説明

発振回路

【課題】従来の発振回路では、出力信号のジッタを抑制できない問題があった。
【解決手段】本発明の発振回路は、発振周波数設定電流に基づき蓄積された電荷量に応じて発振周波数制御電圧Vcpを生成するフィルタコンデンサCpumpと、発振周波数制御電圧Vcpに応じて出力する発振信号Foutの周波数を変動させる発振器30と、発振信号Foutの周期に基づき論理レベルが切り替えられるタイミング制御信号を生成する制御回路40と、タイミング制御信号に基づき発振信号Foutの周期の長さに応じて連続的に電圧レベルが変化する周波数検出電圧Vcapを生成する周波数検出回路10と、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて発振周波数設定電流を連続的に可変してフィルタコンデンサCpumpに出力する差動増幅器20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発振回路に関し、特に抵抗とコンデンサとにより発振周波数を設定する発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータの応用分野では、システムの複雑化により複数のチップ間で通信を行うことで1つのシステムが構成される。このようなシステムにおいては、チップ間の通信に高精度な基準クロック(例えば、ジッタの少ないクロック信号)が必要になる。一般的に高精度な基準クロックを生成するためには温度などの環境変動に対して発振周波数が変動しない水晶発振子やセラミック発振子などの外部素子が用いられる。一方で、システムのトータルコストの削減、又は、実装面積の削減の要求から部品点数の削減が要求されている。
【0003】
そこで、外部素子の部品点数を削減する方法として、半導体装置に基準クロックを生成する発振回路を内蔵することが提案されている。半導体装置に内蔵される発振回路としては、抵抗とコンデンサとによりクロック信号の発振周波数を設定するRC発振回路が用いられる。抵抗とコンデンサは、半導体装置への実装が容易であり、RC発振回路は、比較的高精度なクロック信号を生成することができる。
【0004】
このような発振回路の一例が特許文献1に開示されている。そこで、特許文献1に記載の発振回路100の回路図を図9に示す。発振回路100は、抵抗Rosc108及びコンデンサCosc109を基準としてRC発振回路が構成する。発振回路100では、抵抗Rosc108に流れる電流Ioscをトランジスタ111、131で構成されるカレントミラー回路によりランプアンドホールド回路130に供給する。そして、ランプアンドホールド回路130は、電流IoscによりコンデンサCosc109を充電する。このとき、コンパレータ120は、コンデンサCoscにより生成される電圧Vcapに基づきトランジスタ124に流れる電流と抵抗Roscにより生成される電圧に基づきトランジスタ122に流れる電流とを比較する。そして、コンパレータ120の出力に応じてチャージポンプ回路170によりコンデンサCpumpの充電・放電の方向を決定する。これにより、コンデンサCpumpが接続されるノードに発振周波数制御電圧Vcpが生成される。そして、電圧制御発振器180は、発振周波数制御電圧Vcpに応じて出力信号Foutの発振周波数を変化させる。
【0005】
なお、発振回路100では、分周回路196により電圧制御発振器180が出力する出力信号を分周することができる。これにより、発振回路100は、コンパレータ120、チャージポンプ回路170の動作を出力信号の1/Nの周波数で動作させる。
【0006】
発振回路100では、上記のように、コンパレータ120の出力を出力信号とするのではなく、コンパレータ120の出力に基づきチャージポンプ回路170及び電圧制御発振器180を制御することでコンパレータ120の遅延時間によらず出力信号の発振周波数を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公報5,594,388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発振回路100では、コンデンサCpumpに充放電する電流の電流値は、トランジスタ171によりチャージポンプ回路により決定される。コンデンサCpumpの容量値が十分大きくかつトランジスタ171に流れる電流が小さいとき発振周波数制御電圧Vcpは平均化されほぼ一定となる。しかし、コンデンサCpumpが大きく、トランジスタ171に流れる電流が小さいとシステムのゲインが小さくなるため、周波数のロックが遅くなる。一方、トランジスタ171に流れる電流を大きくし、コンデンサCpumpの容量値を小さくすると周波数のロックは速くなる。しかし、この場合、発振周波数制御電圧Vcpの変化が大きくなり、電圧制御発振器180の出力信号にジッタが顕著になる。このように特許文献1に記載の発振回路100では、出力信号の精度が低い問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる発振回路は、発振周波数設定電流に基づき蓄積された電荷量に応じて発振周波数制御電圧を生成するフィルタコンデンサと、前記発振周波数制御電圧に応じて出力する発振信号の周波数を変動させる発振器と、前記発振信号の周期に基づき論理レベルが切り替えられるタイミング制御信号を生成する制御回路と、前記タイミング制御信号に基づき前記発振信号の周期の長さに応じて電圧レベルが変化する周波数検出電圧を生成する周波数検出回路と、前記周波数検出電圧と基準電圧との電圧差に応じて前記発振周波数設定電流を連続的に可変して前記フィルタコンデンサに出力する差動増幅器と、を有する。
【0010】
本発明にかかる発振回路によれば、発振信号の周期の長さに応じて電圧レベルが変化する周波数検出電圧と基準電圧との電圧差に応じて前記発振周波数設定電流を連続的に可変して前記フィルタコンデンサに出力する差動増幅器を有する。これにより、本発明にかかる発振回路では、発振周波数検出電圧を所定の電圧値に収束させることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる発振回路によれば、発振周波数のジッタを低減して発振信号の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかる発振回路のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる差動増幅器の回路図である。
【図3】実施の形態1にかかる制御回路及び周波数検出回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる差動増幅器の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態1にかかる発振回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態2にかかる制御回路及び周波数検出回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】実施の形態2にかかるタイミング制御信号のうち起動信号を生成する回路の一例を示す回路図である。
【図8】実施の形態3にかかる発振回路のブロック図である。
【図9】特許文献1に記載の発振回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に実施の形態1にかかる発振回路1のブロック図を示す。図1に示すように発振回路1は、周波数検出回路10、差動増幅器20、発振器30(例えば、電圧制御発振器)、制御回路40、フィルタコンデンサCpumpを有する。
【0014】
周波数検出回路10は、制御回路40が出力するタイミング制御信号に基づき発振信号(以下、出力信号Foutと称す)の周期の長さに応じて電圧レベルが変化する周波数検出電圧Vcapを生成する。なお、タイミング制御信号には、電荷リセット信号INITB、ランプ制御信号RAMP、ホールド制御信号HOLDを含み、周波数検出回路10は、これらの信号に応じて周波数検出電圧Vcapを生成する。
【0015】
図1に示すように、周波数検出回路10は、ランプアンドホールド回路11、NMOSトランジスタN1、N2、周波数設定抵抗R、周波数設定コンデンサCを有する。周波数設定抵抗Rは、一端が電源端子VDDに接続され、他端がNMOSトランジスタN1のドレインに接続される。NMOSトランジスタN1は、ゲートとドレインが共通接続される。また、NMOSトランジスタN1のソースは接地端子に接続される。NMOSトランジスタN2は、ゲートがNMOSトランジスタN1のゲートと共通接続され、ソースが接地端子に接続される。また、NMOSトランジスタN2のドレインは、ランプアンドホールド回路11に接続される。つまり、NMOSトランジスタN1により生成されるダイオード電圧と電源電圧の差電圧を周波数設定抵抗Rの抵抗値により充放電電流の電流値が設定され、当該充放電電流は、NMOSトランジスタN1、N2により構成されるカレントミラー回路を介してランプアンドホールド回路11に与えられる。
【0016】
ランプアンドホールド回路11は、タイミング制御信号に基づき周波数設定コンデンサCへの充放電電流の供給と周波数設定コンデンサCに蓄積される電荷のリセットとを行う。ランプアンドホールド回路11は、NMOSトランジスタN3、N4、PMOトランジスタP1を有する。NMOSトランジスタN3、N4は、差動対を構成する。つまり、NMOSトランジスタN3、N4は、ソースが共通接続される。そして、NMOSトランジスタN3、N4のソース(共通接続点)には、NMOSトランジスタN2のドレインから出力される充放電電流が供給される。NMOSトランジスタN3のゲートには、ランプ制御信号RAMPが入力され、NMOSトランジスタN4のゲートにはホールド制御信号HOLDが入力される。NMOSトランジスタN3のドレインは、PMOSトランジスタP1のドレインと接続され、ランプアンドホールド回路11の出力端子となる。NMOSトランジスタN4のドレインは、電源端子VDDに接続される。PMOSトランジスタP1のゲートには、電荷リセット信号INITBが入力される。PMOSトランジスタP1のソースは、電源端子VDDに接続される。
【0017】
周波数設定コンデンサCは、ランプアンドホールド回路11の出力端子と接地端子との間に接続される。そして、周波数設定コンデンサCは、蓄積される電荷量に応じて周波数検出電圧Vcapを生成する。なお、周波数検出電圧Vcapは、ランプアンドホールド回路11の出力端子側のノードに生成されるものである。
【0018】
ランプアンドホールド回路11は、電荷リセット信号INITBがイネーブル状態(例えば、ロウレベル)となると、PMOSトランジスタP1をオンする。そして、ランプアンドホールド回路11は、周波数設定コンデンサCに電源電圧に相当する電荷を蓄積することで、周波数設定コンデンサに蓄積される電荷のリセットを行う。また、ランプアンドホールド回路11は、電荷リセット信号INITBをディスイネーブル状態(例えば、ハイレベル)かつランプ制御信号RAMPがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)となると、PMOSトランジスタP1をオフし、かつ、NMOSトランジスタN3をオンする。これにより、ランプアンドホールド回路11は、充放電電流によって周波数設定コンデンサCから電荷の引き抜きを行う。また、ランプアンドホールド回路11は、ランプ制御信号RAMPをディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)、かつ、ホールド制御信号HOLDをイネーブル状態(例えば、ハイレベル)となると、NMOSトランジスタN3をオフし、かつ、NMOSトランジスタN4をオンする。これにより、ランプアンドホールド回路11は、周波数設定コンデンサCからの放電を停止し、周波数設定コンデンサCに蓄積された電荷により生じた周波数検出電圧Vcapを維持する。
【0019】
差動増幅器20は、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて発振周波数設定電流Icpを連続的に可変してフィルタコンデンサに出力する。より具体的には、差動増幅器20は、増幅部21とスイッチ回路22を有する。そして、増幅部21の反転入力端子には周波数検出電圧Vcapが入力され、非反転入力端子に基準電圧Vresが入力される。増幅部21は、例えば、トランスコンダクタンス増幅器であって、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じた電流値を有する発振周波数設定電流Icpを出力する。なお、本実施の形態では、基準電圧Vresとして、周波数設定抵抗Rが接続されるNMOSトランジスタN1のゲート電圧を用いる。
【0020】
スイッチ回路22は、増幅部21の出力端子とフィルタコンデンサCpumpとの間に設けられ、タイミング制御信号に含まれるポンプ制御信号PULSEに応じて導通状態が切り替えられる。より具体的には、スイッチ回路22は、ポンプ制御信号PULSEがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)のときに導通状態となり、ディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)のときに遮断状態となる。
【0021】
ここで、差動増幅器20の回路について詳細な説明を行う。差動増幅器20の詳細な回路図を図2に示す。図2に示すように、差動増幅器20は、増幅部21、スイッチ回路22を有する。
【0022】
差動増幅器20は、フォールデッドカスコードアンプを構成する。より具体的には、差動増幅器20は、NMOSトランジスタN5〜N11、PMOSトランジスタP2〜P5を有する。NMOSトランジスタN5は、ソースが接地端子に接続され、ゲートに定電圧Vbn1が入力される。NMOSトランジスタN6、N7は、差動対を構成し、NMOSトランジスタN5が出力する動作電流に基づき動作する。NMOSトランジスタN6のゲートには基準電圧Vresが入力され、NMOSトランジスタN7のゲートには周波数検出電圧Vcapが入力される。そして、NMOSトランジスタN6のドレインはPMOSトランジスタP2のドレインに接続され、NMOSトランジスタN7のドレインはPMOSトランジスタP3のドレインに接続される。
【0023】
PMOSトランジスタP2のソース及びPMOSトランジスタP3のソースは電源端子VDDに接続される。また、PMOSトランジスタP2のゲートとPMOSトランジスタP3のゲートには定電圧Vbp1が入力される。PMOSトランジスタP4のソースはPMOSトランジスタP2のドレインに接続され、PMOSトランジスタP5のソースは、PMOSトランジスタP3のドレインに接続される。PMOSトランジスタP4のゲートとPMOSトランジスタP5のゲートには定電圧Vbp2が入力される。そして、PMOSトランジスタP5のドレインは、発振周波数設定電流Icpの流出側出力端子となる。
【0024】
NMOSトランジスタN8のソース及びNMOSトランジスタN9のソースは接地端子に接続される。また、NMOSトランジスタN8のゲートとNMOSトランジスタN9のゲートは共通接続される。NMOSトランジスタN10のソースはNMOSトランジスタN8のドレインと接続され、NMOSトランジスタN11のソースはNMOSトランジスタN9のドレインと接続される。NMOSトランジスタN10のゲートとNMOSトランジスタN11のゲートには定電圧Vbn2が入力される。NMOSトランジスタN10のドレインは、PMOSトランジスタP4のドレインと接続されると共にNMOSトランジスタN8、N9のゲートと接続される。そして、NMOSトランジスタN11のドレインは、発振周波数設定電流Icpの流入側出力端子となる。
【0025】
スイッチ回路22は、第1のスイッチ回路23と第2のスイッチ回路24を有する。第1のスイッチ回路23は、増幅部21の出力端子とフィルタコンデンサCpumpとの導通状態をポンプ制御信号PULSEに応じて切り替える。第1のスイッチ回路23は、PMOSトランジスタP6、NMOSトランジスタN12を有する。PMOSトランジスタP6の一方の端子とNMOSトランジスタN12の一方の端子は、フィルタコンデンサCpump及び電圧制御発振器30が接続されるノードに接続される。また、PMOSトランジスタP6の他方の端子は、PMOSトランジスタP5のドレイン(例えば、流出側出力端子)に接続される。一方、NMOSトランジスタN12の他方の端子は、NMOSトランジスタN11のドレイン(例えば、流入側出力端子)に接続される。そして、PMOSトランジスタP6のゲートには、後述するインバータ26で反転されたポンプ制御信号PULSEが入力される。NMOSトランジスタN12のゲートには、ポンプ制御信号PULSEが入力される。
【0026】
第2のスイッチ回路24は、第1のスイッチ回路23が遮断状態である期間に発振周波数制御電圧Vcpを増幅部21の出力端子に与え、増幅部21の出力端子から入出力される電流を打ち消す電流Icp0を出力する。第2のスイッチ回路24は、PMOSトランジスタP7、NMOSトランジスタN13、バッファ回路25、インバータ26を有する。PMOSトランジスタP7の一方の端子とNMOSトランジスタN13の一方の端子は、バッファ回路25の出力端子に接続される。また、PMOSトランジスタP7の他方の端子は、PMOSトランジスタP5のドレイン(例えば、流出側出力端子)に接続される。一方、NMOSトランジスタN13の他方の端子は、NMOSトランジスタN11のドレイン(例えば、流入側出力端子)に接続される。そして、PMOSトランジスタP7のゲートには、ポンプ制御信号PULSEが入力される。NMOSトランジスタN12のゲートには、インバータ26で反転されたポンプ制御信号PULSEが入力される。バッファ回路25は、正転入力端子にフィルタコンデンサCpumpが入力され、反転入力端子がバッファ回路25の出力と接続される。
【0027】
ここで、差動増幅器20は、ポンプ制御信号PULSEがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)の場合、第1のスイッチ回路23が導通状態となり、フィルタコンデンサCpumpに発振周波数設定電流Icpを出力する。また、ポンプ制御信号PULSEがイネーブル状態の場合、第2のスイッチ回路24は、増幅部21の出力端子への電流Icp0の伝達を遮断する。
【0028】
一方、差動増幅器20は、ポンプ制御信号PULSEがディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)の場合、第1のスイッチ回路23が遮断状態となり、第2のスイッチ回路が電流Icp0を増幅部21の出力端子に与える。これにより、差動増幅器20の出力端子はフィルタコンデンサCpump側からはハイインピーダンス状態となる。このとき、差動増幅器20では、NMOSトランジスタN11のドレインと接地端子との間に寄生容量Conが形成され、PMOSトランジスタP5のドレインと電源端子VDDとの間に寄生容量Copが形成される。寄生容量Con、Copにより、第1のスイッチ回路23が遮断状態から導通状態となった場合、発振周波数制御電圧Vcpに電圧変動Vcp0が生じる。この電圧変動Vcp0は、PMOSトランジスタN5のドレインの電圧をVoutp、NMOSトランジスタN11のドレインの電圧をVoutnとすると、(1)式で表される。
Vcp0=((Voutp−Vcp)Cop−
(Voutn−Vcp)Con)/Cpump・・・(1)
【0029】
(1)式より、Vcp=Voutn=Voutpであれば、電圧変動Vcp0は生じないことがわかる。そこで、差動増幅器20では、第2のスイッチ回路24が第1のスイッチ回路23が遮断状態の期間にバッファ回路25により増幅部21が出力する電流を吸収し、かつ、増幅部21の出力端子に発振周波数制御電圧Vcpを与える。これにより、差動増幅器20では、第1のスイッチ回路23が遮断状態においてVcp=Voutn=Voutpとの条件を満たし、電圧変動Vcp0を抑制する。なお、このような電圧変動をチャージシェアと称す。本発明にかかる発振回路1では、発振周波数制御電圧Vcpの電圧レベルにより出力信号Foutの発振周波数が決定されるため、発振周波数制御電圧Vcpの電圧変動を抑制することで出力信号Foutのジッタが低減される。
【0030】
フィルタコンデンサCpumpは、発振周波数設定電流Icpに基づき蓄積された電荷量に応じて発振周波数制御電圧Vcpを生成する。フィルタコンデンサCpumpは、差動増幅器20の出力端子と電圧制御発振器30の入力端子とを接続するノードに一端が接続され、他端が接地端子に接続される。つまり、フィルタコンデンサCpumpは、差動増幅器20が出力する発振周波数設定電流Icpに応じて発振周波数制御電圧Vcpを生成し、発振周波数制御電圧Vcpを電圧制御発振器30に与える。
【0031】
電圧制御発振器30は、発振周波数制御電圧Vcpの電圧レベルに応じて出力信号Foutの発振周波数を制御する。
【0032】
制御回路40は、出力信号Foutの周期に基づき論理レベルが切り替えられるタイミング制御信号を生成する。このタイミング制御信号には、電荷リセット信号INITB、ランプ制御信号RAMP、ホールド制御信号HOLD、ポンプ制御信号PULSEが含まれる。制御回路40は、出力信号Foutを分周した分周信号を生成し、当該分周信号のクロック数をカウントしたカウント値に基づき上記制御信号の論理レベルを切り替える。タイミング制御信号の論理レベルの切り替えタイミングの詳細は、後述する。
【0033】
続いて、図3に周波数検出回路10と制御回路40の動作を示すタイミングチャートを示す。そして、図3を参照して制御回路40がタイミング制御信号の論理レベルの切り替えタイミング及び周波数検出回路10の動作について説明する。
【0034】
図3に示すように、制御回路40は、出力信号Foutを分周して分周信号FDを生成する。図3に示す例では、分周信号FDは、出力信号Foutを2分周して生成する。また、制御回路40は、分周信号FDのクロック数をカウントしてカウント値COUNTを生成する。図3に示す例では、カウント値COUNTは2ビットの値であって0から3の値となる。そして、制御回路40は、カウント値COUNTの値に応じてタイミング制御信号の論理レベルを切り替える。
【0035】
具体的には、カウント値が0であった場合、制御回路40は、電荷リセット信号INITBをロウレベル(イネーブル状態)とし、ランプ制御信号RAMPをロウレベル(ディスイネーブル状態)とし、ホールド制御信号HOLDをハイレベル(イネーブル状態)とし、ポンプ制御信号PULSEをロウレベル(ディスイネーブル状態)とする。カウント値が0である期間を以下では電荷リセット期間Tinitと称す。
【0036】
カウント値が1であった場合、制御回路40は、電荷リセット信号INITBをハイレベル(ディスイネーブル状態)とし、ランプ制御信号RAMPをハイレベル(イネーブル状態)とし、ホールド制御信号HOLDをロウレベル(ディスイネーブル状態)とし、ポンプ制御信号PULSEをロウレベル(ディスイネーブル状態)とする。カウント値が1である期間を以下ではランプ期間Trampと称す。
【0037】
カウント値が2であった場合、制御回路40は、電荷リセット信号INITBをハイレベル(ディスイネーブル状態)とし、ランプ制御信号RAMPをロウレベル(ディスイネーブル状態)とし、ホールド制御信号HOLDをハイレベル(イネーブル状態)とし、ポンプ制御信号PULSEをロウレベル(ディスイネーブル状態)とする。カウント値が2である期間を以下ではホールド期間Tholdと称す。
【0038】
カウント値が3であった場合、制御回路40は、電荷リセット信号INITBをハイレベル(ディスイネーブル状態)とし、ランプ制御信号RAMPをロウレベル(ディスイネーブル状態)とし、ホールド制御信号HOLDをハイレベル(イネーブル状態)とし、ポンプ制御信号PULSEをハイレベル(イネーブル状態)とする。カウント値が3である期間を以下ではポンプ期間Tpumpと称す。
【0039】
続いて、周波数検出回路10の動作について説明する。周波数検出回路10は、電荷リセット期間Tinitにおいて、電荷リセット信号INITBに基づきPMOSトランジスタP1を導通させることで周波数設定コンデンサCに蓄積されている電荷を電源電圧に応じた電荷量にリセットする。これにより、周波数検出電圧Vcapは電源電圧とほぼ等しい電圧となる。このとき、NMOSトランジスタN3はランプ制御信号RAMPに応じてオフし、NMOSトランジスタN4はホールド制御信号HOLDに応じてオンする。
【0040】
そして、ランプ期間Trampにおいて、周波数検出回路10は、電荷リセット信号INITBに応じてPMOSトランジスタP1をオフし、ランプ制御信号RAMPに応じてNMOSトランジスタN3をオンし、ホールド制御信号HOLDに応じてNMOSトランジスタN4をオフする。つまり、周波数検出回路10は、ランプ期間Trampにおいて、充放電電流に基づき周波数設定コンデンサCから電荷の引き抜きを行う。これにより、周波数検出電圧Vcapの電圧レベルは徐々に低下する。周波数検出電圧Vcapが低下する傾きは充放電電流の大きさ及び周波数設定コンデンサCの容量値により決定される。また、ランプ期間Trampでは、周波数検出電圧Vcapの電圧レベルが低下するが、電圧低下速度は一定である。そのため、ランプ期間Trampにおける周波数検出電圧Vcapの電圧低下量dVcapは、ランプ期間Trampの長さ(出力信号Foutの発振周波数)によって決まる。
【0041】
そして、ホールド期間Tholdにおいて、周波数検出回路10は、電荷リセット信号INITBに応じてPMOSトランジスタP1をオフし、ランプ制御信号RAMPに応じてNMOSトランジスタN3をオフし、ホールド制御信号HOLDに応じてNMOSトランジスタN4をオンする。つまり、周波数検出回路10は、ホールド期間Tholdにおいて、周波数設定コンデンサCが接続されるノードをハイインピーダンス状態とし、周波数設定コンデンサCにより生成される周波数検出電圧Vcapの電圧レベルを維持する。
【0042】
そして、ポンプ期間Tpumpにおいては、差動増幅器20によるフィルタコンデンサCpumpへの発振周波数設定電流Icpの供給が行われる。このとき、周波数検出回路10に与えられる電荷リセット信号INITB、ランプ制御信号RAMP、ホールド制御信号HOLDはホールド期間Tholdとポンプ期間Tpumpとで同じである。そのため、ポンプ期間Tpumpにおいて周波数検出回路10により周波数検出電圧Vcapの電圧レベルが変動することはない。
【0043】
続いて、差動増幅器20の動作について説明する。図4に差動増幅器20の動作を示すタイミングチャートを示す。図4に示す例では、タイミングT0からT2の期間が図3で示した1組の電荷リセット期間Tinit、ランプ期間Tramp、ホールド期間Thold、ポンプ期間Tpumpに相当する。そして、タイミングT1からT2の期間が図3で示したポンプ期間に相当する。
【0044】
差動増幅器20は、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて電流Icpを出力する。しかし、タイミングT0からT1の期間では、ポンプ制御信号PULSEがディスイネーブル状態(ロウレベル)であるため、第1のスイッチ回路23が遮断状態となり、周波数検出電圧Vcapは一定に保たれる。一方、増幅部21は、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて電流を出力する。しかし、この電流は、第2のスイッチ回路24がこの電流を打ち消す電流Icp0を出力し、増幅部21の出力電圧をVcpとする。
【0045】
そして、タイミングT1においてポンプ制御信号PULSEがイネーブル状態(例えば、ハイレベル)となると、第1のスイッチ回路23が導通状態となり、第2のスイッチ回路24が遮断状態となる。これにより、差動増幅器20は、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて電流IcpをフィルタコンデンサCpumpに出力し、発振周波数制御電圧Vcpが変動する。図4に示す例では、発振周波数設定電流Icpが正の極性(フィルタコンデンサCpumpに充電を行う方向)で出力されるため、周波数検出電圧Vcapは、タイミングT1からT2で上昇する。
【0046】
続いて、実施の形態1にかかる発振回路1の全体の動作について説明する。実施の形態1にかかる発振回路1の動作を示すタイミングチャートを図5に示す。図5に示すタイミングチャートでは、周波数検出電圧Vcap、発振周波数制御電圧Vcp及び出力信号Foutの変動のみを示した。また、図5では、時間軸(横軸)の原点において発振回路1の動作が開始されるものとする。
【0047】
図5に示すように、発振回路1は、期間TM1からTM7の期間毎に発振周波数制御電圧Vcpを上昇させる。期間TM1からTM7の各期間には、図3に示す電荷リセット期間Tinit、ランプ期間Tramp、ホールド期間Thold、ポンプ期間Tpumpが一組含まれる。また、出力信号Foutの周波数が期間毎に上昇するため、期間TM1から期間TM7は、徐々に短くなる。これはタイミング制御信号が出力信号Foutの周期に基づき生成されるためである。なお、図5に示す期間TM11からTM17がポンプ期間Tpumpに対応する期間となる。
【0048】
そして、期間TM7が経過した後は、周波数検出電圧Vcapの低レベル側電圧が基準電圧Vresとほぼ同じになる。これにより、発振回路1では、差動増幅器20が出力する発振周波数設定電流Icpがほぼ0となる。そのため、周波数検出電圧Vcapの低レベル側電圧が基準電圧Vresとほぼ同じになった後はその状態が維持される。また、周波数検出電圧Vcapが一定の電圧に保たれるため、出力信号Foutの発振周波数も一定に保たれる。つまり、発振回路1では、出力信号Foutの発振周波数が目標値に達した後は出力信号Foutにジッタは生じない。
【0049】
上記説明より、実施の形態1にかかる発振回路1では、フィルタコンデンサCpumpは、発振周波数設定電流Icpに応じて発振周波数制御電圧Vcpを生成する。このとき、発振回路1では、差動増幅器20が周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差に応じて連続的に値が変化する発振周波数設定電流Icpを出力する。つまり、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差があれば発振周波数設定電流Icpは、当該電圧差に応じた大きさを有し、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差がなければ発振周波数設定電流Icpは、実質的に0となる。これにより、発振回路1では、出力信号Foutの周波数が目標値と一致する状態(例えば、周波数検出電圧Vcapが基準電圧Vresと一致した状態)では、ポンプ制御信号PULSEがイネーブル状態となっても発振周波数制御電圧Vcpに変動が生じない。これにより、発振回路1では、出力信号Foutの発振周波数が目標値と一致した後に、発振周波数制御電圧Vcpの電圧値が変動することがなく、発振周波数制御電圧Vcpの電圧値に応じて電圧制御発振器30が決定する出力信号Foutの発振周波数もずれることがない。つまり、発振回路1では、出力信号Foutのジッタを低減することができる。
【0050】
また、実施の形態1にかかる発振回路1では、差動増幅器20がスイッチ回路22を有する。このスイッチ回路22は、差動増幅器20の入力信号の差電圧増幅結果を反映する期間(例えば、ポンプ期間Tpump)以外は遮断状態に制御される。発振回路1では、電荷リセット期間Tinit、ランプ期間Trampにおいて周波数検出電圧Vcapが出力信号Foutを反映した電圧とずれた電圧値となる。しかし、スイッチ回路22がポンプ期間以外は遮断状態に制御されるため、電荷リセット期間Tinit及びランプ期間Trampにおける周波数検出電圧Vcapのずれが発振周波数に反映されることを防ぐことができる。これにより、発振回路1では、いずれの期間においても発振周波数を安定化させることができる。
【0051】
また、実施の形態1にかかる発振回路1では、スイッチ回路22が第1のスイッチ回路23及び第2のスイッチ回路24を有する。そして、第1のスイッチ回路23が遮断状態の期間においても増幅部21の出力端子に第2のスイッチ回路24を動作させる。第2のスイッチ回路24は、周波数検出電圧Vcapと基準電圧Vresとの電圧差が生じる電荷リセット期間Tinit及びランプ期間Trampにおいても、増幅部21が出力する電流を吸収し、増幅部21の出力端子を発振周波数制御電圧Vcpに維持する。これにより、第1のスイッチ回路23が遮断状態から導通状態に切り替わったタイミングで生じるチャージシェアに起因する発振周波数制御電圧Vcpの電位変動を抑制することができる。つまり、実施の形態1にかかる発振回路1では、スイッチ回路22を設けたことに起因するジッタを抑制することができる。
【0052】
実施の形態1にかかる発振回路1では、基準電圧VresとしてNMOSトランジスタN1のダイオード電圧を用い、充放電電流の電流値を電源電圧と当該ダイオード電圧との差電圧を周波数設定抵抗Rで割って決定する。ダイオード電圧が低くなると、充放電電流の電流値が大きくなり、ランプ期間Trampにおける周波数検出電圧Vcapの傾きが大きくなる。充放電電流の電流値Iresは、周波数設定抵抗R、基準電圧Vres、電源電圧VDDとすると(2)式で表される。
Ires=(VDD−Vres)/R・・・(2)
ホールド期間Tholdにおける周波数検出電圧をVcap(HOLD)とすると、Vcap(HOLD)は、充放電電流の電流値をIres、周波数設定コンデンサCの容量値をC、ランプ期間の長さをTrampとすると(3)式で表される。
Vcap(HOLD)=VDD−(Ires・Tramp)/C・・・(3)
ここで、実施の形態1にかかる発振回路1ではVcap(HOLD)=Vresとなるようにフィードバックループにより、周波数が補正される。そこで、(2)式、(3)式からランプ期間Tramp及び出力信号Foutの周波数を求めると(4)式となる。なお、(4)式においてNは、制御回路40内の分周回数である。
Fout=N/Tramp=N/RC・・・(4)
つまり、実施の形態1にかかる発振回路1では、電源電圧、NMOSのトランジスタN1のダイオード電圧が相殺され周波数設定抵抗R、周波数設定コンデンサC、分周回数Nのみの関数となる。
【0053】
実施の形態2
実施の形態2では、制御回路40におけるタイミング制御信号の異なる制御方法について説明する。実施の形態2では、発振回路1の起動処理の初期段階においてポンプ期間Tpumpの長さを他の期間よりも長くする制御を行う。そこで、図6に実施の形態2にかかるタイミング制御信号の制御方法に従った発振回路1の動作を示すタイミングチャートを示す。
【0054】
図6に示すように、実施の形態2にかかる発振回路1では、制御回路40内に第2のカウンタを有する。第2のカウンタは電荷リセット信号INITBの立ち下がりエッジをカウントする。そして、実施の形態2にかかる制御回路40は、第2のカウンタが生成する第2のカウント値が2(例えば、01)以下の期間はウェイクアップ信号WAKEUPをハイレベルとする。そして、制御回路40は、ウェイクアップ信号WAKEUPがハイレベルの期間は、ホールド期間Tholdに相当する期間においてもポンプ制御信号PULSEをイネーブル状態(例えば、ハイレベル)とする。
【0055】
なお、第2のカウント値は、一度3(例えば、11)に達すると、リセット信号(不図示)がイネーブル状態になるまで値を維持する。つまり、実施の形態2にかかる制御回路40は、リセット信号がディスイネーブル状態(例えば、ロウレベル)となり、発振回路1の動作が開始された後、所定の期間の間はポンプ期間Tpumpを長くし、フィルタコンデンサCpumpへの充電時間を長くする。これにより、実施の形態2にかかる発振回路1では、起動直後の発振周波数の上昇速度を実施の形態1にかかる発振回路1よりも速くする。
【0056】
ここで、ウェイクアップ信号WAKEUPを生成するウェイクアップ信号生成回路の回路図を図7に示す。図7に示すように、ウェイクアップ信号生成回路は、インバータ回路51、Dフリップフロップ回路52、53、NAND回路54、OR回路55、反転入力付きNAND回路56を有する。
【0057】
インバータ回路51は、電荷リセット信号INITBを反転してDフリップフロップ回路52、53のクロック入力端子に与える。Dフリップフロップ回路52は、リセット端子にリセット信号RESETが入力され、リセット信号RESETがロウレベルである期間に出力端子Qをリセット状態(例えば、ロウレベル)とし、リセット信号RESETがハイレベルである期間に電荷リセット信号INITBの立ち下がりに応じて入力端子Dに入力される信号の論理レベルを保持する。Dフリップフロップ回路52の入力端子Dには、反転入力付きNAND回路56の出力信号が入力される。Dフリップフロップ回路53は、リセット端子にリセット信号RESETが入力され、リセット信号RESETがロウレベルである期間に出力端子Qをリセット状態(例えば、ロウレベル)とし、リセット信号RESETがハイレベルである期間に電荷リセット信号INITBの立ち下がりに応じて入力端子Dに入力される信号の論理レベルを保持する。Dフリップフロップ回路52の入力端子Dには、OR回路55の出力信号が入力される。
【0058】
NAND回路54は、Dフリップフロップ回路52、53の出力信号が入力される。そして、NAND回路54は、2つの入力信号の論理積値をウェイクアップ信号WAKEUPとして出力する。また、OR回路55は、Dフリップフロップ回路52、53の出力信号が入力される。そして、OR回路55は、2つの入力信号の論理和値をDフリップフロップ回路53に出力する。反転入力付きNAND回路56は、Dフリップフロップ回路52、53の出力信号が入力される。そして、反転入力付きNAND回路56は、Dフリップフロップ回路53の出力信号の反転論理値と、Dフリップフロップ回路52の出力信号の論理値と、の反転論理積値をDフリップフロップ回路52に出力する。
【0059】
ウェイクアップ信号生成回路は、Dフリップフロップ回路52、53、OR回路55、反転入力付きNAND回路56により2ビットの第2のカウンタを構成する。そして、OR回路55及び反転入力付きNAND回路56は、Dフリップフロップ回路52、53の出力が共に1(例えば、ハイレベル)になった場合、出力信号を1(例えば、ハイレベル)とする。そのため、ウェイクアップ信号生成回路は、カウント値が3(例えば、11)になった後は、電荷リセット信号INITBの入力にかかわらずカウント値を維持する。
【0060】
上記説明より、実施の形態2にかかる発振回路1では、起動処理の初期段階における発振周波数の上昇速度を実施の形態1にかかる発振回路1よりも速くすることができる。これにより、実施の形態2にかかる発振回路1では、出力信号Foutの周波数がロックするまでの時間を短縮することができる。
【0061】
実施の形態3
実施の形態3にかかる発振回路2のブロック図を図8に示す。図8に示すように、発振回路2は、発振器30に代えて発振器31を用いる。発振器31は、電圧電流変換回路31、電流制御発振器(Current Control Oscillator)33を用いるものである。電流制御発振器33は、制御電流Ioscにより出力信号Foutの周波数を制御するものである。図8に示す例では、制御電流Ioscを電圧電流変換回路32により生成する。電圧電流変換回路32は、発振周波数制御電圧Vcpの電圧レベルに対応する制御電流Ioscを生成する。
【0062】
つまり、発振回路2では、発振周波数制御電圧Vcpに対応する制御電流Ioscを生成し、制御電流Ioscにより出力信号Foutの周波数を制御することで、発振回路1と等価な動作を実現する。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、2 発振回路
10 周波数検出回路
11 ランプアンドホールド回路
20 差動増幅器
21 増幅部
22 スイッチ回路
23 第1のスイッチ回路
24 第2のスイッチ回路
25 バッファ回路
26 インバータ回路
30、31 発振器
32 電圧電流変換回路
33 電流制御発振器
40 制御回路
51 インバータ回路
52、53 Dフリップフロップ回路
54 NAND回路
55 OR回路
56 反転入力付きNAND回路
INITB 電荷リセット信号
RAMP ランプ制御信号
HOLD ホールド制御信号
PULSE ポンプ制御信号
Cpump フィルタコンデンサ
C 周波数設定コンデンサ
R 周波数設定抵抗
Vcap 周波数検出電圧
Vcp 発振周波数制御電圧
Vres 基準電圧
Icp 発振周波数設定電流
N1〜N13 NMOSトランジスタ
P1〜P7 PMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振周波数設定電流に基づき蓄積された電荷量に応じて発振周波数制御電圧を生成するフィルタコンデンサと、
前記発振周波数制御電圧に応じて出力する発振信号の周波数を変動させる発振器と、
前記発振信号の周期に基づき論理レベルが切り替えられるタイミング制御信号を生成する制御回路と、
前記タイミング制御信号に基づき前記発振信号の周期の長さに応じて電圧レベルが変化する周波数検出電圧を生成する周波数検出回路と、
前記周波数検出電圧と基準電圧との電圧差に応じて前記発振周波数設定電流を連続的に可変して前記フィルタコンデンサに出力する差動増幅器と、
を有する発振回路。
【請求項2】
前記タイミング制御信号は、前記ランプアンドホールド回路に与える電荷リセット信号と、ランプ制御信号と、ホールド制御信号と、を含み、
前記制御回路は、
電荷リセット期間において、前記電荷リセット信号をイネーブル状態に切り替えることで、前記周波数設定コンデンサの電荷をリセットし、
ランプ期間において、前記ランプ制御信号をイネーブル状態に切り替えることで前記周波数設定コンデンサへの前記充放電電流の供給を行い、
ホールド期間において、前記ホールド制御信号をイネーブル状態に切り替えることで、前記ランプアンドホールド回路の出力端子をハイインピーダンス状態とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記差動増幅器は、前記タイミング制御信号に含まれるポンプ制御信号に応じて、出力端子をハイインピーダンス状態に切り替える請求項1又は2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記発振回路の動作開始から所定の期間の間は、前記ポンプ制御信号により前記差動増幅器の出力端子から前記フィルタコンデンサへの充放電を行う期間を生成するために用いる前記発振信号の周期数を他の期間より多く設定する請求項3に記載の発振回路。
【請求項5】
前記差動増幅器は、出力端子と前記フィルタコンデンサとの間に設けられ、前記ポンプ制御信号に応じて導通状態が切り替えられるスイッチ回路を有する請求項3又は4に記載の発振回路。
【請求項6】
前記スイッチ回路は、
前記出力端子と前記フィルタコンデンサとの導通状態を前記ポンプ制御信号に応じて切り替える第1のスイッチ回路と、
前記第1のスイッチ回路が遮断状態である期間に前記発振周波数設定電圧を前記出力端子に与え、前記出力端子から入出力される電流を打ち消す電流を出力する第2のスイッチ回路と、
を有する請求項5に記載の発振回路。
【請求項7】
前記差動増幅器の増幅部は、フォールデッドカスコード方式の増幅器により構成される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項8】
前記周波数検出回路は、
蓄積される電荷量に応じて前記周波数検出電圧を生成する周波数設定コンデンサと、
前記コンデンサへの充放電電流の電流値を設定する周波数設定抵抗と、
前記タイミング制御信号に基づき前記周波数設定コンデンサへの前記充放電電流の供給と、前記周波数設定コンデンサに蓄積される電荷のリセットと、を行うランプアンドホールド回路と、
を有する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項9】
前記周波数検出回路は、
前記充放電電流が入力される第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタとカレントミラー接続され、前記充放電電流を前記ランプアンドホールド回路に与える第2のトランジスタと、を有し、
前記基準電圧は、前記第1のトランジスタのダイオード電圧に基づき生成される請求項8に記載の発振回路。
【請求項10】
前記発振器は、電圧制御発振器と電流制御発振器のいずれか一方を含む請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−223375(P2011−223375A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91286(P2010−91286)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】