説明

皮膚洗浄料

【課題】洗浄時のすすぎ性、タオルドライ後の肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性に優れた皮膚洗浄料を提供する。
【解決手段】ポリマーの融点が、105℃以上であるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンを含有させて皮膚洗浄料を構成する。前記ポリマーエマルジョンにおけるポリオレフィン系ポリマーの平均粒径が、10〜1000nmであることが好ましい。また、前記ポリオレフィン系ポリマーが、ポリエチレン及びその誘導体、ポリプロピレン及びその誘導体、あるいは、これらの共重合体であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄時のすすぎ性、タオルドライ後の肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性に優れた皮膚洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
顔、身体、手指などの皮膚を洗浄する組成物には、マイルド性が求められると同時に、洗浄時及び洗浄後の肌感触も消費者にとって重要な品質として求められる。特に洗浄時のすすぎにおけるぬるつきのなさ(すすぎ性のよさ)、洗浄後のさっぱりとした肌感触、また、なめらかな肌感触は、消費者の嗜好する感触であり、これを実現する為に、従来から、様々な工夫がなされている。
【0003】
洗浄時のすすぎ性と使用後のなめらか感を良好にする方法としては、例えば、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0〜60℃であり、且つ、10質量%濃度での透過率が50%以上であるポリマーエマルジョンを固形分換算で0.01〜10質量%含有させて皮膚洗浄料を構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、高級脂肪酸塩、水不溶性固体粉末、アシル化されたアミノ酸系活性剤及びアミンオキサイドを含有する洗浄用組成物(例えば、特許文献2参照)、無機粉末及びアニオン性界面活性剤を含有する皮膚洗浄料(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
【0005】
また、高級脂肪酸塩、糖系界面活性剤及び水不溶性粉体を含有する洗浄剤組成物も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
さらに、酸化チタン及びポリエチレン末を配合してなる洗浄剤組成物も、提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平9−125091号公報
【特許文献2】特開平8−3030号公報
【特許文献3】特開平8−67622号公報
【特許文献4】特開平4−372700号公報
【特許文献5】特開平11−269492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明において使用されているポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0〜60℃のポリマーであるため、0〜60℃の温度範囲では不規則な構造で結晶にならない非晶質性である。その為、この皮膚洗浄料の使用によって、べたつきを生じ、洗浄時のすすぎ性改善の点で効果が十分ではない。
【0009】
また、特許文献2、3に記載の洗浄料も、洗浄のすすぎ性とタオルドライ後の肌感触のよさを両立させる効果が不十分である。また、これらの洗浄料は主に無機粉末を構成成分として使用しており、この無機粉末は、金属イオンを溶出するため、変色などの品質上の問題を起こす場合がある。
【0010】
また、特許文献4に記載の発明においても、使用時のべたつき及び使用後のさっぱり感の改善効果は、不十分であると共に、含有成分である水不溶性粉体の製品中の分散安定性が悪く、製品の品質上、好ましくない。
【0011】
また、特許文献5に記載の発明においては、酸化チタン及びポリエチレン末を用いることで、洗浄力は上がるものの、洗浄時のすすぎ性とタオルドライ後のなめらか感を両立させる効果は不十分である。また、製品中における上記酸化チタン及びポリエチレン末の分散安定性はよくない。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄のすすぎ性、タオルドライ後の肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性に優れた皮膚洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決する為、鋭意検討した結果、次のような知見を得るに至った。すなわち、ポリマーエマルジョンを添加すると、その成分ポリマーが皮膚に吸着し、皮膚表面を保護するが、その吸着の程度が適切であるとき、肌感触が良好となる。従って、皮膚表面への吸着性が良好なポリマーエマルジョンを用いれば、良好な肌感触が実現できる。そこで、種々のポリマーエマルジョンを比較検討したところ、特定のポリマーエマルジョンが皮膚表面に吸着する性質を有することを確認するに至った。このポリマーエマルジョンを含有させた皮膚洗浄料は、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、ポリマーの融点が、105℃以上であるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする皮膚洗浄料を提供するものである。
【0014】
尚、本明細書において、融点とは、通常のポリマーの熱転移点のことをいう。すなわち、温度上昇の時には、この温度以上で結晶性はなくなり、溶融状態となる点であり、温度降下の時には、この温度で結晶化して著しく体積が縮小し、硬くなる点である。融点の測定は、通常、一般的に用いられる温度変調示差走査熱量計を用いて行うことができる。本発明の皮膚洗浄料に用いられるポリマーは、いわゆるポリオレフィン系ポリマーであり、ガラス転移点(Tg)を示さないものが多いため、融点を用いて熱転移点を表現している。また、ポリオレフィン系ポリマーにもガラス転移点(Tg)と融点の両方を示すものがあるが、それらのガラス転移点(Tg)は、通常、60℃を超える。本発明はその様なガラス転移点(Tg)と融点の両方を示すポリマーも対象としている。
【0015】
即ち、本発明の皮膚洗浄料は、ポリマーの融点が、105℃以上であるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗浄のすすぎ性とタオルドライ後の肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性に優れた皮膚洗浄料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明の皮膚洗浄料は、ポリマーの融点が、105℃以上であるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする。本発明におけるポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子の分散液のことをいう。
【0018】
本発明のポリマーエマルジョンの原料となるポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーである。このポリオレフィン系ポリマーとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、これらの酸化物、これらのカルボキシル基を含有した酸化ポリエチレンワックス、酸化プロピレンワックス、エチレンやプロピレンとの共重合系ワックス、エチレン系共重合ワックス、これらの酸化物、マレイン酸の付加ワックス及びこれらの改質に用いるパラフィン系ワックスなどが挙げられる。特に、上記カルボキシル基を含有した酸化ポリエチレンワックス、酸化プロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックスは、良好な肌感触を付与する効果が高く、好ましい。なお、ポリマーエマルジョンの製造については後述するが、本発明でいうポリマーの融点は、ポリマーエマルジョンの製造後において105℃以上になっていればよく、ポリマーエマルジョンの原料となるポリマー自体の融点が105℃以上である必要はない。しかし、ポリマーエマルジョンの原料となるポリマー自体の融点とポリマーエマルジョンの製造後のポリマーの融点とは一致することが多い。
【0019】
本発明に用いられるポリマーエマルジョンの製造には、特開2002−69302号公報、特開2002−69386号公報等に開示されているように、攪拌機、温度計、温度コントローラーと、必要に応じ高圧ホモジナイザーを連結させた乳化設備を利用することができる。しかしながら、本発明において、ポリマーエマルジョンの製造法はこれらの方法に限定されるものではない。
【0020】
上記ワックスを乳化分散させ、ポリマーエマルジョンを得る際に、ポリオレフィン系ポリマーの粒子径の調整や得られるエマルジョンの経時安定性の改善を目的として、例えば、適量のアンモニア、アルキルアミン、モノホリン、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン等のアミン系化合物や、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等を添加することができる。
【0021】
本発明においては、上記のようにして得られるポリマーエマルジョンの中でも、ポリオレフィン系ポリマーの融点が105℃以上、好ましくは120℃以上のものを使用する。ポリオレフィン系ポリマーの融点が105℃未満の場合は、洗浄時及びタオルドライ後にべたつきを生ずるか、皮膚表面へのポリマーの吸着量が不十分で、洗浄のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触(なめらか感、さらさら感)の両立を実現することができない。
【0022】
上記ポリマーエマルジョンにおけるポリオレフィン系ポリマーの粒径は、通常、用いられる粒子径測定装置である、例えば、ベックマンコールター社のN4SDやホリバ社のHORIBA LA−920などを用いて測定を行うことができる。
【0023】
また、ポリオレフィン系ポリマーの平均粒径は、好ましくは10〜1000nm、より好ましくは、50〜200nmである。10nm未満の場合は、ポリマーが皮膚に吸着しても認知できるレベルでの良好な肌感触を発現することができず、1000nmを超える場合は、ポリマーが皮膚に吸着しにくい為、洗浄時のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触を発現することができない。更に、ポリオレフィン系ポリマーがポリエチレン及びその誘導体、ポリプロピレン及びその誘導体、あるいは、これらの共重合体であるポリマーエマルジョンは、融点が高いだけでなく、疎水・親水バランスの関係から肌への吸着性が高く、洗浄時のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触を発現しやすいため好ましい。
【0024】
また、ポリオレフィン系ポリマーをエマルジョン化せずに配合した場合、特に液状製品では、凝集、沈降分離する為に、良好な肌感触が発現しないか、良好な肌感触の向上効果が小さい。ポリオレフィン系ポリマーをエマルジョン化して配合することで、初めて、液状、ゲル状などの多様な製品形態中での分散安定性を実現することができる。
【0025】
本発明の皮膚洗浄料中におけるポリマーエマルジョンの含有量は、固形分換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。ポリマーエマルジョンの含有量が、0.1質量%未満である場合、洗浄のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触付与の効果が少なく、10質量%を越えるとポリマーの皮膚への吸着量が多すぎ、タオルドライ後の良好な肌感触付与を低下させる。
【0026】
本発明に用いられるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンとして、例えば、市販されている東邦化学工業(株)製のポリエチレンワックスエマルジョンである商品名「ハイテックEシリーズ(E−2213、E−9015、E−9015、E−5000、E−5403B、E−6000、E−103N、E−4B等)」、ポリプロピレンワックスエマルジョンである商品名「ハイテックPシリーズ(P−5060等)」があるが、特に商品名「ハイテックEシリーズ」が好ましい。
【0027】
本発明の皮膚洗浄料には、アニオン性、両性、ノニオン性、カチオン性の各種界面活性剤を任意に用いることができる。
【0028】
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、カルボン酸系界面活性剤、サルフェート系界面活性剤、スルホネート系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤などを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
前記カルボン酸系界面活性剤としては、C12〜C22の飽和及び不飽和脂肪酸の他、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などのカリウム塩、ナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2−アミノ−2−メチルプロパノール塩、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール塩、リジン塩、アルギニン塩などの脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩などが挙げられ、具体的には、例えば、ラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミンなどが挙げられる。前記脂肪酸塩は、そのものを配合しても良いし、または、洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリをそれぞれ別々に配合して、中和して用いても良い。
【0030】
前記サルフェート系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩などが挙げられ、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0031】
前記スルホネート系界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系、タウレート系、イセチオネート系、α−スルホン酸系などが挙げられ、具体的には、例えば、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0032】
前記リン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸塩系などが挙げられ、具体的には、例えば、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウムなどがある。
【0033】
前記両性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、カルボキシベタイン系、スルホベタイン系、イミダゾリウムベタイン系などを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
前記カルボキシベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。前記スルホベタイン系界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。また、イミダゾリウムベタイン系界面活性剤としては、例えば、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。これらは、特に、脱塩処理したものが好ましく用いられる。
【0035】
前記ノニオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、ポリオキシアルキレン付加型、モノあるいはジエタノールアミド型、アミンオキシド系、糖系、グリセリン系などを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
前記ポリオキシアルキレン付加型としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
【0037】
前記モノあるいはジエタノールアミド型としては、例えば、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0038】
前記糖系としては、例えば、糖エーテル系であるアルキルサッカライド系、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系が挙げられる。
【0039】
前記アミンオキシド系としては、例えば、アシル第3級アミンオキサイドであるラウリルジメチルアミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキサイドであるラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
【0040】
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有するモノあるいはジアルキル付加型第4級アンモニウム塩及びそのアルキル基にアルキレンオキサイドを付加したもの等が挙げられる。これらのうち、特に炭素数12〜16の直鎖モノアルキル第4級アンモニウム塩、炭素数20〜28の分岐アルキル基を有する第4級アンモニウム塩等が好ましい。
【0041】
これら界面活性剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、本発明の皮膚洗浄料中に2質量%以上含まれることが好ましい。2質量%未満では、洗浄時の泡立ちが悪いためである。
【0042】
また、上記成分の他に、通常、皮膚洗浄料に用いられる任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することが出来る。皮膚洗浄料中に配合することができる任意成分としては、例えば、エチレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコール類、プロピレングリコールやグリセリンやソルビトールなどのポリオール類、シリコーン類や高級アルコールなどの油分、殺菌剤、抗フケ剤、ビタミン、冷感剤、蛋白誘導体、水溶性高分子化合物、水膨潤性粘土鉱物、無機塩類、防腐剤、pH調製剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料などが挙げられる。なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で、通常量配合することが出来る。
【0043】
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で確認することができ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とする。
【0044】
香料用溶剤としては、例えば、エタノール、ベンジルベンゾエート、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0045】
これら香料用溶剤は、香料組成物中に0.1〜99質量%配合することができ、好ましくは、0.1〜10質量%である。
【0046】
また、香料安定化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられる。これら香料安定化剤は、香料組成物中に0.0001〜10質量%配合することができ、好ましくは、0.001〜5質量%である。これらの中で、好ましい安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエンである。
【0047】
本発明の皮膚洗浄料は、常法に準じて調製することができ、その剤型は、液体状、ペースト状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることができる。
【0048】
また、本発明の皮膚洗浄料は、例えば、洗顔料、身体洗浄料、頭皮洗浄料(シャンプー)等として用いることができる。本発明の皮膚洗浄料が液体状である場合、この皮膚洗浄料を調製する装置に特に規定はないが、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置が望ましい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また、以下の例において「%」は、いずれも「質量%」を表し、実施例記載の成分量は、特記しない限り、全て純分換算である。
【0050】
合成例1 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
温度計、攪拌機、温度コントローラーを備えた内容量1.5リットルの乳化設備に、融点105℃、酸価16mgKOH/g、密度0.93g/mLの酸化ポリエチレン300gと、イオン交換水650gと、界面活性剤としてオレイン酸ナトリウムとソルビタン脂肪酸エステルとをそれぞれ25gと、48%水酸化カリウム水溶液10gとを加え、窒素で置換した後、密封し、150℃で1時間高速攪拌した。その後、この溶液を130℃に冷却し、次いで、高圧ホモジナイザー(ガウリン式乳化機)を400気圧下で通過させて40℃に冷却することでポリマーエマルジョン(1)を得た。このポリマーエマルジョン(1)を構成するポリマーの融点は、105℃であり、前記ポリマーの平均粒径は、95nmであった。
【0051】
合成例2 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
温度計、攪拌機、温度コントローラーを備えた内容量1.5リットルの乳化設備に、融点135℃、密度0.93の酸化ポリエチレン「AC−392」(商品名:旧アライドケミカル製)300gと、イオン交換水650gと、界面活性剤(ノニオン界面活性剤)としてペグノールD−208、ペグノールD−210、ペグノールD−214とをそれぞれ30g(いずれも東邦化学工業社製)と、48%水酸化カリウム水溶液10gとを加え、窒素で置換した後、160℃で2時間高速攪拌した。高速攪拌することによって乳化させた後、冷却し、ポリマーエマルジョン(2)を得た。このポリマーエマルジョン(2)を構成するポリマーの融点は、135℃であり、前記ポリマーの平均粒径は120nmであった。
【0052】
合成例3 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量0.8Lの乳化設備のオートクレイブに、エチレン系(アクリル酸:20質量%、メルトインデックス500)共重合体200gと、融点137℃、酸価30mgKOH/gの高密度ポリエチレン6.0gと、25%アンモニア水10g及び軟水50gを加えて密封し、180℃、7気圧で5時間高速攪拌し、各成分を溶解・乳化分散した。更に、加熱水25%アンモニア水12gを加えた水480gを圧入し、乳化を継続した。乳化終了後、40℃に冷却してポリマーエマルジョン(3)を得た。このポリマーエマルジョン(3)を構成するポリマーの融点は、137℃であり、前記ポリマーの平均粒径は150nmであった。
【0053】
合成例4 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
合成例1における界面活性剤をショ糖オレイン酸エステルとデカグリセリンモノオレエートとに替え、それぞれ25g使用した以外は合成例1と同様にして、ポリマーエマルジョン(4)を得た。このポリマーエマルジョン(4)を構成するポリマーの融点は、105℃であり、前記ポリマーの平均粒径は200nmであった。
【0054】
合成例5 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
合成例1における酸化ポリエチレンに替えて、融点135℃、酸価25mgKOH/g、密度0.93g/mLの酸化ポリエチレン300gを使用し、また界面活性剤をオレイン酸ナトリウムとソルビタン脂肪酸エステルからデカグリセリンモノラウレート90gに替えて使用した。窒素置換後、密封し160℃で1時間高速攪拌した。その後、この溶液を130℃に冷却し、次いで、高圧ホモジナイザーを400気圧下で通過させ40℃に冷却することでポリマーエマルジョン(5)を得た。このポリマーエマルジョン(5)を構成するポリマーの融点は、135℃であり、前記ポリマーの平均粒径は720nmであった。
【0055】
比較合成例1 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
合成例3における高密度ポリエチレンに替えて、融点101℃、酸価16mgKOH/gの低密度ポリエチレン6.0gを使用し、それ以外は合成例3と同様にして比較ポリマーエマルジョン(1)を得た。この比較ポリマーエマルジョン(1)を構成するポリマーの融点は、101℃であり、前記ポリマーの平均粒径は100nmであった。
【0056】
比較合成例2 ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン
合成例3におけるエチレン系(アクリル酸:20質量%、メルトインデックス500)共重合体に替えて、エチレン系(メタクリル酸:20質量%、メルトインデックス500)共重合体200gと、融点101℃、酸価16mgKOH/gのエチレン共重合体6.0gとを使用し、それ以外は合成例3と同様にして比較ポリマーエマルジョン(2)を得た。この比較ポリマーエマルジョン(2)を構成するポリマーの融点は、101℃であり、前記ポリマーの平均粒径は90nmであった。
上記ポリマーエマルジョンの概要を下記「表1」及び「表2」に示す。
【0057】
比較合成例3 ポリオレフィン系ポリマー粉体
合成例1で得られたポリマーエマルジョン(1)を減圧下、スプレー乾燥し、比較ポリオレフィン系ポリマー粉体を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
実施例1〜5及び比較例1〜2
上記ポリオレフィン系ポリマーエマルジョン合成例1〜5及び比較合成例1,2で得られたポリマーエマルジョンを用い、下記「表3」に示す組成の皮膚洗浄料を調整した。なお、以下の実施例にて、使用される香料組成物の香料原料は、特開2002−128658号公報の[0027]〜[0045]記載のリストを引用することにより本明細書の開示の一部とする。
【0061】
【表3】

【0062】
得られた皮膚洗浄料について、洗浄時のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性を下記の方法により評価した。尚、ポリマーエマルジョンが分離したものは、ポリマーが均一となるように振り混ぜて評価を行った。結果を下記「表4」に示す。
【0063】
[評価方法]
上記組成で調製した皮膚洗浄料2gを手に取り、洗顔を行い、洗浄時のすすぎ性とタオルドライ後の良好な肌感触(なめらか感、さらさら感)を10人のパネラーによる官能評価によって、下記基準で評価した。評点はパネラー10名の平均値とした。
【0064】
<洗浄時のすすぎ性>
5点:全くぬるつきは無い。
4点:すすぐそばからぬるつきが消える。
3点:泡が流れた後もぬるつきが残るが、その後すぐに消える。
2点:泡が流れた後もぬるつきが残り、すすぎ切るまで時間がかかる。
1点:すすいでもぬるつきが消えない。
【0065】
<タオルドライ後の肌感触>
5点:なめらか・さらさらしている。
4点:ややなめらか・さらさらである。
3点:べたつきは感じない。
2点:ややべたつく。
1点:べたつく。
【0066】
<製品安定性>
パイレックス(登録商標)ガラス製びんに充填し、50℃環境に四週間保管した。保管後に、外観を下記の基準で判定した。
【0067】
(製品安定性基準)
5点:四週間後、ポリマーエマルジョンが安定に分散している。
4点:三週間後では、ポリマーエマルジョンが安定に分散しているが、四週間後に分離している。
3点:二週間後では、ポリマーエマルジョンが安定に分散しているが、三週間後に分離している。
2点:一週間後では、ポリマーエマルジョンが安定に分散しているが、二週間後に分離している。
1点:配合直後から一週間未満でポリマーエマルジョンが分離している。
【0068】
【表4】

【0069】
上記「表4」に示すように、実施例1〜5は、洗浄時のすすぎ性、タオルドライ後の良好な肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性全てにおいて優れていた。
【0070】
[実施例6〜17]
実施例6〜17に示す表の組成で各種洗浄料を作製し、実施例1〜5と同様にして評価を行った。その結果、洗浄時のすすぎ性、タオルドライ後の良好な肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性全てにおいて優れていた。なお、実施例1〜17の実施例の組成物は、特に記載のない限り、以下に示す包装容器に収容し、本発明の効果を確認した。
【0071】
略号:PP ポリプロピレン、PET ポリエチレンテレフタレート、HDPE
高密度ポリエチレン、LDPE 低密度ポリエチレン、NY ナイロン
容器1:ボトル(材質:最内層HDPE、最外層PP)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器2:ボトル(材質:PET)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器3:ボトル(材質:PP)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器4:ボトル(材質:HDPE)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器5:ボトル(材質:軟質ガラス)、キャップ(材質:PP)
容器6:袋状容器(材質:最内層LDPE、中間層アルミニウム層、最外層PET)
容器7:袋状容器(材質:最内層LDPE、中間層アルミニウム蒸着層、最外層ナイロン)
容器8:袋状容器(材質:ガラス蒸着)
【0072】
また、下記の実施例で使用した上記ポリマーエマルジョン(1)〜(5)以外のポリマーエマルジョンの特性を下記「表5」に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
また、実施例6〜16で使用した各種成分は以下の通りである。
*1 オバゾリンLB−SF(商品名、東邦化学工業(株)製)
*2 エマレックス 603(商品名、日本エマルジョン製)
*3 クニピアF(商品名、クニミネ工業製)
*4 メトロースHPMC60SH−4000(商品名、信越化学工業製)
*5 レオアールMS−100(商品名、ライオン化学(株)製)
*6 BY22−055(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
*7 サイビノールPE−3(商品名、サイデン化学製)
*8 メリッサ抽出液BG−50(商品名、香栄興業製)
*9 海藻エキス末(アルプス薬品工業製)
*10 シラカバ抽出液(丸善製薬製)
*11 グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬製)
*12 レオアールMS−200(商品名、ライオン化学(株))
*13 トリクロサン(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカル製)
*14 イソプロピルメチルフェノール(大阪化成製)
*15 サンノールLMT−1430(商品名、ライオン化学(株)製)
*16 ホームリードCD(商品名、ライオン化学(株)製)
*17 アミゼット2C(商品名、川研ファインケミカル製)
*18 レオガードGP(商品名、ライオン化学(株)製)
*19 油溶性甘草エキスP−T40N(商品名、丸善製薬製)
*20 オクトピロックス(商品名、クラリアント・ジャパン製)
*21 BY22−020(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
*22 エマレックス 116(商品名、日本エマルジョン製)
*23 オレンジ・スウィート・オイル(商品名、池田物産製)
*24 SH200−10,000cs(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)
*25 ポリオックスWSR−N750(商品名、ユニオン・カーバイト社製)
*26 ポーラゲルNF(商品名、アメリカンコロイド社製)
*27 アミゼット2L(川研ファインケミカル製)
*28 オバゾリンLB(商品名、東邦化学工業(株)製)
*29 エマレックス BHA−10(商品名、日本エマルジョン社製)
*30 SH200−30cs(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
*31 サラコス99(商品名、コグニス・ジャパン製)
*32 ラポナイトXLG(商品名、日本シリカ社製)
*33 エナジコールL−30B(商品名、ライオン化学(株)製)
*34 ローズマリー水(商品名、丸善製薬社製)
*35 エマレックスHC−5(商品名、日本エマルジョン製)
*36 精製ホホバ油(商品名、香栄興業)
*37 アミソフトLT−12(商品名、味の素(株)製)
*38 ソフタゾリンCL(商品名、川研ファインケミカル製)
*39 クニピアF(商品名、クニミネ工業製)
*40 エマレックスSPO−150(商品名、日本エマルジョン製)
*41 BY22−060(商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
*42 ジャガーC14S(商品名、三粧社製)
*43 ELFANAT−84(商品名、ライオン化学(株)製)
*44 エマレックスGWIS−10(商品名、日本エマルジョン製)
*45 クニピアG(商品名、クニミネ工業社製)
*46 ヒマワリ油(商品名、日光ケミカル製)
*47 エマレックスOD−5(商品名、日本エマルジョン製)
*48 セチオールHE(商品名、ヘンケル製)
*49 エマレックス 715(商品名、日本エマルジョン社製)
*50 PRG#1000(商品名、ライオン化学(株)製)
【0075】
[実施例6]
【表6】

【0076】
[実施例7]
【表7】

【0077】
[実施例8]
【表8】

【0078】
[実施例9]
【表9】

【0079】
[実施例10]
【表10】

【0080】
[実施例11]
【表11】

包装容器:フォーマー容器(吉野工業社製):特開平7−315463号公報の第2実
施例として記載されたフォーマー容器
【0081】
[実施例12]
【表12】

【0082】
[実施例13]
【表13】

【0083】
[実施例14]
【表14】

【0084】
[実施例15]
【表15】

包装容器:本組成物を特開2001−314342号公報の実施例1〜13に記載されたシートにシート質量の3倍量を含浸させる。これを更にピロー包装(最内層LDPE、中間層アルミニウム層、最外層PP)に収容する。
【0085】
[実施例16]
【表16】

【0086】
[実施例17]
【表17】

【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明によれば、洗浄時のすすぎ性、タオルドライ後の肌感触(なめらか感、さらさら感)及び製品安定性に優れた皮膚洗浄料が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの融点が、105℃以上であるポリオレフィン系ポリマーエマルジョンを含有することを特徴とする皮膚洗浄料。
【請求項2】
前記ポリオレフィン系ポリマーの平均粒径が、10〜1000nmであることを特徴とする皮膚洗浄料。
【請求項3】
前記ポリオレフィン系ポリマーが、ポリエチレン及びその誘導体、ポリプロピレン及びその誘導体、あるいは、これらの共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚洗浄料。
【請求項4】
さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚洗浄料
【請求項5】
前記界面活性剤が、カルボン酸系のアニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載の皮膚洗浄料。

【公開番号】特開2006−248941(P2006−248941A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65902(P2005−65902)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】