説明

発光装置用パッケージ及びそれを用いた発光装置

【課題】発光効率及び歩留りを向上できる発光装置用パッケージ及びそれを用いた発光装置を提供する。
【解決手段】セラミックシート12を積層して形成されるとともに発光素子2が設置される設置面11aを有する基体11と、設置面11a上に形成して発光素子2に接続される端子部13と、基体11の設置面11aの対向面11bに配される素子素子電極17と、基体11を貫通して端子部13と素子素子電極17とを導通する素子用ビア19と、一部のセラミックシート12を貫通してバリスタ20の素材が充填されるバリスタ用ビア21と、バリスタ用ビア21の端面と素子用ビア19とを接続するバリスタ電極22とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリスタを有して発光素子を収納する発光装置用パッケージ及びそれを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光装置用のパッケージは特許文献1に開示されている。このパッケージはセラミック基板から成る基体上に、酸化亜鉛等のバリスタの素材から成るバリスタ層を積層したバリスタ部が配される。バリスタ部の上面に発光素子を設置する設置面が形成される。
【0003】
設置面上には発光素子の正極及び負極にそれぞれワイヤー接続される端子部が2箇所に設けられる。基体の下面には端子部に対応して2箇所に素子電極(外部電極)が設けられる。端子部と素子電極とは基体を貫通する2つの素子用ビアにより電気的に接続される。これにより、発光素子に電力を供給することができる。
【0004】
バリスタ部の一のバリスタ層の上下面にはバリスタ電極(内部電極)が設けられる。バリスタ電極は正極と負極の素子用ビアにそれぞれ導通する。これにより、発光素子と並列に配されたバリスタが形成される。
【0005】
上記構成のパッケージの設置面に発光素子を搭載して発光装置が形成される。発光素子から出射された光は上方に出射され、所定の範囲に照明光が出射される。また、発光装置の端子部に静電気により高電圧が加わった際にバリスタによりバイパスされるため、発光装置の耐電圧性を高く維持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−270327号公報(第4頁−第9頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の発光装置用のパッケージによると、設置面がバリスタ層で覆われるため発光素子から設置面の方向に出射された光がバリスタ層で吸収される。このため、パッケージの発光効率が低い問題があった。また、セラミック基板から成る基体と上部のバリスタ部との熱膨張係数が異なるため、焼成後のパッケージに反りが発生してパッケージの歩留りが悪い問題もあった。
【0008】
本発明は、発光効率及び歩留りを向上できる発光装置用パッケージ及びそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、セラミックシートを積層して形成されるとともに発光素子が設置される設置面を有する基体と、前記設置面上に形成して発光素子に接続される端子部と、前記基体の前記設置面の対向面に配される素子電極と、前記基体を貫通して前記端子部と前記素子電極とを導通する素子用ビアと、一部の前記セラミックシートを貫通してバリスタの素材が充填されるバリスタ用ビアと、前記バリスタ用ビアの端面と前記素子用ビアとを接続するバリスタ電極とを備えたことを特徴としている。
【0010】
この構成によると、設置面上に設置された発光素子は端子部にワイヤー接続され、素子電極から素子用ビアを介して電力供給される。発光素子から設置面の方向に出射された光はセラミックシートを積層した基体で反射する。バリスタ用ビアにより形成されるバリスタはバリスタ電極を介して素子用ビアに接続され、静電気により端子部に高電圧が加わるとバリスタによってバイパスされる。
【0011】
また本発明は、上記構成の発光装置用パッケージおいて、前記バリスタ電極によって前記バリスタ用ビアが覆われることを特徴としている。この構成によると、平面投影において設置面上にバリスタ用ビアが露出せず、発光装置用パッケージの反射率をより高くすることができる。
【0012】
また本発明は、上記構成の発光装置用パッケージにおいて、前記バリスタ電極が銀ペーストから成ることを特徴としている。この構成によると、設置面から基体に入射した光の一部は銀ペーストから成るバリスタ電極で反射する。
【0013】
また本発明は、上記構成の発光装置用パッケージにおいて、前記セラミックシートがガラスセラミックにより形成されるとともに前記バリスタの素材が酸化亜鉛を含むことを特徴としている。
【0014】
また本発明の発光装置は、上記各構成の発光装置用パッケージの前記設置面上に発光素子を配したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、セラミックシートの積層によって基体が形成され、一部のセラミックシートを貫通するバリスタ用ビアによってバリスタが形成されるため、設置面に平行な面内でバリスタの占有面積を小さくすることができる。このため、設置面に入射した光を基体で反射して発光装置用パッケージの発光効率を向上することができる。また、発光装置用パッケージの焼成後の反りを低減して歩留りを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の発光装置を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態の発光装置を示す正面断面図
【図3】本発明の実施形態の発光装置のパッケージの内部断面を示す概念図
【図4】本発明の実施形態の発光装置のパッケージの製造工程を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の発光装置を示す斜視図である。発光装置1はセラミックスを主成分とした焼結体のパッケージ10を備えている。パッケージ10を形成するセラミックスはガラス成分を含んでもよく、含まなくてもよい。パッケージ10の上面にはLEDから成る発光素子2を収納する孔部10aが凹設される。発光素子2の発光は孔部10aの周壁及び底壁(設置面11a、図2参照)で反射して所定方向に導かれる。
【0018】
孔部10aには発光素子2を封止する封止材3が充填される。封止材3は光を波長変換する蛍光体の粒子を分散して含有した透明樹脂から成る。本実施形態では発光素子2は青色光を発光し、蛍光体は青色光を黄色光に波長変換する。
【0019】
図2は発光装置1の正面断面図を示している。パッケージ10は複数のセラミックシート12を積層した基体11を有している。基体11の上部のセラミックシート12には孔部10aを形成する貫通孔が形成される。孔部10aを下面を塞ぐセラミックシート12の上面によって発光素子2を設置する設置面11aが形成される。
【0020】
基体11の主成分となるセラミックスとして、例えば、ホウ珪酸ガラス及びアルミナを含むガラスセラミックス、ソーダ石灰ガラス及びアルミナを含むガラスセラミックス、窒化アルミニウム、アルミナ等を用いることができる。基体11をガラスセラミックスにより形成すると低温で焼成できるためより望ましい。また、基体11をアルミナを含むガラスセラミックスにより形成すると安価にパッケージ10を形成することができる。この時、基体11にアルミナよりも屈折率の高い高屈折率材を含有してもよい。
【0021】
設置面11aには端子部13及び伝熱部14が設けられ、設置面11aに対向して基体11の底面を形成する対向面11bには素子電極17及び放熱部16が設けられる。端子部13及び素子電極17は銅等の導電体により形成され、発光素子2の正極及び負極に対応してそれぞれ2箇所に設けられる。伝熱部14及び放熱部16は銀等の高熱伝導性を有する金属により形成される。
【0022】
基体11の下部のセラミックシート12には放熱ビア18及び素子用ビア19が貫通する。素子用ビア19は2箇所に設けられて導電性材料が充填され、両方の端子部13と素子電極17とをそれぞれ電気的に接続する。放熱ビア18は高熱伝導材が充填され、伝熱部14と放熱部16とを熱的に接続する。
【0023】
また、基体11の下部に配された一部のセラミックシート12にはバリスタ用ビア21が貫通する。バリスタ用ビア21内にはバリスタ20(図3参照)の素材が充填される。バリスタ20の素材として酸化亜鉛を用いることができる。バリスタ用ビア21を形成したセラミックシート12の上下面にはバリスタ電極22が設けられる。バリスタ電極22によってバリスタ用ビア21の上下の端面が覆われ、それぞれ別の素子用ビア19に電気的に接続される。バリスタ電極22として光の反射率の高い銀ペースト等が用いられる。
【0024】
発光素子2は接着等により伝熱部14上に固着して設置面11aに設置される。発光素子2の発熱は伝熱部14から放熱ビア18を介して放熱部16に伝えられて放熱する。発光素子2はワイヤー4をワイヤーボンディングして端子部13に接続される。これにより、素子電極17から素子用ビア19を介して発光素子2に電力が供給される。
【0025】
図3は発光装置1の等価回路を示している。発光装置1はバリスタ用ビア21に充填された素材により形成されるバリスタ20と発光素子2とが並列に配され、素子電極17に接続される。これにより、静電気により端子部13に高電圧が加わった際にバリスタ20によってバイパスされ、発光装置1の耐電圧性が高く維持される。
【0026】
図4はパッケージ10の製造工程を示す工程図である。混合工程では例えば、ガラスセラミックスの原料を混合して混合物を生成する。ガラスセラミックスの原料は例えば、所定の粒径に粉砕された粉体により形成される。シート形成工程では混合工程で生成した混合物を加圧して例えば、厚さ0.1mmのシート状に成形し、セラミックシート12の素材を形成する。
【0027】
打ち抜き工程ではセラミックシート12の素材を打ち抜き、孔部10a、放熱ビア18、素子用ビア19及びバリスタ用ビア21となる貫通孔を形成する。充填工程ではバリスタ用ビア21にバリスタ20の素材が充填される。電極形成工程では印刷によってセラミックシート12の素材上に端子部13、素子電極17、バリスタ電極22、伝熱部14及び放熱部16となる導体のパターンを形成する。積層工程では各セラミックシート12の素材が低温加熱により仮圧着して積層される。これにより、ハウジング10の素材が形成される。
【0028】
焼成工程ではハウジング10の素材が焼成炉により約900℃で焼成され、ハウジング10の焼結体が形成される。この時、設置面11aに平行な面内でバリスタ用ビア21の占有面積が小さい。このため、バリスタ20の素材と基体11との熱膨張係数が異なってもパッケージ10の反りを小さくすることができる。
【0029】
メッキ工程では端子部13、素子電極17、伝熱部14及び放熱部16にNiAg、NiAu等のメッキが施される。
【0030】
上記構成の発光装置1において、発光素子2により発光した青色光は封止材3を導光し、蛍光体に到達すると黄色光に波長変換される。そして、波長変換された黄色光と蛍光体に到達しない青色光とが混合して白色光が孔部10aの上面から出射される。また、封止材3を導光した光はハウジング10の孔部10aの周壁及び設置面11aで反射して孔部10aの上面から出射される。これにより、発光装置1は孔部10aの大きさに応じた範囲に光を出射する。
【0031】
この時、バリスタ20を形成するバリスタ用ビア21が設置面11aに平行な面内で占有面積が小さく、バリスタ電極22により覆われる。このため、設置面11aに入射した光が基体11を形成するセラミックス及びバリスタ電極22で反射される。従って、バリスタ20による光の吸収を防止し、パッケージ10の発光効率を向上することができる。
【0032】
本実施形態によると、セラミックシート12の積層によって基体11が形成され、一部のセラミックシート12を貫通するバリスタ用ビア21によってバリスタ20が形成される。このため、設置面11aに平行な面内でバリスタ20の占有面積を小さくすることができる。従って、パッケージ10の焼成後の反りを低減して歩留りを向上することができる。
【0033】
また、バリスタ用ビア21がバリスタ電極22により覆われるため、バリスタ20による光の吸収を防止し、パッケージ10の発光効率を向上することができる。
【0034】
尚、バリスタ用ビア21がバリスタ電極22により覆われていない場合でも、設置面11aに平行な面内でバリスタ20の占有面積が小さいためバリスタ20による光の吸収が少ない。従って、パッケージ10の発光効率を向上することができる。
【0035】
また、銀ペーストによって反射率の高いバリスタ電極22を容易に形成することができ、パッケージ10の発光効率をより向上することができる。
【0036】
また、セラミックシート12をガラスセラミックにより形成し、バリスタ20の素材が酸化亜鉛を含むと、バリスタ20を有して発光効率及び歩留りの高いパッケージ10を容易に実現することができる。また、パッケージ10を低温で焼成できるため、パッケージ10の反りをより低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によると、発光装置用パッケージ内に発光素子を収納した発光装置を搭載するエッジライト型バックライト、スキャナ用光源、LED照明等に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 発光装置
2 発光素子
3 封止材
4 ワイヤー
10 パッケージ
10a 孔部
11 基体
11a 設置面
11b 対向面
12 セラミックシート
13 端子
14 伝熱部
16 放熱部
17 素子電極
18 放熱ビア
19 素子用ビア
20 バリスタ
21 バリスタ用ビア
22 バリスタ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックシートを積層して形成されるとともに発光素子が設置される設置面を有する基体と、前記設置面上に形成して発光素子に接続される端子部と、前記基体の前記設置面の対向面に配される素子電極と、前記基体を貫通して前記端子部と前記素子電極とを導通する素子用ビアと、一部の前記セラミックシートを貫通してバリスタの素材が充填されるバリスタ用ビアと、前記バリスタ用ビアの端面と前記素子用ビアとを接続するバリスタ電極とを備えたことを特徴とする発光装置用パッケージ。
【請求項2】
前記バリスタ電極によって前記バリスタ用ビアが覆われることを特徴とする請求項1に記載の発光装置用パッケージ。
【請求項3】
前記バリスタ電極が銀ペーストから成ることを特徴とする請求項2に記載の発光装置用パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記セラミックシートがガラスセラミックにより形成されるとともに前記バリスタの素材が酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発光装置用パッケージ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発光装置用パッケージの前記設置面上に発光素子を配したことを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227454(P2012−227454A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95628(P2011−95628)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(397016714)三洋電波工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】