説明

発熱素子の放熱構造

【課題】容易に組み付けることができ、放熱性にも優れた放熱構造等を提供する。
【解決手段】円筒状の周壁部材11の内側に配置される基板5と、基板5に接続端子82を介して取り付けられ、その周辺部に並ぶ複数のEFT8と、周壁部材11に嵌め込まれる円環状の放熱用のスペーサ7とを含んで構成される放熱構造である。スペーサ7は、周壁部材11に中間嵌めか隙間嵌めされる漏出規制部71と、周壁部材11に隙間嵌めされる放熱部72とを有している。FET8は、スペーサ7の内側に取り付けられる。放熱部72の外周面には、先端から漏出規制部71に向かって延びる複数の注入溝77が設けられている。周壁部材11と放熱部72との間の隙間74には、熱伝導性素材100が注入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にモータに用いられる発熱素子の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータには、制御基板や出力基板を備えた機種がある。これら基板には、発熱量の多いFET等の発熱素子が複数設けられている場合が多い。そのため、そのようなモータでは、発熱素子の熱を効果的に放熱できる放熱構造が求められている。
【0003】
発熱素子は、一般に矩形ブロック形状をしており、基板の表面に寝かした状態で取り付けるタイプ(横置き型)や、基板の表面に立てた状態で取り付けるタイプ(縦置き型)などがある。
【0004】
モータの場合、スペースの関係上、縦置き型の発熱素子がよく用いられている。通常、モータのケースは円筒形状をしているため、例えば、その内部にブロック状の放熱部を形成したり、別途ヒートシンクを取り付けたりすることによって平坦な支持面が形成されている。そして、そこに絶縁シートを貼り付けた発熱素子が配置され、押さえ板等をねじ止めすることにより発熱素子を押さえ付けている。
【0005】
縦置き型の発熱素子に関しては、ACアダプタにおいて、クリップを利用してヒートシンクにスイッチングレギュレータ(発熱素子)を取り付けた放熱構造が開示されている(特許文献1)。そのACアダプタでは、金属板を折り曲げて形成したヒートシンク本体に、シリコンシートを介してスイッチングレギュレータが当接されている。そして、そのスイッチングレギュレータとヒートシンク本体を断面コ字状のクリップで挟み付け、密着させている。
【0006】
横置き型の発熱素子ではあるが、IGBT(発熱素子)等で構成されたパワーモジュールの組み付け構造が開示されている(特許文献2)。そのパワーモジュールは、熱伝導性のグリスを介してインバータケースに組み付けられている。パワーモジュールとインバータケースとの密着性を高めるために、これらの接合面のそれぞれに、互いに交差する一群の凹溝を形成し、これら凹溝を利用してグリスを注入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−252810号公報
【特許文献2】特開2005−101259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、モータの場合、ケースに平坦面が多くある他の装置と比べて放熱構造が複雑になり易い。加えて、発熱素子が設けられている基板もケースにねじ止めされている場合が多いことから、これらの組み付け作業に時間を要し、面倒な作業となっていた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、容易に組み付けることができ、放熱性にも優れた放熱構造等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の放熱構造は、内部が円筒状のケース部材と、前記ケース部材の内側に配置される基板と、前記基板上にピンを介して取り付けられ、前記基板の周辺部に並ぶ複数の発熱素子と、前記ケース部材に嵌め込まれる円環状又は円弧状をした放熱用のスペーサとを含んで構成されている。
【0011】
前記スペーサは、前記ケース部材に中間嵌め又は隙間嵌めされる漏出規制部と、前記漏出規制部に連続して設けられ、前記漏出規制部よりも直径が小さく形成されて前記ケース部材に隙間嵌めされる放熱部とを有している。前記複数の発熱素子のそれぞれは、前記スペーサの内側に取り付けられている。前記放熱部の外周面には、先端から前記漏出規制部に向かって延びる複数の溝が設けられている。そして、前記ケース部材と前記放熱部との間に、熱伝導性素材が注入されている。
【0012】
このような構造の放熱構造によれば、スペーサのほとんどがケース部材の内径よりも小さく形成されているので、例えば焼き嵌め等することにより、スペーサに余計な負荷を与えることなくケース部材に容易に入れ込むことができる。
【0013】
スペーサにケース部材に中間嵌めか隙間嵌めされる漏出規制部が設けられているので、ねじ止め等しなくとも、スペーサをケース部材に嵌め込むだけで容易にケース部材に支持させることができる。
【0014】
ケース部材に隙間嵌めされ、ケース部材との間に隙間が形成される放熱部の外周面には、先端部から漏出規制部に向かって延びる複数の溝が設けられているので、ケース部材と放熱部との間の隙間に熱伝導性素材を注入する際、溝に注入することで、容易にケース部材と放熱部との間に行き渡らせることができる。漏出規制部により、注入される熱伝導性素材の漏れ出しを防ぐことができる。
【0015】
スペーサの内側には発熱素子が取り付けられ、そのスペーサは、熱伝導性素材の薄層を介してケース部材と一体化しているので、発熱素子の熱を効果的にケース部材に放熱することができる。しかも、基板は、複数の発熱素子を介してスペーサと一体化されるので、ケース部材にねじ止めしなくてもケース部材に支持することができる。
【0016】
更には、スペーサの前記溝は、前記発熱素子との密着部位を避けて設けるのが好ましい。
【0017】
そうすれば、発熱素子とケース部材とが対向する部分では、常に薄い熱伝導性素材の層のみが介在することになるため、発熱素子の熱を効率的に放熱させることができる。
【0018】
具体的には、前記溝のピッチは20〜30mmに設定するのが好ましい。
【0019】
そうすれば、ケース部材と放熱部との隙間に熱伝導性素材を安定して行き渡らせることができる。
【0020】
放熱構造は、例えば、クリップを用いて構成することができる。具体的には、前記漏出規制部及び前記放熱部の内側には、平らな放熱面が複数形成されている。前記放熱部の先端部分に連続して支持壁部が設けられている。前記支持壁部の内側には、前記放熱面に連続する支持面が複数形成されている。前記発熱素子は、前記放熱面及び前記支持面に密着するように取り付けられている。そして、互いに前記支持面を介して密着している前記発熱素子の一部と前記支持壁部とが、クリップで挟むことにより固定されている。
【0021】
そうすれば、よりいっそう容易に放熱構造を形成することができ、生産性に優れる。
【0022】
特に、この放熱構造はモータに適している。具体的には、上述した放熱構造を備えたモータは、前記ケース部材の内部に固定される円筒状のステータを備える。そして、前記基板が前記ステータに支持されている。
【0023】
このような構成のモータによれば、ねじ止め等をしなくても基板や発熱素子をステータとともにケース部材に組み付けることができるので、生産性に優れる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、容易に組み付けることができ、放熱性にも優れた放熱構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用したモータを示す概略図である。一部は断面で表してある。
【図2】スペーサの組み付けを説明するための概略斜視図である。
【図3】モータの組み付けを説明するための概略図である。
【図4】モータの要部を示す概略断面図である。
【図5】図4におけるV−V線での概略断面図である。
【図6】モータの要部の概略を示す部分拡大図である。
【図7】導電性素材の注入過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0027】
図1に、本発明を適用したモータの一例を示す。このモータには、シャフト1やモータケース2、ロータ3、ステータ4、出力基板5、制御基板6、スペーサ7などが備えられている。
【0028】
モータケース2は、内部が円筒状の周壁部材11(ケース部材)と、周壁部材11の一方の開口を塞ぐ第1端蓋部材12と、他方の開口を塞ぐ第2端蓋部材13とで構成されている。周壁部材11、第1端蓋部材12、第2端蓋部材13は、いずれも金属製である。第1端蓋部材12の中央には、軸孔12aが開口している。第1端蓋部材12及び第2端蓋部材13の内側には、それぞれベアリング14が取り付けられている。これらベアリング14,14を介してシャフト1が回転自在に支持されている。そして、シャフト1の先端部分は、軸孔12aからモータケース2の外側に突出している。
【0029】
ロータ3は、中心に貫通孔が形成された円筒状の部材であり、シャフト1の第1端蓋部材12寄りの部分に固定されている。ロータ3の外周部分には、複数の磁石31が設けられている。ロータ3と僅かな隙間を隔てて円筒状のステータ4が配置されている。
【0030】
ステータ4は、ステータコア41やインシュレータ42、複数のコイル43などで構成された複合部材である。ステータコア41は、複数の金属板を積層して形成されており、放射状に配置された複数のティース部(図示せず)を有している。ステータコア41の外径は周壁部材11の内径よりも僅かに大きく形成されている。これらティース部のそれぞれは絶縁性のインシュレータ42で被覆されていて、各ティース部にインシュレータ42を介して導電線を巻き付けることにより、複数のコイル43が形成されている。
【0031】
インシュレータ42には、複数の支持ピン44が設けられている。詳しくは、図2に示すように、各支持ピン44は、ステータ4の一方の端部に露出するインシュレータ42の外周部分に設けられている。各支持ピン44は、ステータ4の周方向の複数ヶ所に均等に配置されている。そして、これら支持ピン44に出力基板5が取り付けられている。支持ピン44への取り付けにより、出力基板5は位置決めされる。
【0032】
出力基板5は、中央にシャフト1が挿入される開口51が形成された円環状の基板であり、周壁部材11の中心線に略直交して周壁部材11の内側に配置されている。出力基板5は、モータケース2との間に隙間が形成されるように、周壁部材11の内径よりもその外径は小さく形成されている。出力基板5には、FET8や電源IC(発熱素子)等の電子部品が実装されている。本実施形態では、6個のFET8と1個の電源ICが実装されていて、これらは出力基板5の周辺部に周方向に並ぶように配置されている(図4参照)。なお、電源ICとFET8とでは用途は異なるが、いずれも発熱量の多い素子であり、形状もほぼ同じである(両者を併せてFET8等ともいう)。
【0033】
各FET8は、既存の縦置きタイプのFETであり、矩形ブロック状の素子本体81と、素子本体81の一方の端部から突出する3本の接続端子82(ピン)とを有している。素子本体81は、素子ブロック81aと放熱板81bとを重ね合わせて形成されている(図5参照)。放熱板81bは素子ブロック81aよりも長寸に形成されていて、素子本体81の他方の端部において放熱板81bが素子ブロック81aから相対的に突出している。
【0034】
各FET8は、接続端子82を介して出力基板5に対して略直交して延びるように出力基板5に取り付けられている。接続端子82は出力基板5の所定部位に電気的に接続されている。電源ICもFET8と同様である。そして、FET8等は、本実施形態では、クリップ9を用いてスペーサ7と一体に組み付けられている。
【0035】
スペーサ7は、FET8等で発生する熱をモータケース2に放熱させる機能と、出力基板5等を支持する機能とを有している。すなわち、スペーサ7は、モータケース2等と協働してFET8等の熱を放出する放熱構造を構成している。本実施形態のスペーサ7は、熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属を用いてダイキャスト製法により円弧(優弧)形状に形成されている。スペーサ7には、漏出規制部71や、漏出規制部71に連続して設けられる放熱部72、放熱部72の先端部分に連続して設けられる支持壁部73が備えられている。
【0036】
漏出規制部71は、スペーサ7の下側の縁に沿って延びる細長い帯状に形成されている。漏出規制部71は、周壁部材11の内径と同一又は僅かに小さな外形を有しており、周壁部材11に中間嵌め又は隙間嵌めされる。放熱部72は、漏出規制部71より小径に形成されており、周壁部材11との間に小さな隙間74が形成されるように隙間嵌めされる。放熱部72の外周面には複数の注入溝77が設けられているが、これについては別途後述する。
【0037】
支持壁部73は、スペーサ7の外郭線に内接する断面多角形状に形成されており、本実施形態では、スペーサ7の周方向に屈曲して連なる5つの矩形の要素壁部73aを有している。支持壁部73に対応して、スペーサ7の半径方向内側は断面多角形状に形成されている。具体的には、漏出規制部71や放熱部72の半径方向内側には平らな放熱面75が形成さている。そして、これら放熱面75と面一に連続して、各要素壁部73aの半径方向内側にも平らな支持面76が形成されている。
【0038】
クリップ9は、鋼板をプレス加工して形成された断面略U字状の弾性部材である。クリップ9は、基部91と、基部91に連続して設けられ、互いに対向する一対の挟持片92,92とを有している。
【0039】
FET8等は、クリップ9の挟持片92で挟み込むことによってスペーサ7に取り付けられている(図5参照)。具体的には、各放熱板81bは、絶縁性の薄膜部材83(絶縁フィルム)を介して各要素壁部73aの放熱面75及び支持面76と間接的に密着するように取り付けられている。そして、互いに支持面76を介して密着しているFET8等の一部(突出する放熱板81bの部分)と要素壁部73aとが、クリップ9で挟むことにより固定されている。クリップ9が邪魔にならないように、周壁部材11と要素壁部73aとの間には空間(受入空間84)が設けられている。
【0040】
FET8等をクリップ9で挟み込むことで、簡単にFET8等をスペーサ7に取り付けることができ、簡単に出力基板5とスペーサ7とを一体化できる。更に、出力基板5はステータ4と一体化されているので、図3に示すように、ステータ4、スペーサ7、出力基板5は一体化することができる。
【0041】
一体化されたステータ4等は、同図に示すように、まとめて周壁部材11に嵌め込まれる。具体的には、周壁部材11を高温にして膨張させ、ステータコア41の外径よりも十分に内径を大きくした状態で、ステータ4等を周壁部材11に嵌め入れる(焼き嵌め)。周壁部材11が冷えて元の状態に戻ると、ステータコア41は周壁部材11に圧着して締まり嵌めされる。一方、スペーサ7は、その漏出規制部71が中間嵌めか隙間嵌めされ、その放熱部72が隙間嵌めされる。
【0042】
出力基板5は、ステータ4とスペーサ7とを介して周壁部材11に支持されるので、ねじ止め等することなくモータケース2にしっかりと固定できる。ステータコア41の外径はスペーサ7の外径よりも大きいので、嵌め入れる際にはスペーサ7と周壁部材11との接触を防ぐことができる。なお、ステータ4等の上から周壁部材11を嵌め入れてもよい。
【0043】
モータケース2内に装着されたスペーサ7の放熱部72と周壁部材11との間には、小さな隙間74が存在する。FET8等の放熱性を高めるために、この隙間74に熱伝導性素材100が注入され、薄膜状の伝熱層が形成されている。
【0044】
本実施形態では、熱伝導性素材100にシリコン系の接着材が用いられている。熱伝導性素材100は、少なくとも注入時に流動性を有する素材であればよく、例えば、硬化性の液状又はゲル状の樹脂や、グリースなどであってもよい。特に、硬化前は液状を呈する接着材が好適である。注入時には、安定して隙間74に充填することができ、硬化後には、モータケース2に対するスペーサ7の固定を強化できるからである。
【0045】
更に、スペーサ7には、隙間74に接着材100が行き渡るように複数の注入溝77が設けられている。
【0046】
図2や図6に示すように、注入溝77は、放熱部72の外周面に設けられていて、放熱部72の先端から漏出規制部71に向かって延びている。注入溝77の漏出規制部71側の一方の端部は塞がれていて、他方の端部及び外周面側は開放されている。
【0047】
各注入溝77は、FET8等との密着部位を避けた部位、具体的には、互いに隣接する2つの要素壁部73aの接続部分の近傍に設けられている。従って、対向するFET8等と周壁部材11との間には、常に薄膜状の伝熱層が形成されることとなるため、FET8等の熱を効率的に放熱させることができる。
【0048】
図7に示すように、注入溝77のピッチPは20〜30mmに設定するのが好ましい。そうすれば、隙間74に隈無く接着材100を行き渡らせることができる。
【0049】
漏出規制部71を下側にして、各注入溝77から接着材100を注入する。そうすると、接着材100は注入溝77の奥底に入り込む。接着材100の漏れ出しは漏出規制部71によって規制される。接着材100は、同図に矢印や仮想線で示すように、注入溝77の両側から毛細管作用等により隙間74に吸い込まれて漏出規制部71側から次第に拡がっていく。従って、隙間74に接着材100を広く行き渡らせることができる。
【0050】
このように構成された放熱構造によれば、FET8等の熱は、放熱板81bから薄膜部材83を介してスペーサ7の放熱部72や支持壁部73、漏出規制部71に伝わり、更に、接着材100を通じてモータケース2に伝わって外気に放熱される。
【0051】
なお、本発明にかかる放熱構造等は、前記の実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0052】
例えば、上述した実施形態のモータでは、1つのモータケース2内にステータ4と出力基板5とが配置されているが、ステータ4を収容する部分と出力基板5を収容する部分とが別々に構成されていてもよい。基板は出力基板5に限らない。スペーサ7の形状は円環形状であってもよい。
【0053】
例えば、スペーサ7やFET8等が絶縁性を有する場合などは、薄膜部材83を介さずにFET8等をスペーサ7に直接取り付けてあってもよい。スペーサ7へのFET8等の取り付けは、クリップ9に限らず、両面テープなどで接着してもよい。モータケースは樹脂製であってもよい。
【0054】
ステータに対する基板の支持は支持ピンに限らない。例えば、インシュレータに基板を支持する支持構造(基板の嵌め込みが可能な凹部など)を一体に形成したり、ステータに支持具を装着して、その支持具で基板を支持してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 シャフト
2 モータケース
3 ロータ
4 ステータ
5 出力基板
7 スペーサ
8 FET、電源IC(発熱素子)
9 クリップ
11 周壁部材(ケース部材)
44 支持ピン
71 漏出規制部
72 放熱部
73 支持壁部
74 隙間
75 放熱面
76 支持面
77 注入溝
81 素子本体
82 接続端子
83 薄膜部材
84 受入空間
100 接着材(熱伝導性素材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が円筒状のケース部材と、
前記ケース部材の内側に配置される基板と、
前記基板上にピンを介して取り付けられ、前記基板の周辺部に並ぶ複数の発熱素子と、
前記ケース部材に嵌め込まれる円環状又は円弧状をした放熱用のスペーサと、
を含んで構成される放熱構造であって、
前記スペーサは、
前記ケース部材に中間嵌め又は隙間嵌めされる漏出規制部と、
前記漏出規制部に連続して設けられ、前記漏出規制部よりも直径が小さく形成されて前記ケース部材に隙間嵌めされる放熱部と、
を有し、
前記複数の発熱素子のそれぞれは、前記スペーサの内側に取り付けられ、
前記放熱部の外周面には、先端から前記漏出規制部に向かって延びる複数の溝が設けられ、
前記ケース部材と前記放熱部との間に、熱伝導性素材が注入されている放熱構造。
【請求項2】
請求項1に記載の放熱構造において、
前記溝は、前記発熱素子との密着部位を避けて設けられている放熱構造。
【請求項3】
請求項2に記載の放熱構造において、
前記溝のピッチが20〜30mmに設定されている放熱構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の放熱構造において、
前記漏出規制部及び前記放熱部の内側には、平らな放熱面が複数形成され、
前記放熱部の先端部分に連続して支持壁部が設けられ、
前記支持壁部の内側には、前記放熱面に連続する支持面が複数形成され、
前記発熱素子は、前記放熱面及び前記支持面に密着するように取り付けられ、
互いに前記支持面を介して密着している前記発熱素子の一部と前記支持壁部とが、クリップで挟むことにより固定されている放熱構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の放熱構造を備えたモータであって、
前記ケース部材の内部に固定される円筒状のステータを備え、
前記基板が前記ステータに支持されているモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−74440(P2012−74440A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216545(P2010−216545)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000107147)日本電産シンポ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】