説明

皮膚外用剤および美白剤

【課題】メラニン生成抑制作用を有する美白剤を提供する。
【解決手段】Chrysosplenium carnosum 、Pulicaria dysenterica 、Herminium monorchis 、Heracleum candicans 、Eriophyton wallichii 、Sarcococca saligna 、Zizyphus incurva 、Callicarpa arborea 、Melia dubia 、Viburnum erubescens 、Diplomorpha canescens 、Juniperus recurva 、Trichilia connaroides 、Lindera neesiana 、Phyllanthus glaucus からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の植物抽出物を配合した皮膚外用剤に関し、さらに詳しくは特定の植物抽出物からなる美白剤を配合した皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ・そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線、皮膚局所の炎症が原因となってメラニンが過剰に形成され、これが皮膚内に沈着するものと考えられている。皮膚の色素沈着の原因となるこのメラニンは、表皮基底層にある色素細胞(メラノサイト)内のメラノソームと呼ばれる小器官において生成され、生成したメラニンは周囲角化細胞(ケラチノサイト)に取り込まれる。このメラノサイト内におけるメラニンは、チロシンが酵素チロシナーゼの作用によりドーパキノンを経て酵素的または非酵素的な酸化反応により黒色のメラニンへと変化して生成される。したがって、第一段階の反応であるチロシナーゼの活性を抑制することが、メラニンの生成を抑制するうえで重要である。
上記のような色素異常の予防・改善を目的として美白作用を有する物質、すなわち、メラニン生成を抑制する物質が主に用いられており、例えば、ビタミンCを大量に経口投与する方法、グルタチオン等を注射する方法、あるいは、コウジ酸、ビタミンC及びその誘導体、システイン等を軟膏、クリーム、ローション等の形態で局所に塗布する方法などが知られている。
しかしながら、チロシナーゼの活性を抑制する化合物はハイドロキノンを除いてはその効果の発現がきわめて緩慢であるため、皮膚色素沈着の改善効果が十分でない。一方、ハイドロキノンは効果が認められるが、感作性があるため一般の使用が制限されている。そこでその安全性を向上させるため、高級脂肪酸のモノエステルやアルキルモノエーテルなどにする試み(特許文献1参照)がなされている。
しかしながら、このような高級脂肪酸のモノエステル類は体内の加水分解酵素によって分解されるため必ずしも安全であるとはいい難く、またエーテル類も安全性の面で充分に満足するものが得られていない。
【0003】
【特許文献1】特開昭58−154507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは種々の植物抽出物についてメラニン生成抑制効果を調べた結果、これまでにかかる効果を有することが知られていなかった特定の植物抽出物が優れたメラニン生成抑制作用を有していることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )(ネパール現地名: gYa-gyi-ma または gyaa'ske Ma)、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )(ネパール現地名: gandhaiya)、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )(ネパール現地名: spru-mdkar po、英名 white cow parsnip)、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )(ネパール現地名: Sol gong mug po)、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤である。
【0006】
本発明は、ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むことを特徴とする美白剤である。
【0007】
本発明は、ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を美白の有効成分として0.0001〜20.0質量%配合することを特徴とする美白用皮膚外用剤である。
【0008】
本発明は、上記の美白剤を用いて肌の美白を行うことを特徴とする美白方法である。
【0009】
本発明は、上記の美白剤を水相または油相に添加して美白用皮膚外用剤を製造することを特徴とする美白用皮膚外用剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚外用剤および美白用皮膚外用剤は、これまで外用剤に配合されてはいなかった植物抽出物を用いるものであり、メラニン生成抑制作用を有しており、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性にも優れたものである。
【0011】
本発明の美白剤は、優れたメラニン生成抑制作用を有しており、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有するものである。
【0012】
また本発明によれば、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性にも優れた美白方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明による美白用皮膚外用剤の製造方法によれば、メラニン生成抑制作用を有しており、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性にも優れた美白用皮膚外用剤を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明の皮膚外用剤に用いられるユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)について、以下に詳述する。これらの植物は、いずれもネパールに生える植物である。
また本発明の美白剤については、好ましくは実質的に上記植物抽出物からなるものであるが、その他の成分を含んでいても良い。
【0015】
ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物の Chrysosplenium carnosum は、北半球の温帯から寒帯に広く分布し、特にヒマラヤ(ガルワール)からミャンマー、ネパール東部、中国四川省にかけて分布する。
キク科(Compositae)植物の Pulicaria dysenterica は、カシミールの高地に分布する高さ60cmほどの多年草で、あざやかな黄色い花をつける。精油を含有し、強壮、収斂、利尿剤として利用されるほか、食品に添加して香料劣化防止剤などとして用いることが知られている。
ラン科(Orchidaceae)植物の Herminium monorchis は、標高3000m以上の高地に生える植物である。クシロチドリの和名をもつ。特にパキスタンからネパール中部、ユーラシアの亜寒帯に分布する。
セリ科(Umbelliferae)植物の Heracleum candicans は、多年草の双子葉植物である。特にパキスタン〜ブータン、ネパール南部、中国の雲南・四川省の山地から亜高山帯に分布する。
シソ科(Labiatae)植物の Eriophyton wallichii は、ネパール西部〜ブータン、ネパール南・東部、中国西部の標高4000m付近の高山帯に生える植物であり、肺病に用いられる。
【0016】
ツゲ科(Buxaceae)植物の Sarcococca saligna は、サルココッカ属の常緑低木で日陰の湿った場所を好む。葉は緑色で細長く光沢があり、こい青色の実をつける。サルココッカ属は、東アジアからインドの温帯および熱帯地方に架けて6種類ほど分布している。ほとんどの種は、目立たないが非常に香りのよい花を咲かせるところから、園芸植物として栽培されている。寒さに強いものと弱いものがある。常緑灌木で、葉は互生し、平滑、無毛である。花は雌雄同株で、同じ花序に雌花と雄花がある。花弁はなく、蕚片とおしべが4〜6ある。多くの種では、花に芳香がある。属名は「肉質の果実」の意味だが、果実は直径1cmくらいの卵形で、果肉が多い。暖かい地方なら栽培は容易で、日陰にも強い。
【0017】
クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物の Zizyphus incurva は、ナツメ属の常緑低木で中国名を印度棗という。気候や土壌に対する適応性は高いが霜に弱い。果実は、4cmくらいの卵形のものから、直径が10cm弱の球形のものまで品種によってさまざまで、熟すると「茶色」になる。甘く、食用になり消化がよい。同属のナツメは漢方でよく使われる生薬のひとつで、緩和、強壮、利尿、鎮痙、鎮静などに応用される。とくに、緊張による痛みや急迫症状、知覚過敏などの症状を緩和して、他の薬物の作用を穏かにするために他の生薬と配合した漢方薬が多くある。
【0018】
クマツヅラ科(Verbenaceae)植物の Callicarpa arborea は、ムラサキシキブ属植物である。ムラサキシキブ属植物は世界中に約140種が分布し、日本には約10種がある。コムラサキやシロシキブなどが鉢物や庭木として好まれている。同属のムラサキシキブは寄生性皮膚病に使用される。
【0019】
センダン科(Meliaceae)植物の Melia dubia は、センダン属の落葉高木である。樹皮は赤褐色で粗く割れる。センダン属はアジア南部、オーストラリアに約10種が分布する。葉は互生しふつう2回羽状複葉、小葉は全縁または鋸歯縁、花は両性で腋生の円錐花序につき、果実は石果である。同属のセンダンは、整腸、鎮痛、駆虫などの薬効が知られている。
【0020】
スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物の Viburnum erubescens は、ガマズミ属植物である。ガマズミ属植物は北半球の温帯、暖帯に広く120種が分布し、東南アジアや南アフリカの高地にもあり、特に東アジアと北アメリカに多い。日本にも約30種があるとされる。低木が多く葉は対生で、落葉するものと常緑のものがある。花も実も観賞価値の高いものが多い。同属のガマズミは滋養強壮、利尿などの薬効が知られている。
【0021】
ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物の Diplomorpha canescens は、ガンピ属植物である。ガンピ属植物は約50種類が東アジア〜太平洋側一帯に自生が見られる。同属のガンピは和紙の原料として知られている。
【0022】
ヒノキ科(Cupressaceae)植物の Juniperus recurva は、ビャクシン属の低木である。ネパールでは海抜3300〜4600mの高地に生育している。
ビャクシン属は北半球に多く分布し、日本ではカイヅカイブキに代表される常緑針葉樹で、直立性のものからグランドカバーまで樹形が変化に富んでいるので庭園樹として用いられることが多い。ウロコ状葉と針状葉の2種あり、幼木のときや深く刈り込んだ時に針状葉になる。同属のセイヨウネズは、神経系・消化管・内蔵諸器官の強壮作用、肺・尿路などの殺菌作用、健胃、尿酸や諸毒素の排泄を促す作用があり、痛風・尿路結石にも効果がある。また、糖尿病にも用いる。果実は直径1cmくらいで黒く、独特の香りがあり、英国でジンと呼ばれる 蒸留酒の香り付けに用いられる
【0023】
センダン科(Meliaceae)植物の Trichilia connaroides は、Trichilia属トリキリアで落葉高木である。樹皮は赤褐色で粗く割れる。果実は薬、樹皮は駆虫剤、材は器具や建築に使われる有用樹である。花は薄紫色で直径2cmほど、びっしりと咲く。果実は核果、楕円形で長さ2cmぐらいになり黄色に熟す。街路樹としても使用される。
樹皮は健胃・整腸・条虫駆除、果実は整腸・鎮痛・ヒビや凍傷に外用としても効果があるといわれている。センダン科の植物は約50属550種(1400種とも)が世界の熱帯と亜熱帯に広く分布している。テルペノイドを含むものが多く、常緑または落葉の高木が主である。葉は互生、まれに対生である。通常は1〜2回羽状複葉である。花は両性花(まれに単性花)である。センダン亜科、マホガニー亜科、チャンチン亜科の3亜科に分けられる。マホガニーなど、良材を産する樹種が多い。
【0024】
クスノキ科(Lauraceae)植物の Lindera neesiana は、常緑または落葉の中低木である。約100種が主に東南アジアから東アジアに分布するクロモジ属の植物で、ネパール現地名はシルティムール( siltimur )という。同属植物は日本にも数種存在する。
【0025】
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物の Phyllanthus glaucus は、コミカンソウ属で、日本ではコミカンソウ・ナガエコミカンソウ・ヒメミカンソウ・キダチコミカンソウなどが知られている。コミカンソウの抽出物にはB型肝炎ウイルスへの高い抗ウイルス効果と、肝組織の繊維化の進行を食い止める働きがあり、急性・慢性肝炎および肝硬変の治療に抜群の効果があると言われている。
【0026】
本発明に用いられる植物抽出物は、上記植物の葉、地下茎を含む茎、根、果実、植物全草等を抽出溶媒と共に浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得られる。本発明に用いられる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何でもよく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチルエステル等の有機溶媒を単独あるいは組み合わせて用いることができる。本発明の美白剤は好ましくは上記植物抽出物からなるものであり、上記植物を単独で用いた植物抽出物であっても、あるいは混合して用いた植物抽出物であっても良い。
【0027】
本発明に用いられる Chrysosplenium carnosum は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられるPulicaria dysenterica は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Herminium monorchis は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Heracleum candicans は、根を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Eriophyton wallichii は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0028】
本発明に用いられる Sarcococca saligna は、葉を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Zizyphus incurva は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Callicarpa arborea は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Melia dubia は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Viburnum erubescens は、葉を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Diplomorpha canescens は、全草を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Juniperus recurva は、枝葉を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Trichilia connaroides は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Lindera neesiana は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
本発明に用いられる Phyllanthus glaucus は、地上部を用いるのが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0029】
本発明においては、自生あるいは栽培何れで得られたものでも使用でき、また、上記植物抽出物は2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
このようにして得られた上記植物またはその抽出物は、いずれも優れたメラニン生成抑制効果を有する。このような植物またはその抽出物は、水相または油相に添加することにより、優れた美白効果を奏する皮膚外用剤あるいは美白用皮膚外用剤を製造することができる。
【0031】
本発明の皮膚外用剤あるいは美白用皮膚外用剤における上記植物抽出物の配合量は外用剤全量中、乾燥物として0.0001〜20.0質量%、好ましくは0.0005〜10.0質量%である。0.0001質量%未満であると本発明でいう効果が乏しくなる傾向にあり、20.0質量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。また、10.0質量%を超えて配合してもさほど大きな効果の向上はみられない。
【0032】
本発明の皮膚外用剤あるいは美白用皮膚外用剤には、上記必須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0033】
その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カモミラ等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
【0034】
本発明の皮膚外用剤あるいは美白用皮膚外用剤とは、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。
【0035】
本発明の皮膚外用剤あるいは美白用皮膚外用剤とは、通常医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野で用いられるものを指し、その剤型は本発明の効果が発揮される限り、特に限定されるものではない。例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いられるものであればいずれでもよい。
【実施例】
【0036】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、配合量は質量%である。
実施例に先立ち、本発明の植物抽出物のメラニン生成抑制効果および美白効果に関する試験方法とその結果について説明する。なお本発明の植物はすべてネパール産のものを用いた。
【0037】
(試験方法およびその結果)
1.試料の調製
(1)Chrysosplenium carnosum 抽出液
Chrysosplenium carnosum の地上部9.580gを、室温で1週間メタノール70mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.165gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0038】
(2)Pulicaria dysenterica 抽出液
Pulicaria dysenterica の地上部1.265gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.100gを得た。抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0039】
(3)Herminium monorchis 抽出液
Herminium monorchis の全草0.199gを、室温で1週間メタノール40mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.015gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0040】
(4)Heracleum candicans 抽出液
Heracleum candicans の根3.868gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.634gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0041】
(5)Eriophyton wallichii 抽出液
Eriophyton wallichii の地上部2.585gを、室温で1週間メタノール80mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.157gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0042】
(6)Sarcococca saligna 抽出液
Sarcococca saligna の葉4.63gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.56gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0043】
(7)Zizyphus incurva 抽出液
Zizyphus incurva の地上部4.76gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.26gを得た。抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0044】
(8)Callicarpa arborea 抽出液
Callicarpa arborea の地上部3.00gを、室温で1週間メタノール50mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.34gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0045】
(9)Melia dubia 抽出液
Melia dubia の地上部6.17gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.39gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0046】
(10)Viburnum erubescens 抽出液
Viburnum erubescens の葉0.95gを、室温で1週間メタノール20mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.20gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0047】
(11)Diplomorpha canescens 抽出液
Diplomorpha canescens の全草8.47gを、室温で1週間メタノール40mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.63gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0048】
(12)Juniperus recurva 抽出液
Juniperus recurva の枝葉5.04gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.60gを得た。抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0049】
(13)Trichilia connaroides 抽出液
Trichilia connaroides の地上部7.77gを、室温で1週間メタノール50mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.04gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0050】
(14)Lindera neesiana 抽出液
Lindera neesiana の地上部10.31gを、室温で1週間メタノール50mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.02gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0051】
(15)Phyllanthus glaucus 抽出液
Phyllanthus glaucus の地上部3.24gを、室温で1週間メタノール30mLに浸漬し、抽出液をろ過、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.38gを得た。この抽出物をDMSOに1質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の実験を行った。
【0052】
2.細胞培養法
マウスB16メラノーマ細胞を使用した。イーグルMEMにFBS(10%)とαMSH(10ng/mL)を含む培地を試験培地とした。細胞は75cmフラスコにFBS(10%)を含むイーグルMEM培地を用いてCO2インキュベーター内で培養し、増殖させた。細胞をトリプシン溶液で剥がし、FBS(10%)を含むイーグルMEM培地を加え、1,100rpmで遠心して細胞を集めた。ディシュ(100x20mm)に細胞を300,000になるように播種し、5mLのFBS(10%)を含むイーグルMEM培地で1日間培養後、試験試料を各濃度含む試験培地で3日間培養を続け、以下の方法で細胞あたりのメラニン量の測定を行った。
【0053】
3.メラニン量の測定
細胞を5mLのトリプシン溶液で剥がし、15mLの遠心チューブに移した。デッシュに5mLのPBSを加え、同じ遠心チューブに移した。細胞数をCoulterZ1で測定した後に、1,100rpmで遠心して細胞を集めた。風乾後、2Mの水酸化ナトリウム溶液を100μL/10,000細胞になるように加え、60℃で3分間暖め、攪拌してメラニンを溶解した。その50μLを水150μLで希釈し、マイクロプレートリーダーで500nmの吸光度を測定した。結果は被験植物エキス無添加群に対する抑制率(%)で求めた。その結果を表1に示した。また、参考例として、すでにメラニン生成抑制作用のあることが知られているアルブチンについても上記と同様の試験を行った。その結果を併せて表1に示した。細胞増殖については、試験したすべての試料において「抑制なし」の結果であった。
【0054】
【表1】

【0055】
表1の結果より、Chrysosplenium carnosum 、Pulicaria dysenterica 、Herminium monorchis 、Heracleum candicans 、Eriophyton wallichii 、 Sarcococca saligna 、Zizyphus incurva 、Callicarpa arborea 、Melia dubia 、Viburnum erubescens 、Diplomorpha canescens 、Juniperus recurva 、Trichilia connaroides 、Lindera neesiana 、Phyllanthus glaucus の抽出物は、細胞増殖に影響を与えることなくメラニンの生成を抑制することがわかり、アルブチンと同様に優れたメラニン生成抑制作用をもつことがわかった。
【0056】
4.美白効果試験
(4−1)美白剤配合皮膚外用剤の調製
美白剤を各試料として、下記の処方に調製した。調製方法は常法に従いアルコール相および水相を調製して行った。
(アルコール相)
99%エタノール 70.0 質量%
「表2」記載の美白剤 「表2」記載の量
(水相)
グリセリン 5.0
イオン交換水 残余
【0057】
(4−2)試験方法
紫外線を曝露したパネル(n=5)の皮膚を対象として、紫外線を曝露した日の14日後より、各処方液を1日1回ずつ8週間塗布した。塗布終了後、紫外線照射によって誘導される色素沈着に対して抑制効果があるかどうかを試験終了時に4段階の評価基準で調べた。結果を表2に示す。
(評価基準)
4:著効
3:有効
2:やや有効
1:効果なし
【0058】
【表2】

【0059】
表2より明らかなように、紫外線を曝露したパネルに対する Chrysosplenium carnosum 、 Pulicaria dysenterica 、 Herminium monorchis 、 Heracleum candicans 、 Eriophyton wallichii を添加した処方液には美白効果が認められた。
【0060】
以下に、本発明の美白剤を配合した皮膚外用剤の実施例を挙げる。配合した美白剤は上記で調製したものを用いた。配合量は質量%を表す。実施例1〜20で得られた皮膚外用剤はいずれも美白効果試験において効果が認められた。
【0061】
実施例1 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
Chrysosplenium carnosum エタノール抽出物 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと Chrysosplenium carnosum エタノール抽出物と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0062】
実施例2 クリーム
(処方)
ステアリン酸 2.0 質量%
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
Pulicaria dysenterica ヘキサン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0063】
実施例3 クリーム
(処方)
固形パラフィン 5.0 質量%
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
Herminium monorchis アセトン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0064】
実施例4 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
Heracleum candicans 酢酸エチルエステル抽出物0.01
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0065】
実施例5 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
密ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
Eriophyton wallichii 水抽出物 0.0005
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0066】
実施例6 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
Chrysosplenium carnosum 50%エタノール水溶液抽出物 10.0
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、一方、95%エタノールにChrysosplenium carnosum 50%エタノール水溶液抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0067】
実施例7 美容液
(処方)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
Pulicaria dysenterica エタノール抽出物 1.5
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0068】
実施例8 パック
(処方)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
Herminium monorchis エタノール抽出物 0.01
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
エタノール 7.0
精製水 残余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0069】
実施例9 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
Heracleum candicans エタノール抽出物 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、 Heracleum candicans エタノール抽出物、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0070】
実施例10 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(水相)
精製水 50.0
1,3−ブチレングルコール 4.5
Eriophyton wallichii エタノール抽出物 1.5
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
水相を加熱攪拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、攪拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0071】
実施例11 クリーム
(処方)
ステアリン酸 5.0 質量%
ステアリルアルコール 4.0
イソプロピルミリステート 18.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
プロピレングリコール 10.0
Sarcococca saligna エタノール抽出物 0.01
苛性カリ 0.2
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
防腐剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと Sarcococca saligna エタノール抽出物と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0072】
実施例12 クリーム
(処方)
ステアリン酸 2.0 質量%
ステアリルアルコール 7.0
水添ラノリン 2.0
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
Zizyphus incurva ヘキサン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0073】
実施例13 クリーム
(処方)
固形パラフィン 5.0 質量%
ミツロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
石けん粉末 0.1
硼砂 0.2
Callicarpa arborea アセトン抽出物 0.05
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0074】
実施例14 乳液
(処方)
ステアリン酸 2.5 質量%
セチルアルコール 1.5
ワセリン 5.0
流動パラフィン 10.0
ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
トリエタノールアミン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
Melia dubia 酢酸エチルエステル抽出物 0.0001
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0075】
実施例15 乳液
(処方)
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
密ロウ 2.0
ラノリン 20.0
流動パラフィン 10.0
スクワラン 5.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
プロピレングリコール 7.0
Viburnum erubescens 水抽出物 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.01
エチルパラベン 0.3
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0076】
実施例16 ゼリー
(処方)
95%エチルアルコール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
苛性ソーダ 0.15
L−アルギニン 0.1
Diplomorpha canescens 50%エタノール水溶液抽出物 7.0
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
メチルパラベン 0.2
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、一方、95%エタノールに Diplomorpha canescens 50%エタノール水溶液抽出物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0077】
実施例17 美容液
(処方)
(A相)
エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノール 1.0
パントテニールエチルエーテル 0.1
Juniperus recurva エタノール抽出物 1.5
メチルパラベン 0.15
(B相)
水酸化カリウム 0.1
(C相)
グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
カルボキシビニルポリマー 0.2
精製水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行う。
【0078】
実施例18 パック
(処方)
(A相)
ジプロピレングリコール 5.0 質量%
ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0
(B相)
Trichilia connaroides エタノール抽出物 0.01
オリーブ油 5.0
酢酸トコフェロール 0.2
エチルパラベン 0.2
香料 0.2
(C相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
エタノール 7.0
精製水 残余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行う。
【0079】
実施例19 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
Lindera neesiana エタノール抽出物 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、Lindera neesiana エタノール抽出物、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0080】
実施例20 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(水相)
精製水 50.0
1,3−ブチレングルコール 4.5
Phyllanthus glaucus エタノール抽出物 1.5
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
水相を加熱攪拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、攪拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を含むことを特徴とする美白剤。
【請求項3】
ユキノシタ科(Saxifragaceae)植物のクリソスプレニウム カルノスム( Chrysosplenium carnosum )、キク科(Compositae)植物のプリカリア ディセンテリカ( Pulicaria dysenterica )、ラン科(Orchidaceae)植物のヘルミニウム モノルキス( Herminium monorchis )、セリ科(Umbelliferae)植物のヘラクレウム カンディカンス( Heracleum candicans )、シソ科(Labiatae)植物のエリオフィトン ワリキー( Eriophyton wallichii )、ツゲ科(Buxaceae)植物のサルココッカ サリグナ( Sarcococca saligna )、クロウメモドキ科(Rhamnaceae)植物のジジフス インクルバ( Zizyphus incurva )、クマツヅラ科(Verbenaceae)植物のカリカルパ アルボレア( Callicarpa arborea )、センダン科(Meliaceae)植物のメリア ドゥビア( Melia dubia )、スイカズラ科(Caprifoliaceae)植物のビブルナム エルベッセンス( Viburnum erubescens )、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)植物のディプロモルファ カネセンス( Diplomorpha canescens )、ヒノキ科(Cupressaceae)植物のユニペラス レクルバ( Juniperus recurva )、センダン科(Meliaceae)植物のトリキリア コナロイデス( Trichilia connaroides )、クスノキ科(Lauraceae)植物のリンデラ ネーシアナ( Lindera neesiana )、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)植物のフィラントゥス グラウクス(Phyllanthus glaucus)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物の抽出物を美白の有効成分として0.0001〜20.0質量%配合することを特徴とする美白用皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項2に記載の美白剤を用いて肌の美白を行うことを特徴とする美白方法。
【請求項5】
請求項2に記載の美白剤を水相または油相に添加して美白用皮膚外用剤を製造することを特徴とする美白用皮膚外用剤の製造方法。

【公開番号】特開2008−156325(P2008−156325A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350322(P2006−350322)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(598041566)学校法人北里研究所 (180)
【Fターム(参考)】