説明

発振回路

【課題】不要な周波数での発振を防ぐと共に、期待周波数での安定した発振を実現する。
【解決手段】発振回路100は、発振素子110と、反転増幅器120と、状態保持回路130を備える。発振素子110と反転増幅器120の入出力が互いに接続されて発振ループを構成する。状態保持回路130は、反転増幅器120の出力に同期して、反転増幅器120の出力論理を所定期間固定し、この期間内に反転増幅器120の出力状態を保持する。この所定期間は、期待発振周波数に対応する周期の半分より短く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的に振動する出力信号を生成する発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
論理回路を正確に動作させるために、期待通りの発振周波数(以下期待周波数という)で発振する発振回路が必要である。
【0003】
特許文献1には、反転増幅器と、反転増幅器の出力を入力へ帰還させる帰還回路とを有し、帰還回路の入出力間に、可変移相器と周波数通過制限回路が直列に接続された発振回路が開示されている。図13を参照して説明する。
【0004】
図13は、特許文献1の図1に対して符号を付与し直したものである。図13に示すように、発振回路1において、増幅回路2と帰還回路3は、それらの入出力が互いに接続されて発振ループを構成する。可変LCフィルタ5とSAWフィルタ6は、可変移相器4の遅延時間での通過性能が他の時間での通過性能より高く設定されており、帰還回路3が不要な周波数での帰還動作を発生しないようになっているため、期待周波数以外の発振出力をカットすることができる。
【0005】
また、水晶振動子などの発振素子は、その構造上の理由から1つの振動周波数で発振することが困難であり、通常、基本振動周波数以外に、基本振動周波数の数倍となる複数の異なる周波数で発振することもあり得る。例えば、図14に示すように、基本振動周波数fでの発振以外に、基本振動周波数fの2倍の周波数や、基本振動周波数fの3倍の周波数での発振も可能である。そのため、発振素子を用いた発振回路についても、期待周波数以外の周波数において発振しないように工夫することが必要であり、様々な手法が提案されている。
【0006】
特許文献2には、水晶振動子とインバータにより構成された発振ループにおいて、インンバータに対して、水晶振動子の基本振動の半周期毎にパルス状の電力供給を行う手法が開示されている。この手法によれば、電力が供給されているときにのみインバータが反転動作をするため、水晶振動子の基本振動周波数の発振出力を得ることができる。
【0007】
特許文献3と特許文献4にも、相似する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−350177号公報
【特許文献2】特開平02−233004号公報
【特許文献3】特開平10−325886号公報
【特許文献4】特開平11−004120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された手法を、発振素子と反転増幅器により構成された発振ループに適用することが考えられる。この場合の発振回路の模式を図15に示す。
【0009】
図15に示す発振回路10は、反転増幅器11と発振素子13の入出力が互いに接続されており、発振素子13と反転増幅器11との間に周波数通過制限回路12が挿入されている。
【0010】
発振素子は、図16の上部に示す周波数特性を有し、基本振動周波数fで最大の利得を得ることができる。例えば、期待周波数が基本振動周波数fであるときに、図16の下部に示す周波数特性を有する周波数通過制限回路12により、基本振動周波数fの帯域を通過し、基本振動周波数fの2倍、3倍など基本振動周波数fよりより高い周波数帯域の通過を制限することによって、基本振動周波数fでの発振出力を得ると共に、高調な周波数での発振出力の発生を抑制することができる。
【0011】
ところで、周波数通過制限回路は、基本振動周波数fにおいても位相の進みまたは遅延を生じさせる。また、周波数通過制限回路において生じる進みまたは遅延は、製造条件や環境条件などによってばらつく。そのため、発振ループ上に周波数通過制限回路12が設けられた発振回路10では、発振出力の周波数が、発振素子13の基本振動周波数fにより一意に決まることができず、ばらついてしまう問題が生じる。
【0012】
さらに、例えば電源投入時の初期状態などにおいて、反転増幅器11の状態が急峻に移行することにより2次乃至3次歪みが生じた場合、信号の振幅が大きくなる。この場合、基本振動周波数f以外の周波数の信号は、周波数通過制限回路12により減衰された後でもまだ発振素子13に発振させることができる大きさの振幅を有し、基本振動周波数f以外の発振が生じてしまう可能性がある。
【0013】
また、特許文献2〜特許文献4に開示された手法は、発振が不必要とされる期間においてインバータへの電流供給を停止することによってインバータを無効にしている。インバータが無効にされている間には、外乱などによりノイズが発生したときに、発振出力が乱れてしまい、不安定になる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様は、反転増幅器と発振素子の入出力が互いに接続されてなる発振回路発振回路である。この発振回路は、反転増幅器の出力に同期して、反転増幅器の出力論理を所定期間固定する状態保持回路を備える。
【0015】
なお、上記態様の発振回路を方法や装置に置き換えて表現したものや、上記発振回路が設けられた電子機器なども、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の技術によれば、不要な周波数での発振を防ぐと共に、期待周波数での安定した発振を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる発振回路100を示す。発振回路100は、発振素子110と、反転増幅器120と、状態保持回路130を備える。発振素子110と反転増幅器120の入出力が互いに接続されて発振ループを構成する。状態保持回路130は、反転増幅器120の出力に同期して、反転増幅器120の出力論理を所定期間固定し、この期間内に反転増幅器120の出力状態を保持する。
【0018】
図2は、発振回路100における反転増幅器120を示す。反転増幅器120は、その入出力間に、インバータ121、インバータ122、抵抗123、インバータ124が直列に接続されている。抵抗123とインバータ124の間に、状態保持回路130の出力が接続される。これにより、状態保持回路130の出力は、状態保持入力として反転増幅器120に入力される。状態保持回路130の出力すなわち反転増幅器120の状態保持入力の詳細については状態保持回路130と共に説明する。
【0019】
図3は、状態保持回路130を示す。状態保持回路130は、反転増幅器120の出力S1が入力され、複数の抵抗131〜136、コンデンサ140、コンパレータ150、AND回路152、スイッチ156、コンパレータ160、OR回路162、インバータ164、スイッチ166を備える。
【0020】
抵抗131の一端は入力に接続され、他端は、コンパレータ150の反転端子、コンパレータ160の反転端子、およびコンデンサ140に接続されている。
【0021】
抵抗132と抵抗133は、電源電圧VCCと接地電圧GNDとの間に直列に接続され、抵抗132と抵抗133間の電位はV1である。以下、この電圧V1を、第1の基準電圧という。
【0022】
コンデンサ140は、一端が第1の基準電圧V1に接続され、他端が抵抗131に接続されている。この他端の電圧をS2で表記する。
【0023】
抵抗134、抵抗135、抵抗136は、電源電圧VCCと接地電圧GNDとの間に直列に接続され、第2の基準電圧V2と第3の基準電圧V3を生成して、それぞれコンパレータ150とコンパレータ160に供する。
【0024】
第1の基準電圧V1、第2の基準電圧V2、第3の基準電圧V3は、V2>V1>V3の大小関係を有する。
【0025】
詳細については後述するが、上述した各抵抗とコンデンサ140は、反転増幅器120の出力論理を固定する期間(以下保持期間という)を決定する時定数回路として機能する。
【0026】
コンパレータ150は、正転端子が第2の基準電圧V2に接続され、反転端子が電圧S2に接続され、第2の基準電圧V2と電圧S2の大小関係に応じた論理を出力する。コンパレータ150の出力をS3で表記する。
【0027】
AND回路152は、反転増幅器120の出力S1と、コンパレータ150の出力S3が入力され、それらの論理積をスイッチ156に出力する。AND回路152の出力をS5で表記する。
【0028】
コンパレータ160は、正転端子が第3の基準電圧V3に接続され、反転端子が電圧S2に接続され、第3の基準電圧V3と電圧S2の大小関係に応じた論理を出力する。コンパレータ160の出力をS4で表記する。
【0029】
OR回路162は、反転増幅器120の出力S1と、コンパレータ160の出力S4が入力され、それらの論理和を出力する。インバータ164は、OR回路162の出力を反転してスイッチ166に出力する。インバータ164の出力をS6で表記する。
【0030】
スイッチ156とスイッチ166は、電源電圧VCCと接地電圧GND間に直列に設けられている。スイッチ156は、AND回路152の出力S5がHiであるときにオンし、S5がLowであるときにオフする。スイッチ166は、インバータ164の出力S6がHiであるときにオンし、S6がLowであるときにオフする。
【0031】
スイッチ156がオンし、スイッチ166がオフするときに、状態保持回路130の出力(すなわち反転増幅器120への状態保持入力)により反転増幅器120に電源電圧VCCが供給される。これにより、反転増幅器120は、発振素子110からの入力に関わらず、出力がHiに固定される。
【0032】
また、スイッチ156がオフし、スイッチ166がオンするときに、反転増幅器120に接地電圧GNDが供給される。これにより、反転増幅器120は、発振素子110からの入力に関わらず、出力がLowに固定される。
【0033】
発振回路100において、電源投入後に反転増幅器120の出力が決定すると、発振素子110は、自身の周波数特性に応じた位相遅延で反転増幅器120の出力を遅延させて反転増幅器120に入力する。反転増幅器120は、発振素子110からの入力を反転して出力する。このような動作の繰り返しにより、周期的に振動する発振出力すなわち反転増幅器120の出力S1が得られる。状態保持回路130は、反転増幅器120の出力S1に同期して、反転増幅器120の出力S1がLowからHiに変化したときに、所定長さの保持期間で反転増幅器120の出力をHiに固定すると共に、反転増幅器120の出力S1がHiからLowに変化したときに、また所定長さの保持期間で反転増幅器120の出力S1をLowに固定する。この保持期間の長さの上限と下限は、期待周波数と、カットした周波数のうちの最大周波数によりそれぞれ決められる。具体的には、保持期間の長さは、期待周波数に対応する周期の半分より短く設定される。また、カットしたい周波数のうちの最大周波数が期待周波数のn(n≧2)倍であるときに、保持期間の長さは、期待周波数に対応する周期の1/nより長く設定される。なお、保持期間の長さは、第1の基準電圧V1、第2の基準電圧V2、第3の基準電圧V3、およびコンデンサ140の容量により決まり、各基準電圧は、状態保持回路130における各抵抗の抵抗値により決まる。
【0034】
ここで、期待周波数が発振素子110の基本振動周波数fであり、基本振動周波数fの2倍と3倍の周波数での発振を防ぎたい場合を例にして発振回路100の動作を詳細に説明する。この場合、保持期間の長さは、基本振動周波数fに対応する周期λの1/2より短く、λ/3より長く設定される。
【0035】
図4は、発振回路100の状態保持回路130における各信号S1〜S6、および反転増幅器120の動作状態の遷移を示すタイミングチャートである。図示のように、反転増幅器120の出力S1がLowからHiに変化したとき、コンデンサ140の充電により、電圧S2が上昇する。
【0036】
電圧S2が第3の基準電圧V3に到達するまで、コンパレータ160の出力S4がHiであるため、スイッチ166への入力S6がLowであり、スイッチ166はオフする。電圧S2が第3の基準電圧V3を超えると、コンパレータ160の出力S4がLowになるが、S1がHiである限り、スイッチ166への入力S6はLowのままであり、スイッチ166はオフし続ける。
【0037】
一方、電圧S2が上昇して第2の基準電圧V2に到達するまで、コンパレータ150の出力S3がHiであるため、AND回路152の出力S5すなわちスイッチ156への入力はHiであり、スイッチ156はオンする。また、この間、スイッチ166はオフである。
【0038】
そのため、電圧S2が第2の基準電圧V2に到達するまで、反転増幅器120に電源電圧VCCが印加され、発振素子110から反転増幅器120への入力に関わらず、反転増幅器120の出力はHiに固定される。
【0039】
電圧S2が第2の基準電圧V2を超えると、コンパレータ150の出力S3がLowになるため、スイッチ156への入力S5もLowとなり、スイッチ156はオフする。このとき、スイッチ166もまだオフしているため、反転増幅器120への電源電圧VCCと接地電圧GNDのいずれの印加も無く、保持期間は終了する。これにより、反転増幅器120は、発振素子110からの入力を受け付け、反転動作を行う。
【0040】
その後、反転増幅器120の出力S1がHiからLowに変わると、コンデンサ140の放電により電圧S2が降下する。電圧S2が降下して第3の基準電圧V3に到達するまでは、コンパレータ160の出力S4がLowのままであるため、スイッチ166への入力S6はHiとなる。これにより、スイッチ166はONする。また、反転増幅器120の出力S1がLowである間、スイッチ156への入力S5はLowであり、スイッチ156はオフし続ける。
【0041】
そのため、電圧S2が第3の基準電圧V3に到達するまで、反転増幅器120に接地電圧GNDが印加され、発振素子110から反転増幅器120への入力に関わらず、反転増幅器120の出力はLowに固定される。
【0042】
電圧S2が降下し続け、第3の基準電圧V3より低くなると、コンパレータ160の出力S4がHiとなり、スイッチ166への入力S6がLowとなるため、スイッチ166はオフする。このとき、スイッチ156もまだオフしているため、反転増幅器120への電源電圧VCCと接地電圧GNDのいずれの印加も無く、保持期間は終了する。これにより、反転増幅器120は、発振素子110からの入力を受け付け、反転動作を行う。
【0043】
このように、状態保持回路130は、反転増幅器120の出力がLowからHiになる度に、λ/2より短く、λ/3より長い保持期間中に反転増幅器120の出力をHiに固定し、反転増幅器120の出力がHiからLowになる度に、保持期間中に反転増幅器120の出力をLowに固定する。
【0044】
図5は、反転増幅器120に基本振動周波数f、基本振動周波数fの2倍および3倍の周波数の信号が入力される場合に、反転増幅器120の出力すなわち発振回路100の発振出力を示す。図示のように、いずれの周波数の入力がされても、基本振動周波数fと同様な周波数すなわち期待周波数の発振出力が得られている。
【0045】
このように、本実施の形態の発振回路100では、状態保持回路130が図6に示す周波数特性を有するため、期待周波数での安定した発振を実現している。
【0046】
また、状態保持回路130は保持期間内に反転増幅器120の出力を固定しているので、保持期間中に機械的または電気的衝撃や振動などの外乱により発振素子の振動が一時的に停止したり振動周波数が変動したりした場合や、ノイズが発生した場合にも、発振回路100は、安定した発振動作に復帰することができる。
【0047】
さらに、状態保持回路130は、帰還回路に設けられていないため、図15に示す発振回路10における周波数通過制限回路12のように帰還回路を通過する信号の位相変化を生じさせることが無い。そのため、発振出力の周波数は発振素子の基本振動周波数fにより一意に決まることができる。
【0048】
また、不要周波数のカットを、発振回路10のように周波数通過制限回路12に頼ることがないため、電源投入時の初期状態などにおいて、発振素子や反転増幅器の出力歪みに起因して過大な振幅の信号が発生しても、期待周波数での発振のみを得ることができる。
<第2の実施の形態>
【0049】
図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる発振回路200を示す。発振回路200は、状態保持回路230が、図1に示す発振回路100における状態保持回路130と異なる点を除き、発振回路100と同様である。発振回路200に対して、発振回路100のものと同様の構成または機能を有する部分に対して同一の符号を付与し、それらの詳細な説明を省略する。
【0050】
図8は、状態保持回路230を示す。状態保持回路230は、定電流をコンデンサに充放電することにより、保持期間の長さを決定する時定数回路を実現する点を除き、発振回路100における状態保持回路130と同様である。ここで状態保持回路230における時定数回路についてのみ説明する。
【0051】
状態保持回路230の時定数回路は、定電流源240と、スイッチ241と、スイッチ242と、定電流源243と、コンデンサ250と、抵抗260と、定電流源261と、定電流源270と、抵抗271を備える。
【0052】
スイッチ241とスイッチ242は、電源電圧VCC側の定電流源240と、接地電圧GND側の定電流源243との間に直列に接続され、反転増幅器120の出力S1が入力される。コンデンサ250の一端は第1の基準電圧V1に接続され、他端は、コンパレータ150の反転端子、コンパレータ160の反転端子、およびスイッチ241とスイッチ242の間に接続される。
【0053】
スイッチ241とスイッチ242は、図9に示すように、反転増幅器120の出力S1の論理に応じて、相補的にオン/オフする。具体的には、スイッチ241は、S1がHiであるときにオンし、S1がLowであるときにオフする。また、スイッチ242は、S1がHiであるときにオフし、S1がLowであるときにオンする。
【0054】
スイッチ241がオンし、スイッチ242がオフすると、定電流源240はコンデンサ250を充電し、コンパレータ150とコンパレータ160の反転端子の供する電圧S2が上昇する。一方、スイッチ241がオフし、スイッチ242がオンすると、定電流源243はコンデンサ250を放電し、電圧S2が降下する。コンパレータ150の正転端子に供される第2の基準電圧V2は定電流源270と抵抗271により生成され、コンパレータ160の正転端子に供される第3の基準電圧V3は、抵抗260と定電流源261により生成される。
【0055】
図10は、発振回路200の状態保持回路230における各信号S1〜S6、および反転増幅器120の動作状態の遷移を示すタイミングチャートであり、図11は、反転増幅器120に基本振動周波数f、基本振動周波数fの2倍および3倍の周波数の信号が入力される場合に、反転増幅器120の出力すなわち発振回路200の発振出力を示す。ここでも、期待周波数が発振素子110の基本振動周波数fであり、基本振動周波数fの2倍と3倍の周波数での発振を防ぐ場合を例にしている。なお、保持期間の長さも、基本振動周波数fに対応する周期λの1/2より短く、λ/3より長く設定される。
【0056】
図10に示すように、状態保持回路230も、状態保持回路130と同様に、反転増幅器120の出力がLowからHiになる度に、λ/2より短く、λ/3より長い保持期間中に反転増幅器120の出力をHiに固定し、反転増幅器120の出力がHiからLowになる度に、保持期間中に反転増幅器120の出力をLowに固定する。なお、この場合、電圧S2は、三角波となる。
【0057】
また、図11に示すように、反転増幅器120にいずれの周波数の入力がされても、発振回路200は、基本振動周波数fと同様な周波数すなわち期待周波数の発振出力が得られている。
このように、発振回路200は、発振回路100と同様な効果を得ることができる。
【0058】
また、本実施の形態において、信号の振幅が小さくなると、コンパレータ150の正転端子に供される第2の基準電圧V2と、コンパレータ160の正転端子に供される第3の基準電圧V3も小さくなる。そのため、図12に示すように、信号の振幅が変わったときの三角波(図中S2')は、その周期が三角波S2と同一であり、保持期間の長さは、信号の振幅に影響されずに一定に保たれ、発振回路200の動作がより安定する。
【0059】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、さまざまな変更、増減を加えてもよい。これらの変更、増減が加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる発振回路を示す図である。
【図2】図1に示す発振回路における反転増幅器を示す図である。
【図3】図1に示す発振回路100における状態保持回路130を示す図である。
【図4】図3に示す状態保持回路130における各信号の遷移を示すタイミングチャートである。
【図5】図1に示す発振回路100により得られる発振出力の例を示す図である。
【図6】図3に示す状態保持回路130の周波数特性を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる発振回路200を示す図である。
【図8】図7に示す発振回路200における状態保持回路230を示す図である。
【図9】図8に示す状態保持回路230における各スイッチの開閉と入力信号の関係を示す図である。
【図10】図8に示す状態保持回路130における各信号の遷移を示すタイミングチャートである。
【図11】図7に示す発振回路により得られる発振出力の例を示す図である。
【図12】図8に示す状態保持回路130による保持期間の長さは信号の振幅が変動したときも一定に保たれることを説明するための図である。
【図13】従来の発振回路を示す図である。
【図14】発振素子の発振特性を示す図である。
【図15】図13に示す発振回路の手法を、発振素子と反転増幅器により構成された発振ループに適用した場合の模式図である。
【図16】発振素子と図15に示す発振回路における周波数通過制限回路の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 発振回路 2 増幅回路
3 帰還回路 4 可変移相器
5 可変LCフィルタ 6 SAWフィルタ
10 発振回路 11 反転増幅器
12 周波数通過制限回路 13 発振素子
100 発振回路 110 発振素子
120 反転増幅器 121 インバータ
122 インバータ 123 抵抗
124 インバータ 130 状態保持回路
131−136 抵抗
140 コンデンサ 150 コンパレータ
152 AND回路 156 スイッチ
160 コンパレータ 162 OR回路
164 インバータ 166 スイッチ
200 発振回路 230 状態保持回路
240 定電流源 241 スイッチ
242 スイッチ 243 定電流源
250 コンデンサ 260 抵抗
261 定電流源 270 定電流源
271 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転増幅器と発振素子の入出力が互いに接続されてなる発振回路であって、
前記反転増幅器の出力に同期して、前記反転増幅器の出力論理を所定期間固定する状態保持回路を備えることを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記所定期間は、期待発振周波数に対応する周期の半分より短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記所定期間は、前記期待発振周波数のn倍(n≧2)であるカット対象周波数に対して、前記期待発振周波数に対応する周期の1/nより長く設定されていることを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記反転増幅器は、
前記発振素子の出力と接続されたインバータと、
前記発振素子の出力と前記インバータ間に挿入された抵抗とを有し、
前記状態保持回路は、入力が前記反転増幅器の出力に接続され、出力が前記抵抗と前記インバータ間に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項5】
前記状態保持回路は、前記所定期間を決定する時定数回路を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項6】
前記時定数回路は、コンデンサと抵抗により構成されることを特徴とする請求項5に記載の発振回路。
【請求項7】
前記時定数回路は、コンデンサと定電流源により構成されることを特徴とする請求項5に記載の発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−165012(P2009−165012A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2242(P2008−2242)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】