説明

発光体及び受光体及び関連する方法

【課題】発光体に色彩の変化パターンを発光させ、そのパターンでデータを送信するとともに発光体の位置を特定する方法において、データ送信速度の向上を図る。
【解決手段】RGBの3色を用いて色彩変化パターンを発光させ、その中のRの波形に、輝度変化明でデータを表す明暗波形を重畳させて送信する。領域の色彩変化はCCD等を用いて検出し、明暗波形はフォトダイオードなどの光電変換素子を用いて検出する。CCDは数10fps程度の頻度で画像データを出力するので、データ速度もこの程度のデータ速度が限界となる。一方、明暗波形を受光する受光素子は一般的には数MHz〜数GHz程度の周波数を検出できるので、より高速なデータ通信が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時間の経過とともに発光体の発光色彩を変化させることによって、データを表現する方法に関する。具体的には、本発明は、前記発光体がデータを表す場合の発光様式を定め、かかる発光様式に基づき発光する様子をキャプチャすることによって、発光様式に基づくデータを解読すると同時に、前記発光体の位置すなわちキャプチャした画面上での位置と、を認識する技術に関する。
【0002】
特に、本発明は、上記色彩発光に含まれた光の周期的に変化する波形を検知してより高密度なデータの送信を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0003】
(1)光を利用した従来の通信技術
遠隔通信手段として光を用いるものが従来から種々知られている。
【0004】
これら光を使用した典型的な通信技術の1種として、光の強弱(点滅等)の時間的長さの組み合わせを符号化してデータを送信する技術が知られている。
【0005】
このような従来の技術においては、通常、光の受光手段は、フォトダイオード(フォトトランジスタ)等の素子が用いられる。
【0006】
このような従来の光の波形(強弱)による通信では、受光側がCCDやCMOSのようなエリアセンサはあまり用いられていなかった。エリアセンサを用いた場合に、光の強弱によるデータ通信を実現しようとした場合は、CCDやCMOSが撮像する各フレーム毎の光像の強さの検出することになる。よってフレームレートのタイミングズレ等により、フレームレートより高速な通信を正確に行うことは困難であると考えられる。したがって、安定した通信を実現しようとした場合は、フレームレートより遅い通信しか期待できないと考えられる。以下、CCDやCMOS等のエリアセンサとなりうる素子を、単に「CCD等」と呼ぶ。
【0007】
しかし、一般的な可視光を対象としたCCD等は、ビデオカメラ、デジタルカメラ等広く用いられており、近年は携帯電話やノート型コンピュータにも搭載される例が増えており、極めて身近な存在として知られている。したがって、このCCD等を用いた通信が行えれば便利である。
【0008】
本願発明者が独自に発明した色彩を変化させてデータを表す技術
ところで、本願発明者は、既に発光体が発光する光の色彩の変化を使って、データを符号化して通信する技術を開発し、完成させるに至った。特に、この技術では、上記データ通信を行えるとともに、エリアセンサにて色彩発光する発光体の位置を同時に認識できることを特徴とする。このような技術について、本願出願人は、既に特許出願、特願2008−212973を行っている(以下、973号特許出願と呼ぶ)。
【0009】
しかしながらエリアセンサを使用してる以上、本方式は、発光点が単数である限り通信速度はエリアセンサのフレームレートに制約を受ける。すなわち、各フレーム画像間における色彩の差異を検出しているので、このフレームレート以上の変化をとらえることは困難である。すなわち、フレームレートで色彩が変化するのが最速である。
【0010】
例えば、3色の色彩変化の場合、前フレーム色(例えばR)に対して変化する種類はGかBの2つのみであり、したがって各フレーム毎に毎回常に色彩が変化しても、送出できるデータ量は最大1ビット/フレームである。例えば、30fpsであれば毎秒、30ビットが最大データ送出量となる。
【0011】
従来の光通信の送信レート
一方、通常の光通信では受光はフレームレートの存在しない単一受光素子を使用する場合が多い。例えば、フォトダイオード等である。ケースバイケースで異なるが、いわゆる高周波信号にも追従でき、高周波の速度で、受光波形を電気信号に変換することができ、高速通信が可能である。
【0012】
先行特許文献の例
例えば、下記特許文献1には、照明装置や光表示装置の可視光を用いて通信を行う通信システムが開示されている。特に、消費電力の低減が図れる通信システムが開示されている。
【0013】
また、下記特許文献2には、可視光情報提供装置が開示されている。特に、データが提供されている範囲を知ることができる装置が開示されていると考えられる。
【0014】
また、下記特許文献3には、位置測定用のターゲットの周囲に発光手段を設け、周囲の明暗に左右されずに、ターゲットを容易に画像認識することができる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−236667号公報(NTT)
【特許文献2】特開2007−141250号公報(NEC)
【特許文献3】特開2001−1595219号公報(日立プラント建設)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
このように、従来のフォトダイオード等を用いた通信手法では、高速な通信が可能であるが、位置を特定することは困難である。
【0017】
その一方、本願発明者が発明したCCD等のエリアセンサを用いた自動認識コードの技術では、光学式自動認識コードの位置を知ることが可能であるが、高速な通信は困難であった。
【0018】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、位置検知が可能であり、且つ、高速な通信を行うことができる技術を提供することである。ここで、高速とは、短時間で多量の情報を送受信できることが言うが、具体的には、上述したような既存のCCD等のデータ取得量(伝送量)より多いデータの送受信が可能になる程度のデータ速度を言う。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1グループの発明
本グループの発明は、色彩変化パターンに用いる色彩の一部又は全部を明暗変化の発光にも用いた構成を採用する。
【0020】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、第1の色彩の発光手段と、第2の色彩の発光手段と、前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光させる第1制御手段と、前記第1の色彩の発光手段、又は、前記第2の色彩の発光手段のいずれかを制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表すことを特徴とする発光体である。
【0021】
(2)本発明は、上記課題を解決するために、第1の色彩の発光手段と、第2の色彩の発光手段と、第3の色彩の発光手段と、前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、前記第3の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光する色彩を変化させて発光を行わせる第1制御手段と、前記第1の色彩の発光手段及び前記第2の色彩の発光手段及び前記第3の色彩の発光手段の、少なくともいずれか1個の発光手段を制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表すことを特徴とする発光体である。
【0022】
(3)また、本発明は、上記(1)記載の発光体において、前記第1の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、前記第1の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、を含み、前記光路分割手段は、前記第2の色彩の発光手段が発する光を前期第1の色彩の発光手段が発するする光と同軸の方向に反射し、前記第1の色彩の発光手段が発する光と、前記第2の色彩の発光手段が発する光とが前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体である。
【0023】
(4)また、本発明は、上記(2)に記載の発光体において、前記第1の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、前記第1の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、前記光路分割手段は、前記第2の色彩の発光手段及び前記第3の色彩の発光手段が発する光を前期第1の色彩の発光手段が発するする光と同軸の方向に反射し、前記第1の色彩の発光手段が発する光と、前記第2の色彩の発光手段が発する光と、前記第3の色彩の発光手段が発する光とが、前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体である。
【0024】
(5)また、本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発光体において、前記第2の制御手段は、その発光強度を制御する対象であるいずれかの前記発光手段を、前記第1の制御手段が発光させている場合にのみ、その発光強度を制御することを特徴とする発光体である。
【0025】
(6)また、本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発光体において、前記第2の制御手段は、その発光強度を制御する対象であるいずれかの前記発光手段が発光している期間のうち、一部の期間においてのみ、その発光強度を制御することを特徴とする発光体である。
【0026】
(7)また、本発明は、上記(5)又は(6)記載の発光体において、前記第1の制御手段は、前記第2の制御手段がいずれかの前記発行手段を制御している場合、前記発光手段の発光状態を継続させることを特徴とする発光体である。
【0027】
(8)また、本発明は、上記(1)から(7)のいずれかに記載の発光体において、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がLEDであることを特徴とする発光体である。
【0028】
(9)また、本発明は、上記(1)から(7)のいずれかに記載の発光体において、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする発光体である。
【0029】
第2グループの発明
本グループの発明は、IRで明暗発光を行い、可視光によって色彩変化パターンの発光を行う構成を採用する。
【0030】
(10)本発明は、上記課題を解決するために、第1の色彩の発光手段と、第2の色彩の発光手段と、第3の色彩の発光手段と、前記第1、第2、第3の色彩以外の第4の色彩の発光手段と、前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、前記第3の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光する色彩を変化させて発光を行わせる第1制御手段と、前記第4の色彩の発光手段を制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表し、前記第1、第2、第3の色彩は可視光であり、前記第4の色彩は、可視光以外の波長帯域の色彩であることを特徴とする発光体である。
【0031】
(11)本発明は、上記(10)に記載の発光体において、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、を含み、前記光路分割手段は、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段が発する光を前記第4の色彩の発光手段が発する光と同軸の方向に反射し、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段が発する光と、前記第4の色彩の発光手段が発する光とが、前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体である。
【0032】
(12)また、本発明は、上記(10)又は(11)記載の発光体において、前記第4の色彩は、赤外光(IR)であることを特徴とする発光体である。
【0033】
(13)また、本発明は、上記(10)〜(12)のいずれかに記載の発光体において、前記第1、第2、第3、第4の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がLEDであることを特徴とする発光体である。
【0034】
(14)また、本発明は、(10)〜(12)のいずれか1項に記載の発光体において、前記第1、第2、第3、第4の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする発光体である。
【0035】
第3グループの発明
上記発光体において、データXとデータYとの関係について、技術的特徴を付加した発明である。
【0036】
(15)また、本発明は、(1)〜(14)のいずれかに記載の発光体において、前記データXと、前記データYは互いに相関しており、データYに対して、予め定められた演算処理を施すことによって、前記データXが導き出されることを特徴とする発光体である。
【0037】
(16)また、本発明は、上記(15)記載の発光体において、前記データXは、その発光体を表す固定のIDであり、前記データYの中には、前記データXが所定の箇所に埋め込まれていることを特徴とする発光体である。
【0038】
第4グループの発明
これまで述べてきた発光体からの光を受光して原データを復号する受光装置の発明である。
【0039】
(17)本発明は、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発光体からの発光を受光し、前記データX及びデータYを得る受光装置において、所定の光学系と、前記光学系が結像した像の位置に配置され、前記結ばれた像を検出するエリアセンサと、光電変換素子と、データ復号手段と、を有し、前記光電変換素子は、前記発光を受光し、前記明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から前記データYをデコードし、前記エリアセンサは、前記光学系が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置である。
【0040】
(18)また、本発明は、上記(17)に記載の受光装置において、前記所定の光学系と、前記エリアセンサとの間に設けられた光路分割手段、を含み、前記光路分割手段によって分割された一部の光が前記光電変換素子に導かれ、前記光電変換素子は、前記導かれた光の明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、前記光路分割手段に分割された一部の光以外の残りの光は前記エリアセンサに受光され、前記エリアセンサは、前記残りの光が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置である。
【0041】
(19)また、本発明は、上記(17)又は(18)記載の受光装置において、前記光路分割手段は、ハーフミラーであることを特徴とする受光装置である。
【0042】
(20)また、本発明は、上記(17)〜(19)のいずれかに記載の受光装置において、前記光電変換素子は、フォトダイオードであることを特徴とする受光装置である。
【0043】
(21)また、本発明は、上記(17)〜(20)のいずれかに記載の受光装置において、前記光電変換素子と、前記光路分割手段と、の間には前記明暗波形が重畳されている色彩のみを透過する第1の色彩フィルタが設けられていることを特徴とする受光装置である。
【0044】
第5グループの発明
第2グループの本発明に対応する受光装置の発明は、以下の通りである。
【0045】
(22)本発明は、上記課題を解決するために、上記(10)〜(14)のいずれかに記載の発光体からの発光を受光し、前記データX及びデータYを得る受光装置において、所定の光学系と、前記光学系が結像した像の位置に配置され、前記結ばれた像を検出するエリアセンサと、光電変換素子と、データ復号手段と、を有し、前記光電変換素子は、前記発光を受光し、前記明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、前記エリアセンサは、前記光学系が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置である。
【0046】
(23)また、本発明は、上記(22)記載の受光装置において、前記所定の光学系と、前記エリアセンサとの間に光路分割手段が設けられ、前記光路分割手段によって分割された一部の光線が導かれた前記光電変換素子は、前記導かれた光の明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、前記光路分割手段によって分割された残りの光線が導かれた前記エリアセンサは、前記残りの光線が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置である。
【0047】
(24)また、本発明は、上記(23)に記載の受光装置において、前記データ復号手段が求めた前記所定の色彩変化パターンの領域の位置を入力し、前期位置が前記光電変換素子の視野角内に位置するように、前記所定の光学系の光軸を制御すする光軸制御手段、
を含み、前記発光体が発する光のうち、前記光路分割手段によって分割された一部の光線を、前記光電変換素子に導入することを特徴とする受光装置である。
【0048】
(25)また、本発明は、上記(22)から(24)のいずれかに記載の受光装置において、前記光路分割手段は、ハーフミラーであることを特徴とする受光装置である。
【0049】
(26)また、本発明は、上記(22)〜(25)のいずれかに記載の受光装置において、前記光電変換素子は、フォトダイオードであることを特徴とする受光装置である。
【0050】
(27)また、本発明は、上記(22)〜(26)のいずれかに記載の受光装置において、前記光電変換素子上に赤外線透過フィルタが設けられていることを特徴とする受光体である。
【0051】
(28)また、本発明は、上記(22)〜(26)のいずれかに記載の受光装置において、 前記エリアセンサ上に赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする受光体である。
【0052】
(29)また、本発明は、上記(22)〜(28)のいずれかに記載の受光装置において、前記データ復号手段は、前記データYに所定の処理を施して、前記データXを得、前記データYを、この得られたデータXが対応する領域の位置のデータYであると認識することを特徴とする受光装置である。
【0053】
(30)また、本発明は、上記(24)に記載の受光装置に、前記発光体が発する光を導入する方法において、前記データ復号手段が前記所定の色彩変化パターンの領域の位置を求めるステップと、前記光軸制御手段が、前記位置が前記光電変換素子センサの視野角内に来るように前記所定の光学系の光軸を制御するステップと、を含み、前記発光体が発する光のうち、前記光路分割手段によって分割された一部の光線を、前記光電変換素子に導入する方法である。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、色彩変化発光に明度変化波形を重畳することで発光位置が判別でき、且つ高速データを通信できる手段を得ることができる。
【0055】
また、色彩変化発光とは別の波長帯域において(赤外線等)明度変化波形を送信し、それらが送信するデータの間に一定の関連性を持たせた。したがって、色彩変化波形と明度変化波形とを重畳した場合と同様に、発光位置の特定と高速なデータ通信を同時に実現することができる。
【0056】
また、複数の発光体に同時に発光させ、これらの光を同時に受光し、各々の発光体を区別して各発光体毎のデータと位置を認識することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】色彩変化発光の概念と、それに重畳する明暗変化発光(明暗波形)の概念を示す概念図である。
【図2】発光体の構成図である。
【図3】複数の光源(発光体)からの複数投光を受光することができる受光光学系の概念図である。
【図4】Rの一部に明暗波形が重畳されている一例を示す説明図であり、特に、R発光の期間が延長されている例を示す説明図である。
【図5】IRを、色彩変化に用いるRGB等と重畳して同位置から発光させるように構成した発光体の構成図である。
【図6】図5の発光体の発光形態の様子を示すタイムチャートである。
【図7】IR重畳発光を受光する受光手段の一例を示す構成図である。
【図8】LDから発光される光と、LEDから発光される光とを重畳して同位置から発光されるように構成した発光体の構成図である。
【図9】全ての色彩をLDで発光させ、各LDから発光される光を重畳して同位置から発光させるように構成した発光体の構成図である。
【図10】受光装置の光学系の構成の他の例を示す説明図である。
【図11】光源の導入動作の例を示す説明図である。
【図12】発光部と受光部が一体となった光学系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。
【0059】
A.第1実施の形態
第1 原理(色彩変化発光と、明暗波形との組み合わせ)
1−1 色彩変化発光
色彩変化発光とは、色彩を時間の経過とともに変化させ、その変化によってデータを表させる技術であり、本願発明者は、既に上記973号特許においてこの技術を特許出願している。
【0060】
図1には、この色彩変化発光の概念図が示されている。3本の各列は、R(赤)、G(緑)、B(青)を各色彩の光の発光/消灯状態を表しており、横軸は、時間の経過(右側に向かって時間が経過していく)を表す。
【0061】
この図1に示すように、色彩変化発光は、RGB等の異なる色彩を所定の順番で交互に「色彩変化」させて発光させる。この色彩の変化がデータを表し、いわゆる自動認識コード等を実現できるものである。
【0062】
ここで、自動認識コードとは、いわゆるバーコードや、近年のRFID等のように、対象物に付されて、その対象物のIDや、各種情報を担持させるコードを言う。このような自動認識コードによれば、商品(対象物)の情報が瞬時にコンピュータ等に取り込むことができるので、スーパーマーケットのレジ(バーコード)や、物流の分野で広く用いられている。
【0063】
バーコード等は、白バーと黒バーとを並べるすなわち空間的に輝度(明度)を変化させてデータを表しているが、上記色彩変化の技術では、時間的に色彩を変化させてデータを表している。
【0064】
明暗波形
このような色彩変化の波形、例えばRの波形に「明暗波形」を重畳させて、データ通信速度の向上を図ることが考えられる。その概念が図1に示されている。
【0065】
明暗波形は、いわば輝度(明度でも良い)の変化であり、このような輝度の変化を用いてデータ通信を行うことは、典型的には光ファイバ等で従来から行われている。また、レーザー光を用いた遠距離通信技術等も知られているが、これも光の輝度変化によって、データを表すものである。
【0066】
本実施の形態では、これら輝度(明度)変化を用いたデータ通信を行うための光の強度変化を表す波形を、便宜上「明暗波形」又は「明暗変化パターン」と呼ぶ。
【0067】
本実施の形態において特徴的なことは、このように、「色彩変化」の波形の一部又は全部に、「明暗変化」によるデータ通信を重畳させたことである。
【0068】
この結果、本願発明者が上記973号特許において既に提案した色彩変化発光を用いて対象物の位置検出を行いつつ、高速なデータ通信を行うことが可能である。
【0069】
このとき、「色彩変化」発光が表すデータをX、「明暗波形」信号が表すデータをYとする。通常、「明暗波形」は高周波化が可能なので、表すことができるデータ量について言えば、
データ量(Y) >> データ量(X)
である。
【0070】
ここで、本実施の形態では、データ「Y」とデータ「X」との間に所定の関連性を持たせている。このような関連性を持たせることによって、XとYとを結びつけることができ、その結果、対象物の位置の検出とともに、その対象物に関するデータであるYを高速に取得することができたものである。
【0071】
このような関連性を設ける簡単な例としては、データ「Y」の中に結びついている「X」を記載しておけば良い。又は、データ「X」の中に、結びついている「Y」を記載しておいても良い。
【0072】
より正確な処理を行うためには、データ「Y」に所定の数学的処理を施すことによって、「X」を導けるようにXとYの関係を規定しておくことが好適である。このような数学的処理は、特許請求の範囲の「演算処理」の好適な一例に相当する。
【0073】
発光体の構成
さて、図1に示すような、色彩発光中の所定の1色に明暗波形を重畳させることができる発光体の構成図が図2に示されている。
【0074】
図2に示すように、送信対象であるデータXk、Ykが、それぞれ記憶手段10a、10bに格納されている。これらは例えばフラッシュメモリ等であり、別体ではなく、同一の記憶手段を用いても良い。
【0075】
第1制御手段12aは、データXkの内容に基づき、色彩変化パターンを形成し、このパターンに基づき、R、G、Bの発光状態を表す信号を出力する。これらの信号は例えば、「1」なら発光を表し、「0」なら消灯を表す信号である。
【0076】
一方、第2制御手段12bは、データYkの内容に基づき、明暗変化パターンを形成し、このパターンに基づき、Rの発光状態を表す信号を出力する。
【0077】
次に、Rドライバ14aは、第1制御手段12a、第2制御手段12b、からのそれぞれの信号を受信し、いずれか一方の信号が「発光」を表す場合(例えば、両信号が「1」である場合)にのみ、赤色LED16aを発光させる。データのコーディング手法によっては、第2制御手段12bからの信号は反転させてからRドライバに供給しても良い。
【0078】
いずれにしても、第1制御手段12aからの信号が「発光」を指示する場合に、第2制御手段12bからの信号が重畳されて、赤色LED16aに加えられる。
【0079】
本実施の形態において特徴的なことは、このようにして、赤色LED16aが発光しているときに、所定のデータを高速で通信するための明暗波形が赤色LED16aの発光に重畳されることである。このような構成によって、フォトダイオード等の受光素子が赤色の光を受光し、明暗波形を取り出すことによって、データYkを高速に受信することが可能になる。その一方、CCD等が赤、青、緑の色彩変化パターンを検出して、データXkを取得する。
【0080】
Bドライバ14bは、第1制御手段12aからの信号に基づき、所定の色彩変化パターンで、青色LED16bを駆動し、発光、消灯を行わせる。同様に、Gドライバ14cは、第1制御手段12aからの信号に基づき、所定の色彩変化パターンで、緑色LED16cを駆動し、発光、消灯を行わせる。
【0081】
なお、図2の例では、Xk、Ykのデータそのものを格納しているが、発光パターンである明暗波形及び色彩変化パターンを格納しても良い。また、図2の記憶手段10a10bは一体に構成しても良い。また、第1制御手段12a、第2制御手段12bも単一のプロセッサが双方の動作を実現することも好適である。更に、図2では、R、G、Bの各LEDを用いる例を示したが、いわゆるフルカラーLEDを用いて3色の光を単一の発光手段で発光させてもかまわない。
【0082】
1−2 複数の発光体
特に、上記色彩変化発光の発光体が1〜nまでn個存在したとき、データ「Yk」から一意的にデータ「Xk」が導き出せるようにしておけば、どのXkとどのYkが組み合わせられるか識別することができる。ここで、kは1〜nの整数である。
【0083】
そのような演算処理は種々存在する。例えば、ハッシュ関数を用いて、Ykから、Xkを求めることも好適である。その他、種々の関数を利用することが可能である。用途によっては、その関数処理を秘密化しておき、暗号通信のごとき構成を採用することも好適である。
【0084】
ところで、色彩変化で表されるデータ「X」は通常その発光体(又は、発光体の付された物体)固有のIDであるケースが多い。これは、上述したように、色彩変化の変化速度をCCD等でキャプチャするので、高速なデータ通信が困難なため、ID程度の小規模なデータとして利用することが多いためである。
【0085】
このため、そのIDに対応する一定の発光パターンを繰り返し発光するように構成することが好適である。
【0086】
1−3 データ「Y」を表す明暗波形の埋め込みの手法
したがって、その発光パターンの中では、Rが現れる回数とタイミングは予め決定されている。これを考慮すれば、例えば、Rに「明暗波形」を重畳する場合、通常、一回のRの発光を単位として明暗波形を埋め込むか、又は、上記パターンの1サイクルを一つの単位として明暗波形を埋め込むか、のいずれかとすることがシンプルで好適である。
【0087】
図1では、1回のR発光毎に、データ「Y」を表す明暗波形を埋め込んでいく例が示されている。また、例えば、パターンの1サイクル上でR発光が12回出現する場合、波形データ「Y」を12分割して各Rに重畳することが好適な一例として考えられる。また、6分割して、R発光2回あたり1回データを重畳させることも好適である。
【0088】
なお、この「R発光2回あたり1回データを重畳させる」という例は、請求の範囲の記載において、「発光強度を制御する対象である発光手段が発光している期間のうち、一部の期間においてのみその発光強度を制御する」という動作の一例に相当する。
【0089】
逆に、データ「Y」を24分割して、それらをR発光毎に埋め込めば、発光パターンの2サイクルで、データ「Y」を表すことが可能である。この場合も、パターンの1サイクル上でR発光が12回出現する場合を前提としている。
【0090】
1−3−1 1回のR発光に対して、データ「Y」を表す明暗波形を埋め込む場合
データ「Y」のデータ量にも依存するが、一般的な商品管理情報の場合は、1回のR発光中で、データ「Y」を全て埋め込める場合も多い。なお、データ量が多い場合は、後述する図4に示すように、重畳するRの発光時間を他に比べて長くとることも大変好ましい。
【0091】
色彩変化パターンを利用する場合は、各色彩の発光時間の自由度が高いので、送信するデータ量に応じて、発光時間を調整することができる。言い換えれば、「色彩変化」の場合、色彩の変化・遷移に基づき「X」を表し、また検知を行うので、読み取られるデータは、各色彩の発光時間には直接依存しないという性質を有するためである。なお、このように、各色彩の発光時間の変動がデータに影響を及ぼさないことは、色彩変化発光の良好な特性の一つである。
【0092】
1−4 埋め込む対象の色彩
これまでは、色彩のRの発光に明暗波形を埋め込む例を示したが、波形データを重畳する色彩は必ずしもRである必要はない。BやGに埋め込むことも好適である。
【0093】
1−4−1 3色のうちいずれか1色に対する埋め込み
このように、BやGに明暗波形を埋め込んでもかまわない。更に、3色として、本例のようにRGBを選択する必要はなく、C(シアン)、M(マゼンタ)Y(イエロー)等の色彩を用いることも好適である。また、他の任意の3色でもかまわない。
【0094】
また、色彩の数に特段の制限はない。環境によっては、2色でも良いし、条件さえ許せば4色以上の色彩を用いてもかまわない。
【0095】
更に、必ずしも可視光に限られず、赤外光や紫外光を含む色彩を利用することも好適である。この場合は、赤外線や紫外線も色彩の1種として考えている。広く色彩とは「波長」であると考えても良い。なお、赤外線や紫外線を用いる場合は、それらの光を検知できるセンサ、CCD等を用いることは言うまでもない。
【0096】
1−5 3色全色に対する埋め込み
更に、1色にだけでなく全色に「明暗波形」を重畳することも好適である。
【0097】
この場合、明暗波形を受光する素子は、3波長を受光可能な素子を利用することが必要である。このような素子の例が、次に述べる図3の受光素子として示されている。
【0098】
なお、3波長の光を受光する単一の素子の代わりに、複数の受光素子をそれぞれに光路分割手段とともに配置し、各波長光をそれぞれ分担して受け取る方式なども考えられる。
【0099】
1−6 複数の発光体からの光を受光する装置構成(概念図)
図3には、上記複数の光源(発光体)からの複数投光を受光することができる受光光学系の概念図、その受光装置の概念図が示されている。
【0100】
図3に示すように、まず、結像光学系20によって、色彩発光による光はCCD等のエリアセンサ22上に結像する。
【0101】
ここで発光体Aの像はA’、発光体Bの像はB’の位置に結像する。この位置はエリアセンサ22の出力信号を解析することによって容易に認識することができる。これは、すなわち、画像処理によって、所定の色彩変化が生じている領域・位置を上記A’、B’として認識することである。同時に、各像A’、B’の色彩変化から、色彩変化によって表されたデータ、すなわちXを認識することができる。
【0102】
この動作は、色彩変化発光によって、発光体の位置を求める動作であり、本願発明者が既に特許出願をした内容である。
【0103】
簡単に言えば、図示されていないデータ復号手段が、画像処理を行うことによって、所定の色彩変化を生じている領域を検出して、発光体の位置を求める動作である。このようなデータ復号手段は、コンピュータ等を用いて構成することが好ましいが、画像処理を行い、色彩があるパターンで変化していく領域を見つけ出すことができる手段であればどのような手段でもかまわない。また、このデータ復号手段は、この検出した色彩の変化パターンからそのパターンが表すデータ、すなわち上述したデータXを復号する。この結果、データ復号手段は、発光体の位置を求めるとともに、その発光体のID(すなわちデータX)を得ることができる。
【0104】
更に、本実施の形態において特徴的なことは、光学系内に設けられたハーフミラー24の光路分割手段で、一部の光がエリアセンサ22ではない一般的な受光素子26に導かれていることである。そして、この受光素子26によって、上述した明暗波形が検出されるのである。
【0105】
この受光素子26は、上述したように、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの一般的な光センサが用いられる。なお、本例では、R光に明暗波形が重畳されているため、受光素子26の前面には、Rの波長付近の光のみを透過する色彩フィルタが設けられており、ノイズの影響を受けにくく構成している。
【0106】
さて、受光素子26は、上述のごとくフォトダイオード等の光電変換素子であり、信号上に重畳された「明暗波形」に対して広範囲な周波数帯域にわたって光電変換を行う。ごく一般的なフォトダイオード等を用いれば、数MHz以上の周波数の波形変化を検知することができる。そのため、上述した色彩変化によるデータの通信(数10Hz程度の周波数による通信)に比して、はるかに大量のデータ通信を行うことができる。
【0107】
この受光素子26上では発光体Aの光像はA’’となり(図3参照)、受光素子26により光電変換された電気信号(波形)をデコード処理すれば、原データ「Y」が得られる。このように、光の明暗波形で、データを通信する技術は、従来から光ファイバ等で用いられているので、その技術をそのまま利用すれば良い。より広くとらえれば、信号のON/OFFでデジタルデータを送る技術は、CDやDVDその他の広い分野で利用されているので、目的やデータ量等に応じてそれらの符号化・復号化技術、変調・復調技術を用いれば良い。
【0108】
次に、発光体Bの光像は受光素子26上でB’’となり(図3参照)、これによって得られた電気信号をデコード処理すれば、原データ「Y」が得られる。
【0109】
なお、本例のように複数の「明暗波形」が同時に発光を行い、それらを事実上同時に受信する場合は、一般的な変調・復調技術を利用して、それぞれの発光信号を識別することが好適である。例えば、上記発光体Aは、明暗波形を1000kHzで振幅変調して出力し、発光体Bは明暗波形を1200kHzで振幅変調して出力することが好適な一例である。このように発光信号を変調しておき、受光側で1000kHzで復調すれば発光体Aの信号が得られ、受光側で1200kHzで復調すれば発光体Bの信号が得られることは容易に理解できよう。
【0110】
その他、既に知られている様々な変調・復調方式を応用すれば、数多くの発光体を容易に分離可能であることは明らかである。
【0111】
ここで、先に述べたように、本実施の形態では、明暗波形から得られたY,Yから一意的にX,Xが包含されていることが判明するので、YはXと関連づけられていることが認識される。更に、Yは、CCD上のXの位置と関連づけられて認識される。
【0112】
同様にYはXと関連づけられ、更にCCD上のXの位置と関連づけられて認識される。
【0113】
本実施の形態では、例として「Y,Yから一意的にX,Xが包含されている」ことを挙げたが、Y,Yから一意的にX,Xが求められ関連性を認識できれば、どのような手段を用いても良い。
【0114】
ところで、明暗波形を受光する受光素子26上では図3に示すように、発光体A、発光体Bの受光素子に対する像であるA’’,B’’が同時に受光されるので、受光素子26で得られる受光信号は両者の波形信号の和となる。しかしながら、例えば、通常のラジオ放送の信号の検波等と同様に、ベース周波数を異ならせておく等の方式で容易に分離可能であり、ABの同時受信は分離に障害とならない。例えば、上述したように、搬送周波数を異なる周波数として変調を行い、受信した信号から所定の搬送周波数の信号のみを復調・検波することによって、発光体Aからの信号と、発光体Bからの信号とを容易に分離することができる。
【0115】
1−7 発光時間の調整
図4には図1等で既に説明したように、Rの一部に明暗波形が重畳されている一例を示す説明図である。縦軸は、光の強度(輝度)であり、いわゆる明暗を表す。横軸は時間の経過を表し、左から右へ時間が進む。
【0116】
先に述べたように、色彩変化発光によるID検知は、色彩変化(遷移)を検出してその順番でコードを表す考え方に基づくものであり、発光の時間そのものには特段の規定はない。そのため、一部の発光時間が長くなってもかまわない。色彩変化発光では、各色彩の発光時間を自由に選ぶことができるように構成したので、環境(明るい、暗い、迷光が多い、迷光が少ない、周囲の輝度変化が激しい・・・など)に応じて、発光時間を選択でき、且つ、送信中でもリアルタイムに調整できるので、効率の良い正確な通信が可能である。
【0117】
そこで、本実施の形態でも、例えば、Rの発光時間を一時的に又は恒常的に調整(長く)することができる。これは、請求の範囲に記載の、第1の制御手段が、第2の制御手段がいずれかの発光手段を制御している場合、「発光手段の発光状態を継続させる」という動作の好適な一例に相当する。
【0118】
図4では、Rの一箇所の発光時間を延ばし、その部分に波形を重畳させる例を示している。
【0119】
1−8 IR重畳発光
さて、図4や図1等で示してきたように、色彩変化発光で用いている色彩の一部又は全部に明暗波形を重畳する例を説明してきた。しかし、色彩変化発光で用いる色彩(ここではRGB)以外に、明暗波形を伝送する色彩として赤外光(IR)を用いて、このIRを前記RGBに重畳させることも好適である。
【0120】
この場合、受光側では受光素子26がIRの受光素子として構成することが好適である。また、受光素子26の前面の色彩フィルタ28をIRフィルタ等に置き換えることが好適であろう。
【0121】
一方、発行側では、色彩変化発光を重畳した赤外光(IR)を、RGB等の色彩変化に用いるRGB等の色彩と同じ位置から発光するように工夫する必要がある。
【0122】
図5には、このようにIRを、色彩変化に用いるRGB等と重畳して同位置から発光させるように構成した光学系(発光体)の構成図が示されている。この図5の例では、IRの発光源以外にRGB発光源(LED等)が厳密に位置関係を同じくするために光軸上にハーフミラーを設けて、外部から見て、両者の光軸が一致するように構成している。
【0123】
図5に示すように、まず、赤外線発光素子30が明暗波形の信号を受信して、明暗波形が施された赤外光を発する。なお、図示されてはいないか、図5の赤外線発光素子30には、その赤外線発光素子30を駆動するドライバが接続されており、更にそのドライバには、図2における第2制御手段12bの信号が供給されている。このような構成によって赤外線発光素子30から発せられた赤外線は、投光レンズを介して外部に放出される。
【0124】
本実施の形態において特徴的なことは、この赤外線の光軸の途中に45度傾いたハーフミラー34が設けられていることである。このハーフミラー34は、図5のRGB3色発光LED36が発する色彩変化の光を、上記赤外線と同方向に反射する。
【0125】
この結果、色彩変化に用いるRGB光を、赤外線と同位置から同方向に放射することが可能である。
【0126】
なお、図5のRGB3色発光LED36は、図2におけるLED16a、16b、16cと同等の役割を果たす。また、図2と同様に、このRGB3色発光LED36にも、所定のドライバが接続されており、このドライバがRGB3色発光LEDを駆動する。そして、このドライバには図2と同様に第1制御手段が接続される。図示されていないその他の構成も図2と同様である。
【0127】
このような図5による発光形態の様子が図6のタイムチャートに示されている。
【0128】
この図6では、上段から、IR(赤外光)、R、G、Bの各光の発光強度(輝度)変化が示されており、横軸は時間の経過である。左から右に向かって時間が経過している。
【0129】
さて、図6に示すように、色彩変化で用いるRGB以外の発光であるIR光はそのままで明暗波形を伝えることが可能である。言い換えれば、RGBとは形式的には独立してデータ通信を行える。ただし、下記に述べるように、両者には一定の関連性を備えさせているので、発光体の位置と、IRで送信するデータとを組み合わせて認識することが可能である。
【0130】
1−9 IR重畳発光受光部
明暗波形を乗せる対象としてIRを利用し、このIRを色彩変化の光(例えばRGB)と重畳して発光させる場合を上で説明したが、これを受光する装置の構成を説明する。
【0131】
図7には、上記IR重畳発光を受光する受光部の構成の一例を示す構成図が示されている。上述した図3と同様に、光軸上に設けられたハーフミラー40で光路が分割され、一部の光は、エリアセンサ42上に導かれ、他の一部の光は受光素子44に導かれる。このような点では、図3と同様である。
【0132】
ここで、受光素子44上には赤外透過フィルタ46を設け、赤外線のみを受光素子44に供給することが分離の点で好ましい。同様に、エリアセンサ42上には赤外カットフィルタ48を設けておけば、赤外光と色彩変化光との分離がより確実になるので好ましい。
【0133】
もちろん、受光素子44が、赤外線のみに感度を有し、通常の可視光には全く反応しない特性を予め有している場合は、上記赤外透過フィルタ46は不要である。同様に、エリアセンサが可視光のみに感度を有し、赤外光を全く検知しないのであれば、上記赤外カットフィルタ48は省略することができる。
【0134】
このような構成によって、受光素子44から赤外光に乗った明暗波形の信号を得て、この信号をデコードすることによって、データ「Yk」を得ることができる。また、エリアセンサ42の出力する画像信号から、所定の色彩変化パターンが生じている領域の位置(ポジション:図7参照)を検知することができ、且つ、検出した色彩変化パターンをデコードすることによって、データ「Xk」を得ることができる。
【0135】
1−10 データ「X」とデータ「Y」の関係
以上述べたように、本発明は、色彩変化パターンによる通信に明暗波形による通信を組み合わせて、データ速度の向上を図ることができる。データ速度は、明暗波形による通信の方が大きいので、送ろうとする主たるデータはデータ「Y」に乗せて通信されることが多くなると考えられる。
【0136】
この主たるデータとしては、例えば、IDや固定された同一のファイルデータのように、同一で変化しないものを繰り返し送出するケースと、いわゆる汎用の通信のように時間の経過とともに不定に変化するケースと、の2種のケースが考えられる。
【0137】
いずれのケースも、位置関係(すなわち、データ「Xk」側のデータ)との合致が得られることが本発明では重要な点である。したがって、いずれのケースでも「Y」について所定の処理を行うことによって「X」が得られる必要がある。
【0138】
(1)「Y」として送信したいデータが単一のデータの繰り返しの場合
例えば、
「X」=「123」、
「Y」を用いて送出したいデータが=「abcdefghijklmn」
の場合を検討しよう。
【0139】
さて、「Y」は、「X」と関連づけるため、「Y」を、「123 abcdefghijklmn」と設定し、これを繰り返して送信することが簡単な例の一つとして考えられる。
【0140】
この場合、「Y」は、「123abcdefghijklmn123abcdefghijklmn…」と一定周期のデータが送られることになる。
【0141】
このように、一定周期毎に「X」である「123」を含ませたデータを作成し、所定のルールを定めて「123」を数学的に導く手法を採用することが好ましい。簡単な例で行うには、この場合は数字を「X」と見なし、それ以外のアルファベット等が送信者が送信したいデータであると認定することが考えられる。言い換えれば、Xとして使用できるパターン、Yとして利用できるパターンを、それぞれ予め決めておけば、受信側では容易にそれらを分離することが可能である。
【0142】
所定のデータ中に他のデータを埋め込み、後にそのデータを取り出す数学的な手法は種々知られているので、従来から知られているそのような既存の方法を採用することが好適である。
【0143】
例えば、CRC演算のような所定の巡回演算式を決めておき、その計算式で求めた数値が「X」であるように、一定周期毎にチェックデータを付加していくことなどが好適である。その他、既存の音声データや画像データ中に所定のIDを埋め込んでおき、著作権のチェック等も行われているが、そのようなデータの埋め込み技術を利用することも好適である。
【0144】
(2)「Y」として送信したいデータが、汎用の通信データであった場合。
【0145】
また「Y」として送信したい対象がいわゆる汎用の通信(電話通信、ニュース通信、インターネット上のメールの通信等)であった場合は、同一データの繰り返しは期待できない。
【0146】
この場合も、例えば一定の周期毎に
123abcdefghijklmn
123fghijklmnopqrs
123xyzabcdefghijk…
のように、所定のデータ(例えば「Xk」そのもの、又は、「Xk」に所定の演算処理を施したもの)を挿入して、「Yk」を構成する等の方法が考えられる。上の例では、「123」が「Xk」の一例に相当する。上の例では、「Xk」そのもの(「123」)を埋め込む例を説明したが、所定の演算処理を加えたものを挿入していくことも好ましい。
【0147】
(3)色彩変化パターンの時間変化
一方、色彩発光パターンを順次変化させていくことも考えられる。これは、すなわち、Xkを順次変えていくことを意味する。例えば、「123」→「321」→「231」のように所定の条件の下で、Xkを順次変化させていくのである。
変化のさせ方にもよるが、どの部分がXkかを識別することが複雑になる場合も想定される。その場合、例えば「Y」に、一定周期でマーカー符号(例えば「111」)を付加することでデータの切れ目、ひいてはXkの位置を明示的に示すことが可能である。そのような例を以下に示す。
【0148】
111123abcdefghijklmn
111321fghijklmnopqrs
111231xyzabcdefghijk…
このように、区切りを表すマーカー符号とともに、Xkを順次変化させていったものを互いに隣接して挿入した。その結果、マーカー符号(「111」)を検出することによって、それに隣接している「Xk」を順次変化させていったものを検出することができる。そして、残りの部分を「Yk」であると認識することができる。
【0149】
この結果、容易に「Xk」、「Yk」を認識することが可能である。このように、Xkを順次変化させていくことは、例えばセキュリティ上大きな意味を有する。
【0150】
(4) Xkの変化
本実施の形態では、XkとYkとに関連性を持たせることによって、どのXkとYkとが組になるか知ることができた。その結果、Xkから位置とID等のデータを得ることができるとともに、Ykから比較的大量のデータを得ることができる。言い換えれば、高速な通信を行うことができる。
【0151】
しかし、用途によっては、Xkは例えば、ID等として利用されるため、第3者にわかりにくくすることが望まれる場合がある。そこで、上述した(3)で示した例ではXkを順次変化させて、Xkの値の真の値がどれかわかりにくくなるように設定したのである。この結果、セキュリティの点から好ましい結果を得ることができる。
【0152】
したがって、正当な利用者は、Xkがどのように変化していくかある程度知っている必要がある。少なくとも、変化したXk’の値が、本来はXkであることが判明する程度に、変化の手順を理解していく必要がある。
【0153】
上で述べた例は、原Xkの桁を組み替えていく、という「変化」のさせ方を採用している。この変化のさせ方は種々のバリエーションが考えられるが、
・組み替えはランダムに行わせれば、より他人にわかりにくくなる。
・正しい真のXkの値は、利用する対象物の数の個数分必要であるが、その各真の値は、互いにそこに含まれる各桁の数が重複しないことが好ましい。例えば、X1は、「123」であり、X2は「456」であり、X3は、「789」等のように選択する。
【0154】
このように設定すれば、X1である「123」の桁を組み替えても、他のX2、X3の値の桁を組み替えたものと重複しないことは明らかである。したがって、例えば、マーカー符号に隣接する数が「564」であった場合は、直ちにそれはX2「456」であることが判明する。このように、そのような変化のさせ方を知っている正当な本人のみが識別することが可能である。
【0155】
特に、上述したように、組み替えをランダムにすれば、「456」→「564」→「465」→「546」・・・のように、組み替えに一定の規則を設けずにランダムに行うことによって、より他人にわかりにくくなり、セキュリティ上好ましい結果が得られる。
【0156】
第2.まとめ
以上述べたように、色彩変化発光に明度変化波形を重畳することで発光位置が判別でき、且つ高速データを通信できる手段を得ることができる。
【0157】
また、同時に複数の発光体に対して、各々の発光体を区別し、各発光体毎のデータと位置を認識することが可能である。
【0158】
2−1. 応用例1(新しい道路標識)
本実施の形態において説明した発光体、及びその発光体が投光する光を検出する検出装置を用いれば、例えば、新しい種類の道路標識を構成することが可能である。
【0159】
例えば、道路の路側帯等に、上記発光体を標識として設け、一方、検出装置を、自動車等の車両側に設けることが好適である。検出装置には車載カメラが接続され、複数の位置にある上記発光体からなる標識を検出し、その位置とデータを得ることができる。
【0160】
その結果、複数の標識のデータをその位置とともに得ることによって、路肩位置等の路面情報を得て自動走行等に利用するとともに、重畳された詳細情報で路面状況や各種の規制情報・交通情報・道路交通情報を得ることができる。その他、種々の応用が考えられる。
【0161】
例えば、色彩変化パターンによって、位置と近傍の路面情報(冬期は滑りやすい等)を提供するととともに、明暗波形によって、その道路を中心とした一定の範囲の渋滞情報等、多量でリアルタイムに提供することが必要な情報を提供すれば、より利便性の高い情報を車両の運転者に提供することができる。
【0162】
特に、本実施の形態で特徴的なことは、位置の情報とともに大量のデータを高速に通信することが可能なことである。その結果、その車両位置との関連で大量のデータを得ることができる。例えば、まさに今「目の前」にある各建造物の情報を、その建造物の位置との関連で大量にリアルタイムに取得することができるので、運転者にとって利便性の高い仕組みを提供することができる。この場合は、道路標識というよりもむしろ建造物標識と言うべきであろう。
【0163】
2−2. 応用例2(移動車両の認識)
更に、GPS等の使用が難しい屋内や地下等で、動かす各種工事車両等に、本実施の形態の発光体を設けることも好適である。中心の管理室に検出装置を配置し、各移動体を管理することが好適である。この結果、各移動体(工事車両等)の個々の識別、位置確認と運転にまつわる各種データ(燃料残量、回転数、傾斜等々)の取得を同時に行うことができる。
【0164】
すなわち、色彩変化パターンによって、各工事車両の型名等を伝達し、明暗波形で車両の運転状況、燃料(の残量、消費量、消費率)、稼働時間、エンジンの出力・回転数等のリアルタイムの情報を大量に得ることができる。この結果、各移動体の管理を効率的に行うことができる。
【0165】
第3.変形例
(1)これまで説明してきた例では、色彩変化パターンが3色の色彩を用いる場合を主として説明してきたが、2色以上であれば、4色、5色等何色でもかまわない。ただし、現時点では、一般的に3色が好ましいと考えられる。CCDが3色の受光を前提として作製されている場合が多いからである。
【0166】
また、3色の場合、特にR(赤)G(緑)B(青)や、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)が好ましいと考えられるが、他の3色でもかまわない。
【0167】
(2)明暗波形の印可
明暗波形は発光強度を変化させる波形であり、いわば輝度変調でデータを表現するものであるが、そのためには、当然のことながら、対象となる色彩の光が発光されていることが前提となる(例えば図1参照)。
【0168】
(2)−a
したがって、図2の例では、Rドライバ14が、第1制御手段及び第2制御手段しの出力信号を言わばAND(論理積をとる)して得られた信号で、赤色LED16aを駆動することが好ましい一例として考えられる。つまり、Rドライバ14aは、第1制御手段からの信号が「点灯」の場合のみ赤色LED16aを点灯させ、その輝度を、前記第2制御手段12bからの信号によって決定していくのである。
【0169】
(2)−b
又は、図2における第2制御手段が、第1制御手段がRの光を発光している場合にのみ、明暗波形の信号をRドライバ14aに送信するように構成することも極めて好ましい。このように構成すれば、明暗波形で表すデータYを、赤色LED16aの発光と同期させることが容易となり、受信側の受信処理が容易となる。
【0170】
(3)タイムウィンドウの設定
明暗波形を受光する場合、例えば、図3で説明したように、フォトダイオード等の受光素子26が受信するが、この受信の際も、(2)と同様の趣旨で、対象となる色彩が発光されている場合にのみ、受信を行うように構成することが極めて好ましい。この場合、エリアセンサ22からの信号に基づき、受信対象となる発光体から明暗波形の重畳の対象となる色彩が発光されているかどうかの信号を得て、この対象なる色彩が発光されている場合のみ、受光素子26の信号を解析して明暗波形の明暗の様子を検出するのである。このような処理によって、ノイズの影響をより受けにくくすることができ、外乱、雑音に強い受信を行うことができる。
【0171】
(3)−1 受信動作の一例
受信動作は、まず、エリアセンサ22の出力信号から、30fps程度の静止画の列、すなわち動画を得る。その動画を解析することによって、所定の領域における色彩が所定のパターンで変化している部分領域を検出して、その領域の位置を検出対象である発光体の位置である野認識する。また、その発光の色彩変化パターンから上述したデータXを得る。このデータXは、その発光体のIDである場合が多く、このIDからその発光体が何かを知ることができる。
【0172】
このようにして受信した色彩変化パターンから、明暗波形の対象となる色彩(例えばR:図4等参照)が点灯しているか否かが判明する。そこで、この対象となる色彩が点灯している期間のみ、受光素子26からの出力信号を処理して、その明暗から原データYを復号する処理を行うことによって、ノイズに強い受信を行うことができる。
【0173】
このような処理は言い換えれば、受信信号にタイムウィンドウを設定したということである。
【0174】
(3)−2 複数の発光体
発光体が複数存在する場合は、各発光体毎に色彩変化パターンで表されるデータXすなわちIDが異なる。つまり、各発光体毎に色彩変化パターンが異なるため、明暗波形が重畳する色彩(例えばR)が発光するタイミングも、各発光体毎に異なる。
【0175】
この場合、全発光体からの高速なデータを受信する場合は、当然、Rが発光するタイミング全てにおいて受光素子26の信号を受信し、解析する。しかし、一部の発光体からの高速なデータを受信する場合は、その発光体がR光を発光するタイミングのみで受光素子26からの信号を受信することが好適である。
【0176】
(4)同軸発光、2軸発光
IRを用いて明暗波形を送信する例においては、図5に示すように、IRを色彩変化発光で用いる可視光と同軸に発光する例を示した。
【0177】
しかし、必ずしも完全に同軸でなくても、十分に近接させて配置すれば、個別に言わば「2軸(光軸が2軸)」で発光させることも好適である。特に、受光装置が発光体と離れている場合は、2軸でも同軸とほぼ同様の作用・効果が得られる。
【0178】
この構成は、特許請求の範囲に記載の、光路分割手段を設けずに、各発光手段が個別に発光する「発光体」の好適な一例に相当する。
【0179】
(5)同軸受光、2軸受光(IR+可視光の場合)
発光の場合と同様に、受光装置側でも、基本的にはIRと可視光とを同軸で受光することが好ましい(図7参照)。しかし、上記(4)で述べたのと同様の理由で、受光素子44と、CCD42とが、十分に近接して配置されていれば、多くの場合、同軸の場合と同様に受光することが可能である。
【0180】
特に、2軸の構成の場合、それぞれに適した光学系を採用しやすいので、場合によっては、同軸構成より好ましい結果が得られる場合もある。ただし、光学系が2種必要となるので、構成上はより複雑なものとなる。したがって、もし、性能が許せば(例えばハーフミラーによる損失等を無視することができれば)同軸の構成を採用することが好適な場合が多いと考えられる。
【0181】
(6)同軸受光、2軸受光(可視光の場合)
上の(5)では、IRで明暗波形を送信し、可視光で色彩変化パターンを送信する場合の受光装置の構成の例(同軸、2軸)を説明した。しかし、可視光で明暗波形を送信する場合(例えばR光で送信する場合)でも同様に、同軸構成(図3等参照)だけでなく、2軸で構成することも好適である。いずれの構成とするかは、ハーフミラー等による光損失がどの程度許容できるかどうか、エリアセンサ22と受光素子26との大きさ等を、考慮して決めるべきである。
【0182】
(7)色彩フィルタ28
上述した図3で示した色彩フィルタは、例えばR光に明暗波形を重畳する場合は、赤色のフィルタを用いた。もちろん他の色彩、例えばB光等を用いることも好適であり、その場合は、青色フィルタ等を用いることになる。
【0183】
B.第2の実施の形態
これまで、高速通信に供する明暗波形(明暗の点滅)は、色彩変化パターンに用いる色彩の中からいずれかを用いる手法、色彩変化パターンとは別の波長の不可視光(例えば赤外線)を用いる手法、を説明してきた。
【0184】
本第2の実施の形態では、その明暗波形を赤色レーザーダイオードで実現する例、その他の光源として利用した例、その他の例、を説明する。
【0185】
第1 レーザーダイオードの利用
図8には、このような赤色レーザーダイオードが明暗波形の光を発する場合の発光体の構成を説明する構成図が示されている。この図8では、特に光学系部分のみを描いており、レーザーダイオードなどを制御する制御手段等は、図2とほぼ同様であり、図示を省略している。
【0186】
この図8に示されている例は、明暗波形を出力するための赤色レーザーダイオード50と、色彩変化パターンを出力するためのLED52と、を備えている。このLED52は、便宜上、G(緑)色発光ダイオードと、B(青)色発光ダイオードとの組を表す。
【0187】
この図8に示す発光体では、赤色レーザーダイオード50が赤色の光を発しており、LED52が、緑色、青色、の光を発している。そして、LED52が発する光が、赤色レーザーダイオード50が発する光と光軸が同軸になるように、ハーフミラー54を介して反射させている。このようにして同軸に発射された光は、集光レンズ56を介して外部に放射される。
【0188】
一般的に、光の明滅・点滅等の輝度変化は明暗差が明確な方がデータ伝達性が高いと考えられる。したがって、本実施の形態の「明暗波形」においても高速な明暗点滅を重畳する光を発する光源のみLD(レーザーダイオード)にすることが考えられる。一般的には、レーザーダイオードの方がLEDよりも輝度変化の際の明暗差が大きいと考えられるからである。
【0189】
第2 レーザーダイオードの色彩変化パターンへの利用
また、明暗波形を重畳する色彩だけでなく、色彩変化パターンにもいて用いる光も、全てレーザーダイオードで発することが考えられる。図9には、このように全ての色彩をレーザーダイオードで実現した場合の発光体の概念図が示されている。この図9でも、特に光学系部分のみを描いており、レーザーダイオードなどを制御する制御手段等は、図2とほぼ同様であり、図示を省略している。
【0190】
図9に示すように、この発光体は、図8と同様に明暗波形を出力するための赤色レーザーダイオード60を備えている。そして、色彩変化パターンを出力するための緑色レーザーダイオード62と青色レーザーダイオード64と、を備えている。
【0191】
図8と同様に、まず、赤色レーザーダイオード60が赤色の光を発している。そして、緑色レーザーダイオード62が緑色の光を発している。この緑色光は、図9のように、ハーフミラー66を介して反射されて、赤色レーザーダイオード60が発する光と光軸が同軸になるような方向へ向かう。同様に、青色レーザーダイオード64の光は、赤色レーザーダイオード60が発する光や、上述した緑色光と光軸が同軸になるように、ハーフミラー68で反射される。この結果、全ての色彩の光が同軸で同方向への向かうことになる。
【0192】
このようにして同軸に発射された光は、集光レンズ70を介して外部に放射される。このように構成することによって、全ての投光をレーザー光にすることができ、遠方到達性を改善することができる。
【0193】
図9の例では、色彩変化パターンを、赤色レーザーダイオード60及び緑色レーザーダイオード62及び青色レーザーダイオード64の光によって表現している。そして、赤色レーザーダイオード50が発光している期間において、明暗波形を赤色レーザーダイオード50が発光する光に重畳して出力している。
【0194】
なお、赤色レーザーダイオード60を、明暗波形の出力専用に使用し、色彩変化パターンを、緑色レーザーダイオード62及び青色レーザーダイオード64の光によって表現するように構成することも好適である。
【0195】
また、遠方における色彩変化光の「像」自体の大きさを小さく押さえることができるので、いわゆる空間内レーザー光通信(特に移動体同士)に活用することが可能であると考えられる。
【0196】
第3 極小型受光素子の利用
通常、光の明暗を受ける受光素子(本例ではPD:フォトダイオード)は、受光面積が小さいほどSN比が良好であることが知られている。したがって高速通信や、遠方により大光量が見込めない場合、受光素子は極小にせざるを得ない。そこで上記(図9)に示すようにレーザーダイオードを用いて、且つ、各光が同軸に投光された光を受光する受光装置としては、次の図10に示すような構成を採用することが好適である。
【0197】
図10に示す例では、受光装置の特に光学系を中心に描いた説明図である。この図10に示す例は、エリアセンサ80(CCD,CMOS等)に比べてPDの受光面積が極端に小さい例を示している。
【0198】
外部から投射された光は、結像光学系82を通過した後、光路分割手段であるハーフミラー84を経て、エリアセンサ80上に像を結ぶ。また、結像光学系82を通過した光の一部は、ハーフミラー84で反射し、フォトダイオード86で受光される。
【0199】
エリアセンサ80や、フォトダイオード86で得られた信号は、これまで述べたように、コンピュータ等で構成されたデコード手段によって、デコードされ、原データが復号される。この復号動作はこれまで述べた動作と同様である。
【0200】
図10の受光装置のこのような受光動作の場合、エリアセンサ80の視野に投光光像が捉えられていても、PD(フォトダイオード86)に捉えられているとは限らない。これは、フォトダイオード86の方が、エリアセンサ80より小さいので、いわゆる視野角が狭いからである。この様子が図11に示されている。
【0201】
図11には、エリアセンサ80がとらえた視野の様子の説明図が示されている。この図11に示されているように、エリアセンサ80の視野90に比べてフォトダイオード86の視野92は一般に非常に狭い。しかしながら、エリアセンサ80で捉えられている限り、像(=光像)位置は把握できるので、光軸制御手段88(図10参照)で光学系の光軸を動かして、対象物をPD視野に導入することが可能である。
【0202】
この光軸制御手段88は、結像光学系82の光軸を制御する。簡単に言えば、受光装置の「向き」を制御するのである。制御の手法は種々あるが、例えば、受光装置全体を回動可能な雲台上に載置し、この受光装置全体を動かし(回し)てもよい。また、受光装置内の結像光学系82とハーフミラー84部分のみを動かすことも好適である。例えば、天体望遠鏡のように、所定のモータードライブ装置と、このモータードライブ装置を制御する制御回路とから、この光軸制御手段88を構成することが好適な一例であろう。
【0203】
なお、図11の例では、エリアセンサ80の視野90の中央部がフォトダイオード86の視野92となっている。必ずしも中央部である必要はないが、一般には中央部に対象物を位置させることが多いであろうし、またその状態でフォトダイオード86にも光が導入されることが自然な操作となるであろう。
【0204】
さて、導入の動作は、操作者が光軸の制御機構を操作して動かすことも好適である。しかし、これまで述べてきたように、本実施の形態においては、エリアセンサ80上の画像から、所定の対象物が占める領域の位置と、その領域の色彩変化パターンからデータXを算出する動作を説明してきた。
【0205】
この説明から明らかなように、本実施の形態においては、所定の色彩変化パターンが生じている領域の位置を算出している。この動作は、請求の範囲の「色彩変化パターンの領域の位置を求めるステップ」の好適な一例に相当する。したがって、この算出した位置から、対象物の領域を、例えばエリアセンサ80の視野角90の中央に来るように、光学系の光軸を制御することは容易である。例えば、対象物の位置が、視野角90の中央から下に10度、左に15度の位置にあれば、光学系の光軸を、下に10度、左に15度移動させれば、その対象物の領域をエリアセンサ80の視野角90の中央に位置させることができ、その対象物からの光をフォトダイオード86に導入することができる。このような動作は、請求の範囲の「所定の光学系の光軸を制御するステップ」の好適な一例に相当する。
【0206】
このような構成を採用するためには、デコード手段が出力する対象物の領域の位置を、この光軸制御手段88にも供給し、光軸制御手段88にその位置に基づき光軸を移動させれば良い。なお、この場合、位置は、中央部からの偏差に変換してから、光軸制御手段88に供給することが好適であるが、変換処理自体は光軸制御手段88側が行ってもかまわない。
【0207】
空間内レーザー光通信
なお、いわゆる空間内レーザー光通信が知られており、広く利用されている。この空間内レーザー光通信は、投光角度(広がり)が極めて狭く、通常、発光側と受光側とで互いの光軸が一致する必要がある。
【0208】
このような場合に、光軸を一致させるためには、まず、上に述べたような手法で、相手方(発光側)の光像をPD(フォトダイオード)に導き入れる。しかし、これだけでは、発光側と受光側の光軸が一致しておらず十分な光量は得られない。光軸を一致させるためには、相手方(発光側)にも受光部を設け、自分側(受光側)にも発光部を設け、今度は逆に自分側(受光側)の発光部からの投光像を相手方(発光部)の受光部に正確に当てる必要がある。
【0209】
すなわち、相手側の光像を正確に中央部で受けるという作業を、お互いに行えば、原理的には完全に相手方(送信側)と自分側(受信側)との間で光軸を一致させることが可能である。
【0210】
なお、ここで説明した手法においては、自分側にある発光部と受光部との光軸が少なくとも並行であることを選定としている。同様に、相手側においてもその発光部と受光部との光軸が少なくとも平行であることを前提としている。
【0211】
このような構成の発光部と受光部との組の構成が図12に示されている。図12には、発光部と受光部とが一体となった光学系の説明図が示されている。受光装置としては、これまで説明してきたように所定のデコード手段等を、光学系と組み合わせて構成される。
【0212】
さて、図12に示すように、発光部100、受光部120は、それらの光軸がを平行になるように固定され、光軸制御手段140がこれらの光軸を一体として駆動する。光軸を調整する動作は、光学系の一部を構成するプリズムやミラーを駆動することによって行うことも可能であるが、図12の例では、発光部100と受光部120との装置全体を動かすことによって光軸の「向き」を調整している。装置が小型の場合は、図12のように装置全体を駆動してしまうのが簡便である。
【0213】
図12に示すように、発光部100は、赤色レーザーダイオード102と、緑色レーザーダイオード104及び青色レーザーダイオード106を備えており、それらの光がハーフミラー108、110によって同軸に発射される。発射された光は集光レンズ112を介して外部に放出される。
【0214】
図12に示すように、受光部120は、結像光学系122を通じて受光した光はエリアセンサ124上に結像し、画像データとして外部に取り出される。一方、受光した光の一部はハーフミラー126で反射され、受光素子(PD)128にて受光される。受光素子128はこれまで説明してきたように明暗波形を受信し、図示されていないデコード手段がこの信号からデータYを復号する。
【0215】
さて、このような構成の発光部100と受光部120の組み合わせによって、上述したような光軸調整処理によって自分側と、相手側との光軸を合致させることができる。
【0216】
すなわち、受光像によって光軸位置を制御し、光像を受光素子(PD)128の視野内に導き入れることによって、同時に、自分側の投光系が正確に相手側受光光学系に投光することが可能である。相手側でも同様の処理を実行することによって、互いの光軸を一致させることが可能である。なお、本実施の形態においては、LED及びLDを用いる場合について説明したが、もちろん、他の発光手段、例えば白熱電球、各種蛍光灯、有機ELなどを用いることも可能である。LEDを用いれば低消費電力で実現することが可能であり、レーザーダイオードを用いれば鋭いビーム状の光線を発することができ、相手方により強い光を送信することができる。
【符号の説明】
【0217】
10 記憶手段
12 制御手段
14 ドライバ
16 LED
20 結像光学系
22 エリアセンサ
24 ハーフミラー
26 受光素子
28 色彩フィルタ
30 赤外線発光素子
34 ハーフミラー
36 LED
40 ハーフミラー
42 エリアセンサ
44 受光素子
46 赤外透過フィルタ
48 赤外カットフィルタ
50 赤色レーザーダイオード
52 LED
54 ハーフミラー
56 集光レンズ
60 赤色レーザーダイオード
62 緑色レーザーダイオード
64 青色レーザーダイオード
66、68 ハーフミラー
70 集光レンズ
80 エリアセンサ
82 結像光学系
84 ハーフミラー
86 フォトダイオード
88 光軸制御手段
90、92 視野
100 発光部
102 受光部
104 緑色レーザーダイオード
106 青色レーザーダイオード
108、110 ハーフミラー
112 集光レンズ
120 受光部
122 結像光学系
124 エリアセンサ
126 ハーフミラー
128 受光素子(PD)
140 光軸制御手段
A 発光体
B 発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色彩の発光手段と、
第2の色彩の発光手段と、
前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光させる第1制御手段と、
前記第1の色彩の発光手段、及び前記第2の色彩の発光手段のいずれか一方又は両方を制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、
を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表すことを特徴とする発光体。
【請求項2】
第1の色彩の発光手段と、
第2の色彩の発光手段と、
第3の色彩の発光手段と、
前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、前記第3の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光する色彩を変化させて発光を行わせる第1制御手段と、
前記第1の色彩の発光手段及び前記第2の色彩の発光手段及び前記第3の色彩の発光手段の、少なくともいずれか1個の発光手段を制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、
を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表すことを特徴とする発光体。
【請求項3】
請求項1に記載の発光体において、
前記第1の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、
前記第1の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、
を含み、
前記光路分割手段は、前記第2の色彩の発光手段が発する光を前期第1の色彩の発光手段が発するする光と同軸の方向に反射し、
前記第1の色彩の発光手段が発する光と、前記第2の色彩の発光手段が発する光とが前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体。
【請求項4】
請求項2に記載の発光体において、
前記第1の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、
前記第1の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、
前記光路分割手段は、前記第2の色彩の発光手段及び前記第3の色彩の発光手段が発する光を前期第1の色彩の発光手段が発するする光と同軸の方向に反射し、
前記第1の色彩の発光手段が発する光と、前記第2の色彩の発光手段が発する光と、前記第3の色彩の発光手段が発する光とが、前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光体において、
前記第2の制御手段は、その発光強度を制御する対象であるいずれかの前記発光手段を、前記第1の制御手段が発光させている場合にのみ、その発光強度を制御することを特徴とする発光体。
【請求項6】
前記請求項1〜4のいずれか1項に発光体において、
前記第2の制御手段は、その発光強度を制御する対象であるいずれかの前記発光手段が発光している期間のうち、一部の期間においてのみ、その発光強度を制御することを特徴とする発光体。
【請求項7】
請求項5又は6記載の発光体において、前記第1の制御手段は、前記第2の制御手段がいずれかの前記発行手段を制御している場合、前記発光手段の発光状態を継続させることを特徴とする発光体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光体において、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がLEDであることを特徴とする発光体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光体において、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする発光体。
【請求項10】
第1の色彩の発光手段と、
第2の色彩の発光手段と、
第3の色彩の発光手段と、
前記第1、第2、第3の色彩以外の第4の色彩の発光手段と、
前記第1の色彩の発光手段と、前記第2の色彩の発光手段と、前記第3の色彩の発光手段と、を制御し、所定の色彩変化パターンで発光する色彩を変化させて発光を行わせる第1制御手段と、
前記第4の色彩の発光手段を制御し、所定の明暗変化パターンでその発光強度を制御する第2制御手段と、
を含み、前記色彩変化パターンで所定のデータXを表し、前記明暗変化パターンで所定のデータYを表し、
前記第1、第2、第3の色彩は可視光であり、前記第4の色彩は、可視光以外の波長帯域の色彩であることを特徴とする発光体。
【請求項11】
請求項10に記載の発光体において、
前記第1、第2、第3の色彩の発光手段から発する光を集光する集光手段と、
前記第1、第2、第3の色彩の発光手段と前記集光手段との間に設けられた光路分割手段と、
を含み、
前記光路分割手段は、前記第1、第2、第3の色彩の発光手段が発する光を前記第4の色彩の発光手段が発する光と同軸の方向に反射し、
前記第1、第2、第3の色彩の発光手段が発する光と、前記第4の色彩の発光手段が発する光とが、前記集光手段を介して同軸に放射されることを特徴とする発光体。
【請求項12】
請求項10又は11記載の発光体において、
前記第4の色彩は、赤外光(IR)であることを特徴とする発光体。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の発光体において、前記第1、第2、第3、第4の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がLEDであることを特徴とする発光体。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の発光体において、前記第1、第2、第3、第4の色彩の発光手段のうち、少なくとも1種以上がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする発光体。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の発光体において、
前記データXと、前記データYは互いに相関しており、データYに対して、予め定められた演算処理を施すことによって、前記データXが導き出されることを特徴とする発光体。
【請求項16】
請求項15記載の発光体において、
前記データXは、その発光体を表す固定のIDであり、
前記データYの中には、前記データXが所定の箇所に埋め込まれていることを特徴とする発光体。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光体からの発光を受光し、前記データX及びデータYを得る受光装置において、
所定の光学系と、
前記光学系が結像した像の位置に配置され、前記結ばれた像を検出するエリアセンサと、
光電変換素子と、
データ復号手段と、
を有し、
前記光電変換素子は、前記発光を受光し、前記明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から前記データYをデコードし、
前記エリアセンサは、前記光学系が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置。
【請求項18】
請求項17に記載の受光装置において、
前記所定の光学系と、前記エリアセンサとの間に設けられた光路分割手段、
を含み、
前記光路分割手段によって分割された一部の光が前記光電変換素子に導かれ、
前記光電変換素子は、前記導かれた光の明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、
前記光路分割手段に分割された一部の光以外の残りの光は前記エリアセンサに受光され、
前記エリアセンサは、前記残りの光が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置。
【請求項19】
請求項17又は18記載の受光装置において、
前記光路分割手段は、ハーフミラーであることを特徴とする受光装置。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記光電変換素子は、フォトダイオードであることを特徴とする受光装置。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記光電変換素子と、前記光路分割手段と、の間には前記明暗波形が重畳されている色彩のみを透過する第1の色彩フィルタが設けられていることを特徴とする受光装置。
【請求項22】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の発光体からの発光を受光し、前記データX及びデータYを得る受光装置において、
所定の光学系と、
前記光学系が結像した像の位置に配置され、前記結ばれた像を検出するエリアセンサと、
光電変換素子と、
データ復号手段と、
を有し、
前記光電変換素子は、前記発光を受光し、前記明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、
前記エリアセンサは、前記光学系が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置。
【請求項23】
請求項22記載の受光装置において、
前記所定の光学系と、前記エリアセンサとの間に光路分割手段が設けられ、
前記光路分割手段によって分割された一部の光線が導かれた前記光電変換素子は、前記導かれた光の明暗波形を検出し、前記データ復号手段は、この明暗波形から、前記データYをデコードし、
前記光路分割手段によって分割された残りの光線が導かれた前記エリアセンサは、前記残りの光線が結ぶ画像を検出し、前記データ復号手段は、この画像中の領域であって、所定の色彩変化パターンで変化する領域の位置を求めるととともに、前記色彩変化パターンをデコードして、前記データXを求めることを特徴とする受光装置。
【請求項24】
請求項23に記載の受光装置において、
前記データ復号手段が求めた前記所定の色彩変化パターンの領域の位置を入力し、前期位置が前記光電変換素子の視野角内に位置するように、前記所定の光学系の光軸を制御すする光軸制御手段、
を含み、
前記発光体が発する光のうち、前記光路分割手段によって分割された一部の光線を、前記光電変換素子に導入することを特徴とする受光装置。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記光路分割手段は、ハーフミラーであることを特徴とする受光装置。
【請求項26】
請求項22〜25のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記光電変換素子は、フォトダイオードであることを特徴とする受光装置。
【請求項27】
請求項22〜26のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記光電変換素子上に赤外線透過フィルタが設けられていることを特徴とする受光体。
【請求項28】
請求項22〜26のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記エリアセンサ上に赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする受光体
【請求項29】
請求項22〜28のいずれか1項に記載の受光装置において、
前記データ復号手段は、前記データYに所定の処理を施して、前記データXを得、前記データYを、この得られたデータXが対応する領域の位置のデータYであると認識することを特徴とする受光装置。
【請求項30】
請求項24に記載の受光装置に、前記発光体が発する光を導入する方法において、
前記データ復号手段が前記所定の色彩変化パターンの領域の位置を求めるステップと、 前記光軸制御手段が、前記位置が前記光電変換素子センサの視野角内に来るように前記所定の光学系の光軸を制御するステップと、
を含み、前記発光体が発する光のうち、前記光路分割手段によって分割された一部の光線を、前記光電変換素子に導入する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−287820(P2010−287820A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142044(P2009−142044)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】