説明

皮膚及び毛髪用洗浄料組成物

【課題】洗浄時の泡立ちに優れ、且つ使用後の毛髪及び皮膚にしっとり感を与えることのできる洗浄料の提供。
【解決手段】塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸共重合体および塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を含有する皮膚および毛髪用洗浄料組成物であり、さらに脂肪酸石鹸、脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩、脂肪酸エーテルカルボン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤を含有してもよい組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚及び毛髪用洗浄料組成物、特にカチオン性ポリマーを含む皮膚及び毛髪用洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に化粧品は、使用時及び使用後の感触が重視される。例えば、毛髪や皮膚の洗浄料においては、本来の機能である洗浄力に加えて、洗浄時に生じる泡質や、洗浄後に与える感触が重要視される。泡質については、特に気泡の細かいクリーミーな泡質が好まれる傾向にある。一方、洗浄後の感触については、しっとりした感触を与えることが望まれているが、洗浄力の高い界面活性剤を配合した洗浄料は、毛髪や皮膚を必要以上に脱脂してしまう場合がある。
【0003】
そこで、洗浄料基剤中に各種高分子を配合することによって、その泡質や使用感触を改良することが広く行なわれている。例えば、ポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウムあるいは塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献1参照)、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献2,3参照)、あるいはグルコシルオキシエチルメタクリル酸/塩化メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウム共重合体を配合した洗浄料(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
【特許文献1】特開昭62−4799号公報
【特許文献2】特開2001−64678号公報
【特許文献3】特開2003−73257号公報
【特許文献4】特開2003−306515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記洗浄料においては、いずれも泡質や使用感触の改良が十分でなかった。
本発明の目的は、洗浄時の泡立ちに優れ、且つ使用後の毛髪及び皮膚にしっとり感を与えることのできる洗浄料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記事情を鑑み、本発明者等が鋭意検討を行った結果、2種の特定のカチオン性ポリマーを配合することにより、使用時の泡立ち及び洗浄後のしっとり感となめらかさを著しく改善させた洗浄料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の皮膚及び毛髪用洗浄料組成物は、
(A)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(II)で表されるモノマー2とを共重合させたカチオン性ポリマーAと、
(B)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(III)で表されるモノマー3とを共重合させたカチオン性ポリマーBを含むことを特徴とする。
(化1)

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基である。Yは1価の無機又は有機アニオンである。nは1〜3の整数、mは1〜5の整数である。―O―Gは還元糖の1位水酸基より水素原子を除いた基である。)
【0006】
前記組成物において、更に脂肪酸石鹸、脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩、脂肪酸エーテルカルボン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤を含むことが好適である。
前記組成物において、カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBの配合比率がモル数換算にて1:9〜9:1であることが好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚及び毛髪用洗浄料組成物は、2種の特定のカチオン性ポリマーを配合することにより、使用時の泡立ちに優れ、洗浄後の皮膚及び毛髪にしっとり感となめらかさを与えることのできるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の皮膚及び毛髪用洗浄料組成物は、(A)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(II)で表されるモノマー2とを共重合させたカチオン性ポリマーAと、
(B)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(III)で表されるモノマー3とを共重合させたカチオン性ポリマーBを含むことを特徴とする。
(化2)

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基である。Yは1価の無機又は有機アニオンである。nは1〜3の整数、mは1〜5の整数である。―O―Gは還元糖の1位水酸基より水素原子を除いた基である。)
【0009】
<カチオン性ポリマーA>
(モノマー1)
一般式(I)のモノマー1において、4級アンモニウム窒素の置換基であるR及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基あるいはアルコキシ基である。炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、また水酸基あるいはフッ素原子が一部置換されていても良い。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
は1価の無機又は有機アニオンであり、4級アンモニウムの塩を形成し得るものであればどのようなものでも構わない。例えば、1価の無機アニオンとしては、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、1価の有機アニオンとしては、硫酸イオン、酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。特に塩化物イオンであることが好ましい。
当該カチオン性モノマーとしては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化ジエチルジアリルアンモニウム、塩化ジプロピルジアリルアンモニウム、硫酸ジメチルジアリルアンモニウム、硫酸ジエチルジアリルアンモニウム、硫酸ジプロピルジアリルアンモニウム等が挙げられる。これらのうち、特に塩化ジメチルジアリルアンモニウムが好適に用いられる。
【0010】
(モノマー2)
一般式(II)のモノマー2において、Rは水素原子又はメチル基である。G―O―は還元糖の1位水酸基より水素原子を除いた基を示す。G―O―Hで表される還元糖は、単糖又はオリゴ糖を意味する。単糖としては具体的には、グルコース、マンノース、ガラクトース、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン等の6単糖類、アラビノース、キシリトース、リボース等の5単糖類を挙げることができる。オリゴ糖としては具体的には、マルトース、ラクトース、トレハロース、セロビオース等の2糖類、マルトトライオース、イソマルトトライオース糖の3糖類等が挙げられる。還元糖としては、上記から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、特にグルコースが好ましい。
nは1〜3の整数、mは1〜5の整数であり、nは好ましくは2、mは好ましくは1である。
【0011】
カチオン性ポリマーAにおいて、モノマー1とモノマー2の構成比は、モル数換算で1:99〜99:1である。好ましくは10:90〜90:10であり、更に好ましくは20〜50:50〜80である。上記範囲外であると、使用時の泡立ち、使用後のしっとり感、なめらかさが十分でなくなる。
カチオン性ポリマーAの平均分子量は、1万以上100万以下、特に50万以上100万以下であることであることが好ましい。1万未満であると泡立ちが不十分になる傾向がある。また100万を超えると、使用時にヌルつきを生じる傾向がある。
【0012】
カチオン性ポリマーAとしては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/ガラクトキシオキシエチルメタクリル酸共重合体、塩化ジエチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸共重合体、塩化ジエチルジアリルアンモニウム/ガラクトキシオキシエチルメタクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルアククリル酸共重合体などが挙げられる。これらのうち、特に塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸共重合体を好適に用いることができる。
【0013】
<カチオン性ポリマーB>
(モノマー1)
上述のとおり。
(モノマー3)
一般式(III)のモノマー3において、Rは水素又はメチル基である。具体的には、アクリルアミドあるいはメタクリルアミドである。
カチオン性ポリマーBにおいて、モノマー1とモノマー3の構成比は、モル数換算で1:99〜99:1である。好ましくは10:90〜90:10であり、更に好ましくは20〜50:50〜80である。上記範囲外であると、使用時の泡立ち、使用後のしっとり感、なめらかさが十分でなくなる。
カチオン性ポリマーBの平均分子量は、1万以上100万以下、特に50万以上100万以下であることであることが好ましい。1万未満であると泡立ちが不十分になる傾向がある。また100万を超えると、使用時にヌルつきを生じる傾向がある。
【0014】
カチオン性ポリマーBとしては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体、塩化ジエチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体、塩化ジプロピルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。これらのうち、特に塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体を好適に用いることができる。
【0015】
本発明に用いられる共重合体は、上記各モノマーを公知の重合方法で重合させることによって調製することができる。重合方法としては、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等を用いることができる。例えば、均一溶液重合法の場合には、前記各種モノマーを適切なモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱撹拌することにより本発明の共重合体を得ることができる。
【0016】
重合の際に用いられる溶媒としては、各種モノマーを溶解又は懸濁し得る溶媒であればいずれの溶媒を用いることも可能であり、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系溶媒などの他、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上混合して用いてもよい。なお、通常、用いる重合開始剤の重合開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0017】
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。
【0018】
重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。
【0019】
本発明に用いられる2種のカチオン性ポリマーにおいては、各モノマーの付加する順序は特に指定されるものではなく、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、通常は各モノマーがランダム状に付加されたポリマーが得られる。
【0020】
なお、本発明にかかる組成物において、前記2種のカチオン性ポリマーの配合量は適宜調整することができるが、組成物の全量に対して合計で0.01〜10.0質量%、さらには0.1〜3.0質量%であることが好適である。0.01質量%より少ない場合には、泡立ち及び洗浄後のしっとり感やなめらかさの改善効果が十分でない場合があり、10.0質量%より多い場合にはべたつきを生じる場合がある。
また、カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBの配合比率は1:9〜9:1であり、好ましくは2:8〜8:2、更に好ましくは7:3〜3:7である。カチオン性ポリマーAの割合が10%以下になると、洗浄後の肌のしっとり感が十分でなくなる。またカチオン性ポリマーBの割合が10%以下になると、洗浄後の肌のなめらかさが十分でなくなる。
なお、本発明にかかる組成物は、カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBを必須成分とするが、本発明を損なわない範囲内において他のポリマーを含有することができる。
【0021】
<アニオン性界面活性剤>
本発明の洗浄料組成物には、上記カチオン性ポリマーに加えて、アニオン性界面活性剤を配合することが好ましい。アニオン性界面活性剤は、特に限定されないが、脂肪酸石鹸、脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩、脂肪酸エーテルカルボン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上を用いると、泡立ち、しっとり感、なめらかさの点で好適である。
特に脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩及び脂肪酸エーテルカルボン酸塩が好ましい。
脂肪酸石鹸としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩としては、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ステアロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
脂肪酸エーテルカルボン酸塩としては、たとえば、ラウリルグリコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0022】
本発明にかかる洗浄料組成物においては、上記成分のほか、通常化粧料や医薬品に用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、保湿剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調製剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等が挙げられる。
【0023】
また、本発明にかかる洗浄料組成物の剤型は任意であり、クリーム系、乳液系、溶液系、可溶化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、どのような剤型であっても構わない。毛髪用としては粘度のある液状、ホディー用洗浄料としては、粘度のある液状、洗顔料としては、クリーム状の基剤が使用のしやすさの点で好ましい。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される系に対する質量%で示す。
ポリマーのモノマー組成は、構成モノマー全量中の各モノマーのモル比で示す。また、ポリマーの配合量はすべて純分換算で表記する。
【実施例1】
【0024】
初めに、本発明にかかるカチオン性ポリマーの合成方法について説明する。
(合成例1:カチオン性ポリマーA)
塩化ジメチルジアリルアンモニウムモノマーの65.5%水溶液24.4g(99mmol)、グルコシルオキシエチルメタクリル酸50%水溶液135.0g(231mmol)、精製水49.3gを攪拌器のある反応容器に入れ、窒素を入れて30分間パージしたのち、60℃に加熱し、過硫酸アンモニウム1.7gを加えた。その後、20時間反応させ重合を完結させたのち、精製水で固形分濃度が約10%になるように希釈し、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸(モル比:3/7、重合度30万)を得た。
【0025】
(合成例2:カチオン性ポリマーB)
塩化ジメチルジアリルアンモニウムモノマーの65.5%水溶液40.1g(163mmol)、アクリルアミド54.0g(380mmol)、精製水106.6gを攪拌器のある反応容器に入れ、窒素を入れて30分間パージしたのち、60℃に加熱し、過硫酸アンモニウム1.7gを加えた。その後、20時間反応させ重合を完結させたのち、精製水で固形分濃度が約10%になるように希釈し、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(モル比:3/7、重合度90万)を得た。
【0026】
次に本発明において用いる評価基準を示す。
(1)洗浄時の泡立ち
各洗顔料の泡立ち(気泡の細かいクリーミーな泡が得られるかどうか)について、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:泡立ちがよい。
4点:やや泡立ちがよい。
3点:普通。
2点:やや泡立ちがわるい。
1点:泡立ちがわるい。
【0027】
(2)洗浄後の肌のしっとり感
各洗顔料を用いて洗浄後の肌のしっとり感について、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:しっとり感がある。
4点:ややしっとり感がある。
3点:普通。
2点:ややしっとり感がない。
1点:しっとり感がない。
【0028】
(3)洗浄後の肌のなめらかさ
各洗顔料を用いて洗浄後の肌のなめらかさについて、専門パネラー10名により、以下の評価基準に基づいて実使用試験を実施し、平均点を算出した。
5点:なめらかである。
4点:ややなめらかである。
3点:普通。
2点:ややなめらかでない。
1点:なめらかでない。
【0029】
上記合成例にて調製したカチオン性ポリマーを配合した洗顔料について、上記評価基準に基づいて評価した。洗顔料の配合組成と評価結果とを下記表1に併せて示す。
(表1)
試 験 例
1-1 1-2 1-3 1-4
合成例1のカチオン性ポリマーA 0.3 ― 0.6 ―
合成例2のカチオン性ポリマーB 0.3 ― ― 0.6
グリセリン 15.0 15.0 15.0 15.0
ソルビット液(70%) 20.0 20.0 20.0 20.0
ポリエチレングリコール 5.0 5.0 5.0 5.0
ラウリン酸 5.0 5.0 5.0 5.0
ミリスチン酸 12.0 12.0 12.0 12.0
パルミチン酸 5.0 5.0 5.0 5.0
ステアリン酸 10.0 10.0 10.0 10.0
水酸化カリウム 6.0 6.0 6.0 6.0
イオン交換水 残量 残量 残量 残量
(1)洗浄時の泡立ち 4.6 3.0 3.8 4.2
(2)洗浄後の肌のしっとり感 4.6 2.5 4.2 3.0
(3)洗浄後の肌のなめらかさ 4.6 2.5 2.8 4.0
【0030】
上記表1に示されるように、ポリマーを全く配合していない試験例1−2の洗顔料では、洗浄時の泡立ちに劣っており、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさも得られていない。一方で、カチオン性ポリマーAのみを配合した試験例1−3や、カチオン性ポリマーBのみを配合した試験例1−4では、試験例1−2に比較すると、泡立ち、しっとり感、なめらかさともに若干改善されてはいるものの、十分な効果が得られているものとは言い難たく、これら3点を総合的に見ても十分な改善がみられない。
【0031】
これに対して、カチオン性ポリマーA及びカチオン性ポリマーBを配合した試験例1−1の洗顔料においては、カチオン性ポリマーの配合量は試験例1−3や試験例1−4と同量であるにもかかわらず、洗浄時の泡立ち、洗浄後の肌のしっとり感及びなめらかさが著しく改善されることが明らかとなった。
このように、カチオン性ポリマーA及びカチオン性ポリマーBの配合による効果は、単なる相加的なものではないことが確認された。
【実施例2】
【0032】
次に2種のカチオン性ポリマーの好適な配合組成について検討した。洗顔料の配合組成と評価結果とを下記表2に併せて示す。なお、評価基準は前記試験と同様である。
(表2)
試 験 例
2-1 2-2 2-3 2-4 2-5 2-6
合成例1のカチオン性ポリマーA 0.1 0.2 0.3 0.7 0.8 0.9
合成例2のカチオン性ポリマーB 0.9 0.8 0.7 0.3 0.2 0.1
グリセリン 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0 15.0
ソルビット液(70%) 20.0 20.0 20.0 20.0 20.0 20.0
ポリエチレングリコール 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
ラウリン酸 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
ミリスチン酸 12.0 12.0 12.0 12.0 12.0 12.0
パルミチン酸 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
ステアリン酸 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0 10.0
水酸化カリウム 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0
イオン交換水 残量 残量 残量 残量 残量 残量
(1)洗浄時の泡立ち 4.2 4.4 4.6 4.6 4.4 4.2
(2)洗浄後の肌のしっとり感 4.6 4.8 4.8 4.6 4.2 4.0
(3)洗浄後の肌のなめらかさ 4.0 4.2 4.6 4.8 4.8 4.6
【0033】
カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBの配合比率が、カチオン性ポリマーA:カチオン性ポリマーB=1:9〜9:1の範囲内では、泡立ち、しっとり感、なめらかさの点で良好である。
以上の結果から、カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBの配合比率は1:9〜9:1であり、好ましくは2:8〜8:2、更に好ましくは7:3〜3:7であることが確認された。
【実施例3】
【0034】
次にカチオン性ポリマーと組み合わせて組成物中へ配合するのに好ましいアニオン性界面活性剤を検討した。洗顔料の配合組成と評価結果とを表3に併せて示す。なお、洗浄時の評価基準は前記試験と同様である。
(表3)
試 験 例
3-1 3-2 3-3 3-4 3-5
合成例1のカチオン性ポリマーA 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
合成例2のカチオン性ポリマーB 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3
グリセリン 30.0 30.0 30.0 30.0 30.0
ミリスチン酸カリウム 30.0 ― ― ― ―
ラウリルグリコール酸ナトリウム ― 30.0 ― ― ―
ラウロイルメチルタウリンナトリウム ― ― 30.0 ― ―
ラウリルエーテルサルフェート ― ― ― 30.0 ―
ココイルグルタミン酸ナトリウム ― ― ― ― 30.0
イオン交換水 残量 残量 残量 残量 残量
(1)洗浄時の泡質 4.2 4.8 4.6 4.2 4.0
(2)洗浄後の肌のしっとり感 4.5 4.5 4.7 4.1 4.0
(3)洗浄後の肌のなめらかさ 4.5 4.5 4.5 4.0 4.3
【0035】
いずれの試験例においても良好な性質を有しているが、中でも脂肪酸石鹸、脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩、脂肪酸エーテルカルボン酸塩を用いた場合、特に脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩及び脂肪酸エーテルカルボン酸塩を用いた場合に、優れた泡立ちが得られ、且つしっとり感となめらかさを与えることができる。
以下に本発明のその他の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例4】
【0036】
洗顔料 配合量(質量%)
(1)カチオン性ポリマーA(※1) 0.3
(2)カチオン性ポリマーB(※2) 0.3
(3)グリセリン 15.0
(4)ポリエチレングリコール400 5.0
(5)ラウリン酸 5.0
(6)ミリスチン酸 10.0
(7)パルミチン酸 10.0
(8)ステアリン酸 15.0
(9)ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
(10)脂肪酸モノグリセリド 1.0
(11)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(12)水酸化カリウム 6.0
(13)イオン交換水 残 部
(14)香料 適 量
※1:塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=3/7(モル比)、重合度50万
※2:塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸=7/3(モル比)、重合度50万
(製法)
(13)中に、(3)〜(11)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、(12)で中和し、その後残成分を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記の洗顔料は、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【実施例5】
【0037】
ボディーシャンプー 配合量(質量%)
(1)カチオン性ポリマーA(※3) 0.3
(2)カチオン性ポリマーB(※4) 0.3
(3)グリセリン 15.0
(4)ポリエチレングリコール400 5.0
(5)ラウリン酸 2.0
(6)ミリスチン酸 5.0
(7)パルミチン酸 5.0
(8)ステアリン酸 7.0
(9)ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
(10)ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 1.0
(11)水酸化カリウム 3.0
(12)イオン交換水 残 部
(13)香料 適 量
※3:塩化ジエチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=7/3(モル比)、
重合度50万
※4:塩化ジメチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルアクリル酸=7/3(モル比)、重合度50万
(製法)
(12)に、(3)〜(9)を加え、75℃で加温し、溶解する。溶解後、(11)で中和し、その後残成分を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記のボディーシャンプーは、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。
【実施例6】
【0038】
頭髪用シャンプー 配合量(質量%)
(1)カチオン性ポリマーA(※5) 0.3
(2)カチオン性ポリマーB(※6) 0.3
(3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 4.0
(4)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 1.0
(5)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 5.0
(6)クエン酸 0.05
(7)塩化ナトリウム 0.5
(8)安息香酸ナトリウム 適量
(9)イオン交換水 残余
(10)香料 適量
※5:塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=5/5(モル比)、
重合度100万
※6:塩化ジエチルジアリルアンモニウム/グルコシルオキシエチルメタクリル酸=7/3(モル比)、重合度100万
(製法)
(9)中に、(3)〜(8)を加え、75℃で加温し溶解する。溶解後、その後残成分を加えて十分攪拌後、冷却した。
上記の頭髪用シャンプーは、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の毛髪のしっとり感、なめらかさに極めて優れているものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(II)で表されるモノマー2とを共重合させたカチオン性ポリマーAと、
(B)下記一般式(I)で表されるモノマー1と、下記一般式(III)で表されるモノマー3とを共重合させたカチオン性ポリマーBを含むことを特徴とする皮膚及び毛髪用洗浄料組成物。
(化1)

(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基あるいはアルコキシ基であり、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基である。Yは1価の無機又は有機アニオンである。nは1〜3の整数、mは1〜5の整数である。―O―Gは還元糖の1位水酸基より水素原子を除いた基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の組成物において、更に脂肪酸石鹸、脂肪酸メチルタウリンナトリウム塩、脂肪酸エーテルカルボン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤を含むことを特徴とする皮膚及び毛髪用洗浄料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物において、カチオン性ポリマーAとカチオン性ポリマーBの配合比率がモル数換算にて1:9〜9:1であることを特徴とする皮膚及び毛髪用洗浄料組成物。

【公開番号】特開2006−347962(P2006−347962A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176758(P2005−176758)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】