説明

発光装置及びその製造方法

【課題】 レンズを一体的に設けた信頼性の高い発光装置を提供すること。
【解決手段】 発光素子10と、底面と側面を持つ開口部を有するパッケージ20と、パッケージ20に配設されているリード30と、発光素子10からの光を透過するように配置されるレンズ40と、を有する発光装置であって、リード30の一端は開口部底面に配設されその上部に発光素子10が載置されており、リード30の他端はパッケージ20の底面若しくは側面から開口部に向かって延びており所定の形状に折り曲げてレンズ40を係止している発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話のフラッシュライトやバックライト用照明、各種デ−タを表示可能なディスプレイ、ラインセンサ−など各種センサーの光源やインジケータなどに利用される発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型・薄型化を目的として、表面実装タイプの発光装置がランプタイプの発光装置に代えて多く使用されるようになってきている。この表面実装タイプの発光装置は、レンズを一体的に取り付けておらず、ほとんどがレンズとパッケージとが別のものとして設けられている。これはレンズの取り付けが容易でないこと、及び光学設計が必要となることなどの問題がある。よって、レンズを一体的に取り付けた発光装置は、ほとんど知られていない。
【0003】
従来の表面実装タイプの発光装置は、パッケージの上面にレンズを設けている(例えば、特許文献1参照)。図25は従来の表面実装タイプの発光装置を示す。III族窒化物発光デバイスとすることができるLEDダイ216が、サブマウント218の上にマウントされる。サブマウント218は、ペデスタル210によって支持され、ワイヤ222によってリード212に電気的に接続される。レンズ220がLEDダイ216を覆う。LEDダイ216とレンズ220との間のスペース214は、波長変換材料で満たされる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−118205号公報([0013]、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の表面実装タイプの発光装置は、レンズの固定に関して特に記載がない。一般に使用されている接着剤でレンズを固定することが考えられるが、十分な接着強度が得られない。また、レンズへの接着剤の這い上がりが生じ、これによりレンズにゴミが付着したり、レンズがずれたりする。さらに、接着剤における有機成分の揮発によりレンズが曇るという現象も生じると考えられる。よって、レンズを固定した表面実装タイプの発光装置は、実用化されていない。
【0006】
そこで、本発明は、発光素子を載置したパッケージに、レンズを一体的に設けた信頼性の高い発光装置を提供することを目的とする。また、これらの発光装置の製造方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題点を解決すべく、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明は、発光素子と、該発光素子を載置するパッケージと、該パッケージに配設されているリードと、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズと、を有する発光装置であって、該リードにより該レンズが係止されている発光装置に関する。
【0009】
前記レンズは、前記リードと前記パッケージとにより挟み込まれ係止されていることが好ましい。
【0010】
前記発光装置は、前記レンズと前記パッケージとの接触部分に緩衝部材を設けることもできる。
【0011】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記底面は前記リードが配設され前記発光素子が載置されており、前記リードは前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に配設されていることが好ましい。
【0012】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記側面は開口方向に拡がる傾斜を有しており、前記レンズは、該傾斜から外側に延びる直線よりも外側に前記レンズ機能を有する部分が設けられているものも提供することができる。
【0013】
前記リードは、一対の正負の電極であることが好ましい。
【0014】
前記発光装置は、正負の電極となる一対の前記リードと、レンズをパッケージと挟み込むための少なくとも1つのレンズ押さえのリードとを備えるものも提供することができる。
【0015】
前記リードは、前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に向かって配設され、折り曲げられて前記レンズが係止されていることが好ましい。
【0016】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記レンズは前記開口部に嵌合する大きさを有していることが好ましい。
【0017】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、該開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きく、第1の開口部と第2の開口部との間に段差部が設けられているものも提供することができる。
【0018】
前記レンズは凸レンズであるものも提供することができる。
【0019】
前記レンズはフレネルレンズであるものも提供することができる。
【0020】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子を被覆することもできる。
【0021】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子が被覆されており、前記樹脂と、前記レンズとの間には隙間が設けられているものも提供することができる。
【0022】
本発明は、リードが配設され一体形成されているパッケージであって、該リードは該パッケージの側面若しくは底面から外側に延びており、かつ、レンズを係止し得る長さを有しているパッケージに関する。
【0023】
本発明は、底面と側面を持つ開口部を上面に有するパッケージであって、該パッケージはリードが配設され一体形成されており、該リードは該パッケージの外側側面若しくは外側底面から外側に延びており、かつ、上面の開口部付近まで延びる長さを有しているパッケージに関する。
【0024】
本発明は、側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズをパッケージに配置する工程と、該リードを折り曲げて該レンズを係止する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。
【0025】
本発明は、側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズを係止し得るように該リードを折り曲げる工程と、該リードと該パッケージとの間に該レンズを配置して係止する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0027】
本発明は、発光素子と、該発光素子を載置するパッケージと、該パッケージに配設されているリードと、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズと、を有する発光装置であって、該リードにより該レンズが係止されている発光装置に関する。これにより接着剤を介さずにレンズを係止することができるので、接着剤に関する問題を考慮する必要がない。リードを複数設けることによりリード同士の係止も可能である。
【0028】
前記レンズは、前記リードと前記パッケージとにより挟み込まれ係止されていることが好ましい。これにより、より容易にレンズを係止することができる。
【0029】
前記発光装置は、前記レンズと前記パッケージとの接触部分に緩衝部材を設けることもできる。例えば、座金(ワッシャー)などである。レンズとパッケージとの係止強度を上げるためである。
【0030】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記底面は前記リードが配設され前記発光素子が載置されており、前記リードは前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に配設されていることが好ましい。パッケージの外側底面若しくは外側側面にリードを配設することにより、外側側面若しくは外側底面から電気的導通をとることができる。また、レンズを押さえ込む際の弾力性を持たせることができる。また開口部を持つことにより発光素子を開口部内に配置することができる。これにより、発光素子が載置されるリードを底面に近い側に配置することができ、パッケージの外側側面若しくは外側底面からリードを配設しやすくすることができる。さらに、射出成形法により樹脂パッケージを製造する際の、樹脂の流れを良くすることができ、歩留まりを高めることができる。
【0031】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記側面は開口方向に拡がる傾斜を有しており、前記レンズは、該傾斜から外側に延びる直線よりも外側に前記レンズ機能を有する部分が設けられているものも提供することができる。これにより、発光素子からの光を効率よく外部に放出することができる。また、開口部から放出された光の指向性を制御することができる。
【0032】
前記リードは、一対の正負の電極であることが好ましい。レンズを押さえ込むためのリードは一対の正負の電極として機能するものである。また、リードの面積を広くすることで発光素子からの発熱を外部に放熱することもできる。
【0033】
前記発光装置は、正負の電極となる一対の前記リードと、レンズをパッケージと挟み込むための少なくとも1つのレンズ押さえのリードとを備えるものも提供することができる。電極となるリードとレンズを挟み込むためのリードとを別々に設けることができるため、それぞれの用途に応じた形状、部材等にすることができる。この場合のリードは別部材であり、一部が接触していることが好ましい。
【0034】
前記リードは、前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に向かって配設され、折り曲げられて前記レンズが係止されていることが好ましい。折り曲げ後の形状は任意であるが、パッケージに沿って折り曲げられていることが好ましい。これにより金属板のようなフレームタイプのリードを使用することができる。
【0035】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記レンズは前記開口部に嵌合する大きさを有していることが好ましい。開口部に嵌合する大きさを有するレンズを用いることにより一方向のみ(例えば上面からのみ)の係止ですむため製造工程が簡易となる。また、パッケージにおけるレンズの位置ズレがなくなり光学特性を一定にすることができる。
【0036】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、該開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きく、第1の開口部と第2の開口部との間に段差部が設けられているものも提供することができる。これにより、段差部に樹脂が流れ込み、開口部上面への樹脂の這い上がりを防止することができる。また、開口部に挿入するレンズの径は第2の開口部の径と同じかそれ以下であって、第1の開口部の径よりも大きい大きさのものを使用することにより、レンズが段差部で止まるため、レンズの嵌り込みを防止することができる。さらに、樹脂を用いて段差部を設けたパッケージを製造することにより、該段差部に弾力性を持たせることができ、レンズ係止時の押圧を分散することができる。
【0037】
前記レンズは凸レンズであるものも提供することができる。これにより集光性を高めることができる。
【0038】
前記レンズはフレネルレンズであるものも提供することができる。これによりレンズを薄くすることができ、発光装置も薄型にすることができる。
【0039】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子を被覆することもできる。これにより色調調節が容易となる。また、レンズと別部材で蛍光物質を配置することができるため各用途に応じた部材、形状を選択することができる。
【0040】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子が被覆されており、前記樹脂と、前記レンズとの間には隙間が設けられているものも提供することができる。樹脂とレンズとの接触を防止することができる。接触に伴うレンズの曇りを防止することができるからである。
【0041】
本発明は、リードが配設され一体形成されているパッケージであって、該リードは該パッケージの側面若しくは底面から外側に延びており、かつ、レンズを係止し得る長さを有しているパッケージに関する。これによりレンズを係止し得る長さを持つリードを有するパッケージを提供することができる。
【0042】
本発明は、底面と側面を持つ開口部を上面に有するパッケージであって、該パッケージはリードが配設され一体形成されており、該リードは該パッケージの外側側面若しくは外側底面から外側に延びており、かつ、上面の開口部付近まで延びる長さを有しているパッケージに関する。これにより開口部付近でレンズを係止することができる。また、該開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きく、第1の開口部と第2の開口部との間に段差部が設けられていることが好ましい。これにより、例えば第1の開口部まで樹脂を注入すればよいという樹脂量の調整を容易にすることができる。また、段差部を設けることにより、樹脂の這い上がりを防止することができる。
【0043】
本発明は、側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズをパッケージに配置する工程と、該リードを折り曲げて該レンズを係止する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。これにより接着剤を用いることなくレンズを設けた発光装置を簡易に製造することができる。パッケージは樹脂であることが好ましい。リードの折り曲げによりレンズを係止する際の押圧を分散することができ、レンズの割れを防止することができる。
【0044】
本発明は、側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズを係止し得るように該リードを折り曲げる工程と、該リードと該パッケージとの間に該レンズを配置して係止する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。リードを予め折り曲げておくことにより、レンズの破損を防止することができる。つまり、リードの折り曲げによりレンズを係止する際、押圧によりレンズが破損することがあるためである。また、リードを予め折り曲げておくことにより、より強固にレンズを係止することができる。さらに、折り曲げたリードとパッケージとの間にレンズを嵌め込むため、簡易に発光装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0046】
<第1の実施の形態>
<発光装置>
第1の実施の形態に係る発光装置について図面を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略斜視図である。図2は、その発光装置を示す概略断面斜視図である。図3は、その発光装置を示す概略平面図である。その発光装置を示す概略断面図である。図5は、その発光装置を示す概略側面図である。図6は、その発光装置を示す概略側面図である。図2は、図1のA−A線における概略断面斜視図である。図4は、図3のB−B線における概略断面図である。
【0047】
第1の実施の形態に係る発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置するパッケージ20と、パッケージ20に配設されているリード30と、発光素子10からの光を透過するように配置されるレンズ40とを有する。パッケージ20は底面と側面を持つ開口部を有しており、その開口部の底面には発光素子10が載置されている。パッケージ20は、リード30と一体成型されており開口部の底面はリード30の一部が露出している。そのリード30の露出した底面に発光素子10が実装され、発光素子10が有する電極とリード30とが電気的に接続されている。リード30は、一対の正負の電極であって、一枚の金属板からなる正極が2本のリード電極、一枚の金属板からなる負極が2本のリード電極を持つ。パッケージ20の開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きい。パッケージ20の開口部には、レンズ40が係止されている。レンズ40は、この第2の開口部の開口径に嵌合するほぼ同じ大きさの径を成しており、第1の開口部のところまで挿入されている。レンズ40は、レンズ機能を有する外側に凸状の形状を成す部分と、リード30にて係止される外周部分とを持つ。レンズ40は、リード30とパッケージ20とにより挟み込まれ係止されている。リード30はパッケージ20の外側底面から延びる4本のリード電極であって、その一端でレンズ30の外周部分を押さえ込んでいる。リード30は、発光素子10からの光を遮らないようにレンズ40の外周部分を押さえ込んでいる。パッケージ20の開口部内は、蛍光物質60が含有されている樹脂50により発光素子10が被覆されている。蛍光物質60は、開口部の底面に沈降している。樹脂50は、第1の開口部の上端近くまで投入され硬化されている。この樹脂50と、レンズ40との間には隙間が設けられている。このような構成を有する発光装置は接着剤を必要としないため、硬化不良に伴うパッケージとレンズとの密着性の低下や、接着剤塗布に伴うレンズの曇りなどを考慮することがない。この発光装置は、パッケージ20の外側底面にリード30が露出して配置されるため、外側底面側から電気を流すことができ、実装時のはんだ付けも容易に行うことができる。また、リード30がパッケージ20の外側側面まで延びているため、実装時のはんだの這い上がりを抑制することができる。また、リード30がレンズ40の外周部分を押さえ込んでいるため、発光素子10からの光を遮ることなく外部に光を放出することができる。さらに、レンズ30の実装精度が極めて良好であるため、歩留まりが高く量産性に優れている。
【0048】
以下、各構成部材について詳述していく。
【0049】
<発光素子>
発光素子10は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
【0050】
屋外などの使用を考慮する場合、高輝度な発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体やアルミニウム・インジュウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。
【0051】
窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnOやGaN単結晶等の材料が用いられる。結晶性の良い窒化ガリウムを量産性良く形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。窒化物系化合物半導体を用いた発光素子10例を示す。サファイヤ基板上にGaN、AlN等のバッファー層を形成する。その上にN或いはP型のGaNである第1のコンタクト層、量子効果を有するInGaN薄膜である活性層、P或いはN型のAlGaNであるクラッド層、P或いはN型のGaNである第2のコンタクト層を順に形成した構成とすることができる。窒化ガリウム系化合物半導体は、不純物をドープしない状態でN型導電性を示す。なお、発光効率を向上させる等所望のN型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、N型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。
【0052】
一方、P型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、P型ドーパンドであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化ガリウム系半導体は、P型ドーパントをドープしただけではP型化しにくいためP型ドーパント導入後に、炉による加熱、低電子線照射やプラズマ照射等によりアニールすることでP型化させる必要がある。こうして形成された半導体ウエハーを部分的にエッチングなどさせ正負の各電極を形成させる。その後半導体ウエハーを所望の大きさに切断することによって発光素子を形成させることができる。
【0053】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系及び赤色色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることが出来る。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色系の発光波長が495nmから565nm、青色系の発光波長が430nmから490nmであることが好ましい。本発明の発光装置において白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子を用いることもできる。
【0054】
発光素子10の大きさは□1mmサイズが実装可能で、□600μm、□320μmサイズ等のものも実装可能である。
【0055】
<パッケージ>
パッケージ20は、底面と側面を持つ開口部を有しており、開口部底面から外側に延びるリード30が一体成型されている。この露出部分には発光素子10が載置される。パッケージ20の開口部底面は、リード30の一部が露出して配設されている。また、パッケージ20の外側底面若しくは外側側面もリード30の一部が露出している。パッケージ20の内部から外側にリード30が延びているため、レンズ40を係止する際の強度を向上させることができる。特に、パッケージ20の外側底面若しくは外側側面にリード30が配設されていることから実装しやすい。ただし、平板のように、底面と側面を持つ開口部を持たないパッケージ20を使用することもできる。この場合は、平板のパッケージ20の上面に発光素子10を載置しているため、中空のドーム型のレンズ40を使用することもできる。この時リード30は少なくとも二枚の平板で挟み込む形状を採る。
【0056】
開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きく、第1の開口部と第2の開口部との間に段差部が設けられている。この段差によりレンズ40の高さを調節している。また、この段差部に溝を設けることにより、開口部に配置される樹脂50の盛り上がりや樹脂の這い上がりを防止することができる。また、この溝を設けることにより凸部分が形成され、この凸部分が弾力性を高めるため、レンズ40を係止する際、レンズ40に加わる力を分散させることができ、レンズ40の破損を防止している。また、この弾力性を持たせるため、レンズ40とパッケージ20との接触部分に緩衝部材(図示しない)を設けることもできる。開口部は、レンズ40の大きさに嵌合する大きさが好ましいが、わずかに開口部を拡げレンズ40の取り付けを容易にする大きさとすることもできる。ただし、レンズと開口部との間にはわずかな隙間を設けてレンズの嵌合をし易くしているため、わずかな軸ずれが生じる場合があるが、リードでレンズを係止することで軸ずれを抑制することができる。
【0057】
パッケージ20の外側側面は凹凸等の嵌合部を設け、所定のソケットに差し込む形状とすることもできる。
【0058】
パッケージ20は、所定の金型に溶融した成形樹脂を射出することにより製作される。所定の形状を成すリードフレームを上金型と下金型とで挟み込み、その金型内に溶融した成形樹脂を射出する。パッケージ20をモールド成形等により金型内で成形する場合、金型内部に配置されるリード30のうち、パッケージ20の開口部底面において露出させる部分を金型に密着させ、密着させた部分を除いてリード30を覆うように樹脂を注入することにより、パッケージ20を比較的簡単に形成することができる。また、パッケージ20の底面におけるリード30も露出させておくため、下金型に密着させておき、密着させた部分を除いてリード30を覆うように樹脂を注入する。金型内に射出された溶融成形樹脂は、冷却後金型から取り出される。その後、発光素子10をパッケージ20に実装させた後、若しくは実装前に、リードフレームを切断し、リード30を形成する。その後、リード30がそれぞれ所定の形状に加工され、パッケージ20の開口部上部にレンズ40がリード30により係止される。リード30はレンズ40を係止できる長さを持つ。
【0059】
パッケージ20の材質は、液晶ポリマーやポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂等の絶縁性支持部材を用いることができる。このうち、成型容易かつ安価なことからナイロン、ポリフタルアミドを用いることが好ましい。また、底面と側面を持つ開口部を有するパッケージ20は、発光素子10からの光を効率よく取り出すために開口方向に拡がる傾斜した側面を持つように形成している。レンズ40は、傾斜から外側に延びる直線よりも外側にレンズ機能を有する部分が設けられていることが好ましいため、レンズ40との関係でパッケージ20の開口部の大きさ、傾斜角度等が制限される。パッケージ20にチタン酸バリウムや酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの白色顔料などを混合することによりパッケージ20の表面、特に開口部における底面及び側面の光の反射率を向上させることが好ましい。一方、パッケージ20に暗色の顔料を混入させ、暗色系のパッケージとすることもできる。擬似点灯防止のためである。
【0060】
<リード>
リード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、リード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、リード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を高めるためリード30の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。
【0061】
リード30は、一対の正負の電極である。ただし、レンズ40を係止するためのリード30と、電極として使用されるリード30とを別に設けておくこともできる。
【0062】
レンズ40を係止するためのリード30は、対向するように二以上複数設けることが好ましいが、パッケージ20にレンズ40の抜脱を防止する形状を設けておくことにより一つのリード30でレンズ40を係止することもできる。
【0063】
リード30は、パッケージ20の外側底面若しくは外側側面から外側に向かって配設され、折り曲げてレンズ40を係止することが好ましい。リード30は、パッケージ20と一体成型されているため、折り曲げてレンズ40を係止することができる。折り曲げることにより弾力性が生じレンズ40の係止及び脱着を容易に行うことができる。リード30の先端でレンズ40の外周部分を押さえ込んでいるが、リード30の腹の部分で押さえ込むこともできる。リード30は発光素子10からの光の進行方向上に設けないように配設することが好ましい。リード30の折り曲げは、断面形状においてコの字形になっていることが好ましい。
【0064】
<レンズ>
レンズ40は、パッケージ20に載置された発光素子10からの光を透過するように配置されている。レンズ40は、所定のレンズ効果を持つ半球状のものや、中空のドーム型のものや、フレネルレンズなどを用いることができる。レンズ40は、凸レンズ、フレネルレンズであることが特に好ましい。凸レンズにすることにより集光性を高めること等ができるからである。また、フレネルレンズにすることにより発光装置自体を薄型にすることができるからである。このレンズ40には、塵や埃の侵入を防止するためのレンズ機能を持たない平板ガラスも含む。レンズ40は、集光、拡散などの機能を持つものを用途に合わせて適宜使用することができる。レンズ40は、パッケージ20の開口部に嵌合する大きさを有していることが好ましいが、わずかにレンズ40の方が小さいものも使用することができる。レンズ40は、凸部分と外周部分とを持ち、この外周部分がパッケージ20の開口部に嵌合する。また、この外周部分は、リード30によって押さえ込まれる。
【0065】
レンズ40の材質は特に限定されず透光性であればよいため、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ユリア樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂、ガラスなどを用いることができる。レンズ40には、蛍光物質や拡散剤などを混入することもできる。
【0066】
<樹脂>
樹脂50は、パッケージ20の底面及び側壁の開口部内に配されるものであり外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子10を保護するものである。また、発光素子10からの光を効率よく外部に放出させるためのものである。このような、樹脂50を構成する具体的材料としては、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン、変性エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリアミドなどの耐候性に優れた透明樹脂やガラスなどが好適に用いられる。高密度に発光素子10を配置させた場合は、熱衝撃による導電性ワイヤーの断線などを考慮してエポキシ樹脂、シリコーン樹脂やそれらを組み合わせたものなどを使用することがより好ましい。また、樹脂50中には、視野角をさらに増やすために拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等が好適に用いられる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、発光素子10からの光の少なくとも一部を波長変換させる蛍光物質60を含有させることもできる。
【0067】
(蛍光物質)
蛍光物質60は、発光素子10からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
【0068】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。また、MSi:EuのほかMSi10:Eu、M1.8Si0.2:Eu、M0.9Si0.110:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などもある。
【0069】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0070】
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体には、M(POX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0071】
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体には、MX:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0072】
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl:R、SrAl1425:R、CaAl:R、BaMgAl1627:R、BaMgAl1612:R、BaMgAl1017:R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0073】
アルカリ土類硫化物蛍光体には、LaS:Eu、YS:Eu、GdS:Euなどがある。
【0074】
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、YAl12:Ce、(Y0.8Gd0.2Al12:Ce、Y(Al0.8Ga0.212:Ce、(Y,Gd)(Al,Ga)12の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTbAl12:Ce、LuAl12:Ceなどもある。
【0075】
その他の蛍光体には、ZnS:Eu、ZnGeO:Mn、MGa:Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0076】
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
【0077】
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0078】
これらの蛍光体は、発光素子10の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する蛍光体も使用することができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する発光装置を製造することができる。
【0079】
例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、YAl12:Ce若しくは(Y0.8Gd0.2Al12:Ceの蛍光物質に照射し、波長変換を行う。発光素子10からの光と、蛍光体60からの光との混合色により白色に発光する発光装置を提供することができる。
【0080】
例えば、緑色から黄色に発光するCaSi:Eu、又はSrSi:Euと、蛍光体である青色に発光する(Sr,Ca)(POCl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)Si:Euと、からなる蛍光体60を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する発光装置を提供することができる。これは、色の三源色である赤・青・緑を使用しているため、第1の蛍光体及び第2の蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
【0081】
(その他)
発光装置には、さらに保護素子としてツェナーダイオード11を設けることもできる。ツェナーダイオード11は、発光素子10と離れて開口部の底面のリード30に載置することができる。また、ツェナーダイオード11は、開口部の底面のリード30に載置され、その上に発光素子10を載置する構成を採ることもできる。□280μmサイズの他、□300μmサイズ等も使用することができる。パッケージ20のリード30の配線パターンとツェナーダイオード11とは銀ペーストで接着させている。
【0082】
ワイヤーは、リード30と発光素子10とを電気的に接続するものである。ワイヤーは、発光素子10の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率として0.01cal/(S)(cm)(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(S)(cm)(℃/cm)以上である。発光素子10の直上から、メッキを施した配線パターンのワイヤーボンディングエリアまで、ワイヤーを張り、導通を取っている。
【0083】
パッケージ20の開口部内に、蛍光体60を含有した樹脂50を注入して硬化させている。この樹脂50とレンズ40との間には気体層が設けられている。レンズ40を係止する際に、レンズ40がパッケージ20の開口部内部に押し込まれ樹脂50と接触するのを防止するためである。ただし、樹脂50を開口部内に満たし、レンズ40で被覆することにより空気層を設けない構成とすることもできる。
【0084】
以上の構成を採ることによりリード30によりレンズ40が係止された発光装置を提供することができる。
【0085】
<発光装置の製造方法>
第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図7は、本発明に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0086】
(1)側面及び底面から外側に延びるリード30が配設され一体成型されているパッケージ20を製作する。
【0087】
まず、所定の形状を成すリードフレームを上金型と下金型とで挟み込み、溶融された樹脂を射出する。成型後リードフレームが露出する部分は金型を密着させておく。溶融樹脂射出後、冷却してパッケージ20を製作する。パッケージ20は、底面と側面を持つ開口部を有し、その底面にはリード30が露出している。また、パッケージ20の外側底面及び側面もリード30が露出している。
【0088】
(2)パッケージ20に発光素子10を載置する。
【0089】
パッケージ20の開口部の底面に発光素子10を載置する。パッケージ20の開口部の底面はリード30が露出しており、このリード30の上面に発光素子10を接着させる。発光素子10の電極とこのリード30とを電気的に接続する。これにより正負一対のリード電極30が形成される。この後、所望により蛍光物質60が混入された樹脂50をパッケージ20の開口部に投入し封止する。樹脂50がゲル化若しくは硬化した後、リードフレームから、所定の長さのリード30を切り出す。リード30の長さは、レンズ40を係止するだけの長さがあればよい。ただし、リードフレームからのリード30の切り出しは発光素子10をパッケージ20に実装する前に行っても良い。
【0090】
(3)レンズ40をパッケージ20に配置する。
【0091】
レンズ40は、発光素子10からの光を透過するように配置される。ここでは、パッケージ20の開口部の上方にレンズ40が配置される。レンズ40は、パッケージ20の開口部の径にほぼ相当する大きさを有している。
【0092】
(4)最後に、リード30を折り曲げてレンズ40を係止する。
【0093】
リード30はパッケージ20の上方の角部と下方の角部とで予め少し折り曲げておくことが好ましい。一度にリード30を折り曲げようとすると、折り曲げに要する力により発光素子10と接続されているワイヤーが切断若しくは断線するためである。まだ、先にパッケージ20の上方の角部を折り曲げておくことによりレンズ40に加わる力を少なくすることができる。
【0094】
上記製造工程は、リード30とパッケージ20との間にレンズ40を配置して、リード30で押さえ込んでレンズ40を係止する製造方法であるが、そのほかに、リード30のみでレンズ40を係止することもできる。
【0095】
<他の実施の形態>
第1の実施の形態の他に、種々の形状、大きさ、製造方法によっても本発明を実現することができる。図8乃至図10は、本発明に係る発光装置の概略断面図である。図8乃至図10は、レンズの形状が主として異なるものである。
【0096】
例えば、凸レンズ41を用いた発光装置を提供することができる。凸レンズ41は、集光性を高め、光学特性の制御等が容易である。
【0097】
例えば、フレネルレンズ42を用いた発光装置を提供することができる。フレネルレンズ42にすることにより、レンズの厚さを薄くすることができ、発光装置を薄型にすることができる。これにより薄型が要求される箇所への使用が可能となる。
【0098】
例えば、フレネルレンズ43を用いた発光装置を提供することができる。レンズ43の上面に凹凸がないため埃などの付着を抑制することができる。また、レンズ43の上面に凹凸がないためリード30の押さえ込みを極めて容易に行うことができる。かつ、レンズ43の凸部分がパッケージ20の開口部に嵌合しているため、レンズ43の位置決めが容易かつ取り付けが容易となる。
【0099】
図11乃至図15は、本発明に係る発光装置の概略斜視図である。図11乃至15は、リードの形状が主として異なるものである。
【0100】
例えば、リード31は、正負一対であり、リード31の一部が開口されている。リード31を折り曲げやすくするためである。また、正極の折り曲げを1回で済ますことができる。また、広面積でレンズ40を押さえ込むことができるため、レンズ40の抜脱を効果的に防止することができる。
【0101】
例えば、リード32は、広面積でレンズ40を押さえ込むことができ、かつリード32が細いため折り曲げに要する力を少なくすることができる。
【0102】
例えば、リードは電極として機能する部分とレンズを押さえ込む部分とを分離することもできる。リード33aは、レンズ40を押さえ込んでいる。これに対し、リード33b及びリード33cは正負一対の電極として働く。このように、各機能を分離することによりそれぞれに適した部材を供給することができる。また、発光素子10からの放熱に伴うレンズへの熱伝達を考慮せずに済むため設計が容易となる。このリード33aは、パッケージ20の底面側から配設されているのに対し、リード33c及び33bは、パッケージ20の側面から配設され底面側に折り曲げられている。リード33aとリード33b及び33cとは、パッケージ20内部で接触していない。
【0103】
例えば、一枚のリードフレームを使用して電極として機能する部分と、レンズ40を押さえ込む部分とを分離することができる。リード34aとリード34b、リード34cとは、一枚のリードフレームから構成されており、パッケージ20の側面から端子が張り出している。リード34bとリード34cとは正負一対の電極であり、リード34b側にあるリード34aは同一の電極であり、リード34c側にあるリード34aは同一の電極である。これにより発光素子10が載置されている側のリードの面積を拡げることにより、放熱性を向上させることができる。
【0104】
例えば、レンズ40を押さえ込むリード35aを一つにすることもできる。これはパッケージ20に切り込みを設け、この切り込み部分にレンズ40を嵌め込む。そしてこのレンズ40をリード35aにて押さえ込む。これにより一方向のみの折り曲げでよいため、量産しやすくすることができる。また、リード35b及び35cの正負一対の電極を設けるため従来の電極配置をそのまま利用することができる。
【0105】
図16は、本発明に係る発光装置の概略斜視図であり、図17は、その概略断面図である。
【0106】
例えば、リードフレームを2枚用いた発光装置を製造することもできる。リードフレームを2枚用いることにより同一側面で発光面側と裏面側とにリードを配設することができる。リード36aはレンズ40を押さえ込むためであり、リード36bは電極として働く。リード36aとリード36bとは接触しているため導通している。発光素子10はリード36a及びリード36bに載置されているため放熱性が向上する。発光装置を実装する際、所定の電極とリード36bとを半田にて接合する。この時半田がリード36bを這い上がるが、リード36bとリード36aとの接触部分で這い上がりが防止される。
【0107】
図18は、本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【0108】
例えば、直方体のパッケージ21を用い、青色、緑色、赤色の三原色の発光素子10をそれぞれ1つずつ用いる。この三原色の投入電流を変化させたり、パルス駆動条件等を変化させたりして、色調調整を行うことができる。レンズ44は、上底よりも下底が大きい略四角錐台となっている。このレンズ44は、レンズ部分と外周部分とが形成されており外周部分がリード37により係止されている。レンズ44一般は直線部分を有するため係止しやすく製造しやすい。リード37は、パッケージ21の底面から側面さらに上面にかけてリード37が配設されている。パッケージ21は、底面と側面とを持つ開口部が形成されている。この開口部には樹脂や蛍光体を設けておらず、発光素子10から放出された光は直接レンズ44を透過して外部に放出される。樹脂を設けていないことから樹脂の劣化を考慮しなくてよい。
【0109】
図19は、本発明に係る発光装置の概略正面図であり、図20は、その概略側面図であり、図21は、その概略底面図である。
【0110】
例えば、この発光装置は側面発光型の発光装置である。側面発光型の発光装置は、底面と側面とを持つ開口部の底面から外側にリード130が配設されている。その開口部には、レンズ140がリード130aにより係止されている。レンズ140は、上底が下底よりも小さい四角錐台と外周部とから成っている。その外周部の一辺はパッケージ120の切り込み部分に挿入されており、向かい合う一辺はリード130aにより押さえ込まれている。レンズ140をパッケージ120の切り込み部に挿入しているためリードが発光素子からの光を遮断せず、高出力を維持することができる。発光素子110は、青色、緑色、赤色の三原色のものをそれぞれ1つずつ用いて駆動条件を変えて種々の発光色を実現している。リード130bは、主に電極として機能する側面から下側面に延びる部分と下側面から背面に延びる部分とを持つ。リード130aは、主にレンズ140を係止する。レンズ140は、パッケージ120の平面から突出させているが、パッケージ120の平面とほぼ同一面となるレンズを用いることもできる。
【0111】
図22は、本発明に係る発光装置の概略正面図であり、図23は、その概略側面図である。
【0112】
例えば、この発光装置は側面発光型の発光装置である。側面発光型の発光装置は、底面と側面とを持つ開口部の底面から外側にリード131が配設されている。その開口部には、レンズ141がリード131aにより係止されている。レンズ141は、横方向に広い凸型である。レンズ141は外周部を持ち、互いに向かい合う長辺をリード130aにより押さえ込んでいる。レンズ141をパッケージ121の開口部付近の段差部に嵌め込み、レンズ141で押さえ込んでいるため容易に係止することができる。リード130bは、主に電極として機能する側面から下側面に延びる部分を持つ。
【0113】
図24は、ソケットの概略斜視図である。
【0114】
これらの発光装置を実装する手段として、半田等を用いて所定の位置に実装する以外に、発光装置が嵌合する形状を成すソケットを用いて実装する方法等がある。このソケットは、発光装置のリードと電気的に接続される部分と、発光装置の抜脱を防止するための凹部を持つ。ソケットの凹部(ここでは開口している)に発光装置の凸部が嵌合する。ソケットを用いることにより、発光装置の脱着が極めて容易とすることができる。
【実施例】
【0115】
<実施例1>
実施例1に係る発光装置として、第1の実施の形態に係る発光装置を提供する。図1乃至図6は実施例1に係る発光装置を示す。
【0116】
パッケージ20は、ポリフタルアミドを使用する。パッケージ20の縦5.7mm、横5.7mm、高さ2.9mm(レンズ含む)の大きさを有する。パッケージ20と一体成型されているリード30は、銅合金に銀メッキを施したものを使用する。リード30の厚さは約0.2mmである。パッケージ20の開口部底面に載置される発光素子10は、□600μmを2個と、ツェナーダイオード保護素子を1個搭載する。発光素子10は青色に発光するGaN系の化合物半導体を使用する。発光素子10を被覆する樹脂50はシリコーンを使用する。蛍光物質60は青色光と補色の関係にある黄色に発光するYAG系蛍光体を使用する。樹脂50の中にはYAG系蛍光体が沈降している。レンズ40は、硬質シリコーンを使用する。レンズは凸部と外周部とを持ち、外周部はパッケージ20の底面及び側面から延びるリード30により係止されている。リード30は、パッケージ20の底面及び側面から外部に延びており、パッケージ20の角部において折り曲げられ開口部のレンズ40を係止している。レンズ40をフレネルレンズにすることにより薄型にすることができる。これによりレンズ40の係止が容易な発光装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の発光装置は、携帯電話のフラッシュやバックライト用照明、各種デ−タを表示可能なディスプレイ、ラインセンサ−など各種センサーの光源やインジケータなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る発光装置を示す概略側面図である。
【図7】本発明に係る発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係る発光装置の概略断面図である。
【図9】本発明に係る発光装置の概略断面図である。
【図10】本発明に係る発光装置の概略断面図である。
【図11】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図12】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図13】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図14】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図15】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図16】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図17】本発明に係る発光装置の概略断面図である。
【図18】本発明に係る発光装置の概略斜視図である。
【図19】本発明に係る発光装置の概略正面図である。
【図20】本発明に係る発光装置の概略側面図である。
【図21】本発明に係る発光装置の概略底面図である。
【図22】本発明に係る発光装置の概略正面図である。
【図23】本発明に係る発光装置の概略側面図である。
【図24】ソケットの概略斜視図である。
【図25】従来の発光装置を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
10、110 発光素子
11 保護素子
20、21、120、121 パッケージ
30、31、32、33、34、35、36、130、131 リード
40、41、42、43、44、140、141 レンズ
50、150 樹脂
60、160 蛍光物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、該発光素子を載置するパッケージと、該パッケージに配設されているリードと、該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズと、を有する発光装置であって、該リードにより該レンズが係止されている発光装置。
【請求項2】
前記レンズは、前記リードと前記パッケージとにより挟み込まれ係止されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光装置は、前記レンズと前記パッケージとの接触部分に緩衝部材を設けている請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記底面は前記リードが配設され前記発光素子が載置されており、前記リードは前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に配設されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記側面は開口方向に拡がる傾斜を有しており、前記レンズは、該傾斜から外側に延びる直線よりも外側に前記レンズ機能を有する部分が設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記リードは、一対の正負の電極である請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置は、正負の電極となる一対の前記リードと、レンズをパッケージと挟み込むための少なくとも1つのレンズ押さえのリードとを備えている請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記リードは、前記パッケージの外側底面若しくは外側側面から外側に向かって配設され、折り曲げられて前記レンズが係止されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記レンズは前記開口部に嵌合する大きさを有している請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、該開口部は、開口径が異なる第1の開口部と第2の開口部とを有しており、第2の開口部の開口径は第1の開口部の開口径よりも大きく、第1の開口部と第2の開口部との間に段差部が設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記レンズは凸レンズである請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
前記レンズはフレネルレンズである請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子が被覆されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
前記パッケージは、底面と側面を持つ開口部を有しており、前記開口部内は、蛍光物質が含有されている樹脂により前記発光素子が被覆されており、前記樹脂と、前記レンズとの間には隙間が設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項15】
リードが配設され一体形成されているパッケージであって、該リードは該パッケージの側面若しくは底面から外側に延びており、かつ、レンズを係止し得る長さを有しているパッケージ。
【請求項16】
底面と側面を持つ開口部を上面に有するパッケージであって、該パッケージはリードが配設され一体形成されており、該リードは該パッケージの外側側面若しくは外側底面から外側に延びており、かつ、上面の開口部付近まで延びる長さを有しているパッケージ。
【請求項17】
側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、
該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズをパッケージに配置する工程と、
該リードを折り曲げて該レンズを係止する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項18】
側面若しくは底面から外側に延びるリードが配設され一体成型されているパッケージに、発光素子が載置される工程と、
該発光素子からの光を透過するように配置されるレンズを係止し得るように該リードを折り曲げる工程と、
該リードと該パッケージとの間に該レンズを配置して係止する工程と、
を有する発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−80251(P2006−80251A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261838(P2004−261838)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】