説明

盗難車回収支援システム及び盗難車回収支援方法

【課題】盗難車の回収率を向上させることができる盗難車回収支援システム及び盗難車回収支援方法を提供する
【解決手段】車両の盗難が発生した時に、基地局3を介して、捜索協力用端末4に、盗難車10の特徴情報及び盗難車10を走行不能するシステムブロック用電子鍵を配信して、捜索協力用端末4に記憶させる。捜索協力用端末4が移動して、盗難車10と近距離通信範囲となると、捜索協力用端末4は、システムブロック用電子鍵を盗難車10に送信し、盗難車10をシステムブロックさせる。盗難車10のシステムブロックが完了すると、捜索協力用端末4には、返信がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難車回収支援システム及び盗難車回収支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、盗難車を捜索するシステムに関する技術としては、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された盗難車捜索システムは、保険会社から送信された盗難車情報を捜索協力者PCに通報すると共に、複数の盗難車情報を記憶する。そして、盗難車捜索システムは、捜索協力者PCから入力された車両情報と、記憶した複数の盗難車情報とを比較して、車両情報に関連する盗難車情報を捜索協力者PCに提供するサーバを備える。これにより、盗難車捜索システムは、盗難車を発見しやすくするための盗難車情報を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−196482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の盗難車捜索システムは、盗難車情報を捜索協力者PCに送信し、捜索協力者PCが盗難車を発見した場合であっても、捜索協力者PCから調査会社PCに盗難車情報を提供した時刻から、盗難車の回収業者が到着する時刻までに時間がかかる。したがって、この時間中に回収したい盗難車が移動してしまい、効率的に盗難車の回収ができない問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、盗難車の回収率を向上させることができる盗難車回収支援システム及び盗難車回収支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために、捜索協力用端末に対して、盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を送信し、捜索協力用端末が盗難車両の車載システムに対してシステムブロック用電子鍵を送信することにより、車載システムにより、捜索協力用端末から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて、車両を走行不能とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、捜索協力用端末に対して盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を送信しておくことにより、当該捜索協力用端末から車載システムにシステムブロック用電子鍵を送信できる。これにより、無線通信用基地局の通信可能範囲外に盗難車が存在する場合であっても、盗難車の回収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムを構成する各部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、盗難車が携帯電話の圏内に存在する場合の動作手順を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、盗難車が携帯電話の圏外となった時の動作を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、盗難車が携帯電話の圏外に存在する場合の動作手順を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、センタ装置から捜索協力用端末に盗難車両詳細情報を送信する処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、車載システムにより盗難車をシステムブロックする動作を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおける、システムブロック用電子鍵の信号処理を示す図である。
【図9】本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムにおいて、盗難車の捜索を終了するときの動作を示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[盗難車回収支援システムの構成]
本発明の実施形態として示す盗難車回収支援システムは、例えば図1及び図2に示すように、センタ装置1と、基地局3と、盗難車10内に搭載された車載システム2と、捜索協力用端末4と、盗難発見者端末5とが、情報通信を行うものである。
【0011】
盗難車回収支援システムは、ある地点にて車両盗難が発生した時に、当該盗難発生地点Pにて盗難を発見した盗難発見者が保有する盗難発見者端末5から、盗難発生通知がセンタ装置1に送信される(1)。これに対し、センタ装置1は、盗難発生地点Pを含む無線通信範囲3A(携帯電話通信可能エリア)を有する基地局(無線通信用基地局)3に対して、車両捜索メール送信要求を送信する(2)。この車両捜索メール送信要求には、盗難車10の特徴情報及び盗難車10のシステムブロック用電子鍵が含まれる。そして、基地局3は、予め登録された捜索協力者が保有する捜索協力用端末4に対して、車両捜索依頼メールデータを送信する(3)。これにより基地局3は、当該基地局3を中心にした無線通信範囲3A内に存在する捜索協力用端末4に対して、盗難車10の特徴情報及び盗難車10のシステムブロック用電子鍵を送信する。
【0012】
これに対して、捜索協力用端末4は、センタ装置1から送信された盗難車10の特徴情報及び盗難車10のシステムブロック用電子鍵を、基地局3を介して受信した場合に、盗難車10に搭載された車載システム2に対して、システムブロック用電子鍵を送信する。車載システム2は、捜索協力用端末4から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて、車両を走行不能とする動作を行う。この走行不能にする動作は、エンジンを始動禁止とする制御や、ブレーキを掛けた状態を維持する動作を含む。
【0013】
以下、このような動作を行う盗難車回収支援システムについて説明する。図2は、盗難車回収支援システムを構成する各部の機能的な構成を示した図である。
【0014】
センタ装置1は、盗難車10を回収するための情報を提供する所謂サービスプロバイダである。センタ装置1は、通信機1a、メッセージ作成部1b、基地局制御部1cを有する。センタ装置1は、盗難発生通知が発生した場合に、メッセージ作成部1bにより車両捜索メールを作成して、基地局制御部1cによりメールデータを基地局3に対して送信する。
【0015】
なお、センタ装置1は、オペレータの操作に応じて、盗難発見者端末5や、盗難車10の回収者との間で音声通信を行うことができる。また、センタ装置1は、オペレータの操作に応じた命令に従って、各種の情報処理を行うことができる。
【0016】
車載システム2は、携帯電話通信機2a、GPS通信機2b、近距離通信機2c、盗難車追跡装置2d、車両システムブロック機能部2e、制御部2fを有する。なお、この車載システム2の機能は、後述するものとする。
【0017】
車両システムブロック機能部2eは、車載システム2が搭載された盗難車10を走行不能にするよう駆動する駆動機構を備える。車両システムブロック機能部2eは、車両システムブロックコマンドに従って、駆動機構を動作させて盗難車10を走行不能にする。また、車両システムブロック機能部2eは、予め、他の車載システム2に搭載された車両システムブロック機能部2eとは異なる電子データとしてのシステムブロック用電子鍵を記憶している。車両システムブロック機能部2eは、予め自身のメモリに記憶しているシステムブロック用電子鍵と、後述の捜索協力用端末4から送信されたシステムブロック用電子鍵が合致する場合に、駆動機構を動作させて盗難車10を走行不能にすることができる。
【0018】
盗難車追跡装置2dは、車両が盗難された場合に、車両システムブロック機能部2eを動作させる制御を行う。盗難車追跡装置2dは、システムブロック用電子鍵データ用記憶媒体2daを有している。このシステムブロック用電子鍵データ用記憶媒体2daに記憶されるシステムブロック用電子鍵は、車両が盗難された場合に車両システムブロック機能部2eを動作させて車両を動作不能とすることを許可するデータである。
【0019】
基地局3は、通信機3aを含む。この通信機3aは、センタ装置1から車両捜索メールを受信したことに応じて、当該車両捜索メールを所定の通信プロトコルに従って、捜索協力用端末4に転送する。この基地局3が車両捜索メールを送信する範囲は、盗難車10の盗難発生地点Pを通信範囲に含む基地局3を中心とした所定エリア内である。これにより、捜索協力用端末4から不要な情報の返信を削減し、盗難車10の捜索を効率化するためである。この車両捜索メールを送信するエリアの限定方法は、センタ装置1が、盗難発生通知を受信した時刻に基づく盗難予測時刻からメール送信時刻までの時間を算出し、当該時間と予測される車両走行速度とから盗難車10の到達範囲を予測する。センタ装置1は、基地局3にブロードキャスト位置を指示した上で、所謂SMSセルブロードキャストにてSMSを送信する。この送信手順は3GPPで規定されている。
【0020】
捜索協力用端末4は、近距離通信機4a、携帯電話通信機4b、GPS通信機4c、電子メール機能部4d、システムブロック電子鍵データ用記憶媒体4eを含む。近距離通信機4aは、基地局3を介さずに、車載システム2の近距離通信機2cとの間で近距離通信をしてデータの授受を行う。
【0021】
車載システム2の近距離通信機2c、捜索協力用端末4の近距離通信機4aは、既存の数メートル単位で通信ができるあらゆる技術が採用可能である。例えば、車両に搭載されているキーレス通信機、Bluetooeh、無線LAN、Felicaシステムのような近接型通信を利用したドア開閉用通信機などが利用可能である。
【0022】
盗難発見者端末5は、携帯電話通信機5a、GPS通信機5b、電子メール機能部5cを含む。盗難発見者端末5は、盗難発見者に操作され、携帯電話通信機5aにより音声にて盗難発生通知をセンタ装置1に送信する。又は、盗難発見者端末5は、盗難発生通知をメールデータとして電子メール機能部5cによりセンタ装置1に送信する。更に、盗難発見者端末5は、盗難発生地点Pをセンタ装置1に送信するために、GPS通信機5bにより現在位置を送信可能となっている。この盗難発生地点Pの現在位置は、例えば盗難発生通知を含むメールデータに添付されてセンタ装置1に送信される。
【0023】
[盗難車回収支援システムの基本的な動作]
つぎに、上述したように構成された盗難車回収支援システムの動作について、図3を参照して説明する。なお、図3において、盗難発見者端末5、センタ装置1、車載システム2にて授受される情報のうち、点線で示したものが人と人との間で授受される情報であり、実線で示したものが通信データとして授受される情報である。したがって、実線で示した情報は、各部に備えられたソフトウェアにより生成された通信データを通信I/F回路等のハードウェア資源を用いて送信及び受信されるものである。よって、実線で示した情報は、人による電話の音声、Fax、その他の手段により授受されるとは解釈されるものではない。
【0024】
盗難発見者が盗難発生地点Pでの盗難車10の盗難を発見すると、盗難発見者が盗難発見者端末5を操作し、車両盗難発生の通知S1をセンタ装置1に送信する。この通知S1は、携帯電話通信機5aを利用した音声であっても良く、電子メール機能部5cを利用した電子メールであっても良い。このとき、盗難発見者端末5は、通信データとして、GPS通信機5bにより、盗難発生地点Pとして現在位置を送信しても良い。
【0025】
次にセンタ装置1は、通信機1aにより、通知S1を受信する。このとき、センタ装置1は、音声に応じたオペレータの入力操作により盗難発生地点Pを、電気信号である緯度・経度データとして入力する。
【0026】
次にセンタ装置1は、通信機1aにより、盗難車10に対して位置確認メッセージS2を送信する。この位置確認メッセージS2は、センタ装置1により、予め記憶した盗難発見者端末5についての情報に対する車載システム2のメールアドレス又はIPアドレスを用いて、盗難車10に対して送信される位置確認メッセージS2を作成する。また、この位置確認メッセージS2は、盗難発生地点Pが存在するエリアを無線通信範囲3Aとする基地局3を介して配信される。このとき、センタ装置1は、経度・緯度データと基地局3との対応関係を記述したデータベースを参照して、盗難発生地点Pを無線通信範囲3Aとして含む基地局3を認識して、当該基地局3に対して位置確認メッセージS2を送信する。この位置確認メッセージS2は、例えばメッセージ作成部1bにより作成された電子メールであっても良く、その他の通信方式に従った通信データであっても良い。
【0027】
車載システム2は、携帯電話通信機2aにより、センタ装置1から送信された位置確認メッセージS2を受信する。そして、車載システム2は、GPS通信機2bにより現在位置を測位し(ST1)、GPS通信機2bにより取得した現在位置情報と自身のメールアドレス又はIPアドレスとを含む盗難車位置応答メッセージS3に含めて、センタ装置1に返信する。この盗難車位置応答メッセージS3は、電子メールデータであっても良く、IPデータであっても良く、携帯電話通信機2aから送信される。
【0028】
センタ装置1は、盗難車位置応答メッセージS3を受信する。すると、センタ装置1は、当該盗難車位置応答メッセージS3を表示装置等により表示する。これにより、センタ装置1のオペレータは、盗難発見者端末5に対して盗難車10の確保意思確認S4を通知する。これに対し、センタ装置1は、盗難発見者端末5から盗難車10の確保要求S5を受信する。このとき、センタ装置1と盗難発見者端末5とは、盗難発見者端末5の携帯電話通信機5aを介して音声通信を行っても良く、電子メールを送信して、盗難車10の確保意思確認S4及び盗難車10の確保要求S5を授受しても良い。
【0029】
次にセンタ装置1は、車載システム2に対して、盗難車両システムブロックコマンドS6を送信する。このとき、センタ装置1は、盗難車位置応答メッセージS3に含まれていたメールアドレス又はIPアドレスを宛先のメールアドレス又はIPアドレスに設定した通信データを作成する。この盗難車両システムブロックコマンドS6は、車載システム2の車両システムブロック機能部2eにより、盗難車10を走行不能にするコマンドであり、車載システム2の車両システムブロック機能部2eにより解釈可能なデータ列である。この盗難車両システムブロックコマンドS6は、基地局3を介して、当該基地局3の無線通信範囲3A内に配信される。
【0030】
なお、センタ装置1は、盗難車位置応答メッセージS3を受信した後に、盗難車10の確保意思確認S4及び盗難車10の確保要求S5の授受を行わなくても良い。すなわち、センタ装置1は、盗難車位置応答メッセージS3を通信データとして受信したことに応答して、自動的に盗難車両システムブロックコマンドS6を生成して、車載システム2に送信しても良い。
【0031】
車載システム2は、基地局3の無線通信範囲3Aに存在する場合、携帯電話通信機2aにより、盗難車両システムブロックコマンドS6を受信できる。車載システム2は、盗難車両システムブロックコマンドS6を受信すると、車両システムブロック機能部2eにより、車両を走行不能な状態にする(ST2)。なお、この車両システムブロック機能部2eの動作は、既知の技術が使用可能である。
【0032】
次に、車載システム2は、車両システムブロック機能部2eにより走行不能とすると、GPS通信機2bにより、センタ装置1に対して自車位置S7を定期的に継続して送信する。この自車位置S7は、車両を走行不能にしたことの応答データでもある。
【0033】
センタ装置1は、車載システム2から、自車位置S7を受信する。これにより、センタ装置1は、盗難車10の自車位置を継続的に取得できる。
【0034】
次にセンタ装置1は、携帯電話通信機2aにより、車両回収者に対して、車両回収メッセージS8を通知する。このとき、センタ装置1は、車両回収者のPCに対して電子メールデータとして車両回収メッセージS8を送信しても良く、車両回収者の携帯電話に対して音声により車両回収メッセージS8を送信しても良い。
【0035】
これにより、車両回収者は、車載システム2を搭載した盗難車10に対して車両回収を実施する(S9)。車両回収者は、車両回収を実施すると、センタ装置1に対して音声又は電子メールにより車両回収を通知する(S10)。センタ装置1は、車両回収者から車両回収の通知S10を取得すると、盗難発見者端末5に対して音声又は電子メールにより車両回収を連絡する(S11)。
【0036】
以上のように、盗難車回収支援システムは、盗難車10が基地局3の無線通信範囲3A内に存在する場合には、センタ装置1から基地局3を介して、位置確認メッセージS2を通信データにより配信する。すると、無線通信範囲3A内の車載システム2は、携帯電話通信機2aにより位置確認メッセージS2を受信できる。これにより、車載システム2は、位置確認メッセージS2に対して、自動的に、盗難車位置応答メッセージS3を通信データとしてセンタ装置1に返信できる。その後、センタ装置1は、車載システム2に対して、通信データとしての盗難車両システムブロックコマンドS6を車載システム2に送信して、車載システム2の車両システムブロック機能部2eを駆動して、盗難車10を走行不能状態にすることができる。
【0037】
[盗難車回収支援システムの他の動作]
しかし、上述した盗難車回収支援システムにおいては、基地局3の無線通信範囲3A内に盗難車10が存在する場合には、センタ装置1が盗難車両システムブロックコマンドS6を基地局3を介して、車載システム2に受信させることができる。しかし、図4に示すように、基地局3の無線通信範囲3A内に盗難発生地点Pが存在しても、盗難車10が無線通信範囲3A内に存在しない場合がある。このような場合、センタ装置1は、基地局3を介して盗難車両システムブロックコマンドS6を送信しても、車載システム2により受信させることはできない。
【0038】
そこで、盗難車回収支援システムは、基地局3を介して、捜索協力用端末4に対して盗難車10の詳細情報を送信して、捜索協力用端末4に記憶させる。捜索協力用端末4は、捜索協力者に保有されて、無線通信範囲3A外に移動する。捜索協力用端末4と盗難車10の車載システム2とが通信可能な距離まで接近すると、捜索協力用端末4は、盗難車10の詳細情報に合致する盗難車10とデータ通信を行う。これにより、車載システム2は、車両システムブロック機能部2eにより、当該盗難車10を走行不能とすることができる。
【0039】
このような動作は、図5に示されるようになる。
【0040】
先ず盗難発見者端末5からセンタ装置1に、携帯電話通信機5aにより、音声又は電子メールにより、車両盗難発生の通知S1が送信される。
【0041】
次にセンタ装置1は、通信機1aにより、盗難車10の車載システム2に対して位置確認メッセージS2を送信する。このとき、センタ装置1は、予め記憶した盗難発見者端末5についての情報に対する車載システム2のメールアドレス又はIPアドレスを用いて、盗難車10に対して送信される位置確認メッセージS2を作成する。この位置確認メッセージS2は、例えばメッセージ作成部1bにより作成された電子メールであっても良く、その他の通信方式に従った通信データであっても良い。
【0042】
次にセンタ装置1は、通信機1aにより、通知S1を受信する。このとき、センタ装置1は、音声に応じたオペレータの入力操作により盗難発生地点Pを、電気信号である緯度・経度データとして入力する。
【0043】
次にセンタ装置1は、通信機1aにより、盗難車10に対して位置確認メッセージS2を送信する。この位置確認メッセージS2は、センタ装置1により、予め記憶した盗難発見者端末5についての情報に対する車載システム2のメールアドレス又はIPアドレスを用いて、盗難車10の車載システム2に対して送信される通信データとして作成される。また、この位置確認メッセージS2は、盗難発生地点Pが存在するエリアを無線通信範囲3Aとする基地局3を介して配信される。このとき、センタ装置1は、経度・緯度データと基地局3との対応関係を記述したデータベースを参照して、盗難発生地点Pを無線通信範囲3Aとして含む基地局3を認識して、当該基地局3に対して位置確認メッセージS2を送信する。この位置確認メッセージS2は、例えばメッセージ作成部1bにより作成された電子メールであっても良く、その他の通信方式に従った通信データであっても良い。
【0044】
盗難車10の車載システム2が基地局3の無線通信範囲3A内に存在しない場合、位置確認メッセージS2は、車載システム2の携帯電話通信機2aにより受信されない。従って、センタ装置1は、位置確認メッセージS2に対する応答を得ることができない。この位置確認メッセージS2を受信できないことは、センタ装置1により表示又は音声によりオペレータに通知される。オペレータは、盗難発見者端末5に対して盗難車10の操作に入る事を通知する(S21)。なお、センタ装置1は、図示しないタイマー回路を備え、位置確認メッセージS2の送信時刻から所定時間となった場合には、自動的に電子メールデータとして「盗難車10の操作に入る」ことを本文データに含むメッセージを作成して、盗難発見者端末5に自動送信しても良い。
【0045】
次に、センタ装置1は、盗難発生地点Pの周辺の基地局3に対して、ブロードキャスト通信により、通信データとしての盗難車両詳細情報S22を送信する。この盗難車両詳細情報S22は、例えばメッセージ作成部1bにより作成された電子メールであっても良く、その他の通信方式に従った通信データであっても良い。この盗難車両詳細情報S22は、盗難車10の盗難発生、盗難車両10の特徴情報、1回のみ使用可能なシステムブロック用電子鍵を含む。盗難車10の特徴情報は、盗難車10の車種、色、登録ナンバー、画像データ等である。
【0046】
盗難車10の特徴情報は、予めセンタ装置1に記憶されている。すなわち、センタ装置1は、電子データとして、予め車両の所有者情報、車両の特徴情報、システムブロック用電子鍵をデータベースとして記憶している。また、センタ装置1は、電子データとして所有者の携帯電話番号、電子メールアドレスを記憶していても良い。これにより、この例では、盗難発見者端末5が所有者の携帯電話であり、当該携帯電話の電話番号又は電子メールアドレスをキー情報としてデータベースを検索して、盗難車10の特徴情報及びシステムブロック用電子鍵を取得できる。そして、センタ装置1は、取得した盗難車10の特徴情報を用いて、メッセージ作成部1bにより、電子メール形式等の基地局3により電子データとして中継可能であり、捜索協力用端末4により電子データとして受信可能なデータ形態の盗難車両詳細情報S22を作成することができる。
【0047】
この盗難車両詳細情報S22は、予めセンタ装置1に捜索協力用端末4の宛先情報が記憶された捜索協力用端末4に対してのみに限定して送信される。なお、捜索協力用端末4の宛先情報としては、電子メールアドレス、IPアドレス等の、盗難車両詳細情報S22を電子データとして送信できる信号が挙げられる。
【0048】
また、盗難車両詳細情報S22は、宛先情報が記憶された捜索協力用端末4のうち、盗難発生地点Pの周辺に存在する捜索協力者の捜索協力用端末4に対してのみ送信される。このため、センタ装置1には、予め捜索協力用端末4の宛先情報に対する、捜索協力者が存在する所定の登録位置情報を記憶しておく。この登録位置情報は、捜索協力者の選択により変更が可能な情報である。このように、基地局3から盗難車両詳細情報S22の送信エリアを限定するためには、SMSセルブロードキャストと称される通信方式を利用し、盗難車10の近辺の捜索協力用端末4のみに、盗難車両詳細情報S22を送信しても良い。このSMSセルブロードキャストは、例えば地震速報等の分野にて実用化されており、短いメッセージを特定のセル(地域)に属する端末に対して一斉配信する技術である。
【0049】
この盗難車両詳細情報S22の送信処理を図6に示す。
【0050】
センタ装置1は、先ずSMSセルブロードキャストによる盗難発生通知S41を、捜索協力用端末4に送信する。ここで、センタ装置1は、セルブロードキャストのサービスプロバイダである。そして、センタ装置1は、当該セルブロードキャストにより盗難発生通知S41を、所定のセルに存在する捜索協力用端末4に送信する。この盗難発生通知S41は、例えばSMS(ショート・メッセージ・サービス)と称されるデータである。このとき、センタ装置1は、盗難発生地点Pが含まれるセルに存在する捜索協力用端末4に対して、盗難発生通知S41を一斉送信する。
【0051】
盗難発生通知S41を受信した捜索協力用端末4は、当該盗難発生通知S41に対して自動応答する。このとき、捜索協力用端末4は、盗難発生通知S41を受信したことに対する応答としての応答通知S42をセンタ装置1に返信する。この応答通知S42は、例えばSMS(ショート・メッセージ・サービス)と称されるデータである。
【0052】
センタ装置1は、応答通知S42を受信する。センタ装置1は、ハードディスク装置等に記憶しておいた登録データベースを参照して、応答通知S42に含まれているアドレス、携帯電話番号から、例えばMMS(Multimedia Messaging Service)のメールアドレスを取得する。そして、センタ装置1は、当該メールアドレス、特徴情報及びシステムブロック用電子鍵S43を含む盗難車両詳細情報S22をセンタ装置1に送信する。
【0053】
捜索協力用端末4は、センタ装置1から盗難車両詳細情報S22を受信すると、当該盗難車両詳細情報S22を、システムブロック電子鍵データ用記憶媒体4eに記憶する。
【0054】
なお、センタ装置1は、図3で説明したように、盗難発生地点Pが存在する無線通信範囲3Aを有する基地局3に対して、定期的に盗難車両システムブロックコマンドS6を送信することが望ましい。これにより、センタ装置1は、盗難車10が再度盗難発生地点Pが存在する基地局3の無線通信範囲3Aに進入した場合に、当該盗難車両システムブロックコマンドS6を車載システム2に受信させることができる。これにより、盗難車回収支援システムによれば、車載システム2の車両システムブロック機能部2eを動作させて盗難車10を走行不能にすることができる。
【0055】
次に捜索協力用端末4は、捜索協力者に保有されて、基地局3の無線通信範囲3A外にて移動される。この無線通信範囲3A外は、携帯電話の通話等を含む通信ができないエリアである。そして、捜索協力者が盗難車10を発見する。捜索協力者は、盗難車両詳細情報S22に含まれる盗難車10の特徴情報が捜索協力用端末4により画面データとして表示され、当該特徴情報と盗難車10の特徴とが一致する場合に、盗難車10を発見できる。
【0056】
以下、盗難車10を走行不能にする動作手順について、図5に加えて図7を参照して説明する。
【0057】
先ず、捜索協力者が、図7に示す捜索協力用端末4の盗難車両システムブロック操作部4fを操作し(1)、システムブロック電子鍵データ用記憶媒体4eに記憶された盗難車両詳細情報S22に含まれているシステムブロック用電子鍵S23を、近距離通信機4aに読み出す(2)。これにより、捜索協力用端末4は、近距離通信機4aにより、システムブロック用電子鍵S23を、通信データとして近距離通信機4aにより送信する(3)。
【0058】
次に車載システム2は、捜索協力用端末4の近距離通信機4aから送信されたシステムブロック用電子鍵S23を、近距離通信機2cにより受信する。近距離通信機2cは、システムブロック用電子鍵S23を受信すると、盗難車追跡装置2dに対して、盗難車10をシステムブロックにより走行不能にする要求を出力する(4)。
【0059】
盗難車追跡装置2dは、受信したシステムブロック用電子鍵S23が、センタ装置1が発行した正当なものであるかを判断する。このために、盗難車追跡装置2dは、システムブロック用電子鍵S23を、予めシステムブロック用電子鍵データ用記憶媒体2daに記憶されたシステムブロック用電子鍵と照合する。双方のシステムブロック用電子鍵が一致した場合には、盗難車10のエンジン始動を禁止する状態に遷移する。このとき、盗難車追跡装置2dは、車両システムブロック機能部2eの一機能であるエンジン始動制御装置2e’からの始動可否の問い合わせに対して、始動禁止指示コマンドを出力する。
【0060】
これにより、車載システム2は、車両システムブロック機能部2eを動作させて、車両を走行不能にする。このとき、盗難車追跡装置2dは、エンジンの再始動を禁止する制御を実施する(S12)。盗難車追跡装置2dは、盗難車10を走行不能にすると、近距離通信機2cにシステムブロック結果を出力する(5)。
【0061】
このように盗難車10をシステムブロックするための、システムブロック用電子鍵の照合処理を、図8を参照して説明する。図8は、センタ装置1、捜索協力用端末4、盗難車10の車載システム2にて処理されるデータを示したものである。
【0062】
センタ装置1は、予め保存されている車両毎のシステムブロック用電子鍵データを基にしてシステムブロック用電子鍵の配送用データを生成する。このシステムブロック用電子鍵は、公開鍵暗号方式(RSA等)を用いて暗号化されて配信され、車載システム2により復号される。
【0063】
センタ装置1には、車両毎にシステムブロック用電子鍵と公開鍵暗号方式アルゴリズムに使用する車載システム2側の公開鍵を対に保存している。センタ装置1は、先ず、位置確認メッセージS2に対して応答がない盗難車10の車載システム2についてのシステムブロック用電子鍵101を、当該盗難車両10の公開鍵により暗号化した暗号化データ102を作成する。センタ装置1は、暗号化データ102に鍵有効期限データ103を付加し、当該暗号化データ102及び鍵有効期限データ103を、当該センタ装置1が一意に保持する公開鍵暗号方式の秘密鍵で暗号化した暗号化データ104を作成する。
【0064】
センタ装置1は、システムブロック用電子鍵101、鍵有効期限データ103を含む暗号化データ104を、捜索協力用端末4に対して送信する。
【0065】
捜索協力用端末4は、センタ装置1から送信された暗号化データ104を受信する。捜索協力用端末4は、暗号化データ104を受信すると、図8(b)のように、暗号化データ104と捜索協力者毎に一意に割り当てられた捜索者ID105とを組にした記憶データ106としてシステムブロック電子鍵データ用記憶媒体4eに記憶する。そして、記憶データ106は、捜索協力用端末4の近距離通信機4aにより、車載システム2に送信される。
【0066】
車載システム2は、近距離通信機2cにより、捜索協力用端末4から記憶データ106を受信する。これにより、図8(c)のように、車載システム2は、暗号化データ104及び抽出捜索者ID105’を取得できる。
【0067】
次に車載システム2は、記憶データ106のうち暗号化データ104を、センタ装置1に一意に割り当てられたセンタ装置1の公開鍵を用いて用いて復号する。これにより、車載システム2は、図8(d)のように、復号データ104’として暗号化データ102及び抽出鍵有効期限データ103’、抽出捜索者ID105’を取得することができる。
【0068】
これにより、車載システム2は、暗号化データ102とされたシステムブロック用電子鍵101についての抽出鍵有効期限データ103’を読み取り、当該システムブロック用電子鍵101の有効期限を取得できる。ここで、車載システム2は、暗号化データ104の復号に失敗すると抽出鍵有効期限データ103’を正しく取得できない。このため、車載システム2は、捜索協力用端末4から受信した記憶データ106を異常データであると判断し、車載システム2のシステムブロックを行わず記憶データ106を破棄する。
【0069】
車載システム2は、抽出鍵有効期限データ103’を読み取った結果、システムブロック用電子鍵101が有効期限内のシステムブロック用電子鍵と判断すると、復号データ104’から暗号化データ102を抽出する。そして、車載システム2は、暗号化データ102を、予めメモリに記憶しておいた車載システム2の秘密鍵で復号する。その結果、車載システム2は、図8(e)のように、復号された抽出システムブロック用電子鍵101’を得ることができる。そして、車載システム2は、抽出システムブロック用電子鍵101’と、システムブロック用電子鍵データ用記憶媒体2daに記憶されたシステムブロック用電子鍵とを照合できる。
【0070】
車載システム2は、双方のシステムブロック用電子鍵が一致していれば車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックを実施し、照合用のシステムブロック用電子鍵データ用記憶媒体2daに記憶しておいたシステムブロック用電子鍵を破棄して、抽出捜索者ID105’を記憶する。これにより、車載システム2は、この後に、他の捜索協力用端末4からシステムブロック電子鍵が送信されても照合をせずに、当該システムブロック用電子鍵の効力を失わせることができる。すなわち、複数の捜索協力用端末4に配布したシステムブロック用電子鍵の使用回数を1回にすることができる。
【0071】
逆に、双方のシステムブロック電子鍵と一致しなかった場合は、車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックを実施せずに、抽出システムブロック用電子鍵101’、抽出鍵有効期限データ103’、抽出捜索者ID105’を破棄する。
【0072】
図5に戻り、上述したように車載システム2は、車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックを実施して、盗難車10を走行不能にすると、近距離通信機2cにより、通信データとしてのシステムブロック結果応答S24を捜索協力用端末4に返信する(6)。このシステムブロック結果応答S24は、捜索協力用端末4の近距離通信機4aにより、通信データとして受信されて、通信データとして記憶される。
【0073】
また、システムブロック結果応答S24は、GPS通信機2bにより取得した位置情報を含んでいることが望ましい。この位置情報は、盗難車10の発見位置となる。この場合、捜索協力用端末4は、システムブロック結果応答S24を受信すると、盗難車10の位置情報もメモリに記憶する。
【0074】
なお、他の捜索協力用端末4を保有した捜索協力者が、盗難車10を発見して、捜索協力用端末4から車載システム2にシステムブロック用電子鍵S23を送信することとなる。しかし、車載システム2は、既に車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックが完了しているので、当該システムブロック用電子鍵S23を送信した捜索協力用端末4に対して、通信データとしてのロック済み通知を返信する。
【0075】
その後、図9に示すように、捜索協力用端末4が捜索協力者B(盗難車10のロック者)に保有されて、捜索協力用端末4が携帯電話の通信可能エリアに進入すると、この捜索協力用端末4は、盗難車発見通知S25(ロック完了メール)をセンタ装置1に送信する。盗難車発見通知S25は、車載システム2から受信したシステムブロック結果応答S24に含まれたGPS通信機2bにより取得した位置情報を含む。また、盗難車発見通知S25は、図8で示した捜索者ID105を含む。この盗難車発見通知S25は、基地局3を経由して、センタ装置1に送信される。
【0076】
なお、捜索協力用端末4は、携帯電話通信機2aの通信が可能である範囲に進入したことを検出した時に、自動的に盗難車10を発見したことを電子メールでセンタ装置1に送信しても良い。この電子メールは、宛先メールアドレスがセンタ装置1のメールアドレスとされ、盗難車10の登録ナンバー等の盗難車10を特定する情報と、盗難車10の停車位置を示すGPS通信機2bで取得した位置情報、捜索協力者の捜索者ID等を含んでいる。この電子メールは、車載システム2に記憶したソフトウェアを制御部2fが実行して、自動的に作成したものであっても良い。盗難車発見通知S25は、基地局3を介して、センタ装置1に送信される。
【0077】
センタ装置1は、盗難車発見通知S25を受信すると、車両盗難発生の通知S1を送信した盗難発見者端末5に対して、捜索完了を送信する。その後、センタ装置1は、捜索協力用端末4に対して、通信データとしてシステムブロック用電子鍵破棄指示S26を送信する(2)。このとき、センタ装置1は、基地局3を介して、盗難車両詳細情報S22を送信した全ての捜索協力用端末4に対して、通信データとしてのシステムブロック用電子鍵破棄指示S26を送信する(3)。
【0078】
なお、センタ装置1は、車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックが実施されていない盗難車10が、再度携帯電話の通信可能エリアに進入した場合には、システムブロックコマンドS6を車載システム2に受信させることができる。そして、センタ装置1は、車載システム2が車両システムブロック機能部2eによりシステムブロックが実施した場合にも、盗難車両詳細情報S22を送信した全ての捜索協力用端末4に対してシステムブロック用電子鍵破棄指示S26を送信する。このとき、センタ装置1は、システムブロックを実施した車載システム2から自車位置S7を返信したことにより判断する。
【0079】
捜索協力用端末4は、センタ装置1から送信されたシステムブロック用電子鍵破棄指示S26を受信すると、当該システムブロック用電子鍵破棄指示S26を、自動的(ソフトウェア的)にシステムブロック用電子鍵を消去するコマンドであると解釈する。そして、捜索協力用端末4は、メモリに記憶していた盗難車両詳細情報S22に含まれていたシステムブロック用電子鍵を消去する(ST14)。
【0080】
次にセンタ装置1は、携帯電話通信機2aにより、車両回収者に対して、車両回収指示メッセージS27を通知する。このとき、センタ装置1は、車両回収者のPCに対して電子メールデータとして車両回収指示メッセージS27を送信しても良く、車両回収者の携帯電話に対して音声により車両回収指示メッセージS27を送信しても良い。
【0081】
これにより、車両回収者は、車載システム2を搭載した盗難車10に対して車両回収を実施する(S28)。車両回収者は、車両回収を実施すると、センタ装置1に対して音声又は電子メールにより車両回収を通知する(S29)。センタ装置1は、車両回収者から車両回収の通知S29を取得すると、盗難発見者端末5に対して音声又は電子メールにより車両回収の成功を連絡する(S30)。その後に、盗難車10は、盗難発見者としての所有者に引き渡される(S31)。
【0082】
以上のように、盗難車回収支援システムは、盗難車10が携帯電話の通信可能エリア外となっても、センタ装置1から捜索協力用端末4に盗難車両詳細情報S22を送信して、捜索協力用端末4に盗難車10の特徴情報、システムブロック用電子鍵を受信させることができる。これにより、捜索協力用端末4と盗難車10とが、近距離通信機2c、近距離通信機4aで通信可能な範囲内となった場合には、捜索協力用端末4から車載システム2に対して、システムブロック用電子鍵を送信する。これにより車載システム2は、車両システムブロック機能部2eにより盗難車10を走行不能な状態にすることができる。
【0083】
これにより、盗難車回収支援システムは、盗難車両10の近隣にいると思われる捜索者が保有する捜索協力用端末4に対して盗難車両10の特徴情報、車両システムロック用電子鍵を配布することで、盗難車両10が発見された場合に直ぐにシステムブロックを実施でき、効率的に盗難車10の回収ができる。
【0084】
ここで、現在日本の携帯電話事業者の通話エリア人工カバー率は90〜100%と言われているが、実際の面積カバー率は60〜80%と少ない。これは、通話エリアカバー率が、各市町村役所をカバーしていれば通話エリアとしてカバーしていることになっているためである。携帯電話を利用した車載システム2は、20%〜40%の圏外エリアに出てしまうリスクがあり、この場合に、盗難車回収支援システムは、盗難車10が圏外に出てしまった場合に、盗難車10の回収率を向上させることができる。
【0085】
また、この盗難車回収支援システムにおいて、車載システム2は、捜索協力用端末4から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて車両を走行不能とする動作をした後に、ブロック成功結果としてのシステムブロック結果応答S24及びGPS通信機2bにより取得した現在位置を捜索協力用端末4に送信し、捜索協力用端末4は、車載システム2から送信されたブロック成功結果及び位置を保存することができる。これにより、盗難車回収支援システムによれば、既に他の用途として車両、携帯電話に搭載されている近距離通信機2c、近距離通信機4aを用いてデータの通信ができ、捜索協力用端末4にブロック成功結果と位置情報を保存することで、車両回収に必要な位置情報、車両ブロック成功などの情報を、通信データとしてセンタ装置1に送信することができる。よって、確実に盗難車10の回収率を向上させることができる。
【0086】
更に、この盗難車回収支援システムによれば、捜索協力用端末4は、基地局3との通信が可能な範囲に存在する場合に、記憶しているブロック成功結果及び現在位置を、センタ装置1に送信し、センタ装置1は、捜索協力用端末4からブロック成功結果及び現在位置を受信した後に、盗難車両詳細情報S22を送信した捜索協力用端末4に対して、捜索終了情報を送信し、捜索協力用端末4は、センタ装置1から捜索終了情報を受信した後に、受信した盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を破棄する。これにより、盗難車回収支援システムによれば、盗難車10に対してシステムブロックが実施され、盗難車10が発見された事が判明し、他の捜索者が当該盗難車両10の捜索を中止することができる。
【0087】
更にまた、この盗難車回収支援システムによれば、センタ装置1から定期的に盗難発生地点Pを含む領域内に盗難車両システムブロックコマンドS6を送信し、盗難車両システムブロックコマンドS6を送信したことに対して車載システム2から車両を走行不能にしたことの応答データとしての自車位置S7を受信した場合に、盗難車10の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を受信した捜索協力用端末4に対して、システムブロック用電子鍵破棄指示S26を送信できる。これにより、盗難車10に対してシステムブロックが実施され、盗難車10が発見された事が判明し、他の捜索者が当該盗難車両10の捜索を中止することができる。
【0088】
また、センタ装置1と捜索協力者の捜索範囲を効率的に分離できる。特に、携帯電話の通話圏外エリアは人目につきにくい場所となるので、人手による検索に頼らざるを得ない。そのため、自動的にセンタ装置1から盗難車両システムブロックコマンドS6を送信する領域と、捜索協力用端末4により盗難車10を捜索する領域とを分離することができる。
【0089】
更にまた、この盗難車回収支援システムによれば、車載システム2に予め車両を走行不能とするシステムブロック用電子鍵を記憶しておき、捜索協力用端末4からシステムブロック用電子鍵が送信された場合に、当該送信されたシステムブロック用電子鍵と、前記記憶手段に記憶されたシステムブロック用電子鍵とが合致した場合に、車両を走行不能とする動作を行って、記憶されたシステムブロック用電子鍵を破棄する。これにより、盗難車回収支援システムは、車載システム2がシステムブロックを行った後には、他の捜索協力用端末4に配布されたシステムブロック用電子鍵の有効性を失わせて、盗難車10の捜索を中止することができる。
【0090】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 センタ装置
1a 通信機
1b メッセージ作成部
1c 基地局制御部
2 車載システム
2a 携帯電話通信機
2b GPS通信機
2c 近距離通信機
2d 盗難車追跡装置
2da システムブロック用電子鍵データ用記憶媒体
2e’ エンジン始動制御装置
2e 車両システムブロック機能部
2f 制御部
3 基地局
3a 通信機
4 捜索協力用端末
4a 近距離通信機
4b 携帯電話通信機
4c GPS通信機
4d 電子メール機能部
4e システムブロック電子鍵データ用記憶媒体
4f 盗難車両システムブロック操作部
5 盗難発見者端末
5a 携帯電話通信機
5b GPS通信機
5c 電子メール機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載システムと、捜索協力用端末と、センタ装置との間で情報の通信処理を行う盗難車回収支援システムであって、
前記センタ装置は、盗難発生地点に存在する無線通信用基地局を介して、当該無線通信用基地局を中心にした所定エリア内に存在する前記捜索協力用端末に対して、盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を送信し、
前記捜索協力用端末は、前記センタ装置から送信された盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を受信した場合に、前記盗難車両に搭載された車載システムに対して、前記システムブロック用電子鍵を送信し、
前記車載システムは、前記捜索協力用端末から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて、車両を走行不能とする動作を行うこと
を特徴とする盗難車回収支援システム。
【請求項2】
前記車載システムは、前記捜索協力用端末から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて車両を走行不能とする動作をした後に、ブロック成功結果及び位置情報取得手段により取得した現在位置を前記捜索協力用端末に送信し、
前記捜索協力用端末は、前記車載システムから送信されたブロック成功結果及び位置を保存すること
を特徴とする請求項1に記載の盗難車回収支援システム。
【請求項3】
前記捜索協力用端末は、前記無線通信用基地局との通信が可能な範囲に存在する場合に、前記記憶しているブロック成功結果及び現在位置を、前記センタ装置に送信し、
前記センタ装置は、前記捜索協力用端末からブロック成功結果及び現在位置を受信した後に、前記盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を受信した前記捜索協力用端末に対して、捜索終了情報を送信し、
前記捜索協力用端末は、前記センタ装置から捜索終了情報を受信した後に、受信した盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を破棄すること
を特徴とする請求項2に記載の盗難車回収支援システム。
【請求項4】
前記センタ装置は、前記無線通信用基地局を介して、前記車載システムにより車両を走行不能にするシステムブロックコマンドを、定期的に盗難発生地点を含む領域内に送信し、
前記センタ装置は、前記システムブロックコマンドを送信したことに対して前記車載システムから車両を走行不能にしたことの応答データを受信した場合に、前記盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を受信した前記捜索協力用端末に対して、捜索終了情報を送信し、
前記捜索協力用端末は、前記センタ装置から捜索終了情報を受信した後に、受信した盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を破棄すること
を特徴とする請求項2に記載の盗難車回収支援システム。
【請求項5】
前記車載システムは、予め車両を走行不能とするシステムブロック用電子鍵を記憶する記憶手段を備え、
前記捜索協力用端末からシステムブロック用電子鍵が送信された場合に、当該送信されたシステムブロック用電子鍵と、前記記憶手段に記憶されたシステムブロック用電子鍵とが合致した場合に、車両を走行不能とする動作を行って、前記記憶手段に記憶されたシステムブロック用電子鍵を破棄すること
を特徴とする請求項1に記載の盗難車回収支援システム。
【請求項6】
車載システムと、捜索協力用端末と、センタ装置との間で情報の通信処理を行う盗難車回収支援方法であって、
前記センタ装置が、盗難発生地点に存在する無線通信用基地局を介して、当該無線通信用基地局を中心にした所定エリア内に存在する前記捜索協力用端末に対して、盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を送信して、前記捜索協力用端末が、前記センタ装置から送信された盗難車両の特徴情報及び盗難車両のシステムブロック用電子鍵を記憶しておき、
前記捜索協力用端末が、前記盗難車両と近距離無線通信範囲に存在する時に、前記盗難車両に搭載された車載システムに対して前記システムブロック用電子鍵を送信し、
前記車載システムは、前記捜索協力用端末から送信されたシステムブロック用電子鍵を用いて、車両を走行不能とする動作を行うこと
を特徴とする盗難車回収支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−13745(P2011−13745A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155055(P2009−155055)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】