説明

皮膚用化粧品組成物

適用した時に皮膚に独自の色及び反射率の変化を付与する、金色の微粒子と銀色の微粒子とを含む局所適用組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に適用するための局所適用組成物に関する。より具体的には、金色及び銀色の微粒子物質を含む局所適用組成物が提供される。本発明の局所適用組成物は、増大された皮膚の色調及び輝きを、卓越した皮膚適用及び保湿と共に提供する。
【背景技術】
【0002】
局所適用組成物は周知であり広く使用されている。これらの組成物は、皮膚の洗浄及び保湿、活性物質の放出、欠点を隠すこと及び皮脂に関連したべたつき/光沢の低減のために古くから用いられてきた。局所適用組成物は、皮膚の色及び外観を変えるためにも使用されてきた。
【0003】
これらの組成物には一般に、皮膚の光沢又は赤みを低減させるため、及びしわのような皮膚の欠点を隠すために、有機又は無機の微粒子物質を組み込む。例えば、エマルションは該エマルションに白色の外観を提供するための不透明化剤としてTiO2を含有してもよい。数件の出版物も、局所適用組成物へのTiO2の使用を開示している。例えば、米国特許第5,223,559号及びJP08188723参照。さらに、R.エマート(Emmert)は、消費者に即時の視覚的改善を与える製品を処方するために光学的手段の使用が所望されると述べている(ラルフ・エマート博士(Dr.Ralf Emmert)、ソフトフォーカス効果の定量化(Quantification of the Soft-Focus Effect)、化粧品及びトイレタリーズ(Cosmetics & Toiletries)、第111巻、1996年7月、57〜61頁)。エマート(Emmert)は、TiO2のような反射物質で皮膚の小じわを機械的に埋めることができることを開示している。しかし、エマート(Emmert)は、このような反射物質は望ましくない仮面様の外観を生じること、及びしたがって仮面様の外観を防止するためには光を拡散するが十分に透明である物質を使用すべきであることを教示している。
【0004】
反射物質を含有する従前の局所適用組成物は、皮膚に適用した時に不自然な外観を生じる傾向がある。PCT国際公開特許WO00/51551は、皮膚の赤み部分を相殺するための局所適用組成物への低濃度の緑色干渉顔料の使用を教示しているが、米国特許第5,972,359号は、少なくとも2の屈折率及び100nm〜300nmの一次粒径を有する微粒子物質が、皮膚の視覚的及び/又は触覚的不連続性を調整するために局所適用組成物に有用であることを教示している。PCT国際公開特許WO00/51551に開示されている緑色干渉顔料は、すべての皮膚の種類に適すとは限らない組成物を生じる。PCT国際公開特許WO00/51551に開示されている微粒子は、皮膚の欠点の出現を低減させることにおいて非常に有効であるが、その中に組み込まれた微粒子物質の形状及び高屈折率が、つやがなく、白色及び灰色に見える皮膚を生じる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特異なレベルの光反射率及び色変化を提供し、あらゆる皮膚の種類にわたって光沢を増大させるように選択されたレベル及びブレンドの金色及び銀色の微粒子を含む局所適用組成物を提供することが望ましい。さらに、相乗的に作用して皮膚のつや並びに光沢を最大にする微粒子及び慢性のきめ調整剤の両方を含む局所適用組成物を提供することが望ましい。しわのようないかなる不連続性も滑らかにするため、慢性のきめ調整剤を包含することが望ましい。しわの出現を有効に低減すると同時に皮膚の保湿を提供する局所適用組成物を適用することはさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
金色の微粒子と銀色の微粒子とを含む局所適用組成物が提供され、その際該組成物は、インビボで2μl/cm2の局所適用の15分後に鏡面から15°で測定した時に、約200未満の反射率及び約4未満のデルタEを有する。本発明の局所適用組成物は、適用した時に、皮膚の自然な色調と調和し該色調を強調する十分にバランスのとれた光沢及び色を提供する。さらに、金色及び銀色の微粒子並びに長期的な皮膚のきめ調整剤を含む局所適用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書のすべての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して25℃で測定される。
指示がない限り、本明細書で言及される組成物のすべてのパーセンテージは重量%であり、すべての比率は重量比である。
指示がない限り、分子量は全て、重量平均分子量である。
指示がない限り、本文内で参照されるすべての文献の内容は、そのすべてを本明細書に参考として組み込む。
実際に測定した値の特定の例を提示する場合を除いて、本明細書で言及する数値は、「約」という言葉が付与されていると考えるべきである。
【0008】
本明細書で、「金色の微粒子」は、金色の光を反射する微粒子物質を含む。
【0009】
本明細書で、「銀色の微粒子」は、銀色の光を反射する微粒子物質を含む。
【0010】
本明細書における有用な活性物質及び他の構成成分は、審美的及び/若しくは治療上の効果から、又はそれらが持っている作用様式によって分類される又は本明細書に記載される場合がある。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては1つを超える審美的及び/若しくは治療上の効果をもたらすこと、又は1つを超える作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のものであって、構成成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0011】
本発明の局所適用組成物は、金色の微粒子と銀色の微粒子とを含む。これらの微粒子は、皮膚に適用された時に消費者によく受け入れられる光反射率及び色変化を提供するレベル及びブレンドで存在する。本発明の組成物は局所適用に有用であり、及び局所適用後に本質的に即時の(即ち鋭敏な)皮膚外観の改善を適用するのに有用である。理論に束縛されるものではないが、この鋭敏な改善は、少なくとも部分的に、微粒子物質によって皮膚を不自然に白色化することなく皮膚からの光の反射率が即時に増大した結果生じると考えられている。光反射率と色変化(デルタE値)の組み合わせは、適用時に非常に良好な急性効果を有する組成物、即ち反射光による良好な皮膚の光沢を、皮膚が不自然に又は脂っぽく見えることなく生じる組成物を作る。
【0012】
本明細書において、反射率及びデルタEは、ヒトの皮膚上のインビボの全組成物で、産業界で標準的な反射光及び色の分析装置であるX−ライト(Rite)MA68 II、5アングル分光光度計を用いて測定される。分光光度計の入射光源は、表面に対して45°であり、鏡面から15°、25°、45°、75°及び110°離れた点で反射光を分析する。正確なデータを提供するには、少なくとも25名の基本サイズが必要である。使用前に、装置と共に供給された白色及び黒色標準を使用して計器を較正すべきである。
【0013】
皮膚は垂直から45°で入射光によって照らされる。光源は、10°標準観測者でD65光源である。皮膚は、基準線測定値を提供するために製品なしで読み取られる。続いて、前腕に刺青のような刻印がない素肌に、直径12mmの円である計器の捕獲口より大きいことを必要とする面積に、2μl/cm2の用量にて適用される。2cm×2cm平方(4cm2)の面積が十分である。製品は、平坦な被膜状に適用され、吸収されるまで(30秒)擦り込まれるべきである。その後、製品を皮膚上で15分間放置して乾燥させる。製品中のいくらかの物質が初期に反射率及びデルタEを増強するが、その後皮膚に吸収され、よりつやのない仕上げを生じる場合があることから、インビボでの皮膚への適用が必要である。製品による変化に関する情報を提供するため、基準線測定値を各被験者の適用前読み取り値から減算する。データは、X−ライト(Rite)と共に供給されるQAマスター(Master)2000を使用して分析できる。
【0014】
装置は、全可視領域の400〜700nmにわたって(帯域幅10nmで測定)、5角度毎に反射率の測定値を(入射光の百分率として)提供する。反射率を角度の関数として得るため、各帯域幅で反射率を合計し、その後各角度の基準線測定値を減算して反射率の変化を与える。認識されるように、非常につやのない物質では、これらの物質が実際には反射光の量を低減することから、この数は負の場合がある。本明細書で、「反射率」とは、インビボで2μl/cm2の局所適用の15分後の、鏡面から15°での素肌の基準線測定値に対する反射光の増大を意味する。
【0015】
装置は、3D色座標測定値(L、a及びb)も角度の関数として提供する。続いて、次の式を使用してデルタE値を計算する:
【0016】
【数1】

式中、L、a及びbは皮膚上の組成物の3D色座標測定値であり、L*、a*及びb*は素肌の3D色座標測定値である。本明細書で、デルタE値は、インビボで2μl/cm2の局所適用の15分後の、鏡面から15°での3D色座標測定値の変化として捉えられる。
【0017】
本明細書の局所適用組成物は、金色及び銀色の微粒子物質の局所適用によって生じる本質的に即時の(鋭敏な)皮膚外観の視覚的改善を提供する。理論に束縛されるものではないが、この鋭敏な皮膚外観改善は、少なくとも一部には、皮膚からの金色及び銀色の光の反射によって生じると考えられている。
【0018】
本明細書の局所適用組成物は、約200未満、好ましくは約10〜約200、より好ましくは約20〜約100、さらにより好ましくは約25〜約60の反射率を有する。これらのレベルの反射率は、輝きすぎず、つやがなさすぎもしないレベルの反射光を提供する。反射率値が200を超える組成物は、皮膚を脂っぽく又は不自然に見せると認識されている。反射率値が低すぎる(即ち10未満の)組成物は、本発明の局所適用組成物に有益な鋭敏な皮膚光輝効果を提供しない。
【0019】
さらに、本明細書の局所適用組成物は、約4未満、好ましくは約1〜約3.5、より好ましくは約2.0〜約3.0のデルタE値を有する。驚くべきことに、ヒトの皮膚でこれらのレベルの色変化を有する製品は、すべての種類の皮膚に健康な外観を生じる皮膚の色調及び色の限られた変化を提供することが見出された。さらに該色変化は、皮膚を不自然な色に又は白色化して見せることなく、皮膚の外観に関して卓越した急性効果を提供する。この白色化は「青白い」又は灰色に見える、より暗い皮膚の種類を生じうる。この反射率とデルタEとの特異的な組み合わせを有する組成物は、あらゆる皮膚の種類にわたって卓越した皮膚光輝効果を提供する。
【0020】
ここで図を参照すると、図1及び2で、本発明の組成物は、皮膚の反射率及びデルタE値の組み合わせを、比較組成物では不可能なレベルまで明らかに増大することをはっきりと見ることができる。比較組成物は市販の組成物であり、予想される成分の一覧と共に以下に列挙される。
【0021】
比較例I:ワセリン(Vaseline)(商標)乾燥肌集中ケア・ハンド・アンド・ボディローション(Intensive Care Dry Skin Hand and Body Lotion)(バッチNo.07142J00)
比較例II:金色及び銀色微粒子を含まない実施例1の組成物(追加の水を添加);
比較例III:ニベア(Nivea)(商標)シルキー・シマー・ローション(Silky Shimmer Lotion)(バッチNo.13111051)
比較例IV:エレン・ベトリックス(Ellen Betrix)(商標)パーフェクトアイシャドウ(Perfect Eye Shadow)、パールベージュ(Pearl Biege)(バッチNo.8A1)
【0022】
特に興味深いのは、本発明の実施例といずれもいかなる微粒子も含有しない比較例I及びIIとの間の比較である。比較例I及びIIは皮膚の反射率を大幅に増大せず、それどころか比較例Iでは実際には皮膚のつやをなくし、反射率の低下を生じることをはっきりと見ることができる。その正反対にあるのが実施例III及びIVで、これらは皮膚に高すぎる反射率及び色変化を付与する。これらの組成物は一般に、消費者が嫌うと思われる不自然な光沢を皮膚に付与する。
【0023】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、きめ調整剤を使用して皮膚のきめを平滑にすることによる皮膚外観の長期的(慢性の)改善の提供にも有用である。理論に束縛されるものではないが、急性及び慢性の皮膚効果の組み合わせは相乗的に作用して皮膚の平滑度、色調及び色の増大を提供すると考えられている。
【0024】
本発明の局所適用組成物は、金色の微粒子と銀色の微粒子とを含む。金色の微粒子は、金色のフレーク、複合材料、被覆ガラス、被覆雲母、及びこれらの混合物のような金色を反射する微粒子物質を含む。銀色の微粒子は、銀色のフレーク、複合材料、被覆ガラス、被覆雲母、及びこれらの混合物のような銀色を反射する微粒子物質を含む。好ましくは、本発明で有用な金色の微粒子及び銀色の微粒子は、その上に少なくとも1つの干渉層を有する基材を含む。干渉層は、好ましくはTiO2、SnO又はこれらの混合物を含む。好ましくは、金色の微粒子及び銀色の微粒子は血小板形の基材を含む。基材は、雲母、ガラスのフレーク、BaSO4、SiO2、合成セラミック又はこれらの混合物、好ましくは雲母を含む。
【0025】
好ましくは、金色の微粒子及び銀色の微粒子は、組成物中に分散される。理論に束縛されるものではないが、これらの微粒子物質を含む組成物は、皮膚から金色/銀色の光の卓越した反射を提供すると考えられている。異なる色を反射する微粒子の使用は、すべての皮膚民族性で受け入れられ、皮膚に健康な外観を提供する皮膚への着色の提供において有効性がより低いことが見出された。
【0026】
本発明の局所適用組成物は、好ましくは約0.1%〜約5%の金色の微粒子と、約0.1%〜約5%の銀色の微粒子とを含む。より好ましくは、局所適用組成物は約0.2%〜約2.5%の金色の微粒子と約0.2%〜約2.5%の銀色の微粒子とを含み、さらにより好ましくは約0.2%〜約0.5%の金色の微粒子と約0.2%〜約0.5%の銀色の微粒子とを含む。好ましくは、金色の微粒子と銀色の微粒子の比は約5:1〜約1:5、より好ましくは約2:1〜約1:3、さらにより好ましくは約1:1〜約1:2である。これらのレベル及び比の金色の微粒子及び銀色の微粒子を局所適用組成物に組み込むことで、皮膚の欠点の即時の隠蔽を提供し、同時に自然な光沢及び消費者に快い皮膚の色調の増大を付与する適切な反射率及びデルタE値を有する組成物が提供されることが見出された。
【0027】
反射光の色は、基材を覆う干渉層の厚さに依存して変動する。本発明で使用される金色の微粒子は、好ましくは干渉層の厚さが約60nm〜約80nmである微粒子物質を含む。本発明で使用される銀色の微粒子は、好ましくは干渉層の厚さが約40nm〜約59nmである微粒子物質を含む。
【0028】
好ましくは、本明細書の金色の微粒子及び銀色の微粒子は約5μmm〜約75μm、より好ましくは約15μm〜約70μmの直径を有する。本明細書で、「直径」は、微粒子物質の長軸の両端の最大距離を意味する。直径は、ASTM規格E20−85「0.2〜75μmの範囲の粒子物質の光学顕微鏡による粒度分析のための標準実施法(Standard Practice for Particulate Size Analysis of Particulate Substances in the Range of 0.2 to 75 Micrometers by Optical Microscopy)」、ASTM、第14.02巻、1993年のような当該技術分野で既知のいかなる好適な方法によっても測定することができる。本明細書に用いるのに好適な金色の微粒子の非限定例としては、エカート(Eckart)が供給するプレスティージ・ゴールド(Prestige Gold)及びブライト・ゴールド(Bright Gold)、エンゲルハード・コーポレーション(Engelhard Corporation)が供給するフラメンコ・スーパー・ゴールド(Flamenco Super Gold)、サミット・ゴールド(Summit Gold)並びにメルク(Merck)が供給するチミロン・スーパー・ゴールド(Timiron Super Gold)及びシルク・ゴールド(Silk Gold)が挙げられる。本明細書に用いるのに好適な銀色の微粒子の非限定例としては、エカート(Eckart)が供給するプレスティージ・ブライト・シルバー(Prestige Bright Silver)及びブライト・シルバー・スター(Bright Silver Star)、エンゲルハード(Engelhard)が供給するフラメンコ・スーパー・シルバー(Flamenco Super Silver)、並びにメルク(Merck)が供給するチミロン・スーパー・シルバー(Timiron Super Silver)が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物はさらに、皮膚のきめ調整剤を含んでもよい。皮膚のきめ調整剤は、組成物の約0.1重量%〜約12重量%、好ましくは約0.25重量%〜約7重量%、より好ましくは約2重量%〜約6重量%で含まれる。本明細書で有用な皮膚のきめ調整剤は、ビタミンB3化合物、パンテノール及びその誘導体、レチノイド類及びそれらの誘導体、湿潤剤、アミノ酸類及びそれらの誘導体、ビタミンC及びその誘導体及びこれらの混合物を含む。皮膚のきめ調整剤は、皮膚への組成物の複数回の局所適用の後に皮膚外観又は状態の視覚的改善を提供するために有用である。「慢性」効果は、皮膚のきめを平坦にし、そうして落屑、角質溶解及び若返り効果並びに/又は保湿を提供することによって皮膚の輝きを増大することから、特に望ましい。組成物は、皮膚の白色化又は過度の光沢のような容認できない皮膚外観を付与することなく、長期的な視覚的効果を即時の皮膚外観の改善と共に提供する。
【0030】
本発明に記載の皮膚のきめ調整剤の一部類は、ビタミンB3化合物を包含する。本明細書で使用する時、「ビタミンB3化合物」は、次の式を有する化合物を包含する。
【0031】
【化1】

式中、Rは、−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、−COOH(即ち、ニコチン酸)、又は−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール);これらの誘導体;及び前記のいずれかの塩である。前出のビタミンB3化合物の代表的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド、及びニコチン酸アミドN−オキシドを含む、ニコチン酸エステル類が挙げられる。
【0032】
好適なニコチン酸のエステル類としては、C1〜C22、好ましくはC1〜C16、より好ましくはC1〜6アルコール類のニコチン酸エステル類が挙げられる。アルコール類は、好適には直鎖又は分枝鎖、環式又は非環式、飽和又は不飽和(芳香族を包含する)、及び置換又は非置換である。エステル類は好ましくは非血管拡張性である。本明細書で使用する時、「非血管拡張性」は、該エステルが皮膚への適用後に試験組成物内で目に見える紅潮反応を一般に生じないことを意味する(このような化合物は裸眼で認識できない血管拡張を生じる場合があるが、一般母集団の大多数は目に見える紅潮反応を示さない)。非血管拡張性のニコチン酸のエステルとしては、ニコチン酸トコフェロール及びヘキサニコチン酸イノシトールが挙げられ、ニコチン酸トコフェロールが好ましい。ビタミンB3化合物は、好ましくは約0.1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の量で使用される。
【0033】
本発明に記載の皮膚のきめ調整剤のさらなる部類は、パンテノール又はその誘導体を含む。パンテノール及びその誘導体としては、d−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、DL−パンテノール、パントテン酸カルシウム、ローヤルゼリー、パンテチン(panthetine)、パントテチン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン、パントイルラクトース及びビタミンB複合体が挙げられる。本発明の組成物は、得られる組成物が安全であり及び皮膚のきめを調整するのに有効であるような、安全且つ有効な量のパンテノールを含有してもよい。パンテノール誘導体は、好ましくは約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.2%〜約3%の量で使用される。
【0034】
本明細書で有用な皮膚のきめ調整剤のさらなる部類は、レチノイド類を含む。本発明で使用する時、「レチノイド」は、皮膚内でビタミンAの生物活性を有する、ビタミンA又はレチナール様化合物のすべての天然及び/又は合成類縁体、並びにこれらの化合物の幾何異性体及び立体異性体を包含する。レチノイドは、好ましくは、レチノールエステル類(例えば、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、レチニルプロプリオネート等を包含するレチノールのC2〜C22アルキルエステル類)、レチナール、及び/又はレチノイン酸(全トランスレチノイン酸及び/又は13−シス−レチノイン酸を包含する)を包含するレチナール、より好ましくはレチノイン酸以外のレチノイド類である。これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、複数の供給元、例えば、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス)、及びベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)(インディアナ州インディアナポリス)より市販されている。本明細書において有用なその他のレチノイドは、米国特許第4,677,120号(パリッシュ(Parish)ら、1987年6月30日発行);米国特許第4,885,311号(パリッシュ(Parish)ら、1989年12月5日発行);米国特許第5,049,584号(パーセル(Purcell)ら、1991年9月17日発行);米国特許第5,124,356号(パーセル(Purcell)ら、1992年6月23日発行);及び米国再発行特許34,075号(パーセル(Purcell)ら、1992年9月22日発行)に記載されている。その他の好適なレチノイドは、トコフェリルレチノエート[レチノイン酸(トランス−又はシス−)のトコフェロールエステル]、アダパレン{6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフト工酸}、及びタザロテン(エチル−6−[2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル]ニコチネート)である。1以上のレチノイド類を本明細書で使用してもよい。好ましいレチノイド類は、レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、レチニルプロプリオネート、レチナール及びこれらの組み合わせである。より好ましいのは、レチノール及びパルミチン酸レチニルである。
【0035】
レチノイドは、実質的に純粋な物質として、あるいは好適な物理的及び/又は化学的単離によって天然(例えば、植物)資源から得られた抽出物として包含されてもよい。レチノイドは、好ましくは実質的に純粋なもの、さらに好ましくは本質的に純粋なものである。
【0036】
本発明の組成物は、得られる組成物が安全であり及び皮膚のきめを調整するのに有効であるような、安全且つ有効な量のレチノイドを含有してもよい。組成物は、好ましくは約0.005%〜約2%、さらに好ましくは0.01%〜約2%のレチノイドを含有する。レチノールは、好ましくは0.01%又は約0.01%〜約0.15%の量で用いられ、レチノールエステル類は、最も好ましくは0.01%又は約0.01%〜約2%の量で用いられ、レチノイン酸は、最も好ましくは約0.01%〜約0.25%の量で用いられ、トコフェリルレチノエート[レチノイン酸のトコフェロールエステル(トランス又はシス)、アダパレン{6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフトエ酸}、及びタザロテンは、より好ましくは約0.01%〜約2%の量で用いられる。
【0037】
本発明に記載の皮膚のきめ調整剤のさらなる部類は、湿潤剤を含む。本明細書で有用な好適な湿潤剤としては、多価アルコール類、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム(NaPCA)、アミノ酸及び誘導体、グアニジン;グリコール酸及びグリコ−ル酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び四級アルキルアンモニウム);リンゴ酸のようなその他のαヒドロキシ酸、種々の形態のアロエベラ(例えば、アロエベラゲル);ヒアルロン酸、その前駆体及び誘導体(例えば、グルコサミン及びヒアルロン酸ナトリウムのような塩誘導体);ラクタミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;尿素;及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物への使用に好ましいのは、多価アルコール類である。
【0038】
本明細書に用いるのに好適な多価アルコール類としては、ポリアルキレングリコール類、より好ましくはアルキレンポリオール類及びその誘導体、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリスリトール、トレイトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール)、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エトキシル化グリセリン及びプロポキシル化グリセリンが挙げられる。本発明の好ましい多価アルコール類は、分子内に3〜9個の炭素原子を有する多価アルコールである。例としては、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン及びプロポキシル化グリセリン、並びにこれらの混合物が挙げられる。本発明に使用するのにより好ましいのはグリセリンである。本発明の組成物は、組成物の約5重量%〜約40重量%、好ましくは約8重量%〜約15重量%の多価アルコール類を含む。
【0039】
湿潤剤のさらなる部類は、アミノ酸類及びそれらの誘導体である。本明細書に用いるのに好適なアミノ酸類としては、天然アミノ酸のD−及びL−異性体の両方が挙げられる。好適な例としては、セリン、アラニン、プロリン及びヒドロキシプロリンのl−異性体が挙げられる。
【0040】
本発明の局所適用組成物は、増粘剤をさらに含んでもよい。本発明の局所適用組成物は、好ましくは組成物の約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約2重量%の増粘剤を含む。
【0041】
好適な増粘剤としては、セルロース及び誘導体、例えばセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、セルロース硫酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書においてまた有用なものは、アルキル置換セルロースである。これらのポリマーでは、セルロースポリマーのヒドロキシ基は、ヒドロキシアルキル化(好ましくは、ヒドロキシエチル化又はヒドロキシプロピル化)され、ヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、次いでエーテル結合を通じてC10〜C30直鎖又は分枝鎖アルキル基によってさらに修飾される。典型的には、これらのポリマーは、C10〜C30直鎖又は分枝鎖アルコールとヒドロキシアルキルセルロースとのエーテルである。本明細書で有用なアルキル基の例としては、ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(即ち、ココヤシ油のアルコールに由来するアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、ベヘニル、及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中でも好ましいのは、CTFA表記セチルヒドロキシエチルセルロースの物質であり、これはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースとのエーテルである。この物質は、アクアロン社(Aqualon Corporation)から、商品名ナトロゾル(Natrosol)(商標)CSプラス(Plus)として販売されている。
【0042】
その他の有用な増粘剤としては、アカシア、寒天、アルギン、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カラギーナンカルシウム、カルニチン、カラギーナン、デキストリン、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウム、ヘクトライト、ヒアルロン酸、水酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルグアー、カラヤゴム、ケルプ、イナゴマメゴム、納豆ゴム、アルギン酸カリウム、カラギーナンカリウム、アルギン酸プロピレングリコール、スクレロチウムゴム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、カラギーナンナトリウム、トラガカントゴム、キサンタンガム、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質が挙げられる。アクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー類、及びB.F.グッドリッチ社(Goodrich Company)によってカーボポール(Carbopol)樹脂の商標で販売されているカルボキシビニルポリマー類も有用である。好適なカーボポール(Carbopol)樹脂は、PCT国際公開特許WO98/22085に記載されている。
【0043】
本発明の好ましい組成物は、カルボン酸ポリマー類、架橋ポリアクリレート類、ポリアクリルアミド類、キサンタンガム及びこれらの混合物から選択される、より好ましくはポリアクリルアミドポリマー類、キサンタンガム及びこれらの混合物から選択される、増粘剤を含む。好ましいポリアクリルアミド類は、ポリアクリルアミドの水分散性の促進を助ける界面活性剤(HLB約7〜約10)を含有する鉱油等のような水不混和性溶剤にあらかじめ分散される。本明細書に用いるのに同じく有用なのは、CTFA表記による非イオン性ポリマー:ポリアクリルアミド及びイソパラフィン並びにラウレス−7(商品名セピゲル(Sepigel)305としてセピック社(Seppic Corporation)より入手可能)である。本明細書に用いるのにより有用なのは、BASF社よりルビゲル(Luvigel)EM(商標)の商品名で市販されているコポリマー組成物及びチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(CIBA Speciality Chemicals)(英国マックルズフィールド)よりサルケア(Salcare)SC91(商標)の商品名で入手可能なコポリマー組成物である。
【0044】
本明細書の局所適用組成物は、好ましくは油中水型又は水中油型エマルションの形態である。好ましくは、本明細書の局所適用組成物は油中水型エマルションであって、その際該組成物が水性連続相に1つ以上の油相を含み、各油相が単一の油性構成成分又は混和性若しくは均質な形態の油性構成成分混合物を含むエマルションである。異なる油相は、互いに異なる物質、又は異なる物質の組み合わせを含有する。本発明の組成物における油相構成成分の総濃度は、典型的には約0.1%〜約60%、好ましくは約1%〜約30%、より好ましくは約3%〜約20%、最も好ましくは約5%〜約15%である。
【0045】
好ましい実施形態において、油相は好ましくは鉱油、植物油、動物油、脂肪及びろう、脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール類、脂肪酸及びこれらの混合物から選択される天然又は合成油のような油性構成成分を含む。本明細書に用いるのに好ましいのは、例えば、ベヘニルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコールのような飽和及び不飽和の脂肪族アルコール、及び鉱油又はペトロラタムのような炭化水素である。
【0046】
本組成物は、さらにシリコーン相を含んでもよい。シリコーン相は、シリコーン流体、ガム、及びこれらの混合物のようなシリコーン構成成分を1つ以上含むことができる。該シリコーン相、又は各シリコーン相は、一般に、組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.2%〜約10%、さらに好ましくは約0.3%〜約5%で含まれる。
【0047】
シリコーン構成成分は、直鎖、分枝状及び環状シリコーンを包含する流体であることができる。本発明に有用な好適なシリコーン流体としては、ポリアルキルシロキサン流体、ポリアリールシロキサン流体、環状及び線状ポリアルキルシロキサンを包含するシリコーン、ポリアルコキシル化シリコーン、アミノ及び第四級アンモニウム修飾シリコーン、ポリアルキルアリールシロキサン又はポリエーテルシロキサンコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。シリコーン流体は、揮発性又は不揮発性であることができる。
【0048】
本発明に用いることができる好適なポリジメチルシロキサンとしては、例えば、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)よりSF及びビスカシル(Viscasil)(商標)シリーズとして、及びダウ・コーニング(Dow Corning)よりダウ・コーニング(Dow Corning)200(登録商標)シリーズとして入手可能なものが挙げられる。また、本質的に不揮発性ポリアルキルアリールシロキサン、例えば、粘度が25°Cで約0.65〜30,000mm2.s-1であるポリメチルフェニルシロキサンも有用である。これらのシロキサンは、例えば、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)よりSF1075メチルフェニル流体(methyl phenyl fluid)として、又はダウ・コーニング社(Dow Corning)より556コスメチック・グレード流体(Cosmetic Grade Fluid)として市販されている。本発明に用いるのに好適な環状ポリジメチルシロキサンは、約3〜約7個の(CH32SiO部分を組み込んだ環状構造を有するものである。
【0049】
本明細書でシリコーン油相に使用するのに好適な別の部類のシリコーン構成成分としては、ポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。ポリエーテルシロキサンコポリマーの例としては、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサンセグメントと少なくとも1つのポリオキシアルキレンセグメントとを含有するポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンコポリマーが挙げられる。
【0050】
シリコーン構成成分は、シリコーンガムも含むことができる。本明細書で「シリコーンガム」という用語は、重量平均分子量が約200,000を超える、好ましくは約200,000〜約4,000,000の高分子量シリコーンを包含する。非揮発性ポリアルキル及びポリアリールシロキサンガムが包含される。好ましい実施形態では、シリコーン油相は、シリコーンガム、又はシリコーンガムを包含するシリコーンの混合物を含む。
【0051】
本明細書で有用なのは、シリコーン/ガム流体ブレンドである。本明細書の組成物中に用いるのに好ましいシリコーンガム流体ブレンドベースの構成成分は、分子量が約200,000〜約4,000,000であるジメチコノールガム、並びに粘度が約0.65〜100mm2.s-1のシリコーン流体キャリアである。このシリコーン構成成分の例は、ダウ・コーニング(Dow Corning)から入手可能なダウ・コーニング(Dow Corning)Q2−1503(85% 5mm2.s-1ジメチコン流体/15% ジメチコノール)及びダウ・コーニング(Dow Corning)Q2−1501である。
【0052】
本発明の局所適用組成物は好ましくは、重量平均分子量が約100〜約15,000、好ましくは約100〜1000である分枝鎖炭化水素を包含する皮膚軟化剤物質;式Iの化合物:
【0053】
【化2】

式中、R1は−H又は−CH3から選択され、R2、R3及びR4はC1〜C20直鎖又は分枝鎖アルキルから独立して選択され、xは1〜20の整数である;及び式(II)を有する化合物:
【0054】
【化3】

式中、R5は任意にヒドロキシ基又はC1〜C4アルキル置換ベンジル基から選択され、R6はC1〜C20の分枝鎖又は直鎖アルキルから選択される;及びこれらの混合物を含む。
【0055】
本明細書に用いるのに好適な分枝鎖炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタヘキサコンタン、イソヘキサペンタコンタヘクタン、イソペンタコンタオクタクタン、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なのは、パーメチル(Permethyl)(商標)の商品名で販売され、プレスパース社(Presperse Inc.)(米国ニュージャージー州サウスプレインフィールド(P.O.Box 735,South Plainfield,N.J.07080,U.S.A.))より市販されている分枝鎖脂肪族炭化水素である。上記の式Iの好適なエステル皮膚軟化剤としては、メチルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソステアリルネオペンタノエート、イソノニルイソノナノエート、イソデシルオクタノエート、イソデシルイソノナノエート、トリデシルイソノナノエート、ミリスチルオクタノエート、オクチルペラルゴネート、オクチルイソノナノエート、ミリスチルミリステート、ミリスチルネオペンタノエート、ミリスチルオクタノエート、ミリスチルプロピオネート、イソプロピルミリステート、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。上記の式(II)の好適なエステル皮膚軟化剤物質としては、C12〜15のアルキルベンゾエートが挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
本明細書に用いるのに好ましい皮膚軟化剤は、イソヘキサデカン、イソノニルイソノナノエート、メチルイソノナノエート、イソプロピルイソステアレート、及びこれらの混合物である。本発明の組成物に用いるのに好適なさらなる軟化剤は、ペトロラタムである。
皮膚軟化剤物質は、好ましくは約0.1%〜約10%の濃度で組成物中に存在する。
【0057】
本明細書の組成物は、一般に連続相内の不連続相の分散及び懸濁を助けるために、乳化剤及び/又は界面活性剤を含んでもよい。便宜上、以下では乳化剤は用語『界面活性剤類』で表され、したがって『界面活性剤(類)』は、乳化剤として使用されるか又は皮膚洗浄のようなその他の界面活性剤の目的で使用されるかにかかわらず界面活性剤を指すために使用される。選択された界面活性剤が、化学的及び物理的に組成物の必須成分との適合性があり、望ましい特性を提供するという条件で、既知の又は従来の界面活性剤を組成物に使用することができる。
【0058】
本発明の組成物は、好ましくは、約0.05%〜約15%の界面活性剤又は界面活性剤混合物を含む。選ばれる正確な界面活性剤又は界面活性剤混合物は、組成物のpH及び存在するその他の構成成分に依存する。
【0059】
好ましい界面活性剤は非イオン性である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール類、例えば、C8〜30のアルコールと糖又はデンプンポリマー類との縮合生成物、即ち、グルコシドとして広く定義されるものがある。これらの化合物は式、(S)n−O−Rで表すことができ、式中、Sは糖部分であり、nは約1〜約1000の整数であり、RはC8〜30アルキル基である。アルキル基が誘導され得る長鎖アルコール類の例としては、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。好適な例としては、セピック(Seppic)からモンタノブ(Montanov)68(商標)として、及びコグニス(Cognis)(元ヘンケル(Henkel))からエマルゲード(Emulgade)PL68/50(商標)として市販されているもののような、セテアリルグルコシドとセテアリルアルコールとの混合物が挙げられる。
【0060】
その他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド類と脂肪酸との縮合生成物(即ち脂肪酸のアルキレンオキシドエステル類又はジエステル類)が挙げられる。これらの物質は一般式RCO(X)nOH又はRCO(X)nOCORを有し、式中、RはC10〜30のアルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ちエチレングリコール又はオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(即ちプロピレングリコール又はオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約200の整数である。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と脂肪族アルコール類との縮合生成物(即ち、脂肪族アルコール類のアルキレンオキシドエーテル類)である。これらの物質は一般式R(X)nOR’を有し、式中、RはC10〜30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2−又は−OCH2CHCH3−であり、nは約6〜約100の整数であり、R’はH又はC10〜30のアルキル基である。さらに他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と、脂肪酸類及び脂肪族アルコール類の両方との縮合生成物[即ち、ポリアルキレンオキシド部分は一方の末端が脂肪酸でエステル化され、もう一方の末端が脂肪族アルコールでエーテル化される(即ち、エーテル結合を介して結合される)]である。これらの物質は一般式RCO(X)nOR’を有し、式中、R及びR’はC10〜30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2−又は−OCH2CHCH3−であり、nは約6〜約100の整数である。さらにその他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられ、これはPCT国際公開特許WO98/04241により詳細に記載されている。
【0061】
本明細書に用いるのに好適なその他の非イオン性界面活性剤としては、糖エステル類及びポリエステル類、アルコキシル化糖エステル類及びポリエステル類、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステル類、C1〜C30脂肪族アルコールのC1〜C30脂肪酸エステルのアルコキシル化誘導体、C1〜C30脂肪族アルコール類のアルコキシル化エーテル類、C1〜C30脂肪酸のポリグリセリルエステル類、C1〜C30ポリオールエステル類、C1〜C30ポリオールエーテル類、アルキルホスフェート類、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルホスフェート類、脂肪酸アミド類、アシルラクチレート類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
本明細書で有用な別の乳化剤は、ソルビタン又はソルビトール脂肪酸エステルとスクロース脂肪酸エステルとの混合物をベースにする脂肪酸エステルブレンドであり、脂肪酸はそれぞれ、好ましくはC8〜C24、さらに好ましくはC10〜C20である。好ましい脂肪酸エステル乳化剤は、ソルビタン又はソルビトールC16〜C20の脂肪酸エステルとスクロースC10〜C16の脂肪酸エステルとの混合物、特にソルビタンステアレートとスクロースココエートとの混合物である。これは、ICIからアーラトン(Arlatone)2121(商標)の名称で市販されている。
【0063】
非イオン性界面活性剤の中で好ましいのは、セテアリルグルコシド類、セテアリルアルコール類、PEG−100ステアレート、ソルビタンステアレート及びこれらの混合物から成る群から選択されるものである。
【0064】
本発明のエマルションは、乳化剤又は界面活性剤を含有するシリコーンを含んでもよい。多種多様なシリコーン乳化剤が、本明細書で有用である。これらのシリコーン乳化剤は、典型的には、有機的に修飾されたオルガノポリシロキサンであり、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知である。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオール類が挙げられる。他の例には、アルキル変性ジメチコンコポリオール類、即ち、C2〜C30のペンダント側鎖を含有する化合物が挙げられる。さらに他の有用なジメチコンコポリオール類としては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双極性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。
【0065】
本発明の組成物は水を含む。好ましくは、水は、組成物の約30重量%〜約85重量%、より好ましくは組成物の約50重量%〜約75重量%含まれる。
本発明の組成物は、任意成分をさらに含むことができる。任意成分は当該技術分野において周知であり、その化学と反応すること及び化学を変えることなく添加できる。任意成分としては、追加活性物質、中和剤、日焼け止め剤及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
本発明の組成物に用いるための任意活性物質は、ビタミンC化合物を含む。ビタミンC化合物としては、水溶性アスコルビン酸塩及びそのエステルが挙げられる。ビタミンC化合物は、美白剤として特に有用である。好適な例としては、アスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビン酸の一リン酸エステルのナトリウム塩が挙げられ、ロッシュ・ビタミンズ・ヨーロッパ(Roche Vitamins Europe Ltd)よりステイ−C(Stay-C)50(商標)として市販されている
別の任意成分は、中和剤である。本明細書の親水性ゲル化剤に含有されている酸性基の中和に使用するのに好適な中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリス緩衝剤及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0067】
さらなる任意成分は、日焼け止め剤を含んでもよい。本発明の組成物において有用なこれらの日焼け止め剤の中で好ましいのは、p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンジミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、パーソル(Parsol)MCX、ユーソレックス(Eusolex)6300、オクトクリレン、パーソル(Parsol)1789及びこれらの混合物から選択されるものである。
【0068】
一般に、日焼け止め剤は、本明細書で有用な組成物に約0.5%〜約20%含まれることができる。正確な量は、選択した日焼け止め剤及び所望の太陽光線保護指数(SPF)により変化する。SPFとは、一般に使用される、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護指標である。米国官報(Federal Register)第43巻、166号、38206〜38269頁(1978年8月25日)を参照されたい。
【0069】
更なる任意成分としては、油溶性活性物質が挙げられる。本明細書に用いるのに好適な油溶性活性物質としては、ビタミンE及びその誘導体、サリチル酸及びその他のβヒドロキシ酸、香料及び吸蔵物質及びこれらの混合物が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態をさらに記載し実証するものである。これらは、例証の目的で与えられており、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。該当する場合、成分はCTFA名で与えられる。
【0071】
(実施例I〜V)
【0072】
【表1】

1.エマルゲード(Emulgade):供給元:ドイツ、デュッセルドルフ(Paul-Thomas Strasse56,D-40551 Dusseldorf,Germany)のコグニス・ドイツランド(Cognis Deutchland GmbH)
2.PEG100ステアレート、英国クリーブランド(PO Box 90,Wilton Centre,Middlesborough,Cleveland,England.TS6 8JE)のICIより供給
3.ボルポ(Volpo)L3;米国ニュージャージー州(Industrial West,Clifton,NJ 07012)のスケア・ケミカルズ(Scher Chemicals Inc)より供給
4.ルビゲル(Luvigel)EM:供給元:英国チェシャー(PO Box 4-Earl Road,Cheadle Hulme,Cheshire SK8 6QG)のBASF Plc
5.セピゲル(Sepigel)305:供給元:フランス、パリ(75 Quai D'Orsay,Paris)のセピック(Seppic)
6.ローダサーフ(Rhodasurf):供給元:英国ダービーシャー(Staisty Close,Homewood Trading Estate,Chesterfield,Derbyshire S42 5UG)のコルディック(Coldic)
7.ボルポ(Volpo)3:供給元:英国イーストヨークシャー(Cowick hall,Snaith Goole,East Yorkshire,Dn14 9AA)のクローダ・オレオケミカルズ(Croda Oleochemicals)
8.ナイロンポリ(Nylonpoly):供給元 英国ミドルエセックス(Unit 17,Chiltern Business Village,Arundel Road,Uxbridge,Middlesex,UB8 2SN)のオプティマ・ケミカルズ(Optima Chemicals)
9.ドライフロ(Dry Flo):供給元:米国ニュージャージー州(10,Finderne Avenue,Bridgewater,NJ 08807,USA)のナショナルスターチケミカル社(National Starch Chemical Company)
10.及び11.DC1503、DC9040:英国バークシア(Kings Court,185 Kinds Rd,Reading,Berks,RGI 4EX)のダウ・コーニング(Dow Coming)より供給
12.シルバー及びゴールド「プレスティージ(Prestige)」パール:供給元:ドイツ、フュルト(Kaiserstrasse 30,90763 Fuerth,Germany)のエカート社(Eckart Gmbh and Co.)
(実施例VI〜IX)
【0073】
【表2】

【0074】
組成物は次のように製造される:
水相は、水酸化ナトリウム及びパンテノールを除くすべての水溶性成分を水中で混和し、約80℃に加熱することによって調製される。第二のプレミックスは、シリコーンオイル(DC1503)を除く油溶性成分を混和し、同じく約80℃に加熱することによって調製される。前記油相を前記水相に添加し、剪断してエマルションを形成する。
【0075】
該エマルションを60℃に冷却し、続いて高分子増粘剤(ルビゲル(Luvigel)EM)及び関連する陰イオン性界面活性剤(オレス3、ラウレス7)を添加する。55℃で、日焼け止め剤が包含される実施例を除き、続いて、水酸化ナトリウム溶液を添加してpH6〜7.5に中和する。45〜50℃で、パンテノール、ベンジルアルコール、DC1503、染料及び粒子(雲母パール、二酸化チタン、及び酸化鉄を包含する)を添加し、得られた生成物を剪断して粒子分散、脱アグロメレーション及び均質性を確実とする。続いて、該組成物を40℃に冷却し、香料を添加することができる。これで、生成物は包装可能な状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】数点の比較組成物と本発明の実施形態との反射率の増大を比較したグラフ。
【図2】数点の比較組成物と本発明の実施形態との色の変化(デルタE値)を比較したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金色の微粒子と銀色の微粒子とを含む局所適用組成物であって、インビボで2μl/cm2の局所適用の15分後に鏡面から15°で測定した時に、約200未満の反射率及び約4未満のデルタEを有する局所適用組成物。
【請求項2】
約25〜約60の反射率を有する請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
約1.5〜約2.5のデルタE値を有する請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
金色の微粒子と銀色の微粒子の比が約5:1〜約1:5である、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
約0.1%〜約5%の金色の微粒子と約0.1%〜約5%の銀色の微粒子とを含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記金色の微粒子がTiO2を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記銀色の微粒子がTiO2を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記金色の微粒子がSnOを含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記銀色の微粒子がSnOを含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記金色の微粒子が約5μm〜約75μmの直径を有する、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記銀色の微粒子が約5μm〜約75μmの直径を有する、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記金色の微粒子がその上に少なくとも1つの干渉層を有する基材を含み、前記干渉層がTiO2、SnO、及びこれらの混合物を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
前記銀色の微粒子がその上に少なくとも1つの干渉層を有する基材を含み、前記干渉層がTiO2、SnO、及びこれらの混合物を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
前記基材が小板を含む、請求項12又は13に記載の化粧品組成物。
【請求項15】
前記基材が雲母を含む、請求項12又は13に記載の化粧品組成物。
【請求項16】
前記組成物が皮膚のきめ調整剤をさらに含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
前記皮膚のきめ調整剤が、ビタミンB3誘導体、パンテノール及びその誘導体、レチノイド類及びそれらの誘導体、湿潤剤、アミノ酸類及びそれらの誘導体、及びこれらの混合物を含むリストから選択される、請求項16に記載の化粧品組成物。
【請求項18】
前記組成物がビタミンB3誘導体を含む、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
前記組成物が0.1%〜5%の増粘剤を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項20】
前記組成物が水中油型又は油中水型エマルションの形態である、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項21】
前記組成物が水中油型エマルションの形態である、請求項20に記載の化粧品組成物。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−525231(P2006−525231A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501306(P2006−501306)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014432
【国際公開番号】WO2004/100905
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】