリ(プロピレンオキシド)基を架橋シリコーンネットワークに導入することによって製造する。
[材料]
オルガノ水素シロキサン3=平均式:
(CHSiO[(CHSiO][(CH)HSiO]Si(CH
(式中、x=3.54であり、y=6.29であり、オルガノ水素シロキサンが、0.0790重量%のHをSiHとして含有する)
を有するジメチル・メチル水素ポリシロキサン。
オルガノビニルシロキサン2=式:
(ViMeSiO0.50.31(MeSiO)0.960(SiO0.87
のおよそのモル分率組成を有するわずかに分岐したビニル末端シロキサン。
ポリオキシアルキレン4=平均構造:
CH=CHCHO(CHCH(CH)O)28.7(CHCH
を有するモノアリル末端ポリ(プロピレンオキシド)。
白金触媒溶液=イソドデカン中のKarstedt触媒としての1.25重量%の白金。
最初に、1.96g(SiH15.4ミリモル)のオルガノ水素シロキサン3、30.41g(12.8m当量不飽和)のオルガノビニルシロキサン2、7.61g(4.28m当量不飽和)のポリアルコキシレン4、182.23gのイソドデカン、および170マイクロリットルの白金触媒溶液を秤量し、テフロン(登録商標)コーティングされた攪拌バーを有する8オンス広口ジャーに秤り入れた。ジャーに栓をし、70℃の湯浴中に3時間置いた。混合物がゲル化するまで攪拌を続けた。この結果、イソドデカン中18.0重量%のシリコーン-有機エラストマーを含有するゲルが得られた。このゲルを、その後、せん断にかけてペーストを形成させ、追加のイソドデカンで希釈して、16重量%のエラストマーを有するペーストを形成させた。少量のビニル官能性シロキサンおよびトリフェニルホスフィンを、せん断工程中に、残余のSiHを除去し、残余の白金を阻害するために添加した。最終的なエラストマーは、ブルックフィールドDV−II+レオメーターで、ヘリパス付属品およびT−Dスピンドル(t−バー-ジオメートリ)を用いて、2.5RPMで測定して、202,000cPの粘度を有していた。試料の相溶性を、希釈したエラストマーと、25重量%のスクアラン、ひまわり油、またはオクチルメトキシシンナメートと混合することによって評価した。サンプルの相溶性を、視覚的に、透明性および粘度について評価した。ここでは、高い透明性および高い粘度を、改良された相溶性の指標とみなした。優れた相溶性は、スクアランおよびオクチルメトキシシンナメートについて観察され、試料は、わずかな曇りを示し、裏返しにしても容易に流れなかった。低い相溶性は、ひまわり油で観察され、試料は、不透明であり、流れ出るような液状であった。表10において、全体として、試料は、ヘキサジエン架橋エラストマーと比較して、有機添加剤との改良された相溶性を示した。
【0119】
[実施例8]
〔シリコーン-有機ゲルを含有するパーソナルケア用配合物〕
本開示の代表的なシリコーン-有機ゲルを含有するパーソナルケア用配合物を、本実施例において記述したとおりに調製した。これらの配合物中に用いたシリコーン-有機ペーストは、表6からのペースト2Aまたは2Bであった。あるいは、いずれもエラストマー成分に化学的に結合したポリ(プロピレンオキシド)を含有するシリコーン-有機ペースト(3A、3B、または3C)を含有する配合物を用いた。エラストマーブレンド3Aは、国際公開WO2007109240A2の実施例4に記載された化学によって製造した後、希釈し、せん断してイソドデカン中のペーストを得た。エラストマーブレンド3Bおよび3Cは、ゲルを製造するための実施例1に記載された化学によって製造した後、希釈し、せん断して、イソドデカン(3B)およびイソデシルネオペンタノエート(3C)中のペーストを得た。これらの有機相溶性エラストマーは、11%〜17%のエラストマーを、特定のキャリア液体中に含有していた。各場合において、エラストマーブレンドのエラストマー成分は、不飽和基を2個有するポリ(プロピレンオキシド)のヒドロシリル化によって得られた有機部分を18%〜44%含有していた。
【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【0122】
【表13】

【0123】
【表14】

【0124】
【表15】

【0125】
【表16】

【0126】
【表17】

【0127】
【表18】

【0128】
【表19】

【0129】
[実施例9]
本実施例は、本発明において現在興味が持たれているエラストマーブレンドで達成される優れた増粘効果を実証する。この実施例では、エラストマーをオクチルメトキシシンナメート(OMC)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、またはエタノールと混合して、指定した添加剤の25重量%の組み込みを実現する。本発明において現在興味が持たれているこれらの疎水性有機相溶性エラストマー(3A、4A、4B、および4C)は、いずれも、エラストマー成分に化学的に結合したポリ(プロピレンオキシド)を有する。これらのエラストマーブレンドを、Dow Corning Corporation社から市販されているドデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)中のシリコーンエラストマーブレンドであるDC9040と比較する。エラストマーブレンド4A、4B、および4Cは、ゲルを製造するための実施例1の化学にしたがって製造し、その後、希釈し、せん断してペーストを得た。エラストマーブレンド3Aは、実施例8に記載されている。有機相溶性エラストマーはいずれも、14〜17%のエラストマーを、指定したキャリア溶媒中に含有していた。各場合において、エラストマーブレンドのエラストマー成分は、不飽和基を2個有するポリ(プロピレンオキシド)のヒドロシリル化によって生じた29〜44%の有機部分を含有していた。下記表に示すように、市販のシリコーンエラストマーブレンドは、非相溶性であるか、あるいは様々な添加剤の25重量%添加によって有意な粘度低下を受けるかのいずれかである。これと対照的に、有機相溶性シリコーンエラストマーブレンド(3A、4A、4B、および4C)は、遙かに優れた相溶性を示し、DC9040より有意により高い粘度を保持した。
【0130】
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50Pa・秒の粘度を有する疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドを含むパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物。
【請求項2】
前記疎水性シリコーン-有機エラストマーゲルブレンドが、キャリア液体中に、2〜95重量%のシリコーン-有機エラストマーを含む、請求項1に記載のパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物。
【請求項3】
前記シリコーン-有機エラストマーが、
A)SiH含有オルガノポリシロキサン、
B)分子内に脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する有機化合物、および
C)ヒドロシリル化触媒
の反応生成物を含む、請求項2に記載のパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物。
【請求項4】
B)が、平均式:
O‐[(CO)(CO)]‐R
(式中、
は、2から12個の炭素原子を含む一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、
dは、0から100までであり、
eは、0から100までであり、
ただし、d+e>1である)
を含むポリオキシアルキレンである、請求項3に記載のパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物。
【請求項5】
E)パーソナルケア用またはヘルスケア用活性成分
をさらに含む、請求項3に記載のパーソナルケア用またはヘルスケア用組成物。
【請求項6】
前記パーソナルケア用活性成分が、ビタミン、サンスクリーン剤、植物抽出物、または香料から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヘルスケア用活性成分が、局所的な活性薬剤、タンパク質、酵素、抗真菌剤、または抗菌剤から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記パーソナルケア組成物が、カラー化粧品、口紅、ファンデーション、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘア固定剤、シャワーゲル、皮膚の保湿剤、皮膚のコンディショナー、ボディコンディショナー、日焼け防止製品、制汗剤、およびデオドラントから選択される、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−540550(P2010−540550A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527124(P2010−527124)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077591
【国際公開番号】WO2009/042732
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】