説明

監視カメラ装置

【課題】 カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることのできる監視カメラ装置を提供する。
【解決手段】 監視カメラ装置1Aは、カラーモードと白黒モードの切換え可能な光学フィルタ4と、映像信号処理部5Aと、切換え制御部6Aと、フィルタ切替えモータ7を備える。切換え制御部6Aの増幅度判定部12は、信号レベルの増幅度がカラーモード確定ゾーンにあるときにカラーモードを選択し、信号レベルの増幅度が白黒モード確定ゾーンにあるときに白黒モードを選択する。切換え制御部6AのRB判定部13は、信号レベルの増幅度がカラー白黒不確定ゾーンにあるときに、映像信号のR成分とB成分に基づいてカラーモードまたは白黒モードのいずれか一方を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタの切換え機能を備えた監視カメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラ装置として、昼間および夜間を通じて鮮明な映像を得るために、光学フィルタの切換え装置を備えた監視カメラ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。従来の監視カメラ装置では、例えばCCDなどの撮像素子の前面に、映像信号の信号レベルの増幅度に応じて光学フィルタを切り換える光学フィルタ切換え装置が設けられている。この光学フィルタは、昼間の撮影用のカラーフィルタと、夜間の撮影用の白黒フィルタで構成されている。
【0003】
例えば、昼間の明るい映像の撮影を行う場合には、情報量の多いカラー映像が適している。撮像素子として用いられるCCDは、一般に、赤外線領域の感度のほうが可視光領域の感度に比べて高い。そのため、カラーの監視映像を撮影する場合には、光学フィルタとしてIRカットフィルタ(赤外線カットフィルタ)が用いられる。すなわち、このIRカットフィルタが、カラーモード撮影用のカラーフィルタとして用いられる。このカラーフィルタ(IRカットフィルタ)を用いることにより、赤外線領域の感度を下げて、可視光領域の感度を相対的に上げる。このように、従来の監視カメラ装置では、カラーフィルタ(IRカットフィルタ)を用いて、昼間の鮮明な監視映像(カラー映像)を撮影する。
【0004】
一方、夜間の暗い映像の撮影を行う場合には、少しでも撮像素子(CCD)の感度を上げるために、赤外線を透過するIRノンカットフィルタ(赤外線ノンカットフィルタ)が光学フィルタとして用いられる。IRノンカットフィルタは、例えば光学ガラス板などで構成されている。そして、夜間の監視映像の撮影は、映像の色情報よりも感度を重視する白黒モードで行われる。すなわち、このIRノンカットフィルタが、白黒モード撮影用の白黒フィルタとして用いられる。この白黒フィルタ(IRノンカットフィルタ)を用いることにより、入射光量の少ない夜間でも、撮像素子(CCD)の感度を上げる。このように、従来の監視カメラでは、白黒フィルタ(IRノンカットフィルタ)を用いて、夜間の鮮明な監視映像(白黒映像)を撮影する。
【特許文献1】特開2001−75140号公報(第3−5頁、第2図、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の監視カメラ装置においては、映像信号の信号レベルの増幅度のみを基準として、光学フィルタ(カラーフィルタと白黒フィルタ)の切換えの判定が行われる。その場合、照明の種類によっては、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定を正確に行うのが難しく、誤判定が生じてしまうことがある。例えば、夜間用の照明(ハロゲンライトやナトリウム灯など)で照らされた監視場所(駐車場や工場など)を監視する場合、夜間用の照明でも充分に明るいため、映像信号の信号レベルがある程度高くなる。そのため、本来は夜間用の白黒フィルタでの撮影が適しているにもかかわらず、カラーフィルタに切り換えられてしまうことがある。また、昼間の撮影であっても、曇りや雨の日では明るさが充分でなく、映像信号の信号レベルが低くなってしまう。そのため、本来は昼間用のカラーフィルタでの撮影が適しているにもかかわらず、白黒フィルタに切り換えられてしまうことがある。
【0006】
また、従来の監視カメラ装置では、監視場所(被写体)によっては、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定を正確に行うのが難しく、誤判定が生じてしまうことがある。この場合、映像信号の信号レベルの増幅度は、映像信号の信号レベルの平均値に基づいて決定される。したがって、例えば、昼間の撮影であっても、監視映像のなかに極端に暗い低輝度レベル領域(例えば、屋内・屋外の同時撮影時における暗い屋内領域)が存在すると、映像信号の信号レベルの平均値が低くなる。そのため、本来は昼間用のカラーフィルタでの撮影が適しているにもかかわらず、白黒フィルタに切り換えられてしまうことがある。逆に、夜間の撮影であっても、監視映像のなかに極端に明るい高輝度レベル領域(例えば、屋外撮影時における明るい街灯)が存在すると、映像信号の信号レベルの平均値が高くなる。そのため、本来は夜間用の白黒フィルタでの撮影が適しているにもかかわらず、カラーフィルタに切り換えられてしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることのできる監視カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の監視カメラ装置は、カラーモード撮影用のカラーフィルタおよび白黒モード撮影用の白黒フィルタと、映像信号の信号レベルが所定のカラー基準レベル以上のカラーモード確定ゾーンにあるときに、前記カラーフィルタを撮影用フィルタとして選択するレベル判定を行い、かつ、前記映像信号の信号レベルが所定の白黒基準レベル以下の白黒モード確定ゾーンにあるときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択するレベル判定を行うレベル判定手段と、前記映像信号の信号レベルが前記カラー基準レベルより低く前記白黒基準レベルより高いカラー白黒不確定ゾーンにあるときに、前記映像信号から得られかつ昼間映像と夜間映像とで変化する昼夜映像特性に基づいて、前記カラーフィルタおよび前記白黒フィルタのいずれか一方を前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行う補助判定手段と、前記レベル判定または前記補助判定の判定結果に基づいて、前記カラーフィルタと前記白黒フィルタの切換えを行うフィルタ切換え手段と、を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、映像信号の信号レベルに基づいて、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定(レベル判定)を行うことができる。すなわち、映像信号の信号レベルがカラー基準レベル以上のカラーモード確定ゾーンにある場合(例えば、昼間の明るい映像の撮影を行う場合)には、カラーモード撮影用のカラーフィルタに切り換えられる。一方、映像信号の信号レベルが白黒基準レベル以下の白黒モード確定ゾーンにある場合(例えば、夜間の暗い映像の撮影を行う場合)には、白黒モード撮影用の白黒フィルタに切り換えられる。そのうえ、上記のようなレベル判定を正確に行うことが困難な場合には、映像信号から得られる昼夜映像特性に基づいて、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定(補助判定)を行うことができる。すなわち、映像信号の信号レベルがカラー白黒不確定ゾーンにある場合(例えば、昼間の映像でも明るさが不十分な場合や、夜間の映像でも充分に明るい場合)には、昼間映像と夜間映像とで変化する昼夜映像特性に基づいて、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えが行われる。したがって、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定精度が向上する。
【0010】
また、本発明の監視カメラ装置は、前記補助判定手段は、前記映像信号の昼特徴色の色成分が所定の昼基準量より多いときに、前記カラーフィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行い、かつ、前記映像信号の夜特徴色の色成分が所定の夜基準量より多いときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行う構成を有している。
【0011】
この構成により、レベル判定を正確に行うことが困難な場合に、映像信号の色成分に基づいて、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定(補助判定)を行うことができる。すなわち、映像信号の昼特徴色の色成分が多い場合(例えば、明るさが不十分な昼間の映像の撮影を行う場合)には、カラーフィルタに切り換えられる。一方、映像信号の夜特徴色の色成分が多い場合(例えば、明るさが十分な夜間の映像の撮影を行う場合)には、白黒フィルタに切り換えられる。これにより、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定精度が向上する。
【0012】
また、本発明の監視カメラ装置は、前記補助判定手段は、前記映像信号の信号レベルが所定のしきいレベル以上である高輝度レベル領域が所定の昼基準領域よりも広いときに、前記カラーフィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行い、かつ、前記高輝度レベル領域が所定の夜基準領域より狭いときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行う構成を有している。
【0013】
この構成により、レベル判定を正確に行うことが困難な場合に、映像信号の高輝度レベル領域に基づいて、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定(補助判定)を行うことができる。すなわち、高輝度レベル領域が広い場合(例えば、昼間、暗い屋内から窓越しに明るい屋外を写した場合)には、カラーフィルタに切り換えられる。一方、高輝度レベル領域が狭い場合(例えば、夜間、暗い屋外を写したときに、明るい街灯が含まれている場合)には、白黒フィルタに切り換えられる。これにより、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定精度が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、レベル判定手段によるレベル判定を補助する補助判定を行う補助判定手段を設けることにより、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーフィルタと白黒フィルタの切換えの判定精度が向上するという効果を有する監視カメラ装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の監視カメラ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、昼間および夜間を通じた常時監視に用いられる監視カメラ装置等の場合を例示する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の監視カメラ装置を図1〜図4を用いて説明する。図1は、本実施の形態の監視カメラ装置1Aのブロック図である。図1に示すように、監視カメラ装置1Aは、CCDやCMOS等の固体撮像素子2(以下、撮像素子2という)を備えている。撮像素子2の前側には、撮像素子2の撮像面に入射光を集束させるレンズ3と、カラーモードと白黒モードの切換え可能な光学フィルタ4が備えられている。また、監視カメラ装置1Aは、撮像素子2から得られた映像信号に各種の処理を施す映像信号処理部5Aと、光学フィルタ4のモードの切換えを制御する切換え制御部6Aと、光学フィルタ4のモードの切換えを行うためのフィルタ切換えモータ7を備えている。
【0017】
図2は、光学フィルタ4の説明図である。図2に示すように、光学フィルタ4は、レンズ3の光軸上に位置するように、撮像素子2とレンズ3との中間に配置されている。そして、本実施の形態の光学フィルタ4は、光学ガラス板80で構成された白黒フィルタ8と、光学ガラス板90とIRカットフィルタ91(赤外線カットフィルタ)で構成されたカラーフィルタ9を備えている。ここで、光学ガラス板80、90は、いわゆる光学ローパスフィルタであり、不要な光学信号(擬似信号)をカットして画質を向上させることができるものである。IRカットフィルタ91は、赤外線の波長領域の光を吸収して撮像素子2の赤外線領域の感度を下げることができるものである。
【0018】
図2に示すように、白黒フィルタ8とカラーフィルタ9は、フィルタ切換えモータ7によって、レンズ3の光軸上に移動可能(入れ替え可能)となっている。白黒フィルタ8が光軸上に配置された状態が、光学フィルタ4の白黒モードであり、カラーフィルタ9が光軸上に配置された状態が、光学フィルタ4のカラーモードである。ここでは、カラーモードの光学フィルタ4(カラーフィルタ9)が、本発明のカラーフィルタに相当する。また、白黒モードの光学フィルタ4(白黒フィルタ8)が、本発明の白黒フィルタに相当する。そして、フィルタ切換えモータ7が、本発明のフィルタ切換え手段に相当する。
【0019】
映像信号処理部5Aは、撮像素子2からの映像信号を増幅する映像信号増幅部10と、増幅した映像信号をR成分(赤色成分)とG成分(緑色成分)とB成分(青色成分)に分離するRGB分離部11を備えている(図1参照)。
【0020】
映像信号増幅部10は、映像信号の平均の信号レベルに応じた増幅度で、映像信号を増幅するように構成されている。例えば、昼間の明るい映像を撮影したときには、映像信号の平均の信号レベルが高いので、増幅度が小さくて済む。そのため、映像信号増幅部10では、小さい増幅度で映像信号を増幅する処理が行われる。一方、夜間の暗い映像を撮影したときには、映像信号の平均の信号レベルが低いので、増幅度を大きくする必要がある。そのため、映像信号増幅部10では、大きい増幅度で映像信号を増幅する処理が行われる。
【0021】
RGB分離部11では、増幅された映像信号をR成分(赤色成分)とG成分(緑色成分)とB成分(青色成分)に分離する処理が行われる。昼間に監視映像の撮影を行う場合と夜間に監視映像の撮影を行う場合とでは、それぞれ照明の色温度が異なる。例えば、夜間に駐車場や工場などの監視映像の撮影を行うときには、ハロゲンライトやナトリウム灯などの夜間用の照明が用いられることが多い。これらの夜間用の照明の光には、B成分よりもR成分が多く含まれている。一方、昼間の監視映像の撮影は、昼間の自然光のもとで行われることが多い。そして、昼間の屋外の自然光には、R成分よりもB成分が多く含まれている。したがって、ここでは、R成分(赤色成分)が、本発明の夜特徴色の色成分に相当する。また、B成分(青色成分)が、本発明の昼特徴色の色成分に相当する。本実施の形態では、R成分(夜特徴色の色成分)としてRGB信号におけるR信号が用いられる。また、B成分(昼特徴色の色成分)としてRGB信号におけるB信号が用いられる。
【0022】
切換え制御部6Aは、信号レベルの増幅度に応じて光学フィルタ4のモードの切換えの判定を行う増幅度判定部12と、R成分とB成分の量に応じて光学フィルタ4のモードの切換えの判定を行うRB判定部13を備えている。
【0023】
増幅度判定部12は、映像信号増幅部10で映像信号を増幅するときの増幅度に基づいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定を行うように構成されている。増幅度判定部12では、増幅度が基準増幅度A1以下のカラーモード確定ゾーンにあるときに、カラーモードを選択する処理が行われる。また、増幅度判定部12では、増幅度が基準増幅度A2以上の白黒モード確定ゾーンにあるときに、白黒モードを選択する処理が行われる。
【0024】
上述のように、例えば、昼間の明るい映像を撮影したときのように、映像信号の平均の信号レベルが高いほど、信号レベルの増幅度は小さい。また、夜間の暗い映像を撮影したときのように、映像信号の平均の信号レベルが低いほど、信号レベルの増幅度は大きくなる。ここでは、基準増幅度A1(基準信号レベルX1に対応する)が、本発明のカラー基準レベルに相当する。また、基準増幅度A2(基準信号レベルX2に対応する)が、本発明の白黒基準レベルに相当する。そして、上記のような増幅度判定が、本発明のレベル判定に相当し、増幅度判定部12が、本発明のレベル判定手段に相当する。
【0025】
RB判定部13は、増幅度が基準増幅度A1より大きく基準増幅度A2より小さいカラー白黒不確定ゾーンにあるときに、R成分とB成分の量に応じてカラーモードと白黒モードの切換えの判定を行うように構成されている。本実施の形態のRB判定部13では、信号レベルの増幅度がカラー白黒不確定ゾーンの増幅度A(A1<A<A2)であるときに、R成分とB成分との割合(B/R)に基づくRB判定が行われる。例えば、B/Rが所定の基準量αより大きいとき(B/R>αのとき)には、カラーモードを選択する処理が行われる。言い換えれば、昼特徴色の色成分Bがα×Rより大きいとき(B>α×Rのとき)に、カラーモードを選択する処理が行われる。一方、B/Rが基準量αより小さいとき(B/R<α)には、白黒モードを選択する処理が行われる。言い換えれば、夜特徴色の色成分RがB/αより大きいとき(R>B/αのとき)に、カラーモードを選択する処理が行われる。ここでは、α×Rが、本発明の昼基準量に相当する。また、B/αが、本発明の夜基準量に相当する。なお、基準量αは、増幅度Aに応じて定まる所定の基準量である。例えば、基準量αは、関数fを用いて下記のように定められる。下記の式において、aおよびbは、所定の定数である。
α=f(A)=a×A+b (A1<A<A2)
【0026】
例えば、夜間用の照明を用いて監視映像が撮影された場合、映像信号の平均の信号レベルがある程度高くなる。そのような場合であっても、B/Rが基準量αより小さいときには、白黒モードが選択される。また、例えば、昼間の監視映像であっても、曇りや雨の日に撮影が行われた場合、映像信号の平均の信号レベルがある程度低くなる。そのような場合であっても、B/Rが所定の基準量αより大きいときには、カラーモードが選択される。ここでは、R成分とB成分の量が、本発明の昼夜映像特性に相当する。そして、上記のようなRB判定が、本発明の補助判定に相当し、RB判定部13が、本発明の補助判定手段に相当する。
【0027】
以上のように構成された監視カメラ装置1Aについて、図3および図4を用いてその動作を説明する。ここでは、光学フィルタ4のモード(カラーモードと白黒モード)の切換えの動作を中心に説明する。図3は、増幅度判定部12の動作(増幅度判定)を説明するためのフロー図である。また、図4は、RB判定部13の動作(RB判定)を説明するためのフロー図である。
【0028】
本発明の第1の実施の形態の監視カメラ装置1Aの切換え制御部6Aにおいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定が行われるときには、まず、増幅度判定部12において増幅度判定が行われる。増幅度判定部12では、図3に示すような増幅度判定処理が行われる。
【0029】
本実施の形態では、まず、信号レベルの増幅度の読込み処理が行われる(S101)。そして、その増幅度が基準増幅度A1以下であるか否かの判断が行われる(S102)。増幅度が基準増幅度A1以下である場合には、カラーモードが選択される(S103)。すなわち、増幅度がカラーモード確定ゾーンにある場合には、カラーモードでの撮影が選択される。
【0030】
増幅度が基準増幅度A1より大きい場合には、その増幅度が基準増幅度A2以上であるか否かの判断が行われる(S104)。増幅度が基準増幅度A2以上である場合には、白黒モードが選択される(S105)。すなわち、増幅度が白黒モード確定ゾーンにある場合には、白黒モードでの撮影が選択される。
【0031】
増幅度が基準増幅度A1より大きく基準増幅度A2より小さい場合、すなわち、増幅度がカラー白黒不確定ゾーンにある場合には、RB判定部13においてRB判定が行われる(S106)。
【0032】
RB判定部13では、図4に示すようなRB判定処理が行われる。本実施の形態では、まず、R成分とB成分の読込み処理が行われる(S107)。そして、B/Rが基準量αより大きいか否かの判断が行われる(S108)。B/Rが所定の基準量αより大きい場合には、カラーモードが選択される(S109)。一方、B/Rが基準量α以下である場合には、白黒モードが選択される(S110)。
【0033】
このような発明の第1の実施の形態の監視カメラ装置1Aによれば、増幅度判定部12による増幅度判定を補助するためのRB判定を行うRB判定部13を設けることにより、カラーモードと白黒モードの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーモードと白黒モードの切換えの判定精度が向上する。
【0034】
すなわち、本実施の形態では、映像信号の信号レベルの増幅度に基づいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定(増幅度判定)を適切に行うことができる。すなわち、映像信号の信号レベルの増幅度が基準増幅度A1以下のカラーモード確定ゾーンにある場合(例えば、昼間の明るい映像の撮影を行う場合)には、カラーモードに切り換えられる。一方、映像信号の信号レベルの増幅度が基準増幅度A2以上の白黒モード確定ゾーンにある場合(例えば、夜間の暗い映像の撮影を行う場合)には、白黒モードに切り換えられる。
【0035】
そのうえ、上記のような増幅度判定を正確に行うことが困難な場合には、映像信号のR成分とB成分に基づいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定(RB判定)を行うことができる。すなわち、映像信号の信号レベルの増幅度がカラー白黒不確定ゾーンにある場合(例えば、昼間の映像でも明るさが不十分な場合や、夜間の映像でも充分に明るい場合)には、昼間映像と夜間映像とで変化するR成分とB成分の量に基づいて、カラーモードと白黒モードの切換えが適切に行われる。したがって、カラーモードと白黒モードの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーモードと白黒モードの切換えの判定精度が向上する。
【0036】
例えば、映像信号の昼特徴色の色成分(B成分)が多い場合(例えば、明るさが不十分な昼間の映像の撮影を行う場合)には、カラーモードに切り換えられる。一方、映像信号の夜特徴色の色成分(R成分)が多い場合(例えば、明るさが十分な夜間の映像の撮影を行う場合)には、白黒モードに切り換えられる。このようにして、照明の種類や色温度が異なる場合であっても、カラーモードと白黒モードの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーモードと白黒モードの切換えの判定精度が向上する。
【0037】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の監視カメラ装置1Bを図5〜図9を用いて説明する。図5は、本実施の形態の監視カメラ装置1Bのブロック図である。図5に示すように、本実施の形態の監視カメラ装置1Bの構成は、第1の実施の形態の監視カメラ装置1Aに対して、RGB分離部11が高輝度レベルブロック検出部14に置き換えられ、RB判定部13が高輝度レベル領域判定部15に置き換えられている点で相違している。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の監視カメラの構成は、第1の実施の形態と同様の構成である。
【0038】
本実施の形態の映像信号処理部5Bは、第1の実施の形態と同様の映像信号増幅部10と、映像信号の信号レベルがしきいレベル以上である高輝度レベルブロックを検出する高輝度レベルブロック検出部14を備えている。
【0039】
高輝度レベルブロック検出部14は、監視映像を複数の小さなブロックに分割し、分割した複数のブロックの中から、映像信号の信号レベルがしきいレベル以上である高輝度レベルブロックを検出するように構成されている。
【0040】
例えば、図6は、監視カメラ装置1Bで撮影した夜間の監視映像の一例を示す図である。図6に示した監視映像は、夜間の屋外を撮影したものであり、この監視映像には、全体的に暗い監視映像の右上に明るい街灯が写っている。この場合、高輝度レベルブロック検出部14では、監視映像の画像中から街灯に対応する明るい領域のブロック(高輝度レベルブロック)が検出される。
【0041】
また、図7は、監視カメラ装置1Bで撮影した昼間の監視映像の一例を示す図である。図7に示した監視映像は、昼間の屋外と屋内を暗い屋内から窓越しに撮影したものであり、この監視映像には、全体的に暗い屋内の監視映像の中央に、窓越しの明るい屋外の映像が写っている。この場合、高輝度レベルブロック検出部14では、監視映像の画像中から窓越しの屋外に対応する明るい領域のブロック(高輝度レベルブロック)が検出される。
【0042】
本実施の形態の切換え制御部6Bは、第1の実施の形態と同様の増幅度判定部12と、高輝度レベルのブロック数に応じて光学フィルタ4のモードの切換えの判定を行う高輝度レベル領域判定部15を備えている。
【0043】
高輝度レベル領域判定部15は、増幅度が基準増幅度A1より大きく基準増幅度A2より小さいカラー白黒不確定ゾーンにあるときに、高輝度レベルのブロック数に応じてカラーモードと白黒モードの切換えの判定を行うように構成されている。本実施の形態の高輝度レベル領域判定部15では、信号レベルの増幅度がカラー白黒不確定ゾーンの増幅度A(A1<A<A2)であるときに、高輝度レベルのブロック数(以下、高輝度ブロック数という)に基づく高輝度レベル判定が行われる。例えば、高輝度ブロック数が所定の基準ブロック数Nより多いとき(高輝度ブロック数>N)には、カラーモードを選択する処理が行われる。一方、高輝度ブロック数が基準ブロック数Nより少ないとき(高輝度ブロック数<Nのとき)には、白黒モードを選択する処理が行われる。ここでは、基準ブロック数Nが、本発明の昼基準領域および夜基準領域に相当する。なお、基準ブロック数Nは、増幅度Aに応じて定まる所定のブロック数である。例えば、基準ブロック数Nは、関数gを用いて下記のように定められる。下記の式において、cおよびdは、所定の定数である。
N=g(A)=c×A+d (A1<A<A2)
【0044】
なお、本実施の形態では、昼基準領域と夜基準領域の大きさが同じである場合を例示したが、昼基準領域と夜基準領域の大きさは互いに異なる大きさであってもよい。例えば、昼基準領域に相当する基準ブロック数がN1であり、夜基準領域に相当する基準ブロック数がN2(≠N1)であってもよい。
【0045】
例えば、図6に示すように、夜間の監視映像であっても明るい街灯が写っている場合には、映像信号の平均の信号レベルがある程度高くなる。そのような場合であっても、高輝度ブロック数が基準ブロック数Nより少ないとき(高輝度レベル領域が狭いとき)には、白黒モードが選択される。
【0046】
また、例えば、図7に示すように、昼間の監視映像であっても暗い屋内から窓越しに撮影している場合には、映像信号の平均の信号レベルがある程度低くなる。そのような場合であっても、高輝度ブロック数が基準ブロック数Nより多いとき(高輝度レベル領域が広いとき)には、カラーモードが選択される。
【0047】
ここでは、高輝度レベルのブロック数が、本発明の昼夜映像特性に相当する。そして、上記のような高輝度レベル領域判定が、本発明の補助判定に相当し、高輝度レベル領域判定部15が、本発明の補助判定手段に相当する。
【0048】
以上のように構成された監視カメラ装置1Bについて、図8および図9を用いてその動作を説明する。ここでは、光学フィルタ4のモード(カラーモードと白黒モード)の切換えの動作を中心に説明する。図8は、増幅度判定部12の動作(増幅度判定)を説明するためのフロー図である。また、図9は、高輝度レベル領域判定部15の動作(高輝度レベル領域判定)を説明するためのフロー図である。
【0049】
本発明の第2の実施の形態の監視カメラ装置1Bの切換え制御部6Bにおいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定が行われるときには、第1の実施の形態と同様、まず、増幅度判定部12において増幅度判定が行われる。増幅度判定部12では、図8に示すような増幅度判定処理が行われる。
【0050】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、まず、信号レベルの増幅度の読込み処理が行われる(S201)。そして、その増幅度が基準増幅度A1以下であるか否かの判断が行われる(S202)。増幅度が基準増幅度A1以下である場合には、カラーモードが選択される(S203)。すなわち、増幅度がカラーモード確定ゾーンにある場合には、カラーモードでの撮影が選択される。
【0051】
増幅度が基準増幅度A1より大きい場合には、その増幅度が基準増幅度A2以上であるか否かの判断が行われる(S204)。増幅度が基準増幅度A2以上である場合には、白黒モードが選択される(S205)。すなわち、増幅度が白黒モード確定ゾーンにある場合には、白黒モードでの撮影が選択される。
【0052】
増幅度が基準増幅度A1より大きく基準増幅度A2より小さい場合、すなわち、増幅度がカラー白黒不確定ゾーンにある場合には、高輝度レベル領域判定部15において高輝度レベル領域判定が行われる(S206)。
【0053】
高輝度レベル領域判定部15では、図9に示すような高輝度レベル領域判定処理が行われる。本実施の形態では、まず、高輝度レベルのブロック数の読込み処理が行われる(S207)。そして、高輝度レベルのブロック数が基準ブロック数Nより多いか否かの判断が行われる(S208)。高輝度レベルのブロック数が基準ブロック数Nより多い場合には、カラーモードが選択される(S209)。一方、高輝度レベルのブロック数が基準ブロック数N以下である場合には、白黒モードが選択される(S210)。
【0054】
このような発明の第2の実施の形態の監視カメラ装置1Bによっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0055】
本実施の形態では、増幅度判定を正確に行うことが困難な場合に、映像信号の高輝度レベル領域の広さ(高輝度レベルのブロック数)に基づいて、カラーモードと白黒モードの切換えの判定(高輝度レベル領域判定)を適切に行うことができる。すなわち、高輝度レベル領域が広い場合(例えば、昼間、暗い屋内から窓越しに明るい屋外を写した場合)には、カラーモードに切り換えられる。一方、高輝度レベル領域が狭い場合(例えば、夜間、暗い屋外を写したときに、明るい街灯が含まれている場合)には、白黒モードに切り換えられる。これにより、明暗や白黒が極端に異なる被写体を撮影する場合であっても、カラーモードと白黒モードの切換えの誤判定が生じるのを抑えることができ、カラーモードと白黒モードの切換えの判定精度が向上する。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0057】
例えば、以上の説明では、R成分(夜特徴色の色成分)としてRGB信号におけるR信号を用い、B成分(昼特徴色の色成分)としてB信号を用いた例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、R成分としてCMYG信号におけるMg(マゼンダ)信号を用い、B成分としてCy(シアン)信号を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる監視カメラ装置は、光学フィルタ(カラーフィルタと白黒フィルタ)の切換えの誤判定が生じるのを抑えることができるという効果を有し、光学フィルタの切換え精度を向上した監視カメラ装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態における監視カメラ装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態における光学フィルタの説明図
【図3】本発明の第1の実施の形態における監視カメラ装置のレベル判定(増幅度判定)のフロー図
【図4】本発明の第1の実施の形態における監視カメラ装置の補助判定(RB判定)のフロー図
【図5】本発明の第2の実施の形態における監視カメラ装置のブロック図
【図6】本発明の第2の実施の形態における高輝度レベル領域(夜間の監視映像)の説明図
【図7】本発明の第2の実施の形態における高輝度レベル領域(昼間の監視映像)の説明図
【図8】本発明の第2の実施の形態における監視カメラ装置のレベル判定(増幅度判定)のフロー図
【図9】本発明の第2の実施の形態における監視カメラ装置の補助判定(高輝度レベル領域判定)のフロー図
【符号の説明】
【0060】
1A、1B 監視カメラ装置
2 撮像素子
4 光学フィルタ
5A、5B 映像信号処理部
6A、6B 切換え制御部
7 フィルタ切換えモータ
8 白黒フィルタ
80 光学ガラス板
9 カラーフィルタ
90 光学ガラス板
91 IRカットフィルタ
10 映像信号増幅部
11 RGB分離部
12 増幅度判定部
13 RB判定部
14 高輝度レベルブロック検出部
15 高輝度レベル領域判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーモード撮影用のカラーフィルタおよび白黒モード撮影用の白黒フィルタと、
映像信号の信号レベルが所定のカラー基準レベル以上のカラーモード確定ゾーンにあるときに、前記カラーフィルタを撮影用フィルタとして選択するレベル判定を行い、かつ、前記映像信号の信号レベルが所定の白黒基準レベル以下の白黒モード確定ゾーンにあるときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択するレベル判定を行うレベル判定手段と、
前記映像信号の信号レベルが前記カラー基準レベルより低く前記白黒基準レベルより高いカラー白黒不確定ゾーンにあるときに、前記映像信号から得られかつ昼間映像と夜間映像とで変化する昼夜映像特性に基づいて、前記カラーフィルタおよび前記白黒フィルタのいずれか一方を前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行う補助判定手段と、
前記レベル判定または前記補助判定の判定結果に基づいて、前記カラーフィルタと前記白黒フィルタの切換えを行うフィルタ切換え手段と、
を備えたことを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】
前記補助判定手段は、
前記映像信号の昼特徴色の色成分が所定の昼基準量より多いときに、前記カラーフィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行い、かつ、前記映像信号の夜特徴色の色成分が所定の夜基準量より多いときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記補助判定手段は、
前記映像信号の信号レベルが所定のしきいレベル以上である高輝度レベル領域が所定の昼基準領域よりも広いときに、前記カラーフィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行い、かつ、前記高輝度レベル領域が所定の夜基準領域より狭いときに、前記白黒フィルタを前記撮影用フィルタとして選択する補助判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−300374(P2007−300374A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126443(P2006−126443)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】