説明

皮膚の攻撃的な作用因子の免疫抑制作用に対抗するための医薬用、皮膚用、栄養用又は化粧品用組成物

本発明の目的は、空中汚染物質、脱水剤、紫外線並びに熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子によって皮膚において誘発される免疫抑制を治療するための、それぞれがおよそ3:1〜6:1に及ぶモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物と、前記混合物を活性成分として含有する医薬用、皮膚用、栄養用又は化粧品用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
皮膚は、環境の弊害に対して効果的な障壁を提供し、身体の内部器官を保護する。皮膚の主要層には、表皮、真皮及び下皮が含まれる。ヒトの上皮は、かなり厚く、最大で15枚までの層を含む。それは、紫外線、例えば熱衝撃及び浸透圧衝撃、並びに最近では環境中にますます広まっている空中汚染物質を含んだ、物理的、化学的及び環境への有害作用因子に対する身体の最初の防御障壁を示す。
【0002】
皮膚の免疫システムの抑制は、かかる有害作用因子が、例えば、主として表皮層及び対応する細胞に作用する、皮膚腫瘍の発症を誘発できる機序の一つであると知られている。
【0003】
一例を挙げれば、紫外線は、照射期間中及びその後に、皮膚の急激な変化及び遅れた変化の両方を誘発する。日射病によって誘発された細胞(「日焼け細胞」としても知られている)の形成、メラノサイトによるメラニンの生成、及び特定のサイトケラチンの作用によって角膜層が厚くなること等の目に見える変化に加えて、分子レベルで起こる幾つかの変化は、可能性のある長期間に亘った損傷の原因である:内因性抗酸化物質の枯渇[これは、放射線への暴露直後の数時間で起こり、遅れた退行性反応(酸化的ストレスとして知られている)のカスケードを引き起こし、皮膚の構造全体、表皮及び真皮に影響を与える];免疫反応[ここで、主役はランゲルハンス細胞であり、その反応は、サイトカイン及び他の可溶性因子によって媒介される];DNAに対する分子損傷(特には8−オキシDグアノシンの形成を介したもの)等である。
【背景技術】
【0004】
このテーマに関する文献の参考として、紫外線の免疫抑制効果に関し、非特許文献1〜5には触れておく価値がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Katiyar S, Elmets CA, Katiyar SK. Green tea and skin cancer: photoimmunology, angiogenesis and DNA repair. J Nutr Biochem. 2007 May;18(5):287-96.
【非特許文献2】Skiba B, Neill B, Piva TJ. Gene expression profiles of TNF-alpha, TACE, furin, IL-1beta and matrilysin in UVA- and UVB-irradiated HaCat cells. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2005 Aug;21(4):173-82.
【非特許文献3】Yawalkar N, Limat A, Brand CU, Braathen LR. Constitutive expression of both subunits of interleukin-12 in human keratinocytes. J Invest Dermatol. 106(1):80-3, 1996.
【非特許文献4】Curiel-Lewandrowski C, Venna SS, Eller MS, Cruikshank W, Dougherty I, Cruz PD Jr, Gilchrest BA. Inhibition of the elicitation phase of contact hypersensitivity by thymidine dinucleotides is in part mediated by increased expression of interleukin-10 in human keratinocytes. Exp Dermatol. 2003 Apr;12(2):145-52.
【非特許文献5】Schwarz T. Mechanisms of UV-induced immunosuppression. Keio J Med. 2005 Dec; 54(4):165-71.
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、攻撃的な作用因子、例えば空中汚染物質、脱水剤、紫外線、熱衝撃及び浸透圧衝撃並びにその他のものの皮膚に対する免疫抑制作用に効果的に対抗する手段を提供することにある。
【0007】
同一出願人が所有するEP1328268は、フラボノイド類のカテキン及びケルセチンの組み合わせの抗酸化活性を記載しており、該抗酸化活性は、特に、顕著な血小板凝集抑制活性が実証された臨床研究に基づいている。また、前述の特許は、紫外線の皮膚老化効果を対照させる抗酸化活性を示唆した。
【0008】
しかしながら、一般的に言えば、既定の化合物又は化合物の組み合わせの抗酸化活性が、免疫抑制効果に対する作用、延いては上述の種類の免疫保護活性と同時に発生できるかどうかについて言及することは不可能である。
【0009】
発明の要旨
本発明によれば、実験的な研究の結果から、カテキン及びケルセチンを選択した量比で一緒に組み合わせたものは、上述の攻撃的な作用因子の皮膚に対する免疫抑制作用に対抗するための有効な活性成分を構成するということが、驚くべきことに見出された。
【0010】
発明の詳細な説明
カテキン及びケルセチンの構造式及び分子量は、以下の通りである:
【0011】
【化1】

【0012】
それ故に、本発明の目的は、空中汚染物質、脱水剤、紫外線、熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子の皮膚に対する免疫抑制作用に対抗するための医薬用、皮膚用、栄養用又は化粧品用組成物の調製における活性成分としての前述の組み合わせの使用と、対応した組成物であって、活性成分としてカテキン及びケルセチンの組み合わせをそれぞれがおよそ6:1と3:1の範囲のモル比で含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に従う組成物は、皮膚上への局所用に又は全身用に配合でき、例えば経口投与に適した形態として配合できる。
【0014】
以下のものは、本発明に従う組成物の幾つかの記載であり、限定するものとして意図されない。
【0015】
例1〜5においては、成分の量が、以下のように所定の範囲内の重量対重量パーセントとして表される。一方、ケルセチンについては、前述の範囲内で選択されたカテキンの量との関連で、1:5のケルセチン対カテキンのモル比を示す。
【0016】
例1
サンミルク
成分(INCI名)・・・量%w/w
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30・・・2.00〜5.00
ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル−4・・・2.00〜6.00
バチルアルコール・・・0.03〜0.080
メトキシケイ皮酸エチルへキシル・・・5.00〜11.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート・・・5.00〜11.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン・・・1.00〜4.00
サリチル酸エチルへキシル・・・1.00〜5.000
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド・・・1.00〜10.00
安息香酸C12〜15アルキル・・・3.00〜10.00
ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール・・・4.00〜10.00
セバシン酸ジイソプロピル・・・1.00〜5.00
シアバター・・・0.40〜3.00
トウモロコシオイル・・・0.50〜1.00
アボカドオイル不けん化物・・・0.40〜2.00
トウキンセンカ・・・1.00〜5.00
クエン酸トリエチル・・・0.20〜0.80
Vp/エイコセンコポリマー・・・0.30〜2.00
ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル・・・1.00〜3.00
テトラ−ジ−t−ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル・・・0.01〜0.050
エチルへキシルトリアゾン・・・1.00〜4.00
ステアリン酸マグネシウム・・・0.10〜0.80
ベータ−シトステロール・・・0.05〜0.50
安息香酸・・・0.20〜0.50
トリクロサン・・・0.02〜0.70
グリシルレチン酸・・・0.02〜0.70
窒化ホウ素・・・0.20〜0.50
二酸化チタン・・・0.50〜5.00
水酸化アルミニウム・・・0.50〜5.00
ステアリン酸・・・0.50〜3.00
グリセリン・・・1.00〜5.00
ソルビチルフルフラール・・・0.10〜0.90
カテキン・・・0.005〜0.05
硫酸マグネシウム・・・0.70
シクロペンタシロキサン・・・1.00〜5.00
カプリリルグリコール・・・0.10〜0.80
ケルセチン・・・1:5(ケルセチン対カテキンのモル比)
ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム・・・0.10〜0.05
パルファム・・・0.20
ビス−エチルへキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロナート・・・0.01〜0.50
水添レシチン・・・0.05〜1.00
水・・・q.s.100g
【0017】
例2
サンミルク
成分(INCI名)・・・量%w/w
C10〜18トリグリセリズ・・・1.00〜10.00
安息香残C12〜15アルキル・・・3.00〜10.00
ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール・・・4.00〜10.00
セバシン酸ジイソプロピル・・・1.00〜5.00
ベヘニルアルコール・・・0.40〜3.00
スクアラン・・・0.40〜2.00
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30・・・2.00〜5.00
ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル−4・・・2.00〜6.00
バチルアルコール・・・0.03〜0.08
メトキシケイ皮酸エチルへキシル・・・5.00〜11.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート・・・5.00〜11.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン・・・1.00〜4.00
サリチル酸エチルへキシル・・・1.00〜5.00
トウモロコシオイル・・・0.50〜1.00
トウキンセンカ・・・1.00〜5.00
クエン酸トリエチル・・・0.20〜0.80
Vp/エイコセンコポリマー・・・0.30〜2.00
ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル・・・1.00〜3.00
テトラ−ジ−t−ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル・・・0.01〜0.050
エチルへキシルトリアゾン・・・1.00〜4.000
ステアリン酸マグネシウム・・・0.10〜0.80
ベータ−シトステロール・・・0.05〜0.50
安息香酸・・・0.20〜0.50
トリクロサン・・・0.02〜0.70
グリシルレチン酸・・・0.02〜0.70
窒化ホウ素・・・0.20〜0.50
二酸化チタン・・・0.50〜5.00
水酸化アルミニウム・・・0.50〜5.00
ステアリン酸・・・0.50〜3.00
グリセリン・・・1.00〜5.00
カテキン・・・0.005〜0.05
硫酸マグネシウム・・・0.10〜0.80
シクロペンタシロキサン・・・1.00〜5.00
カプリリルグリコール・・・0.50〜0.800
ソルビチルフルフラール・・・0.10〜0.90
ケルセチン・・・1:5(ケルセチン対カテキンのモル比)
ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム・・・0.10〜0.05
パルファム・・・0.200
コウレスホルスコリ根エキス・・・0.01〜0.10
ビス−エチルへキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロナート・・・0.01〜0.50
水添レシチン・・・0.05〜1.00
水・・・q.s.100g
【0018】
例3
サンクリーム
成分(INCI名)・・・量%w/w
ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30・・・1.00〜5.00
ジイソステアリン酸/ポリヒドロキシステアリン酸/セバシン酸ポリグリセリル−4・・・1.00〜5.00
バチルアルコール・・・0.03〜0.08
メトキシケイ皮酸エチルへキシル・・・5.00〜11.00
ブチルメトキシジベンゾイルメタン・・・0.50〜1.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾアート・・・5.00〜11.00
サリチル酸エチルへキシル・・・2.00〜7.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド・・・3.00〜8.00
安息香残C12〜15アルキル・・・3.00〜8.00
ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール・・・3.00〜8.00
セバシン酸ジイソプロピル・・・1.00〜6.00
シアバター・・・0.40〜3.00
アボカドオイル不けん化物・・・0.40〜3.00
オリーブ・・・0.40〜3.00
トウキンセンカエキス・・・0.40〜3.00
Vp/エイコセンコポリマー・・・0.50〜1.20
ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル・・・2.00〜3.50
クエン酸トリエチル・・・0.10〜0.60
テトラ−ジ−t−ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル・・・0.025〜0.050
エチルへキシルトリアゾン・・・1.00〜2.500
ベータ−シトステロール・・・0.05〜0.300
安息香酸・・・0.20〜0.30
トリクロサン・・・0.02〜0.500
グリシルレチン酸・・・0.020〜0.500
窒化ホウ素・・・0.020〜0.500
ソルビチルフルフラール・・・0.10〜0.90
グリセリン・・・1.00〜5.00
硫酸マグネシウム・・・0.02〜0.90
キサンタンゴム・・・0.20〜0.40
シクロペンタシロキサン・・・1.00〜3.50
カテキン・・・0.005〜0.05
ケルセチン・・・1:5(ケルセチン対カテキンのモル比)
カプリリルグリコール・・・0.50〜0.800
ジメチルシリル化シリカ・・・1.00〜3.00
オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム・・・1.00〜3.00
ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム・・・0.10〜0.50
コウレスホルスコリ根エキス・・・0.005〜0.05
ビス−エチルへキシルヒドロキシジメトキシベンジルマロナート・・・0.10〜0.50
水添レシチン・・・0.05〜0.150
パルファム・・・0.20
水・・・q.s.100g
【0019】
例4
アフターサンボディミルク
成分(INCI名)・・・量%w/w
グリセリン・・・1.00〜6.00
セチルヒドロキシエチルセルロース・・・0.10〜0.40
キサンタンゴム・・・0.10〜0.40
アラントイン・・・0.10〜0.35
タピオカデンプン・・・1.00〜4.00
ヒアルロン酸ナトリウム・・・0.025〜0.35
EDTA二ナトリウム・・・0.025〜0.20
カテキン・・・0.005〜0.05
ケルセチン・・・1:5(ケルセチン対カテキンのモル比)
ステアリン酸ソルビタン・・・2.00〜5.00
ヤシ脂肪酸スクロース・・・0.10〜1.00
グリシルレチン酸・・・0.30〜0.70
スクアラン・・・2.00〜5.00
ベータ−シトステロール・・・0.10〜0.50
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリズ・・・1.00〜5.00
シアバター・・・1.00〜5.00
トウキンセンカ・・・1.00〜3.00
ジメチコーン・・・1.00〜3.00
ヒドロキシメチルグリシンナトリウム・・・0.25〜0.50
パルファム・・・0.30
デルタトコフェロール・・・0.02〜0.25
ソルビチルフルフラール・・・0.10〜0.90
水・・・q.s.100g
乳酸(pH調整剤)・・・q.s.
【0020】
例5
アフターサンフェイスクリーム
成分(INCI名)・・・量%w/w
グリセリン・・・2.0〜5.0
タピオカデンプン・・・1.00〜2.00
セチルヒドロキシエチルセルロース・・・0.10〜0.50
ヒアルロン酸ナトリウム・・・0.05〜0.5
EDTA四ナトリウム・・・0.10〜0.50
カテキン・・・0.005〜0.05
ケルセチン・・・1:5(ケルセチン対カテキンのモル比)
グリシルレチン酸・・・0.10〜0.70
オリーブ脂肪酸セテアリル・・・1.00〜4.00
オリーブ脂肪酸ソルビタン・・・0.50〜3.00
シアバター・・・1.0〜8.00
セトステアリルアルコール・・・0.50〜2.00
ベータシトステロール・・・0.10〜0.50
デルタトコフェロール・・・0.05〜0.20
ジメチコーン・・・0.50〜1.50
ジメチコーンクロスポリマー・・・0.20〜1.50
ソルビチルフルフラール・・・0.5〜1.00
トウキンセンカ・・・0.50〜5.00
ヒドロキシメチルグリシンナトリウム・・・0.25〜0.50
パルファム・・・q.s.
水・・・q.s.100.00
【0021】
例6
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための食用製品
各軟質ゼラチンカプセル(パール)は、以下のものを含有する:
カテキン・・・80mg
ケルセチン・・・20mg
ビタミンE(dl−アルファトコフェロール)・・・5mg
大豆油・・・290mg
大豆レシチン・・・5mg
脂肪酸のモノ−及びジグリセリズ・・・30mg
カプセル成分:
ゼラチン・・・145mg
グリセロール・・・67mg
【0022】
例7
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための錠剤形態としての食用製品
各錠剤は、以下のものを含有する:
L−アルギニン塩酸塩・・・200〜250mg
微結晶性セルロース・・・100〜250mg
二塩基性リン酸カルシウム二水和物・・・100〜200mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース・・・30〜100mg
亜鉛(アミノ酸キレートとして)・・・7.5mg
銅(アミノ酸キレートとして)・・・1.2mg
カテキン・・・4.03mg
ケルセチン・・・0.84mg
脂肪酸のモノ−及びジグリセリズ(E471)・・・5〜10mg
二酸化ケイ素(コロイドシリカ)・・・5〜10mg
赤色酸化鉄(着色剤E172)・・・0.44mg
ビオチン・・・0.17mg
【0023】
例8
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための硬質ゼラチンカプセルとしての食用製品
各硬質ゼラチンカプセルは、以下のものを含有する:
ケルセチン・・・10.4mg
カテキン・・・40mg
リシン一塩酸塩・・・110mg
二塩基性リン酸カルシウム二水和物・・・50〜100mg
微結晶性セルロース・・・50〜100mg
ステアリン酸マグネシウム・・・5〜10mg
二酸化ケイ素・・・3〜6mg
天然ゼラチン・・・カプセル
【0024】
例9
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための食用製品−軟質ゼラチンカプセル(パール)
各軟質ゼラチンカプセル(パール)は、以下のものを含有する:
ケルセチン・・・17mg
カテキン・・・83mg
ビタミンE(dl−アルファトコフェロール)・・・5mg
ボラージオイル・・・50mg
大豆油・・・350mg
大豆レシチン・・・5mg
脂肪酸のモノ−及びジ−グリセリズ・・・30mg
カプセル成分:
ゼラチン・・・145mg
グリセロール・・・67mg
【0025】
例10
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための錠剤形態としての食用製品
各錠剤は、以下のものを含有する:
d−ビオチン・・・0.23mg
ユビデカレノン・・・10mg
ビタミンC・・・60mg
ビタミンE(dl−アルファトコフェロール)・・・15mg
ヴィティス・ヴィニフェラの種子及び葉の乾燥エキス(カテキン及びケルセチンを5:1のモル比で含有する)・・・60mg
ピリドキシン塩酸塩・・・3.6mg
ルテイン・・・2mg
亜鉛(アミノ酸キレートとして)・・・7.5mg
銅(アミノ酸キレートとして)・・・1.2mg
マンガン(アミノ酸キレートとして)・・・1.75mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース・・・30〜50mg
二塩基性リン酸カルシウム二水和物・・・50〜100mg
微結晶性セルロース・・・50〜100mg
ステアリン酸マグネシウム・・・5〜10mg
二酸化ケイ素・・・3〜6mg
【0026】
例11
誘発された皮膚免疫抑制による損傷を防ぐための食用製品−単一用量小袋
各小袋は、以下のものを含有する:
ヴィティス・ヴィニフェラの種子及び葉の乾燥エキス(カテキン及びケルセチンを5:1のモル比で含有する)・・・60mg
凍結乾燥したラクトバチルス・プランタルム・・・1,000,000UFC/用量
ロイシン・・・10〜20mg
マルトデキストリン・・・500〜1000mg
【0027】
本発明に従う活性成分の有効性を、インビトロでの実験によってテストした。
【0028】
実験的な研究は、図面中のグラフを参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】サイトカインIL−10の発現について言及するグラフを示す。
【図2】サイトカインIL−12の発現について言及するグラフを示す。
【図3】以下に与えられた詳細な説明に従ったTNF−αの発現について言及するグラフを示す。
【図4】照射の4時間後にカテキン及びケルセチンの組み合わせを用いて処置した場合及び処置しなかった場合での、照射されたサンプル(1MED)におけるチミン二量体の免疫組織化学を示す。
【実施例】
【0030】
インビトロでの研究
序論及び目的
この研究は、最小紅斑量(1MED)でのUVA及びUVB照射によって誘発されたDNA損傷に対するカテキン及びケルセチンの組み合わせの免疫保護及び予防作用を評価するため、インビトロで再構築されたヒト表皮について行われた。
【0031】
UV誘発DNA損傷は、光免疫抑制の主な分子メディエーターの一つであると知られている(Schwarz et al.,2005)。
【0032】
Kripkeのグループによって行われた研究(1992)は、DNAが全身性免疫抑制を引き起こす過程における紫外線の優先的な標的であること、及びこのタイプのUV誘発免疫抑制を媒介する主要な分子現象がピリミジン二量体の形成であることを明確にした。具体的に、このタイプのDNA損傷に対して特定的に活性な方法は、免疫学的機能を回復するのに効果的な手段である。
【0033】
UV誘発DNA損傷に関する研究と並行して、炎症促進性サイトカインTNF−アルファ及びIL−12並びに抗炎症性サイトカインIL−10についても解析した。
【0034】
上記研究全体で採用した実験的アプローチは、我々が、既に早い段階(延いては、光誘発損傷を防ぐ際における皮膚科学的作用に非常に重要である)で、UV誘発ストレスに置かれたバイタル表皮の生理的条件下において紫外線によって誘発された免疫抑制過程に対抗する際に考慮される分子の活性度を確認できるようにした;これは、メディエーターの発現及び分子レベルでのDNAへの損傷等、関連性があり動的で感受性の高いパラメータを用いて行われた。
【0035】
特定のサイトカイン、特にインターロイキンIL−12は、免疫担当細胞、即ちランゲルハンス細胞に関して免疫修飾活性を有することがよく知られている。それ故に、我々は、ここで検討される化合物の活性を評価するため、UV照射後のケラチノサイトによって媒介される表皮の免疫応答についてのこの初期の機序を使用することに決めた。
【0036】
IL−10は、病原体耐性と有害な全身性炎症間の微妙なバランスを保つために極めて重要な因子であり、それは、IL−12産生の強力な阻害剤である(Haste−Amezaga et al.,1998,D’Andrea et al.,1993)。
【0037】
UV照射後の表皮ケラチン細胞中におけるIL−12の発現は、RT−PCR法を用いて評価された。
【0038】
DNA損傷に対する保護効果は、基底及び基底層上の表皮レベルでのピリミジン塩基(チミン)による二量体の形成から判断されており、これは、照射の4時間後に既に明らかになる:これら二量体は、NMSC(非黒色腫皮膚癌)のマーカーとして認識されており、それらの形成は、免疫組織化学によって評価される。カテキン及びケルセチンによって処置した組織の免疫組織化学的検査は、より限られた免疫染色を示し、チミン二量体の減少を示していた。図4は、チミン二量体の免疫組織化学スライドの画像を示しており、左側が未処置の照射サンプル(1MED)で、右側が本発明に従うカテキン及びケルセチン混合物によって処置したサンプルであり、照射の4時間後のものであって、後者ではより限定された細胞染色を示している。
【0039】
UVA誘発DNA損傷の特異的なマーカーである8−オキシD−グアノシンの形成を評価するため、同一の方法を用いた。
【0040】
この実験に対し、我々は、不活性な対照物質として0.9%生理溶液を用い、本発明に従う組成物として生理溶液中に溶解した重量/重量比が5:1のカテキン及びケルセチンを含有する混合物を用いた。
【0041】
図面中の図1〜3は、未照射コントロール、未処置の照射コントロール、及び本発明に従う組成物(カテキン+ケルセチン)を用いて処置した照射サンプルについて得られたIL−10、IL−12及びTNF−アルファの発現に関するグラフを示す。
【0042】
グラフ中における一対の隣接したカラムのそれぞれは、1MEDの場合のように照射された、4時間のUV処理(左側の薄い色のカラム,4h)と24時間の処理(右側の濃い色のカラム,24h)の場合についてそれぞれ言及している。
【0043】
結果
免疫蛍光法を用いた組織学的評価の結果は、以下のことを実証した:
a)8−オキシD−グアノシン(UVA誘発酸化的ストレスのバイオマーカー):照射の4時間後、8−オキシの形成が照射コントロールと比べて抑制されたため、カテキン及びケルセチン混合物は、保護効果を示した;
b)チミン二量体:カテキン及びケルセチンを用いて処置された混合物において、照射の4時間後にピリミジン二量体の形成を阻害する証拠があった。
【0044】
未照射コントロールと、UV照射後にカテキン+ケルセチン処置を行った場合及び該処置を行わなかった場合とを比較して、増加したIL−10レベルは、免疫抑制に向かう変化が皮膚環境下において起きた証拠である(図1)。
【0045】
一方、IL−10のIL−12に対する優勢(図2)は、UV照射後の炎症反応の退行を支持するために必須である。具体的に、皮膚中における高いIL−10レベル及び低いIL−12レベルの像は、UV照射の免疫抑制効果と炎症反応を制限するための皮膚の要求と一致する(Kang et al.,1997)。
【0046】
また、IL−12は、炎症反応及びIFN−ガンマ産生を調整する際にIL−12と密接に関連する他のサイトカインであるTNF−アルファによっても抑制される(Ma and Trinchieri,2001)。TNF−アルファは、UV誘発皮膚損傷のメディエーターとしての重要な役割がある(Barr et al.,1999)。
【0047】
UV照射は、TNF−アルファレベルの増加を引き起こす一方、カテキン及びケルセチンを用いた処置は、TNF−アルファレベルの減少をもたらす。
【0048】
この知見は、図3中に示されるように、IL−10がTNF−アルファの強力な阻害剤であるため(Bogdan et al.,1991)、カテキン+ケルセチン処置がIL−10レベルで引き起こす増加と密接に関係している。
【0049】
結論
上述の研究の結果は、本発明に従うカテキン及びケルセチン混合物の驚くべき保護作用を全体的に実証しており、UVA及び/又はUVBによって誘発されたDNA損傷に対する保護効果の証拠、並びにIL−10及びTNF−アルファ発現レベルの証拠から現れる抗炎症活性と関係がある。
【0050】
従って、本発明の目的の効果的な達成が実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中汚染物質、脱水剤、紫外線並びに熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子によって皮膚において誘発される免疫抑制を治療するための、それぞれがおよそ6:1〜3:1の範囲のモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物。
【請求項2】
空中汚染物質、脱水剤、紫外線並びに熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子によって皮膚において誘発される免疫抑制を治療するための活性成分としての、それぞれがおよそ6:1〜3:1の範囲のモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物の使用。
【請求項3】
空中汚染物質、脱水剤、紫外線並びに熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子によって皮膚において誘発される免疫抑制を治療するための組成物の調製への、それぞれがおよそ6:1〜3:1の範囲のモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物の使用。
【請求項4】
前記カテキン及びケルセチンの混合物が、およそ5:1のモル比にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の使用。
【請求項5】
空中汚染物質、脱水剤、紫外線並びに熱衝撃及び浸透圧衝撃等の攻撃的な作用因子によって皮膚において誘発される免疫抑制作用に対抗する医薬用、皮膚用、栄養用又は化粧品用組成物であって、活性成分として、それぞれがおよそ6:1〜3:1の範囲のモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項6】
前記活性成分が、およそ5:1のモル比にあるカテキン及びケルセチンの混合物からなることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
局所用に配合されたことを特徴とする請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
経口用に配合されたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
全身用に配合されたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−525375(P2012−525375A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507873(P2012−507873)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051897
【国際公開番号】WO2010/125541
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(504244025)ギウリアニ ソシエタ ペル アチオニ (7)
【Fターム(参考)】