説明

白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法

【課題】機械的剪断力を用いることなく、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmであり、低粘度の組成物においても安定性に優れた白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)常温で液状の油剤、(B)水素添加リン脂質、(C)HLBが9〜16であり、特定の骨格を有する非イオン性界面活性剤、(D)2価のグリコール類、(E)水を含有する白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、前記成分(A)、(B)および(C)を50〜80℃にて混合攪拌した油相中に、(D):(E-1)が3:7〜7:3の質量比で混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加して、平均粒子径が100〜500nmである乳化滴を得る工程と、さらに他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加して常温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法、特に乳化滴の平均粒子径が100〜500nmであり、低粘度においても安定性に優れた白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノオーダー(10−9m)の微細な乳化滴を得ようとする場合、マイクロフルイダイザーやマントンガウリンに代表される高圧ホモジナイザーによる強力な機械的剪断力を用いる方法、あるいは凝集法と呼ばれる非イオン性界面活性剤の一液相マイクロエマルションを冷却して、2液相領域に移行させ、粒子径が50nm以下の水中油型の超微細エマルションを調製する方法などが広く採用されている(例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。
しかしながら、前者の機械的剪断力を用いる製造方法では、工業化した場合に、設備に多額の投資が必要であり、その維持費も嵩んでしまう。さらに、電気エネルギーの消費も膨大であり、環境問題への関心が高まってきている昨今の時勢において、望ましい方法とは言えない。
【0003】
一方、後者の凝集法による製造方法は、エネルギー消費の観点では望ましい方法であるが、ナノオーダーの乳化滴が得られたとしても、その粒子径は数十nmとなり、外観上は透明〜青白い乳化物となる。そしてこの2相マイクロエマルションは、熱力学的には不安定である場合が多い。
昨今の消費者ニーズとして、化粧水と乳液を1つの化粧料とすることで、手間を省くことができる化粧水乳液タイプの化粧料が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【非特許文献1】油化学, 37, 1012(1988)
【非特許文献2】J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn., 23, 288(1990)
【特許文献1】特許第3656209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配合される油分の量を増やすと化粧料の経時安定性が問題となり、その配合量に制限があった。すなわち、化粧水のようなシャバシャバした感触、および乳液のクリーミー感をかもし出す乳白色の外観の両者を併せ持ち、かつ安定性が良好である皮膚化粧料の出現が期待されている。
そこで、乳白色を呈し、低粘度においても良好な安定性を有する乳化組成物を得ることが可能であり、かつ工業化に適した製造方法の確立が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の事情に鑑み、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤と、(B)水素添加リン脂質と、(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤と、(D)2価のグリコール類と、(E)水とを含有する白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、前記成分(A)、(B)および(C)を50〜80℃にて混合攪拌した油相中に、(D):(E-1)が3:7〜7:3の質量比で混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加することにより、平均粒子径が100〜500nmである乳化滴を得る工程と、さらに他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加して常温まで冷却する工程とを備えることにより、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmであり、低粘度においても安定性に優れた乳白色を呈した白濁状水中油型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法は、下記の成分(A)〜(E)を含有し、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmであることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、
(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤
(B)水素添加リン脂質
(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤
(D)2価のグリコール類
(E)水
前記成分(A)、(B)および(C)を50〜80℃にて混合攪拌した油相中に、(D):(E-1)が3:7〜7:3の質量比で混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加することにより、平均粒子径が100〜500nmである乳化滴を得る工程と、さらに他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加して常温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、該乳化化粧料の25℃における粘度が5〜300mPa・sであることが好適である。
【0008】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(D)の2価のグリコール類が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好適である。
【0009】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分、(A)25℃で粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤の配合量が1〜10質量%であることが好適である。
また、前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分、(A)25℃で粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤の配合量が5〜10質量%であることが好適である。
【0010】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(B)水素添加リン脂質の配合量が0.1〜1質量%であることが好適である。
【0011】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤の配合量が0.1〜1質量%であることが好適である。
【0012】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(D)2価のグリコール類の配合量が、5〜20質量%であることが好適である。
【0013】
また、前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、さらに成分(F)エタノールを5〜20質量%含むことが好適である。
【0014】
前記白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、さらに成分(G)リン酸および/またはリン酸塩骨格を有するアニオン性界面活性剤を含むことが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法によれば、機械的剪断力を用いることなく、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmである安定性に優れた白濁状の微細乳化組成物を提供することが可能であり、特に皮膚化粧料とした場合には、一剤で化粧水のシャバシャバ感、および乳液のクリーミー感の両者の使用感をかもし出す、低粘度においても安定性の良好な水中油型乳化皮膚化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法は、成分(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤、(B)水素添加リン脂質および(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤を50〜80℃にて混合攪拌した油相中に、(D)2価のグリコール類:(E-1)水が3:7〜7:3の質量比で混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加することにより、平均粒子径が100〜500nmである乳化滴を得る工程と、さらに他の水性成分および(E-2)残部の水を含む均一水相を添加して常温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする。
なお、本発明において、白濁状水中油型乳化化粧料の外観は乳白色の白濁を呈するものであり、分光光度計で透過率を測定した場合、5%以下程度のものを意味する。
【0017】
本発明に用いられる、成分(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤は、通常化粧品用原料として使用されるものであれば良く、例えば、炭化水素油、分岐脂肪酸、分岐アルコール、エステル油、エーテル油、シリコーン油等を適宜用いることができる。
具体的には、炭化水素油として、スクワラン(25℃における粘度32mPa・s、以下25℃における粘度値のみを記す)、スクワレン(35)、流動パラフィン(43)、α−オレフィンオリゴマー(45)、水添ポリイソブテン(45)、イソパラフィン(30)等が挙げられる。
また、分岐脂肪酸、分岐不飽和アルコールとして、イソステアリン酸(77)、イソステアリルアルコール(56)、オクチルドデカノール(57)、ヘキシルデカノール(41)デシルテトラデカノール(81)、オレイルアルコール(33)等が挙げられる。
また、エステル油として、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル(11)、2−エチルヘキサン酸イソノニル(12)、アジピン酸ジイソブチル(6)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(11)、2−エチルヘキサン酸セチル(13)、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル(11)、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(13)、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(52)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(25)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(19)、イソノナン酸2−エチルヘキシル(5)、イソノナン酸イソノニル(6)、イソノナン酸イソデシル(7)、イソノナン酸イソトリデシル(12)、ラウリン酸ヘキシル(6)、ミリスチン酸イロプロピル(5)、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル(5)、ミリスチン酸2−オクチルドデシル(28)、パルミチン酸イソプロピル(7)、パルミチン酸2−エチルヘキシル(11)、ステアリン酸2−ヘキシルデシル(27)、イソステアリン酸エチル(8)、イソステアリン酸イソプロピル(10)、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル(34)、イソステアリン酸イソステアリル(38)、ネオペンタン酸イソデシル(4)、ネオペンタン酸イソステアリル(16)、ネオペンタン酸オクチルドデシル(15)、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル(25)、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル(64)、12−ステアロリルステアリン酸2−オクチルドデシル(89)、オレイン酸オレイル(28)、サリチル酸2−エチルヘキシル(9)、炭酸ジアルキル(55)等が挙げられる。
エーテル油として、ジオクチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポロオキシプロピレンジメチルエーテル等が挙げられる。
シリコーン油として、オクタメチルトリシロキサン(1)、デカメチルテトラシロキサン(1.5)、デカメチルシクロペンタシロキサン(4)、カプリルメチコン(10)、メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0018】
上記の常温で液状の油剤の1種または2種以上を、本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料に配合することができる。成分(A)の配合量は、好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。1質量%未満であると、乳液としての効果である皮膚へのしっとり感、柔軟さの付与が満足のいくものではなくなり、また10質量%を超えて配合すると乳化化粧料としての安定性に問題が生じる。
【0019】
本発明に用いられる、成分(B)水素添加リン脂質は、ヨウ素価が40以下のものが好ましく、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン等の天然レシチンを常法に従って水素添加したものの他、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等を水素添加したものが挙げられる。水素添加したリン脂質であると不飽和基が少ないため安定性が向上したものになり、それを化粧料に配合した場合には熱や酸化に対してより安定性が高いものとなる。
市販品としては、NIKKOL レシノールS-10、NIKKOL レシノールS-10E、NIKKOL レシノールS-10EX、NIKKOL レシノールS-10M、NIKKOL レシノールS-PIE(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、COATSOME NC-21、COATSOME NC-61(以上、日本油脂株式会社製)、SLP-ホワイトH(辻製油株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
また、上記水素添加リン脂質は、ホスファチジルコリンの含有率が高い高純度のものであると、化粧料とした際の安定性の点でより優れたものとなるが、このような水素添加リン脂質は工業材料としては比較的高価である。本発明においては、水素添加リン脂質の純度に制限されず、共に配合される成分(C)の非イオン性界面活性剤を適度に組み合わせることにより、優れた安定性を有する水中油型の乳化化粧料を得ることが可能である。
【0021】
上記の水素添加リン脂質の1種または2種以上を組み合わせて、本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料に配合することができる。成分(B)の配合量は、0.1〜1質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、本発明の乳化皮膚化粧料の乳化粒子径を100〜500nmとすることが困難になり適さない。また1質量%を超えて配合すると、水素添加リン脂質の結晶が生じる場合があり好ましくない。
【0022】
次に本発明に用いられる、成分(C)非イオン性界面活性剤について説明する。本発明においては、HLBが9〜16であるステロルールエーテル骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤が好適である。具体的には、以下のものが挙げられる。
【0023】
ステロールエーテル骨格のものとしては、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル等が挙げられる。市販品としては、日本エマルジョン株式会社製の、EMALEX CS-10(ポリオキシエチレン(10モル)コレステリルエーテル、HLB;10)、EMALEX CS-15(ポリオキシエチレン(15モル)コレステリルエーテル、HLB;11)、EMALEX CS-20(ポリオキシエチレン(20モル)コレステリルエーテル、HLB;12)、EMALEX CS-24(ポリオキシエチレン(24モル)コレステリルエーテル、HLB;13)、EMALEX CS-30(ポリオキシエチレン(30モル)コレステリルエーテル、HLB;14)等が挙げられる。
日光ケミカルズ株式会社製の、NIKKOL BPS-5(ポリオキシエチレン(5モル)フィトステロール、HLB;9.5)、NIKKOL BPS-10ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール、HLB;12.5)、NIKKOL BPS-20ポリオキシエチレン(20モル)フィトステロール、HLB;15.5)等が挙げられる。
【0024】
アルキルエーテル骨格のものとしては、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル等が挙げられる。
市販品としては、日本エマルジョン株式会社製の、EMALEX 107(ポリオキシエチレン(7モル)セチルエーテル、HLB;10)、EMALEX 110(ポリオキシエチレン(10モル)セチルエーテル、HLB;11)、EMALEX 112(ポリオキシエチレン(12モル)セチルエーテル、HLB;12)、EMALEX 115(ポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル、HLB;12)、EMALEX 117(ポリオキシエチレン(17モル)セチルエーテル、HLB;13)、EMALEX 120(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル、HLB;14)、EMALEX 125(ポリオキシエチレン(25モル)セチルエーテル、HLB;15)、EMALEX 130(ポリオキシエチレン(30モル)セチルエーテル、HLB;15)、EMALEX 508(ポリオキシエチレン(8モル)オレイルエーテル、HLB;10)、EMALEX 510(ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル、HLB;11)、EMALEX 512(ポリオキシエチレン(12モル)オレイルエーテル、HLB;11)、EMALEX 515(ポリオキシエチレン(15モル)オレイルエーテル、HLB;12)、EMALEX 520(ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエーテル、HLB;13)、EMALEX 523(ポリオキシエチレン(23モル)オレイルエーテル、HLB;14)、EMALEX 550(ポリオキシエチレン(50モル)オレイルエーテル、HLB;16)、EMALEX 608(ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルエーテル、HLB;10)、EMALEX 611(ポリオキシエチレン(11モル)ステアリルエーテル、HLB;11)、EMALEX 615(ポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテル、HLB;12)、EMALEX 620(ポリオキシエチレン(20モル)ステアリルエーテル、HLB;13)、EMALEX 625(ポリオキシエチレン(25モル)ステアリルエーテル、HLB;14)、EMALEX 630(ポリオキシエチレン(30モル)ステアリルエーテル、HLB;15)、EMALEX 640(ポリオキシエチレン(40モル)ステアリルエーテル、HLB;16)、EMALEX 705(ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル、HLB;10)、EMALEX 707(ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル、HLB;11)、EMALEX 709(ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル、HLB;12)、EMALEX 712(ポリオキシエチレン(12モル)ラウリルエーテル、HLB;13)、EMALEX 715(ポリオキシエチレン(15モル)ラウリルエーテル、HLB;14)、EMALEX 720(ポリオキシエチレン(20モル)ラウリルエーテル、HLB;15)、EMALEX 725(ポリオキシエチレン(25モル)ラウリルエーテル、HLB;16)、EMALEX 730(ポリオキシエチレン(30モル)ラウリルエーテル、HLB;16)、EMALEX 1610(ポリオキシエチレン(10モル)イソセチルエーテル、HLB;11)、EMALEX 1615(ポリオキシエチレン(15モル)イソセチルエーテル、HLB;13)、EMALEX 1620(ポリオキシエチレン(20モル)イソセチルエーテル、HLB;14)、EMALEX 1625(ポリオキシエチレン(25モル)イソセチルエーテル、HLB;15)、EMALEX 1810(ポリオキシエチレン(10モル)イソステアリルエーテル、HLB;11)、EMALEX 1815(ポリオキシエチレン(15モル)イソステアリルエーテル、HLB;12)、EMALEX 1820(ポリオキシエチレン(20モル)イソステアリルエーテル、HLB;13)、EMALEX 1825(ポリオキシエチレン(25モル)イソステアリルエーテル、HLB;14)、EMALEX OD-10(ポリオキシエチレン(10モル)オクチルドデシルエーテル、HLB;10)、EMALEX OD-16(ポリオキシエチレン(16モル)オクチルドデシルエーテル、HLB;12)、EMALEX OD-20(ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデシルエーテル、HLB;13)、EMALEX OD-25(ポリオキシエチレン(25モル)オクチルドデシルエーテル、HLB;14)、EMALEX OD-25JJ(ポリオキシエチレン(25モル)オクチルドデシルエーテル、HLB;14)、EMALEX BHA-10(ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル、HLB;10)、EMALEX BHA-20(ポリオキシエチレン(20モル)ベヘニルエーテル、HLB;13)、EMALEX BHA-30(ポリオキシエチレン(30モル)ベヘニルエーテル、HLB;14)、EMALEX 2410(ポリオキシエチレン(10モル)デシルテトラデシルエーテル、HLB;9)、EMALEX 2415(ポリオキシエチレン(15モル)デシルテトラデシルエーテル、HLB;11)、EMALEX 2420(ポリオキシエチレン(20モル)デシルテトラデシルエーテル、HLB;12)、EMALEX 2425(ポリオキシエチレン(25モル)デシルテトラデシルエーテル、HLB;13)、EMALEX DAPE-0205(ポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;9)、EMALEX DAPE-0207(ポリオキシエチレン(7モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;11)、EMALEX DAPE-0210(ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;12)、EMALEX 0212(ポリオキシエチレン(12モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;13)、EMALEX 0215(ポリオキシエチレン(15モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;13)、EMALEX 0220(ポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;14)、EMALEX 0230(ポリオキシエチレン(30モル)ポリオキシプロピレン(2モル)デシルエーテル、HLB;16)等が挙げられる。
【0025】
日光ケミカルズ株式会社製の、NIKKOL BL-2(ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル、HLB;9.5)、NIKKOL BL-4.2(ポリオキシエチレン(4.2モル)ラウリルエーテル、HLB;11.5)、NIKKOL BL-9EX(ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル、HLB;14.5)、NIKKOL BC-5.5(ポリオキシエチレン(5.5モル)セチルエーテル、HLB;10.5)、NIKKOL BC-7(ポリオキシエチレン(7モル)セチルエーテル、HLB;11.5)、NIKKOL BC-10TX(ポリオキシエチレン(10モル)セチルエーテル、HLB;13.5)、NIKKOL BC-15TX(ポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル、HLB;15.5)、NIKKOL BS-4(ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルエーテル、HLB;9.0)、NIKKOL BO-7V(ポリオキシエチレン(7モル)オレイルエーテル、HLB;10.5)、NIKKOL BO-10V(ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル、HLB;14.5)、NIKKOL BO-15V(ポリオキシエチレン(15モル)オレイルエーテル、HLB;16.0)、NIKKOL BB-10(ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル、HLB;10.0)、NIKKOL BB-20(ポリオキシエチレン(20モル)ベヘニルエーテル、HLB;16.5)、NIKKOL BD-2(ポリオキシエチレン(2モル)(C12−15)アルキルエーテル、HLB;9.0)、NIKKOL BD-4(ポリオキシエチレン(4モル)(C12−15)アルキルエーテル、HLB;10.5)、NIKKOL BD-10(ポリオキシエチレン(10モル)(C12−15)アルキルエーテル、HLB;15.5)等が挙げられる。
東邦化学工業株式会社製のものとしては、ペグノール L-4(ポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテル、HLB;9.7)、ペグノール TH-8(ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテル、HLB;12.9)、ペグノール L-9A(ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル、HLB;13.6)、ペグノール L-12S(ポリオキシエチレン(12モル)ラウリルエーテル、HLB;14.8)、ペグノール T-6(ポリオキシエチレン(6モル)トリデシルエーテル、HLB;11.4)、ペグノール TE-10A(ポリオキシエチレン(10モル)トリデシルエーテル、HLB;14.1)、ペグノール ST-7(ポリオキシエチレン(7モル)(C12−14)アルキルエーテル、HLB;12.8)、ペグノール ST-12(ポリオキシエチレン(12モル)(C12−14)アルキルエーテル、HLB;13.2)、ペグノール O-6A(ポリオキシエチレン(6モル)オレイルエーテル、HLB;9.6)、ペグノール O-107(ポリオキシエチレン(7モル)オレイルエーテル、HLB;10.7)、ペグノール O-16A(ポリオキシエチレン(16モル)オレイルエーテル、HLB;14.5)、ペグノール O-20(ポリオキシエチレン(20モル)オレイルエーテル、HLB;15.4)、ペグノール C-18(ポリオキシエチレン(18モル)セチルエーテル、HLB;15.3)等が挙げられる。
【0026】
ソルビタン脂肪酸エステル骨格のものとしては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
具体的には、日本エマルジョン株式会社製のものとして、EMALEX SPE-100S(ステアリン酸ソルビタン、HLB;9)、EMALEX SPO-100(オレイン酸ソルビタン、HLB;9)、EMALEX SPIS-100(イソステアリン酸ソルビタン、HLB;10)、EMALEX ET-2020(モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15)、EMALEX ET-8020(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;14)、EMALEX ET-8040(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(40モル)ソルビタン、HLB;16)等が挙げられる。
日光ケミカルズ株式会社製のものとして、NIKKOL TP-10V(モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.6)、NIKKOL TS-10V(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;14.9)、NIKKOL TS-10MV(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;14.9)、NIKKOL TS-106V(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(6モル)ソルビタン、HLB;9.5)、NIKKOL TS-30V(トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;10.5)、NIKKOL TI-10V(モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.0)、NIKKOL TO-10V(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.0)、NIKKOL TO-10MV(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.0)、NIKKOL TO-106V(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(6モル)ソルビタン、HLB;10.0)、NIKKOL TO-30V(トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;11.0)等が挙げられる。
東邦化学工業株式会社製のものとしては、ソルボン T-40(モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.7)、ソルボン T-60(モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;14.9)、ソルボン T-80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;15.0)、ソルボン T-85(トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、HLB;11.0)等が挙げられる。
【0027】
上記の成分(C)HLBが9〜16であるステロルールエーテル骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(C)の配合量は、0.1〜1質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、本発明の乳化皮膚化粧料の乳化粒子径を100〜500nmとすることが困難になり不適切である。また1質量%を超えて配合すると、使用感においてべたつきが生じやすくなる。
【0028】
本発明に用いられる、成分(D)2価のグリコール類として、具体的には、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオールが挙げられ、これらの中でも1,3−ブチレングリコールが特に好ましく用いられる。また、上記2価のグリコール類を1種または2種以上組み合わせて用いることも可能である。本発明において、成分(D)の好適な配合量は5〜20質量%である。5質量%未満であると、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmとすることができず、また20質量%を超えて配合すると、クリーミングや分離などの安定性の面で問題を生じる場合があり好ましくない。
本発明において、成分(D)2価のグリコール類の配合量は、先に調製される乳化組成物に含まれる量のみである場合、あるいは先に調製される乳化組成物に含まれる量と他の水性成分として配合する量の合計である場合のいずれであってもよい。
【0029】
本発明に用いられる成分(E)水の総配合量は、5〜20質量%であることが好ましい。5質量%未満であると、化粧水と乳液が1剤化された皮膚化粧料とした場合の化粧水としての効果であるさっぱりさ、清涼感に劣るものとなり、また20質量%を超えて配合しても増量による効果の向上は認められず、安定性の面で問題が生じる場合がある。
【0030】
本発明において、さらに(F)エタノールを配合してもよい。エタノールの配合量は、5〜20質量%であることが好ましい。5質量%未満であると、化粧水と乳液が1剤化された皮膚化粧料とした場合の化粧水としての効果であるさっぱりさ、清涼感に劣るものとなり、また20質量%を超えて配合しても増量による効果の向上は認められず、安定性の面で問題が生じる場合がある。
【0031】
本発明において、さらに(G)リン酸および/またはリン酸塩骨格を有するアニオン性界面活性剤を配合してもよい。成分(G)を配合することにより、より安定性の高い白濁状水中油型乳化化粧料とすることができる。成分(G)を具体的に示すと以下のものが挙げられる。
【0032】
日光ケミカルズ(株)社製のものとして、NIKKOL DLP-10(ジポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム)、NIKKOL DOP-8NV(ジポリオキシエチレン(8モル)オレイルエーテルリン酸ナトリウム)、NIKKOL DDP-2(ジポリオキシエチレン(2モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL DDP-4(ジポリオキシエチレン(4モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL DDP-6(ジポリオキシエチレン(6モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL DDP-8(ジポリオキシエチレン(8モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL DDP-10(ジポリオキシエチレン(10モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL TLP-4(トリポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテルリン酸)、NIKKOL TCP-5(トリポリオキシエチレン(5モル)セチルエーテルリン酸)、NIKKOL TOP-OV(トリオレイルリン酸)、NIKKOL TDP-2(トリポリオキシエチレン(2モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL TDP-6(トリポリオキシエチレン(6モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL TDP-8(トリポリオキシエチレン(8モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)、NIKKOL TDP-10(トリポリオキシエチレン(10モル)(C12−15)アルキルエーテルリン酸)等が挙げられる。
【0033】
上記のリン酸および/またはリン酸塩骨格を有するアニオン性界面活性剤の配合量は、0.01〜0.5質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、上記成分を配合した効果が認められず、また0.5質量%を超えて配合しても増量による効果の向上は認められない。
【0034】
本発明において、上記必須成分の他、本発明の目的を妨げない範囲において、通常の化粧水や乳液に配合される香料、色素、防腐剤、殺菌剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、塩、キレート剤、増粘剤、パール剤、界面活性剤、油剤、各種薬剤等を適宜配合することも可能である。
【0035】
本発明にかかる製造方法において、上記成分(A)〜(E)を含有する乳化相に、さらに他の水性成分を含む均一水相を添加することにより、乳化平均粒子径が100〜500nmであり、低粘度においても安定性の高い乳化化粧料が得られる。
前記の他の水性成分とは、水あるいは水性溶媒を主な媒体としてなる水性成分であれば特に限定されるものではなく、水あるいは水性溶媒の他、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲の配合量で配合してもよい。
なお、本発明において、最終的な(E)水の配合量は、先に調製される乳化組成物に含まれる水(E-1)の配合量と、他の水性成分を含む均一水相中に含有される水(E-2)の配合量との和に相当する。すなわち、(E)=(E-1)+(E-2)である。
【0036】
平均粒子径
本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法により得られる、乳化滴の平均粒子径は100〜500nmであることを特徴とする。100nm未満の超微細エマルションであると、透明から半透明を呈し、クリーミー感をかもし出す乳白色とは異なる外観領域である。本発明においては、化粧水と乳液の一剤化を指向した水中油型の皮膚化粧料を提供することも考慮し、敢えて透明から半透明とはならない、粒子径100〜500nmの乳化滴の調製を行っている。
【0037】
前記の乳化滴の平均粒子径の測定は、例えば以下のように実施する。
試験サンプルをイオン交換水で200倍に希釈して、FPAR−1000(大塚電子株式会社製)を用いて、25℃にて測定する。
【0038】
粘度
本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法により得られる、該化粧料の粘度は、25℃における粘度が5〜300mPa・sであることを特徴とする。300mPa・sを超えたものであると、化粧水と乳液が1剤化された皮膚化粧料とした場合の化粧水としてのシャバシャバした感触が得られず、好ましくない。また5mPa・s未満であると、乳液としてのモイスチャー感に欠ける場合があるので、好適な粘度は5〜300mPa・sである。
本発明にかかる製造方法によると、上記範囲の比較的低粘度の組成物においても、クリーミングすることなく、安定性の良好な白濁状水中油型乳化化粧料を提供することが可能である。
【0039】
本発明において、粘度の測定は、例えば、以下のように実施する。
デジタルビスメトロン粘度計VDA2(芝浦システム株式会社製)を用いて、測定容器に入れた試験サンプルを25℃の恒温水槽に1時間浸した後に測定する。
【0040】
以下、本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法の一例を挙げて、本発明の原理について説明する。
製法例
(工程1)(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤と、(B)水素添加リン脂質と、(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤とを50〜80℃で混合攪拌した油相中に、(D)2価のグリコール類:(E)水が3:7〜7:3の質量比で50〜80℃において混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加し、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmである乳白色を呈した乳化物を得る。
(工程2)上記乳化物を攪拌しながら、常温の他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加し、目的の白濁状水中油型乳化化粧料を得る。
この時点で、得られた化粧料の25℃における粘度を測定すると、5〜300mPa・sであることが確認された。
【0041】
原理
(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤と、(B)水素添加リン脂質と、(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤とを混合攪拌した油相中に、(D)2価のグリコール類と(E-1)水の混合水相を添加していくと、初期段階として、やや粘稠な青白い透明相を形成する。これは、油相中に水相を添加する過程で油中水型(W/O)の乳化状態が、水相の割合増加に伴う、隣接する界面活性剤の分子との間隔の変化により、ラメラ液晶が形成されたためだと推測される。
【0042】
仮に、この液晶形成の時点で、常温である他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加した場合、W/O/W型のマルチプルエマルションが生成される。このマルチプルエマルションは、合一などの問題により、安定性が低いことが多い。
そこで、本発明では液晶の形成の後、さらに(D)2価のグリコール類:(E-1)水の混合水相の添加を続け、水中油型(O/W)の乳化物を形成させる。この乳化物は、外観上は乳白色を呈し、分光光度計で透過率を測定した場合、5%以下であることが確認される。
また、この乳化物の平均粒子径を粒度分布計FPAR−1000(大塚電子株式会社製)で測定すると、100〜500nmの範囲にある乳化滴であることが認められる。
上記乳化物を調製する工程において、混合攪拌時の加温温度は、50〜80℃であることが好ましい。
【0043】
上記乳白色を呈した乳化物を得るために、油相中に添加する水相が、(D)2価のグリコール類:(E-1)水の混合水相であることよって、油相中に含まれる非イオン性界面活性剤の曇点を上げ、乳化性を高めることができる。
【0044】
上記乳白色を呈した乳化物が生成された後、第2の工程として、上記乳白色を呈した乳化物に、常温の他の水性成分と残部の水(E-2)を含む均一水相を添加し、常温まで冷却することにより、目的の白濁状水中油型乳化化粧料が得られる。
得られた化粧料の粘度は、化粧水として処方される低粘度の領域に属するものである。
乳白色を呈した水中油型の乳化物は、一般に乳液やクリームなどの比較的粘性の高い組成物中においては、経時的に安定に維持されるものの、低粘度の組成物中では、クリーミングにより、分離が起こりやすいことが問題とされる。
【0045】
しかしながら、本発明においては、前記の製造方法により、平均粒子径が100〜500nm以下である乳化滴をあらかじめ調製するので、その後さらに水相を加えて粘度を下げても、クリーミングが起こりにくい水中油型の乳化化粧料とすることができる。
また、以上のようにして得られる白濁状水中油型乳化化粧料は、乳化の際、高圧乳化装置のような特別な装置を用いることなく、混合・攪拌するだけで容易に製造することができる。
【0046】
本発明にかかる製造方法により得られた白濁状水中油型乳化化粧料は、化粧水と乳液が一剤化された皮膚化粧料、美容液、アフターシェーブローション等のスキンケア製品、ヘアートニック、ヘアーリキッド、養毛料、整髪料などの毛髪化粧料等に用いることも可能である。
【実施例1】
【0047】
以下、具体的に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法
まず最初に、本発明に用いられる水中油型の化粧料の製造例を示す。以下の製造例の説明中に記載される各成分の配合割合(質量%)は、化粧料の組成物全量に対する値である。
製造例1−1
(A)常温で液状の油剤として流動パラフィン5質量%とイソステアリン酸0.5質量%と2−エチルヘキサン酸セチル1質量%、(B)水素添加リン脂質0.4質量%、(C)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールエーテル0.4質量%、香料0.1質量%とを70℃で混合溶解した(油相)。一方、(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコールと(E-1)水が1:1の比で70℃において混合された均一水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2.7の比となるように前記油相に添加し、乳白色を呈した乳化物を得た。
続いて、上記乳化物を攪拌しながら、他の水性成分であるエデト酸塩0.01質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、残部の水(E-2)を含む常温の均一水相を添加し、常温にまで冷却して目的の白濁状水中油型乳化化粧料を得た。
【0048】
製造例1−2
(A)常温で液状の油剤として流動パラフィン5質量%とイソステアリン酸0.5質量%と2−エチルヘキサン酸セチル1質量%、(B)水素添加リン脂質として商品名NIKKOL S-10(日光ケミカルズ株式会社製、ホスファチジルコリン含有率25〜30%)0.4質量%、(C)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールエーテル0.4質量%、(E)水を残部、香料0.1質量%とを80℃で均一攪拌により可溶化の状態とし、氷例下にて急激に25℃まで冷却した。
次いで(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコール10質量%、エデト酸塩0.01質量%、フェノキシエタノール0.5質量%とを添加し、水中油型の皮膚化粧料を得た。
【0049】
製造例1−3
(A)常温で液状の油剤として流動パラフィン5質量%とイソステアリン酸0.5質量%と2−エチルヘキサン酸セチル1質量%、(B)水素添加リン脂質として商品名NIKKOL S-10(日光ケミカルズ株式会社製、ホスファチジルコリン含有率25〜30%)0.4質量%、(C)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールエーテル0.4質量%、(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコール10質量%、(E)水を残部、香料0.1質量%、エデト酸塩0.01質量%、フェノキシエタノール0.5質量%とを高圧乳化装置であるマイクロフルイタイザー(みづほ工業株式会社製)を用いて乳化を行い、水中油型の皮膚化粧料を得た。
【0050】
製造例1−4
(A)常温で液状の油剤として流動パラフィン6質量%とイソステアリン酸0.5質量%と2−エチルヘキサン酸セチル1質量%、(B)水素添加リン脂質として商品名NIKKOL S-10(日光ケミカルズ株式会社製、ホスファチジルコリン含有率25〜30%)0.7質量%、(C)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールエーテル1質量%、アニオン性界面活性剤としてトリポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテルリン酸0.2質量%、ステアリルアルコール0.3質量%、香料0.1質量%とを70℃で混合溶解した(油相)。70℃の(E-1)水を20質量%の配合割合で前記油相に添加し、乳白色を呈した乳化物を得た。
続いて、上記乳化物を攪拌しながら、他の水性成分であるエタノール9質量%、エデト酸塩0.01質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、ジプロピレングリコール0.5質量%、残部の水(E-2)を含む常温の均一水相を添加し、常温にまで冷却して水中油型の皮膚化粧料を得た。
【0051】
製造例1−5
(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の比が2:8であること以外は、製造例1−1と同様の操作を行った。
【0052】
製造例1−6
(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の比が3:7であること以外は、製造例1−1と同様の操作を行った。
【0053】
製造例1−7
(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の比が8:2であること以外は、製造例1−1と同様の操作を行った。
【0054】
製造例1−8
(A)常温で液状の油剤として流動パラフィン5質量%とイソステアリン酸0.5質量%と2−エチルヘキサン酸セチル1質量%、(B)水素添加リン脂質として商品名NIKKOL S-10(日光ケミカルズ株式会社製、ホスファチジルコリン含有率25〜30%)0.4質量%、(C)非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールエーテル0.4質量%、香料0.1質量%とを70℃で混合溶解した(油相)。一方、(D)2価のグリコール類として1,3−ブチレングリコールと(E-1)水が1:1の比で70℃において混合された均一水相を前記油相に添加し、粘稠な青白い透明相が現れた時点で前記混合水相の添加を中断した。
続いて、上記混合物を攪拌しながら、他の水性成分であるエデト酸塩0.01質量%、フェノキシエタノール0.5質量%、残部の水(E-2)を含む常温の均一水相を添加し、常温にまで冷却してW/O/W型の皮膚化粧料を得た。
【0055】
上記製造例1−1〜1−8の試験結果について、各種組成物の配合組成と併せ、下記表1にまとめて示す。なお、評価内容は以下の通りである。
<外観>
得られた各試料の外観を、目視により白濁、半透明、透明の3段階で評価した。
【0056】
<乳化滴の平均粒子径>
得られた各試料の乳化滴の平均粒子径を、粒度分布計(FPAR−1000(大塚電子株式会社製)にて測定した。500nm以下の場合は実測値を表記し、500nmを超えた場合は「×」と表記した。
【0057】
<粘度>
デジタルビスメトロン粘度計VDA2(芝浦システム株式会社製)を用いて、測定容器に入れた試験サンプルを25℃の恒温水槽に1時間浸した後に測定した。
【0058】
<安定性試験>
試料を0℃、25℃、50℃の各温度で1ヶ月間放置した後の外観を、目視および顕微鏡観察によって下記評価基準により判定した。
○:分離・結晶析出が全くみられない。
△:分離・結晶析出がほとんどみられない。
×:液相(油相または水相)の分離あるいは結晶析出がみられる。
【0059】
本発明にかかる白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法により、皮膚化粧料を試料とした場合の使用感について、以下の評価を実施した。
<使用感;うるおい感>
女性専門パネル(10名)により実使用試験を行い、肌へのなじみについて下記の評価基準により判定した。
◎:10名全員が、うるおい感があると評価した。
○:7〜9名が、うるおい感があると評価した。
△:3〜6名が、うるおい感があると評価した。
×:0〜2名が、うるおい感があると評価した。
【0060】
<使用感;べたつきのなさ>
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、べたつき感について下記の評価基準により判定した。
◎:10名全員が、べたつきがなくしっとりしたと評価した。
○:7〜9名が、べたつきがなくしっとりしたと評価した。
△:3〜6名が、べたつきがなくしっとりしたと評価した。
×:0〜2名が、べたつきがなくしっとりしたと評価した。
【0061】
<使用感;さっぱり感>
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、さっぱり感について下記の評価基準により判定した。
◎:10名全員が、さっぱり感があると評価した。
○:7〜9名が、さっぱり感があると評価した。
△:3〜6名が、さっぱり感があると評価した。
×:0〜2名が、さっぱり感があると評価した。
【0062】
<使用感;エモリエント感(肌に柔軟性を感じる使用感)>
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、エモリエント感について下記の評価基準により判定した。
◎:10名全員が、エモリエント感があると評価した。
○:7〜9名が、エモリエント感があると評価した。
△:3〜6名が、エモリエント感があると評価した。
×:0〜2名が、エモリエント感があると評価した。
【0063】
【表1】

※1:商品名 NIKKOL BPS-10, HLB;12.5(日光ケミカルズ株式会社製)
※2:商品名 NIKKOL S-10 ホスファチジルコリン含有率25-30%(日光ケミカルズ株式会社製)
【0064】
上記表1に示されるように、本発明の製造方法により得られた製造例1−1では、優れた安定性を有する、低粘度の白濁化粧料が得られた。
これに対し、従来から微細な乳化滴を得る手法として知られている、凝集法(製造例1−2)および機械的剪断力を用いた方法(製造例1−3)によると、粒子径は100nm未満の微細なものとなるものの、低粘度の組成物においては安定性が劣る傾向にあったり、あるいは、クリミー感をかもし出すために白濁させている本発明には合致しない、半透明から透明を呈したものとなる。
【0065】
製造例1−4〜1−7は、70℃に加温して混合溶解した油相中に添加する、水相の(D)1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の混合比を種々変えたものである。水のみを油相中に添加した製造例1−4では、100〜500nmの乳化滴が得られず、安定性に劣るものであった。1,3−ブチレングリコールを水に混合すると、1,3−ブチレングリコールが水相の3割以上を占めると安定性が得られた(製造例1−6)。8割まで達すると、70℃では転相温度以上になり微細化できず、冷却過程で微細化が可能となるものの、本発明においては安定性の観点からあまり好ましくない。以上の結果から、本発明において、水相の(D)1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の混合比は、両者が程よく混合された3:7〜7:3であることが好ましいことが明らかである。
【0066】
製造例1−8は、油相中に(D)1,3−ブチレングリコールと(E-1)水の混合比1:1の水相を添加していく初期段階に出現する、やや粘稠な青白い透明相が認められた後、該水相の添加を止め、他の水性成分を含む常温の水相を添加していくものであるが、得られた化粧料は外観が透明であり、低粘度の組成物においては安定性が劣るものであった。
【0067】
2.白濁状水中油型乳化化粧料の配合成分
続いて、本発明者らは、上記製造例1−1に準じ、本発明の製造方法で用いる各種配合成分について好適な条件の検討を実施した。
【表2】

※3:商品名 NIKKOL S-10E ホスファチジルコリン含有率75-80%(日光ケミカルズ株式会社製)
※4:商品名 NIKKOL S-10 ホスファチジルコリン含有率25-30%(日光ケミカルズ株式会社製)
※5:商品名 NIKKOL TI-10V, HLB;15(日光ケミカルズ株式会社製)
※6:商品名 NIKKOL BPS-10, HLB;12.5(日光ケミカルズ株式会社製)
※7:商品名 EMALEX SPIS-100, HLB;10.0(日本エマルジョン株式会社製)
※8:商品名 NIKKOL TLP-4, HLB;13.0(日光ケミカルズ株式会社製)
※9:商品名 EMALEX HC-40, HLB;12.0(日本エマルジョン株式会社製)
※10:商品名 NIKKOL MYS-25V, HLB;15.0(日光ケミカルズ株式会社製)
【0068】
上記表2に示されるように、配合する非イオン性界面活性剤の種類を種々変更したところ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤を用い、本発明にかかる製造方法によって得られた組成物は(試験例1〜3)、目的としたシャバシャバ感のある粘度において、白濁を呈する安定性の良好なものであった。
一方、硬化ヒマシ油骨格を有する非イオン性界面活性剤および直鎖状の非イオン性界面活性剤を配合した試験例4、5では、微細な乳化滴が得られず安定性が劣る化粧料であった。
また、常温で固体である高級アルコールの1種のステアリルアルコールを配合した試験例6も安定性が劣るものであった。
【0069】
次に配合される油分の配合量についての検討結果を下記表3に示す。
なお、以下の試験例においては、皮膚化粧料とし場合の使用感の評価結果を示した。
【表3】

(※11:比較製造例1)
モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンと、水素添加リン脂質と、流動パラフィンと、イソステアリン酸と、2−エチルヘキサン酸セチルと、香料を70℃にて混合攪拌した(油相)。続いて、70℃に加温した油相を攪拌ばねを用いて混合攪拌しながら、イオン交換水と、エタノールと、ジプロピレングリコールと、エデト酸塩と、フェノキシエタノールとを均一に混合した水相を常温にて添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。
【0070】
上記表3に示されるように、試験例7は油分(A)の配合量が少量であるため、うるおい感やエモリエント感に劣るものである。そこで、油分の配合を5質量%以上に増量させてみたところ(試験例8)、試験例7に適用される製法によって得られる組成物は、乳化粒子径が750nmとなり、安定性が低下した。
一方、試験例9は油分が5質量%以上であるにも関わらず、前述の製造例1−1に記載されるように、油相に水と1,3−ブチレングリコールの混合溶液を添加して乳化滴を形成させた後に、さらにその他の水性成分を含む均一水相を添加して組成物を得るために、乳化粒子径は190nmと微細であり安定性に優れたものであった。また、この製法によると、油分を10質量%程度まで配合しても安定性に優れたものであった。なお、試験例9および10の組成物は、透過率が5%以下である乳白色の組成物であった。
【0071】
以上の結果より、本発明にかかる製造方法によると、油分(A)を5〜10質量%と比較的多量に配合しても、低粘度の化粧料において安定性に優れた白濁状の水中油型乳化化粧料が得られることが明らかである。
【実施例2】
【0072】
以下、具体的な処方例である実施例を挙げて本発明について更に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例2−1:水中油型乳化白濁皮膚化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 5.0
(3)グリセリン 2.0
(4)1,3−ブチレングリコール 10.0
(5)ポリエチレングリコール 1.0
(6)ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル 0.5
(商品名:NIKKOL BB-10, HLB 10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(7)水素添加リン脂質 0.5
(商品名:NIKKOL レシノールS-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(8)トリポリオキシエチレン(10モル)(C12-15)アルキルエーテル 0.1
(商品名:NIKKOL TDP-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(9)スクワラン 4.0
(10)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(11)イソノナン酸イソノニル 1.0
(12)オクチルメトキシシンナメート 0.5
(13)エデト酸塩 0.01
(14)パラベン 0.15
(15)ローズマリー抽出液 0.1
(16)香料 0.1
(17)アスコルビン酸グルコシド 0.5
(18)水酸化カリウム 適量
【0073】
製法
上記成分(6)〜(12)および(16)を75℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(13)〜(15)、(17)、(18)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁皮膚化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が263nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:3.0%
【0074】
実施例2−2:水中油型乳化白濁毛髪化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 7.0
(3)グリセリン 1.0
(4)1,3−ブチレングリコール 9.0
(5)ジプロピレングリコール 2.0
(6)ポリオキシエチレン(5モル)フィトステロールエーテル 0.2
(商品名:NIKKOL BPS-5, HLB 9.5, 日光ケミカルズ株式会社製)
(7)ポリオキシエチレン(20モル)フィトステロールエーテル 0.2
(商品名:NIKKOL BPS-20, HLB 15.5, 日光ケミカルズ株式会社製)
(8)水素添加リン脂質 0.2
(商品名:NIKKOL レシノールS-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(9)水添ポリイソブテン 2.0
(10)α−オレフィンオリゴマー 3.0
(11)パルミチン酸2−エチルヘキシル 3.0
(12)ヘキサメタリン酸塩 0.01
(13)パラベン 0.15
(14)ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
(15)香料 0.2
【0075】
製法
上記成分(6)〜(11)および(15)を70℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(12)〜(14)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁毛髪化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁毛髪化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が213nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:2.2%
【0076】
実施例2−3:水中油型乳化白濁皮膚化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 10.0
(3)グリセリン 2.5
(4)1,3−ブチレングリコール 12.0
(5)イソプレングリコール 0.5
(6)イソステアリン酸ソルビタン 0.4
(商品名:EMALEX SPIS-100, HLB 10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(7)水素添加リン脂質 0.3
(商品名:COATSOME NC-21, 日本油脂株式会社製)
(8)流動パラフィン 4.5
(9)スクワレン 0.5
(10)2−エチルヘキサン酸イソノニル 2.5
(11)ピロリン酸塩 0.01
(12)フェノキシエタノール 0.5
(13)シャクヤク抽出液 0.01
(14)香料 0.01
【0077】
製法
上記成分(6)〜(10)および(14)を65℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(11)〜(13)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁皮膚化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が359nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:1.7%
【0078】
実施例2−4:水中油型乳化白濁皮膚化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 5.0
(3)グリセリン 2.0
(4)1,3−ブチレングリコール 13.0
(5)プロピレングリコール 1.0
(6)ポリオキシエチレン(10モル)コレステリルエーテル 0.4
(商品名:EMALEX CS-10, HLB 10, 日本エマルジョン株式会社製)
(7)水素添加リン脂質 0.4
(商品名:COATSOME NC-61, 日本油脂株式会社製)
(8)トリオレインリン酸 0.05
(商品名:NIKKOL TOP-OV, 日光ケミカルズ株式会社製)
(9)スクワラン 4.0
(10)ジメチルポリシロキサン 3.0
(商品名:KF-96A-6cs, 信越化学工業株式会社製)
(11)2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル 3.0
(12)オクトクレリン 0.1
(13)エチレンジアミン四酢酸塩 0.01
(14)パラベン 0.15
(15)ヨモギ抽出液 0.1
(16)香料 0.1
【0079】
製法
上記成分(6)〜(12)および(16)を70℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(13)〜(15)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁皮膚化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が263nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:4.1%
【0080】
実施例2−5:水中油型乳化白濁皮膚化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 7.0
(3)グリセリン 2.0
(4)1,3−ブチレングリコール 8.0
(5)ジプロピレングリコール 1.0
(6)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 0.45
(商品名:NIKKOL TO-10V, HLB 10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(7)水素添加リン脂質 0.45
(商品名:NIKKOL レシノールS-10E, 日光ケミカルズ株式会社製)
(8)トリポリオキシエチレン(10モル)(C12-15)アルキルエーテル 0.1
(商品名:NIKKOL TDP-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(9)流動パラフィン 4.0
(10)水添ポリイソブテン 1.0
(11)イソノナン酸イソトリデシル 1.0
(12)オクチルメトキシシンナメート 0.5
(13)エデト酸塩 0.01
(14)パラベン 0.15
(15)加水分解コラーゲン液 0.1
(16)トラネキサム酸 0.7
(17)香料 0.1
【0081】
製法
上記成分(6)〜(12)および(17)を70℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(13)〜(16)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁皮膚化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が263nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:2.3%
【0082】
実施例2−6:水中油型乳化白濁皮膚化粧料
(成分) (質量%)
(1)イオン交換水 残部
(2)エタノール 5.0
(3)グリセリン 2.0
(4)1,3−ブチレングリコール 10.0
(5)ポリエチレングリコール 1.0
(6)モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 0.5
(商品名:ソルボンT-60, 東邦化学工業株式会社製)
(7)水素添加リン脂質 0.5
(商品名:NIKKOL レシノールS-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(8)トリポリオキシエチレン(10モル)(C12-15)アルキルエーテル 0.1
(商品名:NIKKOL TDP-10, 日光ケミカルズ株式会社製)
(9)スクワラン 4.0
(10)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(11)イソノナン酸イソノニル 1.0
(12)オクチルメトキシシンナメート 0.5
(13)エデト酸塩 0.01
(14)パラベン 0.15
(15)エンメイソウ抽出液 0.1
(16)ユキノシタ抽出液 0.1
(17)アスコルビン酸グルコシド 0.5
(18)水酸化カリウム 適量
(19)香料 0.1
【0083】
製法
上記成分(6)〜(12)および(19)を70℃にて攪拌バネを用いて均一になるよう混合攪拌した(油相)。成分(1)の一部と(4)の1:1の質量比である混合水相を油相中に添加し、乳化相を得た。常温にて、この乳化相に(1)の残部、および成分(2)、(3)、(5)、(13)〜(18)を均一に混合した水相を添加し、目的の水中油型乳化白濁皮膚化粧料を得た。得られた水中油型乳化白濁皮膚化粧料は、乳化滴の平均乳化粒子径が263nmである微細粒子から成り、0℃、25℃、50℃の各温度における1ヶ月の安定性は分離や結晶析出が見られず良好なものであった。また、使用感においてもうるおい感、べたつきのなさ、さっぱり感、エモリエント感に優れたものであった。
透過率:3.1%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)〜(E)を含有し、乳化滴の平均粒子径が100〜500nmであることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、
(A)25℃における粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤
(B)水素添加リン脂質
(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤
(D)2価のグリコール類
(E)水
前記成分(A)、(B)および(C)を50〜80℃にて混合攪拌した油相中に、(D):(E-1)が3:7〜7:3の質量比で混合された水相を、油相の質量:((D)と(E-1)の合計質量)=1:2〜1:5の比となるように添加することにより、平均粒子径が100〜500nmである乳化滴を得る工程と、
さらに他の水性成分および(E-2)水を含む均一水相を添加して常温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、該乳化化粧料の25℃における粘度が5〜300mPa・sであることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(D)の2価のグリコール類が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオールからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分、(A)25℃で粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤の配合量が1〜10質量%であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分、(A)25℃で粘度が100mPa・s以下である、常温で液状の油剤の配合量が5〜10質量%であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(B)水素添加リン脂質の配合量が0.1〜1質量%であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(C)HLBが9〜16であり、且つ、ステロール骨格、アルキルエーテル骨格、ソルビタン脂肪酸エステル骨格を有する非イオン性界面活性剤の中から選択される1種または2種以上の非イオン性界面活性剤の配合量が0.1〜1質量%であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、成分(D)2価のグリコール類の配合量が、5〜20質量%であることを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、さらに成分(F)エタノールを5〜20質量%含むことを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法において、さらに成分(G)リン酸および/またはリン酸塩骨格を有するアニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする白濁状水中油型乳化化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2007−254405(P2007−254405A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82083(P2006−82083)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】