説明

発光素子用駆動回路及びその駆動制御方法並びに、その発光素子用駆動回路を備えた表示装置及びその表示装置を備えた電子機器

【課題】発光素子に供給する駆動信号のパルス幅を変更することなく、各発光素子の発光
特性のバラツキを補正することができる発光素子用駆動回路及びその制御方法並びに、そ
の発光素子用駆動回路を備えた表示装置及びその表示装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】
ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量
が制御される発光素子と、前記駆動信号の電流値を制御するパルス制御手段と、前記駆動
信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を具備し、前記パルス制御手段は、前
記駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそれ以外の中間部の電流値が低くなるように前記駆
動信号を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下、「OLED(Organic Light Emitting Diode)
」という。)素子などの発光素子の発光量を制御するその駆動制御方法並びに、その発光
素子用駆動回路を備えた表示装置及びその表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子が主走査方向に配列された発光素子アレイと、この発光素子アレイと感
光体とを主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる副走査手段と、階調画像を
担持する画像データに基づいて、複数の発光素子の各々の発光時間(発光パルス幅)を制
御する駆動回路とを具備して、その画像データが示す階調画像を感光体に露光する画像形
成装置が従来から知られている。
【0003】
この画像形成装置に用いられる発光素子としては、半導体レーザー素子、LED(ligh
t emitting diode)素子、OLED素子などが挙げられるが、同一の発光素子アレイに配
列された各発光素子の発光特性が異なると、それらの発光素子が同一の画像データに基づ
いて駆動されたときに、感光体が受ける露光量に差が生じることになる。したがって、そ
のような発光特性の差が、隣接する発光素子間に存在した場合には、形成された画像にお
いて主走査方向に濃度差が生じ、副走査方向に延びる筋状の濃度ムラ(いわゆる筋ムラ)
が発生していた。
【0004】
そこで、パルスの高さ(発光素子を流れる電流)を一定に保持しつつ、発光パルス幅を
制御することにより、発光素子の発光特性を補正する方法が提案されている(特許文献1
及び2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−81696号公報
【特許文献2】特開2005−103816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した画像形成装置では、感光体は副走査手段により副走査方向に相
対移動されながら露光されることになるので、発光パルス幅を制御して各発光素子の発光
特性を補正する方法を用いると、各発光素子の発光時間が異なることになる。すなわち、
発光パルス幅を変化させることにより、感光体上に形成される潜像の副走査方向の長さが
異なることになる。図15に、発光パルス幅を変化させた際の発光パルス幅、パルス状の
電流値及び感光体上に形成された潜像との関係を示す。図15に示すように、発光パルス
幅が大きくなるにつれて感光体上に形成された潜像の副走査方向の長さが長くなる。した
がって、発光パルス幅を制御して各発光素子の発光特性を補正する方法を用いると、その
補正の量に応じて形成される画像が劣化するという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑み、発光素子に供給する電流のパルス幅を変更することな
く、各発光素子の発光特性のバラツキを補正することができる発光素子用駆動回路及びそ
の制御方法並びに、その発光素子用駆動回路を備えた表示装置及びその表示装置を備えた
電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ライン状に複数配列され、駆動信号を構成
する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子と、前記駆動信号の
電流値を制御するパルス制御手段と、前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動
手段と、を具備し、前記パルス制御手段は、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそれ
以外の中間部の電流値が低くなるように前記駆動信号を制御することを特徴とする発光素
子用駆動回路にある。
かかる第1の態様では、発光素子に供給する駆動信号のパルス幅を変更することなく発
光素子のバラツキを補正することができる。また、パルス状の駆動信号の中間部よりも前
縁部及び後縁部の電流値を高くすることができるので、シャープな潜像を形成することが
できる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発光装置用駆動回路において、前記パルス
制御手段は、前記発光素子と並列に接続されたスイッチング手段を有するバイパス路を具
備し、前記スイッチング手段をONすることにより、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よ
りもそれ以外の中間部の電流値が低くなるように前記駆動信号を制御することを特徴とす
る発光素子用駆動回路にある。
かかる第2の態様では、容易に発光装置用駆動回路を製造することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス
幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子と、前記駆動信号の電流値を制御するパ
ルス制御手段と、前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を具備し、
前記パルス制御手段は、前記駆動信号の電流値が前端から中央部に向けて漸減し、且つ前
記中央部から後端に向けて漸増するように前記駆動信号を制御することを特徴とする発光
素子用駆動回路にある。
かかる第3の態様では、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0011】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発光素子用駆動回路において、前記パルス
制御手段は、電源に対して前記発光素子と直列に接続された補正用トランジスタを具備し
、前記補正用トランジスタのゲート電極に、前端から中央部に向けて漸減し、且つ前記中
央部から後端に向けて漸増するパルス状の電圧を印加することにより、前記発光素子に供
給する前記駆動信号を形成することを特徴とする発光素子用駆動回路にある。
かかる第4の態様では、容易に発光装置用駆動回路を製造することができる。
【0012】
本発明の第5の態様は、ライン状に複数配列され、パルス群からなる駆動信号の電流値
とパルス幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子と、前記駆動信号の電流値を制
御するパルス制御手段と、前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を
具備し、前記パルス制御手段は、前記発光素子の発光量が前端から中央部に向けて漸減し
、且つ前記中央部から後端に向けて漸増するように前記パルスのデューティ値を制御する
ことを特徴とする発光素子用駆動回路にある。
かかる第5の態様では、第1の態様と同様の効果が得られる。
【0013】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の発光素子用駆動回路において、前記デュー
ティ値の制御は、前記発光素子と直列に接続されるパルス幅制御用トランジスタのゲート
電極に供給する補正データで、このパルス幅制御用トランジスタのON/OFFを制御す
るパルス幅変調回路を介して行なうように構成したことを特徴とする発光素子用駆動回路
にある。
かかる第6の態様では、容易に発光装置用駆動回路を製造することができる。
【0014】
本発明の第7の態様は、第1〜7の態様の何れかに記載の発光素子用駆動回路を備えた
表示装置にある。
かかる第7の態様では、発光素子のバラツキを抑えた表示装置を提供することができる

【0015】
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載の表示装置を備えた電子機器にある。
かかる第8の態様では、発光素子のバラツキを抑えた電子機器を提供することができる

【0016】
本発明の第9の態様は、ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス
幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子に、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よ
りもそれ以外の中間部の電流値が低い前記駆動信号を供給することを特徴とする発光素子
用駆動回路の制御方法にある。
かかる第9の態様では、発光素子に供給する駆動信号のパルス幅を変更することなく発
光素子のバラツキを補正することができる。また、パルス状の駆動信号の中間部よりも前
縁部及び後縁部の電流値を高くすることができるので、シャープな潜像を形成することが
できる。
【0017】
本発明の第10の態様は、ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパル
ス幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子に、前記駆動信号の電流値が前端から
中央部に向けて漸減し、且つ前記中央部から後端に向けて漸増する前記駆動信号を供給す
ることを特徴とする発光素子用駆動回路の制御方法にある。
かかる第10の態様では、第9の態様と同様の効果が得られる。
【0018】
本発明の第11の態様は、ライン状に複数配列され、パルス群からなる駆動信号の電流
値とパルス幅とに応じて各々の発光量が制御される発光素子に、前記発光素子の発光量が
前端から中央部に向けて漸減し、且つ前記中央部から後端に向けて漸増するように前記パ
ルスのデューティ値を制御することを特徴とする発光素子用駆動回路の制御方法にある。
かかる第11の態様では、第9の態様と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明
は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る表示装置を構成するブロック図である。この表示装
置10は、感光体の露光によって潜像を形成する方式の画像形成装置(印刷装置)におい
て感光体を露光するための露光ヘッドとして利用される。図1に示すように、表示装置1
0は、所望の画像に応じた光線を感光体の表面に向けて出射するヘッドモジュール20と
、このヘッドモジュール20の動作を制御するコントローラ30とを具備している。
【0021】
ヘッドモジュール20は、発光部22と駆動制御部24と記憶装置26とを有する。発
光部22は、n個(nは自然数)の発光素子Eが主走査方向に沿ってライン状に配列され
た部分である。記憶装置26は、各発光素子Eの発光特性データが格納されたものであり
、例えばEEP−ROMなどが挙げられる。なお、発光特性データは、予め測定されてい
るものである。
【0022】
一方、コントローラ30は、制御部31とバッファメモリ32とを有する。制御部31
は記憶装置26に接続されると共に駆動制御部24に接続されている。そして、制御部3
1は、記憶装置26に格納された各発光素子Eの発光特性データを取得して、各発光素子
Eの発光特性データに応じた補正データDa1を算出した後、補正データDa1を駆動制
御部24に出力することができるようになっている。ここで、詳細は後述するが、補正デ
ータDa1は、階調データに応じて、発光素子Eにバイパスさせる補正電流の電流値を指
定するデータである。
【0023】
バッファメモリ32は、駆動制御部24に接続されており、格納された表示データ(階
調データ)を駆動制御部24に順次出力することができるようになっている。
【0024】
本発明は、発光素子に供給されるパルス状の駆動信号の階調データに応じたパルス幅を
変更することなく、駆動信号の形状を補正することによって、各発光素子Eの発光特性の
バラツキを補正するというものであり、駆動制御部24の構成とその駆動方法に特徴を有
する。
【0025】
そこで、駆動制御部24について詳細に説明する。駆動制御部24は、単位駆動回路U
の駆動タイミングや駆動信号の電流値を制御するための手段であり、各々が別個の発光素
子Eに対応するn個の単位駆動回路Uと、駆動回路とを有する。なお、駆動制御部24は
、n個の発光素子Eを所定の数に区分したグループごとに複数配置されたICチップで構
成されてもよいし、すべての発光素子Eの制御を担う1つのICチップによって構成され
てもよい。
【0026】
図2は、駆動制御部24の一部とその部分に対応する発光素子Eとの具体的な構成を示
すブロック図である。なお、同図においては第J番目(Jは1≦j≦nを満たす整数)の
単位駆動回路U及び発光素子Eが図示されているが、他の単位駆動回路Uや発光素子Eの
構成も同様である。なお、本実施形態における発光素子Eは、陽極と陰極との間隙に有機
EL(Electro Luminescent)材料からなる発光層が介挿されたOLED素子である。
【0027】
駆動回路は、コントローラ30から出力された階調データ及び補正データDa2に基づ
いて、パルス幅データDtと、補正パルス幅データDtaと、補正電流値データDiaと
を生成する。単位駆動回路Uは、後述するパルス幅データDtと、補正パルス幅データD
taと、補正電流値データDiaとに基づいて駆動信号Xjを生成して発光素子Eに出力
する。
【0028】
図3は、単位駆動回路Uから出力される駆動信号Xjの波形を示すタイミングチャート
である。図3に示すように、パルス幅データDtは、階調データに基づいて、各発光素子
Eの制御の単位となる期間(以下「単位期間」という)Tのうち各発光素子が実際に点灯
する発光期間の時間長(すなわち、駆動信号Xjのパルス幅)T[j]を指定するデータ
であり、補正パルス幅データDtaは、発光期間の時間長であるパルス幅T[j]中の電
流値を補正する時間長(すなわち、補正幅)Ta[j]を指定するデータである。そして
、補正電流値データDiaは、階調データ及び補正データDa2に基づいて補正電流値I
a[j]を指定するデータである。ここで、詳細は後述するが、補正電流値データDia
は、補正される前の電流値の10〜30%の電流値を指定するものが好ましい。
【0029】
このようなデータが入力される単位駆動回路Uは、図2に示すように、第1の電流生成
回路241と、第2の電流生成回路242と、パルス駆動回路243とを有している。第
1の電流生成回路241は、予め設定された電流値Imaxの電流を生成する手段である。
第1の電流生成回路241としては、例えば電流値Imaxの電流を生成するDAC(Digit
al to Analog Converter)などが挙げられる。なお、第1の電流生成回路241は、各単
位駆動回路Uに同一のものが配置される。
【0030】
また、第2の電流生成回路242は、補正電流値データDiaに基づいて、補正電流値
Ia[j]の電流を生成する手段である。第2の電流生成回路242としては、例えば補
正電流値データDiaよって指定される補正電流値Ia[j]の電流を生成するDACな
どが挙げられる。
【0031】
一方、パルス駆動回路243は、駆動信号Xjのパルス幅(発光期間の時間長)をパル
ス幅データDtによって指定されるパルス幅T[j]に調整すると共に、その駆動信号X
jの形状を補正する手段である。パルス駆動回路243としては、例えば図4に示す回路
などが挙げられる。
【0032】
図4は、パルス駆動回路243の模式図である。図4に示すように、パルス駆動回路2
43は、2つのトランジスタTR1、TR2を有しており、第1の電流生成回路241か
ら電流値Imaxが供給されるようになっている。TR1及びTR2の製造プロセスとして
は、レーザーアニールショットを利用してガラス基板の上にポリシリコン層を形成するT
FT(Thin Film Transistor)を用いて発光素子Eと同一ガラス基板上に形成する場合の
他、半導体ICを用いる場合等が考えられる。
【0033】
スイッチングトランジスタであるTR1及びTR2は、nチャネル型である。TR1の
ドレイン電極は第1の電流生成回路241に接続される一方、そのソース電極は発光素子
Eに接続される。そして、TR1のゲート電極は、駆動回路に接続されており、階調デー
タに応じたパルス幅データDtが供給される。したがって、TR1のゲート電極にパルス
幅データDtが入力されると、そのパルス幅データDtに応じて、TR1のソース・ドレ
イン電極間に電流値Imaxのパルス電流が流れることになる。すなわち、TR1に入力さ
れるパルス幅データDtによって、階調が制御されることになる。
【0034】
TR2のドレイン電極はTR1のソース電極に接続される一方、そのソース電極は第2
の電流生成回路242に接続される。そして、TR2のゲート電極は、TR1のゲート電
極と同様に、駆動回路に接続されており、補正パルス幅データDtaが供給される。した
がって、TR2のゲート電極に補正パルス幅データDtaが入力されると、その補正パル
ス幅データDtaに応じて、TR2のソース・ドレイン電極間に補正電流値Ia[j]の
電流が流れることになる。すなわち、TR1のソース・ドレイン電極間を流れた電流値I
maxのパルス電流の一部がバイパスされることになる。そして、このパルス駆動回路24
3は、TR1及びTR2を同時に駆動させることにより、単位駆動回路U内に図5に示す
ような電流I1、I2、Ioledが流れるようになっている。
【0035】
このように、本実施形態の表示装置10によれば、発光素子Eの発光特性データに基づ
いて補正された、パルス状の駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそれ以外の中間部の電流
値が低い電流Ioledを発光素子Eに供給することができるので、パルス電流のパルス幅(
発光パルス幅)を変更することなく各発光素子の発光特性のバラツキを補正することがで
き、結果として高品質で印字することができるという効果を奏する。また、パルス状の駆
動信号の中間部よりも前縁部及び後縁部の電流値を高くすることができるので、シャープ
な潜像を形成することができるという効果を奏する。
【0036】
なお、本実施形態では、パルス幅データDtと、補正パルス幅データDtaと、補正電
流値データDiaとを制御駆動部で生成したが、コントローラ30で生成するようにして
もよい。
【0037】
(実施形態2)
実施形態1では、上述したような駆動制御部を用いて、発光素子Eに供給されるパルス
状の駆動信号Xjを制御するようにしたが、以下に示す駆動制御部を用いて、発光素子E
に供給されるパルス状の駆動信号Xjを制御するようにしてもよい。
【0038】
図6は、本実施形態に係る駆動制御部の一部とその部分に対応する発光素子Eとの構成
を示すブロック図である。なお、同図においては第J番目(Jは1≦j≦nを満たす整数
)の単位駆動回路U及び発光素子Eが図示されているが、他の単位駆動回路Uや発光素子
Eの構成も同様である。また、以下で説明する駆動制御部の構成要素以外の構成要素につ
いては、実施形態1に係る駆動制御部と同様であるため、同一符号を付して説明を省略す
る。
【0039】
本実施形態に係る駆動制御部には、図示しないコントローラから、補正データDa2が
供給されるようになっている。ここで、補正データDa2は、ヘッドモジュールの記憶装
置に格納された各発光素子Eの発光特性データに基づいて、コントローラによって生成さ
れる。ここで、詳細は後述するが、補正データDa2は、発光素子Eに供給される電流値
の補正量を指定するデータである。
【0040】
図6に示すように、本実施形態に係る駆動制御部は、単位駆動回路Uと、単位駆動回路
Uの駆動タイミングや駆動信号の電流値を制御する駆動回路とを有する。駆動回路は、参
照電圧線Lrを介して各単位駆動回路Uに接続されるレベル電圧生成回路246が設けら
れており、各単位駆動回路Uに対してレベル電圧Vrをそれぞれ供給することができるよ
うになっている。レベル電圧生成回路246は、予め設定されたレベル電圧Vrを生成す
る回路である。なお、レベル電圧生成回路246はすべての単位駆動回路Uに対して共通
のものであってもよいし、単位駆動回路Uごとに設けられてもよい。ここで、レベル電圧
Vrは、駆動信号Xjの電流値を設定するためのものである。また、駆動回路は、図示し
ないコントローラから出力された階調データ及び補正データDa2に基づいて、パルス幅
データDtと、補正電圧値データDvaと、リセット信号Dpとを生成する。ここで、パ
ルス幅データDtは、上述したように、各発光素子が実際に点灯する発光期間の時間長(
すなわち、駆動信号Xjのパルス幅)T[j]を指定するデータであり、また、補正電圧
値データDvaは、階調データに応じて、後述する三角波信号の中間部における最低電圧
を指定するデータである。そして、リセット信号Dpは、パルス幅データDtが単位駆動
回路Uに入力される直前に入力される。なお、リセット信号Dpの機能については後述す
る。
【0041】
単位駆動回路Uは、パルス駆動回路243Aと、三角波信号線Ltを介してパルス駆動
回路243Aと接続される三角波生成回路245とを有しており、パルス幅データDt、
補正電圧値データDva及び階調データに基づいて、駆動信号Xjを生成して発光素子E
に出力する。
【0042】
三角波生成回路245は、パルス幅データDt及び補正電圧値データDvaに基づいて
、三角波信号を生成する手段である。三角波生成回路245としては、例えばパルス幅デ
ータDtによって指定された幅を有し、中央の電圧が補正電圧値データDvaにより指定
される電圧分だけ降下した三角波信号を生成する回路などが挙げられる。
【0043】
一方、パルス駆動回路243Aは、駆動信号Xjのパルス幅(発光期間の時間長)をパ
ルス幅データDtによって指定されるパルス幅T[j]に調整すると共に、その駆動信号
Xjの形状を補正する手段である。パルス駆動回路243Aとしては、例えば図7に示す
回路などが挙げられる。
【0044】
図7は、パルス駆動回路243Aの模式図である。図7に示すように、パルス駆動回路
243Aは、5つのトランジスタTR1A〜TR5Aを有しており、図示しない駆動回路
から各単位駆動回路Uに共通の電源電圧Vcc及びレベル電圧Vrが供給されるようにな
っている。TR1A〜TR5Aの製造プロセスでは、レーザーアニールショットを利用し
てガラス基板の上にポリシリコン層を形成するTFT(Thin Film Transistor)を用いて
発光素子Eと同一ガラス基板上に形成する場合の他、半導体ICを用いる場合等が考えら
れる。
【0045】
駆動トランジスタであるTR1Aはpチャネル型であり、スイッチングトランジスタで
あるTR2A〜TR5Aはnチャネル型である。TR1Aのソース電極は電源電圧Vcc
が供給される電源線Lに接続される一方、そのドレイン電極はTR2のドレイン電極に接
続されており、TR1Aのゲート電極に印加される電位に応じて、TR1Aのソース・ゲ
ート電極間に電流が流れるようになっている。そして、TR1Aのゲート電極は、容量素
子Cを介してTR5Aのドレイン電極に接続されている。
【0046】
TR2Aのソース電極は発光素子Eに接続され、そのゲート電極は階調データに基づい
たパルス幅データDtが入力される信号線L2に接続されており、パルス幅データDtに
よって発光素子Eに供給される電流のパルス幅を制御することができるようになっている
。すなわち、TR2Aに入力されるパルス幅データDtによって、階調が制御されること
になる。
【0047】
TR3Aのドレイン電極はレベル電圧Vrが印加される参照電圧線Lrに接続される一
方、そのソース電極はTR1Aのゲート電極と共にTR4のドレイン電極に接続されてい
る。また、TR4Aのソース電極はTR5Aのドレイン電極に接続されている。そして、
TR3Aのゲート電極は、TR4Aのゲート電極と共に信号線L1に接続されている。こ
こで、信号線L1は、パルス幅データDtが信号線L2に入力される直前に入力されるリ
セット信号Dpが入力されるものである。そして、信号線L1にリセット信号Dpが入力
されると、容量素子Cがショートして容量素子Cがリセットされると共に、TR1Aのゲ
ート電極にレベル電圧Vrが印加されるようになっている。
【0048】
TR5Aのソース電極は三角波信号線Ltに接続され、そのゲート電極はTR2Aのゲ
ート電極と共に信号線L2に接続されている。
【0049】
このような構成において、リセット信号DpがHレベルになると、nチャネル型TR3
A及びTR4Aがオン状態となるので、TR1Aのゲート電極にレベル電圧Vrが印加さ
れる。
【0050】
そして、リセット信号DpがLレベルになると、TR3A及びTR4Aがオフ状態とな
る。このとき、TR1Aのゲート電極における入力インピーダンスは極めて高いので、T
R3A及びTR4Aがオフ状態となった瞬間のTR1Aのゲート電極における電荷の蓄積
状態は変化しない。すなわち、リセット信号DpがHレベルになった瞬間のTR1Aのゲ
ート電極の電位はそのまま保持される。
【0051】
次に、パルス幅データDtと三角波信号Dttとが同時にHレベルになると、TR5A
がオン状態となるので、TR1Aのゲート電極に印加されていたレベル電圧Vrと三角波
信号Dttとが重畳された電圧がTR1Aのゲート電極に印加されることになる。また、
同時にTR5Aがオン状態となり、TR1Aのソース・ドレイン電極間及びTR2Aのソ
ース・ドレイン電極間を電流が流れることになるので、結果的に、図8に示す電流Ioled
が発光素子Eに供給される。
【0052】
したがって、実施形態1と同様に、本実施形態の表示装置10によれば、前端から中央
部に向けて漸減し、且つ中央部から後端に向けて漸増する電流Ioledを発光素子Eに供給
することができるので、実施形態1と同様に、発光素子Eに供給されるパルス電流のパル
ス幅を変更することなく発光素子のバラツキを補正することができ、結果として高品質で
印字することができるという効果を奏する。また、パルス状の駆動信号の中央部よりも前
端及び後端の電流値を高くすることができるので、シャープな潜像を形成することができ
るという効果を奏する。
【0053】
なお、本実施形態では、三角波生成回路245を用いて、前端から中央部に向けて漸減
し、且つ中央部から後端に向けて漸増するように電流Ioledを制御したが、前端から中央
部に向けて漸減し、且つ中央部から後端に向けて漸増するように電流Ioledを制御するこ
とができるものであれば特に限定されず、例えば傾きが指数関数状の波形を生成する回路
を用いてもよい。
【0054】
(実施形態3)
実施形態1及び2では上述したような駆動制御部を用いて発光素子Eに供給されるパル
ス状の駆動信号を制御するようにしたが、以下に示す駆動制御部を用いて、発光素子Eに
供給される駆動信号を制御するようにしてもよい。
【0055】
図9は、本実施形態に係る駆動制御部の一部とその部分に対応する発光素子Eとの構成
を示すブロック図である。なお、同図においては第J番目(Jは1≦j≦nを満たす整数
)の単位駆動回路U及び発光素子Eのみが図示されているが、他の単位駆動回路Uや発光
素子Eの構成も同様である。また、以下で説明する駆動制御部の構成要素以外の構成要素
については、実施形態1に係る駆動制御部と同様であるため、同一符号を付して説明を省
略する。
【0056】
本実施形態に係る駆動制御部には、駆動回路を介して図示しないコントローラから、階
調データと、補正データDa3と、クロックデータCKとが供給されるようになっている
。補正データDa3は、ヘッドモジュールの記憶装置に格納された各発光素子の発光特性
データに基づいて発光素子Eに供給するパルス電流のデューティ値を指定するデータであ
る。そして、クロックデータCKは、後述するパルス幅変調回路の動作時間を規定するデ
ータである。
【0057】
図9に示すように、本実施形態に係る駆動制御部は、単位駆動回路Uと、駆動回路とを
有する。駆動回路は、単位駆動回路Uの駆動タイミングや駆動信号の電流値を制御すると
共に、コントローラ30から供給される階調データに基づいて発光データDeを生成する
。ここで、発光データDeは、階調データに応じて各発光素子が実際に点灯する発光期間
の時間長(パルス幅T[j])を指定するデータである。
【0058】
一方、単位駆動回路Uは、電流生成回路241Bと、パルス幅変調制御回路(PWM制
御回路)248と、パルス駆動回路243Bとを有する。電流生成回路241Bは、予め
設定された電流値Imaxの電流を生成する手段である。電流生成回路241Bとしては、
例えば電流値Imaxを生成するDACなどが挙げられる。PWM制御回路248は、発光
データDe、補正データDa3及びクロックデータCKに基づいて、複数のパルスで構成
されるパルス群を生成する手段である。PWM制御回路としては、例えば発光データDe
によってパルス群の幅(パルス幅T[j])を規定し、補正データDa3及びクロックデ
ータCKによって指定されるデューティ値で各パルスの幅Wを規定する回路などが挙げら
れる。そして、パルス駆動回路243Bとしては、例えば図10に示す回路などが挙げら
れる。
【0059】
図10は、パルス駆動回路243Bの模式図である。図10に示すように、パルス駆動
回路243Bは、トランジスタTR1Bを有しており、電流生成回路241Bから電流値
Imaxの電流が供給されるようになっている。TR1Bの製造プロセスでは、レーザーア
ニールショットを利用してガラス基板の上にポリシリコン層を形成するTFT(Thin Fil
m Transistor)を用いて発光素子Eと同一ガラス基板上に形成する場合の他、半導体IC
を用いる場合等が考えられる。
【0060】
スイッチングトランジスタであるTR1Bはnチャネル型である。TR1Bのドレイン
電極は電流値Imaxの電流が供給される電流生成回路241Bに接続される一方、そのソ
ース電極は発光素子Eに接続されている。そして、TR1Bのゲート電極は、PWM制御
回路248に接続されており、PWM制御回路248によって、パルス群の幅とパルスの
デューティ値とを制御することによって、図11に示すように、実質的に発光素子Eの発
光期間の前縁部及び後縁部よりもそれ以外の中間部の発光量が小さくなるように発光素子
Eを発光させることができるようになっている。
【0061】
図11は、図10に示す電流I1と、電流Ioledと、発光素子Eの発光量F[j]との関
係を示す図である。図11に示すように、本実施形態の表示装置によれば、パルス郡の幅
(パルス幅T[j])を変化させることなく、パルス群の中間部に位置するパルスの幅W
を小さくすることによって、発光素子の発光量が前端から中央部に向けて漸減し、且つ中
央部から後端に向けて漸増するように発光素子を発光させることができるので、実施形態
1及び2と同様に、実質的に発光素子Eに供給されるパルス電流のパルス幅T[j]を変
更することなく発光素子のバラツキを補正することができ、結果として高品質で印字する
ことができるという効果を奏する。また、パルス状の駆動信号の中央部よりも前縁部及び
後縁部の電流値を高くすることができるので、シャープな潜像を形成することができると
いう効果を奏する。
【0062】
(実施形態4)
実施形態1では、発光素子Eに供給される電流の前縁部の電流値と後縁部の電流値とは
その電流の中央部に対して対称であったが、それらは対称でなくてもよい。また、発光素
子Eに供給される電流の前縁部の幅と後縁部の幅とはその電流の中央部に対して対称であ
ったが、それらは対称でなくてもよい。例えば、単位駆動回路Uに入力される補正パルス
幅データDtaのタイミングと電流値データDiを瞬間的に変化させて、図12に示すよ
うな電流を発光素子Eに供給するようにしてもよい。このようにしても、実施形態1と同
様の効果が得られる。
【0063】
(他の実施形態)
実施形態1〜4では、発光素子Eが1列のライン状に複数配置された表示装置について
説明したが、発光素子Eが複数のライン状に配置されてもよい。このようにしても、実施
形態1〜4と同様の効果が得られる。
【0064】
<応用例>
<画像形成装置>
次に、図13を参照して、本発明に係る電子機器のひとつの態様である画像形成装置に
ついて説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフ
ルカラー画像形成装置である。
【0065】
この画像形成装置では、各々が同様の構成である4個の表示装置10K,10C,10
M,10Yが、各々の構成が同様である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,11
0C,110M,110Yの像形成面110Aに対向する位置にそれぞれ配置されている
。表示装置10K,10C,10M,10Yは、以上の形態に係る表示装置10である。
【0066】
図13に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122と
が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻
回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しない
が、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けて
もよい。
【0067】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム1
10K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添字「
K」,「C」,「M」,「Y」はそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成
するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラ
ム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して
回転駆動される。
【0068】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,
M,Y)と、表示装置10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)とが
配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、これに対応する感光体ドラ
ム110(K,C,M,Y)の像形成面110A(外周面)を一様に帯電させる。表示装
置10(K,C,M,Y)は、各感光体ドラムの帯電した像形成面110Aに静電潜像を
書き込む。各表示装置10(K,C,M,Y)においては、感光体ドラム110(K,C
,M,Y)の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き
込みは、複数の発光素子Eによって感光体ドラム110(K,C,M,Y)に光を照射す
ることにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナ
ーを付着させることにより感光体ドラム110(K,C,M,Y)に顕像(すなわち可視
像)を形成する。
【0069】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、
イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次に一次転写されることによって中間
転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が形成される。中
間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,
M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ド
ラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(
K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロ
トロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0070】
最終的に画像を形成する対象(記録材)としてのシート102は、ピックアップローラ
103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接し
た中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベル
ト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に
一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に
定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成さ
れた排紙カセット上へ排出される。
【0071】
次に、図14を参照して、本発明に係る画像形成装置の他の形態について説明する。こ
の画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形
成装置である。図14に示すように、感光体ドラム110の周囲には、コロナ帯電器16
8と、ロータリ式の現像ユニット161と、以上の実施形態に係る表示装置10と、中間
転写ベルト169とが設けられている。
【0072】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム110の外周面を一様に帯電させる。表示装置1
0は、感光体ドラム110の帯電させられた像形成面110A(外周面)に静電潜像を書
き込む。この表示装置10においては、感光体ドラム110の母線(主走査方向)に沿っ
て複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子Eから感光体
ドラム110に光を照射することにより行う。
【0073】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90
°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転
可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シ
アン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム110に供給して、静電潜像に現像剤として
のトナーを付着させることにより感光体ドラム110に顕像(すなわち可視像)を形成す
る。
【0074】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写
ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す
向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム110から顕像を静電的
に吸引することにより、感光体ドラム110と一次転写ローラ166の間を通過する中間
転写ベルト169に顕像を転写する。
【0075】
具体的には、感光体ドラム110の最初の1回転で、表示装置10によりイエロー(Y
)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さら
に中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、表示装置10によりシアン
(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、
イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このよ
うにして感光体ドラム110が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像
が中間転写ベルト169に順次に重ね合わせられ、この結果としてフルカラーの顕像が転
写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画
像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に
中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像
を中間転写ベルト169上に形成する。
【0076】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シ
ートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出さ
れ、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接し
た中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ロー
ラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引するこ
とにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッ
チにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、
シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169
に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171か
ら離される。
【0077】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の
加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の
顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向
きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後
、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路1
75に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され
、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される

【0078】
図13および図14に例示した画像形成装置は、OLED素子を発光素子Eとして採用
した光源(露光手段)を利用しているので、レーザー走査光学系を用いた場合よりも装置
が小型化される。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の
表示装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムか
らシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形
成する画像形成装置にも本発明に係る表示装置を応用することが可能である。
【0079】
<その他>
以上においては露光ヘッドとして利用される表示装置を例示したが、本発明の表示装置
の用途は感光体の露光に限定されない。例えば、本発明の表示装置は、原稿などの読取対
象に光を照射するライン型の光ヘッド(照明装置)としてスキャナなどの画像読取装置に
採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読取部
分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読
む二次元画像コードリーダがある。また、複数の発光素子を面状に配列した表示装置は、
液晶パネルの背面側に配置されるバックライトユニットとしても採用される。
【0080】
また、画像を表示する表示装置としても本発明の表示装置が採用される。この表示装置
においては、行方向および列方向にわたって複数の発光素子がマトリクス状に配列される
。そして、走査線駆動回路が単位期間(水平走査期間)ごとに各行を選択し、この選択行
の各発光素子Eに駆動制御部24から駆動信号Xjが供給される。
【0081】
本発明の表示装置が画像の表示のために利用される電子機器としては、例えば、可搬型
のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Ass
istants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、
ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テ
レビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを
備えた機器等などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施形態1に係る表示装置の概略図。
【図2】図1における駆動制御部の一部を示すブロック図。
【図3】図1における各信号のタイミングチャート。
【図4】図1に示す表示装置における単位駆動回路を示す回路図。
【図5】図1に示す単位駆動回路内を流れる各電流を示すタイミングチャート。
【図6】実施形態2に係る駆動制御部の一部を示すブロック図。
【図7】図6に示す単位駆動回路を示す回路図。
【図8】単位駆動回路に入力される各信号及び電流Ioledのタイミングチャート。
【図9】実施形態3に係る駆動制御部の一部を示すブロック図。
【図10】図9に示す単位駆動回路を示す回路図。
【図11】単位駆動回路内を流れる電流及び発光素子の発光量の関係を示す図。
【図12】実施形態4における各信号のタイミングチャート。
【図13】本発明に係る電子機器の具体例(画像形成装置)を示す斜視図。
【図14】本発明に係る電子機器の具体例(画像形成装置)を示す斜視図。
【図15】従来の補正方法による発光パルス幅を変化させた際の関係を示す図。
【符号の説明】
【0083】
10 表示装置、 20 ヘッドモジュール、 E 発光素子、 24 駆動制御部、
U 単位駆動回路、 241,242 電流生成回路、 243 パルス駆動回路、
26 記憶装置、 30 コントローラ、 31 制御部、 32 バッファメモリ、
Xj 駆動信号、 CK クロックデータ、 Da 補正データ、 De 発光データ
、 Dia 補正電流値データ、 Dp リセット信号、 Dt パルス幅データ、
Dta 補正パルス幅データ、 Dtt 三角波信号、 Dva 補正電圧値データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量
が制御される発光素子と、
前記駆動信号の電流値を制御するパルス制御手段と、
前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を具備し、
前記パルス制御手段は、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそれ以外の中間部の電流
値が低くなるように前記駆動信号を制御することを特徴とする発光素子用駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子用駆動回路において、
前記パルス制御手段は、前記発光素子と並列に接続されたスイッチング手段を有するバイ
パス路を具備し、
前記スイッチング手段をONすることにより、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそ
れ以外の中間部の電流値が低くなるように前記駆動信号を制御することを特徴とする発光
素子用駆動回路。
【請求項3】
ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量
が制御される発光素子と、
前記駆動信号の電流値を制御するパルス制御手段と、
前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を具備し、
前記パルス制御手段は、前記駆動信号の電流値が前端から中央部に向けて漸減し、且つ前
記中央部から後端に向けて漸増するように前記駆動信号を制御することを特徴とする発光
素子用駆動回路。
【請求項4】
請求項3に記載の発光素子用駆動回路において、
前記パルス制御手段は、電源に対して前記発光素子と直列に接続された補正用トランジス
タを具備し、
前記補正用トランジスタのゲート電極に、前端から中央部に向けて漸減し、且つ前記中央
部から後端に向けて漸増するパルス状の電圧を印加することにより、前記発光素子に供給
する前記駆動信号を形成することを特徴とする発光素子用駆動回路。
【請求項5】
ライン状に複数配列され、パルス群からなる駆動信号の電流値とパルス幅とに応じて各々
の発光量が制御される発光素子と、
前記駆動信号の電流値を制御するパルス制御手段と、
前記駆動信号を前記発光素子の各々に供給する駆動手段と、を具備し、
前記パルス制御手段は、前記発光素子の発光量が前端から中央部に向けて漸減し、且つ前
記中央部から後端に向けて漸増するように前記パルスのデューティ値を制御することを特
徴とする発光素子用駆動回路。
【請求項6】
請求項5に記載の発光素子用駆動回路において、
前記デューティ値の制御は、前記発光素子と直列に接続されるパルス幅制御用トランジス
タのゲート電極に供給する補正データで、このパルス幅制御用トランジスタのON/OF
Fを制御するパルス幅変調回路を介して行なうように構成したことを特徴とする発光素子
用駆動回路。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の発光素子用駆動回路を備えた表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置を備えた電子機器。
【請求項9】
ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量
が制御される発光素子に、前記駆動信号の前縁部及び後縁部よりもそれ以外の中間部の電
流値が低い前記駆動信号を供給することを特徴とする発光素子用駆動回路の制御方法。
【請求項10】
ライン状に複数配列され、駆動信号を構成する電流値とパルス幅とに応じて各々の発光量
が制御される発光素子に、前記駆動信号の電流値が前端から中央部に向けて漸減し、且つ
前記中央部から後端に向けて漸増する前記駆動信号を供給することを特徴とする発光素子
用駆動回路の制御方法。
【請求項11】
ライン状に複数配列され、パルス群からなる駆動信号の電流値とパルス幅とに応じて各々
の発光量が制御される発光素子に、前記発光素子の発光量が前端から中央部に向けて漸減
し、且つ前記中央部から後端に向けて漸増するように前記パルスのデューティ値を制御す
ることを特徴とする発光素子用駆動回路の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−253501(P2007−253501A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82249(P2006−82249)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】