説明

疾患の治療のためのキナーゼ阻害剤

【課題】異常細胞増殖を調整、調節および/または阻害するためにチロシンキナーゼシグナル伝達を調節することが可能な化合物の提供。
【解決手段】下記一般式IIまたは一般式IIIで表される化合物。


[式中、XはOまたはC(R22であり、Yは[C(R22であり、AはNR2であるか、または存在せず、R1は独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)などである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
1.本発明の分野
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を調節、調整および/または阻害することが可能な化合物のプロドラッグに関する。本発明はまた、レセプタークラスであろうと、または非レセプタークラスであろうと、チロシンキナーゼを調整、調節または阻害する方法にあり、細胞成長障害、代謝障害および血管増殖性障害などの非調整チロシンキナーゼシグナル伝達に関する障害の予防および/または治療を目的とする。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の記載
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は、酵素活性を有するタンパク質の大きく、かつ多様なクラスを含む。PTKは細胞成長および分化の制御に重要な役割を担う。
【0003】
例えば、レセプターチロシンキナーゼを介するシグナル伝達は、特定の成長因子(リガンド)との細胞外相互作用、次いでレセプターの二量化、内在性タンパク質チロシンキナーゼ活性の一時的な刺激およびリン酸化により開始される。それにより結合部位が、細胞内シグナル伝達分子について創製され、適切な細胞応答(例えば、細胞分裂、代謝の恒常性および細胞外微小環境に対する応答)を促進するある領域の細胞質シグナリング分子との複合体の形成をもたらす。
【0004】
レセプターチロシンキナーゼに関して、チロシンのリン酸化部位が、シグナリング分子のSH2(srcホモロジー)ドメインについての高親和性結合部位として機能することもまた示されている。レセプターチロシンキナーゼ(RTK)と結合するいくつかの細胞内基質タンパク質が同定されている。それらは次の二つの主なグループに分けることができる: (1)触媒ドメインを有する基質、および(2)そのようなドメインを有しないが、アダプターとして機能しうり、触媒的に活性な分子と結合する基質。レセプターまたはタンパク質とそれらの基質のSH2ドメインとの相互作用の特異性は、リン酸化されたチロシン残基を囲む隣接アミノ酸残基により決定される。SH2ドメインと特定のレセプター上のホスホチロシン残基を囲むアミノ酸配列との結合親和性の差異は、それらの基質リン酸化プロファイルにて観察される差異と一致する。これらの観察は、各レセプターチロシンキナーゼの機能が、その発現のパターンおよびリガンド利用性によってだけでなく、特定のレセプターにより活性化される下流のシグナル伝達経路のアレイによっても決定されることを示唆している。従ってリン酸化は、特定の成長因子レセプター、ならびに分化因子レセプターにより補充されるシグナリング経路の選択性を決定する重要な調整工程を提供する。
【0005】
PTKにおける異常な発現または突然変異は、非制御な細胞増殖(例えば、悪性腫瘍の成長)または重要な発達過程における欠陥のいずれかを引き起こすことが示されている。その結果として生物医学学会は、PTKファミリーのメンバー特有の生物学的役割、分化過程におけるそれらの機能、腫瘍形成および他の疾患へのそれらの関与、リガンド刺激により活性化されるそれらのシグナル伝達経路に内在する生化学的機序を発見し、新規薬物を開発するためかなりの労力を払っている。
【0006】
チロシンキナーゼは、レセプター型(細胞外、膜貫通および細胞内ドメインを有する)または非レセプター型(もっぱら細胞内である)であることができる。
【0007】
RTKは、多様な生物学的活性をもつ膜貫通型レセプターの大きなファミリーを含む。RTKの内在的な機能はリガンド結合により活性化され、レセプターおよび複数の細胞基質のリン酸化、次いで種々の細胞応答を引き起こす。
【0008】
現在のところ、少なくとも19の異なるRTKサブファミリーが同定されている。HERサブファミリーに指定されている一つのRTKサブファミリーは、EGFR、HER2、HER3およびHER4からなると考えられている。Herサブファミリーレセプターへのリガンドとしては、上皮成長因子(EGF)、TGF−α、アンフィレグリン、HB−EGF、ベータセルリンおよびヘレグリンが挙げられる。
【0009】
インスリンサブファミリーに指定されているRTKの第二ファミリーは、INS−R、IGF−1RおよびIR−Rからなる。第三ファミリーの「PDGF」サブファミリーとしては、PDGFαおよびβレセプター、CSFIR、c−kitおよびFLK−IIが挙げられる。RTKの別のサブファミリーはFLKファミリーとして同定され、キナーゼ挿入ドメイン−レセプター胎児肝キナーゼ−1(KDR/FLK−1)、胎児肝キナーゼ4(FLK−4)およびfms様チロシンキナーゼ1(flt−1)からなると考えられている。これらの各レセプターは当初、造血成長因子についてのレセプターであると考えられていた。RTKの他の二つのサブファミリーは、FGFレセプターファミリー(FGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4)およびMetサブファミリー(c−metおよびRon)として指定されている。
【0010】
PDGFとFLKサブファミリー間の類似性のため、これら二つのサブファミリーは一緒とみなされることが多い。既知のRTKサブファミリーは、Plowmanらの1994, DN&P7(6): 334-339にて同定され、これは本明細書に引用される。
【0011】
非レセプターチロシンキナーゼは、細胞外および膜貫通配列の欠如した細胞酵素の集団である。現在のところ、11のサブファミリー(Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、AckおよびLIMK)からなる24を超える個々の非レセプターチロシンキナーゼが同定されている。現在、非レセプターチロシンキナーゼのSrcサブファミリーは、最多数のPTKからなり、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、FgrおよびYrkが挙げられる。酵素のSrcサブファミリーは腫瘍形成と関連している。非レセプターチロシンキナーゼのより詳細な議論は、Bolen, 1993, Oncogen 8: 2025-2031に記載されており、これは本明細書に引用される。
【0012】
多くのチロシンキナーゼは、それがRTKか、または非レセプターチロシンキナーゼかに関わらず、癌、乾癬および高度免疫応答などの病的状態を引き起こす細胞シグナルカスケードをもたらす細胞シグナリング経路に関与していることが判明している。
【0013】
異常細胞増殖を伴う疾患および障害にとって、細胞増殖を制御、調整および調節するためにPTKが重要であると考えられるため、突然変異体リガンド(米国特許番号4,966,849)、可溶性レセプターおよび抗体(PCT公開番号WO 94/10202; Kendall&Thomas, 1994, Proc. Nat'l Acad. Sci 90: 10705-09; Kimら, 1993, Nature 362: 841-844)、RNAリガンド(Jellinekら, Biochemistry 33: 10450-56; Takanoら, 1993, Mol. Bio. Cell 4: 358A; Kinsellaら, 1992, Exp. Cell Res. 199: 56-62; Wrightら, 1992, J. Cellular Phys. 152: 448-57)ならびにチロシンキナーゼ阻害剤(PCT公開番号WO 94/03427; WO 92/21660; WO 91/15495; WO 94/14808; 米国特許番号5,330,992; Marianiら, 1994, Proc. Am. Assoc. Cancer Res. 35: 2268)の使用などの種々のアプローチを用いて、レセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼ「阻害剤」を同定するための多くの試みがなされている。
【0014】
より最近では、チロシンキナーゼ阻害剤として作用する小分子を同定するための試みがなされている。例えば、ビス単環式、二環式またはヘテロ環式アリール化合物(PCT公開番号WO 92/20642)、ビニレンアザインドール誘導体(PCT公開番号WO 94/14808)および1−シクロプロピル−4−ピリジル−キノロン類(米国特許番号5,330,992)が、一般にチロシンキナーゼ阻害剤として記載されている。スチリル化合物(米国特許番号5,217,999)、スチリル置換ピリジル化合物(米国特許番号5,302,606)、特定のキナゾリン誘導体(EP出願番号0 566 266 A1)、セレオインドール類およびセレニド類(PCT公開番号WO 94/03427)、三環式ポリヒドロキシル化合物(PCT公開番号WO 92/21660)およびベンジルホスホン酸化合物(PCT公開番号WO 91/15495)が、癌の治療に使用するためのチロシンキナーゼ阻害剤として使用される化合物として記載されている。
【0015】
それゆえに異常なまたは不適切な細胞増殖を調整および調節するために、レセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼの活性を調節することによりシグナル伝達を特異的に阻害する有効な小化合物の同定が望まれており、本発明の一つの目的である。
【0016】
最後に、非調整TKS伝達に関する疾患の治療に有用なものとして特定の小化合物が、米国特許5,792,783; 5,834,504; 5,883,113; 5,883,116および5,886,020に開示されている。これらの特許は、出発物質およびその製造方法、細胞増殖を調節、調整および/または阻害する本発明化合物の能力を決定するためのスクリーニングおよびアッセイ、本化合物により治療可能な適応、製剤化および投与経路、有効投与量などを開示する目的のため、本明細書にそのまま引用される。
【0017】
当業者によく知られている、本発明の背景としてのプロドラッグの概念。プロドラッグは薬物の誘導体であり、投与後に生理活性種に変換される。この変換は、生理的環境下での加水分解または酵素加水分解により起こり得る。次の文献を引用する: Design of Pro-drugs (Bundgaard H. ed.) 1985 Elsevier Science Publishers B.V. (Biomedical Devision), Chapter 1; Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities (Hans Bundgaard); Bundgaardら Int.J. of Pharmaceutics 22 (1984) 45-56 (Elsevier); Bundgaardら Int. J. of Pharmaceutics 29 (1986) 19-28 (Elsevier); BundgaardらJ.Med. Chem. 32 (1989) 2503-2507 Chem. Abstracts 95, 138493f (Bungaardら); Chem. Abstracts 95, 138592n (Bundgaardら); Chem Abstracts 110, 57664p (Almingerら) Chem. Abstracts 115, 64029s (Buurら); Chem Abstracts 115, 189582y (Hansenら); Chem.Abstracts 117, 14347q (Bundgaardら); Chem. Abstracts 117, 55790x (Jensenら)およびChem Abstracts 123, 17593b (Thomsenら)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の概要)
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を調節、調整および/または阻害することが可能な有機分子に関する。そのような化合物は、癌、アテローム性動脈硬化症、再狭窄のような細胞増殖性疾患、糖尿病のような代謝疾患、乾癬および慢性閉塞性肺疾患のような炎症性疾患、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症および未熟児網膜症のような血管増殖性障害、自己免疫疾患ならびに移植による拒絶反応などの、非調整TKS伝達に関する疾患の治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の詳細な記載)
一つの実例となる態様にて、本発明化合物は式I:
【化1】

[式中、
B部分はホルムアルデヒド、置換アルデヒドまたは置換ケトン、およびアミンと反応して式Iの化合物を与えることが可能な、窒素原子を含むチロシンキナーゼ阻害剤またはセリンスレオニンキナーゼ阻害剤を示し、
3およびR4は独立して、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択されるか、またはR3およびR4は窒素原子と一緒になって、上記ヘテロ原子で置換されていることもある環式基を形成することができ、例えばR3およびR4は水素、アルキル、アルコキシ、アルキルオキシアルキル、アリール、アリールオキシ、アルキルアリールおよびアルカリルオキシからなる群から選択されることもあり、そして
5およびR6は独立して、水素、アルキルおよびアリール基からなる群から選択される。好ましくはR5およびR6は水素である。]
を有する。
【0020】
好ましい態様にて、本発明化合物は式IIまたはIII:
【化2】

[式中、
XはOまたはC(R22であり、
Yは[C(R22cであり、
AはNR2であるか、または存在せず、
1はハロゲン、ヒドロキシ、NO2、CN、例えばC1〜C4アルキルおよびフェニルなどのアリールのようなヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択され、そしてbが1である場合、好ましいR1はクロロであり、
2は水素、C1〜C8アルキル、(CR89dC(O)OR10、COCH3、CH2CH2OH、CH2CH2CH2OHおよびフェニルからなる群から選択され、
Rはハロゲン、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択され、例えばRはハロゲン、C1〜C8アルキル、CF3、OCF3、OCF2H、CH2CN、CN、SR2、(CR89dC(O)OR2、(CR89dC(O)N(R22、(CR89dOR2、HNC(O)R2、HNC(O)OR2、(CR89dN(R22、SO2(CR89dN(R22、OP(O)(OR22、OC(O)OR2、OCH2O、HN−CH=CH、−N(COR2)CH2CH2、HC=N−NH、N=CH−S、O(CR89e7、(CR89d7および−NR2(CR89e7(ここに、R7はハロゲン、3−フルオロピロリジニル、3−フルオロピペリジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、イソニペコチン酸メチル、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアミル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、モルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、ピペラジニル−2−オン、ピペラジニル、N−(2−メトキシエチル)エチルアミニル、チオモルホリニル、ヘプタメチレンイミニル、1−ピペラジニルカルボキシアルデヒド、2,3,6,7−テトラヒドロ−(1H)−1,4−ジアゼピニル−5(4H)−オン、N−メチルホモピペラジニル、(3−ジメチルアミノ)ピロリジニル、N−(2−メトキシエチル)−N−プロピルアミニル、イソインドリニル、ニペコトアミジニル(nipecotamidinyl)、イソニペコトアミジニル、1−アセチルピペラジニル、3−アセトアミドピロリジニル、トランス−デカヒドロイソキノリニル、シス−デカヒドロイソキノリニル、N−アセチルホモピペラジニル、3−(ジエチルアミノ)ピロリジニル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカニニル、1−(2−メトキシエチル)ピペラジニル、2−ピロリジン−3−イルピリジニル、4−ピロリジン−3−イルピリジニル、3−(メチルスルホニル)ピロリジニル、3−ピコリルメチルアミニル、2−(2−メチルアミノエチル)ピリジニル、1−(2−ピリミジル)ピペラジニル、1−(2−ピラジニル)ピペラジニル、2−メチルアミノメチル−1,3−ジオキソラン、2−(N−メチル−2−アミノエチル)−1,3−ジオキソラン、3−(N−アセチル−N−メチルアミノ)ピロリジニル、2−メトキシエチルアミニル、テトラヒドロフルフリルアミニル、4−アミノテトラヒドロピラン、2−アミノ−1−メトキシブタン、2−メトキシイソプロピルアミニル、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスタミル、N,N−ジイソプロピルエチレンジアミニル、1−ベンジル−3−アミノピロリジル、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジニル、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタンアミニル、(R)−3−アミノ−1−N−BOC−ピロリジニル、4−アミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル、4−アミノメチルテトラヒドロピラン、エタノールアミンおよびそれらのアルキル置換誘導体からなる群から選択され、但し、上記アルキルまたはフェニル基は1つまたは2つのハロ、ヒドロキシまたは低級アルキルアミノ基で置換されていることもあり、R8およびR9はH、ハロゲン、例えばF、ヒドロキシおよびC1〜C4アルキルからなる群から選択されていてもよく、またはCR89は3〜6つの炭素を有する炭素環であってもよく、好ましくはR8およびR9はHまたはCH3である)からなる群から選択されることもあり、aが1である式IIIの化合物にて好ましくは、Rはジメチルアミノであり、aが1である式IIの化合物にて好ましくは、Rはモルホリニルであり、
3、R4、R5およびR6は上記のとおりであり、
10は水素、C1〜C8アルキルまたはアリールアルキルであり、
aは0または1〜3の整数であり、
bは0または1〜3の整数であり、
cは1〜2の整数であり、
dは0または1〜5の整数であり、
eは2〜5の整数であり、
波線はEまたはZ結合を示し、そして
Arはアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリール(ここに、該置換ヒドロカルビルまたは置換ヘテロアリールはハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択され、例えばArは、例としてフェニル、ナフチル、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニルなどの縮合および非縮合二環式アリールまたはヘテロアリール、およびそれらの置換誘導体を含む、単環式および二環式アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択されることもある。好ましいArは単環式アリールまたはヘテロアリール、例えばフェニルまたはピロリルである。]
で示される化合物およびその製薬的に許容される塩である。
【0021】
好ましいR5およびR6は水素である。
好ましいR3はHであり、R4はアルキル、例えばn−ブチル、またはアルキルオキシアルキル、例えばメチルオキシプロピルからなる群から選択されるか、またはR3およびR4は窒素原子と一緒になって、5または6員の環式基、例えば6員環を形成し、これは結合でつながった酸素または窒素原子を含むことができ、例えばR3およびR4は窒素原子と一緒になって、モルホリニルまたはピペリジニルであることができ、該モルホリニル環またはピペリジニル環は1つ以上の低級アルキル基、例えばメチルで置換されていることもある。
【0022】
好ましいXはOであり、YはCH2であり、Rはジ(低級)アルキルアミノ、例えばジメチルアミノであることができる。
好ましいArはフェニルまたはピロリルであり、Rは低級アルキル、例えばメチルまたはモルホリニルであることができる。
【0023】
本発明の1つの好ましい態様にて、R3およびR4は窒素原子と一緒になって、3〜8員の環式基、例えば5または6員環を形成し、より好ましい該環式基は、結合でつながった酸素原子または第二の窒素原子を含む。すなわち、R3およびR4は窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたはモルホリニルであることができる。
【0024】
別の好ましい態様にて、R3は水素であり、R4はアルキルまたはアルキルオキシアルキルである。
【0025】
式IIの一つの好ましい態様にて、Aは−NH−であり、Arは式:
【化3】

[式中、
3’およびR4’はそれぞれ、独立して水素、アルキル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルカリル、アルカリルオキシ、ハロゲン、トリハロメチル、S(O)R2、SO2(R22、SO32、SR2、NO2、N(R22、OH、CN、C(O)R2、OC(O)R2、NHC(O)R2、(CH2dCO22および(CH2dCON(R22からなる群から選択され、
R’は水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、ハロアルキル、(CR89dC(O)OR2、(CR89eOR2または(CR89eN(R22または(CR89e7であり、ここに、d、e、R2、R7、R8およびR9は上記のとおりである]
である。
【0026】
式IIの別の好ましい態様にて、Aは−NH−であり、Arは式:
【化4】

[式中、
3’およびR4’は上記のとおりであり、R11はR1であるか、またはR11は窒素原子と一緒になって、結合でつながった酸素原子もしくは第二の窒素原子を有することができる5もしくは6員環、例えばモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどであることができる]
である。
【0027】
さらに式IIの別の好ましい態様にて、Aは存在せず、Arはフリル、チオフェン、ピロール、2,4−ジメチルピロール、2,4−ジメチル−3−ピロール−プロピオン酸、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−スルホニルフラン、4−アルキルフラン、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアトリアゾールおよびテトラゾールからなる群から選択される5員ヘテロアリール環であり、これらは場合により、1つ以上の位置にてR2、O(CR89eN(R22、(CR89dN(R22またはNR2(CR89eN(R22、(CR89dC(O)OR2、O(CR89e7、(CR89d7およびNR2(CR89e7(ここに、d、e、R2、R7、R8およびR9は上記のとおりである)で置換されていることもある。
【0028】
さらに式IIの別の好ましい態様にて、Aは−NH−であり、Arはフリル、チオフェン、ピロール、2,4−ジメチルピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、2−スルホニルフラン、4−アルキルフラン、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアトリアゾールおよびテトラゾールからなる群から選択される5員ヘテロアリール環であり、これらは場合により、1つ以上の位置にてR2、O(CR89eN(R22、(CR89dN(R22、NR2(CR89eN(R22、(CR89dC(O)OR2、O(CR89e7、(CR89d7およびNR2(CR89e7(ここに、d、e、R2、R7、R8およびR9は上記のとおりである)で置換されていることもある。
【0029】
式IIIの好ましい態様にて、XはOまたはCH2であり、
Yは[C(R22cであり、
1はハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C4アルキルからなる群から選択され、
2は水素、C1〜C8アルキル、(CR89dC(O)OR10からなる群から選択され、
Rはハロゲン、C1〜C8アルキル、CF3、OCF3、OCF2H、(CR89dC(O)OR2、(CR89dC(O)N(R22、HNC(O)R2、HNC(O)OR2、(CR89dN(R22、SO2(CR89dN(R22、O(CR89e7および(CR89d7、−NR2(CR89e7(ここに、d、e、R2、R7、R8およびR9は上記のとおりである)からなる群から選択される。
【発明の効果】
【0030】
本発明はさらに、製薬的に有効な量の上記化合物および製薬的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を目的とする。そのような組成物は、触媒活性の阻害、ATPへの親和性または基質との相互作用能力のいずれかにより、チロシンキナーゼによるシグナル伝達を調節すると考えられる。
【0031】
より詳細には、本発明の組成物は、例えば癌、線維症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、関節炎、ならびに糖尿病性網膜症のような異常な脈管形成および/または血管新生に関する他の障害のような、増殖障害、線維障害または代謝障害を含む疾患を治療する方法に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明化合物、具体的には実施例2〜6、8および9の化合物の製造についての一般的な反応式を示す。
【0033】
【図2】図2は、本発明化合物、具体的には実施例12および13の化合物の製造についての一般的な反応式を示す。
【0034】
【図3】図3は、本発明化合物、具体的には実施例15、16、19および21の化合物の製造についての一般的な反応式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「製薬的に許容される塩」は、遊離塩基の生物学的効果および特性を保持し、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸との反応により得られる塩を意味する。
【0036】
「アルキル」は、直鎖、分枝鎖または環状の飽和脂肪族炭化水素を意味する。好ましいアルキル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、1〜7個の炭素の低級アルキルであり、もっとも好ましくは1〜4つの炭素である。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。アルキル基は場合により、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、ジメチルアミノおよびSHからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていることもある。
【0037】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖、分枝鎖または環状の不飽和炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、1〜7個の炭素の低級アルケニルであり、もっとも好ましくは、1〜4つの炭素である。アルケニル基は場合により、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、ジメチルアミノおよびSHからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていることもある。
【0038】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖、分枝鎖または環状の不飽和炭化水素を意味する。好ましいアルキニル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、1〜7個の炭素の低級アルキニルであり、もっとも好ましくは、1〜4つの炭素である。アルキニル基は場合により、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、ジメチルアミノおよびSHからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていることもある。
【0039】
「アルコキシル」は、「O−アルキル」基を意味する。
【0040】
「アリール」は、共役したパイ電子系を有する、少なくとも1つの環を有する芳香族基を意味し、炭素環式アリール、ヘテロ環式アリールおよびビアリール基を含む。アリール基は場合により、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、NO2、アミン、チオエーテル、シアノ、アルコキシ、アルキルおよびアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていることもある。
【0041】
「アルカリル」は、アリール基と共有的に結合しているアルキルを意味する。好ましくは、そのアルキルは低級アルキルである。
「炭素環式アリール」は、環原子が炭素であるアリール基を意味する。
【0042】
「ヘテロ環式アリール」は、環原子として1〜3つのヘテロ原子を有し、残りの環原子が炭素であるアリール基を意味する。ヘテロ原子としては、酸素、硫黄および窒素が挙げられる。従ってヘテロ環式アリール基としては、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0043】
「ヒドロカルビル」は、炭素および水素原子のみを有する炭化水素基を意味する。好ましいヒドロカルビル基は1〜20個の炭素原子を有し、より好ましくは、1〜12個の炭素原子であり、もっとも好ましくは、1〜7個の炭素原子である。
【0044】
「置換ヒドロカルビル」は、1つ以上であるが、すべてではない水素および/または炭素原子がハロゲン、窒素、酸素、硫黄もしくはリン原子、またはハロゲン、窒素、酸素、硫黄もしくはリン原子を含む基、例えばフルオロ、クロロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、オキサ、オキソ、ホスフェート、チオールなどにより置き換わっているヒドロカルビル基を意味する。
【0045】
「アミド」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリールまたは水素である−C(O)−NH−Rを意味する。
「チオアミド」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリールまたは水素である−C(S)−NH−Rを意味する。
【0046】
「アミン」は、R’およびR”が独立して、アルキル、アリールおよびアルキルアリールからなる群から選択される−N(R’)R”基を意味する。
「チオエーテル」は、Rがアルキル、アリールまたはアルキルアリールである−S−Rを意味する。
【0047】
「スルホニル」は、Rがアリール、C(CN)=C−アリール、CH2CN、アルキルアリール、スルホンアミド、NH−アルキル、NH−アルキルアリールまたはNH−アリールである−S(O)2−Rを意味する。
【0048】
具体的に本発明化合物は、以下の第1表〜第3表の化合物から選択される。
第1表: 置換1−アミノメチル−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン類似体
【化5】

【表1】

第2表: 置換1−アミノメチル−3−[(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)メチレン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン類似体
【化6】

【表2】

第3表: 置換1−アミノメチル−3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン類似体
【化7】

【表3】

【0049】
実施例15、16および19に記載するように、bが0であるためR1はHとして与えられる。実施例15および16にて、aが0であるためRはHとして与えられる。
【0050】
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達、より詳細にはレセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼシグナル伝達を調整および/または調節することが可能な化合物に関する。
【0051】
レセプターチロシンキナーゼを介するシグナル伝達は、特定の成長因子(リガンド)との細胞外相互作用、次いでレセプターの二量化、内在性タンパク質チロシンキナーゼ活性の一時的な刺激およびリン酸化により開始される。それにより結合部位が、細胞内シグナル伝達分子について創製され、適切な細胞応答(例えば、細胞分裂、代謝効果および細胞外微小環境に対する応答)を促進するある領域の細胞質シグナリング分子との複合体の形成をもたらす。
【0052】
成長因子レセプターにおけるチロシンのリン酸化部位が、シグナリング分子のSH2(srcホモロジー)ドメインについての高親和性結合部位として機能することが示されている。レセプターチロシンキナーゼと結合するいくつかの細胞内基質タンパク質が同定されている。それらは次の二つの主なグループに分けることができる: (1)触媒ドメインを有する基質、および(2)そのようなドメインを有しないが、アダプターとして機能しうり、触媒的に活性な分子と結合する基質。レセプターとそれらの基質のSH2ドメインとの相互作用の特異性は、リン酸化されたチロシン残基を囲む隣接アミノ酸残基により決定される。SH2ドメインと特定のレセプター上のホスホチロシン残基を囲むアミノ酸配列との結合親和性の差異は、それらの基質リン酸化プロファイルにて観察される差異と一致する。これらの観察は、各レセプターチロシンキナーゼの機能が、その発現のパターンおよびリガンド利用性によってだけでなく、特定のレセプターにより活性化される下流のシグナル伝達経路のアレイによっても決定されることを示唆している。従ってリン酸化は、特定の成長因子レセプター、ならびに分化因子レセプターにより補充されるシグナリング経路の選択性を決定する重要な調整工程を提供する。
【0053】
チロシンキナーゼシグナル伝達は、他の応答の中で、細胞増殖、分化および代謝を引き起こす。異常細胞増殖は、例えば癌腫、肉腫、白血病、膠芽腫、血管腫、乾癬、アテローム性動脈硬化症、関節炎および糖尿病性網膜症(または例えば黄斑変性症のような非制御の血管新生および/または脈管形成に関する他の障害)のような新生物の発生などの、広範囲の障害および疾患を引き起こすことがある。
【0054】
それゆえ本発明は、RTKおよび/または非レセプターチロシンキナーゼの酵素活性に影響を及ぼし、そのようなタンパク質によって伝達されるシグナルを妨げることにより、チロシンキナーゼシグナル伝達を調整、調節および/または阻害する化合物を目的とする。より詳細には本発明は、癌腫、肉腫、白血病、赤芽球腫、膠芽腫、髄膜腫、星細胞腫、黒腫および筋芽腫を含むが、それらに限定されない多くの固形腫瘍を治療する治療アプローチとして、RTKおよび/または非レセプターチロシンキナーゼを介するシグナル伝達経路を調整、調節および/または阻害する化合物を目的とする。適応は、脳癌、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、血液癌、肺癌および骨癌を含むことができるが、それらに限定されない。
【0055】
化学的安定性
本発明の実施例12の化学的安定性を、pH1、pH3およびpH7における緩衝液を用いて研究した。実施例12はアセトニトリル中200μg/mLにて製造し、pH1、pH3およびpH7における緩衝液中20μg/mLに希釈した。実施例12はpH3にて約20時間およびpH1にて約38時間の半減期(t1/2)を有することを測定した。実施例12のpH7.4における半減期(t1/2)は30分未満であった。
【0056】
本発明化合物についての生物学的データを、次のアッセイの使用により得た。
【0057】
インビトロVEGF刺激Ca++シグナル
自動化FLIPR(フルオロメトリックイメージングプレートリーダー)法を使用し、蛍光色素を負荷した内皮細胞における細胞内カルシウムレベルのVEGF誘発性増大の阻害剤についてスクリーニングした。HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞,Clonetics)を37℃/5%CO2にて一晩、96ウェルのフィブロネクチンでコーティングしたブラックウォールドプレートに播種した。細胞に、カルシウム指示薬Fluo−4を37℃にて45分間、負荷させた。細胞を4回洗浄(Original Cell Wash, Labsystems)し、細胞外色素を取り除いた。試験化合物を100%DMSO中にて再構成し、細胞に加えて0.1%の最終DMSO濃度を得た。スクリーニングのために、細胞を単一の濃度10μMまたは0.01〜10.0μMの範囲の濃度にて試験物質により30分間プレインキュベーションし、次いでVEGF刺激(5ng/mL)させた。516nmにおける蛍光変化を、冷却したCCDカメラを用いて、96ウェルすべて同時に測定した。非刺激、刺激および薬物治療サンプルについての最大−最小蛍光レベルを決定することにより、データを得た。試験化合物についてのIC50値を、阻害剤の非存在下におけるVEGF刺激応答の阻害百分率から計算した。
【0058】
VEGFR2キナーゼアッセイ
ヒトVEGFレセプター(VEGFR−2)の細胞質ドメインを、加工したバキュロウィルスを用いて昆虫細胞に感染させた後、ヒスチジンのタグを付した融合タンパク質として発現させた。His−VEGFR−2を、ニッケル樹脂クロマトグラフィーを用いたSDS−PAGEにより決定し、精製して均質化した。キナーゼアッセイを、10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中pH7.2〜7.4にてポリ−Glu−Tyr(4:1)30μgで一晩コーティングした96ウェルのマイクロタイタープレート中にて行った。プレートを1%BSAによりインキュベーションした後、反応開始前にPBSで4回洗浄した。反応は、キナーゼ緩衝液(50mM Hepes緩衝液pH7.4、20mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化マンガンおよび0.2mM Na3VO4)中3.6μM ATPを含む120μL反応容量で行った。試験化合物を100%DMSO中にて再構成し、これを反応物に加えて5%の最終DMSO濃度を得た。精製タンパク質0.5ngの添加により、反応を開始した。25℃10分間のインキュベーション後、0.05%Tween−20を含むPBSにより反応物を4回洗浄した。モノクローナル抗ホスホチロシン抗体ペルオキシダーゼ結合体100μlをPBS−Tween−20中1:10000に希釈し、30分間ウェルに加えた。PBS−Tween−20により4回洗浄した後、過酸化尿素を含むリン酸−クエン酸緩衝液中のO−フェニレンジアミンジヒドロクロリド100μlをペルオキシダーゼについての比色基質として7分間ウェルに加えた。各ウェルに2.5N硫酸100μlを添加することにより反応を終了させ、492nmにセットしたマイクロプレートELISAリーダーを用いて記録した。化合物阻害についてのIC50値は、ブランク値を引いた後の化合物濃度に対する光学密度(任意のユニット)のグラフから直接計算した。
【0059】
モルモットにおけるVEGF誘発性真皮溢出(Milesアッセイ)
オスのハートレーモルモット(300〜600g)をイソフルランで麻酔し、毛を刈り、薬物または各ビヒクルを単回投与した。第3表にて特に明記しない場合は、モルモットに経口投与した。薬物治療の終了10分前に、モルモットをイソフルランで麻酔し、PBS中0.5%エバンスブルー色素(EBD)(13〜15mg/kg用量のEBD)を静脈注射した。5分後、rhVEGF165100ng/PBS100μlおよびPBS100μlのみの三重皮内注射を脇腹に投与した。20分後、各動物をペントソールで安楽死させ、イメージ分析のため、皮内注射部位を含む皮膚を取り出した。
【0060】
PCにつないだアナログビデオカメラを用い、透光させた各皮膚サンプルのイメージを記録し、ImagePro4を用いて各注射部位の積算光学密度を測定した。各皮膚サンプルについて、VEGF部位の平均光学密度とPBS部位の平均光学密度との差は、その動物におけるVEGF誘発性EBD溢出の尺度である。これらの測定値を研究群ごとに平均化して各実験条件についての平均VEGF誘発性EBD溢出を決定し、次いで群平均を比較し、薬物治療群におけるVEGF誘発性EBD溢出の阻害をビヒクル治療対照に対して評価した。
【0061】
50%阻害(ID50)に必要な用量を決定するために、マイクロソフトエクセルソフトウェアの「ベスト−フィット」分析を用いて、阻害百分率データを経口用量の関数としてプロットした。プロットデータを用いることにより、ID50値を視覚的に検証した(50%y値からの水平線とベスト−フィットラインとの交差点にてx軸(用量)へ垂直線を下ろす)。
【0062】
ラットにおけるレーザー誘発性脈絡膜新血管形成(CNV)(CNVアッセイ)
上記のように、このモデルにおいて、CNVを誘発させて定量した(Edelman and Castro. Exp. Eye Res. 2000; 71: 523-533)。0日目に、オスの茶色ドブネズミ(200〜300g)をケタミン100mg/kgおよびキシラジン10mg/kgで麻酔し、1%トロピカミドで瞳孔を広げた。干渉性Novusアルゴンレーザーの青−緑セットを用いて、3レーザー熱傷(0.1sについて90mW; 直径100μm)を視神経乳頭のまわりの網膜血管間の各眼球に当てた。指示されたビヒクル中の試験化合物をラットに1日1回経口投与した。
【0063】
10日目にて、ラットを100%CO2により屠殺し、FITC−デキストラン(MW2x106)10mg/mlを用いた血管灌流により血管をラベルした。スポットデジタルカメラおよびPCとつないだ外蛍光マイクロスコープ(20x)を用い、各眼球からのRPE−脈絡−強膜の平坦な丘からイメージを得、ImagePro4ソフトウェアを用いて各レーザー損傷内の超蛍光新血管により占められた領域を測定した。
【0064】
50%阻害(ID50)に必要な用量を決定するために、マイクロソフトエクセルソフトウェアの「ベスト−フィット」分析を用いて、阻害百分率データを経口用量の関数としてプロットした。プロットデータを用いることにより、ID50値を視覚的に検証した(50%y値からの水平線とベスト−フィットラインとの交差点にてx軸(用量)へ垂直線を下ろす)。
上記アッセイの結果を以下の第4〜6表に示す。
第4表: VEGF刺激Ca++シグナルアッセイおよびVEGFキナーゼアッセイデータ
【表4】

第5表: モルモットにおけるVEGF誘発性真皮溢出(Milesアッセイ)の結果
【表5】

第6表: ラットレーザー脈絡膜血管形成アッセイ結果
【表6】

sid=1日1回投与
【実施例】
【0065】
本発明をさらに、次の非限定的実施例により説明する。
実施例1
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
オキシンドール137mg(1.03mmol)、ピロール−2−カルボキシアルデヒド115.1mg(1.21mmol)およびピペリジン40μL(0.404mmol)のメタノール2.0mL中での混合物を3時間加熱還流した。混合物を氷浴中にて冷却し、形成された固体をろ過により集め、標記化合物208mg(96%)を黄色固体として得た。
【0066】
実施例2
1−ピペリジン−1−イルメチル−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン0.60g(2.85mmol)、パラホルムアルデヒド0.13g(4.28mmol)およびピペリジン0.24g(2.85mmol)のエタノール5mL溶液を60〜70℃まで14時間加熱した。反応混合物を−20℃まで1時間冷却し、生成した細かな黄色固体をろ過により集めた。集めた固体を真空乾燥し、標記化合物を黄色固体0.68g(77%)として得た。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 13.17 (br s, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.67 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.37 (m, 1H), 7.22 (m, 1H), 7.18 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.06 (ddd, J = 7.3, 7.3, 1.2 Hz, 1H), 6.88 (m, 1H), 6.37 (m, 1H), 4.58 (s, 2H), 2.54 (br s, 4H), 1.46 (m, 4H), 1.33 (br m, 2H).
【0067】
実施例3
1−モルホリン−4−イルメチル−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン120mg(0.57mmol)、パラホルムアルデヒド32mg(1.1mmol)およびモルホリン62.2μL(0.71mmol)の20%ジオキサン/エタノール8.0mL中の混合物を19.5時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、パラホルムアルデヒド10.0mg(0.33mmol)、モルホリン15μL(0.17mmol)およびエタノール7mLを加えた。反応混合物を24時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。残渣をクロロホルム15mLに溶解し、活性炭で処理した。得られた懸濁液をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンで結晶化し、標記化合物88.0mg(50%)を明黄色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 13.03 (br s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.66 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.35 (br s, 1H), 7.19 (m, 2H), 7.05 (m, 1H), 6.86 (m, 1H), 6.35 (m, 1H), 4.56 (s, 2H), 3.52 (m, 4H), 2.53 (m, 4H).
【0068】
実施例4
1−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン120mg(0.57mmol)、パラホルムアルデヒド17mg(0.57mmol)および1−メチルピペラジン63μL(0.57mmol)のエタノール4.0mL中の混合物を6.5時間加熱還流した。室温にて23時間放置した後、混合物を濃縮して3mL溶媒とし、ヘキサン1mLを加えた。得られた溶液を0℃まで冷却し、形成された黄色固体をろ過により集めた。集めた固体を希塩酸30mLおよび酢酸エチル20mLで分液した。有機層を取り出し、水層を酢酸エチル15mLで洗浄した。水層を飽和炭酸水素ナトリウムでpH8まで塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンで結晶化して標記化合物38mg(21%)を明黄色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 13.35 (br s, 1H), 7.46 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.19 (dd, J = 7.8, 7.6 Hz, 1H), 7.14 (br s, 1H), 7.06 (dd, J = 7.6, 7.6 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.75 (m, 1H), 6.36 (m, 1H), 4.57 (s, 2H), 2.69 (br s, 4H), 2.41 (br s, 4H), 2.24 (s, 3H).
【0069】
実施例5
1−[(3−メトキシ−プロピルアミノ)メチル]−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン120.0mg(0.571mmol)、パラホルムアルデヒド17.1mg(0.571mmol)および3−メトキシプロピルアミン58.2μL(0.571mmol)のエタノール4.0mL中の混合物を6.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、22時間放置した。反応混合物をろ過し、フィルターケーキを30%酢酸エチル/ヘキサンですすいだ。ろ液を減圧濃縮し、エタノール4mLを加えた。反応物をさらに19.5時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、希塩酸30mLおよび酢酸エチル20mLで分液した。有機層を取り出し、水層を酢酸エチル15mLで洗浄した。水層を飽和炭酸水素ナトリウムでpH8まで塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチル層をろ過した後、濃縮した。得られた固体42.5mgをクロロホルムに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(1/1ヘキサン:アセトン)により精製して標記化合物1.5mg(1%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 13.40 (br s, 1H), 7.50 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.21 (m, 1H), 7.16 (m, 1H), 7.07 (m, 1H), 6.95 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.77 (m, 1H), 6.38 (m, 1H), 4.81 (s, 2H), 3.37 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.24 (s, 3H), 2.69 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 1.72 (quintet, J = 6.5 Hz, 2H).
【0070】
実施例6
1−ブチルアミノメチル−3−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン120.0mg(0.571mmol)、パラホルムアルデヒド17.1mg(0.571mmol)およびブチルアミン56.4μL(0.571mmol)のエタノール5.5mL中の混合物を2.5時間加熱還流した。次いで反応混合物をヘキサン2mLで処理し、0℃まで冷却した。次いで反応混合物をろ過し、Z−(1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンを除去した。ろ液を希塩酸および酢酸エチルで分液した。有機層を取り出し、水層を酢酸エチル15mLで洗浄した。水相を飽和炭酸水素ナトリウムでpH8まで塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、黄色油状物58mgを得た。油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(1:1/ヘキサン:酢酸エチル)により精製し、標記化合物51.6mg(31%)を黄色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 13.41 (br s, 1H), 7.51 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.17 (br s, 1H), 7.09 (m, 1H), 6.96 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.78 (m, 1H), 6.39 (m, 1H), 4.83 (s, 2H), 2.61 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 1.43 (m, 2H), 1.29 (m, 2H), 0.86 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
【0071】
実施例7
5−クロロ−3−(1H−ピロール−2−イル−メチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
5−クロロオキシンドール6.98g(41.6mmol)、3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボキシアルデヒド5.12g(41.6mmol)およびピペリジン410μL(4.16mmol)のエタノール200mL中の混合物を8時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過して標記化合物4.50g(40%)を赤/橙色固体として得た。
【0072】
実施例8
5−クロロ−3−(3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−イルメチレン)−1−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
5−クロロ−3−(1H−ピロール−2−イル−メチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン260mg(0.96mmol)、ピペリジン95μL(0.96mmol)およびパラホルムアルデヒド43mg(1.44mmol)のジオキサン5mLおよびエタノール5mL懸濁液を80℃まで15時間加熱した。得られた溶液を室温まで冷却した後、−20℃まで1時間冷却した。形成された固体をろ過により集め、エタノールですすいだ(先に−20℃まで冷却)。集めた固体を真空乾燥し、標記化合物180mg(51%)を黄−橙色固体として得た。
【0073】
実施例9
5−クロロ−3−(3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−イルメチレン)−1−モルホリン−4−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
5−クロロ−3−(1H−ピロール−2−イル−メチレン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン120mg(0.44mmol)、モルホリン39μL(0.44mmol)およびパラホルムアルデヒド20mg(0.66mmol)のジオキサン8mLおよびエタノール2mLの懸濁液を80℃まで15時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、モルホリン25μL(0.28mmol)およびパラホルムアルデヒド16mg(0.50mmol)で処理した。反応混合物を80℃にて4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、窒素雰囲気下、部分的に濃縮した。反応混合物を−20℃まで冷却した。形成された固体をろ過により集め、エタノールですすいだ(先に−20℃まで冷却)。集めた固体を真空乾燥し、標記化合物85mg(52%)を橙色固体として得た。
【0074】
実施例10
3−ヒドロキシメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
オキシンドール1.33g(10.0mmol)およびギ酸エチル2.42mL(30.0mmol)のスラリーに、21重量%ナトリウムエトキシド/エタノール4.85mLを加えた。粘稠溶液を室温にて30分間撹拌した後、還流温度にて30分間加熱した。溶液を10%塩酸水溶液でpH=3まで酸性にし、水5mLを加えた。形成された固体をろ過し、水ですすぎ、標記化合物1.34g(83%)を黄白色固体として得た。
【0075】
実施例11
3−[(4−モルホリノフェニルアミノ)メチレン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
4−モルホリノアニリン8.3g(51.5mmol)のテトラヒドロフラン100mL溶液を、3−ヒドロキシメチレン−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン5.5g(30.9mmol)で一度に処理した。反応混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチル125mLで処理し、得られた懸濁液を40℃にて2時間加熱した。懸濁液を室温まで冷却し、固体を吸引ろ過により集め、酢酸エチルで洗浄した。得られた固体を真空乾燥し、標記化合物10.1g(92%)を黄色固体として得た。
【0076】
実施例12
3−[(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)メチレン]−1−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
3−[(4−モルホリノフェニルアミノ)メチレン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン17.3g(53.8mmol)およびパラホルムアルデヒド2.43g(80.9mmol)のエタノール125mL溶液をピペリジン5.87mL(59.3mmol)で処理した。次いで黄色沈殿物が形成されるまで、反応混合物を5時間還流温度にて加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過により集め、エタノールで洗浄し、真空乾燥して標記化合物21.5g(95%)を黄色固体として得た。
【0077】
実施例13
1−モルホリン−4−イルメチル−3−[(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)メチレン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
3−[(4−モルホリノフェニルアミノ)メチレン]−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン0.71g(2.21mmol)およびパラホルムアルデヒド0.10g(3.33mmol)のエタノール8mL溶液をモルホリン213μL(2.44mmol)で処理した。次いで黄色沈殿物が形成されるまで、反応混合物を還流温度にて一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過により集め、エタノールで洗浄し、真空乾燥して標記化合物0.769g(83%)を黄色固体として得た。
【0078】
実施例14
3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
水素化ナトリウム(鉱油中60%)6.0g(150mmol)のDMF300mL懸濁液に、オキシンドール10.0g(75.1mmol)/DMF50mLを8分にわたって加えた。室温にて15分間撹拌した後、フタリド13.1g(97.6mmol)/DMF50mL溶液を1分にわたって加えた。混合物を1.25時間撹拌した後、水1100mLに注いだ。4%塩酸水溶液を添加して黄色固体を得、これをろ過し、水ですすいで標記化合物8.75g(47%)を得た。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 10.41 (s, 1H), 9.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.65 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.10 (ddd, J = 7.6, 7.6, 1.0 Hz, 1H), 6.95 (ddd, J = 7.6, 7.6, 1.0 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.81 (s, 2H).
【0079】
実施例15
3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン4.32g(17.3mmol)、パラホルムアルデヒド0.99g(32.9mmol)およびピペリジン2.14mL(21.7mmol)のエタノール192mLおよびジオキサン48mL中の混合物を18.5時間還流温度にて加熱した。溶液を減圧濃縮して100mL容積とした後、1時間還流して析出物を溶解させた。混合物を室温まで冷却し、沈殿物をろ過して標記化合物3.728gを明黄色固体として得た。ろ液を酢酸エチルで結晶化することにより、さらに標記化合物0.52gを得た。これらを集め、標記化合物4.248g(71%)を明黄色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 9.67 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.68 (m, 2H), 7.58 (m, 1H), 7.18 (dd, J = 7.8, 7.6 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 7.6, 7.6 Hz, 1H), 5.83 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.52 (br s, 4H), 1.45 (m, 4H), 1.32 (br s, 2H).
【0080】
実施例16
3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1−モルホリン−4−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
3−(3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン4.32g(17.3mmol)、パラホルムアルデヒド0.99g(32.9mmol)およびモルホリン1.89mL(21.7mmol)のエタノール192mLおよびジオキサン48mL中の混合物を18.5時間還流温度にて加熱した。溶液を減圧濃縮して100mL容積とした後、1時間還流して析出物を溶解させた。混合物を室温まで冷却し、形成された固体をろ過により集め、明黄色固体4.19gを得た。ろ液を酢酸エチルで結晶化することにより、さらに黄色固体0.72gを得た。集めた物質を酢酸エチルで結晶化し、標記化合物2.49g(41%)を細かい黄色針状物として得た。
1H NMR (500 MHz, d6-DMSO) δ 9.67 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.6Hz, 1H), 7.68 (m, 2H), 7.58 (m, 1H), 7.19 (m, 1H), 7.14 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.05 (m, 1H), 5.84 (s, 2H), 4.53 (s, 2H), 3.53 (m, 4H), 2.54 (br s, 4H).
【0081】
実施例17
5−ジメチルアミノフタリドの製造
シアノ水素化ホウ素ナトリウム8.42g(134mmol)を5−アミノフタリド5.0g(33.5mmol)および37%CH2O/水溶液24.9mL(335mmol)の撹拌したアセトニトリル120mL懸濁液に加えた。混合物を室温にて1時間撹拌し、0℃まで冷却して10%酢酸水溶液120mLを加えた。次いで混合物を室温にて1時間撹拌し、アセトニトリルが残存しなくなるまで減圧留去した。得られた混合物を酢酸エチル(2x125mL)で抽出した。集めた有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液125mLおよび食塩水125mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去して乾燥し、明茶色固体を得、これを熱メタノール10mLでトリチュレーションして標記化合物3.9g(66%)を灰白色固体として得た。
【0082】
実施例18
3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
オキシンドール938mg(7.05mmol)のDME20mL溶液を0℃まで冷却し、窒素雰囲気下2.5M n−BuLi/ヘキサン溶液6.2mL(15.5mmol)を滴下した。混合物を0℃まで10分間撹拌した。5−ジメチルアミノフタリド1.0g(5.64mmol)を一度に加えた。混合物を窒素雰囲気下、室温まで昇温し、3時間撹拌した。次いで濁った混合物を0.5M塩酸水溶液(0℃)に激しく撹拌しながらゆっくり加えた。得られた混合物を1M水酸化ナトリウム溶液でpH=9まで中和した。形成された黄色析出物をろ過により集め、水で洗浄し、真空乾燥した。得られた固体を熱メタノール20mLでトリチュレーションし、ろ過により集め、標記化合物990mg(60%)を明黄色粉状物として得た。
【0083】
実施例19
3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン550mg(1.88mmol)、パラホルムアルデヒド141mg(4.7mmol)およびピペリジン240mg(2.82mmol)のエタノール20mL中の混合物を還流温度にて一晩撹拌し、室温まで冷却した。冷却により形成された固体をろ過により集め、エタノール5mLで洗浄し、真空乾燥して標記化合物655mg(89%)を明黄色結晶として得た。
【0084】
実施例20
5−クロロ−3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
5−クロロオキシンドール1.18mg(7.05mmol)のDME20mL溶液を0℃まで冷却し、窒素雰囲気下2.5M n−BuLi/ヘキサン溶液6.2mL(15.5mmol)を滴下した。混合物を0℃にて10分間撹拌した。5−ジメチルアミノフタリド1.0g(5.64mmol)を一度に加えた。混合物を窒素雰囲気下、室温まで昇温し、3時間撹拌した。次いで濁った混合物を0.5M塩酸水溶液(0℃)に激しく撹拌しながらゆっくり加えた。得られた混合物を1M水酸化ナトリウム溶液でpH=9まで中和した。形成された黄色析出物をろ過により集め、水で洗浄し、真空乾燥した。得られた固体を熱メタノール20mL、次いで酢酸エチル10mLでトリチュレーションし、ろ過により集め、標記化合物900mg(49%)を明黄色粉状物として得た。
【0085】
実施例21
5−クロロ−3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1−ピペリジン−1−イルメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オンの製造
5−クロロ−3−(5−ジメチルアミノ−3H−イソベンゾフラン−1−イリデン)−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン400mg(1.22mmol)、パラホルムアルデヒド91mg(3.05mmol)およびピペリジン156mg(1.83mmol)のエタノール20mL中の混合物を還流温度にて一晩撹拌し、室温まで冷却した。冷却により形成された固体をろ過により集め、エタノール5mLで洗浄し、真空乾燥して標記化合物500mg(97%)を明黄色結晶として得た。
【0086】
本発明は、本発明の単一の態様のみの実例として意図される例示された具体的態様による範囲に限定されない。実際、本明細書に記載のものに加えて本発明の種々の改変は、上記記載から当業者に明白となるであろう。そのような改変は、本特許請求の範囲に含まれるものと意図される。
本明細書に引用されるすべての参考文献は、引用により本明細書にそのまま包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式IIまたはIII:
【化1】

[式中、
XはOまたはC(R22であり、
Yは[C(R22cであり、
AはNR2であるか、または存在せず、
1は独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択され、
2は水素、C1〜C8アルキル、(CR89dC(O)OR10、COCH3、CH2CH2OH、CH2CH2CH2OHおよびフェニルからなる群から選択され、
Rはハロゲン、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択され、
3およびR4は独立して、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビル基(ここに、該置換ヒドロカルビルはハロゲン、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択されるか、またはR3およびR4は窒素原子と一緒になって、上記ヘテロ原子で置換されていることもある環式基を形成することができ、
5およびR6は独立して、水素、アルキルおよびアリール基からなる群から選択され、但し、上記アルキルまたはフェニル基は1〜3つのハロ、ヒドロキシル、低級アルキルオキシまたは低級アルキルアミノ基で置換されていてもよく、
10は水素、C1〜C8アルキルまたはアリールアルキルであり、
aは0または1〜3の整数であり、
bは0または1〜3の整数であり、
cは1〜2の整数であり、
dは0または1〜5の整数であり、
eは2〜5の整数であり、
波線はEまたはZ結合を示し、そしてArはアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリール(ここに、該置換アリールまたはヘテロアリールはハロゲン、窒素、リン、硫黄および酸素からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されている)からなる群から選択される]
で示される化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−225582(P2011−225582A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123575(P2011−123575)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2004−570761(P2004−570761)の分割
【原出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】