発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法
【課題】微小な樹脂量の調整を可能とすることで、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができる発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法を提供する。
【解決手段】ポッティング装置は、発光素子Lが配置された反射体Rに充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、ニードル部の先端部を、反射体内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えている。ニードル41の先端部を、反射体R内の液状樹脂(封止樹脂M)に漬浸し、ニードル41の先端に余分な液状樹脂を付着させて除去することで、反射体R内の液状樹脂の量を微調整することで、封止樹脂Mの厚みの均一化を図る。そうすることで色度のばらつきを抑止することができる。
【解決手段】ポッティング装置は、発光素子Lが配置された反射体Rに充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、ニードル部の先端部を、反射体内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えている。ニードル41の先端部を、反射体R内の液状樹脂(封止樹脂M)に漬浸し、ニードル41の先端に余分な液状樹脂を付着させて除去することで、反射体R内の液状樹脂の量を微調整することで、封止樹脂Mの厚みの均一化を図る。そうすることで色度のばらつきを抑止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からの光に励起された発光する蛍光体を含有した樹脂を、発光素子が搭載されたカップにポッティングにより充填して、樹脂封止部を形成する発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光装置には、発光素子や、発光素子に接続されたワイヤを保護するために樹脂より形成された樹脂封止部が設けられている。この樹脂封止部に、発光素子からの出射光に励起されて発光する蛍光体を含有させることで、発光素子からの光と蛍光体が発光する光が混色して、新たな発光色を得ることができる。例えば、発光素子からの青色光と、蛍光体からの青色と補色の関係にある黄色光を混色させることで、白色に発光する発光装置とすることが知られている。
【0003】
この樹脂封止部を成形する方法としては、トランスファー成型法や、スクリーン印刷法などがあるが、発光素子が、カップ状に形成された反射体や、箱状に形成された筐体などの容器内に配置される場合には、ポッティング法により封止樹脂が充填される。
【0004】
ポッティング法は、ニードルの先端から蛍光体を含有した液状樹脂を滴下させて型内に充填する方法であるが、このポッティング法は樹脂の充填量のばらつきが大きい。蛍光体による波長変換の度合いは蛍光体が分散した樹脂の厚みに影響を受けるため、充填量のばらつきは発光色の色度のばらつきとなる。
【0005】
このようなポッティング法による樹脂の充填においては、充填量を精度よく調整できる従来の製造装置が、特許文献1に記載されている。
【0006】
この特許文献1に記載の流体充填装置は、注入手段により充填した樹脂の液面に、上下動させる上下動手段により吹込口を接近させ、負圧が付与される吸引手段により吹込口から樹脂を吸引することで、容器内の樹脂量を調整して容器内の液面高さを一定とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−154502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の液体充填装置は、吸引手段により余分な樹脂を吸い取っているが、余分な樹脂は充填量に比べごく僅かである。特に、発光装置は小型化が進む一方であり、容器の直径が数ミリ程度となる発光装置では容器の内容量が小さいので、少しの充填量のばらつきと少しの吸引量のばらつきとが、大きな色度のばらつきとなってしまうため、負圧の制御に要求される精度は非常に高いものが要求される。
【0009】
従って、余分な樹脂を吸引して除去することで全体の樹脂量を調整することは困難なことだと思われる。
【0010】
そこで本発明は、微小な樹脂量の調整を可能とすることで、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができる発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂に、制御装置により移動させたニードル部の先端部を漬浸させた後に上昇させて、余分な液状樹脂を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、微量な液状樹脂をニードル部の先端部に付着させて液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能なので、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るポッティング装置を示す概略図
【図2】樹脂封止されるプリント配線基板を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る封止樹脂調整方法を説明するためのフロー図
【図4】測定装置により液状樹脂の高さの測定を説明するための図
【図5】(A)および(B)は液状樹脂を充填する工程を説明するための図
【図6】(A)および(B)は液状樹脂を除去する工程を説明するための図
【図7】余分な液状樹脂を除去した状態を示すニードル先端の拡大図
【図8】補充樹脂槽を説明するための図
【図9】本発明を好適に用いることができる発光装置の概略断面図
【図10】本発明の実施の形態2に係るポッティング装置を示す概略図
【図11】本実施の形態に係るニードルの第1変形例を示す図
【図12】本実施の形態に係るニードルの第2変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の第1の発明は、発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、ニードル部の先端部を、容器内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0015】
第1の発明によれば、ニードル部の先端部を液状樹脂に漬浸することで、先端部に液状樹脂を付着させ、そしてニードル部を上昇させて液状樹脂を容器内から除去する。ニードル部の先端部に付着する液状樹脂の量は微量なので、ニードル部により充填された液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能である。
【0016】
本願の第2の発明は、第1の発明において、ニードル部の先端に付着させた液状樹脂を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0017】
第2の発明によれば、ニードル部の先端部に付着した液状樹脂をクリーニング手段により除去することで、新たに付着する樹脂量が一定となるので、より精度よく微調整を行うことができる。
【0018】
本願の第3の発明は、第1または第2の発明において、ニードル部は、複数の針状体を備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0019】
第3の発明によれば、ニードル部が複数の針状体を備えたものであれば、液状樹脂への一度の漬浸による付着量を増やすことができ、微調整に要する時間を短縮することができる。
【0020】
本願の第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、複数の太さの異なるニードル部が設けられていることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0021】
第4の発明によれば、太さの異なるニードル部が設けられていることで、余分な量に応じて適切な太さのニードル部を選択することができるので、微調整に要する時間を短縮することができると共に、微調整の精度を向上させることができる。
【0022】
本願の第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、ニードル部は、基端部から延びる棒状支持体より太い付着部が先端部に設けられていることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0023】
第5の発明によれば、先端部に棒状支持体より太い付着部が設けられていることで、液状樹脂を付着させる表面積を増やすことができる。従って、液状樹脂への一度の漬浸による付着量を増やすことができる。
【0024】
本願の第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ニードル部と、液状樹脂を容器に充填する樹脂充填装置とは別装置としたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0025】
第6の発明によれば、液状樹脂を充填する樹脂充填装置と、液状樹脂を除去するニードル部とを同じ装置とすれば、充填の際にニードル部の先端に液状樹脂が残留してしまうことがあり、予め想定された除去量より少なくなってしまうことが心配される。しかし、ニードル部と樹脂充填装置とを別装置とすることで、充填の際にニードル部の先端に液状樹脂が残留しないので、予め想定された除去量を精度よく、容器内から除去することができるので、液状樹脂の量を精度よく微調整することができる。
【0026】
本願の第7の発明は、第6の発明において、容器に補充するための液状樹脂が貯留された補充樹脂槽が設けられ、制御装置は、容器に充填された液状樹脂の量が不足したときに、ニードル部の先端を、補充樹脂槽へ漬浸した後に容器へ移動させて漬浸して、容器内の液状樹脂に補充をすることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0027】
第7の発明によれば、容器に充填された液状樹脂が不足した場合に、補充樹脂槽からニードル部の先端に付着させた液状樹脂により補充することで、微量な液状樹脂を追加させることができるので、より精度よく液状樹脂の調整を行うことができる。
【0028】
本願の第8の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ニードル部と、液状樹脂を容器に充填する樹脂充填装置とは同じ装置としたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0029】
第8の発明によれば、ニードル部と樹脂充填装置とを同じ装置とすることで、液状樹脂を除去する専用の装置が不要となるため、安価に装置を構成することが可能であり、小型化にも寄与する。
【0030】
本願の第9の発明は、発光素子が配置された容器に液状樹脂を充填する工程と、制御装置によりニードル部を移動させて、ニードル部の先端部を容器内の液状樹脂に漬浸させる工程と、ニードル部を制御装置により上昇させ、ニードル部の先端に液状樹脂を付着させて容器内の余分な液状樹脂を除去する工程とを含むことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整方法である。
【0031】
第9の発明によれば、ニードル部の先端部を液状樹脂に漬浸することで、先端部に液状樹脂を付着させ、そしてニードル部を上昇させて液状樹脂を容器内から除去する。ニードル部の先端部に付着する液状樹脂の量は微量なので、ニードル部により充填された液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能である。
【0032】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る発光装置の封止樹脂調整装置について、ポッティング装置を例に、図面に基づいて説明する。まず、図1に基づいてポッティング装置の全体構成から説明する。
【0033】
図1に示すように、ポッティング装置10は、発光素子の周囲を囲うように形成された反射体内に液状の封止樹脂を充填し、その充填された封止樹脂の量を調整する機能を備えたものである。
【0034】
ポッティング装置10は、発光素子(図示せず)が搭載されたプリント配線基板Pが載置されるステージ20と、封止樹脂を充填するディスペンサ31が設けられた樹脂充填装置30と、ニードル41が設けられたニードル部40と、塗布高さを判定する測定装置50と、補充する液状樹脂が貯留されている補充樹脂槽60と、除去部70と、ポッティング装置10の全体を統括制御する制御装置80と、ニードル部40を移動させる移動機構(図示せず)とを備えている。
【0035】
ステージ20は、プリント配線基板Pを水平に設置できる水平台である。樹脂充填装置30は、内部に貯留された蛍光体を含有した液状樹脂を設定された量ほど、発光素子が配置された反射体に向けて滴下する機能を備えている。樹脂充填装置30の先端には、液状樹脂を吐出するディスペンサ31が設けられている。ニードル部40は、樹脂充填装置30が充填した液状樹脂の充填量を微調整するものである。このニードル部40の先端には、針状体である3本のニードル41が設けられている。このニードル41は太さが同じである。
【0036】
測定装置50は、光学的に塗布面までを測定することで、塗布高さを測定する機能を備えている。補充樹脂槽60は、充填した液状樹脂の量が不足したときに、補充するための液状樹脂が貯留されている。
【0037】
除去部70は、ニードル41の先端を上方から押し付けることで、ニードル41の先端に付着した液状樹脂を除去するクリーニング手段として機能するものである。除去部70は、ニードル41の先端が拭き取れればどのようなものでもよいが、スポンジ、布、不織布などとすることができる。制御装置80は、ニードル部40の上昇や下降、水平移動などの移動制御、およびニードル部40の吐出制御を行う機能を備えている。移動機構は、制御装置80の指示に基づいてニードル部40を移動させる機能を備えている。
【0038】
以上のように構成された本実施の形態に係るポッティング装置10の動作および使用状態について、図2から図7に基づいて説明する。なお、図4から図7においては制御装置80は図示していない。
【0039】
本実施の形態では、図2に示すように、絶縁性基板に配線パターンが形成されたプリント配線基板Pに、液状樹脂が充填される容器である反射体Rが縦列および横列に並べられていると共に、この反射体Rの中心位置に発光素子Lが搭載されたものに、液状樹脂を充填する場合を例に説明する。
【0040】
まず、図3に示すように、発光素子Lが搭載されたプリント配線基板Pをステージ20上にセットする(ステップS10)。次に、制御装置80は、ニードル部40を移動機構により除去部70まで移動させると共に下降させてニードル41の先端を除去部70へ押し付けてニードル41の先端に付着した液状樹脂やその他の付着物を拭き取る(ステップS20)。これで準備工程は完了する。
【0041】
次に、制御装置80は、図4に示すように、測定装置50を駆動機構により水平移動させて、反射体R内に充填した液状樹脂(封止樹脂M)の液面までの距離を、順次測定装置50に測定させる(ステップS30)。測定した結果が、予め制御装置80に設定された基準範囲の距離よりも測定距離が短い場合には、充填量が多いことを示している。また、基準範囲の距離よりも測定距離が長い場合には、充填量が少ないことを示している。更に、測定距離が基準範囲内であれば、充填量に問題がないことを示している。
【0042】
充填前であれば、充填量は基準範囲より少ないと判定されるので、制御装置80は蛍光体を含有した液状樹脂を、樹脂充填装置30により充填する。
【0043】
この液状樹脂の充填は、制御装置80が移動機構を制御して、図5(A)に示すように発光素子Lが搭載されたプリント配線基板P上に樹脂充填装置30を水平移動させる。次に、制御装置80は、図5(B)に示すように、樹脂充填装置30を降下させてディスペンサ31を反射体Rへ接近させ、ディスペンサ31から所定量の液状樹脂を滴下させる(ステップS40)。次に、ステップS20と同様に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS50)。
【0044】
そして、制御装置80は、ステップS30へ移行して液状樹脂の液面までの距離を測定することで、液状樹脂の反射体R内での高さを測定する。
【0045】
そして、測定した結果、基準範囲内であれば適量が充填されたということで、制御装置80は次の反射体Rまでニードル部40を移動させる(ステップS60)。
【0046】
ステップS30にて、基準範囲の距離よりも測定距離が短い場合には、充填量が多いことを示しているので、余分な液状樹脂を取り除く必要がある。
【0047】
そこで、制御装置80は移動機構を制御して、図6(A)に示すようにプリント配線基板P上に、ニードル部40を水平移動させ、図6(B)に示すようにニードル部40を降下させてニードル41の先端を反射体R内の液状樹脂へ漬浸させる。
【0048】
そして、制御装置80は、ニードル部40を上昇させる。そうすることで、図7に示すように、反射体R内に充填した液状樹脂をニードル41先端に付着させることで、余分な液状樹脂を取り除くことができる(ステップS70)。
【0049】
ニードル41の先端は細いので、付着する液状樹脂は微量である。従って、充填量がわずかに多くても、微量の液状樹脂を取り除くことで、最適な樹脂量とすることができるので、充填した液状樹脂の微調整が可能である。
【0050】
次に、ステップS50と同様に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS80)。
【0051】
ステップS30にて、液状樹脂の液面までの距離を測定して、取り除くことで反射体R内の液状樹脂が適量になったか否かを判定する。
【0052】
このとき、充填量が基準範囲より少ないと判定された場合には、制御装置80は、図8に示すようにニードル部40を補充樹脂槽60まで移動させて、ニードル41の先端を下降させて補充樹脂槽60内に漬浸する。そして、制御装置80は、ニードル41の先端に液状樹脂を付着した状態で、ニードル部40を反射体R上まで移動させ、滴下させて、反射体R内の液状樹脂を増量する(ステップS40)。ニードル41の先端は細いので、付着する液状樹脂は微量である。従って、充填量がわずかに少なくても、微量の液状樹脂を増加させることで、最適な樹脂量とすることができるので、充填した液状樹脂の微調整が可能である。
【0053】
次に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS50)。
【0054】
このようなフローを繰り返すことで、順次、封止樹脂として充填される液状樹脂の量を微調整することができるので、蛍光体を含有した封止樹脂の厚みの均一化を図ることができる。従って、色度のばらつきを抑止することができる。
【0055】
このポッティング装置10を用いた封止樹脂調整方法は、特に、スクリーン印刷法やトランスファーモールド成形法を使用することができないような発光装置に好適である。例えば、図9に示す発光装置1では、発光素子Lの天面から配線されたワイヤWは反射体Rを超えてプリント配線基板Pに設けられた配線パターンに接続されている。この場合、ワイヤWが邪魔になって印刷版や金型が使用できない。従って、封止樹脂Mの充填にはポッティング法を用いられるので、本実施の形態に係るポッティング装置10による封止樹脂調整方法により封止樹脂Mの量を微調整することで、高品質な発光装置1を得ることができる。
【0056】
また、液状樹脂を充填する樹脂充填装置30と、液状樹脂を除去するニードル部40とを同じ装置とすれば、充填の際にニードル部40の先端に液状樹脂が残留してしまうことがあり、予め想定された除去量より少なくなってしまうことが心配される。しかし、ニードル部40と樹脂充填装置30とを別装置とすることで、充填の際にニードル部40のニードル41の先端に液状樹脂が残留しないので、予め想定された除去量を精度よく、反対体R内から除去することができるので、液状樹脂の量を精度よく微調整することができる。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るポッティング装置を図10に基づいて説明する。本実施の形態2に係るポッティング装置10xは、実施の形態1におけるポッティング装置10のニードル部40と樹脂充填装置30とを同じ装置として構成したことを特徴としたものである。なお、図10においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0058】
図10に示すポッティング装置10xは、反射体R内に液状樹脂を滴下して充填すると共に、先端に付着して液状樹脂を除去して充填量を調整する樹脂充填調整装置90を備えている。
【0059】
この樹脂充填調整装置90の先端には、液状樹脂を滴下する吐出口が設けられていることでディスペンサとして機能するニードル91が設けられている。
【0060】
制御装置80xは、測定装置50により液状樹脂(封止樹脂M)の液面までの距離を測定して、その結果、制御装置80xに設定された基準範囲の距離より測定距離が短い場合には充填量が多いので、ニードル91を反射体R内の液状樹脂に漬浸して液状樹脂を付着させで除去する。また、制御装置80xに設定された基準範囲の距離より測定距離が長い場合には充填量が少ないので、ニードル91から液状樹脂を微量滴下して反射体R内の液状樹脂の増量を図る。
【0061】
このように、図1に示すニードル部40と樹脂充填装置30とを、図10に示すように同じ装置とした樹脂充填調整装置90とすることで、液状樹脂を除去する専用の装置が不要となるため、安価に装置を構成することが可能であり、小型化にも寄与する。また、液状樹脂の最初の充填や追加は、樹脂充填調整装置90で行うため、補充樹脂槽60(図1参照)も省略することができる。
【0062】
(変形例)
次に、ニードル部40の変形例について、図11および図12に基づいて説明する。
【0063】
図11に示す変形例は、3本のニードル42〜44の太さがそれぞれ異なっている。ニードル42〜44の先端に付着する液状樹脂の量も細いものより太いものの方が量が多い。予めそれぞれのニードル42〜44に付着する量を測定しておき、余分な樹脂量に応じてニードル42〜44のうち最適な除去量のニードルを選択することで、余分な液状樹脂の除去に要する時間を短縮することができる。
【0064】
また、図12(A)から同図(C)に示すように、ニードル45〜47は、基端部から延びる棒状支持体45a〜47aより太い付着部45b〜47bが先端部に設けられている。そうすることで、ニードル45〜47の先端に付着する液状樹脂の量を増加させることができるので、余分な液状樹脂の除去に要する時間を短縮することができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、発光装置の封止樹脂調整装置をポッティング装置と兼用したが、ポッティングする装置と余分な液状樹脂の除去する装置とを別々に構成してもよい。また、本実施の形態では、樹脂封止される発光素子Lは反射体R内に配置されているが、液状樹脂が充填される容器としては反射体R以外に、サイドビュータイプの箱状のケースでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、微小な樹脂量の調整を可能とすることで、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができるので、発光素子からの光に励起された発光する蛍光体を含有した樹脂を、発光素子が搭載されたカップにポッティングにより充填して、樹脂封止部を形成する発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法に好適である。
【符号の説明】
【0067】
1 発光装置
10,10x ポッティング装置
20 ステージ
30 樹脂充填装置
31 ディスペンサ
40 ニードル部
41〜44 ニードル
45a〜47a 棒状支持体
45b〜47b 付着部
50 測定装置
60 補充樹脂槽
70 除去部
80,80x 制御装置
90 樹脂充填調整装置
91 ニードル
L 発光素子
P プリント配線基板
R 反射体
M 封止樹脂
W ワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からの光に励起された発光する蛍光体を含有した樹脂を、発光素子が搭載されたカップにポッティングにより充填して、樹脂封止部を形成する発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光装置には、発光素子や、発光素子に接続されたワイヤを保護するために樹脂より形成された樹脂封止部が設けられている。この樹脂封止部に、発光素子からの出射光に励起されて発光する蛍光体を含有させることで、発光素子からの光と蛍光体が発光する光が混色して、新たな発光色を得ることができる。例えば、発光素子からの青色光と、蛍光体からの青色と補色の関係にある黄色光を混色させることで、白色に発光する発光装置とすることが知られている。
【0003】
この樹脂封止部を成形する方法としては、トランスファー成型法や、スクリーン印刷法などがあるが、発光素子が、カップ状に形成された反射体や、箱状に形成された筐体などの容器内に配置される場合には、ポッティング法により封止樹脂が充填される。
【0004】
ポッティング法は、ニードルの先端から蛍光体を含有した液状樹脂を滴下させて型内に充填する方法であるが、このポッティング法は樹脂の充填量のばらつきが大きい。蛍光体による波長変換の度合いは蛍光体が分散した樹脂の厚みに影響を受けるため、充填量のばらつきは発光色の色度のばらつきとなる。
【0005】
このようなポッティング法による樹脂の充填においては、充填量を精度よく調整できる従来の製造装置が、特許文献1に記載されている。
【0006】
この特許文献1に記載の流体充填装置は、注入手段により充填した樹脂の液面に、上下動させる上下動手段により吹込口を接近させ、負圧が付与される吸引手段により吹込口から樹脂を吸引することで、容器内の樹脂量を調整して容器内の液面高さを一定とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−154502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の液体充填装置は、吸引手段により余分な樹脂を吸い取っているが、余分な樹脂は充填量に比べごく僅かである。特に、発光装置は小型化が進む一方であり、容器の直径が数ミリ程度となる発光装置では容器の内容量が小さいので、少しの充填量のばらつきと少しの吸引量のばらつきとが、大きな色度のばらつきとなってしまうため、負圧の制御に要求される精度は非常に高いものが要求される。
【0009】
従って、余分な樹脂を吸引して除去することで全体の樹脂量を調整することは困難なことだと思われる。
【0010】
そこで本発明は、微小な樹脂量の調整を可能とすることで、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができる発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂に、制御装置により移動させたニードル部の先端部を漬浸させた後に上昇させて、余分な液状樹脂を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、微量な液状樹脂をニードル部の先端部に付着させて液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能なので、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るポッティング装置を示す概略図
【図2】樹脂封止されるプリント配線基板を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る封止樹脂調整方法を説明するためのフロー図
【図4】測定装置により液状樹脂の高さの測定を説明するための図
【図5】(A)および(B)は液状樹脂を充填する工程を説明するための図
【図6】(A)および(B)は液状樹脂を除去する工程を説明するための図
【図7】余分な液状樹脂を除去した状態を示すニードル先端の拡大図
【図8】補充樹脂槽を説明するための図
【図9】本発明を好適に用いることができる発光装置の概略断面図
【図10】本発明の実施の形態2に係るポッティング装置を示す概略図
【図11】本実施の形態に係るニードルの第1変形例を示す図
【図12】本実施の形態に係るニードルの第2変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願の第1の発明は、発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、ニードル部の先端部を、容器内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0015】
第1の発明によれば、ニードル部の先端部を液状樹脂に漬浸することで、先端部に液状樹脂を付着させ、そしてニードル部を上昇させて液状樹脂を容器内から除去する。ニードル部の先端部に付着する液状樹脂の量は微量なので、ニードル部により充填された液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能である。
【0016】
本願の第2の発明は、第1の発明において、ニードル部の先端に付着させた液状樹脂を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0017】
第2の発明によれば、ニードル部の先端部に付着した液状樹脂をクリーニング手段により除去することで、新たに付着する樹脂量が一定となるので、より精度よく微調整を行うことができる。
【0018】
本願の第3の発明は、第1または第2の発明において、ニードル部は、複数の針状体を備えたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0019】
第3の発明によれば、ニードル部が複数の針状体を備えたものであれば、液状樹脂への一度の漬浸による付着量を増やすことができ、微調整に要する時間を短縮することができる。
【0020】
本願の第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、複数の太さの異なるニードル部が設けられていることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0021】
第4の発明によれば、太さの異なるニードル部が設けられていることで、余分な量に応じて適切な太さのニードル部を選択することができるので、微調整に要する時間を短縮することができると共に、微調整の精度を向上させることができる。
【0022】
本願の第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、ニードル部は、基端部から延びる棒状支持体より太い付着部が先端部に設けられていることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0023】
第5の発明によれば、先端部に棒状支持体より太い付着部が設けられていることで、液状樹脂を付着させる表面積を増やすことができる。従って、液状樹脂への一度の漬浸による付着量を増やすことができる。
【0024】
本願の第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ニードル部と、液状樹脂を容器に充填する樹脂充填装置とは別装置としたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0025】
第6の発明によれば、液状樹脂を充填する樹脂充填装置と、液状樹脂を除去するニードル部とを同じ装置とすれば、充填の際にニードル部の先端に液状樹脂が残留してしまうことがあり、予め想定された除去量より少なくなってしまうことが心配される。しかし、ニードル部と樹脂充填装置とを別装置とすることで、充填の際にニードル部の先端に液状樹脂が残留しないので、予め想定された除去量を精度よく、容器内から除去することができるので、液状樹脂の量を精度よく微調整することができる。
【0026】
本願の第7の発明は、第6の発明において、容器に補充するための液状樹脂が貯留された補充樹脂槽が設けられ、制御装置は、容器に充填された液状樹脂の量が不足したときに、ニードル部の先端を、補充樹脂槽へ漬浸した後に容器へ移動させて漬浸して、容器内の液状樹脂に補充をすることを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0027】
第7の発明によれば、容器に充填された液状樹脂が不足した場合に、補充樹脂槽からニードル部の先端に付着させた液状樹脂により補充することで、微量な液状樹脂を追加させることができるので、より精度よく液状樹脂の調整を行うことができる。
【0028】
本願の第8の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、ニードル部と、液状樹脂を容器に充填する樹脂充填装置とは同じ装置としたことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整装置である。
【0029】
第8の発明によれば、ニードル部と樹脂充填装置とを同じ装置とすることで、液状樹脂を除去する専用の装置が不要となるため、安価に装置を構成することが可能であり、小型化にも寄与する。
【0030】
本願の第9の発明は、発光素子が配置された容器に液状樹脂を充填する工程と、制御装置によりニードル部を移動させて、ニードル部の先端部を容器内の液状樹脂に漬浸させる工程と、ニードル部を制御装置により上昇させ、ニードル部の先端に液状樹脂を付着させて容器内の余分な液状樹脂を除去する工程とを含むことを特徴とした発光装置の封止樹脂調整方法である。
【0031】
第9の発明によれば、ニードル部の先端部を液状樹脂に漬浸することで、先端部に液状樹脂を付着させ、そしてニードル部を上昇させて液状樹脂を容器内から除去する。ニードル部の先端部に付着する液状樹脂の量は微量なので、ニードル部により充填された液状樹脂を除去することで、容器内の液状樹脂の微調整が可能である。
【0032】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る発光装置の封止樹脂調整装置について、ポッティング装置を例に、図面に基づいて説明する。まず、図1に基づいてポッティング装置の全体構成から説明する。
【0033】
図1に示すように、ポッティング装置10は、発光素子の周囲を囲うように形成された反射体内に液状の封止樹脂を充填し、その充填された封止樹脂の量を調整する機能を備えたものである。
【0034】
ポッティング装置10は、発光素子(図示せず)が搭載されたプリント配線基板Pが載置されるステージ20と、封止樹脂を充填するディスペンサ31が設けられた樹脂充填装置30と、ニードル41が設けられたニードル部40と、塗布高さを判定する測定装置50と、補充する液状樹脂が貯留されている補充樹脂槽60と、除去部70と、ポッティング装置10の全体を統括制御する制御装置80と、ニードル部40を移動させる移動機構(図示せず)とを備えている。
【0035】
ステージ20は、プリント配線基板Pを水平に設置できる水平台である。樹脂充填装置30は、内部に貯留された蛍光体を含有した液状樹脂を設定された量ほど、発光素子が配置された反射体に向けて滴下する機能を備えている。樹脂充填装置30の先端には、液状樹脂を吐出するディスペンサ31が設けられている。ニードル部40は、樹脂充填装置30が充填した液状樹脂の充填量を微調整するものである。このニードル部40の先端には、針状体である3本のニードル41が設けられている。このニードル41は太さが同じである。
【0036】
測定装置50は、光学的に塗布面までを測定することで、塗布高さを測定する機能を備えている。補充樹脂槽60は、充填した液状樹脂の量が不足したときに、補充するための液状樹脂が貯留されている。
【0037】
除去部70は、ニードル41の先端を上方から押し付けることで、ニードル41の先端に付着した液状樹脂を除去するクリーニング手段として機能するものである。除去部70は、ニードル41の先端が拭き取れればどのようなものでもよいが、スポンジ、布、不織布などとすることができる。制御装置80は、ニードル部40の上昇や下降、水平移動などの移動制御、およびニードル部40の吐出制御を行う機能を備えている。移動機構は、制御装置80の指示に基づいてニードル部40を移動させる機能を備えている。
【0038】
以上のように構成された本実施の形態に係るポッティング装置10の動作および使用状態について、図2から図7に基づいて説明する。なお、図4から図7においては制御装置80は図示していない。
【0039】
本実施の形態では、図2に示すように、絶縁性基板に配線パターンが形成されたプリント配線基板Pに、液状樹脂が充填される容器である反射体Rが縦列および横列に並べられていると共に、この反射体Rの中心位置に発光素子Lが搭載されたものに、液状樹脂を充填する場合を例に説明する。
【0040】
まず、図3に示すように、発光素子Lが搭載されたプリント配線基板Pをステージ20上にセットする(ステップS10)。次に、制御装置80は、ニードル部40を移動機構により除去部70まで移動させると共に下降させてニードル41の先端を除去部70へ押し付けてニードル41の先端に付着した液状樹脂やその他の付着物を拭き取る(ステップS20)。これで準備工程は完了する。
【0041】
次に、制御装置80は、図4に示すように、測定装置50を駆動機構により水平移動させて、反射体R内に充填した液状樹脂(封止樹脂M)の液面までの距離を、順次測定装置50に測定させる(ステップS30)。測定した結果が、予め制御装置80に設定された基準範囲の距離よりも測定距離が短い場合には、充填量が多いことを示している。また、基準範囲の距離よりも測定距離が長い場合には、充填量が少ないことを示している。更に、測定距離が基準範囲内であれば、充填量に問題がないことを示している。
【0042】
充填前であれば、充填量は基準範囲より少ないと判定されるので、制御装置80は蛍光体を含有した液状樹脂を、樹脂充填装置30により充填する。
【0043】
この液状樹脂の充填は、制御装置80が移動機構を制御して、図5(A)に示すように発光素子Lが搭載されたプリント配線基板P上に樹脂充填装置30を水平移動させる。次に、制御装置80は、図5(B)に示すように、樹脂充填装置30を降下させてディスペンサ31を反射体Rへ接近させ、ディスペンサ31から所定量の液状樹脂を滴下させる(ステップS40)。次に、ステップS20と同様に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS50)。
【0044】
そして、制御装置80は、ステップS30へ移行して液状樹脂の液面までの距離を測定することで、液状樹脂の反射体R内での高さを測定する。
【0045】
そして、測定した結果、基準範囲内であれば適量が充填されたということで、制御装置80は次の反射体Rまでニードル部40を移動させる(ステップS60)。
【0046】
ステップS30にて、基準範囲の距離よりも測定距離が短い場合には、充填量が多いことを示しているので、余分な液状樹脂を取り除く必要がある。
【0047】
そこで、制御装置80は移動機構を制御して、図6(A)に示すようにプリント配線基板P上に、ニードル部40を水平移動させ、図6(B)に示すようにニードル部40を降下させてニードル41の先端を反射体R内の液状樹脂へ漬浸させる。
【0048】
そして、制御装置80は、ニードル部40を上昇させる。そうすることで、図7に示すように、反射体R内に充填した液状樹脂をニードル41先端に付着させることで、余分な液状樹脂を取り除くことができる(ステップS70)。
【0049】
ニードル41の先端は細いので、付着する液状樹脂は微量である。従って、充填量がわずかに多くても、微量の液状樹脂を取り除くことで、最適な樹脂量とすることができるので、充填した液状樹脂の微調整が可能である。
【0050】
次に、ステップS50と同様に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS80)。
【0051】
ステップS30にて、液状樹脂の液面までの距離を測定して、取り除くことで反射体R内の液状樹脂が適量になったか否かを判定する。
【0052】
このとき、充填量が基準範囲より少ないと判定された場合には、制御装置80は、図8に示すようにニードル部40を補充樹脂槽60まで移動させて、ニードル41の先端を下降させて補充樹脂槽60内に漬浸する。そして、制御装置80は、ニードル41の先端に液状樹脂を付着した状態で、ニードル部40を反射体R上まで移動させ、滴下させて、反射体R内の液状樹脂を増量する(ステップS40)。ニードル41の先端は細いので、付着する液状樹脂は微量である。従って、充填量がわずかに少なくても、微量の液状樹脂を増加させることで、最適な樹脂量とすることができるので、充填した液状樹脂の微調整が可能である。
【0053】
次に、制御装置80は、ニードル41の先端を除去部70に押し付けて付着物を除去する(ステップS50)。
【0054】
このようなフローを繰り返すことで、順次、封止樹脂として充填される液状樹脂の量を微調整することができるので、蛍光体を含有した封止樹脂の厚みの均一化を図ることができる。従って、色度のばらつきを抑止することができる。
【0055】
このポッティング装置10を用いた封止樹脂調整方法は、特に、スクリーン印刷法やトランスファーモールド成形法を使用することができないような発光装置に好適である。例えば、図9に示す発光装置1では、発光素子Lの天面から配線されたワイヤWは反射体Rを超えてプリント配線基板Pに設けられた配線パターンに接続されている。この場合、ワイヤWが邪魔になって印刷版や金型が使用できない。従って、封止樹脂Mの充填にはポッティング法を用いられるので、本実施の形態に係るポッティング装置10による封止樹脂調整方法により封止樹脂Mの量を微調整することで、高品質な発光装置1を得ることができる。
【0056】
また、液状樹脂を充填する樹脂充填装置30と、液状樹脂を除去するニードル部40とを同じ装置とすれば、充填の際にニードル部40の先端に液状樹脂が残留してしまうことがあり、予め想定された除去量より少なくなってしまうことが心配される。しかし、ニードル部40と樹脂充填装置30とを別装置とすることで、充填の際にニードル部40のニードル41の先端に液状樹脂が残留しないので、予め想定された除去量を精度よく、反対体R内から除去することができるので、液状樹脂の量を精度よく微調整することができる。
【0057】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るポッティング装置を図10に基づいて説明する。本実施の形態2に係るポッティング装置10xは、実施の形態1におけるポッティング装置10のニードル部40と樹脂充填装置30とを同じ装置として構成したことを特徴としたものである。なお、図10においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0058】
図10に示すポッティング装置10xは、反射体R内に液状樹脂を滴下して充填すると共に、先端に付着して液状樹脂を除去して充填量を調整する樹脂充填調整装置90を備えている。
【0059】
この樹脂充填調整装置90の先端には、液状樹脂を滴下する吐出口が設けられていることでディスペンサとして機能するニードル91が設けられている。
【0060】
制御装置80xは、測定装置50により液状樹脂(封止樹脂M)の液面までの距離を測定して、その結果、制御装置80xに設定された基準範囲の距離より測定距離が短い場合には充填量が多いので、ニードル91を反射体R内の液状樹脂に漬浸して液状樹脂を付着させで除去する。また、制御装置80xに設定された基準範囲の距離より測定距離が長い場合には充填量が少ないので、ニードル91から液状樹脂を微量滴下して反射体R内の液状樹脂の増量を図る。
【0061】
このように、図1に示すニードル部40と樹脂充填装置30とを、図10に示すように同じ装置とした樹脂充填調整装置90とすることで、液状樹脂を除去する専用の装置が不要となるため、安価に装置を構成することが可能であり、小型化にも寄与する。また、液状樹脂の最初の充填や追加は、樹脂充填調整装置90で行うため、補充樹脂槽60(図1参照)も省略することができる。
【0062】
(変形例)
次に、ニードル部40の変形例について、図11および図12に基づいて説明する。
【0063】
図11に示す変形例は、3本のニードル42〜44の太さがそれぞれ異なっている。ニードル42〜44の先端に付着する液状樹脂の量も細いものより太いものの方が量が多い。予めそれぞれのニードル42〜44に付着する量を測定しておき、余分な樹脂量に応じてニードル42〜44のうち最適な除去量のニードルを選択することで、余分な液状樹脂の除去に要する時間を短縮することができる。
【0064】
また、図12(A)から同図(C)に示すように、ニードル45〜47は、基端部から延びる棒状支持体45a〜47aより太い付着部45b〜47bが先端部に設けられている。そうすることで、ニードル45〜47の先端に付着する液状樹脂の量を増加させることができるので、余分な液状樹脂の除去に要する時間を短縮することができる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、発光装置の封止樹脂調整装置をポッティング装置と兼用したが、ポッティングする装置と余分な液状樹脂の除去する装置とを別々に構成してもよい。また、本実施の形態では、樹脂封止される発光素子Lは反射体R内に配置されているが、液状樹脂が充填される容器としては反射体R以外に、サイドビュータイプの箱状のケースでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、微小な樹脂量の調整を可能とすることで、封止樹脂部の厚みのばらつきを抑止して、色度のばらつきを抑えることができるので、発光素子からの光に励起された発光する蛍光体を含有した樹脂を、発光素子が搭載されたカップにポッティングにより充填して、樹脂封止部を形成する発光装置の封止樹脂調整装置および発光装置の封止樹脂調整方法に好適である。
【符号の説明】
【0067】
1 発光装置
10,10x ポッティング装置
20 ステージ
30 樹脂充填装置
31 ディスペンサ
40 ニードル部
41〜44 ニードル
45a〜47a 棒状支持体
45b〜47b 付着部
50 測定装置
60 補充樹脂槽
70 除去部
80,80x 制御装置
90 樹脂充填調整装置
91 ニードル
L 発光素子
P プリント配線基板
R 反射体
M 封止樹脂
W ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、
前記ニードル部の先端部を、前記容器内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えたことを特徴とする発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項2】
前記ニードル部の先端に付着させた液状樹脂を除去するクリーニング手段を備えた請求項1記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項3】
前記ニードル部は、複数の針状体を備えたものである請求項1または2記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項4】
前記複数の針状体は、異なる太さに形成されている請求項3記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項5】
前記ニードル部は、基端部から延びる棒状支持体より太い付着部が先端部に設けられている請求項1から4のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項6】
前記ニードル部と、液状樹脂を前記容器に充填する樹脂充填装置とは別装置としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項7】
前記容器に補充するための液状樹脂が貯留された補充樹脂槽が設けられ、
前記制御装置は、前記容器に充填された液状樹脂の量が不足したときに、前記ニードル部の先端を、前記補充樹脂槽へ漬浸した後に前記容器へ移動させて漬浸して、前記容器内の液状樹脂に補充をする請求項6記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項8】
前記ニードル部と、液状樹脂を前記容器に充填する樹脂充填装置とは同じ装置としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項9】
発光素子が配置された容器に液状樹脂を充填する工程と、
制御装置によりニードル部を移動させて、前記ニードル部の先端部を前記容器内の液状樹脂に漬浸させる工程と、
前記ニードル部を前記制御装置により上昇させ、前記ニードル部の先端に液状樹脂を付着させて前記容器内の余分な液状樹脂を除去する工程とを含むことを特徴とする発光装置の封止樹脂調整方法。
【請求項1】
発光素子が配置された容器に充填された液状樹脂を先端部に付着させるニードル部と、
前記ニードル部の先端部を、前記容器内の液状樹脂に漬浸した後に上昇させる制御装置とを備えたことを特徴とする発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項2】
前記ニードル部の先端に付着させた液状樹脂を除去するクリーニング手段を備えた請求項1記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項3】
前記ニードル部は、複数の針状体を備えたものである請求項1または2記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項4】
前記複数の針状体は、異なる太さに形成されている請求項3記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項5】
前記ニードル部は、基端部から延びる棒状支持体より太い付着部が先端部に設けられている請求項1から4のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項6】
前記ニードル部と、液状樹脂を前記容器に充填する樹脂充填装置とは別装置としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項7】
前記容器に補充するための液状樹脂が貯留された補充樹脂槽が設けられ、
前記制御装置は、前記容器に充填された液状樹脂の量が不足したときに、前記ニードル部の先端を、前記補充樹脂槽へ漬浸した後に前記容器へ移動させて漬浸して、前記容器内の液状樹脂に補充をする請求項6記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項8】
前記ニードル部と、液状樹脂を前記容器に充填する樹脂充填装置とは同じ装置としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の発光装置の封止樹脂調整装置。
【請求項9】
発光素子が配置された容器に液状樹脂を充填する工程と、
制御装置によりニードル部を移動させて、前記ニードル部の先端部を前記容器内の液状樹脂に漬浸させる工程と、
前記ニードル部を前記制御装置により上昇させ、前記ニードル部の先端に液状樹脂を付着させて前記容器内の余分な液状樹脂を除去する工程とを含むことを特徴とする発光装置の封止樹脂調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−69753(P2012−69753A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213495(P2010−213495)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]