説明

発光材料、発光素子、発光装置並びに電子機器

【課題】新規発光材料及びそれを用いた発光素子、発光装置、電子機器の提供。
【解決手段】母体材料と、銅、銀、金等の第一の不純物元素と、ハロゲン、ホウ素等の第二の不純物元素と、アルカリ金属、窒素等の第三の不純物元素を含み、母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかである発光材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料に関する。また、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等における表示装置は、平面的で薄型の表示装置が求められており、この要求を満たすための表示装置として、自発光型である発光素子を利用した表示装置が注目されている。自発光型の発光素子の一つとして、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)を利用する発光素子があり、この発光素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより、発光材料からの発光を得ることができるものである。
【0003】
このような自発光型の発光素子は、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
さらに、このような自発光型の発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成することにより、面発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0006】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、蛍光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いがある。しかし、そのメカニズムは共通しており、高電界で加速された電子による母体材料又は発光中心の衝突励起により発光が得られる。このような理由のため、一般的な無機EL素子で発光を得るためには高い電界が必要であり、発光素子に数百Vの電圧を印加する必要がある。例えば、近年フルカラーディスプレイに必要とされる高輝度の青色発光の無機EL素子が開発されたが、100〜200Vの駆動電圧が必要である(例えば、非特許文献1)。そのため、無機EL素子は消費電力が大きく、中小型サイズのディスプレイ、例えば、携帯電話等のディスプレイには採用することが難しかった。
【非特許文献1】ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)、1999年、Vol.38、pp.L1291−L1292
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、新規発光材料を提供することを目的とする。また、低電圧駆動が可能な発光素子を提供することを課題とする。また、消費電力の低減された発光装置および電子機器を提供することを課題とする。また、低コストで作製可能な発光装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一は、母体材料と、第一の不純物元素と、第二の不純物元素と、第三の不純物元素を含み、母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、第一の不純物元素は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)のいずれかであり、第二の不純物元素は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)のいずれかであり、第三の不純物元素は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)のいずれかであることを特徴とする発光材料である。
【0009】
上記構成において、第一の不純物元素と、第二の不純物元素と、第三の不純物元素の濃度は、母体材料に対してそれぞれ0.01atom%以上10atom%以下であることが好ましい。より好ましくは、母体材料に対してそれぞれ0.1atom%以上5atom%以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の一は、母体材料と、フッ化銅(CuF)、塩化銅(CuCl)、ヨウ化銅(CuI)、臭化銅(CuBr)、窒化銅(CuN)、リン化銅(CuP)、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、ヨウ化銀(AgI)、臭化銀(AgBr)、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、塩化白金(PtCl)のいずれかと、第三の不純物元素を含み、母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、第三の不純物元素は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)のいずれかであることを特徴とする発光材料である。
【0011】
本発明の一は、母体材料と、第一の不純物元素と、フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、ヨウ化リチウム(LiI)、臭化銅(LiBr)、塩化ナトリウム(NaCl)等のハロゲン化アルカリ、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)のいずれかを含み、母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、第一の不純物元素は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)のいずれかであることを特徴とする発光材料である。
【0012】
また、本発明の一は、一対の電極間に、上記の発光材料を有することを特徴とする発光素子である。
【0013】
上記構成において、発光材料を含む発光層と電極との間には、絶縁層が設けられていることが好ましい。絶縁層の厚さは、1nm以上500nm以下であることが好ましい。より好ましくは、1nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0014】
上記構成において、絶縁層は、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タンタル(Ta)、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)のいずれかを含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記構成において、絶縁層は、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)のいずれかを含むことを特徴とする。
【0016】
また、上記構成において、発光材料を含む発光層は、発光材料を薄膜状に形成したものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を範疇に含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光装置にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0018】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発光材料は、電気伝導性の高い発光材料である。そのため、本発明の発光材料を用いた発光素子は、低電圧駆動が可能である。
【0020】
また、本発明の発光装置は、低電圧駆動が可能な発光素子を有しているため、消費電力が低減することができる。また、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、低コストで発光装置を作製することができる。
【0021】
また、本発明の電子機器は、低電圧駆動が可能な発光素子を有しているため、消費電力を低減することができる。また、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、電子機器の作製コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料について説明する。本発明に係る発光材料は、母体材料及び少なくとも3種類以上の不純物元素で構成され、これら不純物元素は母体材料を構成する元素を含まない。
【0024】
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)等の3元系の混晶であってもよい。
【0025】
発光材料の中の不純物元素には、少なくとも3種類の材料が含まれる。第一の不純物元素は、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)等を用いることができる。第二の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等を用いることができる。第三の不純物元素は、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等を用いることができる。これらの不純物の濃度は、母体材料に対してそれぞれ0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.1〜5atom%の範囲である。
【0026】
本発明に係る発光材料は固相反応、すなわち、母体材料及び不純物元素を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱して反応させる方法により、母体材料に不純物元素を含有させる。具体的には、母体材料と、第一の不純物元素又は第一の不純物元素を含む化合物と、第二の不純物元素又は第二の不純物元素を含む化合物と、第三の不純物元素又は第三の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固体反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
【0027】
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第一の不純物元素と第二の不純物元素、あるいは第二の不純物元素と第三の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第一の不純物元素と第二の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、フッ化銅(CuF)、塩化銅(CuCl)、ヨウ化銅(CuI)、臭化銅(CuBr)、窒化銅(CuN)、リン化銅(CuP)、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、ヨウ化銀(AgI)、臭化銀(AgBr)、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、塩化白金(PtCl)等を用いることができる。また、第二の不純物元素と第三の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、ヨウ化リチウム(LiI)、臭化銅(LiBr)、塩化ナトリウム(NaCl)等のハロゲン化アルカリ、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等を用いることができる。
【0028】
このようにして得られた発光材料は、ドナー−アクセプターペアの再結合による発光が得られ、電気伝導性の高い発光材料となる。
【0029】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図1を用いて説明する。
【0030】
本実施の形態で示す発光素子は、基板100の上に、第1の電極101と及び第2の電極105と、電極に接する第1の絶縁層102と及び第2の絶縁層104と、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に発光層103を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極101と、第2の電極105の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0031】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えば、ガラス、又はプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0032】
第1の電極101及び第2の電極105は、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等用いることができる。なお、第1の電極101または第2の電極105を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0033】
ただし、発光は、第1の電極101もしくは第2の電極105を通って外部に取り出されるため、第1の電極101および第2の電極105のうち、少なくとも一方は透光性を有する材料で形成されている必要がある。
【0034】
発光層103は、実施の形態1で示した発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0035】
第1の絶縁層102と及び第2の絶縁層104は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0036】
なお、図示しないが、発光層と絶縁層、又は発光層と電極の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にし、両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0037】
本発明の発光素子は、高電界により加速されたホットエレクトロンを必要とすることなく、発光層からの発光を得ることができる。つまり、発光素子に高電圧を印加する必要がなくなるため、低駆動電圧で動作可能な発光素子を得ることができる。また、低駆動電圧で発光可能なため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0038】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0039】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図2を用いて説明する。
【0040】
本実施の形態で示す発光素子は、基板200の上に、第1の電極201及び第2の電極204と、第2の電極204に接する絶縁層203と、第1の電極201と絶縁層203との間に発光層202を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極201と、第2の電極204の間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0041】
基板200は発光素子の支持体として用いられる。基板200としては、例えば、ガラス、又はプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0042】
第1の電極201及び第2の電極204は、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等を用いることができる。なお、第1の電極201または第2の電極204を、透光性を有する電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0043】
ただし、発光は、第1の電極201もしくは第2の電極204を通って外部に取り出されるため、第1の電極201および第2の電極204のうち、少なくとも一方は透光性を有する材料で形成されている必要がある。
【0044】
発光層202は、実施の形態1で示した発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。
【0045】
絶縁層203は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化イットリウム(Y)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、窒化シリコン(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。なお、本実施の形態の発光素子は、必ずしもホットエレクトロンを必要とはしないため、薄膜にすることもでき、駆動電圧を低下できる長所を有する。好ましくは、500nm以下の膜厚、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0046】
なお、図示しないが、発光層と絶縁層、又は発光層と電極の間にバッファー層を設けても良い。このバッファー層はキャリアの注入を容易にし、両層の混合を抑制する役割をもつ。バッファー層としては、特に限定されることはないが、例えば、発光層の母体材料であるZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、SrS、BaS等、又はCuS、CuS、又はハロゲン化アルカリであるLiF、CaF、BaF、MgF等を用いることができる。
【0047】
また、図2では第2の電極204に接するように絶縁層203が設けられているが、絶縁層と発光層の順番を逆にして、第1の電極201に接するように絶縁層203を設けてもよい。
【0048】
本発明の発光素子は、高電界により加速されたホットエレクトロンを必要とすることなく、発光層からの発光を得ることができる。つまり、発光素子に高電圧を印加する必要がなくなるため、低駆動電圧で動作可能な発光素子を得ることができる。また、低駆動電圧で発光可能なため、消費電力も低減された発光素子を得ることができる。
【0049】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0050】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について図3を用いて説明する。
【0051】
本実施の形態で示す発光装置は、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置である。図3には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。
【0052】
図3において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光材料を含む層955が設けられている。発光材料を含む層955は実施の形態1で示した発光材料を含んでいる。
【0053】
電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0054】
また、本発明の発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0055】
なお、本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態2に示した発光素子の構成を適用することも可能であるし、実施の形態3に示した発光素子の構成を適用することも可能である。つまり、直流駆動で動作する発光装置を作製することも可能であるし、交流駆動で動作する発光装置を作製することも可能である。
【0056】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0057】
本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明する。本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図4を用いて説明する。なお、図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0058】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0059】
次に、断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0060】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0061】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0062】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0063】
第1の電極613上には、発光材料を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。第1の電極613および第2の電極617の少なくとも一方は透光性を有しており、発光材料を含む層616からの発光を外部へ取り出すことが可能である。
【0064】
発光材料を含む層616は、実施の形態1で示した発光材料を含んでいる。
【0065】
なお、第1の電極613、発光材料を含む層616、第2の電極617の形成方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0066】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0067】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0068】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0069】
本発明の発光装置は、実施の形態2又は実施の形態3で示した発光素子を有する。実施の形態2又は実施の形態3で示した発光素子は、低駆動電圧で動作が可能である。また、高い発光効率を実現することができる。よって、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0070】
また、本発明の発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0071】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態2または実施の形態3で示した発光素子を有する。よって、駆動電圧の低減された発光素子を有するため、消費電力の低減された電子機器を提供することが可能である。
【0072】
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図5に示す。
【0073】
図5(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が低減され、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0074】
図5(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が低減され、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運んでいるときに外部からの衝撃が加えられた場合にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0075】
図5(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が低減され、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯しているときに外部から衝撃を加えられた場合にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0076】
図5(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜3で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が低減され、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯しているときに外部から衝撃を加えられた場合にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0077】
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明の発光装置を用いることにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
【0078】
また、本発明の発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図6を用いて説明する。
【0079】
図6は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図6に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
【0080】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0081】
以下、本発明の詳細について実施例を用いて説明する。なお、発光材料の合成に用いた材料のメーカー及び純度を表1に示す。ZnSは(株)高純度化学研究所製、CuClは和光純薬工業(株)製、AgClは(株)高純度化学研究所製、LiFは和光純薬工業(株)製である。
【0082】
【表1】

【実施例1】
【0083】
ZnSを10gと、ZnSに対して1mol%に相当するCuCl及びZnSに対して1mol%に相当するLiFをメノー乳鉢に入れ、10分間撹拌混合する。次に、その混合物をアルミナの坩堝に入れ、N雰囲気の下、1000℃で4時間の焼成を行った。得られた発光材料は黒色であった。356nmの波長で励起したところ、青緑色の発光を確認することができ、そのPLスペクトルを図7に示す。図7より、ClとCuのドナー−アクセプターペアの再結合に起因した発光であることがわかる。本実施例では、第1の不純物元素としてCu、第二の不純物元素としてCl、第三の不純物元素としてLiを含んでおり、第一の不純物元素であるCuと第二の不純物元素であるClが発光に寄与し、第三の不純物元素であるLiは発光に寄与しないことがわかった。
【実施例2】
【0084】
ZnSを10gと、ZnSに対して1mol%に相当するAgCl及びZnSに対して1mol%に相当するLiFをメノー乳鉢に入れ、10分間撹拌混合する。次に、その混合物をアルミナの坩堝に入れ、N雰囲気の下、1000℃で4時間の焼成を行った。得られた発光材料は黒色であった。356nmの波長で励起したところ、青色の発光を確認することができ、そのPLスペクトルを図8に示す。図8より、ClとAgのドナー−アクセプターペアの再結合に起因した発光であることがわかる。本実施例の発光材料は、第1の不純物元素としてAg、第二の不純物元素としてCl、第三の不純物元素としてLiを含んでおり、第一の不純物元素であるCuと第二の不純物元素であるClが発光に寄与し、第三の不純物元素であるLiは発光に寄与しないことがわかった。
【0085】
(比較例1)
ZnSを10gと、ZnSに対して1mol%に相当するLiFをメノー乳鉢に入れ、10分間撹拌混合する。次に、その混合物をアルミナの坩堝に入れ、N雰囲気の下、1000℃で4時間の焼成を行った。得られた材料は白色であった。254nm、356nmの波長の光を照射したが、発光は得られなかった。そのため、第二の不純物元素であるFと第三の不純物元素であるLiのみでは発光に寄与しないことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の電子機器を説明する図。
【図6】本発明の電子機器を説明する図。
【図7】実施例1の発光材料の発光スペクトルを示す図。
【図8】実施例2の発光材料の発光スペクトルを示す図。
【符号の説明】
【0087】
100 基板
101 第1の電極
102 第1の絶縁層
103 発光層
104 第2の絶縁層
105 第2の電極
200 基板
201 第1の電極
202 発光層
203 絶縁層
204 第2の電極
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光材料を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光材料を含む層
956 電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母体材料と、
第一の不純物元素と、
第二の不純物元素と、
第三の不純物元素を含み、
前記母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、
前記第一の不純物元素は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)のいずれかであり、
前記第二の不純物元素は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)
のいずれかであり、
前記第三の不純物元素は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)のいずれかであることを特徴とする発光材料。
【請求項2】
請求項1において、前記第一の不純物元素と、第二の不純物元素と、第三の不純物元素の濃度は、前記母体材料に対してそれぞれ0.01atom%以上10atom%以下であることを特徴とする発光材料。
【請求項3】
請求項1において、前記第一の不純物元素と、第二の不純物元素と、第三の不純物元素の濃度は、前記母体材料に対してそれぞれ0.1atom%以上5atom%以下であることを特徴とする発光材料。
【請求項4】
母体材料と、
フッ化銅(CuF)、塩化銅(CuCl)、ヨウ化銅(CuI)、臭化銅(CuBr)、窒化銅(CuN)、リン化銅(CuP)、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、ヨウ化銀(AgI)、臭化銀(AgBr)、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、塩化白金(PtCl)のいずれかと、
第三の不純物元素を含み、
前記母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、
前記第三の不純物元素は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)のいずれかであることを特徴とする発光材料。
【請求項5】
母体材料と、
第一の不純物元素と、
フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、ヨウ化リチウム(LiI)、臭化銅(LiBr)、塩化ナトリウム(NaCl)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)のいずれかを含み、
前記母体材料は、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y)、硫化ガリウム(Ga)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa)のいずれかであり、
前記第一の不純物元素は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ケイ素(Si)のいずれかであることを特徴とする発光材料。
【請求項6】
一対の電極間に、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光材料を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項6において、
前記発光材料を含む発光層と前記一対の電極の一方との間には、絶縁層が設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項7において、
前記絶縁層の厚さは、1nm以上500nm以下であることを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項7において、
前記絶縁層の厚さは、1nm以上100nm以下であることを特徴とする発光素子。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか一項において、
前記絶縁層は、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タンタル(Ta)、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)のいずれかを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項11】
請求項7乃至請求項9のいずれか一項において、
前記絶縁層は、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)のいずれかを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項12】
請求項6乃至請求項11のいずれか一項において、
前記発光材料を含む発光層は、前記発光材料を薄膜状に形成したものであることを特徴とする発光素子。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項14】
表示部を有し、
前記表示部は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−224292(P2007−224292A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14522(P2007−14522)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】