説明

疾患の処置および予防のための組成物および方法

本発明は、種々の新規な置換ジペプチド由来窒素含有複素環化合物、それらの医薬的に許容される塩誘導体、およびそれらの使用方法に関する。1つの態様では、本発明は、医薬的に許容される形態の本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における疾患の処置および予防のための方法および組成物に関する。特に、本発明は、種々の新規置換ジペプチド由来窒素含有複素環化合物および医薬的に許容される塩誘導体を含む医薬、およびマラリア疾患の処置および予防のための哺乳動物への投与のための方法に関する。本発明の化合物は所望により少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、別の生物学的活性薬剤またはその組み合わせとともに投与され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、米国仮特許出願第60/755,631号、2005年12月29日出願、名称「Compositions and Methods for Synthesizing Novel Heterocyclic Therapeutics」;米国仮特許出願第60/755,632号、2005年12月29日出願、名称「Compositions and Methods for Treatment and Prevention of Disease」;および米国仮特許出願第60/755,626号、2005年12月29日出願、名称「Compositions and Methods for the Inhibition of Phospholipase A2」(これらの全てはその全体を本明細書に参照により組み入れる)の恩恵を主張する。
【0002】
本発明は、米国非仮特許出願「Compositions and Methods for the Inhibition of Phospholipase A2」、2006年12月22日出願(速達番号:EV 902583388US)および「Compositions and Methods for Synthesizing Heterocyclic Therapeutic Compounds」、2006年12月22日出願(速達番号:EV 902583374US)(これらの両方はその全体を本明細書に参照により組み入れる)に関連する。
【0003】
発明の分野
本発明は、哺乳動物における疾患の処置および予防のための方法および組成物に関する。特に、本発明は、種々の新規置換ジペプチド由来窒素含有複素環化合物および医薬的に許容される塩誘導体を含む医薬に関する。本発明の化合物は所望により少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、別の生物学的活性薬剤またはその組み合わせとともに投与され得る。
【0004】
背景
世界人口の約40%はマラリアにかかる重大な危険が存在する地域に居住している。毎年3億〜5億の人々が急性マラリアに罹患し、そして50万〜250万人がこの疾患がもとで死亡する。世界の多くの地域でマラリアは広く根絶されているが、世界的な症例数は上昇し続けている。この驚くべき状況の最も重要な理由は、抗マラリア薬、特に断然最も頻繁に使用されているクロロキンに対して耐性のマラリア寄生体の急速な伝播である。
【0005】
新たな抗マラリア薬の研究および開発は、植民地政策の終焉、軍事従事地域の変化および限定された市場潜在性の故に、1970年代以降大部分が放置されている。現在、マラリア肝臓ステージ寄生体に対する薬物はほとんど利用可能でない。肝臓ステージ寄生体を産生するために必要な設定の技術的困難性、低収率および複雑さのために、いかなる新たな薬物もこれらのステージに対して系統的に評価されていない。それにもかかわらず、肝臓ステージは、a)それらがその血液ステージ対応物よりも複雑かつ明確な代謝を有しており、そしてb)それらが発症血液ステージに先行し、従ってマラリアに対する予防的可能性を提供するので、薬物標的化の強い潜在力である。従って、肝臓ステージに対する新たな薬物の評価は新たな治療の限界を提供する。
【0006】
更なる観察は、いくつかの抗マラリア化合物、例えばクロロキンが抗HIV−1活性も示すことである(例えば、Savarino A, Gennero L, Chen HC, Serrano D, Malavasi F, Boelaert JR, Sperber K. Anti-HIV effects of chloroquine: mechanisms of inhibition and spectrum of activity. AIDS 2001 Nov 23;15(17):2221-9; Savarino A, Gennero L, Sperber K, Boelaert JR. The anti-HIV-1 activity of chloroquine. J Clin Virol 2001 Feb;20(3):131-5を参照)。
【0007】
従って、マラリアの処置および/または予防に有利な臨床的有効性を示す新たな治療薬、ならびにHIV感染および/またはエイズの処置および/または予防に有用であり得る薬物に対する社会における必要性が存在する。
【0008】
発明の概要
本発明は、個体における疾患の処置および/または予防に有効である化合物および化合物の合成方法、および医薬的に許容されるその塩に関する。1つの態様では、本発明は、本発明の方法を使用して合成される、ジペプチド由来複素環化合物に関する。
【0009】
更なる態様では、本発明は、有効量の前記化合物を含む医薬組成物、および疾患の処置および/または予防のためにそれを必要とする個体へのその投与を含む治療方法に関する。
【0010】
本発明の更なる目的および利点は、以下の図面、詳細な説明、好ましい実施態様の例から明らかとなり、そしてそれらは本発明の範囲内に明示的に含まれる。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の化合物、組成物および方法を記載する場合、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有する。
【0012】
「医薬的に許容される塩」は、親化合物の生物学的有効性および特性を保持し、かつ投与される投与量で生物学的にまたはその他で有害でない塩を意味する。本発明の化合物は、それぞれアミノ基およびカルボキシ基の存在のために酸および塩基両方の塩を形成することができる。医薬的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製してもよい。無機塩基に由来する塩としては、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基に由来する塩としては、これらに限定されないが、一級、二級および三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、および環状アミン(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジンおよびN−エチルピペリジンを含む)の塩が挙げられる。本発明の実施において、他のカルボン酸誘導体、例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジ(低級アルキル)カルボキサミド等を含むカルボン酸アミドが有用であることも理解すべきである。
【0013】
医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製してもよい。無機酸に由来する塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸に由来する塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用する用語「処置」は、動物、特定すると哺乳動物、より特定するとヒトにおける状態または疾患の任意の処置を含み、そして以下を含む:
(i)疾患または状態を有すると未だ診断されていない被験体においてその疾患または状態が生じることの予防;
(ii)疾患または状態の阻止、すなわちその発達の停止;疾患または状態の軽減、すなわち状態の退行を引き起こすこと;または疾患によって引き起こされた状態、すなわち疾患の症状の軽減。
【0015】
用語「治療有効量」は、本明細書で定義する処置を必要とする哺乳動物に投与した場合に、処置をもたらすに十分な量を言う。治療有効量は、処置される被験体および疾患状態、苦痛の重篤度および投与方法に依存して変動し、そして当業者によって日常的に決定され得る。
【0016】
「複素環」は、4〜9個の炭素原子およびN、OまたはSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する複素環基を言う。
【0017】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基、1〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルケニル基、1〜6個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキニル基を言う。
【0018】
「ヒドロキシル」は、それが有機化合物における置換基である場合、官能基−OHを言う。
【0019】
「複素環基」は、所望により以下からなる群より選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換され得る:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、オキソ(=O)、および−SO−ヘテロアリール。該複素環基は、単一の環または多重縮合環を有することができる。好ましい複素環としては、モルホリノ、ピペリジニル等が挙げられる。
【0020】
窒素複素環およびヘテロアリールの例としては、これらに限定されないが、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル等、ならびにN−アルコキシ−窒素含有複素環が挙げられる。
【0021】
用語「チオール」は−SH基を言う。
【0022】
用語「チオアルコキシ」は−S−アルキル基を言う。
【0023】
「アミノ酸」は、アミノおよびカルボン酸両方の官能基を含む任意の分子を言い、そしてD、LまたはDL型の任意の天然のアミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびVal)を含む。天然のアミノ酸の側鎖は、当該分野において周知であり、そして例えば水素(例えばグリシンにおけるような)、アルキル(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンにおけるような)、置換アルキル(例えばスレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニンおよびリジンにおけるような)、アルカリール(例えばフェニルアラニンおよびトリプトファンにおけるような)、置換アリールアルキル(例えばチロシンにおけるような)、およびヘテロアリールアルキル(例えばヒスチジンにおけるような)が挙げられる。
【0024】
「アミジン」は、同じ炭素原子に結合した2つのアミン基を有し、1つの炭素―窒素二重結合を有する官能基を言う:HN=CR−NH”2。
【0025】
「アルコキシ」は、酸素に結合したアルキル基を言う。従って:R−O−、ここでRはアルキルである。
【0026】
「置換アルキル」は、1〜10個の炭素原子を有し、そしてヒドロキシル、メルカプト、カルビルメルカプト、ハロゲン、カルビルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、シクロアルキル、スルホまたはアシルからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された、分枝または非分枝アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を言う。これらの一般的な置換基は、本明細書で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0027】
「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素原子を言う。
【0028】
「アシル」は、−−C(O)R基を表し、ここでRは水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキルであり、これらの一般的な基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0029】
「アシルオキシ」は、−−OAc基を表し、ここでAcはアシル、置換アシル、ヘテロアシルまたは置換へテロアシルであり、これらの一般的な基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0030】
「アルキルアミノ」は、−−NR基を表し、ここでRおよびRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールを表し、これらの一般的な置換基は、本明細書で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0031】
「アリール」は、1〜18個の炭素原子を有し、そして少なくとも1つの芳香族環、またはその少なくとも1つが芳香族である多重縮合環から構成される芳香族炭素環基を言う。
【0032】
「置換アリール」は、1〜18個の炭素原子を有し、そして少なくとも1つの芳香族環、またはその少なくとも1つが芳香族である多重縮合環から構成される芳香族炭素環基を言う。環は、所望により、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、カルビルメルカプト、アルキルアミノ、カルビルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、ニトロ、メルカプトまたはスルホからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換され、ここでこれらの一般的な置換基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0033】
「ヘテロアリール」は、4〜9個の炭素原子および、N、OまたはSからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、この基の少なくとも1つの環が芳香族である複素環基を言う。
【0034】
「置換ヘテロアリール」は、4〜9個の炭素原子および、N、OまたはSからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、この基の少なくとも1つの環が芳香族であり、そしてこの基が、ハロゲン、アルキル、カルビルオキシ、カルビルメルカプト、アルキルアミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、ニトロ、メルカプトまたはスルホからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された複素環基を言い、ここでこれらの一般的な置換基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0035】
「カルボキシル」は、−−C(O)OR基を表し、ここでRは水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換へテロアリールであり、これらの一般的な置換基は、本明細書において定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0036】
「シクロアルキル」は、3〜15個の炭素原子を含む単環式または多環式アルキル基を言う。
【0037】
「置換シクロアルキル」は、3〜15個の炭素原子を含み、そしてハロゲン、アルキル、置換アルキル、カルビルオキシ、カルビルメルカプト、アリール、ニトロ、メルカプトまたはスルホからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された単環式または多環式アルキル基を言い、ここでこれらの一般的な置換基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0038】
「ヘテロシクロアルキル」は、その環構造の少なくとも1つの環炭素原子が、N、O、SまたはPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換された、3〜15個の炭素原子を含む単環式または多環式アルキル基を言う。
【0039】
「置換へテロシクロアルキル」は、その環構造の少なくとも1つの環炭素原子が、N、O、SまたはPからなる群より選択されるヘテロ原子で置換され、そしてその基がハロゲン、アルキル、置換アルキル、カルビルオキシ、カルビルメルカプト、アリール、ニトロ、メルカプトまたはスルホからなる群より選択される1つ以上の置換基を含む3〜15個の炭素原子を含む単環式または多環式アルキル基を言い、ここでこれらの一般的な置換基は、この説明文で定義する対応する基の定義と同じ意味を有する。
【0040】
用語「アリール」は、単一の環(例えばフェニル)または多重縮合環を有する、6〜20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を言い、ここで少なくとも1つの環は芳香族である(例えばナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、またはアントリル)。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0041】
用語「アルケニル」は、好ましくは2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、更により好ましくは2〜6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝の不飽和炭化水素基のモノラジカルを言う。好ましいアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソ−プロペニル(−C(CH)=CH)等が挙げられる。
【0042】
「イミダゾール」は、一般式:Cの複素環塩基を言う。
【0043】
「アラルキル基」は、例えば、6〜10個の炭素原子を有する1または2個の芳香族炭化水素環に結合し、そして合計7〜14個の炭素原子を有するC1−C6アルキル基、例えばベンジル、α−ナフチルメチル、インデニルメチル、ジフェニルメチル、2−フェネチル、2−α−ナフチルエチル、3−フェニルプロピル、3−α−ナフチルプロピル、フェニルブチル、4−α−ナフチルブチルまたは5−フェニルペンチル基を言う。
【0044】
「グアニジン」は、一般的にアミドカルボン酸のアミジンを言い、そして以下の一般式を有する:C(NH
【0045】
用語「アラルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、それぞれ上記の定義によるアリールまたはヘテロアリールならびにアルキルおよび/またはヘテロアルキルおよび/または炭素環および/またはヘテロシクロアルキル環系の両方を含む基を言う。
【0046】
特定の態様では、本発明は、以下の一般式Iによって表される窒素含有複素環化合物に関する:
【化2】

【0047】
[式中、Wは、−C(R)(R5a)−;−C(R)(R6a)−C(R)(R7a)−;−C(R)=C(R)−;−N(R10)およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーであり;
【0048】
Xは、−N(R1a)C(=Y)N(R)−;−OC(=Y)N(R)−;−N(R1a)C(=Y)O−;−N(R1a)S(=O)N(R)−;−N(R1a)S(=O)N(R)−;−C(R1a)(R3a)C(=Y)N(R)−、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるメンバーであり;
【0049】
YおよびZは、各々互いに独立して、酸素(“O”)および硫黄(“S”)からなる群より選択されるメンバーを表し;そして
【0050】
、R1a、R、R、R3a、R、R、R5a、R、R6a、R、R7a、R、RおよびR10は、各々互いに独立して、以下からなる群より選択されるメンバーを表し:水素原子;アミノ酸側鎖;(C1−C10)アルキル;(C1−C10)アルケニル;(C1−C10)アルキニル;(C5−C12)単環式または二環式アリール;(C5−C14)単環式または二環式アラルキル;単環式または二環式(C5−C14)ヘテロアラルキル;およびN、O、SおよびPから選択される5個までのヘテロ原子を有する(C1−C10)単環式または二環式ヘテロアリール基、前記基は非置換であることができまたは以下からなる群より更に選択される1〜6個の置換基で置換されることができる:ハロゲン原子、NO、OH、アミジン、ベンズアミジン、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、アルコキシ、(C1−C4)、アミノ、ピペラジン、ピペリジン、ジアルキルアミノ、グアニジン基、ビスアルキル化またはビスアシル化グアニド基、カルボン酸、カルボキサミド、エステル、ヒドロキサム酸、ホスフィン酸、ホスホナート、ホスホンアミダート、スルフヒドリルおよびそれらの任意の組み合わせ]。
【0051】
任意の好ましい実施態様において、本発明の化合物は、上記の式によって表される、ジペプチド誘導体化複素環化合物の遊離塩基または酸形態、およびそれらの塩を含む。本発明はまた、上記の式によって表される化合物の光学異性体、アナログおよび誘導体も含む。本発明の更なる実施態様では、単一の調製工程から生じる鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物、組み合わせ、または相互変換が包含される。本発明のなお更なる実施態様では、式Iで表される化合物は、医薬的に許容される形態で含まれ、そして所望により少なくとも1つの他の成分、例えば適切な担体、賦形剤、別の医薬活性成分またはそれらの組み合わせを含む。
【0052】
本発明はまた、上記のアナログおよび誘導体のプロドラッグ形態を提供し、ここでプロドラッグはインビボで代謝されて、上記のようなアナログまたは誘導体を生じる。実際、上記のアナログまたは誘導体のいくつかは、別のアナログまたは誘導体のプロドラッグであり得る。
【0053】
用語「プロドラッグ」は当該分野においてよく理解されており、そして生物学的系において医薬活性化合物に変換される化合物を含む。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 1980, vol. 16, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 61 and 424を参照。
【0054】
本発明の別の態様では、上記の化合物を含む組成物が提供される。好ましくは、該組成物は、適切な担体または賦形剤を含めることによって、薬学的または農学的使用に適切であるように処方される。
【0055】
特定の態様では、記載する方法における中間体および所望の化合物を、有機合成化学において従来使用される精製方法、例えば中和、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶および種々の種類のクロマトグラフィーによって単離および精製することができる。中間体を、精製することなく次の反応に供してもよい。
【0056】
本発明は、互変異性体を含む全ての可能な異性体およびそれらの混合物をカバーする。キラル炭素が2つの異なる鏡像異性体を与える場合、両方の鏡像異性体、および2つの鏡像異性体を分離する手順が意図される。
【0057】
化合物の塩が所望され、そして化合物を所望の塩の形態で製造する場合、それ自体を精製に供することができる。化合物を遊離状態で製造し、そしてその塩が所望される場合、化合物を適切な有機溶媒に溶解または懸濁させ、続いて酸または塩基を付加して、塩を形成させる。
【0058】
他の態様では、本発明は、式Iの医薬的に許容される塩、ラセミ体、およびそれらの光学異性体を含む。本発明の化合物は、典型的には、1つ以上のキラル中心を含む。従って、本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー、鏡像異性体および1つ以上の立体異性体が濃縮された混合物を含むことを意図する。記載しそして請求する本発明の範囲は、化合物のラセミ形態ならびにその個々の鏡像異性体および非ラセミ混合物を包含する。
【0059】
本発明の更なる態様では、上記のアナログおよび誘導体ならびに組成物の使用のための方法が提供される。特定の実施態様では、該方法は、例えば以下の疾患または状態の処置および/または予防のための有効量の本発明の化合物の個体への投与を含む:癌、骨粗鬆症、喘息、自己免疫疾患、HIV、エイズ、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型インスリン依存性糖尿病、組織移植、マラリア、アフリカ睡眠病、シャーガス病、トキソプラズマ症、乾癬、再狭窄、美容抑制としての所望されない毛髪成長の阻害、副甲状腺機能亢進症、炎症、消化性潰瘍の処置、緑内障、アルツハイマー病、心房性頻脈の抑制、腸運動の刺激または阻害、クローン病および他の炎症性腸疾患、高血圧(血管拡張)、卒中、癲癇、不安、神経変性疾患、痛覚過敏状態、聴覚障害に対する保護(特に癌化学療法誘導性聴覚障害)、およびコカイン耽溺および過剰投与の処置におけるコカインの強化および欲求の薬理学的操作および他の真菌性、細菌性、ウイルス性および寄生性疾患。
【0060】
3次元空間において選択されたファルマコフォアを効率的に分布できる環式/多環式分子骨格のコンビナトリアルケミストリー技術による設計および合成は、生物学的プロセスを調節することができる小分子を同定し、そして生物学的経路を精査するために重要な方法である。ペプチドに由来する小さなまたは中ぐらいの環を組み込んだ分子(例えば、2,5−ジケトピペラジン)は、容易な接近、ペプチド誘導体の化学的および立体化学的多様性、ならびに付加した操作から生じる増大した多様性の故に特に興味深い。
【0061】
治療投与
特定の態様では、本発明は、医薬的に許容される形態の本発明の化合物を含む治療用組成物を含む。更に別の好ましい実施態様では、本発明は、医薬的に許容される形態の本発明の化合物の有効量を投与することを含む、哺乳動物、例えばヒトにおける疾患の処置および/または予防のための方法を含む。本発明の化合物を、所望により、少なくとも1つの担体、賦形剤、別の生物学的活性薬剤またはそれらの任意の組み合わせと一緒に投与してもよい。
【0062】
適切な投与経路としては、経口、直腸、血管(vassal)、局所(眼球、頬側および舌下を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、硝子体内、静脈内、皮内、くも膜下腔内および硬膜外を含む)が挙げられる。好ましい投与経路は、臨床医師に公知の他の考慮すべき事項の中で、患者の状態、化合物の毒性および感染部位に依存する。
【0063】
特定の態様では、本発明は、約1重量%〜約100重量%の本発明の化合物を含む治療用組成物に関する。本発明の任意の実施態様において、治療用組成物は、単回一日投与量形態で投与してもよく、または2つ以上の単位投与量形態に分割してもよい。
【0064】
単位用量形態は、例えば、液体、ゲル、コーティング錠剤、錠剤、アンプル、バイアル、坐薬またはカプセルである。他の投与形態は、例えば液体、軟膏、クリーム、ペースト、泡沫剤、チンキ、ドロップ、噴霧剤、乳剤、懸濁液、分散液等である。例は、約0.05mg〜約1.0gの活性成分を含むカプセルである。単位用量形態は、例えば経口、経腸、非経口、静脈内、経鼻、肛門、舌下、吸入、膣、直腸等を含む、当業者に広く知られる任意の医薬的に許容される経路によって投与されることができる。
【0065】
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば従来の混合、顆粒化、コーティング、溶解または凍結乾燥プロセスによって調製される。
【0066】
好ましくは、活性成分の溶液、さらにまた、懸濁液または分散液、特に等張性の水性の溶液、分散液または懸濁液が使用され、例えば活性物質を単独でまたは担体、例えばマンニトールと一緒に含む凍結乾燥した組成物の場合、使用前にこれらを調製することが可能である。医薬組成物は滅菌されることができ、そして/または賦形剤、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、および/または乳化剤、溶解剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含むことができ、そしてそれ自体公知の方法で、例えば従来の溶解または凍結乾燥プロセスによって調製される。上記の溶液または懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンのような粘度上昇物質を含むことができる。
【0067】
医薬的に許容される形態としては、例えばゲル、ローション、噴霧剤、散剤、丸剤、錠剤、制御放出錠剤、徐放錠剤、速度制御放出錠剤、腸溶コーティング、乳剤、液体、塩、ペースト、ゼリー、エアロゾル、軟膏、カプセル、ゲルキャップまたは当業者に明らかとなる任意の他の適切な形態が挙げられる。
【0068】
油中懸濁液は、油成分として、注射の目的のために慣習的な植物、合成または半合成油を含む。言及し得る油は、特に、酸成分として、8〜22個、特に12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸を含む液体脂肪酸エステル、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、または対応する不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、ユール酸、ブラシジン酸またはリノール酸であり、適切であれば抗酸化剤、例えばビタミンE、β−カロチンまたは3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを添加する。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、6個以下の炭素原子を有し、そして一価または多価、例えば一価、二価または三価アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノール、またはそれらの異性体であるが、特にグリコールおよびグリセロールである。脂肪酸エステルは、それゆえ、例えば以下である:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、「Labrafil M 2375」(ポリオキシエチレングリセロールトリオレアート;Gattefosee, Parisから)、「Labrafil M 1944 CS」(アプリコット種油のアルコーリシスによって調製され、そしてグリセリドおよびポリエチレングリコールエステルで構成される不飽和ポリグリコール酸化グリセリド;Gattefosee, Parisから)、「Labrasol」(TCMのアルコーリシスによって調製され、そしてグリセリドおよびポリエチレングリコールエステルで構成される飽和ポリグリコール酸化グリセリド;Gattefosee, Parisから)および/または「Miglyol 812」(鎖長C〜C12の飽和脂肪酸のトリグリセリド;Huls Ag, Germanyから)、および特に植物油、例えば綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油、特にピーナッツ油。
【0069】
注射用組成物の調製は、例えばアンプルまたはバイアル中のビン詰めおよび容器の密閉のように、慣習的な方法で無菌条件下で行う。
【0070】
例えば、経口用途の医薬組成物は、活性成分を1つ以上の固形担体と合わせ、適切な場合、得られた混合物を顆粒化し、そして所望される場合、該混合物または顆粒を錠剤またはコーティング錠剤コアに加工することによって(適切であればさらなる賦形剤の添加によって)得ることができる。
【0071】
適切な担体は、特に、糖(例えば乳糖、スクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース調製物、および/またはリン酸カルシウム(例えばリン酸三カルシウム、またはリン酸水素カルシウム)のような充填剤、および更にデンプン(例えばトウモロコシ、コムギ、コメまたはジャガイモデンプン)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンのような結合剤、および/または、所望であれば、上記のデンプン、および更にカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸またはその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)のような崩壊剤である。更なる賦形剤は、特に、流動調節剤および潤滑剤、例えばサリチル酸、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコールまたはその誘導体である。
【0072】
コーティング錠剤コアには、適切であれば、胃液に耐性の適切なコーティングを提供することができ、使用されるコーティングはとりわけ、適切であれば、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタンを含む濃縮糖溶液、適切な有機溶媒または溶媒混合物中のコーティング溶液、または、胃液に耐性のコーティングの調製のためには、アセチルセルロースフタラートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートのような適切なセルロース調製物の溶液である。
【0073】
「制御放出」によって、例えば12時間または24時間投与形態を提供して、治療的に有益な血中レベル(しかし毒性レベルより低い)が、延長された期間にわたって維持されるように、治療活性化合物が、制御された速度でまたは特異的な部位(例えば腸)で、またはその両方で、調製物から放出されることが本発明の目的のために意味される。
【0074】
本明細書で使用する用語「速度制御ポリマー」は、インビボにおいて化合物の放出を遅延させることができる、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、または親水性ポリマーおよび/または疎水性ポリマーの混合物を含む。更に、同じポリマーの多くは、薬物、薬物懸濁液または薬物マトリックスの腸溶コーティングを作製するために利用され得る。過度の実験なしに所望の制御放出プロファイル(例えば薬物放出の速度および位置)を提供するように、コーティングの厚さ、透過性、および溶解特性を改変することは、当業者の技術の範囲内にある。
【0075】
本発明において使用する適切な制御放出ポリマーの例としては以下が挙げられる:ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース;ポリ(エチレン)オキシド;エチルセルロースおよびメチルセルロースのようなアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース;親水性セルロース誘導体;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;酢酸フタル酸セルロース;トリメリト酸酢酸セルロース;ポリビニルアセタートフタラート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート;ポリ(アルキルメタクリラート);およびポリ(酢酸ビニル)。他の適切な疎水性のポリマーとしては、アクリルまたはメタクリル酸エステル由来のポリマーまたはコポリマー、アクリルおよびメタクリル酸エステルのコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラックおよび硬化植物油が挙げられる。
【0076】
適正な放出キネティクスを確実にするために、本発明の制御放出調製物は約5〜75重量%、好ましくは約20〜50重量%、より好ましくは約30〜45重量%の制御放出ポリマーおよび約1〜40重量%、好ましくは約3〜25重量%の活性化合物を含む。本発明による制御放出調製物は、好ましくは希釈剤、潤滑剤および/または融解結合剤のような補助剤を含むことができる。好ましくは、賦形剤は、調製物の含水量を最小にするように選択される。好ましくは、調製物は抗酸化剤を含む。適切な希釈剤としては、微結晶性セルロース、乳糖、リン酸水素カルシウム、糖類および/またはそれらのいずれかの混合物のような医薬的に許容される不活性充填剤が挙げられる。希釈剤は、適切には水溶性希釈剤である。希釈剤の例としては、Avicel ph112, Avicel pH101 および Avicel pH102のような微結晶性セルロース;乳糖一水和物、無水乳糖およびPharmatose DCL 21のような乳糖;Emcompressのようなリン酸水素カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;およびグルコースが挙げられる。希釈剤は、圧縮特性に留意して特定の処方にマッチするように慎重に選択される。適切な潤滑剤(圧縮される粉末の流動性に作用する薬剤を含む)は、例えばAerosil 200のようなコロイド状二酸化ケイ素;タルク;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムである。適切な低温融解結合剤としては、PEG 6000のようなポリエチレングリコール;セトステアリルアルコール;セチルアルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンステアラート;ポロクサマーおよびワックスが挙げられる。
【0077】
制御放出調製物における安定性を改善するために、抗酸化化合物を含めることができる。適切な抗酸化剤としては、メタ重亜硫酸ナトリウム;α、βまたはδ−トコフェロールエステルおよびα−トコフェロールアセテートのようなトコフェロール;アスコルビン酸または医薬的に許容されるその塩;アスコルビン酸パルミチン酸エステル;没食子酸プロピル、Tenox PG、Tenox s-1のようなアルキルガレート;亜硫酸または医薬的に許容されるその塩;BHA;BHT;およびモノチオグリセロールが挙げられる。
【0078】
本発明による制御放出調製物は、好ましくは、化合物を制御放出ポリマーおよび補助賦形剤と混合し、続いて直接圧縮することによって製造することができる。調製物を製造するための他の方法としては、融解顆粒化が挙げられる。好ましい融解顆粒化技術としては、速度制御ポリマーおよび希釈剤と一緒の融解顆粒化および続く顆粒の圧縮、および速度制御ポリマーおよび希釈剤との後の混合および続く混合物の圧縮を伴う融解顆粒化が挙げられる。所望により、圧縮前に、容易に流動可能な均一な混合物が得られるまで混合物および/または顆粒を選別しそして/または補助剤と混合することができる。
【0079】
本発明による制御放出調製物の経口投与形態は、錠剤、コーティング錠剤、腸溶コーティング錠剤の形態であることができ、またはペレットまたはミニ錠剤の形態のように、多粒子化することができる。所望であれば、硬または軟ゼラチンカプセルのようなカプセルに多粒子を含めることができる。所望であれば、多粒子経口投与形態は、異なる制御放出インビトロおよび/またはインビボ放出プロファイルを有する、ペレットまたはミニ錠剤の少なくとも2つの集団の混合物を含むことができる。所望であれば、ペレットまたはミニ錠剤集団の1つは、従来の手段によって形成される多粒子のような、即時放出多粒子を含むことができる。
【0080】
所望であれば、本発明の制御放出マトリックス錠剤または多粒子を、更なる制御放出特性を提供するように、制御放出ポリマー層でコーティングすることができる。この制御放出層を形成するために使用することができる適切なポリマーとしては、上記で列挙する速度制御ポリマーが挙げられる。
【0081】
所望であれば、本発明による錠剤、ペレットまたはミニ錠剤に、光保護および/または化粧フィルムコーティング、例えばフィルム形成剤、色素、抗付着剤および可塑剤を提供することができる。フィルム形成剤は、迅速溶解構成物、例えば低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocel E5またはD14またはPharmacoat 606(Shin-Etsu)からなり得る。フィルムコーティングはまた、フィルムコーティング手順において慣習的な賦形剤、例えば光保護色素、例えば酸化鉄、または二酸化チタン、抗付着剤、例えばタルク、また適切な可塑剤、例えばPEG 400、PEG 6000、およびフタル酸ジエチルまたはクエン酸トリエチルを含んでもよい。
【0082】
本発明の制御放出ポリマーは、ヒドロゲルマトリックスからなり得る。例えば、化合物を、HPMCのような速度制御ポリマー、または湿潤時に膨潤してヒドロゲルを形成するポリマーの混合物を含む投与形態に圧縮することができる。この投与形態からの放出速度は、膨潤した錠剤塊からの拡散および経時的な錠剤表面の侵食の両方によって制御される。放出速度は、錠剤当たりのポリマーの量および使用するポリマーの固有粘度の両方によって制御され得る。
【0083】
例えば、活性成分の様々な用量の同定または特徴付けのために、染料または色素を錠剤またはコーティング錠剤のコーティングに混合することができる。
【0084】
経口的に使用することができる医薬組成物はまた、ゼラチンの硬カプセル、およびゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールの軟密閉カプセルである。硬カプセルは、適切であれば、例えば充填剤(例えばトウモロコシデンプン)、結合剤および/または潤滑剤(例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および安定化剤と混合して、活性成分を顆粒の形態で含むことができる。軟カプセルにおいて、活性成分を、好ましくは、グリース状油、パラフィン油、または液体ポリエチレングリコール、またはエチレングリコールまたはプロピレングリコールの脂肪酸エステルのような適切な液体賦形剤に溶解または懸濁し、安定化剤および界面活性剤(例えばポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル型の)を添加することが同様に可能である。
【0085】
他の経口投与形態は、例えば慣習的な方法で調製されたシロップであり、これは活性成分を、例えば懸濁形態で、例えば5または10mlが計量される場合に適切な個々の用量が得られる、約5%〜60%、好ましくは約20%の濃度または同様な濃度で含む。他の形態はまた、例えば、シェイク(例えばミルク中の)の調製のための粉末または液体濃縮物である。濃縮物は単位用量に包装することもできる。
【0086】
直腸で使用することができる医薬組成物は、例えば活性成分の坐薬基剤との組み合わせを含む坐薬である。適切な坐薬基剤は、例えば天然のまたは合成のトリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコールまたは高級アルカノールである。
【0087】
非経口投与に適切な組成物は、水溶性形態の活性成分(例えば水溶性の塩)の水溶液、または水性の注射用懸濁液であり、これは粘性増大物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラン、および適切であれば安定化剤を含む。活性成分は、適切であれば賦形剤と一緒に凍結乾燥物の形態でここに存在し、そして適切な溶媒の添加によって非経口投与の前に溶解されることができる。例えば非経口投与に使用されるような溶液は、点滴用溶液として使用することもできる。好ましい保存剤は、例えばアスコルビン酸のような抗酸化剤またはソルビン酸または安息香酸のような殺菌剤である。
【0088】
軟膏は、70%以下、好ましくは20〜50%の水または水相を含む水中油型乳剤である。脂肪相は、特に、炭化水素、例えばワセリン、パラフィン油または硬パラフィンからなり、これは水結合能を改善するために、好ましくは、適切なヒドロキシ化合物、例えば脂肪アルコールまたはそれらのエステル、例えばセチルアルコールまたは羊毛ろうアルコール、例えば羊毛ろうを含む。乳化剤は、対応する親油性物質、例えばソルビタン脂肪酸エステル(Span)、例えばオレイン酸ソルビタンおよび/またはイソステアリン酸ソルビタンである。水相への添加剤は、例えば、湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールおよび/またはポリエチレングリコールまたは保存剤および芳香性物質である。
【0089】
脂肪性軟膏は、無水性であり、そして基剤として特に炭化水素、例えばパラフィン、ワセリンまたはパラフィン油、および更に天然のまたは半合成の脂肪、例えば、硬化ヤシ脂肪酸トリグリセリド、または好ましくは硬化油、例えば硬化ピーナッツ油またはヒマシ油、および更にグリセロールの脂肪酸部分エステル、例えばモノおよび/またはジステアリン酸グリセロール、および例えば脂肪アルコールを含む。それらはまた、水の取り込みを増加させる軟膏に関連して記載した乳化剤および/または添加剤を含む。
【0090】
クリームは、50%より多い水を含む水中油型乳剤である。使用される油性基剤は特に、脂肪アルコール、例えばラウリル、セチルまたはステアリルアルコール、脂肪酸、例えばパルミチン酸またはステアリン酸、液体〜固体ワックス、例えばミリスチン酸イソプロピル、羊毛ろうまたは蜜ろう、および/または炭化水素、例えばワセリンまたはパラフィン油である。乳化剤は、優勢に親水性の特性を有する界面活性物質、例えば対応する非イオン性乳化剤、例えばポリアルコールの脂肪酸エステルまたはそれらのエチレンオキシ付加物、例えばポリグリセリン酸脂肪酸エステルまたはポリエチレンソルビタン脂肪エステル(Tween)、および更にポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルまたはポリオキシエチレン脂肪酸エステル、または対応するイオン性乳化剤、例えば脂肪アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムまたはステアリル硫酸ナトリウムであり、これは通常脂肪アルコール、例えばセチルステアリルアルコールまたはステアリルアルコールの存在下で使用される。水相への添加剤は、とりわけ、クリームが乾燥するのを防止する薬剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール、および更に保存剤および芳香性物質である。
【0091】
ペーストは、分泌物吸収粉末構成物、例えば金属酸化物、例えば酸化チタンまたは酸化亜鉛、および更にタルクおよび/またはケイ酸アルミニウム(これらは存在する湿気または分泌物と結合する任務を有する)を有するクリームおよび軟膏である。
【0092】
泡沫剤は加圧容器から投与され、そしてエアロゾル形態で存在する液体水中油型乳剤である。噴霧ガスとして、ハロゲン化炭化水素、例えばクロロフルオロ低級アルカン、例えばジクロロフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタン、または好ましくは、非ハロゲン化気状炭化水素、空気、NO、または二酸化炭素が使用される。使用される油層は、とりわけ、軟膏およびクリームについて上記したものであり、そしてそこで言及された添加剤が同様に使用される。
【0093】
チンキおよび溶液は通常、以下が混合された水性−エタノール性基剤を含む:蒸発を減少させるための湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、グリコールおよび/またはポリエチレングリコール、および再給油物質(re-oiling substance)、例えば低級ポリエチレングリコールとの脂肪酸エステル、すなわち皮膚から除かれた脂肪性物質をエタノールに置換するための水性混合物に可溶性の親油性物質、および必要であれば他の賦形剤および添加剤。
【0094】
本発明はまた、上記の疾患状態の処置のためのプロセスまたは方法に関する。化合物は、予防的にまたは治療的に、単独でまたは医薬組成物の形態で、好ましくは言及される疾患に対して有効な量で投与することができる。そのような処置を必要とする温血動物、例えばヒトについて、化合物は、特に、医薬組成物の形態で使用される。本発明の化合物の約0.1〜約5g、好ましくは0.5g〜約2gの一日用量を、約70kgの体重に対してここで投与する。
【0095】
本明細書に記載する例および実施態様は、例示目的のみのためのものであり、そしてそれらに照らして種々の置換、改変または変更が当業者に示唆されそして本出願の精神および範囲内に含まれ、そして添付の請求の範囲内であると考えられることが理解される。以下の実施例は好ましい実施態様の例として与えられ、そしていかにしても本発明を限定するとは考えられない。例えば、成分の相対的な量が異なる所望の効果を達成するように変動され得、更なる成分が添加され得、そして/または記載した成分の1つ以上が類似の成分に置換され得る。本明細書において引用する全ての刊行物、特許および特許出願はその全体を全ての目的のために本明細書に参照により組み入れる。
【0096】
実施例
【0097】
ペプチド基質を用いて達成可能な骨格の多様性を更に拡大するために、例えばジペプチド由来1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン骨格から、種々の化合物を合成しそして高密度で官能性を持たせた。これらの化合物は、マラリア肝臓ステージ(LS)に対する小さな「見込み」ライブラリーをスクリーニングすることによって活性であることが見出された。
【0098】
ジペプチド由来1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン骨格の設計および評価への関心は、ジアゼピンおよびトリアゼピン骨格を有する分子によって示される顕著な生物活性から生じている。特に7員環状尿素は、HIV−プロテアーゼおよび逆転写酵素阻害剤、第Xa因子阻害剤、β−ラクタマーゼ阻害剤、ホスホリパーゼC阻害剤、およびケモカイン受容体拮抗剤の開発における適用について近年多くの注意を引いている。
【0099】
図2を参照すると、1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン4は、単純活性化ジペプチド誘導体の環化によって4工程のみで構築され、そしてこのアプローチは市販のα−アミノ酸のかなりの多様性から利益を得る。環化ストラテジーは、以前に報告された高光学純度の大環状オリゴ尿素の調製のアプローチに匹敵する。スクシンイミジルカルバマート2をN−保護α−およびβ−アミノ酸について以前に記載されるようにBoc−ジペプチド1から調製した。粗2のトリフルオロ酢酸(TFA)での処理によるBoc基の選択的除去は3を与え、これはジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の存在下で4に環化した。環化は同時のN−ヒドロキシスクシンイミドの遊離およびDIEAのTFA塩の形成を伴って迅速に進行した。これらの副産物を、粗4の再結晶、液液抽出またはトリス−(2−アミノエチル)アミンポリスチレン(PS−トリアミン)を用いるポリマー担持隔離法(PSS)によって除去した。あるいは、ポリマー担持DIEA(PS−DIEA)が、環化の促進および同時の副産物の除去に非常に有効であることが見出された。
【0100】
18個の単環式から四環式の1,3,5−トリアゼピン−2,6−ジオン4の組を、種々のジペプチド配列から出発して中〜高全収率でこのアプローチによって合成した(表1)。
【0101】
表1.ジペプチド(1)からの1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン(4)の液相合成。(太数字は図2を参照)
【表1】


[a]1からの全収率;[b]3からの収率;[c]別段示さない限りDIEAを使用して行われた環化;[d]再結晶による精製;[e]環化に使用されたPS−DIEA;[f]フラッシュクロマトグラフィーによる精製(CHCl/MeOH/AcOH、97:3:1);[g]18 RP−HPLCによる精製;[h]ベンジル基の水素化は70%の収率でヒドロキシル側鎖を有するトリアゼパン−ジオン4を与えた;[i]PS−トリアミンを使用する精製;[j]0.001Mの濃度のN−メチルモルホリンを用いて行われた環化。4の形成は対応するシクロダイマーの形成を伴った。略語:Dap=ジアミノプロパン酸;Phg=フェニルグリシン;2−Nal=2−ナフチルフェニルアラニン;Tic=テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸;Hyp=cis−4−ヒドロキシプロリン。
【0102】
gXbb残基(R3≠H)のN末端に第3級アミドを有するカルバミン酸塩2a〜nおよび2pは、トランスおよびシス異性体の間の平衡混合物(CDCN中のH−NMRによって2aについて1:1の比率が観察された)を与えることが予想され、そしてその結果容易に4に環化された(エントリー1〜15)。対照的に、gXbb(R=H、エントリー16および17)のN末端に第二級アミドを有する前駆体2の環化は、種々の割合の対応する14員環シクロダイマーと一緒に4を与えた。
【0103】
ライブラリーの代表的なメンバーのX線回折およびH NMRの研究により、化合物4における1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン環系は一般に強固な非平面立体構造を取ることが明らかになった(アミドおよび尿素の面の間の平均角度の値は120°に近く、側鎖RおよびRが擬エクアトリアル位置にある)(図3)。
【0104】
親骨格4の更なる官能性付与および多様化は、尿素窒素のアルキル化によって達成された(図4)。骨格4のNaH(5当量)および種々の求電子試薬(3当量)での処理は、液/液抽出およびN−(2−メルカプトエチル)アミノメチル−PSを用いる過剰な求電子試薬のPSSの後に、良好な収率および純度でジアルキル化シクロ尿素(例えば6および7)を与えた。興味深いことに、KF/ALまたはNaH(2当量)の存在下で、シクロ(Xaa−gSar−CO)4a、4cおよびシクロ(Phe−gPro−CO)4iは、良好〜優れた選択性でgem−ジアミノ尿素窒素でモノアルキル化された8および9に変換された(8:6および9:7は80:20〜100:0の範囲)。ジアルキル化およびモノアルキル化誘導体、それぞれ7および9(I)の結晶構造は、環幾何学の再構成を示し、R側鎖がここでは準軸方向に向いている(図5)。
【0105】
スポロゾイトによる宿主肝細胞への侵入が、マラリア寄生体の生活環における初期段階を表す。マラリア肝臓ステージは、i)それらがその血液ステージ対応物よりも複雑かつ明確な代謝を有しており、そしてii)それらが発症血液ステージに先行し、従ってマラリアに対する予防的可能性を提供するので、薬物標的化を大いに約束する。しかし、LS寄生体に対する非常に少しの薬物しか利用可能でなく、そしてそれらの大部分がプリマキンのように重篤な副作用または寄生体の耐性の発達に起因する厳密でない効率を示す。
【0106】
17個の異なる1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオンを無作為に選択し、そして最初に初代マウス肝細胞培養物に対する毒性について様々な用量で試験した。これらから、9個が試験した全ての用量(6、25〜100μg/ml)で毒性であると示され、そして2個が高用量(50μg/ml超)で毒性であると示された。従って、非毒性の残りの6個の分子を、肝細胞におけるスポロゾイトの侵入および発達に対するその効果を評価するために試験した。これらのうちの4個、4j、7a、5q、および11は肝臓寄生体に対して有意な効果を有しなかった(図5A、5Cおよびデータは示さず)。対照的に2個の分子、4bおよび8aは、LSの発達を有意にかつ反復して阻害することが示され(図5Aおよび5B)、4bが最も強力であった。
【0107】
本発明者らは、ジペプチド由来1,3,5−トリアゼピン−2,6−ジオンの32個のメンバーの小ライブラリーの設計および構築を示し、これはマウス肝細胞に対する毒性なしにマラリア肝臓ステージに対して活性な2個の分子の同定を導いた。ペプチド前駆体のより包括的な組(側鎖および立体化学的な多様性を含む)および付加的なプロセスを組み込むことによってライブラリーの構造的多様性を増加させることを目指す研究は進行中であり、そしてマラリアの十分には探求されていないステージに対するより強力な分子の迅速な同定の助けとなるはずである。
【0108】
一般的な合成スキームおよび手順の例:
実施例1:[1,3,5]オキサジアゼパン−2,6−ジオン(式Ia)の合成
【化3】

【0109】
Iaの一般的合成スキーム
【化4】

【0110】
a)ヨードベンゼンビストリフルオロアセタート(IBTFA)、THF/HO;b)BocO;c)p−ニトロフェニルクロロホルマート、CHCl、ジイソプロピルエチルアミン;d)トリフルオロ酢酸;e)DIEA、HOBt;f)NaH、RBr。
【0111】
実施例2:2−チオキソ−[1,3,5]トリアゼパン−6−オン(式Ib)の合成
【化5】

【0112】
Ibの一般的合成スキーム
【化6】

【0113】
工程a)ジペプチドアミドIb−p1をTHF/水(3:1)に溶解し、そしてヨードベンゼンビストリフルオロアセタート(IBTFA)、THF/HO(1.2当量)で3時間処理し、その後出発物質は消費された。溶媒を真空中で除去し、そしてEtOを添加した。形成された固体を採取し、そしてEtOで洗浄して、対応するgem−ジアミノ誘導体を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。定量的収率。
【0114】
工程b)ビス(ベンゾトリアゾール−1−イル)メタンチオン(1当量)を室温でCHClに溶解した。先に合成したgem−ジアミノ誘導体を滴下し、そして反応混合物を18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、そして5%炭酸ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして1b−p2を酢酸エチルから再結晶させた。
【0115】
工程c)1−チオカルバモイルベンゾトリアゾールを0℃でTFAで処理した。30分後、TFAをヘキサンとの同時蒸発によって除去し、そしてTFA塩をジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。得られた塩Ib−p3をろ過によって採取し、そして高真空下で乾燥させた。これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0116】
工程d)TFA塩Ib−p3をMeCNに溶解し、次いでジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を添加し、そして反応混合物を24時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、5%炭酸ナトリウム水溶液、1M HCl、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、そして環状1b−1をCHCl/ジイソプロピルエーテルからの再結晶によって精製した。
【0117】
実施例3:4−ベンジル−6−メチル−[1,3,6]オキサジアゾカン−2,5−ジオン(式Ib−1)の合成
【化7】

【0118】
Ib−1の一般的合成スキーム
【化8】

【0119】
工程a)ジペプチドアミドIb−p1をTHF/水(3:1)に溶解し、そしてヨードベンゼンビストリフルオロアセタート(IBTFA)、THF/HO(1.2当量)で3時間処理し、その後出発物質は消費された。溶媒を真空中で除去し、そしてEtOを添加した。形成された固体を採取し、そしてEtOで洗浄して、対応するgem−ジアミノ誘導体を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。定量的収率。
【0120】
工程b)ビス(ベンゾトリアゾール−1−イル)メタンチオン(1当量)を室温でCHClに溶解した。先に合成したgem−ジアミノ誘導体を滴下し、そして反応混合物を18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、そして5%炭酸ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして1b−p2を酢酸エチルから再結晶させた。
【0121】
工程c)1−チオカルバモイルベンゾトリアゾールを0℃でTFAで処理した。30分後、TFAをヘキサンとの同時蒸発によって除去し、そしてTFA塩をジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。得られた塩Ib−p3をろ過によって採取し、そして高真空下で乾燥させた。これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0122】
工程d)TFA塩Ib−p3をMeCNに溶解し、次いでジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を添加し、そして反応混合物を24時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、5%炭酸ナトリウム水溶液、1M HCl、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、そして環状1b−1をCHCl/ジイソプロピルエーテルからの再結晶によって精製した。
【0123】
実施例4:2−チオキソ−[1,3,5]オキサジアゼパン−6−オン(式Ic)の合成
【化9】

【0124】
Icの一般的合成スキーム
【化10】

【0125】
工程a)ジペプチドアミドIb−p1をTHF/水(3:1)に溶解し、そしてヨードベンゼンビストリフルオロアセタート(IBTFA)、THF/HO(1.2当量)で3時間処理し、その後出発物質は消費された。溶媒を真空中で除去し、そしてEtOを添加した。形成された固体を採取し、そしてEtOで洗浄して、対応するgem−ジアミノ誘導体を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。定量的収率。
【0126】
工程b)ビス(ベンゾトリアゾール−1−イル)メタンチオン(1当量)を室温でCHClに溶解した。先に合成したgem−ジアミノ誘導体を滴下し、そして反応混合物を18時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、そして5%炭酸ナトリウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして1b−p2を酢酸エチルから再結晶させた。
【0127】
工程c)1−チオカルバモイルベンゾトリアゾールを0℃でTFAで処理した。30分後、TFAをヘキサンとの同時蒸発によって除去し、そしてTFA塩をジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。得られた塩Ib−p3をろ過によって採取し、そして高真空下で乾燥させた。これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0128】
工程d)TFA塩Ib−p3をMeCNに溶解し、次いでジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を添加し、そして反応混合物を24時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をEtOAcに再溶解し、5%炭酸ナトリウム水溶液、1M HCl、水および食塩水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、そして環状1b−1をCHCl/ジイソプロピルエーテルからの再結晶によって精製した。
【0129】
実施例5:[1,3,6]オキサジアキソカン−2,5−ジオン(式Id)の合成
【化11】

【0130】
Idの一般的合成スキーム
【化12】

【0131】
a)p−ニトロフェニルクロロホルマート(2当量)、ピリジン(1.1当量)、CHCl、TA一晩;b)TFA、TA30分間;c)DIEA(2.6当量)、HOBt、(1当量)、MeCN、TA3日間。
【0132】
実施例6:4−ベンジル−6−メチル−[1,3,6]オキサジアゾカン−2,5−ジオン(式Id−1)の合成
【化13】

【0133】
Id−1の一般的合成スキーム
【化14】

【0134】
a)p−ニトロフェニルクロロホルマート(2当量)、ピリジン(1.1当量)、CHCl、TA一晩;b)TFA、TA30分間;c)DIEA(2.6当量)、HOBt(1当量)、MeCN、TA3日間。
【0135】
1)炭酸p−ニトロフェニル前駆体Id−p2の合成
【化15】

【0136】
出発ジペプチドアルコールId−p1(300mg、0.93mmol、1当量)を5mLのCHClおよび82μLのピリジン(1.02mmol、1.1当量)に溶解する。2ml中4−ニトロフェニルクロロホルマート(0.37g、1.86mmol、2当量)の溶液。
【0137】
24時間攪拌した後、反応混合物を15mLのCHClで希釈し、そして1N NaHCOで洗浄する。有機相をNaSOで乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶離剤、1:2 AE/シクロヘキサン)、純粋な炭酸塩Id−p2を59%の収率で得た。HPLC tR 14.1(勾配30〜100%B、20分間)
【0138】
【表2】

【0139】
2)Id−p1への環化
【0140】
炭酸p−ニトロフェニルId−p2をトリフルオロ酢酸で30分間処理する。エーテルの添加は白色固体として沈殿する対応するTFA塩を与えた。これをろ過し、そして更に精製することなしに次の工程で使用した。MeCN(10mL)に溶解したTFA塩(220mg、0.44mmol、1当量)を、25mLのMeCN中のジイソプロピルエチルアミン(194μL、1.14mmol、2.6当量)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(60mg、0.44mmol、1当量)の溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を3日間攪拌し、そして真空中で濃縮した。次いでCHClを添加し、そして有機相を1N NaHCO、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。次いで残渣(110mg)をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。
【0141】
[CHCl/MeOH/AcOH(20:0.5:0.1)次いでCHCl/MeOH[20:1])Id−1 42mgを得た。
【0142】
HPLC t(Id−1)5.88(勾配30〜100%B、20分間)
【0143】
HRMS(ESI) C1316についての計算値249.1234、実測値249.1230。
【0144】
【表3】

【0145】
実施例7:1,1−ジオキソ−1λ−[1,2,5,8]チアトリアゾカン−4−オン(式If)の合成
【化16】

【0146】
Ifの一般的合成スキーム
【化17】

【0147】
i)(a)TFA;(b)NaHCO飽和、DCM;ii)Burgess試薬(2.5当量)、THF、70℃ 2時間。
【0148】
実施例8:10−メチル−6,6,11−トリオキソ−8,9,10,11,11a,12−ヘキサヒドロ−5H−6λ−チア−5a,7,10−トリアザ−シクロオクタ[b]ナフタレン−7−カルボン酸メチルエステル(式If−1)の合成
【化18】

【0149】
If−1の一般的合成スキーム
【化19】

【0150】
i)N−Boc保護ジペプチドアルコールをTFAで30分間0℃で処理した。TFAを真空下で除去し、そして残渣をAcOEtに溶解した。飽和NaHCOを攪拌下で添加し、そして10分後に有機相をNaSOで乾燥し、そして真空下で濃縮して、If−p1を得た。
【0151】
ii)化合物If−p1(175mg、0.75mmol、1当量)を10mLの無水THFに溶解し、そしてBurgess試薬(534mg、2.24mmol、2.5当量)を添加する。次いで溶液を還流下約70℃〜約90℃で2日間加熱する。次いで反応混合物を飽和NHClの溶液(40mL)に注ぐ。混合物をCHClで抽出し、そして有機相をHOで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そして真空下で濃縮する。次いで粗混合物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して(CHCl/MeOH/AcOH(18:1:0.2))、If−1を得る。
【0152】
詳述した実施例は実施態様の例として示したものであって、いかにしても本発明を限定するとは考えられない。例えば、成分の相対的な量が所望の効果を至適化するように変動され得、更なる成分が添加され得、そして/または記載した成分の1つ以上が類似の成分に置換され得る。本発明の系、方法およびプロセスに関連した更なる有利な特徴および機能性は、添付の請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン骨格、B、および2,5−ジケトピペラジン、Aの比較。
【図2】a)EtOCOCl、NMM、THF、−20℃、次いでHO中のNaN;b)トルエン、65℃、次いでHOSuおよびピリジン;c)TFA、30分間;d)DIEA、MeCN;e)PS−DIEA、CHCl。g=gemは、ChorevおよびGoodmanによって提唱される命名法に従う対応するアミノ酸の2−アルキルgem−ジアミノ誘導体を言う。
【図3】代表的な1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオン4、7および9のX線結晶構造。
【図4】a)NaH(4当量)、RX(4当量);b)KF/Al(10当量)またはNaH(2当量)、RX(1.5当量)。
【図5】マラリア肝臓ステージ発達に対する、選択された1,3,5−トリアゼパン−2,6−ジオンの効果。化合物をスポロゾイト侵入の時点および肝臓ステージ発達の間に添加した。シゾント数を、48時間培養物におけるこの成熟寄生体形態を計数することによって評価した。結果を3つの三連培養物の平均±SDとして表す。データは試験した化合物当たり2〜6回の実験の代表である。*、P<0.05、Mann-Whitnety U検定。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中、
Wは、−C(R)(R5a)−;−C(R)(R6a)−C(R)(R7a)−;−C(R)=C(R)−;および−N(R10)からなる群より選択されるメンバーであり;
Xは、−N(R1a)C(=Y)N(R)−;OC(=Y)N(R)−;−N(R1a)C(=Y)O−;−N(R1a)S(=O)N(R)−;−N(R1a)S(=O)N(R)−;および−C(R1a)(R3a)C(=Y)N(R)−からなる群より選択されるメンバーであり;
YおよびZは、各々互いに独立して、酸素(“O”)または硫黄(“S”)からなる群より選択されるメンバーを表し;そして
、R1a、R、R、R3a、R、R、R5a、R、R6a、R、R7a、R、RおよびR10は、各々互いに独立して、以下からなる群より選択されるメンバーを表し:水素原子;アミノ酸側鎖;(C1−C10)アルキル;(C1−C10)アルケニル;(C1−C10)アルキニル;(C5−C12)単環式または二環式アリール;(C5−C14)単環式または二環式アラルキル;単環式または二環式(C5−C14)ヘテロアラルキル;およびN、O、SおよびPから選択される5個までのヘテロ原子を有する(C1−C10)単環式または二環式ヘテロアリール基、前記基は非置換であることができまたは以下からなる群より更に選択される1〜6個の置換基で置換されることができる:ハロゲン原子、NO、OH、アミジン、ベンズアミジン、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、アルコキシ、(C1−C4)、アミノ、ピペラジン、ピペリジン、ジアルキルアミノ、グアニジン基、ビスアルキル化またはビスアシル化グアニド基、カルボン酸、カルボキサミド、エステル、ヒドロキサム酸、ホスフィン酸、ホスホナート、ホスホンアミダート、スルフヒドリルおよびそれらの任意の組み合わせ]、
で表される化合物または医薬的に許容されるその塩の有効量を含む、個体における疾患または状態の処置または予防のための治療用組成物。
【請求項2】
疾患または状態がマラリアを含む、請求項1記載の治療用組成物。
【請求項3】
組成物が医薬的に許容される担体またはビヒクル、賦形剤、アジュバント、さらなる生物学的活性薬剤またはその組み合わせの少なくとも1つをさらに含む、請求項1記載の治療用組成物。
【請求項4】
組成物が約1重量%〜約50重量%の式Iで表される化合物を含む、請求項1記載の治療用組成物。
【請求項5】
生物学的活性薬剤がクロロキン、クロロキン誘導体、HIVプロテアーゼ阻害剤、抗ウイルス剤またはその組み合わせを含む、請求項3記載の治療用組成物。
【請求項6】
組成物が医薬的に許容される形態で存在する、請求項3記載の治療用組成物。
【請求項7】
医薬的に許容される形態が腸溶コーティングを有する錠剤またはカプセルを含む、請求項6記載の治療用組成物。
【請求項8】
医薬的に許容される形態の請求項1記載の化合物の有効量を含む治療用組成物をそれを必要とする個体に投与することを含む、マラリアの処置方法。
【請求項9】
治療用組成物が担体、賦形剤、さらなる生物学的活性薬剤またはその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの他の成分をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
生物学的活性薬剤がクロロキン、クロロキン誘導体、HIVプロテアーゼ阻害剤、抗ウイルス剤またはその組み合わせを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
医薬的に許容される形態が制御放出錠剤を含む、請求項8記載の方法。
【請求項12】
制御放出錠剤が腸溶コーティングをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
HIV感染、マラリアまたはその両方に関連する生理的状態の処置または予防のためのキットであって、前記キットは複数の容器を含み、前記容器の少なくとも1つは請求項1記載の化合物または医薬的に許容されるその塩を含む、キット。
【請求項14】
医薬的に許容される形態の請求項1記載の化合物の有効量を含む治療用組成物をそれを必要とする個体に投与することを含む、エイズの処置または予防方法。
【請求項15】
治療用組成物が単回一日用量として投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
治療用組成物が2つ以上の単位投与量単位で投与される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
治療用組成物が医薬的に許容される担体またはビヒクル、賦形剤、アジュバント、さらなる生物学的活性薬剤またはその組み合わせの少なくとも1つをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
生物学的活性薬剤がクロロキン、クロロキン誘導体、HIVプロテアーゼ阻害剤、抗ウイルス剤またはその組み合わせを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
組成物が約1重量%〜約50重量%の式Iで表される化合物を含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522235(P2009−522235A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547974(P2008−547974)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/070257
【国際公開番号】WO2007/074170
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507311991)イミュファルマ・フランス・エスアー (4)
【氏名又は名称原語表記】ImmuPharma France SA
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】