説明

発泡製品の製造方法

発泡製品は、連続気泡フォームの体積の少なくとも90%を占めるボイドを備えた可撓性の連続気泡フォームから成るコア層(1)から始まって製造される。コア層(1)を選択的に上側カバー層(3)及び/又は下側カバー層(2)と一緒に、下側金型面(5)と上側金型面(9)との間で金型(6,8)内に配置する。金型(6,8)を閉鎖し、硬化可能な発泡性の配合物(7)が金型内で発泡するようにして連続気泡フォームのボイドを充填する別のフォームが生じるようにする。少量の発泡性配合物(7)を使用して連続気泡フォームのボイドを充填することができるようにするため、コア層(1)を下側金型面(5)上に敷設し、発泡性配合物(7)を下側金型面(5)上に位置するコア層(1)に吹き付けて、発泡性配合物(7)が重力によって連続気泡フォームコア層(1)中に少なくとも部分的に浸透することができるようにする。さらに、発泡性配合物(7)は、コア層(1)に達したとき、1/sの剪断速度で測定して、1000mPa.s未満の動的粘度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡製品、特にシート状又はパネル状の製品の製造方法であって、製品のために少なくともコア層を用意するステップを有し、コア層は、可撓性の連続気泡フォームから成り、連続気泡フォームは、この連続気泡フォームの体積の少なくとも90%を占める開放ボイドを有し、更に、コア層を下側金型面と上側金型面との間に配置するステップと、コア層を上側金型面と下側金型面との間に維持した状態で、硬化可能な発泡性のイソシアネートを主成分とする液体配合物が連続気泡フォームの開放ボイド内で発泡して開放ボイドを充填する別のフォームを生じさせることができるようにするステップと、得られた発泡製品を上側金型面と下側金型面との間から取り出すステップとを有する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、連続気泡フォーム、特に網状フォームの開放ボイドをフォームで充填してフォーム充填連続気泡フォームを形成する2つの異なる方法が開示されている。
【0003】
米国特許第4548861号に開示されている第1の方法では、連続気泡フォームは、網状ポリウレタンフォームであり、このフォームは、このフォームが電磁波を吸収するようこのフォームには誘電性及び/又は磁性粒子があらかじめ装填されているので比較的剛性である。かかる網状フォームから成る硬質の構造用パネルを製作するため、網状フォームの連続気泡(即ち、開放ボイド)は、独立気泡硬質ポリウレタンフォームで満たされる。これは、独立気泡ポリウレタンフォームを作るための発泡性配合物を金型内に注ぎ込み、次に網状フォームのシートを発泡性配合物の頂部上で金型内に位置決めすることにより行われる。次に、金型を閉鎖して発泡性配合物が膨張又は発泡して網状フォームシートの隙間(開放ボイド)中に入ることができるようにする。
【0004】
第2の方法では、カバー層が網状フォーム層の両側に被着されてサンドイッチ構造体を形成する。かかる方法は、例えば、特開平11−042655号公報に開示されている。この方法では、網状フォーム層は、2つのカバー層を互いに離した状態に保つためのスペーサ材料としての役目を果たす。サンドイッチ構造体を形成するため、網状フォーム層及びカバー層を金型内に位置決めし、金型を閉鎖し、硬化可能な発泡性配合物を反応射出成形(RIM)法によって閉鎖金型内に射出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4548861号明細書
【特許文献2】特開平11−042655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら両方の先行技術の方法の欠点は、網状フォームの開放ボイドを別のフォームで実質的に完全に満たすことができるようにするためには発泡性配合物を比較的高い過剰充填度で塗布しなければならない(即ち、製造されたフォームの平均密度は、その自由膨張(free rise)密度よりもかなり高くなければならない)ということにある。第1の方法では、発泡性配合物は、確かに、全部が網状フォーム中に膨れ上がらなければならない。フォームの膨れ上がり中における発泡中の配合物の粘度の増大に起因して、網状フォームのストラットによりもたらされる抵抗も又増大し、その結果、発泡性配合物が完全に網状フォーム中に浸透することができるようにするためには多量の発泡性配合物が必要である。第2の方法では、1つの射出ゲート(又は限られた数の射出ゲート)を通って発泡性配合物を金型キャビティ内に射出する。発泡中の配合物が金型内で網状フォームを通って側方に広がらなければならない距離が比較的長いので、この場合も又、これ又金型の遠隔の場所に位置する網状フォームを充填するためには金型内に多量の発泡性配合物を射出しなければならない。
【0007】
本発明の目的は、今や、連続気泡フォームの開放ボイドを充填するのに必要な発泡性配合物の量を減少させることができる新規な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の方法は、硬化可能な発泡性配合物をコア層に吹き付け、硬化可能な発泡性配合物が、コア層に達すると、1/sの剪断速度で測定して1000mPa.s未満の動的粘度を有し、コア層が、発泡性配合物をコア層に吹き付ける際に布設位置に保持され、その結果、吹き付けられた発泡性配合物が、重力によりコア層の連続気泡フォーム中に少なくとも部分的に浸透するようになることを特徴とする。
【0009】
本発明者は、この方法により、連続気泡フォームの連続気泡又は換言すると開放ボイドを充填するのに必要な発泡性配合物の量を減少させることができ、開放ボイドは、好ましくは、上述の別のフォームで少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%について充填されることを発見した。
【0010】
例えばコア層がカバー層で覆われていない場合又はコア層が開放カバー層(開口部が示されている)により覆われている場合、発泡性配合物を少なくとも部分的に直接連続気泡フォームの開放ボイド中に吹き込むことができる。他方、コア層が、閉鎖されているが浸透性のカバー層で覆われている場合、このカバー層の頂部に吹き付けられた低粘度発泡性配合物は、重力によりカバー層中に浸透することができ、かかる配合物が膨れ上がり始める前に且つこれが流れるには粘度が高すぎるようになる前に、連続気泡フォーム中に更にしみ込むことができる。連続気泡フォームの材料は、好ましくは、材料それ自体、即ち、気泡ストラットが発泡性配合物を実質的に吸収しないようなものである。このように、これ又連続気泡フォームを充填するのに必要な発泡性材料は少量で済む。
【0011】
網状フォームコアの開放ボイドを発泡性配合物で充填することは、米国特許第5135959号から既に知られている。しかしながら、この技術文献に記載された発泡性配合物は、イソシアネートを主成分とする発泡性配合物ではなく、ポリイミドフォーム前駆物質である。かかるフォーム前駆物質を用いることにより、幾つかの欠点が生じる。先ず最初に、ポリイミドフォーム前駆物質は、通常、粉末の形態で塗布される。米国特許第5135959号によれば、かかる粉末を比較的細かい気泡(セル)のある網状フォーム(直線1インチ当たり10〜100個の細孔を有する)上に散布し、次にこのフォームを金型内に配置してポリイミド前駆物質の発泡及び硬化温度まで加熱し、その結果、ポリイミドフォームが網状フォームの開放ボイドを充填するようにする。開示した例によれば、かかるポリイミドフォーム前駆物質は、この前駆物質が発泡することができるようにするためには20分間の間200℃を超える加熱温度(この温度は、米国特許第3554939号から明らかなように、前駆物質の融点よりも高い)を必要とし、ポリイミドフォームの硬化を可能にするためには数時間にわたり更にはこれよりも非常に高い温度(235℃)を必要とする。本発明によるイソシアネートを主成分とする発泡性配合物を用いることにより、発泡性配合物を発泡させたり硬化させたりするためにかかる高い温度及び長い時間が必要であるという欠点が全くなくなる。これとは対照的に、イソシアネートを主成分とする発泡性配合物の反応性が通常高いので、本発明により、比較的低い温度(120℃未満、更には90℃未満)で且つほんの数分という短い時間で発泡性配合物を硬化させることができる。ポリイミドフォーム前駆物質を粉末として塗布するという技術の他に、米国特許第5135959号は又、網状フォームに粘性ポリイミドフォーム前駆物質を含浸させることを開示している。これは、溶剤で薄められた液体ポリイミドフォーム前駆物質を網状フォームに吹き付け又は網状フォームをポリイミドフォーム前駆物質中に浸漬させて過剰の液体ポリイミドフォーム前駆物質を絞り出し、その後に網状フォームをオーブン内に配置して上述したようにポリイミドフォームを発泡させて硬化させることによって実施できる。液体ポリイミドフォーム前駆物質を塗布する場合であっても、ポリイミドフォームを発泡させて硬化させる前に乾燥ステップが別途必要である。液体フォーム前駆物質の過剰分を絞り出してフォーム前駆物質の硬化前に溶剤を乾燥させるこれら追加の処理ステップは、本発明の方法によって全て回避される(本発明の方法では、硬化可能な発泡性のイソシアネートを主成分とする配合物は、十分に低い粘度を有するようにするためには溶剤を含む必要がなく、しかも、この発泡性配合物は、好ましくは、溶剤を含まないか、含むとしても5重量%未満である)。さらに、液体フォーム前駆物質の過剰分を絞り出す必要なく、本発明の方法により、低い過剰充填度を得ることができ、即ち、網状フォームコアの開放ボイドを充填するのに必要な発泡性配合物の量を減少させることができる。これは、低粘度のイソシアネートを主成分とする発泡性の配合物を連続気泡フォームに吹き付けてこの配合物が重力によって少なくとも部分的に連続気泡フォーム中に浸透することができ、その結果、配合物がより自由に膨れ上がることができ、その結果網状フォームの開放ボイドを充填するのに必要な発泡性配合物が少量であるようにすることによって達成される。本発明の方法では、コア層に吹き付けられる発泡性配合物の全ては、好ましくは、発泡することができ、その結果、発泡ステップに先立って発泡性配合物の過剰分を除去することが不要になっている。
【0012】
発泡性のイソシアネートを主成分とする配合物をサンドイッチ構造体の両方のカバー層に吹き付けることは、特に仏国特許出願公開第2171949号及び独国特許出願公開第10153973号からそれ自体既に知られている。これら先行技術の方法で用いられるコア層は、比較的硬質のハニカム構造体であり、このハニカム構造体は、本発明の方法においてコア層として用いられる可撓性の連続気泡フォーム層とは対照的である。仏国特許出願公開第2171949号に開示された方法は、連続法であり、この方法では、発泡性配合物を2つのカバー層の内側に吹き付け、次に、これらカバー層をハニカムコア層に被着させて発泡中の配合物がコア層中に部分的に浸透してカバー層をコア層にくっつけるようにする。独国特許出願公開第10153973号に開示されている方法では、第1のカバー層を金型内に位置決めし、発泡性配合物の第1の部分をこの第1のカバー層に吹き付け、ハニカムコア層を第1のカバー層上に位置決めし、第2のカバー層をコア層上に位置決めし、発泡性配合物の第2の部分を第2のカバー層に吹き付けて金型を閉鎖する。発泡性配合物は、膨れ上がってフォームを形成し、このフォームは、再びコア層中には部分的にしか浸透せず、それによりこのコア層をカバー層にくっつける。
【0013】
これら公知の方法の欠点は、用いられるハニカムコア層を三次元の形をした金型面の形状に容易には一致させることができず、かかるハニカムコア層は、これらが比較的大きな変形を受けると裂け又は割れる場合が多いということにある。したがって、本発明の方法では、可撓性の連続気泡フォーム層、特にドレープ性のフォーム層を用い、このフォーム層は、三次元形状の金型内に容易に配置及び変形可能である。連続気泡フォーム層の他の利点は、これがハニカム構造体よりも低い比重量を有することができるということにある。しかしながら、ハニカム層とは対照的に、可撓性の連続気泡フォーム層は、圧縮に対する或る程度の抵抗を得るには別のフォームで実質的に全体に充填されなければならない。
【0014】
国際公開第2007/101868号は、各々がガラス繊維被覆層で覆われたハニカムコア層の2つの側に先ず最初に低密度の硬化性ポリウレタン配合物を吹き付け、その後、この層状材料を圧縮金型内で圧縮すると共に硬化させる方法を開示している。この方法の欠点は、ハニカムコア材料の実質的に完全な充填を達成するためには比較的多量の硬化性配合物が必要であり、かくして、その結果として、高価且つ重いサンドイッチ材料が生じるということにある。これは、第1に、ハニカム材料の構造体により、硬化性材料がハニカム材料のあらゆる方向に分配されるのが阻止され、第2に、ポリウレタン配合物がハニカムコア材料によって吸収されるということに起因している。しかしながら、上述したように、本発明は、コア層として連続気泡フォームを用い、発泡性配合物をこのコア層が布設位置に保持されている状態でこのコア層に吹き付けてこの発泡性配合物が重力より少なくとも部分的に直ちにコア層の連続気泡フォーム中に浸透することができるようにするという解決策をこの問題に対して提供する。連続気泡フォーム層により、発泡性配合物をこの層のあらゆる方向に分配することができ、その結果、連続気泡の全てが充填されるようにするために発泡性配合物の過剰分を吹き付けることが、コア層の片側にだけ吹き付けた場合であっても、不要である。可撓性の連続気泡フォーム層を用いた場合の利点は、かかるフォーム層の重量がハニカム構造体の重量よりも非常に小さいものであることができるということ及び可撓性の連続気泡フォーム層が容易に伸びることができ、その結果、国際公開第2007/101868号に開示されている方法とは対照的に、コア層にしわをよせて成形中にひだを形成するという、得られる製品の重量を一段と増大させることが不要であるということにある。
【0015】
本発明の方法の好ましい実施形態では、連続気泡フォーム、特に網状フォームの平均セルサイズは、2000〜7000μm、好ましくは3000μmを超え、より好ましくは4000μmを超える。
【0016】
かかる比較的大きなセルサイズを有するフォーム、特に網状フォームは、発泡性配合物の浸透及びフォームの膨れ上がりに対する抵抗を小さくすることができる。
好ましくは、コア層中の連続気泡フォームは、その非圧縮状態では、少なくとも平均セルサイズに等しく、好ましくは平均セルサイズの20倍未満であり、より好ましくは平均セルサイズの10倍未満であり、最も好ましくは平均セルサイズの5倍未満の平均厚さを有する。
【0017】
このように、連続気泡フォームは、十分に凝集性である一方で、発泡性配合物は、吹き付け直後にコア層中に比較的遠くまで浸透することができ、その後に膨れ上がりを開始する。
【0018】
本発明の方法では、発泡製品を製造するのに用いられる発泡性材料を全量、布設位置に保持されたコア層に吹き付ける必要はない。例えば、発泡性配合物の一部分を下側金型面、特にこの下側金型面上に布設されている第1のカバー層に吹き付け、その後コア層を下側金型面上又はこの第1のカバー層上に位置決めすることができる。また、発泡性配合物の一部を上側金型面、特に上側金型面に被着されている第2のカバー層に吹き付け、その後この上側カバー層をコア層の頂部上に位置決めすることができる。かくして、発泡性配合物のこれらの部分は、コア層とカバー層の付着性を向上させるのに役立ち得る。しかしながら、製造されたフォームの平均密度を減少させることができるようにするために好ましくは、発泡性配合物の少なくとも75重量%分、より好ましくは少なくとも90重量%分を、このコア層が布設位置に保持されている状態でコア層に吹き付けることによってこれを被着させる。
【0019】
本発明の方法は、連続成形法又は不連続成形法のいずれかである。本発明の方法が連続法である場合、上側金型面及び下側金型面は、コンベヤシステムによって形成される。本発明の方法が不連続法である場合、上側金型面及び下側金型面は、開閉可能な金型の上側部分及び下側部分によって形成される。不連続法では、コア層は、これを下側金型面上に布設することによりその布設位置に保持され、その後、発泡性配合物をコア層に吹き付ける。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の方法による幾つかの特定の実施形態についての以下の説明から明らかになろう。本明細書において用いられる参照符号は、添付の図面と関連している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】下側カバー層、連続気泡フォーム層から成るコア層及び上側カバー層が、下側金型面上に布設され、発泡性配合物がコア層、特にコア層上に布設されている上側カバー層に吹き付けられている圧縮成形用金型を示す単純化された垂直断面図である。
【図2】圧縮成形用金型を閉鎖し、発泡性配合物が発泡すると共に硬化して連続気泡フォーム層の連続気泡を別のフォームで充填している状態である、次の製造ステップを示す図である。
【図3】製造された発泡製品、特に、発泡性配合物から作られたフォームで充填された連続気泡コア層及びコア層に被着された2つのカバー層により形成されたサンドイッチ構造体の断面図である。
【図4】図3の断面の一部分の拡大図である。
【図5】金型の垂直断面図の拡大詳細図であり、下側及び上側カバー層並びにコア層が位置決めされ、インサートがこれら層の全てを貫通して挿入された状態を示す図である。
【図6】金型の縦断面図の拡大詳細図であり、下側及び上側カバー層並びにコア層が位置決めされ、インサートが下側コア層のみを貫通して挿入された状態を示す図である。
【図7】連続製造方法を示す図である。
【図8】所与の量の発泡性ポリウレタン配合物が吹き付けられ、そして発泡した網状フォームの写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義及び試験方法

オーバーパック又は過剰充填度
この値は、連続気泡フォームの連続気泡中の発泡性配合物(連続気泡フォームが発泡性配合物で完全に充填されていると仮定する)の自由膨張密度と、この発泡性配合物により作られた別のフォームの実際の密度の差を示している。これは以下の公式によって求められる。
【数1】

【0023】
実際には、製造された製品の体積(Va)、製造された製品の重量(Wa)及びコア層の重量(Wc)に基づいて以下の公式により成形密度を求めることができる。
【数2】

かくして、成形フォーム密度を求める際、連続気泡フォームにより(即ち、連続気泡フォームのストラット及び任意の独立気泡により)占められる体積は、考慮に入れられない。
【0024】
1つ又は2つ以上のカバー層が存在する場合、これらカバー層の体積及び重量並びにこれらカバー層中に含まれる硬化状態の発泡性配合物の重量は、考慮に入れられるべきではない(例えば、カバー層を除去すると共に、上述したように発泡製品の残りのコア部分に関する成形密度を求めることによって)。
【0025】
自由膨張密度:ISO1183に従って求められる。
【0026】
連続気泡フォーム
連続気泡フォームは、フォームの体積の少なくとも90%を占める開放ボイドを含むフォームである。連続気泡フォームの開放ボイドは、ストラット又は連続気泡フォーム中に存在する場合のある独立気泡によって占められない連続気泡フォームの体積である。
【0027】
網状フォーム
網状フォームは、連続気泡フォームの特定の形式である。網状フォームは、完成状態の独立気泡又は連続気泡フォームを気泡壁の破壊又は除去により完全連続気泡のフォームに変換することにより作られる。網状フォームを形成する種々の機械的、化学的及び熱的方法は、公知であり、例えば、米国特許第3405217号、同第3423338号、同第3425890号及び同第4670477号に開示されている。
【0028】
平均セルサイズ(気泡の大きさ)
このサイズは、国際公開第2007/031517号の第8頁第21行乃至第9頁第8行に記載されているレクチセル(Recticel)社開発のヴィジオセル(Visiocell)方法により求めることができる。
【0029】
ドレープ性及びドレープ適性
ドレープ性コア層は、三次元形状の金型面上にドレープでき、即ち、かかる金型面を全体としてその輪郭を辿って覆うことができるコア層である。このコア層は、特に、ASTM4032に従って測定して、150N未満、好ましくは100N未満、より好ましくは50N未満の曲げ抵抗を有する。
【0030】
曲げ抵抗
コア層の曲げ抵抗は、欧州特許第1323398号の実施例に記載されている改訂円形曲げ試験即ち、ASTM4032−82によって求められる。
【0031】
図1及び図2に示されている方法では、発泡製品、特に三次元形状のサンドイッチ構造体が作られ、このサンドイッチ構造体は、図3及び図4に更に示されている。発泡製品は、可撓性の連続気泡フォームから成るコア層1と、このコア層1の下側に被着された下側カバー層2と、コア層1の上側に被着された上側カバー層3とを有している。連続気泡フォームは、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の連続気泡を有している。連続気泡フォームコア層1のこれら連続気泡又は開放ボイドは、別のフォーム4で少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%について充填されている。この別のフォーム4は、コア層1の連続気泡フォームよりも小さいセルサイズを有している。
【0032】
カバー層2,3は、特に補強層、より詳細には、繊維、例えばガラス繊維マット又は細かいガラス繊維ベール、ガラス繊維不織布、ガラス繊維ランダム構造、ガラス繊維組織、細断又は粉砕ガラス又は鉱物繊維、天然繊維マット、天然繊維編成又は織成織物、細断天然繊維及び細断天然繊維マット、ポリマー繊維主体の繊維不織布及び編成布、炭素繊維、アラミド繊維又はこれらの混合物を含む。補強層は、コア層の両側において同一であっても良く、異なっていても良い。本発明は、カバー層又はカバー層のみとして補強層には限定されない。カバー層のうちの一方又は両方は、美的な層、例えば皮革又は人工皮革スキン、カーペット又はクロステキスタイル層を更に有するのが良い。かかる美的層は、製品の目に見える正面側を形成し、かかる層は、発泡性配合物に対して浸透性である場合、外側美的カバー層とコア層との間に追加の不浸透性カバー層を設ける必要がある。カバー層は、硬質であっても良く、特に、例えば壁パネル若しくはテーブルトップ又は構造的用途のための他の製品を覆うために用いられる硬質のシート、例えば金属シート又は木製シートで作られても良い。
【0033】
コア層1は、サンドイッチ構造体を成形する際、カバー層2,3をサンドイッチ構造体の表面の近くに(引っ張り応力の最も高い位置に)保つようになっている。コア層1は、可撓性の連続気泡フォームから成る。かかる可撓性フォーム層1の重要な利点は、例えば硬質ハニカム構造体と比較して、この可撓性フォーム層を複雑な三次元形状の金型面に極めて容易に、即ち、裂け、割れ又は損傷の恐れなく被着させることができるということにある。可撓性の連続気泡フォーム層、特に網状フォーム層は又、ハニカム構造体の密度よりも低い密度を有することができ、更に、これを三次元形状の金型面に被着する際にしわが付けられる必要がなく、かくして、その結果として、この場合も又、製造された製品が軽量化される。コア層1の連続気泡フォームは、好ましくは、伸縮性であり、好ましくは、ISO1798に従って測定して、少なくとも100%、好ましくは少なくとも150%の伸び率を有する。
【0034】
コア層1の連続気泡フォームは、ポリマー熱可塑性フォーム、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴムフォームであっても良く、ポリマー熱硬化フォーム、例えばポリウレタンフォームであっても良い。ポリマーフォームは、米国特許出願公開第2006/0026970号に記載されているような多くの種々の技術に従って製造できる。好ましい連続気泡フォームは、網状フォーム、特に網状ポリウレタンフォームである。好ましくは、連続気泡フォームの平均セルサイズは、2000〜7000μm、より好ましくは3000μmを超え、最も好ましくは4000μmを超える。
【0035】
コア層1は、好ましくは、非常に可撓性が高く、ISO527−3に従って測定した、そのE−モジュラスは、0.5MPa未満である。コア層1は、更に好ましくは、これを金型面上に非常に簡単に布設できるようドレープ性である。コア層1の連続気泡フォームの密度は、好ましくは、60kg/m3未満、より好ましくは50kg/m3未満、最も好ましくは40kg/m3未満である。この連続気泡フォームは、更に好ましくは、ISO3386/1に従って測定して、20kPa未満、より好ましくは15kPa未満、最も好ましくは10kPa未満のCLD40%硬度を有する。
【0036】
連続気泡フォームの開放ボイドを充填する別のフォーム4は、発泡後の製品の所要の特性に応じて、可撓性フォームであっても良く、硬質フォームであっても良い。別のフォーム4は、イソシアネートを主成分とするフォーム、特にポリウレタンフォーム、ポリイソシアネートフォーム、ポリウレアフォーム又はポリウレア改質ポリウレタンフォームである。
【0037】
発泡製品、特に図3及び図4に示されているサンドイッチ構造体を製造するため、図1に示されているように、下側金型部分6の表面5上に下側カバー層2、コア層1及び上側カバー層3を互いに重ねて布設する。層1〜3を下側金型表面5上に次々に布設しても良く又は同時に布設しても良い。下側金型面上に布設する前に、閉じられたフィルムの生成を回避するためにこれら層を選択的に、好ましくは局所的にのみ、互いにくっつけるのが良い。
【0038】
層1〜3を金型内に配置した後、硬化可能な発泡性配合物7をこれら層の頂部に吹き付けてコア層1のボイド内に別のフォーム4を生じさせると共に層1〜3を互いにくっつける。この発泡性配合物は、硬化性のイソシアネートを主成分とする配合物、特にポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリウレア又はポリウレア改質ポリウレタン生成配合物から成る。イソシアネートを主成分とする配合物は、好ましくは、連続気泡フォーム層に吹き付けられると、既に硬化し始める反応性混合物である。
【0039】
明らかなこととして、上側カバー層3は、開放層、即ち、孔を備えた層及び/又は発泡性配合物7に対して透過性の層であるべきであり、その結果、発泡性配合物がコア層1中に浸透することができるようになっている。下側カバー層2は、これとは対照的に、閉鎖された不浸透性層であるのが良い。したがって、下側カバー層2は、不浸透性の美的カバー層、例えば熱硬化性又は熱可塑性合成スキン層であるのが良い。かかる合成スキン層は、あらかじめ作られて下側金型面上に位置決めされても良く、或いは、例えば吹き付け法、熱成形性法又はスラッシュ成形法により下側金型面に被着形成しても良い。スキン層は、好ましくは、ポリウレタン反応混合物を金型面に吹き付けることにより得られるエラストマーポリウレタンスキン層である(これについては、例えば、欧州特許第0303305号及び同第0389014号を参照されたい)。スキン層の裏側は、特にこれ又吹き付け法によりフォーム層を備えるのが良い。フォーム層の代わりに又はこれに加えて、特に増大した剛性を得るために、補強層をスキン層とコア層との間に更に被着させるのが良い。例えば、本発明の方法を用いると、欧州特許第0642411号に記載されているように自立型装備品の硬質合成キャリヤを作ることができる。本発明により、軽量装備品、例えばドアパネル又は構造用車両部品、例えば自動車用緩衝パッド又は背もたれカバーの製造が可能になる。
【0040】
図2に示されている次のステップでは、上側金型面9を備えた上側金型部分8を下側金型部分6上に下降させることにより金型6,8を閉鎖し、特に、連続気泡フォームコア層1を好ましくは幾分圧縮する。次に、発泡性配合物7は、上側金型面9と下側金型面5との間に形成された金型キャビティ内で発泡して硬化するようにされる。次に、金型を開放して(図示せず)、製造された製品を金型から取り出す。
【0041】
コア層1に吹き付けられる発泡性配合物7の本質的な特徴は、この発泡性配合物が層1〜3の頂部に到達したとき、1/sの剪断速度で測定して、1000mPa.s未満、好ましくは800mPa.s未満、より好ましくは500mPa.s未満、更には300mPa.s未満の動的粘度を有することにある。粘度がこのように低く且つ層1〜3が布設位置に保持された状態で特に下側金型面上への布設が行われていくので、発泡性配合物は、特にこれが発泡し始めて粘度が高くなり過ぎる前に、重力によってコア層1の連続気泡フォーム中に入り込むことができる。このように、発泡性配合物は、コア層1中に均等に分配され、その後に発泡し始めるので、発泡中の配合物の膨れ上がりが連続気泡フォームにより妨げられる度合いが少なく、しかも、それ故に、連続気泡フォームを充填するのに必要な発泡性配合物は少量である。実際に、連続気泡フォームの開放ボイドは、発泡性配合物により作られた別のフォーム4で少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%について充填されるべきである。試験結果の示すところによれば、このようにすると、所要のオーバーパックを100%未満、特に90%未満、より詳細には更には80%未満の値まで減少させることができる。
【0042】
コア層1は、発泡性配合物をコア層に吹き付ける際においては布設位置に保持されるべきであるが、これは、コア層1が全体的に水平に保持されるべきであるということを意味しているわけではない。しかしながら、コア層は、好ましくは、水平面と75°未満の角度、好ましくは60°未満の角度、より好ましくは45°未満の角度をなして保持される。コア層が平らな金型面上に位置決めされず、これとは異なり、二次元又は三次元形状の金型面上に位置決めされて、発泡性配合物をコア層に吹き付ける際に、コア層が二次元又は三次元に湾曲している場合、コア層の頂面の平均傾斜角を決定することができる。コア層の頂面は、コア層の上側に対して接線方向であり、且つコア層のフォーム構造を示さない平面によって定められる。この接平面を各々が約1cm2の表面積及び長さに実質的に等しい幅を備えた個々の平らなファセット(小面)に分割することができる。ファセットの各々は、水平面と90°に等しい又はこれよりも小さい角度をなす。これら角度の平均値は、この場合、コア層の平均角度であり、かかる平均角度は、75°未満、好ましくは60°未満、より好ましくは45°未満であることが必要である。
【0043】
連続気泡フォームの充填を容易に行うため、コア層の連続気泡フォームは、好ましくは、その非圧縮状態では、その平均セルサイズ(気泡の大きさ)の20倍未満であり、好ましくはその平均セルサイズの10倍未満であり、最も好ましくはその平均セルサイズの5倍未満である平均厚さ(その体積をその表面積で除算することによって得られる)を有する。十分に一貫性のあるフォーム層を達成するため、連続気泡フォーム層は、好ましくは、少なくともその平均セルサイズに等しい平均厚さを有する。
【0044】
また、発泡性配合物7の粘度が低いので、発泡性配合物を上側金型面に吹き付け又は噴霧することができる。種々の形式のスプレーノズルを用いることができ、かかるノズルとしては、エアアシストスプレーノズル又はエアレススプレーノズルが挙げられる。好ましいエアレススプレーノズル又は吹き付け方法は、例えば、欧州特許第0303305号及び同第0389014号に開示されている。発泡性配合物は、好ましくは、液滴、特にASTM E799−81に従って測定して、50μmを超える中ぐらいの体積直径を備えた液滴の状態に、又はノズルから距離を置いたところでかかる液滴の状態にばらばらになる膜の形態で噴霧される。
【0045】
発泡性配合物は、好ましくは、20〜100kg/m3の自由膨張密度を備えたフォームを作るよう調合される。図1及び図2を参照して上述した方法では、金型内に放出される発泡性配合物を全量下側金型面5上に布設中のコア層1に吹き付けることによりかかる発泡性配合物を全量金型内に放出する。しかしながら、特に下側カバー層2が下側金型面上に布設中であるが、コア層を下側金型面上に位置決めする前に、この発泡性配合物の一部分を下側カバー層2に吹き付けても良い。上側カバー層をコア層1の頂部上に布設する前に、発泡性配合物の別の部分を上側カバー層に塗布するのが良い。しかしながら、好ましい実施形態では、コア層がその布設位置に保持されているとき、特にコア層が下側金型面上に布設中、発泡性配合物のうちの少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%をコア層に吹き付けることによりかかる量の発泡性配合物を金型内に放出する。
【0046】
発泡性配合物をコア層1に吹き付ける前に、先ず最初に上側カバー層3をコア層1に被着させるのではなく、このコア層1を上側カバー層3で被覆する前に、発泡性配合物7又はその少なくとも一部分をコア層1に吹き付けても良い。これは、コア層1が厚い場合、例えば、コア層の厚さが10mmを超える場合に特に有利である。というのは、この場合、発泡性配合物は、発泡し始める前にコア層中に深く入り込むからである。しかしながら、薄いコア層、特に厚さが10mm未満のコア層の場合、発泡性配合物又はその少なくとも一部分を好ましくは、コア層1への布設中の上側カバー層3に吹き付ける。
【0047】
図1に示されているように上側カバー層3及び下側カバー層2を被着させないで、コア層1にカバー層を被着させず又は上側カバー層3のみ又は下側カバー層2のみを被着させることも可能である。カバー層を被着させない場合、コア層1は、カバー層をそれぞれの金型面に当てて保持する機能をもはや行わないが、かかるコア層は、別のフォーム4の機械的特性を変更するよう機能することができる。コア層1の連続気泡フォーム及び別のフォーム4の特性に応じて、結果的に得られる複合材フォーム製品は、多種多様な用途に使用できる。例えば、コア層は、網状疎水性ポリウレタンフォームであり、これに対して、別のフォームは、親水性ポリウレタンフォームである。この親水性の別のフォームは、これが水を吸収すると膨潤するが、網状フォームコアは、製品のサイズの増大を阻止するのに十分強固である。これら2つの形式のフォームを組み合わせることにより、結果的に得られる複合材フォームは、両形式のフォームと関連した欠点を解決する一方で、これらのそれぞれの利点を保つ。この複合材フォーム製品は、例えば、掃除用用途、例えば合成スポンジ及びワイパに非常に有用である。網状フォームコアは、連続気泡フォームの膨潤を阻止するのに役立つだけでなく、連続気泡フォームの損傷を阻止し、しかも、耐摩耗性を向上させる。他の用途では、例えば、別のフォームが硬質のフォームである場合、連続気泡フォームコア1を用いて特に複合材フォーム層の曲げ剛性を減少させることができる。かかる曲げ剛性の減少は、取り付けの際に曲げられることが必要な自動車用内部装備品(内装品)、例えばヘッドライナ、Aピラー、Bピラー又はCピラー用のカバー等の基材として発泡製品が用いられる場合に特に有利である。曲げ剛性の減少により、これら装備品の取り付けの際におけるこれら装備品の損傷の恐れが減少する。他方、例えば連続気泡金属フォームから成るコア層を用いる場合、かかるコア層は又、発泡製品を補強するよう機能することができる。
【0048】
本発明の方法の利点は、インサート10、例えばクリップ、ピン及び締結具を金型内に配置して、これらが、製造された発泡製品中に部分的に埋め込まれるようにすることが極めて容易であるということにある。実際には、可撓性の連続気泡フォームは、インサート10の配置場所のところで容易に圧縮できる。図5は、インサート10がコア層1を貫通し、そして上側カバー層3及び下側カバー層2を貫通して下側金型部分6に設けられている凹部11内に押し込まれている実施形態を示している。カバー層2,3が存在しない場合、インサート10は、コア層1だけを貫通して(又は、カバー層が1つしか設けられていない場合には、コア層1及び1つのカバー層を貫通して)押し込められる必要があるに過ぎない。インサート10は、インサート10が発泡製品中に固定されるよう側方に突き出たヘッド部分12を有する。コア層1の連続気泡フォームの可撓性により、コア層1をヘッド部分12の下で容易に圧縮することができる。ヘッド部分12は、好ましくは、金型面5に設けられている直立縁部によって支持され、このヘッド部分は、この直立縁部上に突き出て発泡性配合物7がヘッド部分12の下に入り込んでインサート10を発泡製品内に固定することができるようになっている。
【0049】
大きなインサート10又はヘッド部分12の場合、これは、1つの連続気泡フォームをヘッド部分12の頂部上に被着させ、選択的に追加の1つのカバー層をこの連続気泡フォーム片の頂部上に被着させるのに有用な場合がある。かかる1つのカバー層は、カバー層3上に部分的に延びても良いし、又は更には全体にわたって延びても良い。
【0050】
図6は、インサート10の頂部上に更に強固な複合材料を得るのに連続気泡フォーム及びカバー層の追加の一片が不要である変形実施形態を示している。実際には、インサート10は、下側カバー層2を下側金型面5上に位置決めした後に、下側カバー層2だけがインサート10のヘッド部分12と金型面、特にその直立縁部との間に位置し、特にこれらの間にクランプされるよう金型内に配置される。図6で理解できるように、コア層1の連続気泡フォームは、これが可撓性であると共に気孔率が高いので、インサート10の上方で非常に容易に圧縮可能である。
【0051】
上述の実施形態では、製造された発泡製品の厚さは、比較的均一である。厚さがかなり異なっている場合、2つ又は3つ以上の連続気泡フォーム層を厚さが大きいことが必要である場所に互いに積み重ねることによりコア層1を形成することが可能である。他方、2つ又は3つ以上の連続気泡フォーム層を互いに上下に重ねて金型面全体上に被着させること(そして、インサート10のヘッド部分12を例えば2つのかかるフォーム層相互間に設けること)が可能である。変形例として、コア層1を形成するために用いられる1つ又は複数の連続気泡フォーム層は又、例えばフォーム層を成形し又は切断することにより不均一な厚さを有しても良い。
【0052】
上述した成形法により、三次元形状の発泡製品を製造することができる。この場合、下側金型面5及び上側金型面9は、通常、両方共三次元的に形作られるが、金型面5、9のうちの一方のみを三次元的に形作ることも可能である。
【0053】
不連続法により発泡製品を金型で製造することに代えて、発泡製品は又、連続法によっても製造できる。かかる連続法は、図7に示されている。この方法では、コア層1及び選択的なカバー層2,3を第1のコンベヤ13に被着させ、コア層1が第1のコンベヤ13上で前方に運ばれている間に発泡性配合物をその頂部に吹き付ける。コア層1及びこれに吹き付けられた発泡性配合物は、次に、第2のコンベヤ14上に移動し、この第2のコンベヤは、下側金型面5を形成する。上側金型面9は、第2のコンベヤ14の上方に配置された第3のコンベヤ15によって形成される。発泡性配合物は、これらコンベヤ14,15相互間を通る際に、発泡してコア層1の連続気泡フォームのボイドを充填し、少なくとも部分的に硬化する。次に、発泡製品は、コンベヤ14,15によって形成された成形部分から出て、第4のコンベヤ16によって更に運ばれる。次いで、次のステップにおいて、連続発泡製品を別々の部分品に切断するのが良い。また、この連続法では、具体的に言えば、三次元形状の金型面を上側コンベヤ15及び/又は下側コンベヤ14に設けてこれら2つのコンベヤを同期させることにより、三次元形状の発泡製品を製造することが可能である。
【0054】
製造される発泡製品は、好ましくは、2つの広い面及び比較的小さな厚さを有するシート状又はパネル状の製品である。かかるシート状又はパネル状製品は、平らなものでなければならないということはなく、例えば車両の内装品、例えばドアパネル、インストルメントパネル、背もたれ、シート支持体又はヘッドライナとして用いられる場合、複雑な三次元形状を呈しても良い。
【0055】
実施例1(被覆層なし)
平らなパネルを得るために、両方共65℃まで加熱された下側及び上側金型部分から成る平らな金型を用いた。金型キャビティの寸法は、長さが800mm、幅が500mm、金型の深さが5mmであり、かくして容積が2リットルであった。
【0056】
第1のステップでは、発泡製品をより容易に脱型するために離型剤を両方の金型部分に吹き付けた。
【0057】
第2のステップでは、網状ポリウレタンフォームシートを下側金型面上に布設した。このフォームシートは、30kg/m3の密度、5mmの厚さ及び4800μmのセルサイズを有し、このフォームシートは、Bulpren S32520という商品名で市販されている。この網状フォームは、約100%の連続気泡含有率を有し、かくして、約0.06リットルの容量しかなく、その結果、休眠容積(開放ボイド容積)は、約1.94リットルである。
【0058】
第3のステップでは、自由膨張密度が48kg/m3の硬質PUR発泡性配合物を網状フォームシートに一様に吹き付けた。成分A(ポリオル−Daltorim EL17872−ハンツマン(Huntsman))の動的粘度は、650mPa.sであり、成分B(MDIイソシアネート−Suprasec5030−ハンツマン(Huntsman))については、動的粘度は、185〜235mPa.sであり、これらは両方共、25℃で測定された値であった。全量が160gの比が100/190(ポリオル/イソシアネート)の両方の成分を約65℃の温度で産業用ロボットによって網状フォームシートに吹き付け、液体PURが網状フォームシート状に均一に分布されるようにした。
【0059】
第4のステップでは、加熱された金型を閉鎖し、PURが3分間金型内で膨れ上がって硬化するようにした。金型を開いた後、部品を脱型した。この結果、金型と同一寸法形状のものであり、全体的密度が110kg/m3の完全充填状態の構造用フラットパネルが得られた。かくして、過剰充填度が約67%(={(110−30)−48}×100÷48)であることにより、網状フォームのボイドの完全な充填が可能であった。
【0060】
網状フォームコアの存在の結果として、同一寸法及び同一成形密度を備えた純粋な硬質フォームパネルと比較して曲げ剛性が低かった(表1参照)。これは、得られたパネルがより曲げやすく、かくして、用いる力が小さく、且つかくしてパネルの損傷の恐れがより低いということを明らかに示しているが、破断点絶対曲げ剛性は、同一のままであることが判明した。
【0061】
実施例2(被覆層あり)
実施例1と同様の方法を実施したが、異なる点は、実施例1において説明したような網状フォームシートの両側を連続フィラメントガラス繊維マット(サンゴバン−ヴェトロテックス(Saint Gobain-Vetrotex)社製の面積重量が225g/m2のタイプU816/225)で被覆し、その後に同一量のPUR発泡性配合物をこのフォームシートに吹き付けたということであった。
【0062】
得られたパネルを十分に充填し、このパネルの全体密度は、200kg/m3(網状フォーム、ガラス繊維マット及びこの中に含有されているPURを含む)であった。その結果、優れた機械的特性を有するサンドイッチ状のパネルが形成された。これは、特に、表1で理解できるように、得られた曲げ剛性により証明される。この実施例で得られた発泡サンドイッチ材料と国際公開第2007/101868号の実施例1で得られたサンドイッチ材料を比較すると、非常に重いガラス繊維マットが本実施例において用いられているにもかかわらず、得られたサンドイッチ材料の単位面積当りの重量は、ハニカム構造体で得られたサンドイッチ材料の単位面積当りの重量よりもかなり低かった(約1350g/m2に対して約1000g/m2)ということが理解できる。
【0063】
表1:曲げ特性
【表1】

【0064】
実施例3(被覆層なし)
フォームが網状フォームの状態で製造される仕方を示すために、実施例1をより少ない発泡性配合物で繰り返し実施した。図8は、既に或る程度まで発泡した発泡性配合物を含む網状フォームの写真図である。明らかに理解できることとして、発泡性配合物を網状フォームのストラットに吹き付けるだけでなく、部分的に重力によりストラットに沿って流れることにより、主として、網状フォームのストラットに塗布した。発泡性配合物の初期粘度が低いにもかかわらず、これらの大部分は、網状フォームのストラットに塗布された。このように、発泡性配合物は、自由に膨れ上がることができ、その結果、網状フォームの開放ボイドを充填するのに必要な発泡性配合物が少量であり、即ち、必要な過剰充填度が低い。
【0065】
比較例
自由膨張密度が約23kg/m3の発泡性ポリウレタン配合物から始まってTDIを主成分とする可撓性フォームを製造した。この配合物を490×490×100mmの金型内に注ぎ込んだ。金型を完全に充填するためには金型内に約720gの量の発泡性配合物を注ぎ込まなければならず、かくして、所要のオーバーパックは、30%であった。
【0066】
密度が35kg/m3の490×490×100mmの網状フォームのブロックを金型内の発泡性配合物上に位置決めすると、金型を充填するのに必要な発泡性配合物の量はかなり多く、即ち、約1080gであった。かくして、所要のオーバーパックは、95%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡製品の製造方法であって、
−前記製品のために少なくともコア層(1)を準備するステップを有し、前記コア層(1)は、可撓性の連続気泡フォームから成り、前記連続気泡フォームは、該連続気泡フォームの体積の少なくとも90%を占める開放ボイドを有し、
−前記コア層(1)を下側金型面(5)と上側金型面(9)との間に配置するステップを有し、
−前記コア層(1)を前記上側金型面(9)と前記下側金型面(5)との間に維持した状態で、硬化可能な発泡性のイソシアネートを主成分とする液体配合物(7)が前記連続気泡フォームの前記開放ボイド内で発泡して前記開放ボイドを充填する別のフォーム(4)を生じさせることができるようにするステップを有し、
−得られた発泡製品を前記上側金型面(9)と前記下側金型面(5)との間から取り出すステップを有する、方法において、
前記硬化可能な発泡性配合物(7)を前記コア層(1)に吹き付け、前記硬化可能な発泡性配合物(7)は、前記コア層(1)に達すると、1/sの剪断速度で測定して1000mPa.s未満の動的粘度を有し、前記コア層(1)は、前記発泡性配合物(7)を前記コア層(1)に吹き付ける際に布設位置に保持され、その結果、前記吹き付けられた発泡性配合物(7)は、重力により前記コア層(1)の前記連続気泡フォーム中に少なくとも部分的に浸透するようになる、方法。
【請求項2】
前記発泡性配合物(7)は、100%未満、好ましくは90%未満、より好ましくは80%未満の過剰充填度で塗布される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記発泡性配合物(7)は、20〜100kg/m3の自由膨張密度を備えたフォームを生じさせるよう調合されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記連続気泡フォームの前記開放ボイドの少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%が前記別のフォーム(4)で充填される、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記連続気泡フォームは、網状フォーム、特に網状ポリウレタンフォームから成る、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記連続気泡フォームの平均セルサイズは、2000〜7000μm、好ましくは3000μmを超え、より好ましくは4000μmを超える、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コア層中の前記連続気泡フォームは、その非圧縮状態では、少なくとも前記平均セルサイズに等しく、好ましくは前記平均セルサイズの20倍未満であり、より好ましくは前記平均セルサイズの10倍未満であり、最も好ましくは前記平均セルサイズの5倍未満の平均厚さを有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記連続気泡フォームは、前記発泡性配合物を実質的に吸収しない材料から成る、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記発泡性配合物(7)は、前記コア層(1)に達すると、1/sの剪断速度で測定して800mPa.s未満、好ましくは500mPa.s未満の動的粘度を有する、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記コア層(1)を前記布設位置に保持した状態で前記発泡性配合物(7)の少なくとも75重量%分、好ましくは少なくとも90重量%分を前記コア層(1)に吹き付けることによってこれを塗布する、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記発泡性配合物(7)は、前記コア層(1)の第1の側に吹き付けられ、前記第1の側は、前記発泡性配合物(7)を前記コア層(1)に吹き付ける前におよび/または後に少なくとも1つの第1のカバー層(3)で覆われる、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コア層(1)は、前記第1のカバー層(3)で覆われ、前記発泡性配合物(7)は、前記第1のカバー層(3)に吹き付けられ、前記第1のカバー層(3)は、前記発泡性配合物(7)が前記第1のカバー層(3)を通って前記コア層(1)中に浸透することができるよう前記発泡性配合物(7)に対して浸透性である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記発泡性配合物(7)は、前記コア層(1)の第1の側に吹き付けられ、前記コア層(1)は、前記第1の側とは反対側の第2の側を有し、前記第2の側は、少なくとも1つの第2のカバー層(2)で、特に、前記発泡性配合物に対して不浸透性である層から成るカバー層(2)で覆われ、前記第1の側は、好ましくは、サンドイッチ構造体を形成するよう少なくとも1つの第1のカバー層(3)で覆われる、請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記コア層(1)は、ドレープ性であり、前記下側金型面(5)上にドレープされ、前記コア層(1)は、好ましくは、前記上側金型面(9)と前記下側金型面(5)との間で圧縮される、請求項1〜13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記連続気泡フォームの密度は、60kg/m3未満、好ましくは50kg/m3未満、より好ましくは40kg/m3未満である、請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記連続気泡フォームは、伸縮性であり、ISO1798に従って測定して、少なくとも100%、好ましくは少なくとも150%の伸び率を有する、請求項1〜15のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記連続気泡フォームは、ISO3386/1に従って測定して、20kPa未満、好ましくは15kPa未満、より好ましくは10kPa未満のCLD40%硬度を有する、請求項1〜16のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記コア層(1)は、前記下側金型面(5)上に布設され、前記硬化可能な発泡性の配合物(7)は、前記下側金型面(5)上への前記コア層の布設中に前記コア層(1)の頂部上に吹き付けられる、請求項1〜17のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、不連続法であり、前記発泡製品は、前記上側金型面(9)を形成する上側金型部分(8)及び前記下側金型面(5)を形成する下側金型部分(6)から成る金型(6,8)で製造され、前記上側金型部分(8)と前記下側金型部分(6)は、成形位置と脱型位置との間で互いに対して動くことができ、前記方法では、前記コア層(1)は、前記金型部分(6,8)の前記脱型位置において前記下側金型面(5)上に布設され、前記発泡性配合物(7)は、前記下側金型面(5)へ布設されている前記コア層(1)に吹き付けられ、前記金型部分(6,8)は、これらの成形位置に動かされ、前記発泡性配合物(7)が発泡するようになった後、前記金型部分(6,8)をこれらの脱型位置に動かし、製造された発泡製品が前記金型から取り出される、請求項1〜18のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、連続法であり、前記上側金型面(9)及び前記下側金型面(5)は、コンベヤシステムにより形成される、請求項1〜18のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記下側金型面(5)及び/又は前記上側金型面(9)は、三次元の形をしている、請求項1〜20のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記発泡性配合物(7)は、前記コア層(1)の第1の側に吹き付けられ、前記コア層(1)は、前記第1の側とは反対側の第2の側を有し、前記第2の側は、少なくとも1つの第2のカバー層(2)で覆われ、前記第2のカバー層(2)は、前記下側金型面(5)に被着され、好ましくは側方に突き出たヘッド部分(12)を備えた少なくとも1つのインサート(10)が、前記コア層(1)を前記下側金型面(5)に被着させる前か後かのいずれかに、前記第2のカバー層(2)を貫通して前記下側金型面(5)に形成されている凹部(11)内に挿入され、前記突出ヘッド部分(12)は、好ましくは、発泡性配合物(7)が前記突出ヘッド部分(12)と前記下側金型面(5)との間に入り込むことができるよう前記下側金型面(5)から距離を置いたところに維持される、請求項1〜21のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記コア層(1)を前記下側金型面(5)に被着させた後、好ましくは側方に突出したヘッド部分(12)を備えた少なくとも1つのインサート(10)が、前記コア層(1)を貫通して前記下側金型面(5)に形成されている凹部(11)中に挿入され、前記突出ヘッド部分(12)は、好ましくは、前記発泡性配合物(7)が前記突出ヘッド部分(12)と前記下側金型面(5)との間に入り込むことができるよう前記下側金型面(5)から距離を置いたところに維持される、請求項1〜21のうちいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−538881(P2010−538881A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525355(P2010−525355)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062467
【国際公開番号】WO2009/037322
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(507377780)レクティセル エヌ.ヴィー. (4)
【Fターム(参考)】