発光装置およびその製造方法
【課題】発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置10は、カップ13が形成された載置部としてのリードフレーム12aと、この載置部のカップの底面13aに載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子14と、この発光素子の表面に吸着して形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体16の層と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体18と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部のカップ内に封止する封止部材20とを備えている。
【解決手段】発光装置10は、カップ13が形成された載置部としてのリードフレーム12aと、この載置部のカップの底面13aに載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子14と、この発光素子の表面に吸着して形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体16の層と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体18と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部のカップ内に封止する封止部材20とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその製造方法に関し、特に、発光素子とこの発光素子からの光によって異なる波長の光を発する蛍光体とを組み合わせた発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近紫外〜青色領域の光を発するLEDのような発光素子と、この発光素子からの光によって異なる波長の光を発する蛍光体とを組み合わせて、白色光を発する発光装置の開発が盛んに行われている。このような白色発光装置では、リードフレームや基板に形成されたカップ状の凹部の底面にLEDチップを載置し、このLEDチップからの光を吸収してその光の波長より長波長の光を発する蛍光体を混合した樹脂をポッティングすることによって、カップ状の凹部内のLEDチップを封止している。
【0003】
このような白色発光装置は、照明用光源として使用する場合、発光出力(照度)が高く、色むらが小さく、演色性が良好な光を発することが求められている。このような白色発光装置からの光を演色性が良好な白色光にするために、LEDチップからの光によって異なる波長の光を発する2種類の蛍光体を混合した樹脂をLEDチップの周囲に配置させることが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
また、LEDチップからの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長の光を発する大粒径蛍光物質と小粒径蛍光物質を含有する透光性樹脂をLEDチップの周囲に配置し、大粒径蛍光物質をLEDチップの近傍に分布させて色変換層を形成して効率的に色変換を行い、小粒径蛍光物質を色変換層の外側に分布させて色むらを抑制することが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0005】
さらに、青色領域の光を発する発光素子の周囲に、この青色領域の光と補色関係にある緑色〜黄色領域の光を発するYAG系蛍光体(ガーネット構造を有する希土類元素により付活された希土類アルミン酸塩蛍光体)を混合した樹脂を配置させることにより、白色光を発する発光装置が提案されており、また、橙色〜赤色領域の光を発するCa2Si5N8:Euなどからなる蛍光体をさらに樹脂に混合することにより、さらに演色性の高い発光色を実現することができる白色発光装置が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−244021号公報(段落番号0010−0020)
【特許文献2】特開2001−127346号公報(段落番号0010−0017)
【特許文献3】特開2003−101081号公報(段落番号0016−0017)
【特許文献4】特開2003−318447号公報(段落番号0005−0025)
【特許文献5】特開2004−152993号公報(段落番号0007−0010)
【特許文献6】国際公開WO02/059982号公報(第4−6頁)
【特許文献7】国際公開WO2005/029596号公報(段落番号0103−0106)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
白色発光装置の輝度を向上させるためには、蛍光体として光変換効率が高い大粒径の蛍光体を使用するのが好ましい。しかし、大粒径の蛍光体を樹脂に混合して樹脂を硬化させると、樹脂が硬化するまでの間に蛍光体が樹脂中で沈降し易いため、樹脂中の場所によって蛍光体の量にばらつきが生じてしまう。そのため、LEDからの光が樹脂中を通過する光路毎に蛍光体によって波長変換される光の量が変わってしまうので、色むらが生じてしまう。
【0008】
また、蛍光体の沈降を防止するために粘度の高い樹脂を使用すると、樹脂中に気泡が混入してしまい、気泡に進入した光が閉じ込められて発光出力が低下する。また、ディスペンサなどを用いて樹脂を塗布する場合、粘度の高い樹脂ではノズルから吐出し難くなるので、樹脂の塗布量を調整し難くなり、色温度を調整し難くなるという問題がある。
【0009】
一方、蛍光体として小粒径の蛍光体を使用すれば、樹脂中の蛍光体の沈降による色むらを防止することができるが、一般に蛍光体の粒経が小さくなると光変換効率が低下するため、作製した白色発光装置の発光出力が低下するという問題が生じる。
【0010】
また、リードフレームや基板に形成されたカップ状の凹部の底面に発光素子を載置して、蛍光体を含有する樹脂のポッティングによってカップ状の凹部内の発光素子を封止した白色発光装置では、色むらを低減させるために、発光素子からの光が樹脂中を通過する光路長を一定にする必要がある。そのためには、発光素子と封止部材の表面の間の距離が一定になるように、樹脂の封止部材の上面を盛り上げて凸面にする必要がある。
【0011】
しかし、樹脂のポッティングによってカップ状の凹部内の発光素子を封止する場合には、使用する樹脂の粘度や樹脂にかかる重力によって、発光素子からの光が樹脂中を通過する光路長が一定になるように樹脂の封止部材の形状を制御するのは容易ではなく、その結果、発光装置からの光の色むらが生じてしまう。
【0012】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体を発光素子の表面に吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することにより、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明による発光装置は、所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体とを用意し、発光素子の表面に大粒径蛍光体を吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することを特徴とする。
【0015】
この発光装置の製造方法において、吸着が静電吸着であるのが好ましい。また、大粒径蛍光体の粒径は、好ましくは10μm以上且つ50μm未満、さらに好ましくは20〜40μmであり、小粒径蛍光体の粒径は、好ましくは1μm以上且つ10μm未満、さらに好ましくは3〜8μmである。また、発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であるのが好ましい。さらに、封止部材に小粒径蛍光体を分散させるのが好ましい。
【0016】
また、本発明による発光装置は、凹部が形成された載置部と、この載置部の凹部の底面に載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子の表面に形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部の凹部内に封止する封止部材とを備え、この封止部材の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定したときの相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であることを特徴とする。相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であれば、様々な方向に均一な白色光を発することができ、照明用光源として使用することができる。
【0017】
この発光装置において、相関色温度の最大値と最小値の差が300K以下であるのが好ましい。相関色温度の最大値と最小値の差が300K以下であれば、色むらをさらに小さくすることができるので、発光装置をスポット照明などにも適用することができる。大粒径蛍光体の粒径は、好ましくは10μm以上且つ50μm未満、さらに好ましくは20〜40μmであり、小粒径蛍光体の粒径は、好ましくは1μm以上且つ10μm未満、さらに好ましくは3〜8μmである。また、発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であるのが好ましい。また、この発光装置の平均演色評価数Raが90以上であるのが好ましい。平均演色評価数Raが90以上であれば、発光装置の光を物体に照射した際に目に見える物体の色が、太陽光を物体に照射した際に目に見える物体の色に近くなって、色再現性が良好になり、照明用光源として使用するのに好ましいからである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による発光装置およびその製造方法の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明による発光装置の実施の形態を概略的に示す断面図であり、図2は、図1の発光装置の発光素子を載置した一方のリードフレームのカップの部分を拡大して示す断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態の発光装置10は、互いに離間して配置された一対のリードフレーム12aおよび12bと、一方のリードフレーム12aの先端部に形成されたカップ(凹部)13の底面13aに載置された発光素子14と、この発光素子14の表面を覆うように配置された大粒径蛍光体16と、この大粒径蛍光体16を覆うようにリードフレーム12aのカップ13内に充填された小粒径蛍光体18を含む封止部材20と、リードフレーム12a、12bの先端部分を覆う透明のモールド部材24とから構成されている。
【0021】
なお、発光素子14の底面には、(図示しない)一対の電極のうちの一方の電極、例えば、Au−Sn電極が設けられ、発光素子14の上面には、他方の電極、例えば、Au電極が設けられている。発光素子14の底面の電極は、ダイボンディングによって一方のリードフレーム12aのカップ13の底面13aに電気的に接続され、発光素子14の上面の電極は、金線などの導電性ワイヤ22によって他方のリードフレーム12bに電気的に接続されている。
【0022】
発光素子14としては、ピーク波長420〜490nmの青色または青紫などの青色系の可視光を発光し、例えば、窒化ガリウム系半導体結晶からなる青色LEDチップを使用することができる。しかし、本発明による発光装置の発光素子14として使用可能なLEDチップは、青色LEDチップだけでなく、紫外光や近紫外光を発光可能な発光素子でもよい。また、発光素子14としては、通常、0.3〜1mm角程度の略正方形の平面形状のLEDチップを使用することができる。
【0023】
大粒径蛍光体16は、発光素子14が青色領域の光を発する場合には、輝度を向上させるために、輝度を高める効果がある緑色から黄色領域の光を発する材料からなるのが好ましく、演色性をより高くするためには、緑色蛍光体からなるのが好ましい。また、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18は、発光素子14との組み合わせによって外部から観察される光が白色光になるような材料であるのが好ましい。また、図3に示すように、蛍光体の平均粒径が大きくなるほど相対発光強度が高くなるので、大粒径蛍光体16の平均粒径が10〜50μm程度であるのが好ましい。また、一般に蛍光体の結晶性が高い方が発光効率が高くなり、結晶性を十分に高めるために必要な熱処理を施すと平均粒径が10μm以上になる。なお、上述したように、通常使用するLEDチップは、0.3〜1mm角程度の略正方形の平面形状のLEDチップであるので、大粒径蛍光体16の粒径が大き過ぎると、LEDチップの表面に数個の大粒径蛍光体16しか配置することができなくなる。そのため、大粒径蛍光体16の平均粒径が50μm以上になると、以下の理由により望ましくない。すなわち、(1)一つ一つの大粒径蛍光体16の発光効率の相違による影響が大きくなって色むらが発生し易くなり、(2)LEDチップの表面を均一に覆うことができないので色むらになり、(3)大粒径蛍光体16同士の隙間が大きくなって、LEDチップの光が大粒径蛍光体16に当たって大粒径蛍光体16から発光する波長変換光と、大粒径蛍光体16の隙間を通過するLEDチップからの光とのコントラストがはっきりし過ぎて色むらになるからである。なお、小粒径蛍光体18の平均粒径は、沈降し難いように1〜10μm程度であるのが好ましい。また、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18は、例えば、黄色と赤色のように別々の色の光を発する蛍光体が好ましいが、同じ色の光を発する蛍光体でもよい。なお、本発明による発光装置は、白色光を発する発光装置に限らず、あらゆる色の光を発する発光装置に応用することができる。
【0024】
なお、小粒径蛍光体18の量は、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18の総量の20質量%以下にするのが好ましい。発光装置の発光出力に大きく寄与するのは大粒径蛍光体16であるので、粒径蛍光体18の量が少なくても、発光装置の発光出力に対する影響は非常に少ないため、発光装置の発光出力を高く保持したまま、演色性が良好で色むらが少ない発光装置を製造することができる。
【0025】
リードフレーム12は、銅、銅亜鉛合金、鉄ニッケル合金などの金属からなるのが好ましい。また、封止部材20の材料は、エポキシ樹脂やシリコーン系樹脂などの透光性の樹脂の他、ガラス材料でもよいが、耐熱性、耐紫外線性および作業性の観点からシリコーン系樹脂であるのが好ましい。
【0026】
なお、本実施の形態の発光装置10のように、小粒径蛍光体18を封止部材20中に分散させて発光素子14から離間して配置させると、小粒径蛍光体18の量が少なくても、発光素子14から小粒径蛍光体18に直接入射する光の他に、発光素子14の周囲の大粒径蛍光体16によって散乱した光も小粒径蛍光体18に入射して、小粒径蛍光体18が励起される確率が増大して、小粒径蛍光体18の発光量を増大させることができる。また、発光素子14から全ての角度に発した光と小粒径蛍光体18からの光を混ぜることができるので、色むらを非常に少なくすることができる。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態の発光装置10は、以下のように製造することができる。
【0028】
まず、(図示しない)ダイボンダによって一方のリードフレーム12aのカップ13の底面13aに発光素子14の一方の面をダイボンディング(接着固定)して、発光素子14の一方の電極を一方のリードフレーム12aに電気的に接続する。このダイボンディングの後、一対のリードフレーム12aおよび12bを(図示しない)ワイヤボンダに移送し、金線などの導電性ワイヤ22によって発光素子14の他方の電極を他方のリードフレーム12bにワイヤボンディングして電気的に接続する。
【0029】
次に、一対のリードフレーム12aおよび12bを静電吸着装置に移送し、リードフレーム12aのカップ13にダイボンディングされた発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を静電吸着させて、粒径の大きい蛍光体の波長変換層を発光素子14の表面に均等に形成する。すなわち、図4に示すように、大粒径蛍光体16を金属製トレイ26上に載せ、この金属製トレイ26を金属板28上に配置した後、リードフレーム12aのカップ13の開口部が金属製トレイ26に対向するように金属製トレイ26の上方10mmの位置にリードフレーム12aおよび12bを設置し、リードフレーム12aを配線により接地する。次に、直流電源30により金属板28に−10kVの電圧を印加して、金属板28とリードフレーム12aの間に10kVの電位差を生じさせることにより、金属板28上に配置された金属製トレイ26上の大粒径蛍光体16の粒子を負に帯電させて、正に帯電した発光素子14上に吸着させる。このようにして、静電吸着によって目的の色温度になる厚さまで大粒径蛍光体16の層をカップ13内の発光素子14上に形成する。この静電吸着では、観測角度によって色温度が変化するのを防止するため、すなわち、観測角度が変わっても色温度が均一になるようにするため、輝度を高める効果がある光を発する大粒径蛍光体16の層を均一な厚さになるように発光素子14の表面に形成する。なお、本実施の形態では発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を静電吸着させているが、発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を均等な厚さに形成することができれば、静電吸着以外の吸着方法を使用してもよい。
【0030】
次に、一対のリードフレーム12aおよび12bを(図示しない)モールド装置に移送し、このモールド装置のディスペンサによりリードフレーム12aのカップ13内に小粒径蛍光体18および封止部材20を注入する。このようにして小粒径蛍光体18が分散した封止部材20により大粒径蛍光体16が保持される。なお、大粒径蛍光体16として黄色領域の光を発する蛍光体を使用し、小粒径蛍光体18として赤色領域の光を発する蛍光体を使用する場合には、大粒径蛍光体16の量に対して小粒径蛍光体18の量を1〜20質量%程度にすれば、大部分の蛍光体が黄色領域の光を発する大粒径蛍光体16になり、この大粒径蛍光体16の層は均一な厚さに形成することができるので、発光素子14からの光が蛍光体の層を通過する距離の相違によって生じる色むらを低減させることができる。また、発光素子14の表面に吸着した黄色領域の光を発する大粒径蛍光体16のまわりに、赤色領域の光を発する小粒径蛍光体18を樹脂に混合して塗布することにより、塗布量を微調整することができ、色温度や演色性の調整が可能になる。
【0031】
最後に、予めモールド部材が注入された(図示しない)モールド型枠の中にリードフレーム12aおよび12bを浸漬した後、型枠を外して樹脂を硬化させると、図1に示すような砲弾型の発光装置を製造することができる。
【0032】
このように、発光素子14からの光が輝度を高める効果がある大粒径蛍光体16を通過する光路長を均一にして、波長変換層としての大粒径蛍光体16の層内の光の波長変換量を均一にして、色むらのない白色光を発する発光装置を製造することができる。また、樹脂に添加する小粒径蛍光体18の量を減少させて小粒径蛍光体18を樹脂に均一に分散させることができ、演色性も向上させることができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明による発光装置およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0034】
まず、一方のリードフレーム12aのカップ13内に発光素子14として(活性層の組成がInGaNからなり、発光波長のピークが460nmの)青色LEDチップをダイボンディングした後、ワイヤボンディングした。また、大粒径蛍光体16として、平均粒径(D50)が25μmのSrAl(1+x)Si(4−x)OxN(7−x):Ce(0≦x≦1)と表記されるx=0.45の蛍光体(SrAl1.45Si3.55O0.45N6.55:Ceからなる組成の緑色蛍光体)(発光ピーク波長556nm)を用意した。次に、図4に示すように、この大粒径蛍光体16を金属製トレイ26上に載せて、この金属製トレイ26を金属板28上に配置した後、リードフレーム12aのカップ13の開口部が金属製トレイ26に対向するように金属製トレイ16の上方10mmの位置にリードフレーム12aを設置し、リードフレーム12aを配線により接地した。次に、金属板28に−10kVの電圧を印加して、金属板28とリードフレーム12aの間に10kVの電位差を生じさせることにより、金属板28上に配置された金属製トレイ26上の大粒径蛍光体16の粒子を負に帯電させて、正に帯電した青色LEDチップ14上に吸着させた。このようにして、静電吸着によって、目的の色温度にするのに必要な厚さになるまで大粒径蛍光体16の層をカップ13内の青色LEDチップ14上に形成した。
【0035】
また、小粒径蛍光体18として、平均粒径(D50)が7μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長659nm)を用意した。この小粒径蛍光体18とSiO2からなる粒径7nmの沈降防止剤とを粘度350mPa・sのシリコーン樹脂(信越化学工業製のSCR−1011)に混合し、リードフレーム12aのカップ13内に注入して樹脂を硬化させることにより、小粒径蛍光体18が分散した封止部材20で大粒径蛍光体16を封止した。
【0036】
このようにして図5に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製し、この発光装置について演色評価数を測定した。また、色むら(色温度分布)を評価するために、観測角度に対するJIS Z8726に基づいて相関色温度を測定した。すなわち、発光装置から放出される光が見る角度によって異なって見えると、色むらが大きくなるので、観測角度毎の相関色温度を測定して、その最大値と最小値の差(色温度幅)を求めれば、色むらを評価することができる。観測角度に対する相関色温度の測定は、図14に示すように、封止部材20の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定することによって行った。なお、相関色温度は、発光装置から1.4〜1.5m離れた位置に配置した検出部に照射された光を光ファイバによって測定装置(浜松ホトニクス製の分光装置PMA−11(C7473−36))に伝送してJIS Z8725に基づいて測定した。
【0037】
その結果、図6および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約4800K、色温度幅は233Kであり、色むらが非常に小さかった。また、観測角度90°における平均演色評価数Raは90と高い値であり、演色性は良好であり、色再現性が良好であった。また、表2に示すように、特殊演色評価数R9〜R15が60以上になり、太陽光下の物質の色に近くなって好ましく、特に、R9が95と高い値であるので、赤色についての色再現性が良好であり、R15が91と高い値であるので、日本人の肌色についての色再現性が良好であるため、実施例の発光装置は、非常に優れた照明用光源として使用することができる。さらに、図7および表3に示すように、観測角度による平均演色評価指数Raのむらがなくなり、演色評価指数は観測角度10〜170°で90以上と高い値であった。なお、平均演色評価指数Raのむらが大きい発光装置を使用した照明の下に物体を置くと、照明からの光の角度によって物体の色が異なって見えるが、平均演色評価指数Raのむらが小さい発光装置では、照明からの光の角度によって物体の色が異なって見える度合いが小さくなる。また、本実施例の発光装置の観測角度90°における各波長の発光強度の測定結果(発光スペクトル)を図15に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
[比較例1]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、平均粒径(D50)が25μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長660nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、平均粒径(D50)が9μmのSrAl1.42Si3.58O0.42N6.58:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長557nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図8に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0042】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは90であり、演色性は良好であった。しかし、図9および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約5200K、色温度幅は650Kであり、色むらが大きかった。
【0043】
[比較例2]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、小粒径蛍光体18として平均粒径(D50)が9μmのSrAl1.45Si3.55O0.45N6.55:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長557nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、大粒径蛍光体16として平均粒径(D50)が25μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長660nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図10に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0044】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは90であり、演色性は良好であった。しかし、図11および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約5200K、色温度幅は2400Kであり、色むらが非常に大きかった。
【0045】
[比較例3]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、小粒径蛍光体18として平均粒径(D50)が7μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長659nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、大粒径蛍光体16として平均粒径(D50)が25μmのSrAl1.25Si4.5O1.25N7.1:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長556nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図12に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0046】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは85であり、演色性は良好であった。しかし、図13および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約6700K、色温度幅は2000Kであり、色むらが非常に大きかった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による発光装置の実施の形態を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の発光装置の発光素子を載置した一方のリードフレームのカップの部分を拡大して示す断面図である。
【図3】発光装置に使用する蛍光体の平均粒径と発光装置の相対発光強度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明による発光装置の製造方法の実施の形態における大粒径蛍光体の静電吸着工程を説明する概略図である。
【図5】実施例の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図6】実施例の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図7】実施例の発光装置の観測角度と演色評価指数との関係を示すグラフである。
【図8】比較例1の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図9】比較例1の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図10】比較例2の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図11】比較例2の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図12】比較例3の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図13】比較例3の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図14】相関色温度の観測角度を説明する図である。
【図15】実施例の発光装置の観測角度90°における発光スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 発光装置
12a、12b リードフレーム
13 カップ(凹部)
13a 底面
14 発光素子
16 大粒径蛍光体
18 小粒径蛍光体
20 封止部材
22 導電性ワイヤ
24 モールド部材
26 金属製トレイ
28 金属板
30 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその製造方法に関し、特に、発光素子とこの発光素子からの光によって異なる波長の光を発する蛍光体とを組み合わせた発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近紫外〜青色領域の光を発するLEDのような発光素子と、この発光素子からの光によって異なる波長の光を発する蛍光体とを組み合わせて、白色光を発する発光装置の開発が盛んに行われている。このような白色発光装置では、リードフレームや基板に形成されたカップ状の凹部の底面にLEDチップを載置し、このLEDチップからの光を吸収してその光の波長より長波長の光を発する蛍光体を混合した樹脂をポッティングすることによって、カップ状の凹部内のLEDチップを封止している。
【0003】
このような白色発光装置は、照明用光源として使用する場合、発光出力(照度)が高く、色むらが小さく、演色性が良好な光を発することが求められている。このような白色発光装置からの光を演色性が良好な白色光にするために、LEDチップからの光によって異なる波長の光を発する2種類の蛍光体を混合した樹脂をLEDチップの周囲に配置させることが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
また、LEDチップからの光の少なくとも一部を吸収して異なる波長の光を発する大粒径蛍光物質と小粒径蛍光物質を含有する透光性樹脂をLEDチップの周囲に配置し、大粒径蛍光物質をLEDチップの近傍に分布させて色変換層を形成して効率的に色変換を行い、小粒径蛍光物質を色変換層の外側に分布させて色むらを抑制することが提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0005】
さらに、青色領域の光を発する発光素子の周囲に、この青色領域の光と補色関係にある緑色〜黄色領域の光を発するYAG系蛍光体(ガーネット構造を有する希土類元素により付活された希土類アルミン酸塩蛍光体)を混合した樹脂を配置させることにより、白色光を発する発光装置が提案されており、また、橙色〜赤色領域の光を発するCa2Si5N8:Euなどからなる蛍光体をさらに樹脂に混合することにより、さらに演色性の高い発光色を実現することができる白色発光装置が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−244021号公報(段落番号0010−0020)
【特許文献2】特開2001−127346号公報(段落番号0010−0017)
【特許文献3】特開2003−101081号公報(段落番号0016−0017)
【特許文献4】特開2003−318447号公報(段落番号0005−0025)
【特許文献5】特開2004−152993号公報(段落番号0007−0010)
【特許文献6】国際公開WO02/059982号公報(第4−6頁)
【特許文献7】国際公開WO2005/029596号公報(段落番号0103−0106)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
白色発光装置の輝度を向上させるためには、蛍光体として光変換効率が高い大粒径の蛍光体を使用するのが好ましい。しかし、大粒径の蛍光体を樹脂に混合して樹脂を硬化させると、樹脂が硬化するまでの間に蛍光体が樹脂中で沈降し易いため、樹脂中の場所によって蛍光体の量にばらつきが生じてしまう。そのため、LEDからの光が樹脂中を通過する光路毎に蛍光体によって波長変換される光の量が変わってしまうので、色むらが生じてしまう。
【0008】
また、蛍光体の沈降を防止するために粘度の高い樹脂を使用すると、樹脂中に気泡が混入してしまい、気泡に進入した光が閉じ込められて発光出力が低下する。また、ディスペンサなどを用いて樹脂を塗布する場合、粘度の高い樹脂ではノズルから吐出し難くなるので、樹脂の塗布量を調整し難くなり、色温度を調整し難くなるという問題がある。
【0009】
一方、蛍光体として小粒径の蛍光体を使用すれば、樹脂中の蛍光体の沈降による色むらを防止することができるが、一般に蛍光体の粒経が小さくなると光変換効率が低下するため、作製した白色発光装置の発光出力が低下するという問題が生じる。
【0010】
また、リードフレームや基板に形成されたカップ状の凹部の底面に発光素子を載置して、蛍光体を含有する樹脂のポッティングによってカップ状の凹部内の発光素子を封止した白色発光装置では、色むらを低減させるために、発光素子からの光が樹脂中を通過する光路長を一定にする必要がある。そのためには、発光素子と封止部材の表面の間の距離が一定になるように、樹脂の封止部材の上面を盛り上げて凸面にする必要がある。
【0011】
しかし、樹脂のポッティングによってカップ状の凹部内の発光素子を封止する場合には、使用する樹脂の粘度や樹脂にかかる重力によって、発光素子からの光が樹脂中を通過する光路長が一定になるように樹脂の封止部材の形状を制御するのは容易ではなく、その結果、発光装置からの光の色むらが生じてしまう。
【0012】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体を発光素子の表面に吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することにより、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明による発光装置は、所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体とを用意し、発光素子の表面に大粒径蛍光体を吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することを特徴とする。
【0015】
この発光装置の製造方法において、吸着が静電吸着であるのが好ましい。また、大粒径蛍光体の粒径は、好ましくは10μm以上且つ50μm未満、さらに好ましくは20〜40μmであり、小粒径蛍光体の粒径は、好ましくは1μm以上且つ10μm未満、さらに好ましくは3〜8μmである。また、発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であるのが好ましい。さらに、封止部材に小粒径蛍光体を分散させるのが好ましい。
【0016】
また、本発明による発光装置は、凹部が形成された載置部と、この載置部の凹部の底面に載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子の表面に形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部の凹部内に封止する封止部材とを備え、この封止部材の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定したときの相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であることを特徴とする。相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であれば、様々な方向に均一な白色光を発することができ、照明用光源として使用することができる。
【0017】
この発光装置において、相関色温度の最大値と最小値の差が300K以下であるのが好ましい。相関色温度の最大値と最小値の差が300K以下であれば、色むらをさらに小さくすることができるので、発光装置をスポット照明などにも適用することができる。大粒径蛍光体の粒径は、好ましくは10μm以上且つ50μm未満、さらに好ましくは20〜40μmであり、小粒径蛍光体の粒径は、好ましくは1μm以上且つ10μm未満、さらに好ましくは3〜8μmである。また、発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であるのが好ましい。また、この発光装置の平均演色評価数Raが90以上であるのが好ましい。平均演色評価数Raが90以上であれば、発光装置の光を物体に照射した際に目に見える物体の色が、太陽光を物体に照射した際に目に見える物体の色に近くなって、色再現性が良好になり、照明用光源として使用するのに好ましいからである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光出力が高く、色むらが小さく、演色性が良好であり、封止部材の形状にかかわらず色むらを低減することができる発光装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による発光装置およびその製造方法の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明による発光装置の実施の形態を概略的に示す断面図であり、図2は、図1の発光装置の発光素子を載置した一方のリードフレームのカップの部分を拡大して示す断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態の発光装置10は、互いに離間して配置された一対のリードフレーム12aおよび12bと、一方のリードフレーム12aの先端部に形成されたカップ(凹部)13の底面13aに載置された発光素子14と、この発光素子14の表面を覆うように配置された大粒径蛍光体16と、この大粒径蛍光体16を覆うようにリードフレーム12aのカップ13内に充填された小粒径蛍光体18を含む封止部材20と、リードフレーム12a、12bの先端部分を覆う透明のモールド部材24とから構成されている。
【0021】
なお、発光素子14の底面には、(図示しない)一対の電極のうちの一方の電極、例えば、Au−Sn電極が設けられ、発光素子14の上面には、他方の電極、例えば、Au電極が設けられている。発光素子14の底面の電極は、ダイボンディングによって一方のリードフレーム12aのカップ13の底面13aに電気的に接続され、発光素子14の上面の電極は、金線などの導電性ワイヤ22によって他方のリードフレーム12bに電気的に接続されている。
【0022】
発光素子14としては、ピーク波長420〜490nmの青色または青紫などの青色系の可視光を発光し、例えば、窒化ガリウム系半導体結晶からなる青色LEDチップを使用することができる。しかし、本発明による発光装置の発光素子14として使用可能なLEDチップは、青色LEDチップだけでなく、紫外光や近紫外光を発光可能な発光素子でもよい。また、発光素子14としては、通常、0.3〜1mm角程度の略正方形の平面形状のLEDチップを使用することができる。
【0023】
大粒径蛍光体16は、発光素子14が青色領域の光を発する場合には、輝度を向上させるために、輝度を高める効果がある緑色から黄色領域の光を発する材料からなるのが好ましく、演色性をより高くするためには、緑色蛍光体からなるのが好ましい。また、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18は、発光素子14との組み合わせによって外部から観察される光が白色光になるような材料であるのが好ましい。また、図3に示すように、蛍光体の平均粒径が大きくなるほど相対発光強度が高くなるので、大粒径蛍光体16の平均粒径が10〜50μm程度であるのが好ましい。また、一般に蛍光体の結晶性が高い方が発光効率が高くなり、結晶性を十分に高めるために必要な熱処理を施すと平均粒径が10μm以上になる。なお、上述したように、通常使用するLEDチップは、0.3〜1mm角程度の略正方形の平面形状のLEDチップであるので、大粒径蛍光体16の粒径が大き過ぎると、LEDチップの表面に数個の大粒径蛍光体16しか配置することができなくなる。そのため、大粒径蛍光体16の平均粒径が50μm以上になると、以下の理由により望ましくない。すなわち、(1)一つ一つの大粒径蛍光体16の発光効率の相違による影響が大きくなって色むらが発生し易くなり、(2)LEDチップの表面を均一に覆うことができないので色むらになり、(3)大粒径蛍光体16同士の隙間が大きくなって、LEDチップの光が大粒径蛍光体16に当たって大粒径蛍光体16から発光する波長変換光と、大粒径蛍光体16の隙間を通過するLEDチップからの光とのコントラストがはっきりし過ぎて色むらになるからである。なお、小粒径蛍光体18の平均粒径は、沈降し難いように1〜10μm程度であるのが好ましい。また、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18は、例えば、黄色と赤色のように別々の色の光を発する蛍光体が好ましいが、同じ色の光を発する蛍光体でもよい。なお、本発明による発光装置は、白色光を発する発光装置に限らず、あらゆる色の光を発する発光装置に応用することができる。
【0024】
なお、小粒径蛍光体18の量は、大粒径蛍光体16と小粒径蛍光体18の総量の20質量%以下にするのが好ましい。発光装置の発光出力に大きく寄与するのは大粒径蛍光体16であるので、粒径蛍光体18の量が少なくても、発光装置の発光出力に対する影響は非常に少ないため、発光装置の発光出力を高く保持したまま、演色性が良好で色むらが少ない発光装置を製造することができる。
【0025】
リードフレーム12は、銅、銅亜鉛合金、鉄ニッケル合金などの金属からなるのが好ましい。また、封止部材20の材料は、エポキシ樹脂やシリコーン系樹脂などの透光性の樹脂の他、ガラス材料でもよいが、耐熱性、耐紫外線性および作業性の観点からシリコーン系樹脂であるのが好ましい。
【0026】
なお、本実施の形態の発光装置10のように、小粒径蛍光体18を封止部材20中に分散させて発光素子14から離間して配置させると、小粒径蛍光体18の量が少なくても、発光素子14から小粒径蛍光体18に直接入射する光の他に、発光素子14の周囲の大粒径蛍光体16によって散乱した光も小粒径蛍光体18に入射して、小粒径蛍光体18が励起される確率が増大して、小粒径蛍光体18の発光量を増大させることができる。また、発光素子14から全ての角度に発した光と小粒径蛍光体18からの光を混ぜることができるので、色むらを非常に少なくすることができる。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態の発光装置10は、以下のように製造することができる。
【0028】
まず、(図示しない)ダイボンダによって一方のリードフレーム12aのカップ13の底面13aに発光素子14の一方の面をダイボンディング(接着固定)して、発光素子14の一方の電極を一方のリードフレーム12aに電気的に接続する。このダイボンディングの後、一対のリードフレーム12aおよび12bを(図示しない)ワイヤボンダに移送し、金線などの導電性ワイヤ22によって発光素子14の他方の電極を他方のリードフレーム12bにワイヤボンディングして電気的に接続する。
【0029】
次に、一対のリードフレーム12aおよび12bを静電吸着装置に移送し、リードフレーム12aのカップ13にダイボンディングされた発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を静電吸着させて、粒径の大きい蛍光体の波長変換層を発光素子14の表面に均等に形成する。すなわち、図4に示すように、大粒径蛍光体16を金属製トレイ26上に載せ、この金属製トレイ26を金属板28上に配置した後、リードフレーム12aのカップ13の開口部が金属製トレイ26に対向するように金属製トレイ26の上方10mmの位置にリードフレーム12aおよび12bを設置し、リードフレーム12aを配線により接地する。次に、直流電源30により金属板28に−10kVの電圧を印加して、金属板28とリードフレーム12aの間に10kVの電位差を生じさせることにより、金属板28上に配置された金属製トレイ26上の大粒径蛍光体16の粒子を負に帯電させて、正に帯電した発光素子14上に吸着させる。このようにして、静電吸着によって目的の色温度になる厚さまで大粒径蛍光体16の層をカップ13内の発光素子14上に形成する。この静電吸着では、観測角度によって色温度が変化するのを防止するため、すなわち、観測角度が変わっても色温度が均一になるようにするため、輝度を高める効果がある光を発する大粒径蛍光体16の層を均一な厚さになるように発光素子14の表面に形成する。なお、本実施の形態では発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を静電吸着させているが、発光素子14の表面に大粒径蛍光体16を均等な厚さに形成することができれば、静電吸着以外の吸着方法を使用してもよい。
【0030】
次に、一対のリードフレーム12aおよび12bを(図示しない)モールド装置に移送し、このモールド装置のディスペンサによりリードフレーム12aのカップ13内に小粒径蛍光体18および封止部材20を注入する。このようにして小粒径蛍光体18が分散した封止部材20により大粒径蛍光体16が保持される。なお、大粒径蛍光体16として黄色領域の光を発する蛍光体を使用し、小粒径蛍光体18として赤色領域の光を発する蛍光体を使用する場合には、大粒径蛍光体16の量に対して小粒径蛍光体18の量を1〜20質量%程度にすれば、大部分の蛍光体が黄色領域の光を発する大粒径蛍光体16になり、この大粒径蛍光体16の層は均一な厚さに形成することができるので、発光素子14からの光が蛍光体の層を通過する距離の相違によって生じる色むらを低減させることができる。また、発光素子14の表面に吸着した黄色領域の光を発する大粒径蛍光体16のまわりに、赤色領域の光を発する小粒径蛍光体18を樹脂に混合して塗布することにより、塗布量を微調整することができ、色温度や演色性の調整が可能になる。
【0031】
最後に、予めモールド部材が注入された(図示しない)モールド型枠の中にリードフレーム12aおよび12bを浸漬した後、型枠を外して樹脂を硬化させると、図1に示すような砲弾型の発光装置を製造することができる。
【0032】
このように、発光素子14からの光が輝度を高める効果がある大粒径蛍光体16を通過する光路長を均一にして、波長変換層としての大粒径蛍光体16の層内の光の波長変換量を均一にして、色むらのない白色光を発する発光装置を製造することができる。また、樹脂に添加する小粒径蛍光体18の量を減少させて小粒径蛍光体18を樹脂に均一に分散させることができ、演色性も向上させることができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明による発光装置およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0034】
まず、一方のリードフレーム12aのカップ13内に発光素子14として(活性層の組成がInGaNからなり、発光波長のピークが460nmの)青色LEDチップをダイボンディングした後、ワイヤボンディングした。また、大粒径蛍光体16として、平均粒径(D50)が25μmのSrAl(1+x)Si(4−x)OxN(7−x):Ce(0≦x≦1)と表記されるx=0.45の蛍光体(SrAl1.45Si3.55O0.45N6.55:Ceからなる組成の緑色蛍光体)(発光ピーク波長556nm)を用意した。次に、図4に示すように、この大粒径蛍光体16を金属製トレイ26上に載せて、この金属製トレイ26を金属板28上に配置した後、リードフレーム12aのカップ13の開口部が金属製トレイ26に対向するように金属製トレイ16の上方10mmの位置にリードフレーム12aを設置し、リードフレーム12aを配線により接地した。次に、金属板28に−10kVの電圧を印加して、金属板28とリードフレーム12aの間に10kVの電位差を生じさせることにより、金属板28上に配置された金属製トレイ26上の大粒径蛍光体16の粒子を負に帯電させて、正に帯電した青色LEDチップ14上に吸着させた。このようにして、静電吸着によって、目的の色温度にするのに必要な厚さになるまで大粒径蛍光体16の層をカップ13内の青色LEDチップ14上に形成した。
【0035】
また、小粒径蛍光体18として、平均粒径(D50)が7μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長659nm)を用意した。この小粒径蛍光体18とSiO2からなる粒径7nmの沈降防止剤とを粘度350mPa・sのシリコーン樹脂(信越化学工業製のSCR−1011)に混合し、リードフレーム12aのカップ13内に注入して樹脂を硬化させることにより、小粒径蛍光体18が分散した封止部材20で大粒径蛍光体16を封止した。
【0036】
このようにして図5に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製し、この発光装置について演色評価数を測定した。また、色むら(色温度分布)を評価するために、観測角度に対するJIS Z8726に基づいて相関色温度を測定した。すなわち、発光装置から放出される光が見る角度によって異なって見えると、色むらが大きくなるので、観測角度毎の相関色温度を測定して、その最大値と最小値の差(色温度幅)を求めれば、色むらを評価することができる。観測角度に対する相関色温度の測定は、図14に示すように、封止部材20の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定することによって行った。なお、相関色温度は、発光装置から1.4〜1.5m離れた位置に配置した検出部に照射された光を光ファイバによって測定装置(浜松ホトニクス製の分光装置PMA−11(C7473−36))に伝送してJIS Z8725に基づいて測定した。
【0037】
その結果、図6および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約4800K、色温度幅は233Kであり、色むらが非常に小さかった。また、観測角度90°における平均演色評価数Raは90と高い値であり、演色性は良好であり、色再現性が良好であった。また、表2に示すように、特殊演色評価数R9〜R15が60以上になり、太陽光下の物質の色に近くなって好ましく、特に、R9が95と高い値であるので、赤色についての色再現性が良好であり、R15が91と高い値であるので、日本人の肌色についての色再現性が良好であるため、実施例の発光装置は、非常に優れた照明用光源として使用することができる。さらに、図7および表3に示すように、観測角度による平均演色評価指数Raのむらがなくなり、演色評価指数は観測角度10〜170°で90以上と高い値であった。なお、平均演色評価指数Raのむらが大きい発光装置を使用した照明の下に物体を置くと、照明からの光の角度によって物体の色が異なって見えるが、平均演色評価指数Raのむらが小さい発光装置では、照明からの光の角度によって物体の色が異なって見える度合いが小さくなる。また、本実施例の発光装置の観測角度90°における各波長の発光強度の測定結果(発光スペクトル)を図15に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
[比較例1]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、平均粒径(D50)が25μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長660nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、平均粒径(D50)が9μmのSrAl1.42Si3.58O0.42N6.58:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長557nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図8に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0042】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは90であり、演色性は良好であった。しかし、図9および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約5200K、色温度幅は650Kであり、色むらが大きかった。
【0043】
[比較例2]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、小粒径蛍光体18として平均粒径(D50)が9μmのSrAl1.45Si3.55O0.45N6.55:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長557nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、大粒径蛍光体16として平均粒径(D50)が25μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長660nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図10に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0044】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは90であり、演色性は良好であった。しかし、図11および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約5200K、色温度幅は2400Kであり、色むらが非常に大きかった。
【0045】
[比較例3]
実施例の大粒径蛍光体16の代わりに、小粒径蛍光体18として平均粒径(D50)が7μmのCaAlSiN3:Euからなる組成の赤色蛍光体(発光ピーク波長659nm)を使用し、実施例の小粒径蛍光体18の代わりに、大粒径蛍光体16として平均粒径(D50)が25μmのSrAl1.25Si4.5O1.25N7.1:Ceからなる組成の緑色蛍光体(発光ピーク波長556nm)を使用した以外は、実施例と同様の方法により、図12に示すようなカップ13内の構造の発光装置を作製した。
【0046】
このようにして作製した発光装置について、演色評価数および観測角度に対する相関色温度を測定した。その結果、平均演色評価数Raは85であり、演色性は良好であった。しかし、図13および表1に示すように、観測角度90°における相関色温度は約6700K、色温度幅は2000Kであり、色むらが非常に大きかった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による発光装置の実施の形態を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の発光装置の発光素子を載置した一方のリードフレームのカップの部分を拡大して示す断面図である。
【図3】発光装置に使用する蛍光体の平均粒径と発光装置の相対発光強度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明による発光装置の製造方法の実施の形態における大粒径蛍光体の静電吸着工程を説明する概略図である。
【図5】実施例の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図6】実施例の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図7】実施例の発光装置の観測角度と演色評価指数との関係を示すグラフである。
【図8】比較例1の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図9】比較例1の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図10】比較例2の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図11】比較例2の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図12】比較例3の発光装置のリードフレームのカップ内の構造を説明する概略図である。
【図13】比較例3の発光装置の観測角度と相関色温度との関係を示すグラフである。
【図14】相関色温度の観測角度を説明する図である。
【図15】実施例の発光装置の観測角度90°における発光スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 発光装置
12a、12b リードフレーム
13 カップ(凹部)
13a 底面
14 発光素子
16 大粒径蛍光体
18 小粒径蛍光体
20 封止部材
22 導電性ワイヤ
24 モールド部材
26 金属製トレイ
28 金属板
30 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体とを用意し、発光素子の表面に大粒径蛍光体を吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することを特徴とする、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記吸着が静電吸着であることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記大粒径蛍光体の粒径が10μm以上且つ50μm未満であり、前記小粒径蛍光体の粒径が1μm以上且つ10μm未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、前記大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、前記小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記封止部材に前記小粒径蛍光体を分散させることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
凹部が形成された載置部と、この載置部の凹部の底面に載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子の表面に形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部の凹部内に封止する封止部材とを備え、この封止部材の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定したときの相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であることを特徴とする、発光装置。
【請求項7】
前記大粒径蛍光体の粒径が10μm以上且つ50μm未満であり、前記小粒径蛍光体の粒径が1μm以上且つ10μm未満であることを特徴とする、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、前記大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、前記小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であることを特徴とする、請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
平均演色評価数Raが90以上であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項1】
所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体とを用意し、発光素子の表面に大粒径蛍光体を吸着させて大粒径蛍光体の層を形成した後、小粒径蛍光体を含む封止部材によって発光素子および大粒径蛍光体の層を封止することを特徴とする、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記吸着が静電吸着であることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記大粒径蛍光体の粒径が10μm以上且つ50μm未満であり、前記小粒径蛍光体の粒径が1μm以上且つ10μm未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、前記大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、前記小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記封止部材に前記小粒径蛍光体を分散させることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
凹部が形成された載置部と、この載置部の凹部の底面に載置されて所定のピーク波長の光を発する発光素子と、この発光素子の表面に形成されて発光素子からの光を吸収して発光素子からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する大粒径蛍光体と、この大粒径蛍光体よりも粒径が小さく且つ大粒径蛍光体と発光素子の少なくとも一方からの光を吸収してその少なくとも一方からの光のピーク波長より長波長側にピーク波長を有する光を発する小粒径蛍光体と、この小粒径蛍光体が分散して発光素子および大粒径蛍光体の層を載置部の凹部内に封止する封止部材とを備え、この封止部材の表面から出射された光の相関色温度を封止部材の表面の中心における接平面に対して10〜170°の範囲において10°毎の角度で測定したときの相関色温度の最大値と最小値の差が500K以下であることを特徴とする、発光装置。
【請求項7】
前記大粒径蛍光体の粒径が10μm以上且つ50μm未満であり、前記小粒径蛍光体の粒径が1μm以上且つ10μm未満であることを特徴とする、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子が420nm以上且つ490nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する発光素子であり、前記大粒径蛍光体が490nm以上且つ590nm未満の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であり、前記小粒径蛍光体が590nm以上且つ780nm以下の領域にピーク波長を有する光を発する蛍光体であることを特徴とする、請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
平均演色評価数Raが90以上であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−294895(P2007−294895A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64916(P2007−64916)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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