発光装置及びその製造方法
【課題】色むらを緩和できる発光装置の提供。
【解決手段】窒化アルミニウム(AlN)等よりなる配線基板1上に4つのフリップチップ型の青色の発光素子2−1,2−2,2−3,2−4をバンプ3を介して実装してある。発光素子の上面及び側面に波長変換層4が設けられ、この波長変換層上に板状のガラスプレート5が設けられている。配線基板1の周辺にセラミックあるいは樹脂よりなる枠6が設けられ、枠6と発光素子、波長変換層及びガラスプレートとの間に低粘度の青色樹脂層8を設けてある。青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の全部に設けられている。青色樹脂層は青色顔料を混合したシリコーン樹脂よりなる。このシリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れかつ常温において流動性を帯びている、つまり、低粘度である。青色顔料は黄色光の波長を選択的に吸収し、たとえばフタロシアニンよりなる。
【解決手段】窒化アルミニウム(AlN)等よりなる配線基板1上に4つのフリップチップ型の青色の発光素子2−1,2−2,2−3,2−4をバンプ3を介して実装してある。発光素子の上面及び側面に波長変換層4が設けられ、この波長変換層上に板状のガラスプレート5が設けられている。配線基板1の周辺にセラミックあるいは樹脂よりなる枠6が設けられ、枠6と発光素子、波長変換層及びガラスプレートとの間に低粘度の青色樹脂層8を設けてある。青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の全部に設けられている。青色樹脂層は青色顔料を混合したシリコーン樹脂よりなる。このシリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れかつ常温において流動性を帯びている、つまり、低粘度である。青色顔料は黄色光の波長を選択的に吸収し、たとえばフタロシアニンよりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子及び発光素子からの光の一部を異なる波長の光に変換する波長変換層を有する発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子たとえばGaN青色発光ダイオード(LED)素子及び波長変換部材(たとえばYAG蛍光体)を含有した波長変換層(樹脂層)を有し、発光素子からの光の一部を波長変換層によって異なる波長の光に変換し、発光素子からの光と合成して白色光を得る発光装置が知られている。この場合、複数の発光素子を一列に配列して明度を稼いでいる。
【0003】
図17は本願出願人が既に提案した発光装置を示し、(A)は発光面を示す上面図、(B)は断面図である(参照:特許文献1)。
【0004】
図17においては、窒化アルミニウム(AlN)等よりなる配線基板1上に4つのフリップチップ型の青色の発光素子2−1,2−2,2−3,2−4をバンプ3を介して実装してある。また、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面及び側面に波長変換層4が設けられ、この波長変換層4上に板状のガラスプレート5が設けられている。この場合、波長変換層4及びガラスプレート5は矩形をなしている。また、波長変換層4は発光素子2−1、2−4の側面からガラスプレート5の端面に向う傾斜面4aを有する。さらに、配線基板1の周辺にセラミックあるいは樹脂よりなる枠6が設けられ、枠6と発光素子2−1,2−2,2−3,2−4、波長変換層4及びガラスプレート5との間に反射部材としての白色樹脂層7が設けられる。白色樹脂層7はたとえば酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料を含有したシリコーン樹脂よりなる。
【0005】
図17の発光装置において、発光素子1の上面から出射した光は波長変換層4を介してガラスプレート5から出射する。また、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の側面から出射した多くの光も波長変換層4の傾斜面4aに対応する白色樹脂層7の傾斜面もしくは素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bにおいて反射して波長変換層4を介してガラスプレート5から出射する。これにより、光の取り出し効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010−173852号明細書、図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の既に提案した発光装置においては、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の側面から照射され、傾斜面4aまたは湾曲面4bに接している白色樹脂層7によって反射されることでガラスプレート5へ出射される光が波長変換層4内を通る光路長は、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面から照射され白色樹脂層7に反射されることなく直接ガラスプレート5へ出射される光が波長変換層4内を通る光路長よりも長い。たとえば、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面の波長変換層4の厚さを50μm、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の厚さを100μmとすれば、前者の光路長は後者の光路長より100μm程度長い。従って、波長変換層4の蛍光体濃度が均一であれば、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3で励起される蛍光体は素子直上部Zで励起される蛍光体より多くなり、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3が蛍光体の発光色である黄色味を生じ、この結果、発光素子直上の領域の発光とは色むらが生ずるという課題がある。
【0008】
尚、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3に対して素子直上部Zを避けつつ選択的に色度調整の方法として、つまり青色光を吸収せずに黄色光を選択的に吸収する方法として、ガラスプレート5を装着する前に予めガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の位置に対して青色光を吸収する酸化鉄あるいは赤色蛍光体及び赤色顔料を用いた場合には、発光素子の発光色である青色そのものも吸収してしまい、また、酸化鉄あるいは赤色蛍光体及び赤色顔料の位置ずれが生じ、この結果、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3はさらに黄色味を帯びて色むらはかえって増加する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、配線基板と、配線基板上に実装された青色の発光素子と、発光素子の上面及び側面に設けられた波長変換層と、波長変換層上に設けられたガラスプレートと、波長変換層の傾斜面に接して設けられた青色樹脂層とを具備し、波長変換層の傾斜面は発光素子の側面からガラスプレートの端部に向うものである。これにより、発光素子の側面からガラスプレートの縁部での発光の黄色味が青色樹脂層によって選択的に吸収される。
【0010】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、配線基板上に青色の発光素子を実装する発光素子実装工程と、発光素子上に波長変換部材を含有した樹脂をポッティングするポッティング工程と、波長変換部材を含有した樹脂上にガラスプレートを押圧装着して発光素子の上面及び側面に波長変換層を形成するガラスプレート装着工程と、配線基板上の波長変換層の傾斜面に接して青色樹脂層を注入する青色樹脂注入工程とを具備し、波長変換層の傾斜面は発光素子の側面からガラスプレートの端部に向うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガラスプレート縁部の色むらを緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光装置の第1の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】図1の青色樹脂層の青色顔料に用いられるフタロシアニンの吸収光スペクトル及び通常の白色LED素子の発光スペクトルを示す図である。
【図3】図1の発光装置、図17の発光装置及び比較例として青色樹脂層、白色樹脂層もない樹脂なしの発光装置の素子直上部の全面積の色度の平均値に対するガラスプレート縁部、素子間隙部の色度差を示すテーブルである。
【図4】図1の発光装置の変更例を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】図1の発光装置、図17の発光装置及び比較例として青色樹脂層、白色樹脂層もない樹脂なしの発光装置の素子直上部の全面積の色度の平均値に対する素子間隙部の輝度を説明するための図であって、(A)は発光面に対する素子間隙部を示す図、(B)は相対輝度を示すグラフ、(C)は平均相対輝度を示すグラフである。
【図6】本発明に係る発光装置の第2の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る発光装置の第3の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図8】本発明に係る発光装置の第4の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図9】本発明に係る発光装置の第5の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図10】リフレクタタイプ灯具において図6の発光装置、図7の発光装置及び図8の発光装置の配光を水平方向に重ね合わせられた発光面を説明する図である。
【図11】図1の発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図1の発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】本発明に係る発光装置の第6の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図14】図1、図6、図7、図8、図9の発光装置における蛍光体による色むらを説明するための図であり、(A)はガラスプレート縁部の蛍光体を示す断面図、(B)は素子間隙部の蛍光体を示す断面図である。
【図15】本発明に係る発光装置の第7の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図16】本発明に係る発光装置の第8の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図17】本出願人による既に提案した発光装置を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る発光装置の第1の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【0014】
図1においては、図17の白色樹脂層7の代わりに、低粘度の青色樹脂層8を設けてある。この場合、図1の(A)に示すごとく、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4に位置する傾斜面4a及びその直上のガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。
【0015】
青色樹脂層8は比較的濃度の低い青色顔料を混合したシリコーン樹脂よりなる。このシリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れかつ常温において流動性を帯びている。つまり、低粘度である。また、青色顔料は黄色光の波長を選択的に吸収し、たとえばフタロシアニン、Co-Zn-Si系、Co-Si系、バナジウムシリコニウム等よりなる。さらに、反射性を向上させるために青色樹脂層8に酸化チタン、酸化亜鉛等よりなる白色顔料を加えている。以降、青色顔料を含有している樹脂を青色樹脂、顔料は白色顔料のみを含有し青色顔料を含有していない樹脂を白色樹脂とする。
【0016】
次に、青色顔料としてのフタロシアニンを説明する。フタロシアニンの吸収光スペクトルを示す図2(A)に示すように、フタロシアニンは主に550nm以上の波長の光を吸収する。通常、白色光を発射する白色LED素子の発光スペクトルは、図2の(B)に示すように、約400〜800nmの波長を有している。そのうち、青色が約400〜480nmであり、蛍光体に吸収されずに発光素子から出ている光からなり、黄色光の波長範囲は約480〜800nmであり、波長変換層4に含有されている蛍光体からの蛍光からなる。図2の(B)の点線の枠はフタロシアニンの吸収する波長範囲であり、フタロシアニンが発光素子からの青色発光は吸収せずに蛍光体からの黄色光を選択的に吸収することになる。
【0017】
図3は図1の発光装置、比較例として白色樹脂層7を使用した図17の発光装置、傾斜面4a及び湾曲面4bに白色樹脂層7もない樹脂なしの発光装置の素子直上部Zの全面積の色度の平均値に対するガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の色度差を示す。
【0018】
図3に示すように、図1の青色樹脂層8のガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.035は、図17の白色樹脂層7のガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.058及び樹脂なしのガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.068よりも小さく、従って、色むらは緩和されていることが分かる。
【0019】
他方、図3に示すように、図1の青色樹脂層8の素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度の平均値0.081は、図17の白色樹脂層7の素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値0.64及び樹脂なしの素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値0.075より大きな値となったものの大差なく、従って、色むらも大差ない。また、図4に示すごとく、波長変換層4の樹脂の塗布量を減少させれば、湾曲面4bの曲率が大きくなり、図4の素子間隙部Y1、Y2、Y3の青色樹脂層8の素子底面からの湾曲面4bの頂点の高さdが大きくなり、この結果、素子間隙部における波長変換層4と青色樹脂層8との接触面積が増加するので、素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値は小さくなり、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらは緩和されると考えられる。
【0020】
図5は図1の発光装置、比較例として白色樹脂層7を使用した図17の発光装置、傾斜面4a及び湾曲面4bに白色樹脂層7もない樹脂なしの発光装置を使用したときの、素子直上部Zの全面積の色度の平均値に対する素子間隙部Y2の輝度を示す。すなわち、図5の(A)に示すP軸方向の断面輝度を比較した。尚、P軸はその水平線が発光面の中央部0点を通るように設定する。この結果、図5の(B)に示す相対輝度が得られた。尚、図5の(B)の相対輝度は、配線基板1の底面温度が70℃及び各発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の電流が10mAの条件の基で得られた。図5の(B)に示す相対輝度の平均相対輝度を図5の(C)に示すように、白色樹脂層7の場合の平均相対輝度が最も大きく、他方、青色樹脂層8の場合及び樹脂なしの場合の平均相対輝度は小さく同等である。このように、青色樹脂層8を有する図1の発光装置の輝度は樹脂なし発光装置の輝度と同等であるものの、白色樹脂層7を有する図17の発光装置の輝度に及ばない。この理由は青色樹脂層8の青色顔料が黄色光を吸収することによると考えられる。従って、色むらをある程度緩和しつつ、青色樹脂層8を有する図1の発光装置の平均輝度を白色樹脂層7を有する図17の発光装置の平均輝度に近づけた発光装置を図6、図7、図8、図9を参照して説明する。
【0021】
図6は本発明に係る発光装置の第2の実施の形態を示す。図6においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X4においては輝度の向上を優先させている。図6においては、ガラスプレート縁部X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0022】
図7は本発明に係る発光装置の第3の実施の形態を示す。図7においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X3に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2、X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の両端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X3においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2、X4においては輝度の向上を優先させている。図7においては、ガラスプレート縁部X2、X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0023】
図8は本発明に係る発光装置の第4の実施の形態を示す。図8においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X3、X4に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X3、X4においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2においては輝度の向上を優先させている。図8においては、ガラスプレート縁部X2では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0024】
図9は本発明に係る発光装置の第5の実施の形態を示す。図9においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2、X3、X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の両端辺及び長手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2、X3、X4においては輝度の向上を優先させている。図9においては、ガラスプレート縁部X2、X3、X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0025】
従って、図6〜図9に示すように、傾斜面4aに接する樹脂は上面から見たときのその傾斜面が位置するガラスプレート縁部によって、青色樹脂と白色樹脂を選択することが可能である。青色樹脂を選択すれば、そのガラスプレート縁部からの発光は色むらの改善となり、白色樹脂を選択すれば、そのガラスプレート縁部からの発光の輝度の向上となる。
【0026】
図10は、リフレクタタイプ灯具において図6の発光装置、図7の発光装置及び図8の発光装置を長手方向に並べたとき、重ね合わされた配光を説明する図である。この場合、重ね合わされた配光は領域A、B、Cに分けられる。長手方向のガラスプレート端部の発光が重なった領域A、Cにおいては、図6、図7、図8の発光装置はいずれも長手方向のガラスプレート縁部X1、X3の傾斜面4aには共に青色樹脂が接しているため個々の装置からの光は既に色度は改善されたものとなり、重ね合わさったあとも改善された色度で変化はない。他方、領域Bにおいては、素子直上部、短手方向のガラスプレート縁部及び素子間隙部からの発光色度は異なる各光が重なるので色度は平均化される。従って、配列されている発光装置の対向する辺に位置するガラスプレート縁部には白色樹脂を用いており黄色味を帯びた発光となるが、この領域上には素子直上部の光が重なるので、黄色味は緩和される。さらに、白色樹脂層を用いている領域は輝度が向上するので、P軸方向の平均輝度も向上する。つまり、あらかじめ個々の発光装置において発光装置の配列方向にあるガラスプレート縁部の傾斜面4aには青色顔料を適用し、配列される発光装置の対向する辺に位置するガラスプレート縁部には白色樹脂を適用することによって、複数の発光装置が重なり合った全体の発光としては輝度を向上させた上で色むらのないものとすることができる。複数の発光装置を配列させた場合においても配光の方向によって色むらを改善したい方向が決められているなら、発光装置の配列方向においても青色顔料はいずれか一方の領域のみの適用でもよい。たとえば、領域Aの色むらを改善し領域Cでは輝度を優先したいのなら、それぞれの発光装置のガラスプレート縁部X3に位置する傾斜面4aには白色樹脂が接していてもかまわない。このように、ガラスプレート縁部の光の色むらが緩和されることは上述のリフレクタタイプ灯具において有利である。
【0027】
次に、図1の発光装置の製造方法を図11、図12を参照して説明する。
【0028】
始めに、図11の(A)の実装工程を参照すると、配線基板1上に発光素子2−1、2−2、2−3、2−4をバンプ3を介して実装する。
【0029】
次に、図11の(B)のポッティング工程を参照すると、たとえばYAG蛍光体を分散含有したシリコーン樹脂4’をディスペンサ111で適量だけ滴下する。ポッティングされた樹脂は素子上面で表面張力を保ったままの状態となる。
【0030】
次に、図11の(C)のガラスプレート装着工程を参照すると、ガラスプレート5をコレットチャック112を用いて未硬化のシリコーン樹脂4’上にゆっくり接近させて押圧装着する。この結果、シリコーン樹脂4’はガラスプレート5の下面に濡れ拡がると共に、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の上面及び側面に濡れ拡がる。このとき、ガラスプレート5の縁部において、シリコーン樹脂4’がガラスプレート5の下面と発光素子の側面とを接続する傾斜面4aを、また、同時に、素子間隙部において、メニスカス形状の湾曲面4bが形成されるように、シリコーン樹脂4’の表面張力は保たせたままガラスプレートは装着される。ガラスプレート装着工程は、ガラスプレート5がシリコーン樹脂4’の一部に接した段階でコレットチャック112をはずしガラスプレート5の自重によりシリコーン樹脂4’を濡れ拡げることで行ってもよい。
【0031】
次に、図12の(A)の枠装着工程を参照すると、配線基板1の上面外周に枠6を接着剤を用いて装着する。
【0032】
次に、図12の(B)の青色樹脂注入工程を参照すると、青色樹脂をディスペンサ113で、枠6と発光素子2−1、2−4、波長変換層4及びガラスプレート5との間に注入する。この結果、青色樹脂はガラスプレート5の縁部の下に充填され、傾斜面4a及びガラスプレート5の側面を覆う。また同時に、青色樹脂は上述のごとく、低粘度であるので、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の下部のバンプ3の周囲及び発光素子2−1、2−2、2−3、2−4間の素子間隙部の湾曲面4bにも密着するように充填される。青色樹脂を硬化処理により硬化すると、青色樹脂層8が形成される。
【0033】
尚、図6、図7、図8、図9の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程の前に、白色樹脂層7を注入する白色樹脂注入工程を設ける。白色樹脂注入工程は白色樹脂を設けたいガラスプレート縁部にある傾斜面4aに沿って白色樹脂を充填することで行われる。この場合、白色樹脂注入工程に用いる白色樹脂は、硬化前であっても濡れ広がらないような高粘度のものを使用する。従って、所定のガラスプレート縁部の下のみに充填されるが、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の下部及び素子間隙部の下部には充填されない。
【0034】
図13は本発明に係る発光装置の第6の実施の形態を示す。短手方向の両端辺のガラスプレート縁部X2、X4において傾斜面4aには青色樹脂層が接し、ガラスプレート5側面には白色樹脂が接している。図13においては、青色樹脂層8’は図1、図6、図7、図8、図9の低粘度の青色樹脂層8と異なり、高粘度であり、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4に設けられている。また、白色樹脂層7はガラスプレート5の側面に密着するように設けられている。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらの緩和とガラスプレート5の側面の反射効果が得られる。
【0035】
尚、図13の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、高粘度の青色樹脂を注入して硬化させる。青色樹脂注入工程は青色樹脂を設けたい領域にある傾斜面4aに沿って青色樹脂を充填することで行われる。さらに、この青色樹脂注入工程の後に、白色樹脂層7を注入する白色樹脂注入工程を設け、青色樹脂層8’上に白色樹脂をガラスプレート5の側面を覆うまで注入して硬化させる。この場合の白色樹脂層7は低粘度の樹脂を使用する。白色樹脂注入工程では、白色樹脂は素子下面のバンプ周りと素子間隙にまで注入される。さらに青色樹脂層8が設けられていなかったガラスプレート縁部X1、X3においては傾斜面4a及びガラスプレート側面を両方とも白色樹脂が覆う。図13においては、ガラスプレート縁部X2、X4としたが、傾斜面4aには青色樹脂層が接し、その上方のガラスプレート5側面には白色樹脂が接するようにするガラスプレート縁部の組合せはどのようなものでも良く、2辺だけのみならず1辺のみまたは3辺としても良い。ただし、高粘度の樹脂で4方向を囲むと低粘度の樹脂が素子下面のバンプの周辺及び素子間隙に入り込まないため4方向には適用しない。必ず1辺以上は低粘度の樹脂が進入する隙間となるよう開放する。
【0036】
上述の第1〜第6の実施の形態においては、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色むらは緩和されているが、素子間隙部Y1、Y2、Y3における色むらは緩和されていない。この理由は、図14の(A)の黒丸で示すごとく、ガラスプレート縁部の波長変換層4の蛍光体は三角断面状に分布し、他方、図14の(B)の黒丸で示すごとく、素子間隙部の蛍光体は四角断面状に分布し、この結果、素子間隙部の方が蛍光体含有量が多くなるためである。
【0037】
図15は本発明に係る発光装置の第7の実施の形態を示す。図15においては、高濃度青色樹脂層8a及び低濃度青色樹脂層8bが設けられている。この場合、高濃度青色樹脂層8aは低粘度であるが、低濃度青色樹脂層8bは低粘度でも高粘度でもよい。尚、青色樹脂層の高濃度、低濃度は青色顔料たとえばフタロシアニンの濃度で決定される。
【0038】
低粘度の高濃度青色樹脂層8aは、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4のバンプ3の周囲及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bに接するように形成され、これにより、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらを緩和する。
【0039】
低濃度青色樹脂層8bは、高濃度青色樹脂層8a上の波長変換層4の傾斜面及びガラスプレート5の側面に形成される。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらを緩和する。
【0040】
このようにして、図15においては、ガラスプレート縁部の色むらと素子間隙部の色むらを同時に緩和できる。
【0041】
尚、図15の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、始めに、低粘度の高濃度青色樹脂を、素子下面のバンプ周囲及び素子間隙の湾曲面4bに接し、かつ傾斜面4aは開放するように注入して硬化させ、高濃度青色樹脂層8aを形成する。次いで、低濃度青色樹脂を傾斜面4aと接するように注入して硬化させ、低濃度青色樹脂層8bを形成する。
【0042】
図16は本発明に係る発光装置の第8の実施の形態を示す。図16においては、図15における高濃度青色樹脂層8aを設け、低濃度青色樹脂層8bの代りに高粘度の低濃度青色樹脂層8b’を設け、さらに、図13の白色樹脂層7が設けられている。
【0043】
低粘度の高濃度青色樹脂層8aは、図15の場合と同様に、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4のバンプ3の周囲及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bに接するように形成され、これにより、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらを緩和する。
【0044】
低濃度青色樹脂層8b’は、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の下部の波長変換層4の傾斜面4aに形成される。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらを緩和する。尚、第8の実施の形態においては、第6の実施の形態とは異なり、はじめに素子下面及び素子間隙に樹脂を注入しているため低濃度の青色樹脂をガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の4方向に設けてかまわない。
【0045】
また、白色樹脂層7はガラスプレート5の側面及び低濃度青色樹脂層8bの側面と枠6との間に設けられ、ガラスプレート5の側面の反射効果が得られる。
【0046】
このようにして、図16においても、ガラスプレート縁部の色むらと素子間隙部の色むらを同時に緩和できると共に、ガラスプレート5の側面の反射効果も奏することができる。
【0047】
尚、図16の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、始めに、低粘度の高濃度青色樹脂を注入して硬化させ、高濃度青色樹脂層8aを形成する。次いで、高粘度の低濃度青色樹脂を注入して硬化させ、低濃度青色樹脂層8b’を形成する。さらに、この青色樹脂注入工程の後に、白色樹脂注入工程を設け、枠6とガラスプレート5の側面及び低濃度青色樹脂層8b’の側面との間に白色樹脂層7を注入して硬化させる。この場合、白色樹脂層7は高粘度でも低粘度でもよい。
【0048】
尚、上述の第1から6の実施の形態においては、複数の発光素子を設けているが、本発明は1つの発光素子にも適用し得る。この場合には、ガラスプレート縁部のみの色むらが緩和される。また、波長変換層4の蛍光体濃度は、均一であっても、下方が大きくてもよい。また、ガラスプレート5はガラスでなくとも板状の光学部材で、発光素子からの光と波長変換層で変換された光が透過することができる材料であればよい。
【符号の説明】
【0049】
1:配線基板
2−1、2−2、2−3、2−4:発光素子
3:バンプ
4:波長変換層
4a:傾斜面
4b:湾曲面
5:ガラスプレート
6:枠
7:白色樹脂層
8:低粘度の青色樹脂層
8’:高粘度の青色樹脂層
8a:低粘度の高濃度青色樹脂層
8b:低濃度青色樹脂層
8b’:高粘度の低濃度青色樹脂層
X1、X2、X3、X4:ガラスプレート縁部
Y1、Y2、Y3:素子間隙部
Z:素子直上部
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子及び発光素子からの光の一部を異なる波長の光に変換する波長変換層を有する発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子たとえばGaN青色発光ダイオード(LED)素子及び波長変換部材(たとえばYAG蛍光体)を含有した波長変換層(樹脂層)を有し、発光素子からの光の一部を波長変換層によって異なる波長の光に変換し、発光素子からの光と合成して白色光を得る発光装置が知られている。この場合、複数の発光素子を一列に配列して明度を稼いでいる。
【0003】
図17は本願出願人が既に提案した発光装置を示し、(A)は発光面を示す上面図、(B)は断面図である(参照:特許文献1)。
【0004】
図17においては、窒化アルミニウム(AlN)等よりなる配線基板1上に4つのフリップチップ型の青色の発光素子2−1,2−2,2−3,2−4をバンプ3を介して実装してある。また、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面及び側面に波長変換層4が設けられ、この波長変換層4上に板状のガラスプレート5が設けられている。この場合、波長変換層4及びガラスプレート5は矩形をなしている。また、波長変換層4は発光素子2−1、2−4の側面からガラスプレート5の端面に向う傾斜面4aを有する。さらに、配線基板1の周辺にセラミックあるいは樹脂よりなる枠6が設けられ、枠6と発光素子2−1,2−2,2−3,2−4、波長変換層4及びガラスプレート5との間に反射部材としての白色樹脂層7が設けられる。白色樹脂層7はたとえば酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料を含有したシリコーン樹脂よりなる。
【0005】
図17の発光装置において、発光素子1の上面から出射した光は波長変換層4を介してガラスプレート5から出射する。また、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の側面から出射した多くの光も波長変換層4の傾斜面4aに対応する白色樹脂層7の傾斜面もしくは素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bにおいて反射して波長変換層4を介してガラスプレート5から出射する。これにより、光の取り出し効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010−173852号明細書、図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の既に提案した発光装置においては、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の側面から照射され、傾斜面4aまたは湾曲面4bに接している白色樹脂層7によって反射されることでガラスプレート5へ出射される光が波長変換層4内を通る光路長は、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面から照射され白色樹脂層7に反射されることなく直接ガラスプレート5へ出射される光が波長変換層4内を通る光路長よりも長い。たとえば、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の上面の波長変換層4の厚さを50μm、発光素子2−1,2−2,2−3,2−4の厚さを100μmとすれば、前者の光路長は後者の光路長より100μm程度長い。従って、波長変換層4の蛍光体濃度が均一であれば、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3で励起される蛍光体は素子直上部Zで励起される蛍光体より多くなり、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3が蛍光体の発光色である黄色味を生じ、この結果、発光素子直上の領域の発光とは色むらが生ずるという課題がある。
【0008】
尚、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3に対して素子直上部Zを避けつつ選択的に色度調整の方法として、つまり青色光を吸収せずに黄色光を選択的に吸収する方法として、ガラスプレート5を装着する前に予めガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の位置に対して青色光を吸収する酸化鉄あるいは赤色蛍光体及び赤色顔料を用いた場合には、発光素子の発光色である青色そのものも吸収してしまい、また、酸化鉄あるいは赤色蛍光体及び赤色顔料の位置ずれが生じ、この結果、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3はさらに黄色味を帯びて色むらはかえって増加する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、配線基板と、配線基板上に実装された青色の発光素子と、発光素子の上面及び側面に設けられた波長変換層と、波長変換層上に設けられたガラスプレートと、波長変換層の傾斜面に接して設けられた青色樹脂層とを具備し、波長変換層の傾斜面は発光素子の側面からガラスプレートの端部に向うものである。これにより、発光素子の側面からガラスプレートの縁部での発光の黄色味が青色樹脂層によって選択的に吸収される。
【0010】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、配線基板上に青色の発光素子を実装する発光素子実装工程と、発光素子上に波長変換部材を含有した樹脂をポッティングするポッティング工程と、波長変換部材を含有した樹脂上にガラスプレートを押圧装着して発光素子の上面及び側面に波長変換層を形成するガラスプレート装着工程と、配線基板上の波長変換層の傾斜面に接して青色樹脂層を注入する青色樹脂注入工程とを具備し、波長変換層の傾斜面は発光素子の側面からガラスプレートの端部に向うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガラスプレート縁部の色むらを緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光装置の第1の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】図1の青色樹脂層の青色顔料に用いられるフタロシアニンの吸収光スペクトル及び通常の白色LED素子の発光スペクトルを示す図である。
【図3】図1の発光装置、図17の発光装置及び比較例として青色樹脂層、白色樹脂層もない樹脂なしの発光装置の素子直上部の全面積の色度の平均値に対するガラスプレート縁部、素子間隙部の色度差を示すテーブルである。
【図4】図1の発光装置の変更例を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】図1の発光装置、図17の発光装置及び比較例として青色樹脂層、白色樹脂層もない樹脂なしの発光装置の素子直上部の全面積の色度の平均値に対する素子間隙部の輝度を説明するための図であって、(A)は発光面に対する素子間隙部を示す図、(B)は相対輝度を示すグラフ、(C)は平均相対輝度を示すグラフである。
【図6】本発明に係る発光装置の第2の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る発光装置の第3の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図8】本発明に係る発光装置の第4の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図9】本発明に係る発光装置の第5の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図10】リフレクタタイプ灯具において図6の発光装置、図7の発光装置及び図8の発光装置の配光を水平方向に重ね合わせられた発光面を説明する図である。
【図11】図1の発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図1の発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】本発明に係る発光装置の第6の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図14】図1、図6、図7、図8、図9の発光装置における蛍光体による色むらを説明するための図であり、(A)はガラスプレート縁部の蛍光体を示す断面図、(B)は素子間隙部の蛍光体を示す断面図である。
【図15】本発明に係る発光装置の第7の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図16】本発明に係る発光装置の第8の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図17】本出願人による既に提案した発光装置を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る発光装置の第1の実施の形態を示す図であり、(A)は発光面を示す上面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【0014】
図1においては、図17の白色樹脂層7の代わりに、低粘度の青色樹脂層8を設けてある。この場合、図1の(A)に示すごとく、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4に位置する傾斜面4a及びその直上のガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。
【0015】
青色樹脂層8は比較的濃度の低い青色顔料を混合したシリコーン樹脂よりなる。このシリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れかつ常温において流動性を帯びている。つまり、低粘度である。また、青色顔料は黄色光の波長を選択的に吸収し、たとえばフタロシアニン、Co-Zn-Si系、Co-Si系、バナジウムシリコニウム等よりなる。さらに、反射性を向上させるために青色樹脂層8に酸化チタン、酸化亜鉛等よりなる白色顔料を加えている。以降、青色顔料を含有している樹脂を青色樹脂、顔料は白色顔料のみを含有し青色顔料を含有していない樹脂を白色樹脂とする。
【0016】
次に、青色顔料としてのフタロシアニンを説明する。フタロシアニンの吸収光スペクトルを示す図2(A)に示すように、フタロシアニンは主に550nm以上の波長の光を吸収する。通常、白色光を発射する白色LED素子の発光スペクトルは、図2の(B)に示すように、約400〜800nmの波長を有している。そのうち、青色が約400〜480nmであり、蛍光体に吸収されずに発光素子から出ている光からなり、黄色光の波長範囲は約480〜800nmであり、波長変換層4に含有されている蛍光体からの蛍光からなる。図2の(B)の点線の枠はフタロシアニンの吸収する波長範囲であり、フタロシアニンが発光素子からの青色発光は吸収せずに蛍光体からの黄色光を選択的に吸収することになる。
【0017】
図3は図1の発光装置、比較例として白色樹脂層7を使用した図17の発光装置、傾斜面4a及び湾曲面4bに白色樹脂層7もない樹脂なしの発光装置の素子直上部Zの全面積の色度の平均値に対するガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の色度差を示す。
【0018】
図3に示すように、図1の青色樹脂層8のガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.035は、図17の白色樹脂層7のガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.058及び樹脂なしのガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色度差の平均値0.068よりも小さく、従って、色むらは緩和されていることが分かる。
【0019】
他方、図3に示すように、図1の青色樹脂層8の素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度の平均値0.081は、図17の白色樹脂層7の素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値0.64及び樹脂なしの素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値0.075より大きな値となったものの大差なく、従って、色むらも大差ない。また、図4に示すごとく、波長変換層4の樹脂の塗布量を減少させれば、湾曲面4bの曲率が大きくなり、図4の素子間隙部Y1、Y2、Y3の青色樹脂層8の素子底面からの湾曲面4bの頂点の高さdが大きくなり、この結果、素子間隙部における波長変換層4と青色樹脂層8との接触面積が増加するので、素子間隙部Y1、Y2、Y3における色度差の平均値は小さくなり、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらは緩和されると考えられる。
【0020】
図5は図1の発光装置、比較例として白色樹脂層7を使用した図17の発光装置、傾斜面4a及び湾曲面4bに白色樹脂層7もない樹脂なしの発光装置を使用したときの、素子直上部Zの全面積の色度の平均値に対する素子間隙部Y2の輝度を示す。すなわち、図5の(A)に示すP軸方向の断面輝度を比較した。尚、P軸はその水平線が発光面の中央部0点を通るように設定する。この結果、図5の(B)に示す相対輝度が得られた。尚、図5の(B)の相対輝度は、配線基板1の底面温度が70℃及び各発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の電流が10mAの条件の基で得られた。図5の(B)に示す相対輝度の平均相対輝度を図5の(C)に示すように、白色樹脂層7の場合の平均相対輝度が最も大きく、他方、青色樹脂層8の場合及び樹脂なしの場合の平均相対輝度は小さく同等である。このように、青色樹脂層8を有する図1の発光装置の輝度は樹脂なし発光装置の輝度と同等であるものの、白色樹脂層7を有する図17の発光装置の輝度に及ばない。この理由は青色樹脂層8の青色顔料が黄色光を吸収することによると考えられる。従って、色むらをある程度緩和しつつ、青色樹脂層8を有する図1の発光装置の平均輝度を白色樹脂層7を有する図17の発光装置の平均輝度に近づけた発光装置を図6、図7、図8、図9を参照して説明する。
【0021】
図6は本発明に係る発光装置の第2の実施の形態を示す。図6においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X2、X3に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X4においては輝度の向上を優先させている。図6においては、ガラスプレート縁部X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0022】
図7は本発明に係る発光装置の第3の実施の形態を示す。図7においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X3に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2、X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の両端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X3においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2、X4においては輝度の向上を優先させている。図7においては、ガラスプレート縁部X2、X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0023】
図8は本発明に係る発光装置の第4の実施の形態を示す。図8においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1、X3、X4に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1、X3、X4においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2においては輝度の向上を優先させている。図8においては、ガラスプレート縁部X2では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0024】
図9は本発明に係る発光装置の第5の実施の形態を示す。図9においては、青色樹脂層8はガラスプレート縁部X1に位置する傾斜面4a及びガラスプレート側面に接するように、また、素子間隙部Y1、Y2、Y3に位置する湾曲面4bに接するように設けられている。他方、ガラスプレート縁部X2、X3、X4に位置する傾斜面4aには白色樹脂層7を接するように設けてある。つまり、長方形の矩形である波長変換層4の短手方向の両端辺及び長手方向の一端辺に白色樹脂層7を設けることにより、ガラスプレート縁部X1においては色むらの緩和を優先し、ガラスプレート縁部X2、X3、X4においては輝度の向上を優先させている。図9においては、ガラスプレート縁部X2、X3、X4では傾斜面4aを白色樹脂で覆い、ガラスプレート側面は青色樹脂で覆ったが、白色樹脂をガラスプレート上面の高さまで設け、ガラスプレート側面まで覆わせてもよい。
【0025】
従って、図6〜図9に示すように、傾斜面4aに接する樹脂は上面から見たときのその傾斜面が位置するガラスプレート縁部によって、青色樹脂と白色樹脂を選択することが可能である。青色樹脂を選択すれば、そのガラスプレート縁部からの発光は色むらの改善となり、白色樹脂を選択すれば、そのガラスプレート縁部からの発光の輝度の向上となる。
【0026】
図10は、リフレクタタイプ灯具において図6の発光装置、図7の発光装置及び図8の発光装置を長手方向に並べたとき、重ね合わされた配光を説明する図である。この場合、重ね合わされた配光は領域A、B、Cに分けられる。長手方向のガラスプレート端部の発光が重なった領域A、Cにおいては、図6、図7、図8の発光装置はいずれも長手方向のガラスプレート縁部X1、X3の傾斜面4aには共に青色樹脂が接しているため個々の装置からの光は既に色度は改善されたものとなり、重ね合わさったあとも改善された色度で変化はない。他方、領域Bにおいては、素子直上部、短手方向のガラスプレート縁部及び素子間隙部からの発光色度は異なる各光が重なるので色度は平均化される。従って、配列されている発光装置の対向する辺に位置するガラスプレート縁部には白色樹脂を用いており黄色味を帯びた発光となるが、この領域上には素子直上部の光が重なるので、黄色味は緩和される。さらに、白色樹脂層を用いている領域は輝度が向上するので、P軸方向の平均輝度も向上する。つまり、あらかじめ個々の発光装置において発光装置の配列方向にあるガラスプレート縁部の傾斜面4aには青色顔料を適用し、配列される発光装置の対向する辺に位置するガラスプレート縁部には白色樹脂を適用することによって、複数の発光装置が重なり合った全体の発光としては輝度を向上させた上で色むらのないものとすることができる。複数の発光装置を配列させた場合においても配光の方向によって色むらを改善したい方向が決められているなら、発光装置の配列方向においても青色顔料はいずれか一方の領域のみの適用でもよい。たとえば、領域Aの色むらを改善し領域Cでは輝度を優先したいのなら、それぞれの発光装置のガラスプレート縁部X3に位置する傾斜面4aには白色樹脂が接していてもかまわない。このように、ガラスプレート縁部の光の色むらが緩和されることは上述のリフレクタタイプ灯具において有利である。
【0027】
次に、図1の発光装置の製造方法を図11、図12を参照して説明する。
【0028】
始めに、図11の(A)の実装工程を参照すると、配線基板1上に発光素子2−1、2−2、2−3、2−4をバンプ3を介して実装する。
【0029】
次に、図11の(B)のポッティング工程を参照すると、たとえばYAG蛍光体を分散含有したシリコーン樹脂4’をディスペンサ111で適量だけ滴下する。ポッティングされた樹脂は素子上面で表面張力を保ったままの状態となる。
【0030】
次に、図11の(C)のガラスプレート装着工程を参照すると、ガラスプレート5をコレットチャック112を用いて未硬化のシリコーン樹脂4’上にゆっくり接近させて押圧装着する。この結果、シリコーン樹脂4’はガラスプレート5の下面に濡れ拡がると共に、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の上面及び側面に濡れ拡がる。このとき、ガラスプレート5の縁部において、シリコーン樹脂4’がガラスプレート5の下面と発光素子の側面とを接続する傾斜面4aを、また、同時に、素子間隙部において、メニスカス形状の湾曲面4bが形成されるように、シリコーン樹脂4’の表面張力は保たせたままガラスプレートは装着される。ガラスプレート装着工程は、ガラスプレート5がシリコーン樹脂4’の一部に接した段階でコレットチャック112をはずしガラスプレート5の自重によりシリコーン樹脂4’を濡れ拡げることで行ってもよい。
【0031】
次に、図12の(A)の枠装着工程を参照すると、配線基板1の上面外周に枠6を接着剤を用いて装着する。
【0032】
次に、図12の(B)の青色樹脂注入工程を参照すると、青色樹脂をディスペンサ113で、枠6と発光素子2−1、2−4、波長変換層4及びガラスプレート5との間に注入する。この結果、青色樹脂はガラスプレート5の縁部の下に充填され、傾斜面4a及びガラスプレート5の側面を覆う。また同時に、青色樹脂は上述のごとく、低粘度であるので、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の下部のバンプ3の周囲及び発光素子2−1、2−2、2−3、2−4間の素子間隙部の湾曲面4bにも密着するように充填される。青色樹脂を硬化処理により硬化すると、青色樹脂層8が形成される。
【0033】
尚、図6、図7、図8、図9の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程の前に、白色樹脂層7を注入する白色樹脂注入工程を設ける。白色樹脂注入工程は白色樹脂を設けたいガラスプレート縁部にある傾斜面4aに沿って白色樹脂を充填することで行われる。この場合、白色樹脂注入工程に用いる白色樹脂は、硬化前であっても濡れ広がらないような高粘度のものを使用する。従って、所定のガラスプレート縁部の下のみに充填されるが、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4の下部及び素子間隙部の下部には充填されない。
【0034】
図13は本発明に係る発光装置の第6の実施の形態を示す。短手方向の両端辺のガラスプレート縁部X2、X4において傾斜面4aには青色樹脂層が接し、ガラスプレート5側面には白色樹脂が接している。図13においては、青色樹脂層8’は図1、図6、図7、図8、図9の低粘度の青色樹脂層8と異なり、高粘度であり、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4に設けられている。また、白色樹脂層7はガラスプレート5の側面に密着するように設けられている。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらの緩和とガラスプレート5の側面の反射効果が得られる。
【0035】
尚、図13の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、高粘度の青色樹脂を注入して硬化させる。青色樹脂注入工程は青色樹脂を設けたい領域にある傾斜面4aに沿って青色樹脂を充填することで行われる。さらに、この青色樹脂注入工程の後に、白色樹脂層7を注入する白色樹脂注入工程を設け、青色樹脂層8’上に白色樹脂をガラスプレート5の側面を覆うまで注入して硬化させる。この場合の白色樹脂層7は低粘度の樹脂を使用する。白色樹脂注入工程では、白色樹脂は素子下面のバンプ周りと素子間隙にまで注入される。さらに青色樹脂層8が設けられていなかったガラスプレート縁部X1、X3においては傾斜面4a及びガラスプレート側面を両方とも白色樹脂が覆う。図13においては、ガラスプレート縁部X2、X4としたが、傾斜面4aには青色樹脂層が接し、その上方のガラスプレート5側面には白色樹脂が接するようにするガラスプレート縁部の組合せはどのようなものでも良く、2辺だけのみならず1辺のみまたは3辺としても良い。ただし、高粘度の樹脂で4方向を囲むと低粘度の樹脂が素子下面のバンプの周辺及び素子間隙に入り込まないため4方向には適用しない。必ず1辺以上は低粘度の樹脂が進入する隙間となるよう開放する。
【0036】
上述の第1〜第6の実施の形態においては、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4における色むらは緩和されているが、素子間隙部Y1、Y2、Y3における色むらは緩和されていない。この理由は、図14の(A)の黒丸で示すごとく、ガラスプレート縁部の波長変換層4の蛍光体は三角断面状に分布し、他方、図14の(B)の黒丸で示すごとく、素子間隙部の蛍光体は四角断面状に分布し、この結果、素子間隙部の方が蛍光体含有量が多くなるためである。
【0037】
図15は本発明に係る発光装置の第7の実施の形態を示す。図15においては、高濃度青色樹脂層8a及び低濃度青色樹脂層8bが設けられている。この場合、高濃度青色樹脂層8aは低粘度であるが、低濃度青色樹脂層8bは低粘度でも高粘度でもよい。尚、青色樹脂層の高濃度、低濃度は青色顔料たとえばフタロシアニンの濃度で決定される。
【0038】
低粘度の高濃度青色樹脂層8aは、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4のバンプ3の周囲及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bに接するように形成され、これにより、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらを緩和する。
【0039】
低濃度青色樹脂層8bは、高濃度青色樹脂層8a上の波長変換層4の傾斜面及びガラスプレート5の側面に形成される。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらを緩和する。
【0040】
このようにして、図15においては、ガラスプレート縁部の色むらと素子間隙部の色むらを同時に緩和できる。
【0041】
尚、図15の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、始めに、低粘度の高濃度青色樹脂を、素子下面のバンプ周囲及び素子間隙の湾曲面4bに接し、かつ傾斜面4aは開放するように注入して硬化させ、高濃度青色樹脂層8aを形成する。次いで、低濃度青色樹脂を傾斜面4aと接するように注入して硬化させ、低濃度青色樹脂層8bを形成する。
【0042】
図16は本発明に係る発光装置の第8の実施の形態を示す。図16においては、図15における高濃度青色樹脂層8aを設け、低濃度青色樹脂層8bの代りに高粘度の低濃度青色樹脂層8b’を設け、さらに、図13の白色樹脂層7が設けられている。
【0043】
低粘度の高濃度青色樹脂層8aは、図15の場合と同様に、発光素子2−1、2−2、2−3、2−4のバンプ3の周囲及び素子間隙部Y1、Y2、Y3の湾曲面4bに接するように形成され、これにより、素子間隙部Y1、Y2、Y3の色むらを緩和する。
【0044】
低濃度青色樹脂層8b’は、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の下部の波長変換層4の傾斜面4aに形成される。これにより、ガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の色むらを緩和する。尚、第8の実施の形態においては、第6の実施の形態とは異なり、はじめに素子下面及び素子間隙に樹脂を注入しているため低濃度の青色樹脂をガラスプレート縁部X1、X2、X3、X4の4方向に設けてかまわない。
【0045】
また、白色樹脂層7はガラスプレート5の側面及び低濃度青色樹脂層8bの側面と枠6との間に設けられ、ガラスプレート5の側面の反射効果が得られる。
【0046】
このようにして、図16においても、ガラスプレート縁部の色むらと素子間隙部の色むらを同時に緩和できると共に、ガラスプレート5の側面の反射効果も奏することができる。
【0047】
尚、図16の発光装置を製造する際には、図12の(B)の青色樹脂注入工程において、始めに、低粘度の高濃度青色樹脂を注入して硬化させ、高濃度青色樹脂層8aを形成する。次いで、高粘度の低濃度青色樹脂を注入して硬化させ、低濃度青色樹脂層8b’を形成する。さらに、この青色樹脂注入工程の後に、白色樹脂注入工程を設け、枠6とガラスプレート5の側面及び低濃度青色樹脂層8b’の側面との間に白色樹脂層7を注入して硬化させる。この場合、白色樹脂層7は高粘度でも低粘度でもよい。
【0048】
尚、上述の第1から6の実施の形態においては、複数の発光素子を設けているが、本発明は1つの発光素子にも適用し得る。この場合には、ガラスプレート縁部のみの色むらが緩和される。また、波長変換層4の蛍光体濃度は、均一であっても、下方が大きくてもよい。また、ガラスプレート5はガラスでなくとも板状の光学部材で、発光素子からの光と波長変換層で変換された光が透過することができる材料であればよい。
【符号の説明】
【0049】
1:配線基板
2−1、2−2、2−3、2−4:発光素子
3:バンプ
4:波長変換層
4a:傾斜面
4b:湾曲面
5:ガラスプレート
6:枠
7:白色樹脂層
8:低粘度の青色樹脂層
8’:高粘度の青色樹脂層
8a:低粘度の高濃度青色樹脂層
8b:低濃度青色樹脂層
8b’:高粘度の低濃度青色樹脂層
X1、X2、X3、X4:ガラスプレート縁部
Y1、Y2、Y3:素子間隙部
Z:素子直上部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
該配線基板上に実装された青色の発光素子と、
該発光素子の上面及び側面に設けられた波長変換層と、
該波長変換層上に設けられた板状光学部材と
を具備し、
該波長変換層は該発光素子側面と該板状光学部材を結ぶ傾斜面を形成し、さらに、前記傾斜面に接して設けられた青色樹脂層を有する発光装置。
【請求項2】
前記波長変換層が上面から見て4辺の前記傾斜面を形成する矩形をなし、
前記波長変換層の前記傾斜面の少なくとも一辺に接して設けられている白色樹脂層をさらに具備し、
前記青色樹脂層は前記傾斜面の他の辺に接して設けられることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
さらに、前記青色樹脂層上方の前記板状光学部材の側面に接して設けられている白色樹脂層を具備する請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子が複数の場合、
さらに、前記複数の発光素子の間隙部における前記配線基板と前記波長変換層との間に他の青色樹脂層を具備し、
該他の青色樹脂層の濃度は前記青色樹脂層の濃度より高い請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
配線基板上に青色の発光素子を実装する発光素子実装工程と、
前記発光素子上に波長変換部材を含有した樹脂をポッティングするポッティング工程と、
前記波長変換部材を含有した樹脂上に板状光学部材を、前記波長変換部材を含有した樹脂が前記発光素子側面と前記板状光学部材とを結ぶ傾斜面が形成されるように装着する板状光学部材装着工程と、
前記傾斜面に接するように青色樹脂を注入する青色樹脂注入工程と
を具備する発光装置の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記青色樹脂注入工程の前に、前記配線基板上の前記波長変換層の傾斜面の一部に接して白色樹脂層を注入する白色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記青色樹脂注入工程の後に、前記配線基板上の前記ガラスプレートの端部に接して白色樹脂層を注入する白色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子実装工程は複数の発光素子を実装し、
さらに、前記複数の発光素子の間隙部における前記配線基板と前記波長変換層との間に前記青色樹脂よりも高い濃度の他の青色樹脂を注入する他の青色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項1】
配線基板と、
該配線基板上に実装された青色の発光素子と、
該発光素子の上面及び側面に設けられた波長変換層と、
該波長変換層上に設けられた板状光学部材と
を具備し、
該波長変換層は該発光素子側面と該板状光学部材を結ぶ傾斜面を形成し、さらに、前記傾斜面に接して設けられた青色樹脂層を有する発光装置。
【請求項2】
前記波長変換層が上面から見て4辺の前記傾斜面を形成する矩形をなし、
前記波長変換層の前記傾斜面の少なくとも一辺に接して設けられている白色樹脂層をさらに具備し、
前記青色樹脂層は前記傾斜面の他の辺に接して設けられることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
さらに、前記青色樹脂層上方の前記板状光学部材の側面に接して設けられている白色樹脂層を具備する請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子が複数の場合、
さらに、前記複数の発光素子の間隙部における前記配線基板と前記波長変換層との間に他の青色樹脂層を具備し、
該他の青色樹脂層の濃度は前記青色樹脂層の濃度より高い請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
配線基板上に青色の発光素子を実装する発光素子実装工程と、
前記発光素子上に波長変換部材を含有した樹脂をポッティングするポッティング工程と、
前記波長変換部材を含有した樹脂上に板状光学部材を、前記波長変換部材を含有した樹脂が前記発光素子側面と前記板状光学部材とを結ぶ傾斜面が形成されるように装着する板状光学部材装着工程と、
前記傾斜面に接するように青色樹脂を注入する青色樹脂注入工程と
を具備する発光装置の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記青色樹脂注入工程の前に、前記配線基板上の前記波長変換層の傾斜面の一部に接して白色樹脂層を注入する白色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記青色樹脂注入工程の後に、前記配線基板上の前記ガラスプレートの端部に接して白色樹脂層を注入する白色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子実装工程は複数の発光素子を実装し、
さらに、前記複数の発光素子の間隙部における前記配線基板と前記波長変換層との間に前記青色樹脂よりも高い濃度の他の青色樹脂を注入する他の青色樹脂注入工程を具備する請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−204438(P2012−204438A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65362(P2011−65362)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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