説明

発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法

【課題】発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられる発泡接着剤の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】発泡接着剤15を介して中空構造物10と接着結合される発泡補強部材30が配設された中空構造物10の製造において、中空構造物10との接着面部36が発泡成形された発泡補強部材30を中空構造物10の内部に配設するとともに発泡補強部材30の接着面部36と中空構造物10との間にシート状の発泡接着剤15を設け、その後、発泡接着剤15を発泡させて発泡補強部材30を中空構造物10と接着結合させると共に、発泡接着剤15として、発泡前の厚さが発泡補強部材30の接着面部36と中空構造物10との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられたものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中空構造物の内部に発泡接着剤を介して接着結合される発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法に関し、特に、中空構造物との接着面部が発泡成形されてなる発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両における車体の一部を構成するサイドシルやピラーなどの車体構成部材は一般に、金属製の板状素材を中空状に形成した中空構造物として構成されている。また、車体構成部材として、中空構造物の内部に該中空構造物を補強するための樹脂製の補強部材を発泡接着剤によって取り付けたものも知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ピラーなどの金属製の中空構造物の中空部に該中空部を横断面において複数の分割室に仕切る仕切り壁を有する樹脂製の補強部材を配設するとともに少なくとも1つの分割室に発泡接着剤を配設し、この発泡接着剤を発泡させることによって補強部材を中空構造物に結合させるようにしたものが開示されている。
【0004】
このように、中空構造物の内部に配設させる補強部材を樹脂製とすることで、金属製の補強部材を配設させる場合に比べて重量の増加を抑制することができるものの、補強部材によって重量の増加を招くこととなるので、車体構成部材に用いる中空構造物においては、重量の増加を抑制しつつ中空構造物に内蔵した樹脂製の補強部材の補強効果を効果的に高めることが求められている。
【0005】
これに対し、樹脂に発泡剤を含有させた発泡性樹脂を成形型のキャビティ内に注入した後に成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に移動させて発泡性樹脂の発泡を促進させる所謂コアバック法(例えば特許文献2参照)を用いて成形した発泡性樹脂からなる補強部材を使用することにより、重量の増加を抑制しつつ補強部材の補強効果を効果的に高めることができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−191949号公報
【特許文献2】特開2009−241537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、中空構造物の内部に発泡接着剤を用いて補強部材を取り付ける場合、補強部材の外周を形成する周壁部を中空構造物の内面形状に対応した外面形状を有するように成形するとともに補強部材の周壁部にシート状の発泡接着剤を設け、この補強部材を中空構造物の内部に配設した後に、発泡接着剤を発泡させて補強部材を中空構造物に接着結合させることが考えられる。
【0008】
また、このようにして中空構造物と接着結合される補強部材において、中空構造物との接着面部である周壁部を、前述したコアバック法を用いて発泡成形させることで、重量の増加を抑制しつつ補強部材の補強効果を高めることできると考えられる。
【0009】
しかしながら、コアバック法を用いて発泡性樹脂の発泡を促進させた発泡性樹脂からなる補強部材(発泡補強部材)を成形する場合、発泡性樹脂を成形型のキャビティ内に注入した後に成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に移動させても、キャビティの容積を拡大する方向に移動させた成形型のキャビティ対向面の端部において該成形型の移動に完全に追従して発泡性樹脂が発泡成形されず、発泡成形された部分の端部において補強部材が所定形状に成形されないことがある。補強部材の中空構造物との接着面部を、前述したコアバック法を用いて発泡成形した場合、該接着面部の端部において所定形状に成形されないことがある。
【0010】
そして、このように、中空構造物との接着面部の端部が所定形状に成形されない補強部材の周壁部に所定厚さを有するシート状の発泡接着剤を設けて中空構造物の内部に配設した後に、発泡接着剤を発泡させて補強部材を中空構造物に接着結合させると、発泡接着剤は、発泡倍率が接着面部の端部に設けられた部分では該接着面部の中央部に設けられた部分に比して大きくなって補強部材と中空構造物との結合強度が弱くなる畏れがある。
【0011】
図5は、発泡補強部材が発泡接着剤を介して取り付けられたサイドシルの断面図である。図5に示すように、上面部101、下面部102及び両側の側面部103、104を備えて略矩形閉断面状に形成された中空構造物としてのサイドシル100に、サイドシル100を横切る方向に延びる板状の隔壁部115と該隔壁部115に結合され該隔壁部115の周囲を覆う板状の周壁部116とを備えた発泡補強部材110が発泡接着剤105を介して接着結合され、発泡補強部材110のサイドシル100との接着面部である周壁部116が発泡成形されたサイドシル100を製造する場合、先ず、発泡補強部材110とサイドシル100とが別々に所定形状に成形される。
【0012】
なお、図5に示す発泡補強部材110では、サイドシル100と接着結合される周壁部116は、サイドシル100の上面部101、下面部102及び両側の側面部103、104に略平行に設けられ該面部にそれぞれ接着結合されるサイドシル100との接着面部である上面部111、下面部112及び両側の側面部113、114を備えている。また、図5及び後述する図6から図9では、発泡補強部材110の周壁部116の内面を破線L1で示し、発泡補強部材110の周壁部116の発泡前の状態を二点鎖線L2で示している。
【0013】
図6は、サイドシルとの接着面部が発泡成形された発泡補強部材の成形方法を説明するための説明図であり、図6では、発泡補強部材を射出成形によって成形するための成形型の断面図を示している。図6に示すように、発泡補強部材110を成形する際には、発泡補強部材110の形状に応じて略矩形閉断面状に形成されたキャビティS1を有する成形型120を用いて成形され、成形型120は、上下左右4つの可動コア121、122、123、124とこれら可動コア121、122、123、124の間に配設される固定コア125、126、127、128とを備えて構成されている。
【0014】
そして、発泡性樹脂111aを注入する図示しない注入手段によって成形型120のキャビティS1に発泡性樹脂111aを充填した後に、成形型120の可動コア121、122、123、124をそれぞれキャビティS1の容積を拡大する方向に成形型120の外方側へ移動させると、可動コア121、122、123、124の移動に伴って発泡性樹脂111aの発泡が促進されて発泡成形され、サイドシル100と接着結合される接着面部である周壁部116が発泡成形された発泡補強部材110が成形される。
【0015】
図7は、図6のA部において成形型の可動コアが移動した状態を示す断面図である。図7に示すように、発泡性樹脂111aの充填後、図7において左側の可動コア123を成形型120の外方側(図7において左側)へ移動させると、発泡性樹脂111aは可動コア123の移動に伴って成形型120の外方側へ発泡成形されることとなるが、可動コア123のキャビティ対向面123aの端部123bでは発泡性樹脂111aが可動コア123の移動に完全に追従せずに、可動コア123のキャビティ対向面123aの中央部123cに比して発泡補強部材110の周壁部116の厚さが薄くなって成形されることがある。
【0016】
図6において上側の可動コア121、下側の可動コア122及び右側の可動コア124についても同様に、可動コア121、122、124のキャビティ対向面の端部では発泡性樹脂111aが可動コア121、122、124の移動に完全に追従せずに、可動コア121、122、124のキャビティ対向面の中央部に比して発泡補強部材110の周壁部116の厚さが薄くなって成形されることがある。
【0017】
このように、発泡補強部材110の周壁部116がコアバック法を用いて発泡成形された発泡補強部材110を成形した後、発泡補強部材110を別途所定形状に成形した金属製の略矩形閉断面状のサイドシル100の内部に配設するとともに発泡補強部材110の周壁部116に所定厚さを有するシート状の発泡接着剤105を設けて、その後に発泡接着剤105を発泡させる。
【0018】
図8は、発泡接着剤の発泡前後の状態を示す図であり、図8では、図5のB部に対応する部分について示している。図8(a)に示すように、発泡補強部材110の周壁部116に所定厚さを有するシート状の発泡接着剤105を設けた後に、発泡接着剤105を発泡させると、図8(b)に示すように、発泡補強部材110が発泡接着剤105を介して接着結合されたサイドシル100が製造されることとなるが、発泡接着剤105は、発泡倍率が発泡補強部材110の周壁部116の厚さが薄く成形された部分に設けられた部分で大きくなってしまうこととなる。
【0019】
図9は、発泡補強部材に設けられた発泡接着剤の発泡倍率を説明するための説明図であり、図8(a)のC部を拡大して示している。図9に示すように、サイドシル100の側面部103と発泡補強部材110の周壁部116との間隙がD1に設定され、厚さt1を有する発泡接着剤105が該周壁部116に設けられる場合、発泡補強部材110の周壁部116が薄く成形された部分では該間隙が間隙D1より大きい、例えばD2となり、この部分において発泡接着剤105の発泡倍率が大きくなることとなる。
【0020】
このように、中空構造物との接着面部が発泡成形されてなる発泡補強部材において、補強部材の接着面部の端部が所定形状に成形されない場合に、該補強部材を中空構造物の内部に配設するとともに該補強部材の接着面部と中空構造物との間に所定厚さを有するシート状の発泡接着剤を設けて、その後に発泡接着剤を発泡させて接着結合させると、発泡接着剤は、発泡倍率が補強部材の接着面部の端部に設けられた部分では該接着面部の中央部に設けられる部分に比して大きくなって補強部材と中空構造物との結合強度が弱くなり、補強部材による補強効果が低下する畏れがある。
【0021】
そこで、この発明は、発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられる発泡接着剤の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このため、本願の請求項1に係る発明は、中空構造物の内部に配設されるとともに発泡接着剤を介して中空構造物と接着結合される中空構造物を補強するための発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法であって、発泡性樹脂を成形型のキャビティ内に注入した後に該成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に移動させて中空構造物との接着面部が発泡成形された発泡補強部材を準備し、該発泡補強部材を中空構造物の内部に配設するとともに該発泡補強部材の接着面部と該中空構造物との間にシート状の発泡接着剤を設け、その後、該発泡接着剤を発泡させて発泡補強部材を中空構造物と接着結合させると共に、前記発泡接着剤として、発泡前の厚さが前記発泡補強部材の接着面部と前記中空構造物との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられたものを用いる、ことを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記発泡補強部材は、該発泡補強部材の接着面部が該接着面部と接着結合される前記中空構造物の接着面部と略平行になるように配設され、前記発泡接着剤として、発泡前に前記発泡補強部材の接着面部に設けられるとともに該発泡補強部材の接着面部の端部では該接着面部の中央部に比して厚く設けられたものを用いる、ことを特徴とする。
【0024】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記発泡補強部材は、隣接する2つの接着面部を備えるとともに、前記中空構造物が、該発泡補強部材の2つの接着面部にそれぞれ接着結合される隣接する2つの接着面部を備え、前記発泡補強部材の2つの接着面部によって形成される角部と前記中空構造物の2つの接着面部によって形成される角部とが接着結合される、ことを特徴とする。
【0025】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明において、前記発泡接着剤として、発泡倍率が一定となるように前記発泡補強部材の接着面部と前記中空構造物との間に設けられたものを用いる、ことを特徴とする。
【0026】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明において、前記中空構造物は、車体の一部を構成する車体構成部材である、ことを特徴とする。
【0027】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記発泡接着剤の発泡は、車体の塗装乾燥時の熱によって行われる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本願の請求項1に係る発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法によれば、発泡接着剤として、発泡前の厚さが発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられたものを用いることにより、発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられる発泡接着剤の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる。発泡補強部材の接着面部を発泡成形することにより重量の増加を抑制しつつ補強部材の補強効果を向上させるようにした発泡補強部材が接着結合された中空構造物の製造において、前記効果を有効に奏することができる。
【0029】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、発泡補強部材は、発泡補強部材の接着面部が該接着面部と接着結合される中空構造物の接着面部と略平行になるように配設され、発泡接着剤として、発泡前に発泡補強部材の接着面部に設けられるとともに発泡補強部材の接着面部の端部では該接着面部の中央部に比して厚く設けられたものを用いることにより、発泡補強部材の接着面部と該接着面部と接着結合される中空構造物の接着面部とが略平行に配設された中空構造物を製造する場合に、前記効果を具体的に実現することができる。
【0030】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、発泡補強部材は、隣接する2つの接着面部を備えるとともに、中空構造物が、発泡補強部材の2つの接着面部にそれぞれ接着結合される隣接する2つの接着面部を備え、発泡補強部材の2つの接着面部によって形成される角部と中空構造物の2つの接着面部によって形成される角部とが接着結合されることにより、中空構造物の角部を効果的に補強した中空構造物を製造することができる。
【0031】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、発泡接着剤として、発泡倍率が一定となるように発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられたものを用いることにより、発泡接着剤の発泡倍率を均一化させ、補強部材による補強効果をより一層向上させた中空構造物を製造することができる。
【0032】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、中空構造物は、車体の一部を構成する車体構成部材であることにより、車体の重量を抑制しつつ車体の剛性を向上させることができ、前記効果を具体的に実現することができる。
【0033】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、発泡接着剤の発泡は、車体の塗装乾燥時の熱によって行われることにより、発泡接着剤を発泡させるための工程を別途設ける必要がなく、車体の製造時に一般に施される塗装乾燥時に発泡接着剤を発泡させることができるので、既存の製造工程を利用することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る発泡補強部材が配設された中空構造物を適用したサイドシルを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発泡補強部材を示す斜視図である。
【図3】図1におけるY3a−Y3a線及びY3b−Y3b線に沿ったサイドシルの断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る発泡補強部材に設けられた発泡接着剤が発泡する前のサイドシルの断面図である。
【図5】発泡補強部材が発泡接着剤を介して取り付けられたサイドシルの断面図である。
【図6】サイドシルとの接着面部が発泡成形された発泡補強部材の成形方法を説明するための説明図である。
【図7】図6のA部において成形型の可動コアが移動した状態を示す断面図である。
【図8】発泡接着剤の発泡前後の状態を示す図である。
【図9】発泡補強部材に設けられた発泡接着剤の発泡倍率を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係る発泡補強部材が配設された中空構造物を適用したサイドシルを示す斜視図であり、図1では、センタピラーとの結合部を含むサイドシルを示している。なお、図1では、サイドシルの内部に配設された補強部材を明瞭に図示するために、サイドシルを構成するサイドシルインナ及びサイドシルアウタと、センタピラーを構成するセンタピラーインナ及びセンタピラーアウタとを二点鎖線で示し、これを透過状態で示している。
【0037】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発泡補強部材が配設された中空構造物を適用したサイドシル10は、車体の一部を構成する車体構成部材であり、車体下部において車体前後方向に延びるように配設されるとともに、該サイドシル10に車体上下方向に延びるセンタピラー20が結合されている。また、サイドシル10には、センタピラー20との結合部25の近傍において該結合部25の車体前方側及び車体後方側にそれぞれサイドシル10を補強するための補強部材30及び40が配設されている。
【0038】
サイドシル10は、車体の内面の一部を構成して車体前後方向に延びるサイドシルインナ11と、車体の外面の一部を構成して車体前後方向に延びるサイドシルアウタ12とによって中空状に形成されている。
【0039】
具体的には、サイドシルインナ11は、略水平方向に延びる上面部11aと、上面部11aに対向して上面部11aの下方に位置し、略水平方向に延びる下面部11bと、下面部11bから上面部11aまで略垂直方向に延びる側面部11cとを備え、車幅方向内方側(図1では左側である車内側)に側面部11cが膨出するようにして配設されている。
【0040】
サイドシルインナ11にはまた、上面部11aの車幅方向外方端部に上面部11aから上方へ延びる上フランジ部が形成されるとともに、下面部11bの車幅方向外方端部に下面部11bから下方へ延びる下フランジ部が形成され、サイドシルインナ11は、断面略ハット状に形成されている。
【0041】
一方、サイドシルアウタ12は、略水平方向に延びる上面部12aと、上面部12aに対向して上面部12aの下方に位置し、略水平方向に延びる下面部12bと、下面部12bから上面部12aまで略垂直方向に延びる側面部12cとを備え、車幅方向外方側(図1では右側である車外側)に側面部12cが膨出するようにして配設されている。
【0042】
サイドシルアウタ12もまた、上面部12aの車幅方向内方端部に上面部12aから上方へ延びる上フランジ部が形成されるとともに、下面部12bの車幅方向内方端部に下方へ延びる下フランジ部が形成され、サイドシルアウタ12は、断面ハット状に形成されている。
【0043】
そして、サイドシルインナ11とサイドシルアウタ12とは、上フランジ部及び下フランジ部どうしが接合され、これによってサイドシル10が中空状に形成されている。なお、サイドシルインナ11とサイドシルアウタ12とはそれぞれ、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工して形成され、サイドシルインナ11とサイドシルアウタ12とは、例えばスポット溶接などを用いて接合される。
【0044】
このようにして形成されるサイドシル10には、サイドシルインナ11の上面部11a及び側面部11cによってそれらの間に角部11dが形成され、サイドシルインナ11の下面部11b及び側面部11cによってそれらの間に角部11eが形成され、サイドシルアウタ12の上面部12a及び側面部12cによってそれらの間に角部12dが形成され、サイドシルアウタ12の下面部12b及び側面部12cによってそれらの間に角部12eが形成され、サイドシル10は略矩形閉断面状に形成されている。
【0045】
なお、以下では、適宜、サイドシルインナ11の側面部11cをサイドシル10の車幅方向内方側の側面部である内側面部11cとして表し、サイドシルアウタ12の側面部12cをサイドシル10の車幅方向外方側の側面部である外側面部12cとして表し、サイドシルインナ11の上面部11a、サイドシルアウタ12の上面部12aをサイドシル10の上面部11a、12aとして表し、サイドシルインナ11の下面部11b、サイドシルアウタ12の下面部12bをサイドシル10の下面部11b、12bとして表す。
【0046】
また、サイドシル10に結合されるセンタピラー20は、車体の内面の一部を構成して車体上下方向に延びるセンタピラーインナ21と、車体の外面の一部を構成して車体上下方向に延びるセンタピラーアウタ22とによって中空状に形成され、サイドシル10との結合部25において、センタピラーインナ21がサイドシルインナ11と一体的に形成されるとともにセンタピラーアウタ22がサイドシルアウタ12と一体的に形成されている。
【0047】
図2は、本発明の実施形態に係る発泡補強部材を示す斜視図、図3は、図1におけるY3a−Y3a線及びY3b−Y3b線に沿ったサイドシルの断面図であり、図3(a)は、Y3a−Y3a線に沿ったサイドシルの断面図、図3(b)は、Y3b−Y3b線に沿ったサイドシルの断面図である。なお、図2及び図3並びに後述する図4では、発泡補強部材の周壁部の内面を破線L11で示し、発泡補強部材の周壁部の発泡前の状態を二点鎖線L12で示している。
【0048】
サイドシル10のセンタピラー20との結合部25の車体前方側に配設される発泡補強部材30と、サイドシル10のセンタピラー20との結合部25の車体後方側に配設される発泡補強部材40とは同様に構成されて同様に成形されるので、以下では、発泡補強部材30についてのみ説明する。
【0049】
サイドシル10の内部に配設される発泡補強部材30は、図2及び図3に示すように、サイドシル10を横切る方向に延び、サイドシル10の内部を車体前後方向に区切る板状の隔壁部35と、該隔壁部35に結合され該隔壁部35の周囲を覆う板状の周壁部36とを備えている。
【0050】
隔壁部35は、図3に示すように、サイドシル10の内面形状に対応した外形形状を有し、サイドシル10の長手方向と直交する直交断面方向に延びるように形成されている。隔壁部35にはまた、隔壁部35から該隔壁部35と略直交する方向に延びる複数の板状のリブ37が設けられている。
【0051】
周壁部36もまた、サイドシル10の内面形状に対応した外形形状を有し、サイドシル10の上面部11a、12a、下面部11b、12b、内側面部11c及び外側面部12cにそれぞれ発泡性接着剤15を介して接着結合されるサイドシル10との接着面部である上面部31、下面部32、内側面部33及び外側面部34を備えて構成されている。
【0052】
発泡補強部材30は、リブ37が設けられていること以外は、前述した発泡補強部材110と同様に構成されており、発泡補強部材110と同様に射出成形によって成形され、発泡補強部材30の形状に応じて略矩形閉断面状に形成されたキャビティを有する成形型を用い、発泡性樹脂を該成形型のキャビティ内に注入した後に該成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に該成形型の外方側へ移動させて、サイドシル10との接着面部である周壁部36が発泡成形されて成形される。
【0053】
このようにして成形される発泡補強部材30では、前述した発泡補強部材110と同様に、キャビティの容積を拡大する方向に移動させた成形型のキャビティ対向面の端部では発泡性樹脂が該成形型の移動に追従せずに、該成形型のキャビティ対向面の中央部に比して発泡補強部材30の周壁部36の厚さが薄くなって成形されることとなる。
【0054】
図2に示すように、発泡補強部材30の周壁部36を構成する内側面部33について、内側面部33の端部33aでは、内側面部33の中央部33bに比べて内側面部33の厚さが薄くなって発泡成形されることとなる。発泡補強部材30の周壁部36を構成する上面部31、下面部32及び外側面部34についても同様に、上面部31、下面部32及び外側面部34の端部では、上面部31、下面部32及び外側面部34の中央部に比べて厚さが薄くなって成形されることとなる。
【0055】
サイドシル10では、このようにして成形される発泡補強部材30の周壁部36がサイドシル10の発泡補強部材30との接着面部と略平行になるように、具体的には発泡補強部材30の周壁部36を構成する上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34がそれぞれサイドシル10の上面部11a、12a、下面部11b、12b及び両側の側面部11c、12cと所定の間隙を有して略平行になるようにサイドシル10の内部に発泡補強部材30が配設され、発泡性接着剤15を介してサイドシル10と発泡補強部材30とが接着結合される。
【0056】
これにより、サイドシル10ではまた、発泡補強部材30が、隣接する2つの接着面部、具体的には上面部31と内側面部33、下面部32と内側面部33、上面部31と外側面部34、下面部32と外側面部34を備えるとともに、サイドシル10が、発泡補強部材30の隣接する2つの接着面部にそれぞれ接着結合される隣接する2つの接着面部、具体的には上面部11a、12aと内側面部11c、下面部11b、12bと内側面部11c、上面部11a、12aと外側面部12c、下面部11b、12bと外側面部12cとを備え、発泡補強部材30の2つの接着面部によって形成される角部30a、30b、30c、30dとサイドシル10の2つの接着面部によって形成される角部11d、11e、12d、12eとが接着結合される。
【0057】
このようにして構成される発泡補強部材30が配設されたサイドシル10を製造する場合、先ず、別々に所定形状に成形した発泡補強部材30とサイドシル10とを準備する。前述したように、サイドシル10は、サイドシルインナ11とサイドシルアウタ12とがそれぞれ、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工して所定形状に成形される一方、発泡補強部材30は、発泡補強部材30の形状に応じて略矩形閉断面状に形成されたキャビティを有する成形型を用い、発泡性樹脂を該成形型のキャビティ内に注入した後に該成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に該成形型の外方側へ移動させて、サイドシル10との接着面部である周壁部36が発泡成形されて所定形状に成形される。
【0058】
発泡補強部材30を成形するための成形型は、成形型120と同様に、発泡補強部材の周壁部36を構成する上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34がそれぞれ発泡成形されるように上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34を成形するためのキャビティ対向面を有する上下左右4つの可動コアとこれら可動コアの間に配設される4つの固定コアとを備えて構成されている。
【0059】
そして、前記成形型のキャビティに発泡性樹脂を充填した後に4つの可動コアをそれぞれキャビティの容積を拡大する方向に成形型の外方側へ移動させると、可動コアの移動に伴って発泡性樹脂の発泡が促進されて発泡成形され、サイドシル10と接着結合されるサイドシル10との接着面部である周壁部36が発泡成形された発泡補強部材30が成形される。
【0060】
前述したように、可動コアを成形型の外方側へ移動させると、可動コアのキャビティ対向面の端部では発泡性樹脂が可動コアの移動に追従せずに、可動コアのキャビティ対向面の中央部に比して発泡補強部材30の周壁部36の厚さが薄くなって成形されることとなる。
【0061】
本実施形態では、発泡補強部材30の上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34がそれぞれ可動コアを用いて発泡成形され、上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34の端部において上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34の中央部に比べてそれぞれ厚さが薄く成形され、発泡補強部材30の角部30a、30b、30c、30dでは発泡補強部材30の厚さが薄く成形されることとなる。
【0062】
そして、発泡補強部材30の周壁部36にシート状の発泡性樹脂15を設けた後に、発泡補強部材30をサイドシル10と所定の間隙を有するようにサイドシルインナ11とサイドシルアウタ12との間の所定位置に配設した状態でサイドシルインナ11とサイドシルアウタ12とを接合し、発泡補強部材30をサイドシル10の内部に配設するとともに発泡補強部材30の接着面部である周壁部36とサイドシル10との間にシート状の発泡接着剤15を設ける。なお、発泡補強部材30は、図示しないクリップ等を用いてサイドシル10の内部の所定位置に保持することができるようになっている。
【0063】
図4は、本発明の実施形態に係る発泡補強部材に設けられた発泡接着剤が発泡する前のサイドシルの断面図であり、図4(a)は、図3(a)に示す断面において発泡接着剤が発泡する前の状態を示し、図4(b)は、図3(a)のE部を拡大して示している。なお、図4(b)は、前述した図9に対応する断面について示している。
【0064】
本実施形態においても、図4(a)に示すように、発泡補強部材30のサイドシル10との接着面部である周壁部36にシート状の発泡接着剤35が設けられるものの、シート状の発泡接着剤35は、発泡前において発泡補強部材30の周壁部36とサイドシル10との間隙に応じて厚さが設定されている。
【0065】
図4(b)に示すように、サイドシル10の内側面部13と発泡補強部材30の周壁部36との間隙がD1に設定され、発泡補強部材30の周壁部36が薄く成形された部分では該間隙が間隙D1より大きい、例えばD2である場合、発泡接着剤15は、間隙がD1である部分では厚さt1を有し、間隙がD2である部分では厚さt1より厚い厚さt2を有するように設けられる。
【0066】
このように、発泡接着剤15は、発泡補強部材30の周壁部36とサイドシル10との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚さが厚く設けられる。サイドシル10では、発泡補強部材30のサイドシル10との接着面部である上面部31、下面部32及び両側の側面部33、34とサイドシル10の発泡補強部材30との接着面部である上面部11a、12a、下面部11b、12b及び両側の側面部11c、12cとが略平行に配設され、発泡接着剤15は、該接着面部の端部では該接着面部の中央部に比して発泡接着剤15の発泡前の厚さが厚く設けられる。
【0067】
また、発泡接着剤15は、発泡補強部材30の2つの接着面部によって形成される角部30a、30b、30c、30dとサイドシル10の2つの接着面部によって形成される角部11d、11e、12d、12eとが接着結合される部分においても、発泡補強部材30の周壁部36とサイドシル10との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられている。
【0068】
その後、サイドシル10を備えた車体には防錆処理として電着塗装が施され、サイドシル10では、この車体の電着塗装の乾燥時の熱によって発泡接着剤15が発泡され、サイドシル10と発泡補強部材30とが発泡接着剤15を介して接着結合されたサイドシル10が製造される。なお、電着塗装の乾燥は、例えば150〜170℃の温度に30分保持することにより行われる。
【0069】
このように、発泡接着剤15が発泡されると、発泡補強部材30の周壁部36とサイドシル10との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して発泡接着剤15の発泡前の厚さが厚く設けられているので、発泡補強部材30の接着面部とサイドシル10との間に設けられる発泡接着剤15の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる。
【0070】
なお、発泡樹脂剤15は、発泡倍率が一定となるように発泡補強部材30の接着面部とサイドシル10との間に設けられるものを用いることが好ましく、かかる場合には、発泡接着剤15の発泡倍率を均一化させ、補強部材30による補強効果をより一層向上させたサイドシル10を製造することができる。
【0071】
本実施形態では、発泡補強部材30について、周壁部36がコアバック法を用いて発泡成形されているが、隔壁部35についても同様にコアバック法を用いて発泡成形し、該隔壁部35の板厚を厚くすることが可能である。かかる場合には、重量の増加を抑制しつつ発泡補強部材の強度及び剛性を向上させることができ、補強部材の補強効果をさらに効果的に高めることができる。
【0072】
また、本実施形態では、中空構造物の内部に発泡接着剤を介して接着結合される発泡補強部材が配設された中空構造物としてサイドシルについて記載しているが、例えばセンタピラーなどのその他の車体構成部材の製造にも適用することができる。また、車体構成部材に限らず、中空構造物との接着面部が発泡成形されてなる発泡補強部材が発泡接着剤を介して接着結合されるその他の中空構造物の製造にも適用することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、これに限定するものではないが、発泡性樹脂に用いる樹脂として、PP樹脂、PA6樹脂、PA66樹脂、MXD樹脂などの樹脂を用いることができ、該樹脂にフィラーとしてガラス繊維、炭素繊維、タルクなどを含有させるようにしてもよい。例えば、発泡性樹脂として、30重量%ガラス繊維を含有させたポリアミド6樹脂である商品名:T−402(東洋紡績株式会社製)を用いることができる。また、発泡性樹脂に用いる発泡剤としては、超臨界状態にした二酸化炭素又は窒素等の不活性ガスを用いることができ、その他の物理発泡剤、あるいは化学発泡剤を使用することも可能である。
【0074】
一方、発泡接着剤としては、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができ、該樹脂にフィラーとして無機系のガラス繊維、炭酸カルシウム、タルク、クレーなど、有機系フィラーのパルプ繊維や木粉などを含有させるようにしてもよい。例えば、発泡接着剤として、商品名:L−5520(エルアンドエル・プロダクツ社製)を用いることができる。また、発泡接着剤に用いる発泡剤としては、超臨界状態にした二酸化炭素又は窒素等の不活性ガスを用いることができ、その他の物理発泡剤、あるいは化学発泡剤を使用することも可能である。
【0075】
また、発泡補強部材30に設けられる発泡接着剤15は、発泡補強部材30と同様に射出成形によってシート状に成形することができる。例えば、発泡補強部材30を成形した後に、別の成形装置の成形型に発泡補強部材30をインサートし、発泡補強部材30の外周にシート状の発泡接着剤15を射出成形によって成形することができる。また、発泡補強部材30を成形するための成形型において発泡補強部材30を成形した後に該成形型を所定厚み開いて、その隙間に発泡接着剤15を射出成形によって成形する、所謂二重成形(二色成形)によって発泡接着剤15をシート状に成形することも可能である。
【0076】
このように、本実施形態に係る発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法では、発泡性樹脂を成形型のキャビティ内に注入した後に該成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に移動させて中空構造物との接着面部が発泡成形された発泡補強部材を準備し、該発泡補強部材を中空構造物の内部に配設するとともに該発泡補強部材の接着面部と該中空構造物との間にシート状の発泡接着剤を設け、その後、該発泡接着剤を発泡させて発泡補強部材を中空構造物と接着結合させると共に、発泡接着剤として、発泡前の厚さが発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられたものを用いる。
【0077】
これにより、発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられる発泡接着剤の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる。発泡補強部材の接着面部を発泡成形することにより重量の増加を抑制しつつ補強部材の補強効果を向上させるようにした発泡補強部材が接着結合された中空構造物の製造において、前記効果を有効に奏することができる。
【0078】
また、発泡補強部材は、隣接する2つの接着面部を備えるとともに、中空構造物が、発泡補強部材の2つの接着面部にそれぞれ接着結合される隣接する2つの接着面部を備え、発泡補強部材の2つの接着面部によって形成される角部と中空構造物の2つの接着面部によって形成される角部とが接着結合されることにより、中空構造物の角部を効果的に補強した中空構造物を製造することができる。中空構造物をサイドシル30に適用した場合、例えば側突時に外部から荷重が作用する際に、サイドシルの角部を効果的に補強することができ、サイドシルの断面変形を効果的に抑制することができる。
【0079】
更に、中空構造物は、車体の一部を構成する車体構成部材であることにより、車体の重量を抑制しつつ車体の剛性を向上させることができ、前記効果を具体的に実現することができる。
【0080】
また更に、発泡接着剤の発泡は、車体の塗装乾燥時の熱によって行われることにより、発泡接着剤を発泡させるための工程を別途設ける必要がなく、車体の製造時に一般に施される塗装乾燥時に発泡接着剤を発泡させることができるので、既存の製造工程を利用することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0081】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、発泡補強部材の接着面部と中空構造物との間に設けられる発泡接着剤の発泡倍率を略均一化させ、補強部材による補強効果を向上させた中空構造物を製造することができる発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法を提供することができ、例えばサイドシルなどの車体構成部材の製造において有効に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
10、100 サイドシル
15、105 発泡接着剤
30、110 発泡補強部材
36、116 周壁部
120 成形型
S1 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造物の内部に配設されるとともに発泡接着剤を介して中空構造物と接着結合される中空構造物を補強するための発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法であって、
発泡性樹脂を成形型のキャビティ内に注入した後に該成形型の少なくとも一部をキャビティの容積を拡大する方向に移動させて中空構造物との接着面部が発泡成形された発泡補強部材を準備し、
該発泡補強部材を中空構造物の内部に配設するとともに該発泡補強部材の接着面部と該中空構造物との間にシート状の発泡接着剤を設け、
その後、該発泡接着剤を発泡させて発泡補強部材を中空構造物と接着結合させると共に、
前記発泡接着剤として、発泡前の厚さが前記発泡補強部材の接着面部と前記中空構造物との間隙が大きい部分では該間隙が小さい部分に比して厚く設けられたものを用いる、
ことを特徴とする発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。
【請求項2】
前記発泡補強部材は、該発泡補強部材の接着面部が該接着面部と接着結合される前記中空構造物の接着面部と略平行になるように配設され、
前記発泡接着剤として、発泡前に前記発泡補強部材の接着面部に設けられるとともに該発泡補強部材の接着面部の端部では該接着面部の中央部に比して厚く設けられたものを用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。
【請求項3】
前記発泡補強部材は、隣接する2つの接着面部を備えるとともに、前記中空構造物が、該発泡補強部材の2つの接着面部にそれぞれ接着結合される隣接する2つの接着面部を備え、前記発泡補強部材の2つの接着面部によって形成される角部と前記中空構造物の2つの接着面部によって形成される角部とが接着結合される、
ことを特徴とする請求項1に記載の発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。
【請求項4】
前記発泡接着剤として、発泡倍率が一定となるように前記発泡補強部材の接着面部と前記中空構造物との間に設けられたものを用いる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。
【請求項5】
前記中空構造物は、車体の一部を構成する車体構成部材である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。
【請求項6】
前記発泡接着剤の発泡は、車体の塗装乾燥時の熱によって行われる、
ことを特徴とする請求項5に記載の発泡補強部材が配設された中空構造物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−135977(P2012−135977A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290668(P2010−290668)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】