説明

発光素子の製造システムおよび製造方法ならびに発光素子パッケージの製造システムおよび製造方法

【課題】発光特性を均一にして生産歩留まりおよび面積生産性を向上させることができる発光素子の製造システムおよび製造方法ならびにこの発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージの製造システムおよび製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子パッケージの製造において、ウェハ状態のLED素子に樹脂を吐出して供給する樹脂供給に際し、樹脂を発光特性測定用として試し供給した透光部材に光源部から励起光を照射してこの樹脂が発する光の発光特性を測定し、この測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて適正樹脂供給量を補正して、実生産用としてLED素子に供給されるべき樹脂8適正樹脂供給量を導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子を蛍光体を含む樹脂によって被覆してなる発光素子およびこの発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージを製造する発光素子の製造システムおよび製造方法ならびに発光素子パッケージの製造システムおよび製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の照明装置の光源として、消費電力が少なく長寿命であるという優れた特性を有するLED(発光ダイオード)が、広範囲で用いられるようになっている。LED素子が発する基本光は、現在のところ赤、緑、青の3つに限られているため、一般的な照明用途として好適な白色光を得るためには、上述の3つの基本光を加色混合することによって白色光を得る方法や、青色LEDと青色と補色関係にある黄色の蛍光を発する蛍光体とを組み合わせることにより疑似白色光を得る方法などが用いられる。近年は後者の方法が広く用いられるようになっており、青色LEDとYAG蛍光体を組み合わせたLEDパッケージを用いた照明装置が、液晶パネルのバックライトなどに用いられるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献例においては、側壁に反射面が形成された凹状の実装部の底面にLED素子を実装した後、実装部内にYAG系蛍光体粒子が分散された実装部内にYAG系蛍光体粒子が分散されたシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを注入して樹脂包装部を形成することにより、LEDパッケージを構成するようにしている。そして、樹脂注入後の実装部内における樹脂包装部の高さを均一にすることを目的として、規定量以上に注入された剰余樹脂を実装部から排出して貯留するための剰余樹脂貯蔵部を形成する例が記載されている。これにより、樹脂注入時にディスペンサからの吐出量がばらついている場合にあっても、LED素子上には一定の樹脂量を有し規定高さの樹脂包装部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−66969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の先行技術例においては、個々のLED素子における発光波長のばらつきに起因して、製品となるLEDパッケージの発光特性がばらつくという問題があった。すなわちLED素子は複数の素子をウェハ上に一括して作り込む製造過程を経ており、この製造過程における種々の誤差要因、例えばウェハにおける膜形成時の組成の不均一などに起因して、ウェハ状態から個片に分割されたLED素子には、発光波長のばらつきが生じることが避けられない。そして上述例では、LED素子を覆う樹脂包装部の高さは均一に設定されていることから、個片のLED素子における発光波長のばらつきは、そのまま製品としてのLEDパッケージの発光特性のばらつきに反映され、結果として品質許容範囲から逸脱する不良品の増加を余儀なくされていた。
【0006】
さらに上述例を含め従来技術においては、蛍光体を含む樹脂の塗布は個片のLED素子をパッケージ基板に実装した後に行われていたことから、樹脂の塗布形態は各パッケージ基板毎に樹脂を吐出するようにしていた。このため樹脂塗布装置においてはパッケージ基板の集合体を作業対象とすることとなり、装置専有面積が増大して面積生産性が低下するとともに、樹脂塗布用のノズルの移動に時間を要し、生産効率の低下を招く結果となっていた。
【0007】
そこで本発明は、発光特性を均一にして生産歩留まりおよび面積生産性を向上させることができる発光素子の製造システムおよび製造方法ならびにこの発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージの製造システムおよび製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光素子の製造システムは、LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子を製造する発光素子の製造システムであって、前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング装置と、前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定部と、前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成部と、規定の発光特性を具備したLED素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として提供する樹脂情報提供手段と、前記マップデータと前記樹脂供給情報に基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給装置と、前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア装置とを備え、前記樹脂供給装置は、前記樹脂を供給量を可変に吐出して任意の供給対象位置に供給する樹脂供給部と、前記樹脂供給部を制御することにより、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給処理および実生産用として前記LED素子に供給する生産用供給処理を実行させる供給制御部と、前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部と、前記測定用供給処理において前記樹脂が試し供給された透光部材が載置される透光部材載置部と、前記光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定部と、前記発光特性測定部の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用として前記LED素子に供給されるべき前記樹脂の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理部と、前記導出された適正樹脂供給量を前記供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行処理部とを備えた。
【0009】
本発明の発光素子の製造方法は、LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子を製造する発光素子の製造方法であって、前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング工程と、前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定工程と、前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成工程と、規定の発光特性を具備した発光素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として入手する樹脂情報入手工程と、前記マップデータと前記樹脂供給情報とに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給工程と、前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア工程とを含み、さらに前記樹脂供給工程は、前記樹脂を供給量を可変に吐出する樹脂供給部によって、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給ステップと、前記樹脂が試し供給された透光部材を透光部材載置部に載置する透光部材載置ステップと、前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定ステップと、前記発光特性測定ステップにおける測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用として前記LED素子に供給されるべき前記樹脂の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理ステップと、前記導出された適正樹脂供給量を前記樹脂供給部を制御する供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行ステップとを含む。
【0010】
本発明の発光素子パッケージの製造システムは、LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で予め被覆してなる発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージを製造する発光素子パッケージの製造システムであって、前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング装置と、前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定部と、前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを、前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成部と、規定の発光特性を具備したLED素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として提供する樹脂情報提供手段と、前記マップデータと前記樹脂供給情報に基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給装置と、前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させて前記発光素子を完成させるキュア装置と、前記発光素子を基板に実装する部品実装装置とを備え、前記樹脂供給装置は、前記樹脂を供給量を可変に吐出して任意の供給対象位置に供給する樹脂供給部と、前記樹脂供給部を制御することにより、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給処理および実生産用として前記LED素子に供給する生産用供給処理を実行させる供給制御部と、前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部と、前記測定用供給処理において前記樹脂が試し供給された透光部材が載置される透光部材載置部と、前記光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定部と、前記発光特性測定部の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、前記LED素子に供給されるべき実生産用の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理部と、前記導出された適正樹脂供給量を前記供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行処理部とを備えた。
【0011】
本発明の発光素子パッケージの製造方法は、LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で予め被覆してなる発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージを製造する発光素子パッケージ製造方法であって、前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング工程と、前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定工程と、前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを、前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成工程と、規定の発光特性を具備した発光素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として入手する樹脂情報入手工程と、前記樹脂供給情報と前記マップデータとに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給工程と、前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア工程と、前記発光素子を基板に実装する部品実装工程とを含み、さらに前記樹脂供給工程は、前記樹脂を供給量を可変に吐出する樹脂供給部によって、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給ステップと、前記樹脂が試し供給された透光部材を透光部材載置部に載置する透光部材載置ステップと、前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定ステップと、前記発光特性測定ステップにおける測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、前記LED素子に供給されるべき実生産用の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理ステップと、前記導出された適正樹脂供給量を前記樹脂供給部を制御する供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行ステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子の製造において、ウェハ状態のLED素子に樹脂を吐出して供給する樹脂供給に際し、樹脂を発光特性測定用として試し供給した透光部材に光源部から励起光を照射してこの樹脂が発する光の発光特性を測定し、この測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて適正樹脂供給量を補正して、実生産用としてLED素子に供給されるべき樹脂の適正樹脂供給量を導出することにより、個片のLED素子の発光波長がばらつく場合にあっても、発光素子の発光特性を均一にして生産歩留まりを向上させるとともに、製造設備の面積生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムの対象となるLEDウェハの構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおけるダイシング装置と素子特性測定装置の機能説明図
【図4】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおいて用いられるマップデータの説明図
【図5】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおいて用いられる樹脂供給情報の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおける樹脂供給装置の構成説明図
【図7】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおける樹脂供給装置の機能説明図
【図8】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおける樹脂供給装置に備えられた発光特性検査機能の説明図
【図9】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおける樹脂供給装置に備えられた発光特性検査機能の説明図
【図10】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムにおけるキュア装置およびソーティング装置の機能説明図
【図11】本発明の一実施の形態の発光素子の製造システムの制御系の構成を示すブロック図
【図12】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムの構成を示すブロック図
【図13】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによって製造される発光素子パッケージの構成説明図
【図14】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムにおける部品実装装置の構成および機能の説明図
【図15】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによる発光素子パッケージ製造のフロー図
【図16】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムにおける良品判定用のしきい値データ作成処理のフロー図
【図17】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムにおける良品判定用のしきい値データの説明図
【図18】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムにおける良品判定用のしきい値データを説明する色度図
【図19】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによる発光素子パッケージ製造過程における樹脂供給作業処理のフロー図
【図20】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによる発光素子パッケージ製造過程における樹脂供給作業処理の説明図
【図21】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによる発光素子パッケージ製造過程を示す工程説明図
【図22】本発明の一実施の形態の発光素子パッケージの製造システムによる発光素子パッケージ製造過程を示す工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、発光素子の製造システム1の構成を説明する。発光素子の製造システム1は、青色光を発光するLED素子の上面を、青色と補色関係にある黄色の励起光を発する蛍光体を含む樹脂で被覆してなる白色照明用の発光素子を製造する機能を有するものである。本実施の形態においては、図1に示すように、ダイシング装置M1、素子特性測定装置M2、樹脂供給装置M3、キュア装置M4およびソーティング装置M5の各装置をLANシステム2によって接続し、管理コンピュータ3によってこれらの各装置を統括して制御する構成となっている。
【0015】
ダイシング装置M1は、LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割する。素子特性測定装置M2は素子特性測定部であり、ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割されたLED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求めるとともに、分割されたLED素子のLEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての素子特性情報とを関連付けたマップデータをLEDウェハ毎に作成する処理を行う。
【0016】
樹脂供給装置M3は、上述のマープデータと、管理コンピュータ3からLANシステム2を介して伝達される樹脂供給情報、すなわち規定の発光特性を具備したLED素子を得るための蛍光体を含む樹脂の適正樹脂供給量と素子特性情報とを対応させた情報とに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の樹脂を、ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する。キュア装置M4は、樹脂が供給されたLED素子を加熱することにより樹脂を硬化させる。これによりLED素子を蛍光体を含む樹脂の樹脂膜によって覆った構成の発光素子が形成される。なお、キュア装置M4としては、樹脂を加熱硬化させる替わりに、UV(紫外線)を照射することによって硬化を促進させる構成や、そのまま放置して自然硬化させる構成でもよい。ソーティング装置M5は、ダイシングシートに貼着された複数の発光素子の発光特性を再度測定し、測定結果に基づいて複数の発光素子を所定の特性範囲毎にランク分けして、素子保持シートに分別移載する。
【0017】
なお図1においては、ダイシング装置M1〜ソーティング装置M5の各装置を直列に配置して製造ラインを構成した例を示しているが、発光素子の製造システム1としては必ずしもこのようなライン構成を採用する必要はなく、以下の説明において述べる情報伝達が適切になされる限りにおいては、分散配置された各装置によってそれぞれの工程作業を順次実行する構成であってもよい。
【0018】
ここで図2を参照して、発光素子の製造システム1における作業対象となるLEDウェハ10、LED素子5について説明する。図2(a)に示すように、LEDウェハ10にはLED素子5が格子配列で複数作り込まれており、LEDウェハ10の下面はダイシングシート10aが貼着されている。LEDウェハ10には各LED素子5を区画するスクライブライン10bが設定されており、スクライブライン10bに沿ってLEDウェハ10を切断することにより、各個片のLED素子5がダイシングシート10aによって保持されたウェハ状態のLED素子5の集合体が形成される。なお発光素子の製造システム1における各工程では、LEDウェハ10はウェハホルダ4(図6、図7参照)に保持された状態で、各作業や搬送が行われる。
【0019】
図2(a)に示すように、LED素子5は、サファイア基板5a上にN型半導体5b、P型半導体5cを積層し、さらにP型半導体5cの表面を透明電極5dで覆って構成され、N型半導体5b、P型半導体5cにはそれぞれ外部接続用のN型部電極6a、P型部電極6bが形成されている。LED素子5は青色LEDであり、青色と補色関係にある黄色の蛍光を発する蛍光体を含んだ樹脂8(図7(b)参照)と組み合わせることにより、擬似白色光を得るようになっている。本実施の形態においては、前述のようにウェハ状態のLED素子5に対して樹脂供給装置M3によって樹脂8を供給するようにしている。
【0020】
LED素子5は、製造過程における種々の誤差要因、例えばウェハにおける膜形成時の組成の不均一などに起因して、ウェハ状態から個片に分割されたLED素子5には、発光波長など発光特性にばらつきが生じることが避けられない。そしてこのようなLED素子5をそのまま照明用の発光素子として用いると、製品としての発光特性がばらつくこととなる。このような発光特性のばらつきに起因する品質不良を防止するため、本実施の形態においては、複数のLED素子5の発光特性をウェハ状態において素子特性測定装置M2によって測定し、各LED素子5と当該LED素子5の発光特性を示すデータとを対応させた素子特性情報を作成し、樹脂供給において各LED素子5の発光特性に応じた適正量の樹脂8を供給するようにしている。そして適正量の樹脂8を供給するために、後述する樹脂供給情報が予め準備される。
【0021】
以下、発光素子の製造システム1を構成する各装置の構成および機能について、工程順に説明する。まずLEDウェハ10は、図3(a)に示すようにダイシング装置M1に送られる。そしてここで、レーザ切断機7によってLEDウェハ10にスクライブライン10bに沿ってダイシングシート10aまで到達するダイシング溝10cを形成することにより、LEDウェハ10は透明電極5d、P型半導体5c、N型半導体5b、サファイア基板5aが個片毎に積層されたLED素子5に分割される。なお、ダイシングの手法としては各種の方法を用いることができる。例えばダイシングソーによって機械的に切断する方法や、レーザ光によって除去する厚み領域を透明電極5d、P型半導体5c、N型半導体5bまでに止め、サファイア基板5aについてはレーザ光によって形成された脆化領域を折損させるフレーキングによって分割し、個片のLED素子5を得るようにしてもよい。
【0022】
次にダイシング後のLEDウェハ10は、図3(b)に示すように素子特性測定装置M2に送られ、ここでLED素子5の発光特性を示す素子特性が測定される。すなわち分光器11aをダイシングシート10aに貼着保持されたウェハ状態の複数のLED素子5のうち測定対象となるLED素子5の直上に位置させるとともに、電源装置9のプローブを当該LED素子5のN型部電極6a、P型部電極6bに接触させて、N型半導体5b、P型半導体5cに通電して発光させる。次いでこの光を分光分析して発光波長や発光強度などの所定項目について測定し、この測定結果を特性測定処理部11によって処理することにより、当該LED素子5の発光特性を示す素子特性情報が求められる。そしてこの素子特性測定は、LEDウェハ10を構成する全てのLED素子5について順次実行される。
【0023】
次に図4を参照して素子特性情報について説明する。図4(a)は、測定対象となるLED素子5について、予め参照データとして準備された発光波長の標準的な分布を示すものである。そしてこの分布における標準範囲に該当する波長範囲を複数の波長域に区分することにより、測定対象となった複数のLED素子5を、発光波長によってランク分けする。ここでは、波長範囲を5つに区分することにより設定されたランクのそれぞれに対応して、低波長側から順に、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]が付与されている。そして素子特性測定装置M2による測定結果により、個別のLED素子5に対してBinコードが付与され、素子特性情報12として記憶部71(図11)に記憶される。
【0024】
図4(b)は、分割されたLED素子5のLEDウェハ10における位置を示す素子位置情報と当該LED素子5についての素子特性情報12とを関連付けたマップデータ18を示している。ここでは、素子位置情報としてLEDウェハ10におけるLED素子5のマトリクス配列におけるXセル座標18X、Yセル座標18Yを用いている。すなわち、マップデータ18はこの素子位置情報によって特定される個別のLED素子5に、素子特性測定装置M2の測定結果によって当該LED素子5に対して付与されたBinコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]のいずれかを対応させた構成となっており、ウェハID18aを指定することにより、個別のLEDウェハ10毎のマップデータ18を読み出すことができる。
【0025】
次に、上述の素子特性情報12に対応して予め準備される樹脂供給情報について、図5を参照して説明する。青色LEDとYAG系の蛍光体を組み合わせることにより白色光を得る構成の発光素子では、LED素子5が発光する青色光とこの青色光によって蛍光体が励起されて発光する黄色光との加色混合が行われることから、LED素子5の上面を覆う樹脂膜における蛍光体粒子の量が、製品の発光素子の正規の発光特性を確保する上で重要な要素となる。
【0026】
上述のように、同時に作業対象となる複数のLED素子5の発光波長には、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]によって分類されるばらつきが存在することから、LED素子5を覆って供給される樹脂8中の蛍光体粒子の適正量は、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]に応じて異なったものとなる。本実施の形態において準備される樹脂供給情報19では、図5に示すように、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などにYAG系の蛍光体粒子を含有させた樹脂8のBin分類別適正樹脂供給量を、nl(ナノリットル)単位で、Binコード区分17に応じて予め規定している。すなわち、LED素子5を覆って樹脂8を樹脂供給情報19に示される適正樹脂供給量だけ正確に供給すると、LED素子5を覆う樹脂中の蛍光体粒子の量は適正な蛍光体粒子供給量となり、これにより樹脂が熱硬化した後に完成品に求められる正規の発光波長が確保される。
【0027】
ここでは、蛍光体濃度欄16に示すように、樹脂8中の蛍光体粒子の濃度を示す蛍光体濃度を複数通り(ここではD1(5%),D2(10%),D3(15%)の3通り)に設定し、適正樹脂供給量も使用する樹脂8の蛍光体濃度に応じて異なる数値を用いるようにしている。すなわち、蛍光体濃度D1の樹脂8を供給する場合には、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]のそれぞれについて、適正樹脂供給量VA0、VB0,VC0,VD0,VE0(適正樹脂供給量15(1))の樹脂8を供給する。同様に、蛍光体濃度D2の樹脂8を供給する場合には、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]のそれぞれについて、適正樹脂供給量VF0、VG0,VH0,VJ0,VK0(適正樹脂供給量15(2))の樹脂8を供給する。また蛍光体濃度D3の樹脂8を供給する場合には、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]のそれぞれについて、適正樹脂供給量VL0、VM0,VN0,VP0,VR0(適正樹脂供給量15(3))の樹脂8を供給する。このように異なった複数の蛍光体濃度毎にそれぞれ適正樹脂供給量を設定するのは、発光波長のばらつきの程度に応じて最適の蛍光体濃度の樹脂8を供給するのが品質確保の上で、より好ましいからである。
【0028】
次に図6、図7を参照して、樹脂供給装置M3の構成および機能について説明する。樹脂供給装置M3は、ダイシング装置M1によって個片に分割され素子特性測定装置M2によって素子特性が測定されたウェハ状態の複数のLED素子5に対して、樹脂8を個別に供給する機能を有するものである。図6(a)の平面図に示すように、樹脂供給装置M3は作業対象のLEDウェハ10を保持したウェハホルダ4を搬送する搬送機構31に、図6(b)にA−A断面にて示す樹脂供給部Aを配設した構成となっている。
【0029】
本実施の形態においては、樹脂供給部Aとして樹脂8をインクジェット方式によって吐出させる樹脂吐出装置が用いられている。すなわち樹脂供給部Aには、印刷ヘッド32が長手方向をX方向(搬送機構31における搬送方向)に向けて設けられている。図7に示すように、印刷ヘッド32は樹脂8の微細液滴8aを下方に吐出量自在に吐出して供給する印刷ノズルユニット32aを内蔵しており、印刷ヘッド駆動部35によって印刷ヘッド32を駆動することにより、印刷ヘッド32はウェハホルダ4に保持されたLEDウェハ10の上方でY方向に移動し(矢印a)、印刷ノズルユニット32aは印刷ヘッド32内でX方向に移動する(矢印b)。供給制御部36によって印刷ヘッド駆動部35を制御することにより、印刷ノズルユニット32aをX方向、Y方向の任意位置に移動させるとともに、印刷ノズルユニット32aからの微細液滴8aの吐出量を制御することができる。
【0030】
印刷ヘッド32の側方には、カメラ34aおよび高さ計測ユニット33aを備えた計測ヘッド30が、XY方向に移動自在(矢印c)に配設されている。ウェハホルダ4に保持されたLEDウェハ10の上方に計測ヘッド30を移動させ、カメラ34aによってLEDウェハ10を撮像して取得した画像を、位置認識部34によって認識処理することにより、LEDウェハ10における個別のLED素子5の位置が認識される。位置認識結果は供給制御部36に伝達される。
【0031】
また高さ計測ユニット33aを計測対象面に位置合わせしてレーザ光による測距動作を行わせることにより、計測対象面の高さが計測される。ここでは、印刷ノズルユニット32aによって微細液滴8aが供給される前のLED素子5の上面が計測対象面となっており、高さ計測部33による高さ計測結果は供給制御部36に伝達される。印刷ノズルユニット32aによる微細液滴8aの供給に際しては、供給制御部36は高さ計測部33によってLED素子5の上面の高さ計測を行う。このようにして供給制御部36が印刷ヘッド32を制御することにより、図7(b)に示すように、印刷ノズルユニット32aから微細液滴8aが吐出され、LEDウェハ10の各LED素子5の上面に対して、樹脂供給情報19に規定される適正樹脂供給量の樹脂8が供給される。すなわち樹脂供給部Aは、樹脂8を供給量を可変に吐出して、任意の供給対象位置に供給する機能を有している。
【0032】
搬送機構31の側方には、印刷ヘッド32の移動範囲内に位置して、試し供給・測定ユニット40が配置されている。試し供給・測定ユニット40は、樹脂8をLEDウェハ10の各LED素子5に供給する実生産用供給作業に先立って、樹脂8の供給量が適正であるか否かを、試し供給した樹脂8の発光特性を測定することにより判定する機能を有するものである。すなわち、樹脂供給部Aによって樹脂8を試し供給した透光部材43に測定用の光源部45が発する光を照射したときの発光特性を、分光器42および発光特性測定処理部39を備えた発光特性測定部によって測定し、測定結果を予め設定されたしきい値と比較することにより、図5に示す樹脂供給情報19にて規定される既設定の樹脂供給量の適否を判定する。
【0033】
蛍光体粒子を含有する樹脂8は、その組成・性状は必ずしも安定的ではなく、予め樹脂供給情報19にて適正樹脂供給量を設定していても、時間の経過によって蛍光体の濃度や樹脂粘度が変動することが避けられない。このため予め設定された適正樹脂供給量に対応する吐出パラメータで樹脂8を吐出しても、樹脂供給量そのものが既設定の適正値からばらつく場合や、さらには樹脂供給量自体は適正であっても濃度変化によって本来供給されるべき蛍光体粒子の供給量がばらつく結果となる。
【0034】
このような不都合を排除するため、本実施の形態では、所定のインターバルにて適正供給量の蛍光体粒子が供給されているか否かを検査するための試し供給を樹脂供給装置M3にて実行し、さらに試し供給された樹脂を対象として発光特性の測定を実行することにより、本来あるべき発光特性に則して蛍光体粒子の供給量を安定させるようにしている。そして本実施の形態に示す樹脂供給装置M3に備えられた樹脂供給部Aは、樹脂8を上述の発光特性測定用として透光部材43に試し供給する測定用供給処理と、実生産用としてウェハホルダ4に保持されたウェハ状態の複数のLED素子5に供給する生産用供給処理とを併せて実行する機能を有している。これらの測定用供給処理および生産用供給処理は、いずれも供給制御部36が樹脂供給部Aを制御することにより実行される。
【0035】
図8を参照して試し供給・測定ユニット40の詳細構成を説明する。図8(a)に示すように、透光部材43は供給リール47に卷回収納されて供給され、試し供給ステージ40aの上面に沿って送られた後、透光部材載置部41と照射部46との間を経由して、巻き取りモータ49によって駆動される回収リール48に巻き取られる。なお、透光部材43を回収する機構としては、回収リール48に卷回して回収する方式以外にも、回収ボックス内に透光部材43を送り機構によって送り込む方式など、各種の方式を採用することができる。
【0036】
照射部46は光源部45によって発光された測定光を透光部材43に対して照射する機能を有しており、簡易暗箱機能を有する遮光ボックス46a内に、光源部45が発光する測定光がファイバケーブルによって導光される光集束ツール46bを配設した構成となっている。光源部45は樹脂8に含まれる蛍光体を励起する励起光を発光する機能を有しており、本実施の形態においては透光部材載置部41の上方に配置されて、測定光を透光部材43に対して光集束ツール46bを介して上方から照射する形態となっている。
【0037】
ここで透光部材43としては、透明樹脂製の平面シート状部材を所定幅のテープ材としたものや、同様のテープ材にエンボス部43aが下面に凸設されたエンボスタイプのものなどが用いられる(図8(b)参照)。透光部材43が試し供給・測定ユニット40上を送られる過程において、透光部材43に対して印刷ヘッド32によって樹脂8が試し供給される。この試し供給は、下面側を試し供給ステージ40aによって支持された透光部材43に対して、図8(b)に示すように、印刷ノズルユニット32aによって規定供給量の樹脂8を微細液滴8aの形で透光部材43に対して吐出して印刷することによって行われる。
【0038】
図8(b)(イ)は、前述のテープ材よりなる透光部材43に樹脂供給情報19にて規定される既設定の適正吐出量の樹脂8を供給した状態を示している。また図8(b)(ロ)は、前述のエンボスタイプの透光部材43のエンボス部43a内に、同様に既設定の適正吐出量の樹脂8を供給した状態を示している。なお、後述するように、試し供給ステージ40aにて供給された樹脂8は、対象となるLED素子5に対して蛍光体供給量が適正であるか否かを実証的に判定するための試し供給であることから、印刷ヘッド32による同一試し供給動作で複数点に樹脂8を連続的に透光部材43上に供給する場合には、発光特性測定値と供給量との相関関係を示す既知のデータに基づいて供給量を段階的に異ならせて供給しておく。
【0039】
このようにして樹脂8が試し供給された後に遮光ボックス46a内に導かれた透光部材43に対して、光源部45によって発光された白色光を光集束ツール46bを介して上方から照射する。そして透光部材43に供給された樹脂8を透過した光は、透光部材載置部41に設けられた光透過開口部41aを介して、透光部材載置部41の下方に配設された積分球44によって受光される。図8(c)は、透光部材載置部41、積分球44の構造を示している。透光部材載置部41は、透光部材43の下面を支持する下部支持部材41bの上面に、透光部材43の両端面をガイドする機能を有する上部ガイド部材41cを装着した構造となっている。
【0040】
透光部材載置部41は試し供給・測定ユニット40における搬送時に透光部材43をガイドするとともに、測定用供給処理において樹脂8が試し供給された透光部材43を載置して位置を保持する機能を有している。積分球44は光集束ツール46bから照射されて(矢印h)樹脂8を透過した透過光を集光し、分光器42に導く機能を有している。すなわち積分球44は内部に球面状の球状反射面44cを有しており、光透過開口部41aの直下に位置する開口部44aから入光した透過光(矢印i)は、積分球44の頂部に設けられた開口部44aから反射空間44b内に入射し、球状反射面44cによる全反射(矢印j)を反復する過程で出力部44dから測定光(矢印k)として取り出され、分光器42によって受光される。
【0041】
上述構成では、光源部45に用いられる発光素子パッケージによって発光された白色光が透光部材43に試し供給された樹脂8に照射される。この過程において、白色光中に含まれる青色光成分が樹脂8中の蛍光体を励起させて黄色光を発光させる。そしてこの黄色光と青色光が加色混合した白色光が樹脂8から上方に照射され、上述の積分球44を介して分光器42によって受光される。
【0042】
そして受光された白色光は、発光特性測定処理部39(図6(b))によって分析されて発光特性が測定される。ここでは、白色光の色調ランクや光束などの発光特性が検査され、検査結果として、規定の発光特性との偏差が検出される。積分球44、分光器42および発光特性測定処理部39は、励起光を透光部材43に供給された樹脂8に光源部45によって発光された励起光(ここでは白色LEDにより発光された白色光)を上方から照射することによりこの樹脂8が発する光を透光部材43の下方から受光して、樹脂8が発する光の発光特性を測定する発光特性測定部を構成する。そして本実施の形態においては、発光特性測定部は積分球44を透光部材43の下方に配置して成り、樹脂8が発する光を積分球44の開口部44aを介して受光するように構成されている。
【0043】
発光特性測定部を上述のような構成とすることにより、以下に述べるような効果を得る。すなわち、図8(b)に示す透光部材43に試し供給される樹脂8の供給形状において、下面側は常に透光部材43の上面またはエンボス部43aの底面に接触していることから、樹脂8の下面は常に透光部材43によって規定される基準高さにある。したがって、樹脂8の下面と積分球44の開口部44aとの高さ差は常に一定に保たれる。これに対し、樹脂8の上面は印刷ノズルユニット32aによる供給条件などの外乱によって、必ずしも同一の液面形状・高さが実現されるとは限らず、樹脂8の上面と光集束ツール46bとの間の間隔はばらつくこととなる。
【0044】
ここで樹脂8の上面に対して照射される照射光と樹脂8の下面からの透過光とを比較した場合の安定度合いを考えると、樹脂8に対して照射される照射光は光集束ツール46bを介して照射されることから集束度が高く、樹脂8の上面と光集束ツール46bとの間の間隔のばらつきが光伝達に対して与える影響は無視できる。これに対し、樹脂8を透過した透過光は樹脂8の内部で蛍光体が励起された励起光であることから散乱の度合いが高く、樹脂8の下面と開口部44aとの間の距離のばらつきが積分球44によって光が取り込まれる度合いに与える影響は無視できない。
【0045】
本実施の形態に示す試し供給・測定ユニット40においては、前述構成のように光源部45によって発光された励起光を、樹脂8に対して上方から照射することによりこの樹脂8が発する光を透光部材43の下方から積分球44によって受光する構成を採用していることから、安定した発光特性の判定を行うことが可能となっている。さらに、積分球44を用いることにより受光部分に暗室構造を別途設ける必要がなく、装置のコンパクト化と設備費用の削減が可能となっている。
【0046】
図6(b)に示すように、発光特性測定処理部39の測定結果は供給量導出処理部38に送られ、供給量導出処理部38は、発光特性測定処理部39の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて樹脂8の適正樹脂供給量を補正し、実生産用としてLED素子5に供給されるべき樹脂8の適正樹脂供給量を導出する処理を行う。供給量導出処理部38によって導出された新たな適正吐出量は生産実行処理部37に送られ、生産実行処理部37は新たに導出された適正樹脂供給量を供給制御部36に指令する。これにより供給制御部36は、印刷ヘッド32を制御して、適正樹脂供給量の樹脂8を基板14に実装されたLED素子5に供給する生産用供給処理を印刷ヘッド32に実行させる。
【0047】
この生産用供給処理においては、まず樹脂供給情報19に規定される適正樹脂供給量の樹脂8を実際に供給し、樹脂8が未硬化の状態で発光特性の測定を行う。そして得られた測定結果に基づき、生産用供給において供給された樹脂8を対象として発光特性を測定した場合における発光特性測定値の良品範囲を設定し、この良品範囲を生産用供給における良否判定のしきい値(図11に示すしきい値データ81a参照)として用いるようにしている。
【0048】
すなわち本実施の形態に示す発光素子の製造システムにおける樹脂供給方法では、発光特性測定用の光源部45として白色LEDを用いるとともに、生産用供給における良否判定のしきい値設定の基となる予め規定された発光特性として、LED素子5に供給された樹脂8が硬化した状態の完成製品について求められる正規の発光特性を、樹脂8が未硬化の状態であることによる発光特性の相違分だけ偏らせた発光特性を用いるようにしている。これにより、LED素子5への樹脂供給過程における樹脂供給量の制御を完成製品についての正規の発光特性に基づいて行うことが可能となっている。
【0049】
なお本実施の形態においては、光源部45として白色光を発する発光素子パッケージ50(図13参照)を用いている。これにより、試し供給された樹脂8の発光特性測定を、完成品の発光素子パッケージ50において発光される励起光と同一特性の光によって行うことができ、より信頼性の高い検査結果を得ることができる。なお完成品に用いられるものと同一の発光素子パッケージ50を用いることは必ずしも必須要件ではない。発光特性測定には、一定波長の青色光を安定的に発光することが可能な光源装置(例えば青色光を発光する青色LEDや、青色レーザ光源など)であれば、検査用の光源部として用いることができる。但し、青色LEDを用いた白色光を発する発光素子パッケージ50を用いることにより、安定的な品質の光源装置を低コストで選定することができるという利点を有する。ここでバンドパスフィルタを用いて、所定の波長の青色光を取り出すようにしてもよい。
【0050】
なお上述構成の試し供給・測定ユニット40の替わりに、図9に示す構成の試し供給・測定ユニット140を用いるようにしてもよい.すなわち、図9(a)に示すように、試し供給・測定ユニット140は細長形状の水平な基部140aの上方に、カバー部140bを配設した外部構造となっている。カバー部140bには開口部140cが設けられており、開口部140cはスライド自在(矢印l)な供給用スライド窓140dによって開閉自在となっている。試し供給・測定ユニット140の内部には、透光部材43を下面側から支持する試し供給ステージ145a、透光部材43が載置される透光部材載置部141および透光部材載置部141の上方に配設された分光器42が設けられている。
【0051】
透光部材載置部141は、図6に示す光源部45と同様に蛍光体を励起する励起光を発光する光源装置を備えており、測定用供給処理において樹脂8が試し供給された透光部材43に対して、この光源装置より下面側から励起光が照射される。透光部材43は、図8に示す例と同様に供給リール47に卷回収納されて供給され、試し供給ステージ145aの上面に沿って送られた後(矢印m)、透光部材載置部141と分光器42との間を経由して巻き取りモータ49によって駆動される回収リール48に巻き取られる。
【0052】
供給用スライド窓140dをスライドさせて開放した状態では、試し供給ステージ145a上面は上方に露呈され、上面に載置された透光部材43に対して印刷ヘッド32によって樹脂8を試し供給することが可能となる。この試し供給は、下面側を試し供給ステージ145aによって支持された透光部材43に対して、印刷ノズルユニット32aによって規定供給量の微細液滴8aを吐出することによって行われる。
【0053】
図9(b)は、試し供給ステージ145aにて樹脂8が試し供給された透光部材43を移動させて、樹脂8を透光部材載置部141の上方に位置させ、さらにカバー部140bを下降させて基部140aとの間に発光特性測定用の暗室を形成した状態を示している。透光部材載置部141には、光源装置として白色光を発する発光素子パッケージ50が用いられている。発光素子パッケージ50においてLED素子5と接続された配線層14e、14dは電源装置142と接続されており、電源装置142をONすることにより、LED素子5には発光用の電力が供給され、これにより発光素子パッケージ50は白色光を発光する。
【0054】
そしてこの白色光が樹脂8を透過した後に透光部材43に試し供給された樹脂8に照射される過程において、白色光に含まれる青色光によって樹脂8中の蛍光体が励起して発光した黄色光と青色光が加色混合した白色光が、樹脂8から上方に照射される。試し供給・測定ユニット140の上方には分光器42が配置されており、樹脂8から照射された白色光は分光器42によって受光され、受光された白色光は発光特性測定処理部39によって分析されて発光特性が測定される。ここでは、白色光の色調ランクや光束などの発光特性が検査され、検査結果として、規定の発光特性との偏差が検出される。すなわち発光特性測定処理部39は、光源部であるLED素子5から発光された励起光を透光部材43に供給された樹脂8に照射することによりこの樹脂8が発する光の発光特性を測定する。そして発光特性測定処理部39の測定結果は供給量導出処理部38に送られ、図6に示す例と同様の処理が実行される。
【0055】
このようにして樹脂が供給されたLED素子5はLEDウェハ10の状態でキュア装置M4に送られる。そして、図10(a)に示すように、LEDウェハ10を加熱することにより樹脂8を硬化させる。これによりLED素子5を蛍光体を含む樹脂8が硬化した樹脂膜8*によって覆った構成の発光素子5*が形成される。この後、LEDウェハ10はソーティング装置M5に送られ、ここでダイシングシート10aに貼着された複数の発光素子5*の発光特性が再度測定される。そして測定結果に基づいてLEDウェハ10を構成する複数の発光素子5*を所定の特性範囲毎にランク分けして、複数の素子保持シート13A、13B、13C・・に分別移載する。なお、発光素子の製造システム1におけるソーティング装置M5の要否は、完成品に求められる発光特性の精度や、樹脂供給装置M3による樹脂供給量補正精度などを勘案して決定されるものであり、必ずしも必須のプロセスではない。
【0056】
次に図11を参照して、発光素子の製造システム1の制御系の構成について説明する。なお、ここでは発光素子の製造システム1を構成する各装置の構成要素のうち、管理コンピュータ3、素子特性測定装置M2、樹脂供給装置M3において、素子特性情報12、樹脂供給情報19、マップデータ18およびしきい値データ81aの送受信および更新処理に関連する構成要素を示すものである。
【0057】
図11において、管理コンピュータ3は、システム制御部60、記憶部61、通信部62を備えている。システム制御部60は、発光素子の製造システム1による発光素子パッケージ製造作業を統括して制御する。記憶部61には、システム制御部60による制御処理に必要なプログラムやデータのほか、素子特性情報12、樹脂供給情報19、さらには必要に応じてマップデータ18、しきい値データ81aが記憶されている。通信部62はLANシステム2を介して他装置と接続されており、制御信号やデータの授受を行う。樹脂供給情報19は、LANシステム2および通信部62を介して、またはCDロム、USBメモリストレージ、SDカードなど単独の記憶媒体を介して、外部から伝達され記憶部61に記憶される。
【0058】
素子特性測定装置M2は、測定制御部70、記憶部71、通信部72、特性測定処理部11およびマップ作成処理部74を備えている。測定制御部70は、素子特性測定装置M2による素子特性測定作業を実行するために、記憶部71に記憶された各種のプログラムやデータに基づいて、以下に説明する各部を制御する。記憶部71には、測定制御部70による制御処理に必要なプログラムやデータのほか、素子位置情報71aや素子特性情報12を記憶する。素子位置情報71aは、LEDウェハ10におけるLED素子5の配列位置を示すデータである。素子特性情報12は、特性測定処理部11による測定結果のデータである。
【0059】
通信部72は、LANシステム2を介して他装置と接続されており、制御信号やデータの授受を行う。マップ作成処理部74(マップデータ作成手段)は、記憶部71に記憶された素子位置情報71aと当該LED素子5についての素子特性情報12とを関連付けたマップデータ18を、LEDウェハ10毎に作成する処理を行う。そして作成されたマップデータ18は、LANシステム2を介して樹脂供給装置M3に対してフィードフォワードデータとして送信される。なお、マップデータ18を管理コンピュータ3経由で素子特性測定装置M2から樹脂供給装置M3に送信するようにしてもよい。この場合には、マップデータ18は、図11に示すように、管理コンピュータ3の記憶部61にも記憶される。
【0060】
樹脂供給装置M3は、供給制御部36、記憶部81、通信部82、生産実行処理部37、供給量導出処理部38、発光特性測定処理部39を備えている。供給制御部36は、樹脂供給部Aを構成する印刷ヘッド駆動部35、位置認識部34、高さ計測部33および試し供給・測定ユニット40を制御することにより、樹脂8を発光特性測定用として透光部材43に試し供給する測定用供給処理および実生産用としてLED素子5に供給する生産用供給処理を実行させる処理を行う。
【0061】
記憶部81には、供給制御部36による制御処理に必要なプログラムやデータのほか、樹脂供給情報19やマップデータ18、しきい値データ81a、実生産用供給量81bを記憶する。樹脂供給情報19はLANシステム2を介して管理コンピュータ3から送信され、マップデータ18は同様にLANシステム2を介して素子特性測定装置M2から送信される。通信部82はLANシステム2を介して他装置と接続されており、制御信号やデータの授受を行う。
【0062】
発光特性測定処理部39は、光源部45から発光された励起光を透光部材43に供給された樹脂8に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する処理を行う。供給量導出処理部38は、発光特性測定処理部39の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用としてLED素子5に供給されるべき樹脂8の適正樹脂供給量を導出する演算処理を行う。そして生産実行処理部37は、供給量導出処理部38により導出された適正樹脂供給量を供給制御部36に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子5に供給する生産用供給処理を実行させる。
【0063】
なお、図11に示す構成において、各装置固有の作業動作を実行するための機能以外の処理機能、例えば素子特性測定装置M2に設けられているマップ作成処理部74の機能、樹脂供給装置M3に設けられている供給量導出処理部38の機能は、必ずしも当該装置に付属させる必要はない。例えば、マップ作成処理部74、供給量導出処理部38の機能を管理コンピュータ3のシステム制御部60が有する演算処理機能によってカバーするようにし、必要な信号授受をLANシステム2を介して行うように構成してもよい。
【0064】
上述の発光素子の製造システム1の構成において、素子特性測定装置M2、樹脂供給装置M3はいずれもLANシステム2に接続されている。そして記憶部61に樹脂供給情報19が記憶された管理コンピュータ3およびLANシステム2は、規定の発光特性を具備した発光素子を得るための樹脂8の適正樹脂供給量と素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報19として樹脂供給装置M3に提供する樹脂情報提供手段となっている。
【0065】
次に図12を参照して、発光素子の製造システム1によって製造された発光素子を用いた発光素子パッケージを製造する発光素子パッケージの製造システム101の構成について説明する。発光素子パッケージの製造システム101は、図1に示す構成の発光素子の製造システム1に、部品実装装置M6、キュア装置M7、ワイヤボンディング装置M8、樹脂塗布装置M9、キュア装置M10および個片切断装置M11を組み合わせた構成となっている。
【0066】
部品実装装置M6は発光素子パッケージのベースとなる基板14(図13参照)に発光素子の製造システム1によって製造された発光素子5*を樹脂接着剤によって接合して実装する。キュア装置M7は発光素子5*が実装された後の基板14を加熱することにより、実装時の接合に用いられた樹脂接着剤を硬化させる。ワイヤボンディング装置M8は基板14の電極と発光素子5*の電極とをボンディングワイヤによって接続する。樹脂塗布装置M9はワイヤボンディング後の基板14において、各発光素子5*毎に封止用の透明の樹脂を塗布する。キュア装置M10は透明樹脂塗布後の基板14を加熱することにより、発光素子5*を覆って塗布された樹脂を硬化させる。個片切断装置M11は、樹脂が硬化した後の基板14を各個別の発光素子5*毎に切断して、個片の発光素子パッケージに分割する。これにより、個片に分割された発光素子パッケージが完成する。
【0067】
なお図12においては、部品実装装置M6〜個片切断装置M11の各装置を直列に配置して製造ラインを構成した例を示しているが、発光素子パッケージの製造システム101としては必ずしもこのようなライン構成を採用する必要はなく、分散配置された各装置によってそれぞれの工程作業を順次実行する構成であってもよい。また、ワイヤボンディング装置M8の前後に、ワイヤボンディングに先立って電極のクリーニングを目的としたプラズマ処理を行うプラズマ処理装置、ワイヤボンディング後に、樹脂塗布に先立って樹脂の密着性を向上させるための表面改質を目的としたプラズマ処理を行うプラズマ処理装置を介在させるようにしてもよい。
【0068】
ここで図13を参照して、発光素子パッケージの製造システム101における作業対象となる基板14、発光素子5*および完成品としての発光素子パッケージ50について説明する。図13(a)に示すように、基板14は、完成品において1つの発光素子パッケージ50のベースとなる個片基板14aが複数個作り込まれた多連型基板であり、各個片基板14aには、それぞれ発光素子5*が実装される1つのLED実装部14bが形成されている。各個片基板14a毎においてLED実装部14b内に発光素子5*を実装し、その後LED実装部14b内に発光素子5*を覆って封止用の透明の樹脂28を塗布し、さらに樹脂28の硬化後に工程完了済みの基板14を個片基板14a毎に切断することにより、図13(b)に示す発光素子パッケージ50が完成する。
【0069】
図13(b)に示すように、個片基板14aにはLED実装部14bを形成する例えば円形や楕円形の環状堤を有するキャビティ形状の反射部14cが設けられている。反射部14cの内側に搭載された発光素子5*のN型部電極6a、P型部電極6bは、個片基板14aの上面に形成された配線層14e、14dと、それぞれボンディングワイヤ27によって接続される。そして樹脂28はこの状態の発光素子5*を覆って反射部14cの内側に所定厚みで塗布され、発光素子5*から発光された白色光が透明の樹脂28を透過して照射される。
【0070】
次に図14を参照して、部品実装装置M6の構成および機能を説明する。図14(a)の平面図に示すように、部品実装装置M6は、上流側から供給された作業対象の基板14を基板搬送方向(矢印a)に搬送する基板搬送機構21を備えている。基板搬送機構21には、上流側から順に、図14(b)にB−B断面にて示す接着剤供給部B、図14(c)にC−C断面にて示す部品実装部Cが配設されている。接着剤供給部Bは、基板搬送機構21の側方に配置され樹脂接着剤23を所定の膜厚の塗膜の形で供給する接着剤供給部22および基板搬送機構21と接着剤供給部22の上方で水平方向(矢印b)に移動自在な接着剤転写機構24を備えている。また部品実装部Cは、基板搬送機構21の側方に配置され、図10(b)に示す素子保持シート13A、13B、13C・・を保持する部品供給機構25および基板搬送機構21と部品供給機構25の上方で水平方向(矢印c)に移動自在な部品実装機構26を備えている。
【0071】
基板搬送機構21に搬入された基板14は、図14(b)に示すように、接着剤供給部Bにて位置決めされ、各個片基板14aに形成されたLED実装部14bを対象として、樹脂接着剤23の供給が行われる。すなわちまず接着剤転写機構24を接着剤供給部22の上方に移動させて転写ピン24aを転写面22aに形成された樹脂接着剤23の塗膜に接触させ、樹脂接着剤23を付着させる。次いで接着剤転写機構24を基板14の上方に移動させて、転写ピン24aをLED実装部14bに下降させることにより(矢印d)、転写ピン24aに付着した樹脂接着剤23をLED実装部14b内の素子実装位置に転写により供給する。
【0072】
次いで接着剤供給後の基板14は下流側へ搬送されて、図14(c)に示すように部品実装部Cにて位置決めされ、接着剤供給後の各LED実装部14bを対象として、発光素子5*の実装が行われる。すなわちまず部品実装機構26を部品供給機構25の上方に移動させて実装ノズル26aを部品供給機構25に保持された素子保持シート13A、13B、13C・・のいずれかに対して下降させ、実装ノズル26aによって発光素子5*を保持して取り出す。次いで部品実装機構26を基板14のLED実装部14bの上方に移動させて実装ノズル26aを下降させることにより(矢印e)、実装ノズル26aに保持した発光素子5*をLED実装部14b内において接着剤が供給された素子実装位置に実装する。
【0073】
次に発光素子パッケージの製造システム101によって実行される発光素子パッケージ製造過程について、図15のフローに沿って、各図を参照しながら説明する。ここでは、LED素子5の上面を蛍光体を含む樹脂8で予め被覆してなる発光素子5*を基板14に実装して構成された発光素子パッケージ50を製造する。
【0074】
まず、作業対象となるLEDウェハ10をダイシング装置M1に搬入し、図3(a)に示すように、LED素子5が複数作り込まれダイシングシート10aに貼着された状態のLEDウェハ10をLED素子5毎に分割する(ST1)(ダイシング工程)。この後、LEDウェハ10は素子特性測定装置M2に搬入され、図3(b)に示すように、素子特性測定が行われる。すなわちダイシングシート10aに貼着保持された状態で個片に分割されたLED素子5の発光特性を個別に測定して、各LED素子5の発光特性を示す素子特性情報を求める(ST2)(素子特性測定工程)。
【0075】
次いで素子特性測定装置M2のマップ作成処理部74によって、マップデータ18が作成される。すなわち、分割されたLED素子5のLEDウェハ10における位置を示す素子位置情報と当該LED素子5についての素子特性情報とを関連付けたマップデータ18(図4参照)をLEDウェハ10毎に作成する(ST3)(マップデータ作成工程)。そして、規定の発光特性を具備した発光素子5*を得るための樹脂8の適正樹脂供給量と素子特性情報とを対応させた情報を、樹脂供給情報19(図5参照)としてLANシステム2を介して管理コンピュータ3から入手する(ST4)(樹脂情報入手工程)。
【0076】
次いで、良品判定用のしきい値データ作成処理が実行される(ST5)。この処理は、生産用供給における良否判定のしきい値(図11に示すしきい値データ81a参照)を設定するために実行されるものであり、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]に対応する生産用供給のそれぞれについて反復して実行される。このしきい値データ作成処理の詳細について、図16,図17,図18を参照して説明する。図16において、まず樹脂供給情報19に規定する蛍光体を純正濃度で含む樹脂8を準備する(ST21)。
【0077】
そしてこの樹脂8を印刷ヘッド32にセットした後、印刷ノズルユニット32aを試し供給・測定ユニット40の試し供給ステージ40aに移動させて樹脂8を樹脂供給情報19に示す規定供給量(適正樹脂供給量)で透光部材43に供給する(ST22)。次いで透光部材43に供給された樹脂8を透光部材載置部41上に移動させ、LED素子5を発光させて樹脂8が未硬化の状態における発光特性を前述構成の発光特性測定部によって測定する(ST23)。そして発光特性測定部によって測定された発光特性の測定結果である発光特性測定値39aに基づき、発光特性が良品と判定されるための測定値の良品判定範囲を設定し(ST24)、設定された良品判定範囲をしきい値データ81aとして、記憶部81に記憶させるとともに管理コンピュータ3に転送して記憶部61に記憶させる(ST25)。
【0078】
図17はこのようにして作成されたしきい値データ、すなわち純正含有量の蛍光体を含有した樹脂8を供給した後、樹脂未硬化状態において求められた発光特性測定値および発光特性が良品と判定されるための測定値の良品判定範囲(しきい値)を示している。図17(a)、(b)、(c)は、樹脂8における蛍光体濃度がそれぞれ5%。10%、15%である場合の、Binコード[1]、[2]、[3]、[4]、[5]に対応したしきい値を示すものである。
【0079】
例えば図17(a)に示すように、樹脂8の蛍光体濃度が5%である場合において、Binコード12bのそれぞれには適正樹脂供給量15(1)のそれぞれに示す供給量が対応しており、それぞれの供給量で供給した樹脂8にLED素子5の青色光を照射することにより樹脂8が発する光の発光特性を発光特性測定部によって測定した測定結果が、発光特性測定値39a(1)に示されている。そしてそれぞれの発光特性測定値39a(1)に基づいて、しきい値データ81a(1)が設定される。
【0080】
例えばBinコード[1]に対応して適正樹脂供給量VA0で供給した樹脂8対象として発光特性を測定した測定結果は、図18に示す色度表上の色度座標ZA0(XA0、YA0)によって表される。そしてこの色度座標ZA0を中心として、色度表上におけるX座標、Y座標についての所定範囲(例えば±10%)が良品判定範囲(しきい値)として設定される。他のBinコード[2]〜[5]に対応した適正樹脂供給量についても同様に、発光特性測定結果に基づいて良品判定範囲(しきい値)が設定される(図18に示す色度表上の色度座標ZB0〜ZE0参照)。ここで、しきい値として設定される所定範囲は、製品としての発光素子パッケージ50に求められる発光特性の精度レベルに応じて適宜設定される。
【0081】
そして図17(b)、(c)は、同様に樹脂8の蛍光体濃度がそれぞれ10%、15%である場合の、発光特性測定値および良品判定範囲(しきい値)を示している。図14(b)、(c)において、適正樹脂供給量15(2)、適正樹脂供給量15(3)はそれぞれ蛍光体濃度がそれぞれ10%、15%である場合の適正樹脂供給量を示しており、発光特性測定値39a(2)、発光特性測定値39a(3)は、それぞれ蛍光体濃度がそれぞれ10%、15%である場合の発光特定測定値を、またしきい値データ81a(2)、しきい値データ81a(3)はそれぞれの場合の良品判定範囲(しきい値)を示している。
【0082】
このようにして作成されたしきい値データは、生産用供給作業において、対象となるLED素子5の属するBinコード12bに応じて使い分けられる。なお、(ST5)に示すしきい値データ作成処理は、発光素子パッケージの製造システム101とは別に設けられた単独の検査装置によってオフライン作業として実行し、管理コンピュータ3に予めしきい値データ81aとして記憶させたものをLANシステム2経由で樹脂供給装置M3に送信して用いるようにしてもよい。
【0083】
このようにして樹脂供給が可能な状態となった後、LEDウェハ10を保持したウェハホルダ4を樹脂供給装置M3に搬送する(ST6)。そして樹脂供給情報19とマップデータ18とに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の樹脂8を、ダイシングシート10aに貼着されたウェハ状態の各LED素子5に供給する(ST7)(樹脂供給工程)。この樹脂供給作業処理の詳細について、図19,図20を参照して説明する。
【0084】
まず樹脂供給作業の開始に際しては、必要に応じて樹脂収納容器の交換が行われる(ST31)。すなわち印刷ヘッド32に装着される樹脂カートリッジを、LED素子5の特性に応じて選択された蛍光体濃度の樹脂8を収納したものに交換する。次いで樹脂8を供給量を可変に吐出する樹脂供給部Aによって、樹脂8を発光特性測定用として透光部材43に試し供給する(測定用供給ステップ)(ST32)。すなわち、試し供給・測定ユニット40にて試し供給ステージ40aに引き出された透光部材43上に、図5に示す樹脂供給情報19にて規定される各Binコード12b毎の適正樹脂供給量(VA0〜VE0)の樹脂8を供給する。このとき適正樹脂供給量(VA0〜VE0)に対応する吐出動作パラメータを印刷ヘッド32に指令しても、印刷ノズルユニット32aから吐出されて透光部材43に供給される実際の樹脂供給量は樹脂8の性状の経時変化などによって必ずしも上述の適正樹脂供給量とはならず、図20(a)に示すように、実際樹脂供給量はVA0〜VE0とは幾分異なるVA1〜VE1となる。
【0085】
次いで試し供給・測定ユニット40において透光部材43を送ることにより、樹脂8が試し供給された透光部材43を送り、透光部材載置部41に載置する(透光部材載置ステップ)。そして透光部材載置部41の上方に配置された光源部45から、蛍光体を励起する励起光を発光する。そしてこの励起光を透光部材43に供給された樹脂8に上方から照射することにより、この樹脂8が発する光を透光部材43の下方から積分球44を介して分光器42によって受光し、発光特性測定処理部39によってこの光の発光特性測定を行う(発光特性測定ステップ)(ST33)。
【0086】
これにより、図20(b)に示すように、色度座標Z(図18参照)で表される発光特性測定値が得られる。この測定結果は、上述の供給量の誤差および樹脂8中の蛍光体粒子の濃度変化などによって、必ずしも予め規定された発光特性、すなわち図17(a)に示す適正樹脂供給時における標準的な色度座標ZA0〜ZE0とは一致しない。このため、得られた色度座標ZA1〜ZE1と、図17(a)に示す適正樹脂供給時における標準的な色度座標ZA0〜ZE0との、X,Y座標における隔たりを示す偏差(ΔX、ΔY)〜(ΔX、ΔY)を求め、所望の発光特性を得るための補正の要否を判定する。
【0087】
ここでは測定結果はしきい値以内であるか否かの判定が行われ(ST34)、図20(c)に示すように、(ST33)にて求められた偏差としきい値とを比較することにより、偏差(ΔX、ΔY)〜(ΔX、ΔY)がZA0〜ZE0に対して±10%の範囲内にあるか否かを判断する。ここで、偏差がしきい値以内であれば、既設定の適正樹脂供給量VA0〜VE0に対応する吐出動作パラメータをそのまま維持する。これに対し、偏差がしきい値を超えている場合には、供給量の補正を行う(ST35)。
【0088】
すなわち発光特性測定工程における測定結果と予め規定された発光特性との偏差を求め、図20(d)に示すように、求められた偏差に基づいて、LED素子5に供給されるべき実生産用の新たな適正樹脂供給量(VA2〜VE2)を導出する処理を、供給量導出処理部38によって実行する(供給量導出処理ステップ)。換言すれば、発光特性測定ステップにおける測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用の新たな適正樹脂供給量を導出する。
【0089】
ここで、補正後の適正樹脂供給量(VA2〜VE2)は、既設定の適正樹脂供給量VA0〜VE0に、それぞれの偏差に応じた補正分を加えた更新値である。偏差と補正分との関係は、予め既知の付随データとして樹脂供給情報19に記録されている。そして補正後の適正樹脂供給量(VA2〜VE2)に基づいて(ST32)、(ST33)、(ST34)、(ST35)の処理が反復実行され、(ST34)にて測定結果と予め規定された発光特性との偏差がしきい値以内であることが確認されることにより、実生産用の適正樹脂供給量が確定する。すなわち上述の樹脂供給方法においては、測定用供給工程、透光部材載置工程、励起光発光工程、発光特性測定工程および供給量導出工程を反復実行することにより、適正樹脂供給量を確定的に導出するようにしている。そして確定した適正樹脂供給量は、記憶部81に実生産用供給量81bとして記憶される。
【0090】
そしてこの後、次のステップに移行して捨て打ちが実行される(ST36)。ここでは、所定量の樹脂8を印刷ノズルユニット32aから吐出させることにより、樹脂吐出経路内の樹脂流動状態を改善して、印刷ヘッド32の動作を安定させる。なお図19にて破線枠によって示す(S37)、(ST38)、(ST39)、(ST40)の処理は、(ST32)、(ST33)、(ST34)、(ST35)に示す処理内容と同様であり、所望の発光特性が完全に確保されていることを入念的に確認する必要がある場合に実行されるものであり、必ずしも必須実行事項ではない。
【0091】
このようにして、所望の発光特性を与える適正樹脂供給量が確定したならば、生産用供給が実行される(ST41)。すなわち、供給量導出処理部38によって導出され実生産用供給量81bとして記憶されたた適正樹脂供給量を、印刷ヘッド32を制御する供給制御部36に生産実行処理部37が指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂8を、ウェハ状態のLED素子5に個別に供給する生産用供給処理を実行させる(生産実行ステップ)。
【0092】
そしてこの生産用供給処理を反復実行する過程においては、印刷ヘッド32による供給回数をカウントしており、供給回数が予め設定された所定回数を経過したか否かが監視される(ST42)。すなわちこの所定回数に到達するまでは、樹脂8の性状や蛍光体濃度の変化は少ないと判断して、同一の実生産用供給量81bを維持したまま生産用供給実行(ST41)を反復する。そして(ST42)にて所定回数の経過が確認されたならば、樹脂8の性状や蛍光体濃度が変化している可能性有りと判断して(ST32)に戻り、以下同様の発光特性の測定とその測定結果に基づく供給量補正処理が反復して実行される。
【0093】
次に図13のフローに戻り、LEDウェハ10はキュア装置M4に搬送され、図10(a)に示すように、ここで樹脂8が供給されたLED素子5を加熱することにより樹脂8を硬化させる(キュア工程)。これにより、LED素子5を樹脂8で覆った発光素子5*が完成する(ST8)。なお、キュア工程において、樹脂8を加熱硬化させる替わりに、UV(紫外線)を照射することによって硬化を促進させる方法や、そのまま放置して自然硬化させる方法を用いてもよい。そしてこの後、発光素子5*がダイシングシート10aに貼着された状態のLEDウェハ10はソーティング装置M5に搬送されて、ここで各発光素子5*の発光特性が検査され、図10(b)に示すように、検査結果に基づいて発光素子5*を分別するソーティングが行われる(ST9)。
【0094】
この後、このようにして製造された発光素子5*を基板14に実装する(ST10)(部品実装工程)。すなわち発光特性に応じて分別された発光素子5*は、素子保持シート13A、13B・・に貼着された状態で部品実装装置M6に送られる。そして図21(a)に示すように、接着剤転写機構24の転写ピン24aを昇降させることにより(矢印n)、LED実装部14b内の素子実装位置に樹脂接着剤23を供給した後、図21(b)に示すように、部品実装機構26の実装ノズル26aに保持した発光素子5*を下降させ(矢印o)、樹脂接着剤23を介して基板14のLED実装部14b内に実装する。
【0095】
次いで、部品実装後の基板14はキュア装置M7に送られ、ここで加熱されることにより、図21(c)に示すように、樹脂接着剤23が熱硬化して樹脂接着剤23*となり、発光素子5*は個片基板14aに固着される。次いで樹脂キュア後の基板14はワイヤボンディング装置M8に送られ、図21(d)に示すように、個片基板14aの配線層14e、14dを、それぞれ発光素子5*のN型部電極6a、P型部電極6bとボンディングワイヤ27によって接続する。
【0096】
この後、ワイヤボンディング後の基板14は樹脂塗布装置M9に搬送され樹脂封止が行われる(ST11)。すなわち図22(a)に示すように、反射部14cで囲まれるLED実装部14bの内部に、発光素子5*を覆って吐出ノズル90から封止用の透明の樹脂28を吐出させる。このようにして1枚の基板14を対象とする樹脂供給が終了すると、基板14はキュア装置M10に送られ、基板14を加熱することにより樹脂28を硬化させる(ST9)。
【0097】
これにより、図22(c)に示すように、発光素子5*を覆って供給された樹脂28は熱硬化して固形の樹脂28*となり、LED実装部14b内で固着状態となって発光素子5*を封止する。次いで、樹脂キュア後の基板14は個片切断装置M11に送られ、ここで基板14を個片基板14a毎に切断することにより、図22(d)に示すように、個片の発光素子パッケージ50に分割する(ST10)。これにより、LED素子5を樹脂8で覆って成る発光素子5*を個片基板14aに実装した発光素子パッケージ50が完成する。
【0098】
上記説明したように、本実施の形態に示す発光素子の製造システム1および発光素子パッケージの製造システム101では、LED素子5の上面を蛍光体を含む樹脂8で被覆してなる発光素子5*の製造において、ウェハ状態のLED素子5に樹脂8を吐出して供給する樹脂供給に際し、樹脂8を発光特性測定用として試し供給した透光部材43に光源部45から励起光を照射してこの樹脂8が発する光の発光特性を測定し、この測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて適正樹脂供給量を補正して、実生産用としてLED素子に供給されるべき樹脂8の適正樹脂供給量を導出するようにしている。これにより、個片のLED素子5の発光波長がばらつく場合にあっても、発光素子5*の発光特性を均一にして生産歩留まりを向上させることができる。
【0099】
また樹脂8の供給をウェハ状態のLED素子5を対象として行うようにしていることから、樹脂供給対象エリアを局限することが可能となっている。これにより、複数の個片基板より成る基板に実装した後に樹脂を供給する従来方法と比較して、樹脂供給設備の専有面積を減少させることができ、製造設備の面積生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の発光素子の製造システムおよび製造方法ならびにこの発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージの製造システムおよび製造方法は、個片のLED素子の発光波長がばらつく場合にあっても、発光素子パッケージの発光特性を均一にして、生産歩留まりを向上させるとともに製造設備の面積生産性を向上させることができるという効果を有し、LED素子を蛍光体を含む樹脂で覆った構成の発光素子パッケージを製造する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 発光素子の製造システム
2 LANシステム
5 LED素子
5* 発光素子
8 樹脂
10 LEDウェハ
10a ダイシングシート
12 素子特性情報
13A,13B,13C 素子保持シート
14 基板
14a 個片基板
14b LED実装部
14c 反射部
18 マップデータ
19 樹脂供給情報
23 樹脂接着剤
24 接着剤転写機構
25 部品供給機構
26 部品実装機構
28 樹脂
32 印刷ヘッド
32a 印刷ノズルユニット
40、140 試し供給・測定ユニット
40a 試し供給ステージ
41、141 透光部材載置部
42 分光器
43 透光部材
44 積分球
46 照射部
50 発光素子パッケージ
101 発光素子パッケージの製造システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子を製造する発光素子の製造システムであって、
前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング装置と、
前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定部と、
前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成部と、
規定の発光特性を具備したLED素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として提供する樹脂情報提供手段と、
前記マップデータと前記樹脂供給情報に基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給装置と、
前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア装置とを備え、
前記樹脂供給装置は、前記樹脂を供給量を可変に吐出して任意の供給対象位置に供給する樹脂供給部と、
前記樹脂供給部を制御することにより、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給処理および実生産用として前記LED素子に供給する生産用供給処理を実行させる供給制御部と、
前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部と、前記測定用供給処理において前記樹脂が試し供給された透光部材が載置される透光部材載置部と
前記光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定部と、
前記発光特性測定部の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用として前記LED素子に供給されるべき前記樹脂の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理部と、
前記導出された適正樹脂供給量を前記供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行処理部とを備えたことを特徴とする発光素子の製造システム。
【請求項2】
前記樹脂供給部は、前記樹脂をインクジェット方式によって吐出させる樹脂吐出装置であることを特徴とする請求項1記載の発光素子の製造システム。
【請求項3】
LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で被覆してなる発光素子を製造する発光素子の製造方法であって、
前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング工程と、
前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定工程と、
前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成工程と、
規定の発光特性を具備した発光素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として入手する樹脂情報入手工程と、
前記マップデータと前記樹脂供給情報とに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給工程と、
前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア工程とを含み、
さらに前記樹脂供給工程は、前記樹脂を供給量を可変に吐出する樹脂供給部によって、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給ステップと、
前記樹脂が試し供給された透光部材を透光部材載置部に載置する透光部材載置ステップと、
前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定ステップと、
前記発光特性測定ステップにおける測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、実生産用として前記LED素子に供給されるべき前記樹脂の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理ステップと、
前記導出された適正樹脂供給量を前記樹脂供給部を制御する供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行ステップとを含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂供給工程において、前記樹脂をインクジェット方式によって吐出させることを特徴とする請求項3記載の発光素子の製造方法。
【請求項5】
LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で予め被覆してなる発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージを製造する発光素子パッケージの製造システムであって、
前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング装置と、
前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定部と、
前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを、前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成部と、
規定の発光特性を具備したLED素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として提供する樹脂情報提供手段と、
前記マップデータと前記樹脂供給情報に基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給装置と、
前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させて前記発光素子を完成させるキュア装置と、
前記発光素子を基板に実装する部品実装装置とを備え、
前記樹脂供給装置は、前記樹脂を供給量を可変に吐出して任意の供給対象位置に供給する樹脂供給部と、
前記樹脂供給部を制御することにより、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給処理および実生産用として前記LED素子に供給する生産用供給処理を実行させる供給制御部と、
前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部と、前記測定用供給処理において前記樹脂が試し供給された透光部材が載置される透光部材載置部と、
前記光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定部と、
前記発光特性測定部の測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、前記LED素子に供給されるべき実生産用の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理部と、
前記導出された適正樹脂供給量を前記供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行処理部とを備えたことを特徴とする発光素子パッケージの製造システム。
【請求項6】
LED素子の上面を蛍光体を含む樹脂で予め被覆してなる発光素子を基板に実装して構成された発光素子パッケージを製造する発光素子パッケージ製造方法であって、
前記LED素子が複数作り込まれダイシングシートに貼着された状態のLEDウェハをLED素子毎に分割するダイシング工程と、
前記ダイシングシートに貼着保持された状態で個片に分割された前記LED素子の発光特性を個別に測定して、各LED素子の発光特性を示す素子特性情報を求める素子特性測定工程と、
前記分割されたLED素子の前記LEDウェハにおける位置を示す素子位置情報と当該LED素子についての前記素子特性情報とを関連付けたマップデータを、前記LEDウェハ毎に作成するマップデータ作成工程と、
規定の発光特性を具備した発光素子を得るための前記樹脂の適正樹脂供給量と前記素子特性情報とを対応させた情報を樹脂供給情報として入手する樹脂情報入手工程と、
前記樹脂供給情報と前記マップデータとに基づき、規定の発光特性を具備するための適正樹脂供給量の前記樹脂を、前記ダイシングシートに貼着されたウェハ状態の各LED素子に供給する樹脂供給工程と、
前記LED素子に供給された前記樹脂を硬化させるキュア工程と、
前記発光素子を基板に実装する部品実装工程とを含み、
さらに前記樹脂供給工程は、前記樹脂を供給量を可変に吐出する樹脂供給部によって、前記樹脂を発光特性測定用として透光部材に試し供給する測定用供給ステップと、
前記樹脂が試し供給された透光部材を透光部材載置部に載置する透光部材載置ステップと、
前記蛍光体を励起する励起光を発光する光源部から発光された励起光を前記透光部材に供給された樹脂に照射することによりこの樹脂が発する光の発光特性を測定する発光特性測定ステップと、
前記発光特性測定ステップにおける測定結果と予め規定された発光特性とに基づいて前記適正樹脂供給量を補正することにより、前記LED素子に供給されるべき実生産用の適正樹脂供給量を導出する供給量導出処理ステップと、
前記導出された適正樹脂供給量を前記樹脂供給部を制御する供給制御部に指令することにより、この適正樹脂供給量の樹脂をLED素子に供給する生産用供給処理を実行させる生産実行ステップとを含むことを特徴とする発光素子パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−65644(P2013−65644A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202642(P2011−202642)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】