説明

皮膚浸透増強剤及びそれを含む薬剤デリバリーシステム

【課題】皮膚表層上に残留製剤を残さず、しかも皮膚内に良好な実体を残す非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムの提供。
【解決手段】(i)有効量の少なくとも一種類の生理活性剤又はそのプロドラッグ;(ii)少なくとも一種類の不揮発性皮膚浸透増強剤;及び(iii )少なくとも一種の揮発性液;を含んで成り、皮膚浸透増強剤は揮発性液が蒸発するときに皮膚表層又は粘膜を横断して前記生理活性剤を輸送し、表層又は膜内におい浸透増強剤と生理活性剤又はプロドラッグとの混合物のリザーバーを形成するシステム。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は経皮薬剤デリバリーに関する。より詳しくは、本発明はヒトを含む動物に対する生理活性剤のデリバリーにおいて利用するための局所吸収/浸透増強剤に関する。本発明は更に動物の皮膚表層又は粘膜を横断しての生理活性剤の動物への非閉塞式デリバリーのためのシステムにも関連する。本発明の経皮薬剤配合物は局所塗布又は全身デリバリーのために利用し得る。
【0002】
皮膚の局所又は局部疾患状態又は症状の予防又は処置は伝統的に単純な非閉塞式デリバリーシステムを利用している。これらの薬剤デリバリーシステムは通常揮発性及び/又は不揮発性媒体を含み、薬剤及び媒体の組成物は一般に処置すべき皮膚領域上の近く又はその上に直接的に、皮膚に局所適用している。かかるデリバリーシステムは通常エマルション、クリーム、オイントメント、フォーム、ゲル、液体、スプレー及びエアゾールの形態をとっている。これらのデリバリーシステムは一般に皮膚炎症、軟質組織挫傷、寄生虫、菌類及び細菌局所感染症並びに局所痛覚脱失の処置に利用される。このタイプのデリバリーシステムの制約は一般に全身用薬剤がこのタイプの投与に適当でないことにある。現状の当業界でのいくつかの大きな問題は、テストステロン、アムロジピン、フェンタニル、ブプレノルフィン及び数多くのその他のものの如き薬剤について認められる皮膚を横断する低い薬剤線束を理由に、全身系薬剤の効能の欠如に関する。その他の薬剤、例えばグリセリルトリニトレート、Nitrobid(商標)(アンギナの処置のための薬剤)は、薬剤デリバリー速度を適度に管理できないこと又は非常に大きな適用面積を必要とするため、これらのシステムによりデリバリーすることが困難である。薬剤の浸透のしにくさに係るその他の問題は薬剤が簡単に洗い落ちしてしまうか又は衣服、その他の表面もしくはその他の動物へと転移してしまいうることにある。
【0003】
薬剤の皮膚デリバリーは人類の歴史において最古の薬剤デリバリー形態でありうる。古代においては樹脂及び動物樹脂がヒトによって負傷及び火傷に由来する皮膚の損傷を処置するためにおそらくは利用されてきたであろう。活性物質の局所デリバリーのためのかかる物質は今世紀までほとんどそのままであり続いている。経皮的全身薬剤デリバリーの概念は1970年代よりDr.Alejandro Zaffaroniにより米国特許第3,598,122 、3,731,683 及び3,797,494 号において最初に真倹に発表されている。経皮的全身薬剤デリバリーは、薬剤が伝統的なデリバリールートによっては吸収されにくい場合に、生理活性物質についての向上した生物有用性を達成せしめる有効な方法を供する。これは経口投与が寛容されにくい又は不可能な場合にも利用されうる。
【0004】
しかしながら経皮製剤には制約がある。例えば、極性薬剤は皮膚に浸透するのが遅すぎる傾向にある。ほとんどの薬剤が極性であるため、この制約は重大であり、なぜならほとんどの薬剤が局所塗布部位において刺激反応を引き起こすからである。
【0005】
皮膚を横断する薬剤の浸透速度を補助する二通りの主たる方法がある。第一は薬剤の熱動力学活性の増大にある。皮膚製剤中の薬剤の熱動力学活性は薬剤の濃度及びビヒクルの選定に比例する。熱動力学の法則に従うと、薬剤の最大活性は純粋な薬剤結晶のために関連する。第二の方法は皮膚表層の浸透性を高める浸透増強剤として知られる化合物の利用を包括し、そしてより便利且つ有効であると一般に証明されている。
【0006】
1970年代当初以来、経皮的全身薬剤デリバリーの主たる焦点は経皮パッチ製剤であり、そして今もそうである。これらのパッチ製剤は薬剤又はその他の生理活性剤の所望の全身デリバリーを可能にする長い期間にわたり無傷な皮膚の表層に付着させるバンデージの如きである。これらの経皮パッチ製剤は皮膚を閉塞し、そして皮膚と外部浸透性裏地膜との間に薬剤を揮発物及びビヒクル賦形剤と一緒に閉じこめる。この膜は標的皮膚部位以外の環塩に至るビヒクル賦形剤、揮発物及び薬剤の蒸発又は拡散を防ぐ。当該パッチから皮膚に至る薬剤及び賦形剤の移動のために必要な時間の長さは局所皮膚刺激反応をもたらすことがあり、そして往々にしてもたらしてしまう。この刺激反応は薬剤、揮発物、ビヒクル、賦形剤又はパッチ製剤を皮膚に付着させるのに用いる接着剤により皮膚上での長期接触により生ずる。パッチ製剤の閉塞性は皮膚の「呼吸」する本来の能力をも制約し、刺激反応の危険性を高める。経皮パッチ製剤の複雑且つ費用のかかる製造工程の更なる問題により、改善した薬剤デリバリーシステムのニーズがある。
【0007】
皮膚表層を横断する薬剤デリバリーの速度は皮膚浸透増強剤により上昇しうる。ほとんどの公知の浸透増強剤に係る問題はそれらが往々にして毒性、刺激性又はアレルゲン性であることにある。これらの増強剤はプロトン受容性溶媒、例えばジメチルスルホキシド及びジメチルアセトアミドの傾向にある。より近年になって、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(Deet)、1−ドデカル−アザシクロヘプタン−コ−オン(Azone(登録商標))、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジン及びチオグリコール酸カルシウムが有効な増強剤として報告されている。しかしながら、かかる皮膚増強剤には、適用部位での刺激の問題が解消されていないという理由により、問題が残っている。
【0008】
ところでこのような化合物の最大の重要な問題はその毒性にある。もし皮膚増強剤として用いたときの化合物が毒性、刺激性又はアレルゲン性なら、この化合物は動物身体への適用に関して不適切である。ジメチルスルホキシド及びジメチルアセトアミドはこのような理由のために臨床学的に許容されない。Deet及びAzone(登録商標)は低めの報告された毒性を有するが、それらが幅広く利用できないという程度の毒性を有する。Azone(登録商標)は、その適用量が動物にとって顕著に毒性、刺激性又はアレルゲン性でないほど十分に少ないときに限り、皮膚浸透増強剤として使用されうる。
【0009】
薬剤の熱動力活性は異常に高い熱動力ポテンシャルを供する超飽和システムを使用することにより高めることができうる〔Coldman ら、J. Pharm. Sci., 58 (9), 119, 1969 〕。しかしながら、超飽和を頼りとする局所ビヒクルは皮膚への適用前及び最中の双方にて製剤不安定性という大きな制約を有する。従って、それらは非閉塞式揮発性:不揮発性デリバリービヒクルにおいては制約された臨床的価値をもつものであり、なぜならその製剤が人の衣服等に接触するやいなや、薬剤は往々にして沈澱してしまい;それ故当該製剤はもはや超飽和ではなくなり、そして任意の増強された経皮吸収はとまってしまうからである。
【0010】
増強した経皮薬剤デリバリーを達成するために超飽和を利用しているKondo ら〔J. Pharmacobio-Dyn., 10, 743, 1987〕の如きその他の研究者は製剤を安定化するために抗成核ポリマーの利用を頼りとする。しかしながら、ポリマーにより安定化された適用した薬剤製剤は皮膚の上に顕著な表層塊を形成し、それは数分ではなく、何時間もの長い時間そこに残り続ける。Kondo はこのような製剤をデリバリーするために計量式スプレーの利用を主張しているが、実際、短い適用時間で非閉塞式デリバリーシステムを獲得し、しかも臨床的に有用な経皮浸透増強を維持し続けることは不可能であろう。 Jenapharm Gmbh のドイツ国特許出願 DE 4334553-A1は薬剤(ジクロフェナック)、親油性相、揮発性成分及び適当な酸化防止剤、保存剤又は安定剤より成る薬理液体システムを開示する。このシステムは皮膚吸収の線束を高めるために超飽和を頼りとする。150 分の適用時間の間に超飽和薬剤デリバリーシステムの突然の沈澱を防ぐために適用チャンバーが使用されている。
【0011】
昭和電工(株)の日本国特許JP61−268631号は水溶性薬剤に利用するのに適当な皮膚浸透増強剤を開示する。開示の皮膚浸透増強剤はパラ−アミノ安息香酸の1〜5個の炭素樹脂酸エステルを含むが、その化学構造は本発明において利用する化合物とはかなり異なり、そしてパラ−アミノ安息香酸の1〜5個の樹脂酸エステルの物理化学特性は本発明のそれとは著しく相違する。例えば、パラ−アミノ安息香酸の1〜5個の炭素脂肪酸エステルの全てについてのオクタノール−水分配係数は本発明のそれの200 分の1以下である。またJP61−268631に開示の好適な皮膚浸透増強剤はパラ−アミノ安息香酸の炭素数2の脂肪酸エステル(又はベンゾカイン)であり、それは本発明のものの8000分の1未満のオクタノール−水分配係数を有する。本発明とは異なり、JP61−268631号に開示の好適な皮膚浸透増強剤は局部麻酔的であるという有意義な薬理特性を有し、これは刺激及びアレルギー性皮膚反応を引き起こすものと報告されている。本発明において利用する化合物はそれらが非刺激的であり、且つ薬理学的に不活性である点で皮膚浸透増強剤の理想的な特性を満足せしめる〔Barry, B. W. Vehicle Effect : What Is an Enhancer ? In : Topical Drug Bioavailability, Bioequivalence, and Penetration. Shah, V. P. ; Maibach, H. I. Eds. Plenum Press : New York, 1993 ; pp261-276.〕。
【0012】
皮膚に低容量の非閉塞式揮発性:不揮発性ビヒクルを適用する
従来の技術
〔Feldmann, らArch. Derm., 94, 649, 1996 ; Coldman, らJ. Pharm. Sci., 58 (9), 119, 1969 ; 及びBhatt らInt. J. Pharm., 50, 157, 1989 〕において薬剤デリバリーの程度が非常に制約されるということを知ることは驚くべきことではない。今日まで、臨床的に利用されている唯一の製剤は局所治療用のもの、例えば局所ミノキシジル及び局所非ステロイド系抗炎症剤であるか、又は皮膚を容易に横断拡散する化合物の経皮薬剤デリバリー用のもの、例えばグリセリルトリニトレート及びイソソルビドジニトレートのいづれかである。例えば性ホルモンの浸透率はグリセリルトリニトレートよりも数桁低いため、臨床的に許容される経皮薬剤デリバリーを達成するためには顕著な浸透増強効果が必要とされるであろう。
【0013】
好都合な適用時間を可能にし、皮膚表層上に残留製剤を残さず、しかも皮膚内に良好な実体を残すよう薬剤及び浸透増強剤が皮膚への迅速な分配に委ねられる臨床学的に許容される非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムを得ることが所望される。これらの特徴は薬剤浸透の損失又は密着による処置個体から別の個体への薬剤の転移の可能性の問題、例えば男性患者に使用されるが、その者の女性性交渉相手の男性化の原因となるテストステロンオイントメントに観察されるような問題を解決しうる〔Delance ら、Lancet. 1, 276, 1984〕。
【0014】
本発明の目的は従来技術のシステムの1又は複数の上記の欠点を解消又は少なくとも軽減することにある。
【0015】
本発明の第一の観点に従うと、少なくとも一種類の生理活性剤又はそのプロドラッグと少なくとも一種類の皮膚浸透増強剤とを含んで成る経皮薬剤デリバリーシステムであって、当該皮膚浸透増強剤が安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンであることを特徴とするシステムが提供される。
【0016】
本発明は更に皮膚浸透増強剤としての安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンの利用も提供する。
【0017】
本発明者はFDA(米国)により一般に安全と考えられている皮膚寛容エステルサンスクリーンである新規の皮膚浸透増強剤のクラスを見い出した。オクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩(パジメートO)及びオクチルサリチル酸塩の如き化合物はここ10年〜20年間、パジメートOに関しては8容量%まで、そしてオクチルサリチル酸塩に関しては5容量%までの濃度において安全且つ有効なサンスクリーンとしてかなり利用されている。
【0018】
本発明の皮膚浸透剤は好ましくは式(I)のエステルである:
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、R1 は水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハライド、ヒドロキシ又はNR3R4 であり;R2 は長鎖アルキルであり;
3 及びR4 はそれぞれ独立して水素、低級アルキルであるか、又はR3 及びR4 はそれらが結合している窒素と一緒になって5−又は6−員複素環を形成しており;
nは0又は1であり;そして
qは1又は2である)。
【0021】
より好ましくは、当該エステルは長鎖アルキルパラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルジメチル−パラ−安息香酸塩、長鎖アルキルシンナメート、長鎖アルキルメトキシシンナメート又は長鎖アルキルサリチル酸塩;最も好ましくはオクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、オクチルパラ−メトキシシンナメート、オクチルサリチル酸塩又はイソアミルサリチル酸塩である。
【0022】
本発明に係る薬剤デリバリーシステムは任意の生理活性剤を浸透増強剤と共に、動物の皮膚又は粘膜への局所適用のための投与形態において組込まれて含んで成りうる。適当な投与形態にはクリーム、ローション、ゲル、オイントメント、座薬、ムース、スプレー、例えば経鼻スプレー、エアゾール、頬及び舌下錠剤、歯肉及び頬パッチ、又は様々な経皮製剤のいづれかであって皮膚、口内粘膜又はその他の膜を介する吸収による活性薬剤の全身連続投与において利用するためのものが含まれる。適当なビヒクルのいくつかの例は米国特許第3,598,122 、3,598,123 、3,742,951 、3,814,097 、3,921,636 、3,993,072 、3,993,073 、3,996,934 、4,031,894 、4,060,084 、4,069,307 、4,201,211 、4,230,105 、4,292,299 、4,292,303 、5,323,769 、5,023,085 、5,474,783 、4,941,880 及び米国特許第4,077,407 号に示されている。これらの特許は様々な特異的な全身活性剤を開示し、それらも本発明のもの一緒に経皮デリバリーにおいて有用でありうる。これらの開示内容は従って本明細書に組入れる。
【0023】
本発明の経皮薬剤デリバリーシステムに利用できうる生理活性剤には本発明の皮膚浸透増強剤と適合性であり、且つ所望の効果を達成するよう皮膚浸透増強剤の補助を伴って皮膚を介してデリバリーされうる任意の局所的又は全身活性試薬が含まれる。これらの活性剤には以下のものが含まれる(治療クラスにより分類)。
栄養系
下痢止め薬、例えばジフェノキシレート、ロペラミド及びヒオスシアミン。
心臓血管系
抗高血圧剤、例えばヒドララジン、ミノキシジル、カプトプリル、エナラプリル、クロニジン、プラゾシン、デブリソキン、ジアゾキシド、グァネチジン、ミエチルドパ、レセルピン、トリメタファン。
【0024】
カルシウムチャンネルブロッカー、例えばジルチアゼム、フェロドピン、アムロジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン及びベラパミル。
【0025】
抗不整脈剤、例えばアミオダロン、フレカイニド、ジソピラミド、プロカイナミド、メキシレテン及びキニジン。
【0026】
抗アンギナ薬、例えばグリセリルトリニトレート、エリトリトールテトラニトレート、ペンタエリトリトールテトラニトレート、マンニトールヘキサニトレート、ペルヘキシレン、イソソルヒドジニトレート及びニコランジル。
【0027】
ベーターアドレナリン作用ブロッキング剤、例えばアルプレノール、アテノロール、ブプラノロール、カルチオロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ナドキソロール、オキシプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チミロール及びチモロールマレエート。
【0028】
強心性刺激薬、例えばアドレナリン、エフェドリン、フェノテロール、イソプレナリン、オルシプレナリン、リメテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、ドブタミン、フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン及びドーパミン。
【0029】
血管拡張薬、例えばシクランデレート、イソキススプリン、パパベリン、ジピリマドール、イソソルビドジニトレート、フェントルアミン、ニコチニルアルコール、コーデルゴクリン、ニコチン酸、グリセリルトリニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート及びキサンチノール。
【0030】
抗片頭痛調製物、例えばエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メチセルジド、ピゾチフェン及びスマトリプタン。
血液及び造幹組織に影響を及ぼす薬剤
抗凝血剤及び血栓溶解剤、例えばワルファリン、ジクマロール、低分子量ヘパリン、例えばエノキサパリン;ストレプトキナーゼ及びその活性誘導体。
止血剤、例えばアプロチニン、トラネキサミン酸及びプロタミン。
中枢神経系
鎮痛薬、解熱薬、例えばオピオイド鎮痛薬、例えばブプレノルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロモルホン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェチジン、フェノペリジン、コデイン及びジヒドロコデイン。その他には、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール及びフェナゾンが含まれる。
【0031】
催眠薬及び鎮静薬、例えばバルビシレート、アミロバルビトン、ブトバルビトン及びペントバルビトン、並びにその他の催眠薬及び鎮静薬、例えばコラル水和物、クロルメチアゾール、ヒドロキシジン及びメプロバメート。
【0032】
抗不安薬、例えばベンゾジアゼピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム及びトリアゾラム。
【0033】
神経弛緩薬及び抗精神病薬、例えばフェノチアジン、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、プロマジン、チオプロパゼート、チオリダジン及びトリフルオペラジン、並びにブチロフェノン、ドロペリドール及びハロペリドール、並びにその他の抗精神病薬、例えばピモジド、チオチキセン及びリチウム。
【0034】
抗うつ病薬、例えば三環式抗うつ病薬アミトリブチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン及びトリミプラミン、並びに四環式抗うつ病薬、例えばミアンセリン及びモノアミンオキシダーゼ阻害剤、例えばイソカルボキサジド、フェネリジン、トラニルシプロミン及びモクロベミド、並びに選択性セロチニン再摂取阻止剤、例えばフロキセチン、パロキセチン、シタロプラム、フルボキサミン及びセルトラリン。
【0035】
CNS刺激因子、例えばカフェイン。
【0036】
抗アルツハイマー病剤、例えばタクリン。
【0037】
抗パーキンソン薬、例えばアマンタジン、ベンセラジド、カルビドーパ、レボドーパ、ベンズトロピン、ビペリデン、ベンズヘキソール、プロシクリジン及びドーパミン−2作動薬、例えばS(−)−2−(N−プロピル−N−2−チエニルエチルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン(N−0923)。
【0038】
鎮痙性薬、例えばフェニトイン、バルプロン酸、プリミドン、フェノバルビトン、メチルフェノバルビトン及びカルバマゼピン、エトスキシミド、メトスキシミド、フェンスキシミド、スルチアム及びクロナゼパム。
【0039】
制吐作用薬、抑催吐薬、例えばフェノチアジン、プロクロペラジン、チエチルペラジン及び5HT−3レセプター括抗薬、例えばオンダセトロン及びグラニセトロン、並びにその他、例えばジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、ドムペリドン、ヒオシン、ヒオシン臭酸塩、ヒオシン塩酸塩、クレボプリド及びブロムプリド。
骨格筋系
非ステロイド系抗炎症薬、例えば適宜そのラセミ混合物又は個別の鏡像異性体、例えばイブプロフェン、フルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク、ジクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン、アスピリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メフェナミン酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダク、デスオキシスリンダク、テノキシカム、トラマドール及びケトララク。
【0040】
当該皮膚浸透増強剤と組合せて配合されうる更なる非ステロイド系抗炎症剤にはサリチルアミド、サリチル酸、フルフェニサル、サルサレート、トリエタノールアミンサリチレート、アミノプリン、アンチプリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナミン酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナミン酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルシン、アロプリノール、オキシプリノール、ベンジダミン塩酸塩、ジメフェダン、インドキソール、イントラゾール、ミンバン塩酸塩、パラニレン塩酸塩、テトリダミン、ベンジンドピハン塩酸塩、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモル、フルチアジン、メタザミド、レチミド塩酸塩、ネキセリジン塩酸塩、オクタザミド、モリナゾル、ネオシンコフェン、ニミゾール、プロキサゾルシトレート、テシカム、テシミド、トルメチン及びトリフルミデートが含まれる。
【0041】
抗リウマチ薬、例えばペニシラミン、オーロチオグルコース、ナトリウムオーロチオマレート、メトトレキセート及びオーラノフィン。
【0042】
筋弛緩薬、例えばバクロフェン、ジアゼパム、シクロベンザプリン塩酸塩、ダントロレン、メトカルバモール、オルフェナドリン及びキニン。
【0043】
痛風及び尿酸過剰症において用いられる薬剤、例えばアロプリノール、コルヒチン、プロベネシド及びスルフィンピラゾン。
ホルモン及びステロイド
エスロゲン、例えばエストラジオール、エストリオール、エステロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルボエストロール、ジエノエストロール、エピオエストリオール、エストロピパート及びゼラノール。
【0044】
プロゲステロン及びその他のプロゲスタゲン、例えばアリルエストレノール、ジドルゲステロン(dydrgesterone)、リネスレノール、ノルゲストレル、ノルエチンドレル、ノルエチステロン、ノルエチステロンアセテート、ゲストデン、レボノルゲストテル、メドロキシプロゲステロン及びメゲストロール。
【0045】
抗アンドロゲン、例えばシプロテロンアセテート及びダナゾール。
【0046】
抗エストロゲン、例えばタモキシフェン及びエピチオスタノール、並びにアロマターゼインヒビター、エキセメスタン、並びに4−ヒドロキシ−アンドロステンジオン及びその誘導体。
【0047】
アンドロゲン及び同化作用剤、例えばテストステロン、メチルテストステロン、クロステボールアセテート、ドロスタノロン、フラザボール、ナンドロロンオキサンドロロン、スタノゾロール、トレンボロンアセテート、ジヒドロテストステロン、17−α−メチル−19−ノルテストステロン及びフルオキシメステロン。
【0048】
5−アルファーリダクターゼインヒビター、例えばフィナステリド、ツロステリド、LY−191704及びMK−306 。
【0049】
コルチコステロイド、例えばベーターメタソン、ベーターメタソンバレレート、コルチゾン、デキサメタソン、デキサメタソン21−ホスフェート、フルドロコルチゾン、フルメタソン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン17−バレレート、ヒドロコルチゾン17−ブチレート、ヒドロコルチゾン21−アセテートメチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソロン21−ホスフェート、プレドニソロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド。
【0050】
当該組成物において使用するためのステロイド系抗炎症剤の更なる例にはコルトドキソン、フルオロアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロソンジアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリソン、アンシナフェル、アンシナフィド、ベーターメタソン及びその他のエステル、クロロプレドニソン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタソン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、メプレドニソン、メチルメプレドニソロン、パラメタソン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾンアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリソン、アンシナファル、アンシナフィド、ベーターメタソン、ベーターメタソンベンゾエート、クロロプレドニソロンアセテート、クロコルトロンアセテート、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタソン、ジクロリソンアセテート、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタソンピバレート、フルニソリドアセテート、フルペロロンアセテート、フルプレドニソロンバレレート、パラメタソンアセテート、プレドニソラメート、プレドニドル、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコルタール及びニバゾルが含まれる。
【0051】
下垂体ホルモン及びその活性誘導体又は類似体、例えばコルチコトロフィン、チロトロピン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン(LH)及びゴナドトロフィン遊離ホルモン(GnRH)。
【0052】
低血糖症薬、例えばインスリン、クロロプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミド及びメトホルミン。
【0053】
甲状腺ホルモン、例えばカルシトニン、チロキシン及びリオチロニン並びに抗甲状腺薬、例えばカルビマゾール及びプロピルチオウラシル。
【0054】
その他の雑多なホルモン剤、例えばオクトレオチド。
【0055】
下垂体インヒビター、例えばブロモクリプチン。
【0056】
排卵誘発剤、例えばクロミフェン。
尿生殖器系
利尿剤、例えばチアシド、近縁利尿剤及びループ利尿剤、ベンドロフルアシド、クロロチアジド、クロルタリドン、ドーパミン、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メフルシド、メチコルチアジド、メトラゾン、キネタゾン、ブメタニド、エタクリニン酸及びフルセミド、並びにカリウム欠乏利尿剤、スピロノラクトン、アミロリド及びトリアンテレン。
【0057】
抗利尿剤、例えばデスモプレシン、リプレシン及びパソプレシン、例えばその活性誘導体又は類似体。
【0058】
産科薬、例えば子宮に作用する薬剤、例えばエルゴメトリン、オキシトシン及びゲメプロスト。
【0059】
プロスタグランジン、例えばアルプロスタジル(PGE1)、プロスタシクリン(PG12)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2−アルファー)及びミソプロストール。
抗微生物剤
抗微生物剤、例えばセファロスポリン、例えばセファレキシン、セフォキシチン及びセファロチン。
【0060】
ペニシリン、例えばアモキシシリン、アモキシシリンとクラブラニン酸、アンピシリン、バカンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、メチシリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン及びアズロシリン。
【0061】
テトラサイクリン、例えばミノサイクリン、クロロテトラサイクリン、テトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン及びオキシテトラサイクリン並びにその他のテトラサイクリン型抗生物質。
【0062】
アミノグリコシド、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン及びトブラマイシン。
【0063】
抗真菌剤、例えばアモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール及びフルシトシン、カリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオン及びナトリウムピリチオン。
【0064】
キノロン、例えばナリジキシン酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン及びノルフロキサシン。
【0065】
スルホンアミド、例えばフタリルスルフチアゾール、スルファドキシン、スルファジアジン、スルファメチゾール及びスルファメトキサゾール。
【0066】
スルホン、例えばダプソン。
【0067】
その他の雑多な抗生物質、例えばクロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリトロマイシン、エリトロマイシンエチルカルボネート、エリトロマイシンエストレート、エリトロマイシングルセペート、エリトロマイシンエチルスクシネート、エリトロマイシンラクトビオネート、ロキシトロマイシン、リンコマイシン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、アズトレオナム、コルスチンIV、メトロニダゾール、チニダゾール、フシジン酸及びトリメトプリム;2−オチピリジンN−オキシド;ハロゲン化合物、特にヨウ素及びヨウ素化合物、例えばヨウ素−PVP 複合体及びジヨードヒドロキシキン;ヘキサクロロフェン;クロルヘキシジン;クロロアミン化合物;ベンゾイルペルオキシド;
抗結核薬、例えばエタムブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン及びクロファジミン。
【0068】
抗マラリア剤、例えばプリマキン、プリメタミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニン、メフロキン及びハロファントリン。
【0069】
抗ウィルス剤、例えばアシクロビル及びアシクロビルプロドラッグ、ファンシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、n−ドコサノール、トロマンタジン及びイドキシウリジン。
【0070】
駆虫剤、例えばメベンダゾール、チアベンダゾール、ニクロサミド、プラジクアンテル、ピランテルエンボネート及びジエチルカルバマジン。
【0071】
細胞障害剤、例えばプリカマイシン、シクロホスファミド、ダカルバジン、フルオロウラシル及びそのプロドラッグ〔例えば、International Journal of Pharmaceutics 111, 223-233 (1994)に記載〕、メトトレキセート、プロカルバジン、6−メルカプトプリン及びムコフェノール酸。
代謝系
食欲減退剤及び減量剤、例えばデキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドール及びフェンテルミン。
【0072】
高カルシウム血症に利用されている薬剤、例えばカルシトリオール、ジヒドロタキステロール及びその活性誘導体又は類似体。
呼吸系
鎮咳薬、例えばエチルモルヒネ、デキストロメソルファン及びフォルコジン。
【0073】
去痰薬、例えばアセチルシステイン、ブロムヘキシン、エメチン、ガイフェネシン、イペカクアンハ及びサポニン。
【0074】
うっ血除去薬、例えばフェニルエフリン、フェニルプロパノルアミン及びシュードエフェドリン。
【0075】
気管支痙攣弛緩薬、例えばエフェドリン、フェノテロール、オクシプレナリン、リミテロール、サルブタモール、ナトリウムクロモグリケート、クロモグリシン酸及びそのプロドラッグ〔例えばInternational Journal of Pharmaceutics 7, 63-75 (1980)に記載〕、テルブタリン、イプラトロピウムブロミド、サルメテロール並びにテオフィリン及びテオフィリン誘導体。
アレルギー及び免疫系
抗ヒスタミン薬、例えばメクロジン、シクリジン、クロルシクリジン、ヒドロキシジン、ブロムフェニルアミン、クロルフェニルアミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デキスクロルフェニルアミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルアミン、ドキシルアミン、メブヒドロリン、フェニルアミン、トリポリジン、アザタジン、ジフェニルピラリン、メトジラジン、テルフェナジン、タステミゾール、ロラチジン及びセチリジン。
【0076】
局部麻酔薬、例えばブピバカイン、アミトカイン、リグノカイン、シンコカイン、ジブカイン、メピバカイン、プリロカイン及びエチドカイン。
【0077】
角質層脂質、例えば皮膚バリヤー修復のためのセラミド、コレステロール及び遊離脂肪酸〔Man ら、J. Invest. Dermatol., 106 (5), 1096, 1996 〕。
【0078】
神経筋ブロッキング剤、例えばスキサメトニウム、アルキュロニウム、パンキュロニウム、アトラキュリウム、ガラミン、ツボキュラリン及びベキュロニウム。
【0079】
禁煙薬、例えばニコチン、ブプロピオン及びイボガイン。
【0080】
殺昆虫剤及びその他の殺虫剤であって局所又は全身適用に適するもの。
【0081】
皮膚科薬、例えばビタミンA及びE、ビタミンEアセテート及びビタミンEソルベート。
【0082】
脱感作のためのアレルゲン、例えばハウス・ダスト・ダニアレルゲン。
【0083】
栄養剤、例えばビタミン、必須アミノ酸及び必須脂肪。
【0084】
角質溶解薬、例えばアルファーヒドロキシ酸、グリコール酸及びサリチル酸。
【0085】
身体精力剤、例えば3−(2−アミノプロピル)インドール、3−(2−アミノブチル)インドール等。
【0086】
抗アクネ剤、例えばイソトレチノイン、トレチノイン及びベンゾイルペルオキシド。
【0087】
抗乾癖剤、例えばエトレチネート、シクロスポリン及びカルシポトリオール。
【0088】
抗かゆみ剤、例えばカプサイシン及びその誘導体、例えばノニバミド〔Tsaiら、Drug. Dev. Ind. Pharm., 20 (4), 719, 1994 〕。
【0089】
腋窩発汗の阻害及び紅色汗疹の制御のために有効である抗コリン作用剤。制汗活性剤、例えばメタトロピンニトレート、プロパンセリンブロミド、スコポラミン、メトスコポラミンブロミド及び新規のクラスの温和制汗剤、第四アシロキシメチルアンモニウム塩〔例えばBorderら、J. Med. Chem. 23, 474 (1980)及び英国明細書第2010270 号1979年6月27日公開に記載〕。
【0090】
その他の生理活性ペプチド及びタンパク質、中型サイズペプチドのタンパク質、例えばバソプレシン及びヒト成長ホルモン。
【0091】
活性剤及び浸透増強剤は同時投与によりデリバリーされるのが好ましいが、浸透増強剤は所望するなら生理活性剤の適用の前又は後に適用してよい。
【0092】
本発明は更に少なくとも一種の生理活性剤又はそのプロドラッグ、少なくとも一種の皮膚浸透増強剤及び少なくとも一種の揮発性液を含んで成る経皮薬剤デリバリーシステムであって、その皮膚浸透剤が安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンであることを特徴とするシステムも提供する。
【0093】
本発明の第二の観点に従うと、非閉塞式、経皮薬剤デリバリーシステムであって:
(i)有効量の少なくとも一種の生理活性剤又はそのブロドラッグ;
(ii)少なくとも一種の不揮発性皮膚浸透増強剤;及び
(iii )少なくとも一種の揮発性液;
を含んで成り、
前記皮膚浸透増強剤は、前記揮発性液が蒸発するときにヒトを含む動物の皮膚表層又は粘膜に前記生理活性剤を横断輸送して前記表層又は膜内に前記浸透増強剤及び生理活性剤又はプロドラッグを含んで成る混合物のリザーバー又は貯蔵庫を形成するようになっており;且つ
前記皮膚浸透剤は動物の皮膚表層又は粘膜に対して低毒性であり、且つそれらより寛容されるものである;
ことを特徴とするシステムを提供する。
【0094】
本発明は更に動物に少なくとも一種類の全身又は局所作用性生理活性剤又はそのプロドラッグを投与するための方法も提供し、この方法は有効量の当該生理活性剤を本発明に係る薬剤デリバリーシステム形態で適用することを含んで成る。
【0095】
更に、本発明は動物における病気又は症状の処置又は予防のための方法を提供し、この方法はかかる処置を必要とする前記動物の皮膚表層又は粘膜に治療的に有効な量の本発明に係る薬剤デリバリーシステムを投与することを含んで成る。
【0096】
本発明は更に動物の皮膚表層又は粘膜に対するエアゾール又はスプレー組成物の制御適用のための装置を提供し、これは以降に記載のシュラウド(囲い板)を含んで成る。
【0097】
好ましくは、この動物はヒトであるが、本発明は更に非ヒト動物の処置にも及ぶ。
【0098】
好ましくは、当該非閉塞式薬剤デリバリーシステムは生理活性剤又はプロドラッグに関して超飽和となっていない。当該非閉塞式薬剤デリバリーシステムの揮発性液が蒸発する際、得られる不揮発性組成物は皮膚表層又は粘膜に直ちに侵入する。この揮発性液が蒸発すると、この不揮発性皮膚浸透増強剤は当該活性剤に関して超飽和となることが可能である。しかしながら、上皮表層を横断する不揮発性組成物の輸送が起こる前に任意の超飽和が起こらないことが好ましい。
【0099】
非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムの適用の後、当該デリバリーシステムの揮発性成分は蒸発し、そしてこの薬剤デリバリーシステムの適用された皮膚領域は乾いた感触をもちはじめることが最も所望される。好ましくは、前記皮膚領域は10分以内、より好ましくは3分以内、最も好ましくは1分以内に乾いた感触をもちはじめる。
【0100】
本発明の皮膚浸透増強性エステルサンスクリーンの群は動物の皮膚及び膜を介する活性剤の非閉塞式経皮デリバリーのために極めて適当である。これらの皮膚浸透増強化合物は皮膚に対して低毒性であり、そして経皮及び口内粘膜(特に歯肉)吸収の優れた促進剤である。本発明の皮膚浸透増強剤に加えて、既知の皮膚浸透増強剤が本発明の非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムにおいて採用し得る。このような既知の皮膚浸透増強剤にはラウロカプラム(Azone(登録商標))及びラウロカプラム誘導体、例えば米国特許第5,196,410 号に記載の1−アルキルアザシクロヘプタン−2−オン、並びにオレイン酸及びそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル及びグリセリルモノオレエート、並びにソルビタンエステル、例えばソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート、並びにその他の脂肪酸エステル、例えばイソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールモノラウレート及びプロピレングリコールモノラウレート、並びに2−ピロリドンの長鎖アルキルエステル、特に2−ピロリドンの1−ラウリル、1−ヘキシル及び1−(2−エチルヘキシル)エステル、並びに米国特許第5,082,866 号に記載の皮膚浸透増強剤、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテート及びドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、並びに米国特許第4,861,764 号に記載のもの、特に2−n−ノニル−1,3−ジオキソランが含まれる。
【0101】
好ましい既知の皮膚浸透増強剤はラウロカプラム及びラウロカプラム誘導体、例えば米国特許第5,196,410 号に記載の1−アルキルアザシクロヘプタン−2−オン、並びにオレイン酸及びそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル及びグリセリルモノラウレート、並びに米国特許第5,082,866 号に記載のもの、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテート及びドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、並びに米国特許第4,861,764 号に記載のもの、特に2−n−ノニル−1,3−ジオキソランである。最も好ましい既知の皮膚浸透増強剤はオレイン酸及びそのエステル誘導体、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル及びグリセリルモノラブレート、並びに米国特許第5,082,866 号に記載のもの、特にドデシル(N,N−ジメチルアミノ)アセテート及びドデシル(N,N−ジメチルアミノ)プロピオネート、並びに米国特許第4,861,764 号に記載のもの、特に2−n−ノニル−1−3−ジオキソランである。
【0102】
本発明の好適な揮発性液には安全な皮膚寛容溶媒、例えばエタノール及びイソプロパノールが含まれる。エアゾール噴射剤、例えばジメチルエーテルが本発明の目的のために揮発性液を構成しうる。
【0103】
驚くべきことに、特定した皮膚浸透化合物の群は皮膚及び粘膜を介する活性剤及びプロドラッグの吸収を増強し、しかも従来技術の著しい薬理欠点及び毒性を回避する。更に、本発明の化合物の群は驚くべきことに、皮膚の外層、即ち経皮薬剤吸収に対する強力なバリヤーを従来示している角質層への顕著な浸透及び実体を示す。
【0104】
本発明の第一の観点に係る薬剤デリバリーシステムにおいて、薬理配合剤、補助溶媒、界面活性剤、乳化剤、酸化防止剤、保存剤、安定化剤、希釈液又は2種以上の前記成分の混合物等の投与形態の特定ルートに適当なものをこれらのシステムの中に組込んでよい。使用する成分の量及びタイプは本発明の皮膚浸透増強剤及び活性成分に適合すべきである。補助溶媒又はその他の標準アジュバント、例えば界面活性剤は当該薬剤を溶液又は懸濁物中で所望の濃度に維持するのに必要とされうる。
【0105】
薬理配合剤にはパラフィン油、エステル、例えばイソプロピルミリステート、エタノール、シリコーン油及び植物油が含まれうる。これらは好ましくは1〜50%の範囲において用いる。界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪アルコール、グリセロールモノステアレート、ホスフェートエステル、及びその他の一般に利用されている乳化剤及び界面活性剤、好ましくは0.1 〜10%の範囲におけるそれらを利用してよく、保存剤、例えば化合物の保存のためのヒドロキシベンゾエートエステルは好ましくは0.01%〜0.5 %の量で使用されうる。典型的な補助溶媒及びアジュバントはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジメチルエーテル及びグリコールエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテルでありうる。これらは1〜50%の量で使用し得る。
【0106】
本発明の第二の観点に係る薬剤デリバリーシステムにおいて、薬理配合剤、補助溶媒、界面活性剤、乳化剤、酸化防止剤、保存剤、安定化剤、希釈剤又は2種以上の前記化合物の混合物を組込んでよいが、これらは当該システムの適用後乾いた感触をもちはじめる能力と適合しなければならない。
【0107】
本発明の浸透増強剤の効果を理由に、当該生理活性剤の用量は往々にして慣用の使用量よりも少なくしてよいであろう。特定の薬剤の有効範囲の下限界付近の用量を当初使用し、そして必要なら観察される応答から指示される通りに増やしてよい。
【0108】
当該薬剤デリバリーシステムにおいて用いる生理活性剤の濃度はその特性に応じるものであり、そして慣用の製剤における特定の薬剤のために通常利用されているものと同等であってよい。生理活性剤の量及び浸透増強剤の量は共に所望の作用のタイプに影響されるであろう。例えば、もし抗菌剤による表層感染を処置するうえで局所型の効果が必要とされるなら、少量の生理活性剤及び低濃度の増強剤が適当でありうる。局部麻酔のようにより深い浸透が所望されるとき、高めの濃度の増強剤が適切でありうる。
【0109】
試薬の全身集中を達成することが所望される場合、割合的に高い濃度の本発明の増強剤が本発明の経皮薬剤デリバリーシステムにおいて必要とされ得、そして当該組成物中に含まれる活性物質の量は所望の血液レベルを供するに十分とすべきである。
【0110】
吸収/浸透増強剤の濃度は活性成分の重量を基礎に10〜10,000重量%の吸収/浸透増強剤の範囲であってよい。浸透増強剤、対、活性成分の比は著しく変えてよく、そして何よりも達成されることの要される薬理結果により支配される。原理的には、できるだけ少なく吸収増強剤を使用することが所望される。他方、いくつかの活性に関し、上限値が10,000重量%となることが必要とされうる。当該浸透剤及び活性剤はほぼ等しい割合であることが好ましい。
【0111】
驚くべきことに、本発明の非閉塞式薬剤デリバリーシステム及び方法により多種多様な全身系薬剤をそれを必要とする被検体にデリバリーすることができることが見い出された。即ち、当該薬剤デリバリーシステムは生理活性剤を閉塞式パッチ製剤を必要とすることなく動物にデリバリーする。既知の全身系薬理製剤システム、特に経皮パッチ製剤の効能は保たれ、そして時折りその効能は本発明の非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムの利用により高まる。
【0112】
本発明の非閉塞式薬剤デリバリーシステムの特別な利点は患者によるコンプライアンスの向上にあり、なぜなら当該システムは皮膚又は膜を閉塞せず、それ故閉塞式経皮パッチ製剤のデリバリーシステム及び皮膚にそのようなパッチを固定するのに使用される接着剤の双方に対する皮膚の長期曝露に由来する局所的な刺激反応及びアレルギー感作の問題が軽減するからである。
【0113】
下記の定義は本明細書及び請求の範囲に適用される。
【0114】
「粘膜」なる語は一般に身体における任意の粘膜を意味し、口腔の粘膜を介する吸収が特に注目される。即ち、頬、舌下、歯肉及び口蓋吸収が本発明により特に考慮される。好適な態様において、本発明の浸透増強剤は、細胞構造において皮膚に最も似ている口内組織、即ち、歯肉及び口蓋を介する吸収を高めるために利用される。
【0115】
語「生理活性剤」は幅広いクラスの有効な化学品及び治療剤を称するよう本明細書において用いている。
【0116】
本明細書において考慮する薬剤を説明するうえでの表現「生理活性」は宿主に対して直接的な薬理効果を有する薬剤のみならば、医療業界において有用な間接的又は観察可能な効果をも有する幅広いものの意味において利用する。
【0117】
本明細書に記載の生理活性剤の「プロドラッグ」とは、広い意味において動物の身体において所望の生理活性化合物へと変換される構造物に近縁な化合物又は活性化合物の誘導体を意味する。このプロドラッグ自体は所望活性をほとんど又は全くもたなくてよい。
【0118】
本明細書において用いる語「経皮」とは、広い意味において無傷の皮膚を通過することができることを意味するために用いている。
【0119】
「皮膚浸透増強剤」なる語は、広い意味において局所適用又は全身デリバリーであろうと関係なく、動物の如き生体への活性剤の利用及びデリバリーのための活性剤の皮膚横断経皮輸送速度を改善する薬剤を意味するうえで本明細書において使用する。
【0120】
「非閉塞式」なる語は、広い意味において皮膚の上に適用部位において長時間残るパッチ製剤、固定化リザーバー、適用チャンバー、テープ、バンデージ、粘着ギブス等により皮膚を大気から遮断しないことを称するよう本明細書において利用する。
【0121】
「角質層」なる語は広い意味において皮膚の外層を称するよう本明細書において利用する。かかる外層は「レンガ及びモルタル」式に配列された主にタンパク質性材料のケラチンより成る末端の相違するケラチノサイトの(約15枚の)層より成り、そのモルタルは主としてコレステロールより成る脂質マトリックス、セラミド及び長鎖脂肪酸より成る。角質層は皮膚を横断する活性剤の拡散のための速度制約バリヤーを生み出す。
【0122】
「皮膚貯蔵庫」なる語は広い意味において角質層内の活性剤及び皮膚浸透増強剤のリザーバー又は貯蔵庫が、細胞内(ケラチノサイト内)又は細胞間であろうと関係なく、角質層内の活性剤及び皮膚浸透増強剤のリザーバー又は貯蔵室であることを意味するよう本明細書において利用する。
【0123】
「揮発性:不揮発性液体ビヒクル」なる語は、広い意味において不揮発性液体ビヒクル、例えば皮膚浸透増強剤と混合した揮発性液を含んで成る液体薬理ビヒクルを意味するよう当業界において利用されている。不揮発性皮膚浸透増強剤と混合した揮発性液を含んで成るシステム又はビヒクルは本明細書において記述されているとき、揮発性:不揮発性液ビヒクルとして知られるシステムを含むよう利用されている。
【0124】
本明細書において用いているアルキル及びアルコキシ基は直鎖でも枝分れしていてもよい。「低級アルキル」なる語は1〜5個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。「低級アルコキシ」は類似の意味を有する。「長鎖アルキル」とは5〜18個の炭素原子、より好ましくは6〜18個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。「ハライド」なる語はフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物を意味する。「複素環」なる語は少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素環、そして更には飽和又は任意の許容度にまで不飽和となっていることのある環を意味するよう本明細書において定義する。
【0125】
「サンスクリーン」なる語は広い意味において紫外光をフィルター除去可能な化学試薬を称するよう本明細書において使用する。
【0126】
本発明の非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムは所望の全身効果を達成せしめるために皮膚を介して多種多様な生理活性剤がデリバリーされることを可能にする。当該薬剤デリバリーシステムは好ましくは不揮発性皮膚浸透増強剤及び揮発性液と均質混合された当該活性剤を含んで成る。薬剤デリバリーシステムを皮膚に適用する場合、当該活性剤及び不揮発性液は揮発液蒸発物として皮膚の中へと熱動力学的に導入される。皮膚に一旦入ったら、この不揮発性液は液体マトリックスを崩壊せしめるか及び/又は皮膚を介して処置すべき被検体に至る活性剤の増強した浸透速度を可能にする可溶化剤として作用しうる。このようにして、当該皮膚浸透増強剤はビヒクルとして作用し、そして数多くの全身活性剤が動物に経皮投与可能となる。
【0127】
当該不揮発性皮膚浸透増強剤は、角質層内の皮膚浸透増強剤のリザーバー又は貯蔵庫を形成するのに十分な量で角質層へと容易に吸収される。この皮膚浸透増強剤は皮膚を横断して皮膚−貯蔵庫を形成し、その中に含まれる活性剤は皮膚を介して輸送される及びその貯蔵庫の中に含まれる。これらの貯蔵庫は角質層の脂質マトリックス内で形成されるものと信じられ、そこで脂質マトリックスが活性剤の皮膚横断拡散の律速バリヤーを構築し、且つ経皮投与された活性剤が通常24時間までの時間にわたり全身的に放出されることを可能にする。
【0128】
非閉塞式薬剤デリバリーシステムの揮発性液が蒸発し、不揮発性皮膚浸透増強剤及び活性剤の混合物が角質層に導入されると、皮膚の外層には活性剤及び不揮発性皮膚浸透増強剤が実質的に消失する。通常の接触、着衣、皮膚のすすぎ又は洗浄さえも、任意の度合いまでは、揮発性液が蒸発したなら、薬剤のデリバリーに影響を及ぼさないか、又は活性剤もしくは不揮発性皮膚浸透増強剤のいづれも移動させないであろう。
【0129】
これは薬剤の皮膚横断浸透速度を高めるのに超飽和溶液を用いる従来技術のシステムと対照的である。かかる超飽和溶液は容易に沈澱してしまい、従って例えばポリマーによる安定化、又は核形成を及ぼしうる外的表層もしくは物体からの保護を要する。
【0130】
角質層を介する生理活性剤の吸収速度は不揮発性皮膚浸透増強剤により高まる。当該活性剤はそれが皮膚の表層から角質層へと輸送されるときに皮膚浸透増強剤の中に溶解又は懸濁されうる。所望の活性剤をデリバリーする皮膚浸透増強剤の性能は皮膚浸透増強剤及び活性剤の双方の性質の相違により変動する。様々な活性剤のデリバリーのために適するように種々の皮膚浸透増強剤を選定する必要がありうることが理解される。
【0131】
本発明の経皮薬剤デリバリーシステムにおいて利用できうる生理活性剤には本発明の不揮発性皮膚浸透増強剤及び揮発性液と適合し、且つ所望の効果を奏するよう当該皮膚浸透増強剤の補助を伴って皮膚を介してデリバリーされうる任意の局所又は全身活性剤が含まれる。
【0132】
好適な活性剤にはステロイド及びその他のホルモン誘導体、より好ましくはテストステロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、プロゲステロン、ノルシステロンアセテート及びゲストデン;並びに非ステロイド系抗炎症薬、好ましくはイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びジクロフェナック;並びにオピオイド鎮痛薬、好ましくはフェンナニル及びブプレノルフィン;並びに制吐薬、好ましくはプロクロルペラジン、メトクロプラミド、オンダセトロン及びスコポラミン;並びに抗エストロゲン、好ましくはタモキシフェン及びエピチオスタノール並びにアロマターゼインヒビター、好ましくはエキセメスタン及び4−ヒドロキシ−アンドロステンジオン及びその誘導体;並びに5−アルファーリダクターゼインヒビター、好ましくはフィナステリド、シロステリド、LY191704及びMK−306 ;並びに抗不安薬、好ましくはアルプラゾラム;並びにプロスタグランジン、好ましくはアルプロスタジル及びプロスタシクリン及びその誘導体;並びにメラトニン;並びに抗ウィルス剤、好ましくはn−ドコサノール、トロマンタジン及びアシクロビルの親油性プロドラッグ;並びに低分子量のヘパリン、好ましくはエノキサパリン;並びに抗片頭痛化合物、好ましくはスマトリプタン;並びに抗高血圧剤、好ましくはクロニジン、アムロジピン及びニトレンジピン;並びに抗マラリア剤、好ましくはプリマキン;並びにミノキシジル及びミノキシジルプロドラッグ;並びにピロカルピン;並びに気管支拡張薬、好ましくはサルブタモール、テルブタリン、サルメテロール;並びに抗うつ病薬、好ましくはイボガイン、ブプロピオン及びロロプラム;並びに抗アルツハイマー剤、好ましくはフルフェナジン及びハロペリドール;並びに抗パーキンソン剤、好ましくはN−0923;並びに抗アンドロゲン、好ましくはシプロテロンアセテート;並びに食欲不振剤、好ましくはアジンドールが含まれる。
【0133】
本発明の薬剤デリバリーシステム及び方法を利用することにより処置されうる病気又は症状には、限定することなく、テストステロン欠乏性生殖機能不全男性における男性ホルモン代替、閉経後の女性のための女性ホルモン代替、性欲を欠く女性のためのアンドロゲン代替治療、男性避妊、女性避妊、軟質組織損傷、麻酔薬除去、重篤な術後病、乗物酔い、エストロゲン依存性乳癌、前立腺肥大及び/又は前立腺癌、脱毛症及びアクネ、不安障害、男性インポテンス、Raynaudsシンドローム及び静脈癌、睡眠障害、例えば時差ぼけ、ヘルペスウィルス感染症、深遠静脈血栓、片頭痛、高血圧、マラリア、嚢胞性線維症の診断、ぶぜん息、特に夜行性ぜん息、禁煙、精神病、重篤な生後うつ病、男性化及び肥満が含まれる。
【0134】
上記のリストは絶対的なものを意味するつもりはなく、そして当該薬剤デリバリーシステムの好適な揮発性液及び不揮発性皮膚浸透増強剤に適合する任意の生理活性剤が任意の適当な病気又は症状を処置するために本発明の方法により適用し得る。
【0135】
本発明の薬剤デリバリーシステムはエアゾール、スプレー、ポンプバック、ブラッシュ、スワブ又はその他のアプリケーターにより皮膚に適用し得る。好ましくは、このアプリケーターは固定又は可変式計量用量適用を供するもの、例えば計量投与エアゾール、貯蔵エネルギー計量投与ポンプ又は手動式計量投与ポンプである。この適用は最も好ましくは、一緒になって適用する用量及び/又は均一性を正確にコントロールするアクチュエーターノズルシュラウドと組合さった局所計量投与エアゾールにより実施される。このシュラウドの一の機能は、薬剤デリバリーシステムを適用する皮膚又は膜より所定の高さの位置に、且つ垂直にノズルを保つことにある。この機能はスペーサーバー等によっても達成されうる。シュラウドのその他の機能は薬剤デリバリーシステムのはね返り及び/又は周囲環境へのロスを防ぐ又は抑制するために皮膚又は膜の上方領域を囲うことにある。好ましくは、このシュラウドにより規定される適用領域は実質的に円形である。
【0136】
当該デリバリーシステムはポンプバックにより、又はより好ましくは噴射剤、例えば炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、窒素、酸化窒素、二酸化炭素又はエーテル、好ましくはジメチルエーテルにより噴射されうる。当該非閉塞式薬剤デリバリーシステムは好ましくは単相システムであり、なぜならこれは単純な製造工程を可能にする及び用量を均一にし易くするからである。これは所望の結果を得るために未処置の皮膚に何回も適用する必要がありうる。
【0137】
本発明を下記の実施例及び添付図面を参考にこれより説明する。本実施例及び図面は本発明を限定するつもりはない。これらは本発明及びその利点を更に説明する。
【0138】
本実施例において、浸透増強剤の有効性は皮膚浸透増強剤を伴ういくつかの代表的な生理活性剤の製剤の皮膚浸透を測定することにより例示する。また、生理活性剤の皮膚浸透を、その他の従来技術の浸透増強剤及びコントロール製剤を担う汎用のアジュバントを伴う生理活性剤の製剤により測定した。行った比較は一般に様々な製剤の脱皮ヘビ皮を介する相対浸透の測定より成る。どのケースにおいても、当該皮膚浸透増強剤を含む製剤は、対応のコントロール製剤又は市販の調製品よりも多くの活性剤を皮膚を介してデリバリーした。
【0139】
in vitro皮膚拡散測定
脱皮ヘビ皮
幼パイソン脱皮ヘビ皮を自然脱皮の際に獲得し、そして背面皮膚を使用した。脱皮ヘビ皮はItoh, らUse of Shed Snake Skin as a Model Membrane for In Vitro Percutaneous Penetration Studies : Comparison with Human Skin, Pharm. Res., 7 (10), 1042-1047, 1990 ; 及びRigg, らShed Snake Skin and Hairless Mouse Skin as Model Membranes for Human Skin During Permeation Studies, J. Invest. Dermatol., 94 ; 235-240, 1990 によりヒト皮膚にとって適切なモデル膜であることが示されている。
全厚皮膚
これらの研究において用いた動物はVictrorian College of Pharmacy, Monash University, Parkville, Australia の動物ハウスから入手した。
a.無毛マウス皮膚
生後4〜8週目の無毛マウスを使用した。マウスの皮膚を切り、そして胴体から全厚皮膚を単離し、皮下脂肪及び接続組織を除去し、そして皮膚を2.0 cm2の円へと切り、次いで線束測定のために拡散セルの中に入れた。
b.モルモット皮膚
双方の性の成モルモット(体重500 g〜750 g)を使用した。背側腹部及び背中上の毛をハロタン麻酔下で脱毛ワックス(Arielle(商標))を利用して除去した。7日後、角質層が完全に再生した後、モルモットを殺し、そして皮膚を取り出し、そしてチルドスラブの上に載せた。皮下脂肪及び接続組織を除去し、そして皮膚を円形に切り、次いで線束測定のために拡散セルに入れた。in vivo 実験のため、モルモットを個別ケージで飼育し、そして局所ヒドロキノン製剤を無毛領域に適用した。各モルモットに対応の反対側部位上にて試験又はコントロール製剤を与え、各動物がそれ自体のコントロールを担うようにした。
フランツ(Franz)型セルにおけるin vitro皮膚拡散実験
ヒドロキノンを利用する研究を、1.3 cm2の有効拡散面積、37℃又は32℃のレシーバーチャンバー温度及び13mlの正常食塩水のレシーバーチャンバー容量を有する垂直フランツ拡散セルを利用して実施した。
水平拡散セルにおけるin vitro皮膚拡散実験
CooperのJ. Pharm. Sci. 73 (8), 1984 によりはじめて示されたものを基礎とする改良型ステンレススチールフロースルー拡散セルを皮膚(ヘビ又は無毛マウスのいづれか)を介する様々な供与組成物からの薬剤の拡散についての実験を実施するのに用いた。本実験を実施するために利用したフロースルー拡散セルを図1に示す。このセルは上部区画(1)と下部区画(2)とより成る。ステンレススチールワイヤーメッシュサポート(4)がセルの下部区分の中にくぼみ(5)に収容されている。円形に切り取られた皮膚サンプル(3)をサポート(4)の上に静かに載せ、そしてセルの2つの区画(1,2)を位置決め穴(9)を利用してスクリュー(図示せず)により固定し、気密シールを形成する。0.79cm2(直径0.5 cm)の面積を有するセルの上部区画の開口部(8)は皮膚の上にウェルを形成し、その中に局所製剤を適用する。ほとんどの場合、試験すべき薬剤物質を含む400 μlの製剤、溶液又は懸濁物を皮膚の上に均一に適用した。セルの底区画には入口(6)及び出口(7)チューブが施され、それはくぼみ(5)の底部に導かれ、そしてそれを介してレセプター溶液がマイクロカセットペリスタルポンプ(Watson Marlow, UK)により(図示せず)浸漬状態を保つよう定連でポンピングされる。レセプター溶液は50%のプロピレングリコール水溶液より成り、0.9 %の塩化ナトリウムで等張にされ、そして0.1 %のアジ化ナトリウム及び0.1 %のフッ化ナトリウムで保存されている。皮膚の下に気泡が形成されるのを防ぐため、ワイヤーメッシュ(4)がレセプターの乱流を確保している。くぼみ(5)はセルの中に皮膚を入れる前にレセプター溶液で充満にする。レセプター溶液はその溶液を真空のもとで40℃で撹拌しながら微細な液滴へとスプレーすることにより脱気した。脱気は3回繰り返した。これらの予備注意は拡散セル内でのバブルチャンバーの必要性を排除する。拡散セルを中空ヒーターバーの上に載せる。それは加熱循環水を介して32℃(±0.5 ℃)の正常皮膚温度を保つ(Thermomix, Braun, Germany)。各拡散セルにつき、そのレセプター溶液を自動化回転式フラクションコレクター(Retriever II, ISCO Australia)により24時間の間に2又は4時間毎にチューブ(7)を介してポリエチレンバイアル(6mlの液体シンチレーションバイヤル、Packard Instruments, Netherlands)の中に集めた。レセプター溶液を含む各バイアル中の薬剤の量を逆相HPLCにより決定した。分析前に各バイアルを分析天秤(Mettler AT261, Australia)で秤量し、そしてこのレセプター溶液の密度(22℃で1.0554g/cm3)から容積を計算した。
【0140】
各拡散セルサンプル中の適用薬剤の濃度は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用して測定した。レセプター溶液は、20μlを調製したばかりの脱気(濾過により)移動相に注入(WISP 712オートインジェクター、Waters, Australia)することにより正味アッセイした。各薬剤をC18インサート及びμ Bandapak C18(30cm×3.9 nm)HPLCカラム(Waters)の偏ったプレカラムを用いて分離した。吸収はWatersのチューニング可能吸収検出器を利用して適当な波長で測定し、そしてピーク面積をShimadzu C−R3A クロマトバックインテグレーターを利用してプロットして積分した。各実験について報告する結果は何らかのことわりのない限り4回反復した拡散セル値の平均である。各種の薬剤について利用したアッセイ条件は各実施例の中に示す。
実施例1
上記のin vitro拡散セル法を、ケトプロフェンの適用の2時間前に70%のエタノール中の2%v/vの溶液における400 μlの種々の皮膚浸透増強剤を適用した後に脱皮ヘビ皮に適用した70%v/vの水性エタノール中の2%w/vのケトプロフェン400 μlの浸透を比較するために利用した。コントロール実験は2時間にわたる400 μlの70%の水性エタノールのみの適用、それに次ぐ400 μlの2%のケトプロフェン溶液の適用を包含する。サンプルは先に記載の方法に従ってアッセイした。検出波長は255nm とし、そして移動相はオルトリン酸(BDH, Australia) によりpH3.0 にしたアセトニトリル:水(55:45)より成る。表1は24時間にわたるヘビ皮を横断するケトプロフェンの平均線束を示し、それは皮膚を横断するケトプロフェンの累積量、対、時間の直線回帰により決定した(μg/cm2・h)。図2はケトプロフェンについての代表的な平均累積量、対、時間のプロットを示す。
【0141】
【表1】

【0142】
実施例2
前記のin vitro拡散セル法は、ヘビ皮に適用した場合の95%v/vのエタノール中の1.0 %w/wのインドメタシン溶液である市販の製剤Indospray(商標)(Rhone-Poulenc Rorer, Australia) 30μlの浸透を比較するために用いた。無水エタノール中の様々な濃度のオクチルジメチルPABA 10 μlをインドメタシン製剤の適用の30分前に適用した。コントロール実験はインドメタシン製剤の適用の30分前の10μlの無水エタノールのみの適用を含む。サンプルを先に記載の方法に従ってアッセイした。検出波長は254nmmとし、そして移動相はオルトリン酸でpH3.0 にしたアセトニトリル:水(55%v/v:45%v/v)より成る。表2は24時間にわたるヘビ皮を横断するインドメタシンの平均線束を示す。
【0143】
【表2】

【0144】
これらの結果は、浸透増強剤抜きの生理活性成分製剤に対する皮膚の曝露前での単独で適用した皮膚浸透増強剤の能力を実証する。経皮吸収の増強は大きく、そして用量依存式であり、従って所望の増強レベルは皮膚に適用する適切な用量の皮膚浸透増強剤を利用することにより達成し得る。
実施例3
実施例1と同じプロトコールを繰り返したが、皮膚浸透増強剤をケトプロフェン製剤に含ませ、従って70%v/vの水性エタノール中の2%w/vのケトプロフェン及び2%v/vの皮膚浸透剤400 μlを拡散実験の開始時から皮膚に適用された。
【0145】
表3は24時間にわたるヘビ皮を横断するケトプロフェンの平均線束を示す。図3はケトプロフェンについての代表的な平均累積量、対、時間のプロットを示す。
【0146】
【表3】

【0147】
これらの結果は同じ製剤内で生理活性成分と一緒に適用する皮膚浸透増強剤のその経皮吸収増強を達成せしめる能力を示す。
実施例4
表4は15mg/cm2の用量で皮膚に適用したゲル製剤からのin vitroでの全厚モルモット皮膚を横断浸透するヒドロキノン(HQ)の平均線束(%用量/h)±平均標準誤差を示す。放射能ラベルしたヒドロキノン(C14,Amersham)を各局所製剤に加えた。特定の時間間隔で、200 μlのレセプター溶液をマイクロピペットで抜き取り、そして200 μlの新鮮な正常食塩水と交換した。200 μlのサンプルを800 μlの水に加え、それをToluene(商標)1l、PPO 5g,POPOP 0.1 g及びTriton X(商標)500 mlより成る10mlのシンシレーションカクテルに入れた。シンチレーション計測はPackard Tricarb 460 C装置で実施した。1分間当りの崩壊を外部標準手段により決定し、そして装置のデーターシステムにより計算した。
【0148】
【表4】

【0149】
表5は一定用量の溶液(5ml/cm2)の適用後の平均メラミン含有量(mg/cm2)±平均標準誤差に対するin vivo での全厚モルモット皮膚を横断するヒドロキノン(HQ)浸透の効果を示す。メラニン含有量はAnderson, J. R.,の博士論文、表題The Development of Techniques for Measuring the Bioavailability of Topical Depigmenting Agents (School of Pharmaceutics, Victorian College of Pharmacy Ltd., Parkville, Victoria, Australia, Dec., 1985 )に概略してある方法に従い、処置及び未処置の皮膚からの反射吸収により測定した。
【0150】
【表5】

【0151】
実施例5
表6は70%v/vの水性エタノール中の2%w/vのイブプロフェン及び2%v/vの皮膚浸透増強剤400 μlを適用したときのin vitroでの全厚無毛マウス皮膚を横断浸透するイブプロフェンの中央値量(μg/cm2)を示す。ここでもAzone を比較のための標準品として選定し、そしてコントロール製剤は浸透増強剤を含まない。検出波長は210nm であり、そして移動相はオルトリン酸でpH3.0 にしたアセトニトリル:水(55:45)より成る。
【0152】
【表6】

【0153】
実施例6
表7は、無水エタノール中の12%w/vのテストステロン及び8%v/vの皮膚浸透増強剤10μlを適用したときの薄片化した(厚さ300 μm)新生ブタの皮膚を横断浸透するテストステロンの平均量(μg/cm2)±平均標準誤差を示す。検出波長は241nm とし、そして移動相はアセトニリル:水(55:45%)より成る。
【0154】
【表7】

【0155】
実施例7
図4はイブプロフェンのゲル製剤からの時間に対する脱皮ヘビ皮を横断移動するイブプロフェンの累積量を示す。5mgづつのゲルを皮膚に適用した。サンプルを実施例5に記載のHPLC法によりアッセイした。ゲルはイブプロフェン及び皮膚浸透増強剤を50%v/vの水性エタノールにまで溶かし、次いで2%w/wのSepigel 305(商標)(SEPPIC, Paris, France)をゲル化剤として加え、そしてゲルが形成されるまで室温で撹拌することにより5%w/wのイブプロフェン及び2%w/wの皮膚浸透増強剤の最終濃度に仕上げた。この製剤をカルボポールで形成されたエタノール性ゲルベース中の5%w/wのイブプロフェンを含む市販のIBUGEL(商標)(Dermal Laboratories, UK)製剤と比較した。同様に、2%w/wの皮膚浸透増強剤を単に混合することによりIBUGELに加えた。各ゲルのイブプロフェン含量をHPLCにより決定し、そしてSepigel-305(商標)、IBUGEL及びIBUGELと増強剤とを用いたゲルのそれぞれについて5.02, 5.75及び5.43mg/gであった。12h及び24hにおいての双方の累積量並びに24hにわたる平均線束は市販のIBUGEL製剤と比較したときに増強ゲル製剤の双方について有意に高かった(p<0.05)。線束増強比はIBUGELと比較したとき、Sepigel-305(商標)と増強剤及びIBUGELと増強剤を用いるゲルのそれぞれについて6.15及び2.61であった(n=3)(p<0.05)。
実施例8
表8は70%v/vの水性エタノール中の1%w/vのヒドロコルチゾン及び2%v/vのオクチルジメチルPABA 400mlを適用したときのin vitroにおけるヘビ皮を横断浸透するヒドロコルチゾンの平均線束(g/cm2・h)を示す。コントロール製剤は浸透増強剤を含まない。検出波長は242nm とし、そして移動相はアセトニトリル:水(35%:65%)より成る。
【0156】
【表8】

【0157】
実施例9
表9は増強剤抜きのコントロールと比較した増強剤オクチルサリチル酸塩を用いた経皮パッチからのケトプロフェンの24hにわたる平均線束を示す。これらのパッチは300mgのケトプロフェン、400 mgの浸透増強剤、300 mgのポリエチレングリコール及び800 mgのヒドロキシプロピルセルロースを20mlのエタノールに溶解し、そして粘稠となるまで撹拌することにより調製した。これを清浄なガラス板に注ぎ、そして40℃で1h乾燥させた。このフィルムの厚みは約1mmとした。次いでこのマトリックスから0.8 cm2の円を切り取り、そしてOPSITE(商標)接着バンデージの2.0cm の円の中央に付着させた。次いでこのパッチを2.0 cm2のヘビ皮断片の上に付着させ、そして拡散セルの中に入れた。各パッチ製剤のケトプロフェン含有量をHPLCにより3回決定し、そしてコントロール及びオクチルサリチル酸塩パッチのそれぞれについて6.99±0.30mg/cm2及び6.76±0.24mg/cm2であった(平均含有量±標準誤差、n=4)。
【0158】
【表9】

【0159】
本発明及びその利点を更に説明するため、FiL の特定の実施例を供する。これらも本発明を何ら限定するものではない。これらの実施例において、生理活性剤の皮膚浸透を測定することにより皮膚浸透増強剤の効果を示す。また、本発明の皮膚浸透増強剤の皮膚浸透をその他の浸透増強剤及び一般のアジュバントを伴う生体影響因子の製剤のそれと比較した。比較は一般に様々な製剤の脱皮ヘビ皮を介する相対浸透%の測定より成る。本実施例において、in vitro皮膚浸透研究は前述のin vitro拡散セル製造と同じものを用いて実施した。
実施例10
図5は時間に対する脱皮ヘビ皮を横断するテストステロンの平均累積量を示す。
【0160】
皮膚に適用する各製剤の容量は5μl/cm2とした。各製剤は無水エタノール中の12%w/vのテストステロンを含んだ。投与はGCシリンジにより適用した。コントロール製剤を除く全てに8%v/vの濃度において浸透増強剤が添加されている。
【0161】
サンプルを実施例6において示した通りにHPLCによりテストステロンについてアッセイした。
【0162】
表10は各製剤についての24hにわたるテストステロンの平均線束及びコントロール製剤の平均線束で除した浸透増強製剤の平均線束の比として表わした増強度を示す。
【0163】
【表10】

【0164】
実施例11
表11は5μl/cm2の用量において皮膚に適用した後の様々な好適な化合物についての24hにわたる平均線束及び増強比を示す。例として示す2種類の浸透増強剤はオクチルジメチルPABA及びAzone である。双方の浸透増強剤はここでも製剤中8%v/vの濃度であり、そしてコントロールは浸透増強剤がない。製剤中に2%w/vのエストラジオールの濃度を利用し、そして検出波長は212nm とし、そして移動相はアセトニトリル:水(40%:60%)より成る。製剤中に6%w/vのプロゲステロンの濃度を利用し、そして検出波長は240 mとし、そして移動相はアセトニトリル:水(55%:45%)より成る。製剤中に6%w/vのノルシステロンアセテートの濃度を利用し、検出波長は240nm とし、そして移動相はオルトリン酸でpH3.0 に調整したアセトニトリル:水(55%:45%)より成る。製剤中に20%のイブプロフェンの濃度を利用し、検出波長は210nm とし、そして移動相はオルトリン酸でpH3.0 に調整したアセトニトリル:水(55%:45%)より成る。製剤中に20%のフルルビプロフェンの濃度を利用し、検出波長は247nm とし、そして移動相はオルトリン酸でpH3.0 に調整したアセトニトリル:水(55%:45%)より成る。
【0165】
【表11】

【0166】
これらの薬剤について得られる線束値は臨床学的に関連し、例えば閉経後の女性のためのホルモン代替治療において、現状の経皮デリバリーシステムは1日当り25〜100 μgのエストラジオール及び1日当り250 μgのノルシステロンを供与することを担いとし(Estracombi(商標))、そしてテストステロン代替治療においては、その目標範囲はテストステロンを欠く女性において1日当り0.1 〜0.3mg(米国特許第5,460,820 号)テストステロン欠乏生殖機能不全男性においては1日当り5〜6mg(Androderm(商標))、そして男性避妊のためには1日当り6〜10mgまで(J. Clin. Endocrinol. Metab., Vol. 81, 4113-4121, 1996)を代替することにある。NSAIDS、イブプロフェン及びフルルビプロフェン上昇薬剤線束に関してはこれが疼痛及び炎症の標的部位での活性薬剤の高めの局所濃度に導くであろうことに基づき推定することが所望される。
実施例12
図5及び6はin vivo での家畜用去勢ブタ(生後7〜8週)に対する局所経皮エアゾール(実施例14及び15のそれぞれに記載)の適用後のテストステロン及びエストラジオールそれぞれの平均血漿レベルを示す。血漿テストステロン及びエストラジオールレベルは商業的に入手できるアッセイキットを用い、高特異性ラジオイムノアッセイにより決定した。エストラジオールアッセイ(Orion Diagnostica, Finland)は製造者の仕様書に従って実施した。テストステロンアッセイ(Pantex, CAL, USA) も仕様書に従って実施したが、任意の種特異的マトリックス効果を排除するためにその手順に抽出工程(90%のジエチルエーテル/10%の酢酸エチル)を含ませる改良を施した。コントロール製剤は上述と同じエアゾールシステムとしたが、それらは皮膚浸透増強剤を含まない。
【0167】
テストステロンを受容した雄ブタは去勢手術を研究の開始の1週間前に施し、内因性テストステロン生産による任意の障害を除き、そして同時に頭部カヌーレを挿入して血液採取を助長した。これらの手順は一般的な麻酔薬ハロタン(Fluothane(商標))のもとで実施した。示している結果は基底値を差し引いたものであり、試験グループについての0時での基底テストステロンレベルは4.3nmol /L±1.1nmol /L(平均±平均標準誤差)であり(n=4)、そしてコントロールグループにおける全てのブタについては<0.5nmol /Lであって(n=7)。180 cm2にわたり9回スプレーすることによる単独適用を午前9時に施し、そして血液サンプルを24hにわたり表示の間隔で採取した。ブタの平均体重は試験グループ及びコントロールグループのそれぞれにつき19.9kg±0.8 kg及び17.2kg±0.4 kgであった。血漿濃度、対、時間の曲線下の面積(AUC)は、コントロールと比べ、浸透増強製剤に関して2.2 倍高かった(p<0.05)。AUC についての計算結果を20kgの体重に対して標準化し、分布容積が体重に正比例するようにした。
【0168】
エストラジオール投与を受容する雄ブタは試験グループにおける全てのブタについては<0.02nmol/L(n=4)、そしてコントロールグループにおける全てのブタについては<0.02nmol/L(n=6)の基底エストラジオールレベルを有した。30 cm2にわたり3回スプレーすることによる単独適用を午前9時に施し、そして血液サンプルを24時間にわたり表示の間隔で採取した。ブタの平均体重は試験グループ及びコントロールグループのそれぞれにつき21.3kg±1.0 kg及び17.5kg±0.4 kgであった。血漿、対、時間の曲線下の面積(AUC)はコントロールと比べ、浸透増強製剤に関して14.1倍高かった(p<0.0003)。AUC についての計算結果を20kgの体重に対して標準化し、分布容積が体重に正比例するようにした。
実施例13
雄ブタを前記の通りに利用し、そしてテストステロンスプレーを前述の通りにして180 cm2にわたり毎日適用した。毎日1回のテストステロン適用は午前9時に6日間連続して施し、そして6回目に血液サンプルを24hにわたり図7に示す間隔で採取した。基底血液サンプルを1日目の時間=0hにおいて採取し、そして2.8nmol /L±1.1nmol /L(平均±平均標準誤差)、n=4であった。図7は24hにわたるテストステロンの平均血漿レベル、対、時間を示す。示している結果は基底値を差し引いたものであり、そしてテストステロンについての推定定常プロフィールの代表である。
【0169】
図8は線束=血漿濃度×浄化率であると称するWagner-Nelson 分析により決定されたin vivo での家畜用去勢ブタ皮膚を横断するテストステロンの平均累積量を示す(Berner B., John V. A., Pharmacokinetic Characterisation of Transdermal Delivery Systems, Clin. Pharmacokinet., 26 (2) : 121-134, 1994 )。浄化率は試験開始前に離脱円テストステロンボーラス投与により決定し、そして663 ml/h・kg±139 ml/h・kgと認められ、これは男性について報告されている値655 ml/h・kgに近かった(Mazer N. A., Heiber W. E., Moellmer J. F., Meikle A. W., Stringham J. D., Sanders S. W., Tolman K. G., Odell W. D., Enhanced transdermal delivery of testosterone : a new physiological approach for androgen replacement in hypogonadal men, J. Control. Releas., 19, 347-362, 1992)。更に、図8において比較のために含ませたものはヒト皮膚の推定in vivo 浸透横断及び脱皮ヘビ皮のin vitroテストステロン浸透である。ヒト皮膚のin vivo 横断浸透はin vivo で決定したブタ皮膚と比べてのヒト皮膚におけるテストステロンの2.2 分の1の低さに基づく(Bartek M. J., LaBudde J., Maibach H. I., Skin Permeability In Vivo : Comparison in Rat, Rabbit, Pig and Man, J. Invest. Dermatol., 58 (3) : 114-123, 1972)。
【0170】
図8はin vivo でのテストステロンの皮膚横断浸透の制御された性質、並びにin vitro脱皮ヘビ皮拡散モデルのヒト皮膚を横断するテストステロンの浸透傾向を確認するための良好な推定能力を示す。従って、実施例10及び11において得られた線束値は臨床状況においてヒトにおいて得られるものと非常に似ていた。
【0171】
この他、図9は前述の男性のテストステロン浄化値を基礎に見かけの体重70kgの男性被検体の推定テストステロン血漿レベルを示す。比較のため、正常な健康成人男性におけるテストステロン血漿レベルの95%信頼率間隔を示す(Mazer ら、J. Control. Releas., 19, 347-362, 1992)。示している通り、このデリバリーシステムは、その単に1日1回の適用に基づき、テストステロン欠乏生殖機能不全男性における所望のレベルのテストステロン代替を十分に達成可能である。
エアゾール装置
10mlの充填容量のプラスチックコート化ガラスエアゾール容器に指定放出容量(エストラジオールエアゾールについては50μl、そしてテストステロンエアゾールについては100 μl)の薬理グレード計量バルブを装着した。
【0172】
ステンレススチール製O−リングでエアゾール容器上にバルブを固定する。
【0173】
このエアゾール容器に、任意の適当な方法に従い、少なくとも一種の生理活性剤、不揮発性皮膚浸透増強剤、揮発性液担体及び任意的に任意のその他の希釈剤、担体、界面活性剤、続いて噴射剤を添加する。
【0174】
薬理グレードスプレーノズル及びエアゾールシュラウドを装着し、スプレーノズルが皮膚に対して垂直で高さ50mmに位置するようにする。
エアゾールの利用方法
1.好ましい方の手のひらで直立に当該装置をもち、親指をアクチュエーターボタンの上に静かに載せる。
【0175】
2.シュラウド開口部を皮膚の上に載せ、そしてアクチュエーターボタンを1回押し、そしてボタンを解放する。この装置を皮膚から離す。
【0176】
3.1及び2を別の皮膚領域に対し、適正な投与回数を施すように繰り返す。
【0177】
4.適用製剤を皮膚上で1分間乾かす。
【0178】
スプレーの適用の際、ノズルシュラウドはスプレーを囲み、活性剤を皮膚に沈着させる有効な密閉系を供し、これによりスプレーが皮膚の表層に衝突するとき、大気への顕著なはね返りは起きない。規定用量の活性剤及び浸透増強剤を均一なスプレーノズルを介し、1cm2当り均一な用量を供するよう規定の高さが構築できるように一定圧で追し出しする。
実施例14
17−β−エストラジオール計量用量経皮エアゾール
活性成分: 濃度
17−β−エストラジオール 2%w/v
不揮発性皮膚浸透増強剤:
オクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩 8%v/v
(Escalol 507, パジメートO)
揮発性液:
無水エタノール(AR) 60%v/v
揮発性噴射剤:
ジメチルエーテル 30%v/v
2.0kp /cm2(30psi)の最終製剤圧にする。
【0179】
50μlの1回のスプレーは約10cm2の面積にわたり1mgの17−β−エストラジオールを適用する。3回のスプレーを、前腕の皮膚に投与し、約30cm2にわたり30mgの用量を適用する。
実施例15
テストステロン計量用量経皮エアゾール
活性成分: 濃度
テストステロン 12%w/v
不揮発性皮膚浸透増強剤:
オクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩 8%v/v
(Escalol 507, パジメートO)
揮発性液:
無水エタノール(AR) 50%v/v
揮発性噴射剤:
ジメチルエーテル 35%v/v
2.4kp /cm2(30psi)の最終製剤圧にする。
【0180】
100 μlの1回のスプレーは約20cm2の面積にわたり約12mgの17−β−エストラジオールを適用する。9回のスプレーを、胴の所定の皮膚領域に投与し、約180 cm2にわたり108 mgの用量を適用する。
実施例16
浸透増強された鎮痛ムース
成分: 濃度
イブプロフェン 5%w/w
2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート 5%w/w
非イオン乳化剤 2.5 %w/w
エチルアルコール(95%) 32.5 %w/w
純水 50%w/w
炭化水素噴射剤 5%w/w
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】ステンレススチールフロースルー拡散セルの半分を示す模式図である。
【図2】脱皮したヘビ皮のケトプロフェンの横断拡散に対する様々な増強剤による予備処置効果を示すグラフ図である。
【図3】脱皮したヘビ皮のケトプロフェンの横断拡散に対する様々な増強剤の効果を示すグラフ図である。
【図4】脱皮したヘビ皮を横断するゲル製剤からのイブプロフェンの拡散を示すグラフ図である。
【図5】一回の計量用量局所エアゾール適用した後の家畜用離乳ブタにおけるテストステロンの血漿プロフィールを示すグラフ図である。誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図6】一回の計量用量局所エアゾール適用した後の家畜用離乳ブタにおけるエストラジオールの血漿プロフィールを示すグラフ図である。誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図7】毎日の計量投与局所エアゾール適用の6回目の後の去勢した家畜用離乳ブタ−におけるテストステロンの血漿プロフィールを示す。各点は4つの個別の値の平均を示し、そして誤差棒は平均の標準誤差を示す。示しているテストステロンレベルは基底値を差し引いたものであり、そして1回目の0h時での平均基底値(±sem)は 0.8ngml-1± 0.3ngml-1であった。
【図8】in vitroにおけるヒト皮膚及びin vitroにおける幼パイソンヘビ皮を横断する推定テストステロン仕込量を示すグラフ図である。誤差棒は平均の標準誤差を示す。
【図9】生殖機能不全男性における計量用量局所スプレーによる定常状態に至るまでの毎日1回の投与を経た推定テストステロン血漿濃度を示すグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種類の生理活性剤又はそのプロドラッグ及び少なくとも一種類の皮膚浸透増強剤を含んで成る経皮薬剤デリバリーシステムであって、前記皮膚浸透増強剤が安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記エステルが次式(I)である、請求項1に記載の薬剤デリバリーシステム:
【化1】

(式中、R1 は水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハライド、ヒドロキシ又はNR3R4 であり;
2 は長鎖アルキルであり;
3 及びR4 はそれぞれ独立して水素、低級アルキルであるか、又はR3 及びR4 はそれらが付加されている窒素原子と一緒になって5−又は6−員複素環を形成しており;
nは0又は1であり;そして
qは1又は2である)。
【請求項3】
前記エステルが長鎖アルキルパラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルシンナメート、長鎖アルキルメトキシシンナメート又は長鎖アルキルサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項1又は2記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項4】
前記エステルがオクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、オクチルパラ−メトキシシンナメート又はオクチルサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項3記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項5】
薬理配合剤、補助溶媒、界面活性剤、乳化剤、酸化防止剤、保存剤、安定化剤、希釈剤、又は2種以上の前記成分の混合物を更に含んで成る請求項1〜4のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項6】
皮膚浸透増強剤としての安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンの利用。
【請求項7】
前記エステルが請求項2記載の式(I)であることを特徴とする、請求項6記載の利用。
【請求項8】
前記エステルが長鎖アルキルパラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルシンナメート、長鎖アルキルメトキシシンナメート又は長鎖アルキルサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項6又は7記載の利用。
【請求項9】
前記エステルがオクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、オクチルパラ−メトキシシンナメート又はオクチルサクチル酸塩である、請求項6〜8のいづれか1項記載の利用。
【請求項10】
少なくとも一種類の生理活性剤又はそのプロドラッグ、少なくとも一種類の浸透増強剤及び少なくとも一種類の揮発性液を含んで成る経皮薬剤デリバリーシステムであって、前記皮膚浸透剤が安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンであることを特徴とするシステム。
【請求項11】
非閉塞式経皮薬剤デリバリーシステムであって、
(i)有効量の少なくとも一種類の生理活性剤又はそのプロドラッグ;
(ii)少なくとも一種類の不揮発性皮膚浸透増強剤;及び
(iii )少なくとも一種の揮発性液;
を含んで成り、
前記皮膚浸透増強剤は前記揮発性液が蒸発するときにヒトを含む動物の皮膚表層又は粘膜を横断して前記生理活性剤を輸送し、前記表層又は膜内において前記浸透増強剤と前記生理活性剤又はプロドラッグとの混合物のリザーバー又は貯蔵庫を形成するものであり;そして
前記皮膚浸透増強剤は動物の皮膚表層又は粘膜に対して低毒性であり、寛容されるものであることを特徴とする、システム。
【請求項12】
前記薬剤デリバリーシステムが前記生理活性剤又はプロドラッグに関して超飽和となっていないことを特徴とする、請求項11記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項13】
皮膚表層又は粘膜の領域への前記システムの適用後、その領域が乾いた感触をもちはじめることを特徴とする、請求項11又は12記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項14】
前記皮膚表層又は粘膜が適用して10分以内に乾いた感触をもちはじめることを特徴とする、請求項13記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項15】
前記皮膚表層又は粘膜が適用して3分以内に乾いた感触をもちはじめることを特徴とする、請求項13記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項16】
前記皮膚表層又は粘膜が適用して1分以内に乾いた感触をもちはじめることを特徴とする、請求項13記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項17】
前記皮膚浸透増強剤が安全な皮膚寛容エステルサンスクリーンであることを特徴とする、請求項11〜16のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項18】
前記エステルが次式(I)である、請求項17に記載の薬剤デリバリーシステム:
【化2】

(式中、R1 は水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ハライド、ヒドロキシ又はNR3R4 であり;
2 は長鎖アルキルであり;
3 及びR4 はそれぞれ独立して水素、低級アルキルであるか、又はR3 及びR4 はそれらが付加されている窒素原子と一緒になって5−又は6−員複素環を形成しており;
nは0又は1であり;そして
qは1又は2である)。
【請求項19】
前記エステルが長鎖アルキルパラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、長鎖アルキルシンナメート、長鎖アルキルメトキシシンナメート又は長鎖アルキルサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項17又は18記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項20】
前記エステルがオクチルジメチル−パラ−アミノ安息香酸塩、オクチルパラ−メトキシシンナメート又はオクチルサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項19記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項21】
前記揮発性液がエタノール又はイソプロパノールであることを特徴とする、請求項11〜20のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項22】
前記生理活性剤がステロイド、ホルモン誘導体、非ステロイド抗炎症薬、オピオイド鎮痛薬、制吐薬、抗エストロゲン、アロマダゼインヒビター、5′−アルファーリダクターゼインヒビター、抗不安薬、プロスタグランジン、抗ウィルス薬、抗片頭痛化合物、抗高血圧剤、抗マラリア化合物、気管支拡張剤、抗うつ病薬、抗アルツハイマー剤、神経弛緩薬及び抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、抗アンドロゲン又は食欲不振薬であることを特徴とする請求項11〜21のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項23】
前記生理活性剤がテストステロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、プロゲステロン、フルシステロンアセテート、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、フェンタニル、ブプレノルフィン、スコポラミン、プロクロロベラジン、メトクロピラミド、オンダセトロン、タモキシフェン、エピチオスタノール、エキセメスタン、4−ヒドロキシ−アンドロステンジオン及びその誘導体、フィナステリド、シロステリド、LY 191704, MK-306 、アルプラゾラム、アルプロスタジル、プロスタサイクリン及びその誘導体、メラトニン、n−ドコサノール、トロマンタジン、アシロクロビルの親油性プロドラッグが、低分子量ヘパリン、エノキサパリン、スマトリブタン、アムロジピン、ニトレンジピン、プリマキン、ミノキシジル、ミノキシジルプロドラッグ、ピロカルビン、カルブタモール、テルブタリン、サルメテロール、イボガイン、ブプロピアン、ロリプラム、タクリン、フルフェナジン、ハロペリドール、N−0923、シプロテロンアセテート又はマジンドールであることを特徴とする、請求項11〜22のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項24】
前記システムをスプレーとして、エアゾールにより皮膚表層又は粘膜に適用する、請求項11〜23のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項25】
前記エアゾールが固定化又は可変式計量用量エアゾールであることを特徴とする、請求項24記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項26】
薬理配合剤、補助溶媒、界面活性剤、乳化剤、酸化防止剤、保存剤、安定化剤、希釈剤、又は2種以上の前記成分の混合物を更に含んで成る請求項11〜25のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステム。
【請求項27】
動物に少なくとも一種類の全身又は局所作用性生理活性剤又はそのプロドラッグを投与するための方法であって、前記動物の皮膚表層又は粘膜に請求項1〜5及び10〜26のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステムの形態において有効な量の前記生理活性剤を適用することを含んで成る方法。
【請求項28】
動物の病気又は症状を処置又は予防するための方法であって、かかる処置を必要とする前記動物の皮膚表層又は粘膜に治療的に有効な量の請求項1〜5及び10〜26のいづれか1項記載の薬剤デリバリーシステムを投与することを含んで成る方法。
【請求項29】
前記病気又は症状がテストステロン欠乏性生殖機能不全男性における男性ホルモン代替、閉経後の女性のための女性ホルモン代替、性欲を欠く女性のためのアンドロゲン代替治療、男性避妊、女性避妊を必要とするものである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記病気又は症状が、軟質組織損傷、麻酔薬除去、重篤な術後痛、乗物酔い、エストロゲン依存性乳癌、前立腺肥大及び/又は前立腺癌、脱毛症及びアクネ、不安障害、男性インポテンス、Raynandsシンドローム及び静脈癌、睡眠障害、時差ぼけ、ヘルペスウィルス感染症、深遠静脈血栓、片頭痛、高血圧、マラリア、嚢胞性線維症の診断、ぜん息又は夜行性ぜん息である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記動物がヒトであることを特徴とする、請求項27〜30のいづれか1項記載の方法。
【請求項32】
動物の皮膚表層又は粘膜にエアゾール又はスプレー組成物をコントロール適用するための装置であって、この装置のアクチュエーターノズルを受容するシュラウドを含んで成り、このシュラウドが適用を意図する箇所に設置されると、当該シュラウドはアクチュエーターノズルが適用箇所の所定の高さの位置にくるようにするものである、装置。
【請求項33】
前記シュラウドがアクチュエーターノズルを適用箇所に対して実質的に垂直となるように保つことを特徴とする、請求項32記載の装置。
【請求項34】
前記シュラウドが、前記アクチュエーターノズルにより組成物を適用箇所に適用したときにはね返りを防ぐ又は制約することを特徴とする、請求項32又は33記載の装置。
【請求項35】
前記シュラウドが、それにより規定される容積内で、前記アクチュエーターノズルから組成物を適用箇所に適用するとき、当該アクチュエーターノズル由来のスプレーを含んでいる、請求項32〜34のいづれか1項記載の装置。
【請求項36】
前記シュラウドにより規定される適用領域が実質的に円形であることを特徴とする、請求項32〜35のいづれか1項記載の装置。
【請求項37】
動物の皮膚表層又は粘膜に対するエアゾール又はスプレー組成物のコントロール適用のための装置であって、請求項32〜36のいづれか1項記載のエアゾール又はスプレー装置とシュラウドとの組合せを含んで成る装置。
【請求項38】
前記薬剤デリバリーシステムが請求項32〜37のいづれか1項記載の装置により適用される、請求項27〜31のいづれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−326867(P2007−326867A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185782(P2007−185782)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【分割の表示】特願平9−528834の分割
【原出願日】平成9年2月19日(1997.2.19)
【出願人】(507241322)アクラックス ディーディーエス プロプライアタリー リミティド (1)
【Fターム(参考)】