説明

発泡弾性止水シール材及びその製造方法

【課題】伸縮装置の遊間ボックスに充填し、遊間の止水構造を形成するに当たり、その伸縮装置の遊間拡大及び縮小変化において、遊間ボックスの内容積変化に対し、充填止水材が液体変形を伴わず自身で体積変化して追従し、止水シール材の敷設接着界面に発生する変形歪み応力を緩和することができ、また伸縮装置の傾斜設置等において傾斜充填を可能とする弾性止水シール材を提供すること。
【解決手段】OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートの一部とでウレタン反応よりも早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡弾性止水シール材及びその製造方法に関し、特に、道路橋や道路高架橋等に設置されている伸縮装置の遊間の止水材に好適に用いることができる発泡弾性止水シール材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、道路橋や道路高架橋は、その設置環境の温度変化で橋桁1の長さが伸縮するため、その伸縮を調整するために橋長間に伸縮装置Aを敷設するようにしている。
【0003】
一方、路面に降った雨は、この伸縮装置Aから路下に漏水落下するが、この漏水を放置すると、道路橋や道路高架橋を支持する構造体の支承aを腐食し、その伸縮可動機能を阻害するばかりでなく、破損することになる。
また、高架橋の下部敷地を駐車場や公園として利用している場合は、その利用に支障を来たすことになる。
【0004】
このため、伸縮装置Aの遊間ボックスBには様々な止水対策が講じられている。
一般的に行われている伸縮装置Aの遊間ボックスBの止水対策としては、図2−1及び図2−2に示すように、遊間ボックスB内に低硬度、低モジュラス、高伸張性の弾性止水シール材Cを充填し、遊間ボックスBの左右プレートbの表面に接着固定して止水構造を形成したものがあるが、この弾性止水シール材Cには、例えば、分子両端部を化学的にOH変成したポリブタジエンを主成分とするポリオールと、イソシアネートとからなる2成分ウレタン反応硬化型の液体反応硬化ウレタンからなるシール材が用いられている。
【0005】
この弾性止水シール材Cは、低硬度、低モジュラス、高伸張性のウレタンゴムであり、その変形は物理的液体変形をとる。
すなわち、弾性止水シール材C自身は変形において、その体積変化をせず、充填時の総体積を維持する。
【0006】
図2−1及び図2−2に示すように、バックアップ材Dを遊間に設置し、弾性止水シール材Cを伸縮装置Aの遊間ボックスB内に充填し、遊間ボックスBの左右プレートbの表面に接着固定した止水構造体の挙動は、以下のとおりとなる。
【0007】
伸縮装置Aの遊間WがWrに拡大すると、遊間ボックスBの内容積は拡大する。
しかし、弾性止水シール材Cはその体積を維持するために、図3−1に示すように、厚みをHからHsに薄くしようとする変形を、また、図3−2に示すように、伸縮装置Aの道路幅員長さ方向の充填長をLからLsに短くしようとする変形を起こす。
【0008】
一方、伸縮装置Aの遊間Wが縮小すると、図4−1及び図4−2に示すように、その縮小による遊間ボックスBの内容積減少で、充填された弾性止水シール材Cは、その体積を維持するため、遊間ボックスBの容積減少分を厚み方向及び長さ方向に押し出され、厚みがHからHrに、長さがLからLrになろうとする変形を起こす。
【0009】
このとき、弾性止水シール材Cは、遊間ボックスBの左右プレートbの表面に接着固定されているため、接着界面は変形移動することが不可能で、弾性止水シール材Cの充填内央部の弾性変形移動可能な領域のみが変形移動しようとして、接着界面vに変形歪み応力が発生する。
この歪み応力は、充填された弾性止水シール材Cの量が多いほど、また、伸縮変形量が大きいほど大きくなる。
また、この歪み応力は、図2−1及び図2−2に示す充填構造の厚みH×遊間Wの幅断面及び充填長さL×厚みHの中央部Qを基点として順次各端部に向かって加算累積され、各端部P1、P2に大きな歪み応力が集中することとなる。
すなわち、歪み応力は、充填構造端部P1、P2ほど累積集中されて大きくなる。
この累積応力量は伸縮装置Aの長さ方向Lに大きく現れ、伸縮装置Aの長さ方向の端部P2で接着界面vの破壊が発生する。
【0010】
従来、この弾性止水シール材Cを充填する止水構造において、遊間ボックスBに充填した弾性止水シール材Cが、遊間ボックスBの容積変化で伸縮装置の長さ方向端部P2より破損することが知られており、また、遊間ボックスBの遊間が圧縮縮小することにより、弾性止水シール材Cが、図2−1の伸縮装置のフェイスプレート隙間fから、路面上に押し出される現象があることが知られていた。
【0011】
そして、伸縮装置の長さ方向端部P2からの破損は、遊間ボックスBが広くなったときの弾性止水シール材Cの過剰伸張によって引張破断すると判断し、伸縮装置の設計最大遊間で弾性止水シール材Cを充填し、弾性止水シール材Cを圧縮変形側で使用する方法が採られてきた。
【0012】
また、伸縮装置の遊間Wの圧縮時における充填された弾性止水シール材Cの路面押出(図4−1のk)対策としては、その弾性止水シール材Cの上下面に弾性発泡スポンジ層を設け、伸縮装置のフェイスプレート隙間fを閉鎖し、フェイスプレート隙間fからのシール材押出を阻止するとともに、シール材厚み方向膨張は、上下面に設置した弾性発泡スポンジ層で吸収支持する構造が採られている。
【0013】
しかし、この両対処法は、弾性止水シール材Cの接着界面vに作用する歪み破壊応力を緩和するものではなく、弾性止水シール材Cの端部破損対策にはなっていない。
逆に、伸縮装置の遊間ボックスBが最大の遊間Wで弾性止水シール材Cを充填することで、シール材充填量は増大し、遊間変化時の接着界面vの歪み応力を増大させることになるという問題があった。
【0014】
また、従来の弾性止水シール材は、分子両端部のOH変成ポリブタジエンを主成分とするポリオールと、イソシアネートとの2成分液体ウレタン反応による高分子化硬化物質であり、その液体流動性は分子量に依存し、反応が進行し分子量が増大することで液体粘度が上昇し流動性が低下する。
しかし、弾性止水シール材Cのウレタン反応硬化粘度上昇は非常に緩慢であり、その流動性の低下、停止もシャープではなく、暫時低下停止する。
この弾性止水シール材Cを、図5に示すように、勾配α°がある箇所に充填すると、弾性止水シール材Cは、勾配低位部に流動集結し、勾配据付の伸縮装置Aへの充填や、排水タイプ止水構造の勾配α°がある箇所への充填は困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記従来の弾性止水シール材の有する問題点に鑑み、伸縮装置の遊間ボックスに充填し、遊間の止水構造を形成するに当たり、その伸縮装置の遊間拡大及び縮小変化において、遊間ボックスの内容積変化に対し、充填止水材が液体変形を伴わず自身で体積変化して追従し、止水シール材の敷設接着界面に発生する変形歪み応力を緩和することができ、また、伸縮装置の傾斜設置等において傾斜充填を可能とする弾性止水シール材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の発泡弾性止水シール材は、OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートの一部とでウレタン反応よりも早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにしたことを特徴とする。
【0017】
この場合において、発泡倍率を1.5〜3.5倍とし、発泡弾性止水シール材の内部に発泡気泡空間を33〜70%保有させるようにすることができる。
【0018】
また、発泡弾性止水シール材に、水を吸収してゲル化する吸水ゲル化樹脂を、発泡弾性止水シール材の真体積に対し、5〜20%体積量混入することができる。
【0019】
さらに、本発明の発泡弾性止水シール材の製造方法は、吸水ゲル化樹脂の粉末を可塑剤液に分散させたペースト状の混合物を、OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートとを混合する際に同時に添加混合し、イソシアネートの一部とでウレタン反応より早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の発泡弾性止水シール材及びその製造方法によれば、伸縮装置の遊間ボックスに充填し、遊間の止水構造を形成するに当たり、その伸縮装置の遊間拡大及び縮小変化において、遊間ボックスの内容積変化に対し、充填止水材が液体変形を伴わず自身で体積変化して追従し、止水シール材の敷設接着界面に発生する変形歪み応力を緩和することができ、また、伸縮装置の傾斜設置等において傾斜充填が可能となる。
特に、本発明の発泡弾性止水シール材の製造方法によれば、吸水ゲル化樹脂の粉末を容易に均一分散させることができるとともに、発泡ウレア反応のために主剤に添加した水を、吸水ゲル化樹脂が吸収して水の初期吸着を抑制し、初期発泡ウレア反応の阻害を防止するようにして、発泡ウレア反応とウレタン反応との反応スピードを発泡ウレア反応が先行するように適宜に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】道路橋の伸縮装置設置及び構成概要断面図である。
【図2−1】伸縮装置の遊間ボックス内止水構造概略橋軸断面図である。
【図2−2】伸縮装置の遊間ボックス内止水構造概略道路幅断面図である。
【図3−1】伸縮装置の遊間ボックス内を従来の弾性止水シール材で止水した場合の遊間ボックス拡張時の弾性止水シール材の橋軸断面状態図である。
【図3−2】伸縮装置の遊間ボックス内を従来の弾性止水シール材で止水した場合の遊間ボックス拡張時の弾性止水シール材の道路幅断面状態図である。
【図4−1】伸縮装置の遊間ボックス内を従来の弾性止水シール材で止水した場合の遊間ボックス縮小時の弾性止水シール材の橋軸断面状態図である。
【図4−2】伸縮装置の遊間ボックス内を従来の弾性止水シール材で止水した場合の遊間ボックス縮小時の弾性止水シール材の道路幅断面状態図である。
【図5】伸縮装置勾配設置図である。
【図6】本発明発泡弾性止水シール材内部構造図である。
【図7】本発明発泡弾性止水シール材による伸縮装置遊間ボックス内充填止水橋軸である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の発泡弾性止水シール材及びその製造方法の実施の形態を説明する。
【0023】
本発明の発泡弾性止水シール材Zは、OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートの一部とでウレタン反応よりも早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
この発泡弾性止水シール材Zは、低硬度、低モジュラス、高伸張性の発泡ウレタン樹脂になるように配合調製されている。
【0025】
そして、この発泡弾性止水シール材Zは、図1に示すように、道路橋や道路高架橋の伸縮装置Aの遊間ボックスBに充填して止水するためのものであって、発泡弾性止水シール材Zは、図6に示すように、発泡気泡qを有するとともに、以下に説明する吸水ゲル化樹脂Gの粉末が添加してある。
より詳しくは、発泡弾性止水シール材Zは、両端末OHのポリオールを主剤とし、イソシアネートと反応結合(ウレタン反応)させてポリマー化するものであるが、それに先だって、水とイソシアネートの一部とで発泡反応(発泡ウレア反応)を起こさせ、低硬度、低モジュラス、高伸張性の発泡(発泡倍率:1.5〜3.5倍、発泡気泡空間:33〜70%)の発泡弾性止水シール材Zとし、かつ、その発泡弾性止水シール材Zは、吸水ゲル化樹脂Gが混入してあり、この吸水ゲル化機能で、発泡気泡qに浸入する水を吸収してゲル化により固定し発泡気泡qを水が通過して、漏水することを阻止することができる。
【0026】
この発泡弾性止水シール材Zは、発泡倍率を1.5〜3.5倍とし、発泡弾性止水シール材Zの内部に発泡気泡空間を33〜70%保有させることで、発泡弾性止水シール材Zの内部には、発泡気泡qを内包し、伸縮装置が伸縮し遊間ボックスBの内容積が拡大又は縮小することによる充填された発泡弾性止水シール材Zの変形を、発泡気泡qが吸収することによって、発泡弾性止水シール材Z自身の体積変化を可能とし、発泡弾性止水シール材Zの接着界面vに発生する変形歪み応力が緩和でき、充填された発泡弾性止水シール材Zの充填構造端部P1、P2が、遊間ボックスBの伸縮によって歪み応力破断することを防止し、止水構造の耐久性を向上することができる。
【0027】
また、発泡弾性止水シール材Zは、充填反応時、発泡ウレア反応が先行して進行するため、反応の遅い高分子化ウレタン反応成分は流動性を有するが、図6に示すように、発泡気泡qが混在することで発泡気泡qの表面張力が作用し、ゾル状となって、早期流動性を低下させることで、図5に示すような勾配設置された伸縮装置Aにおける勾配α°を有する充填や排水形式止水の勾配α°を有する充填を可能とする。
【0028】
ここで、発泡弾性止水シール材Zに混入する吸水ゲル化樹脂Gには、好ましくは、100倍以上の吸水能力を持つ吸水ゲル化樹脂Gの400メッシュパスの粉末を表面活性剤を用い、ジ・オクチールフタレート等の液体可塑剤に分散させ、予め分散ペースト状に調製した吸水剤ペーストを、発泡弾性止水シール材の真体積に対し、純吸水ゲル化樹脂Gの容量として5%〜20%体積量混入し、発泡弾性止水シール材主剤及び硬化剤混合と同時に添加混合攪拌して、図7に示すように、伸縮装置の遊間ボックスBに充填し、反応硬化させ遊間止水構造を形成する。
【0029】
この場合、吸水ゲル化樹脂Gの400メッシュパスの粉末の添加を、表面活性剤と共に、ジ・オクチールフタレート等の液体可塑剤に分散させ、ペースト状として別途調製し、発泡弾性止水シール材の主剤のポリオール及び硬化剤のイソシアネートの混合時に、同時に添加混合することで、吸水ゲル化樹脂Gの粉末を容易に均一分散させることができ、かつ、発泡ウレア反応のために添加する水の初期吸着を抑制し、初期発泡ウレア反応の阻害を防止するようにして、発泡ウレア反応とウレタン反応との反応スピードを発泡ウレア反応が先行するように適宜に調整することができる。
【実施例】
【0030】
本発明の発泡弾性止水シール材Zは、その配合成分部材が多種に亘り、各々の成分の分散、予備反応及び配合混合手順等が発泡弾性止水シール材Zの性能を左右する。
このため、各成分をその特性毎に事前に反応及び混合調製し、その各部材を更に混合調製し、主剤のポリオール、硬化剤のイソシアネート及び吸水材ペーストの3成分を資材として準備し、使用直前に、この3成分資材を同時混合し、発泡弾性止水シール材Zとして伸縮装置の遊間ボックスBに充填し、図7に示すような伸縮装置の止水構造を形成させる。
以下に、各資材の配合及び各調製準備方法について説明する。
【0031】
1.発泡剤及び反応触媒成分の調製
表1に記載の成分からなる混合液を高速回転(3000rpm)攪拌機で3分間混合攪拌し、均一混合分散液とする。
【0032】
【表1】

【0033】
2.ジオール混合液の調製
1)両端末OHプレポリマー(プレポリマージオール)の反応調製
表2に記載の配合のジオールAとジオールB及びポリマー化触媒を攪拌反応槽に投入し、よく混合攪拌する。
この混合液にイソシアネートプレポリマーを添加し、低速回転(35rpm)で攪拌しながら25℃×24時間反応する。
反応完結で淡黄色粘調なプレポリマージオールが生成された。
【0034】
【表2】

【0035】
2)ジオール混合液の調製
反応調製ジオールにOH末端ポリブタジエンポリマージオールを混合調製する。
表3に記載の配合混合液を攪拌槽内でよく攪拌混合し、均一な混合成分液とする。
【0036】
【表3】

【0037】
3.発泡ウレタンポリオール(主剤)の調製
主剤発泡ウレタンポリオールは、調製ジオール混合液と調製発泡剤及び反応触媒液を混合し、調製する。 表4に記載の配合混合液を攪拌槽内でよく攪拌混合し、主剤発泡ウレタンポリオール成分液とする。
【0038】
【表4】

【0039】
4.吸水ゲル化樹脂ペーストの調製
表5に記載の脂肪酸石鹸をキシレンで混合攪拌溶解し、シリコン系表面活性剤と可塑剤を添加し、均一な混合液を調製する。
この液に、攪拌しながら徐々に吸水ゲル化樹脂Gの粉末を添加し、混合吸水剤ペーストを調製する。
【0040】
5.発泡弾性止水シール材の調製
発泡弾性止水シール材Zは、前記調製した主剤ウレタンポリオール65部に対し、硬化剤イソシアネート(NCO%;6.5)を40部及び調製吸水ゲル化剤ペースト(純吸水ゲル化樹脂率%;54.2)を35部の比率で採取し、攪拌機で混合遊間止水材として充填、反応硬化させる。
【0041】
【表5】

【0042】
6.発泡弾性止水シール材の特性
以上のようにして調製した発泡弾性止水シール材Zの特性は以下のとおりであった。
表6に発泡弾性止水シール材の各配合資材の混合前の特性(25℃測定)を、表7に発泡弾性止水シール材の混合後の特性(硬化反応直前からの特性)(25℃×600ml混合測定)を、表8に発泡弾性止水シール材の常態の特性(反応発泡硬化後、72時間常温養生)を、表9に発泡弾性止水シール材の老化後の特性(反応発泡硬化後、72時間常温養生)を、それぞれ示す。
【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
【表9】

【0047】
7.伸縮遊間変形体積吸収特性の比較
表10に伸縮遊間変形体積吸収特性の比較(反応発泡硬化後、72時間常温養生)を示す。
この変形特性は、本発明の発泡弾性止水シール材Zが遊間弾性止水シール材として充填されたとき、伸縮変形でウエーブプレート面の接着界面vに変形歪み応力が発生しにくいことを意味する。
すなわち、本発明の発泡弾性止水シール材Zは、伸縮装置Aの伸縮に依る接着界面vの発生歪み応力が小さい(充填長さ方向においては、従来の弾性止水シール材の10%)ことを意味し、充填された発泡弾性止水シール材Zの歪み応力破断が起きないことが判る。
【0048】
【表10】

【0049】
8.伸縮止水試験
本発明の発泡弾性止水シール材Zを遊間100mmのプレート間に50t×1000Lで水平充填発泡硬化させ、72時間硬化養生後、上層に50mmの水を張り、伸縮量±30%の伸縮を3,000回繰り返すした場合に、漏水及び発泡弾性止水シール材Zの破断は認められなかった。
【0050】
以上の試験結果から、本発明の発泡弾性止水シール材Zは伸縮装置の遊間止水材としてその目的を充分達成するものであり、また、勾配充填が可能な伸縮装置Aの発泡弾性止水シール材Zであるということができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の発泡弾性止水シール材は、液体変形を伴わず自身で体積変化して追従可能な特性を有することから、伸縮する遊間の止水材として、その遊間が傾斜部である場合及び排水勾配傾斜が必要な場合においても、傾斜充填が可能であり、さらに、遊間の伸縮による遊間内部容量変化に対しても、その発泡気泡の変形で容量変化を吸収し、止水シール材の接着固定界面に発生する歪み応力が軽微で、歪み応力に依る止水材の破損がなく、また、その発泡気泡に浸入する水は、含有する吸水性樹脂が吸水ゲル化固定して止水機能を発揮する。
そして、このため、伸縮する遊間止水材として、あらゆる分野に適用できる止水シール材である。
【符号の説明】
【0052】
1 橋桁
A 伸縮装置
B 遊間ボックス
a 支承
C 弾性止水シール材
D バックアップ材
b 遊間ボックス左右プレート
f 伸縮装置のフェイスプレート隙間
P1 弾性止水シール材橋軸断面端部
v 弾性止水シール材接着界面
W 遊間
Q 充填弾性止水シール材断面中央部
P2 充填弾性止水シール材道路幅断面端部
Z 発泡弾性止水シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートの一部とでウレタン反応よりも早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにしたことを特徴とする発泡弾性止水シール材。
【請求項2】
発泡倍率を1.5〜3.5倍とし、発泡弾性止水シール材の内部に発泡気泡空間を33〜70%保有させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の発泡弾性止水シール材。
【請求項3】
発泡弾性止水シール材に、水を吸収してゲル化する吸水ゲル化樹脂を、発泡弾性止水シール材の真体積に対し、5〜20%体積量混入したことを特徴とする請求項1又は2記載の発泡弾性止水シール材。
【請求項4】
吸水ゲル化樹脂の粉末を可塑剤液に分散させたペースト状の混合物を、OH基を有するジオールを主成分とするポリオールに発泡ウレア反応のための水を添加分散させた主剤に、硬化剤として添加混合するイソシアネートとを混合する際に同時に添加混合し、イソシアネートの一部とでウレタン反応より早く発泡ウレア反応を起こさせることで発泡が先に行われるようにし、粘調流動性ウレタン反応樹脂液内に発泡気泡が混在した状態でウレタン反応硬化が進行するようにすることを特徴とする発泡弾性止水シール材の製造方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−168814(P2010−168814A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12728(P2009−12728)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(393024603)旭化工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】