説明

監視システムおよび警告方法

【課題】点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる監視システムを得る。
【解決手段】状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ12を備えたエレベータ装置1を監視するエレベータ監視装置3と、エレベータ監視装置3との間で通信が可能である端末装置5とを備えたエレベータ監視システム2であって、点検用スイッチ12の状態が点検状態である場合であって、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となった場合に、エレベータ監視装置3から通報開始情報が入力されて、通報を行う通報サーバ6と、通報サーバ6の通報を受ける携帯電話装置8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせるための監視システムおよびこの監視システムを用いた警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータ本体の異常を検出する異常検出装置と、機械室の蓋が回動することによる機械室の出入口の開閉を検出する開閉検出装置と、機械室内に設けられ、操作されることにより状態が通常状態と点検状態とに入れ替わり、状態が点検状態の場合に異常検出装置の検出信号を無効にし、状態が通常状態の場合に異常検出装置の検出信号を有効にする点検用スイッチとを備えたエスカレータが知られている。このエスカレータには、点検用スイッチの状態が点検状態である場合であって、機械室の出入口が閉じられていることを開閉検出装置が検出した場合に点灯する警告用照明灯を備えた警告装置が設けられている。作業者は、機械室の出入口を開けて、点検用スイッチの状態を点検状態にした後に、エスカレータ本体の点検を行う。点検作業終了後に、作業者が点検用スイッチの状態を点検状態から通常状態に切り替えずに、機械室の出入口が閉じられた場合には、警告用照明灯が点灯する。これにより、点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせることができ、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態のままとなってしまうことが抑制される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−24040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業者が警告用照明灯の点灯を見落とした場合には、点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に知らせることができず、点検作業が終了しているにもかかわらず、点検用スイッチの状態が点検状態のままとなってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる監視システムおよびこの監視システムを用いた警告方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る監視システムは、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、前記監視装置との間で通信が可能である端末装置とを備えた監視システムであって、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、前記監視装置と前記端末装置との間の通信が不能となった場合に、前記監視装置から通報開始情報が入力されて、通報を行う通報装置と、前記通報装置の前記通報を受ける受信装置とを備えている。
【0007】
この発明に係る警告方法は、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、前記監視装置との間で通信が可能である端末装置と、前記監視装置から通報開始情報が入力される通報装置と、前記通報装置の通報を受ける受信装置とを備えた監視システムを用いた警告方法であって、前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、前記監視装置と前記端末装置との間の通信が不能となった場合に、前記監視装置から前記通報装置に前記通報開始情報が入力されて、前記通報装置が前記通報を行う通報工程と、前記通報装置の前記通報を前記受信装置が受ける受信工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る監視システムによれば、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、監視装置との間で通信が可能である端末装置とを備えた監視システムであって、点検用スイッチの状態が点検状態である場合であって、監視装置と端末装置との間の通信が不能となった場合に、監視装置から通報開始情報が入力されて、通報を行う通報装置と、通報装置の通報を受ける受信装置とを備えているので、点検作業が終了し、点検用スイッチの状態が点検状態のまま、作業者が監視装置と端末装置との間の通信が不能となるように端末装置を操作したり端末装置を持ち出したりした場合に、通報装置が通報を行い、受信装置が通報装置の通報を受ける。これにより、例えば、作業者が受信装置を所持している場合には、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【0009】
この発明に係る警告方法によれば、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、監視装置との間で通信が可能である端末装置と、監視装置から通報開始情報が入力される通報装置と、通報装置の通報を受ける受信装置とを備えた監視システムを用いた警告方法であって、点検用スイッチの状態が点検状態である場合であって、監視装置と端末装置との間の通信が不能となった場合に、監視装置から通報装置に通報開始情報が入力されて、通報装置が通報を行う通報工程と、通報装置の通報を受信装置が受ける受信工程とを備えているので、点検作業が終了し、点検用スイッチの状態が点検状態のまま、作業者が監視装置と端末装置との間の通信が不能となるように端末装置を操作したり端末装置を持ち出したりした場合に、通報装置が通報を行い、受信装置が通報装置の通報を受ける。これにより、例えば、作業者が受信装置を所持している場合には、点検作業終了後に点検用スイッチの状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータシステムを示すブロック図である。
【図2】図1のスイッチ状態通知部の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の通報メール送信部の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2に係るエレベータシステムを示すブロック図である。
【図5】図4のスイッチ状態通知部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータシステムを示すブロック図である。図において、エレベータシステムは、エレベータ装置(監視対象装置)1と、エレベータ装置1の監視およびエレベータ装置1の点検を行うためのエレベータ監視システム(監視システム)2とを備えている。エレベータ監視システム2は、エレベータ装置1の動作を監視するエレベータ監視装置(監視装置)3と、エレベータ監視装置3に接続された無線LANアクセスポイント4と、エレベータ装置1を点検する際に用いられる端末装置5と、通報メールの送信により通報を行う通報サーバ(通報装置)6と、エレベータ監視装置3と通報サーバ6との間に設けられた公衆回線7と、通報メールの受信により通報サーバ6の通報を受ける携帯電話装置(受信装置)8と、通報サーバ6と携帯電話装置8との間に設けられた携帯電話回線9とを備えている。端末装置5は、無線LANアクセスポイント4を介してエレベータ監視装置3との間の無線LAN通信による通信が可能となっている。端末装置5および携帯電話装置8は、エレベータ装置1の点検作業を行う作業者により所持される。
【0013】
エレベータ装置1は、かご(図示せず)の昇降等を制御するエレベータ制御部11と、操作されることにより状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ12と、エレベータ制御部11に接続されたネットワーク通信部13と、ネットワーク通信部13に接続されたシリアル通信部14とを有している。エレベータ制御部11には、点検用スイッチ12の状態の情報等のエレベータ装置1の状態の情報が入力されるようになっている。また、エレベータ制御部11には、エレベータ装置1を特定する情報である号機番号の情報やエレベータ装置1が設置されているビルの名前の情報が記憶されている。
【0014】
図1では、エレベータ制御部11に接続された点検用スイッチ12の数が1個であるエレベータ装置1を示しているが、この例では、4個の点検用スイッチ12をエレベータ装置1が備え、それぞれの点検用スイッチ12がエレベータ制御部11に接続されている。4個の点検用スイッチ12は、点検作業中である旨を表示装置(図示せず)に表示させるためのメンテナンススイッチ、かごの天井に設けられた照明装置(図示せず)を点滅点灯させるための点検スイッチ、停電時自動着床装置(図示せず)の駆動を停止させるための駆動停止スイッチ、エレベータ制御部11を収容する制御盤(図示せず)の扉の回動による操作口の開閉を検出する制御盤扉開閉スイッチから構成されている。メンテナンススイッチおよび点検スイッチの状態は、通常状態の場合に、オフ状態となり、点検状態の場合に、オン状態となる。駆動停止スイッチおよび制御盤扉開閉スイッチの状態は、通常状態の場合に、オン状態となり、点検状態の場合に、オフ状態となる。点検用スイッチ12は、エレベータ装置1が通常運転を行う場合に、状態が通常状態となるように作業者により操作され、エレベータ装置1の点検を行う場合に、状態が点検状態となるように作業者により操作される。
【0015】
エレベータ監視装置3は、点検用スイッチ12の状態の情報等のエレベータ装置1の状態の情報をエレベータ制御部11から読み出すエレベータ監視部31と、エレベータ監視部31が読み出したエレベータ装置1の情報の中から点検用スイッチ12の状態の情報とエレベータ装置1の号機番号の情報とを読み出すスイッチ状態通知部32と、エレベータ監視部31およびスイッチ状態通知部32のそれぞれに接続されたネットワーク通信部33と、ネットワーク通信部33とエレベータ装置1のシリアル通信部14とに接続されたシリアル通信部34と、ネットワーク通信部33と無線LANアクセスポイント4とに接続されたLAN通信部35とを有している。エレベータ制御部11およびエレベータ監視部31は、ネットワーク通信部13、シリアル通信部14、シリアル通信部34およびネットワーク通信部33を介して、互いに通信可能となっている。
【0016】
スイッチ状態通知部32は、点検用スイッチ12の状態が通常状態である場合の点検用スイッチ12の状態の情報が予め記憶される記憶領域(図示せず)と、エレベータ監視部31から読み出した点検用スイッチ12の状態の情報が記憶される記憶領域(図示せず)とを有している。スイッチ状態通知部32は、予め記憶されている点検用スイッチ12の状態の情報と、エレベータ監視部31から読み出した点検用スイッチ12の状態の情報とを比較して、点検用スイッチ12の状態が通常状態であるか点検状態であるかを判定する。
【0017】
端末装置5は、無線LANアクセスポイント4が発する電波を受ける無線LAN通信部51と、無線LAN通信部51に接続されたネットワーク通信部52と、エレベータ装置1の故障履歴やエレベータ装置1の状態等の点検に必要なエレベータ装置1の情報がエレベータ監視部31から入力される保守ツール部53とを有している。保守ツール部53には、端末装置5を操作する作業者を特定するID(Identification)(作業者情報)が、作業者による端末装置5の操作により入力されるようになっている。
【0018】
ネットワーク通信部33およびネットワーク通信部52は、無線LAN通信部51が無線LANアクセスポイント4の電波を受信可能な領域に位置する場合であって、端末装置5が起動している場合に、LAN通信部35、無線LANアクセスポイント4および無線LAN通信部51を介して、互いに通信可能となる。ネットワーク通信部33とネットワーク通信部52との間の通信が可能である場合に、エレベータ監視部31と保守ツール部53との間の接続が可能となる。スイッチ状態通知部32は、ネットワーク通信部33とネットワーク通信部52との間の通信が可能であるか否かについて判定する。また、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31と保守ツール部53との間が接続されているか否かについても判定する。
【0019】
エレベータ監視装置3および端末装置5は、ネットワーク通信部33およびネットワーク通信部52が互いに通信可能である場合に、互いに通信可能となる。したがって、無線LAN通信部51が無線LANアクセスポイント4の電波を受信可能な領域に位置しない場合、または、端末装置5が起動していない場合に、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となる。
【0020】
通報サーバ6は、公衆回線7および携帯電話回線9に接続された通報メール送信部61と、端末装置5を操作する作業者を特定するIDと作業者が所持する携帯電話装置8を特定するメールアドレス(受信装置情報)とが対応するメールアドレス変換テーブル(変換テーブル)62とを有している。通報メール送信部61には、端末装置5を操作する作業者のIDおよびエレベータ装置1の号機番号の情報を含んだ通報開始情報が公衆回線7を介してスイッチ状態通知部32から入力されるようになっている。
【0021】
携帯電話装置8は、携帯電話回線9を介して通報サーバ6の通報メールを受信する通報メール受信部81を有している。通報メール受信部81は、通報サーバ6の通報メールを受信することにより、図示しない表示部に、通報メール文を表示させる。通報メール文の具体例としては、例えば、1号機のエレベータ装置1の点検用スイッチ12の状態が点検状態のままであることを通報する場合に、「1号機のスイッチが点検状態のままです。通常状態に戻してください。」とする通報メール文が挙げられる。なお、通報メール文には、エレベータ装置1が取り付けられているビルの名称や、エレベータ装置1の管理番号等が含まれてもよい。
【0022】
次に、スイッチ状態通知部32の動作について説明する。図2は図1のスイッチ状態通知部32の動作を示すフローチャートである。エレベータ監視部31は、エレベータ制御部11から点検用スイッチ12の状態の情報とエレベータ装置1の号機番号の情報とを定期的に読み出しており(点検用スイッチ状態情報入力工程)、エレベータ監視部31には、点検用スイッチ12の状態の情報とエレベータ装置1の号機番号の情報とが記憶されている。まず、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31と保守ツール部53とが接続されているか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101で、エレベータ監視部31と保守ツール部53とが接続されていないとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS101が繰り返される。
【0023】
一方、ステップS101で、エレベータ監視部31と保守ツール部53とが接続されているとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31を介して、保守ツール部53から端末装置5を操作する作業者のIDを受信する(ステップS102)。その後、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31からエレベータ装置1の号機番号の情報を読み出す(ステップS103)。
【0024】
その後、スイッチ状態通知部32は、ネットワーク通信部33とネットワーク通信部52との間の通信が可能であるか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104で、ネットワーク通信部33とネットワーク通信部52との間の通信が可能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS104が繰り返される。
【0025】
一方、ステップS104で、ネットワーク通信部33とネットワーク通信部52との間の通信が不能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31から点検用スイッチ12の状態の情報を読み出す(ステップS105)。
【0026】
その後、スイッチ状態通知部32は、読み出した点検用スイッチ12の状態の情報に基づいて、何れかの点検用スイッチ12の状態が点検状態であるか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106で、何れの点検用スイッチ12の状態も点検状態ではないとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS101に戻る。
【0027】
一方、ステップS106で、何れかの点検用スイッチ12の状態が点検状態であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、通報メール送信部61に対して、端末装置5を操作する作業者のIDおよびエレベータ装置1の号機番号の情報を含んだ通報開始情報を送信する(ステップS107)。その後、ステップS101に戻る。
【0028】
次に、通報メール送信部61の動作について説明する。図3は図1の通報メール送信部61の動作を示すフローチャートである。まず、通報メール送信部61は、スイッチ状態通知部32から端末装置5を操作する作業者のIDおよびエレベータ装置1の号機番号の情報を含んだ通報開始情報を受信したか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201で、スイッチ状態通知部32からの通報開始情報を通報メール送信部61が受信していないと通報メール送信部61が判定すると、ステップS201が繰り返される。
【0029】
一方、ステップS201で、スイッチ状態通知部32からの通報開始情報を通報メール送信部61が受信したと通報メール送信部61が判定すると、通報メール送信部61は、通報開始情報に含まれる作業者のIDに対応したメールアドレスをメールアドレス変換テーブル62から読み出す(ステップS202)。その後、通報メール送信部61は、通報開始情報に基づいて通報メール文を作成し(ステップS203)、読み出したメールアドレスにより特定される携帯電話装置8に対して通報メールを送信する(通報工程)(ステップS204)。その後、ステップS201に戻る。
【0030】
携帯電話装置8は、通報メール送信部61が通報メールを送信した後に、通報メールを受信することにより通報メール送信部61の通報を受ける(受信工程)。
【0031】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ監視システム2によれば、状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチ12を備えたエレベータ装置1を監視するエレベータ監視装置3と、エレベータ監視装置3との間で通信が可能である端末装置5とを備えたエレベータ監視システム2であって、点検用スイッチ12の状態が点検状態である場合であって、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となった場合に、エレベータ監視装置3から通報開始情報が入力されて、通報を行う通報サーバ6と、通報サーバ6の通報を受ける携帯電話装置8とを備えているので、点検作業が終了し、点検用スイッチ12の状態が点検状態のまま、作業者がエレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となるように端末装置5を操作したり端末装置5を持ち出したりした場合に、通報サーバ6が通報を行い、携帯電話装置8が通報サーバ6の通報を受ける。これにより、例えば、作業者が携帯電話装置8を所持している場合には、点検作業終了後に点検用スイッチ12の状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【0032】
また、エレベータ監視装置3から通報サーバ6に入力される通報開始情報には、端末装置5を操作する作業者を特定するIDが含まれ、通報サーバ6は、IDと携帯電話装置8を特定するメールアドレスとが対応するメールアドレス変換テーブル62を有し、IDに対応するメールアドレスにより特定される携帯電話装置8に対して通報を行うので、通報サーバ6は、複数の携帯電話装置8の中から、端末装置5を操作する作業者が所持する携帯電話装置8を特定して、特定された携帯電話装置8に対して通報を行うことができる。
【0033】
また、エレベータ監視装置3は、端末装置5から端末装置5を操作する作業者を特定するIDが入力されるので、作業者がエレベータ監視装置3に対してIDを入力する必要がなく、エレベータ装置1の点検作業の容易化を図ることができる。
【0034】
また、この発明の実施の形態1に係る警告方法によれば、点検用スイッチ12の状態が点検状態である場合であって、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となった場合に、エレベータ監視装置3から通報サーバ6に通報開始情報が入力されて、通報サーバ6が通報を行う通報工程と、通報サーバ6の通報を携帯電話装置8が受ける受信工程とを備えているので、点検作業が終了し、点検用スイッチ12の状態が点検状態のまま、作業者がエレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となるように端末装置5を操作したり端末装置5を持ち出したりした場合に、通報サーバ6が通報を行い、携帯電話装置8が通報サーバ6の通報を受ける。これにより、例えば、作業者が携帯電話装置8を所持している場合には、点検作業終了後に点検用スイッチ12の状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【0035】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係るエレベータシステムを示すブロック図である。端末装置5は、インテル アクティブ マネジメント テクノロジ(インテルAMT)に対応したパソコン(パーソナル コンピュータ)から構成されている。端末装置5は、操作されることにより、OS(オペレーティングシステム)が稼働している状態である活動状態と、OSが非稼働の状態である休止状態とに状態が切り替わるようになっている。端末装置5は、端末装置5の状態が活動状態のときにのみ動作する活動状態動作部510と、端末装置5が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく動作する定常動作部520とを有している。
【0036】
活動状態動作部510は、OSが稼働するOS部511と、OS部511の稼働により動作可能となるネットワーク通信部512と、ネットワーク通信部512に接続され、OS部511の稼働により動作可能となる保守ツール部513とを有している。
【0037】
定常動作部520は、無線LANアクセスポイント4が発する電波を受ける無線LAN通信部521と、無線LAN通信部521に接続された管理エンジン部522と、端末装置5の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、管理エンジン部522および無線LAN通信部521に電力を供給する電源管理部523とを有している。無線LAN通信部521、管理エンジン部522および電源管理部523は、端末装置5の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、動作可能となっている。また、電源管理部523は、端末装置5の状態が活動状態である場合にのみ、OS部511、ネットワーク通信部512および保守ツール部513に電力を供給する。OS部511、ネットワーク通信部512および保守ツール部513は、端末装置5の状態が活動状態である場合にのみ、動作可能となっている。
【0038】
ネットワーク通信部33およびネットワーク通信部512は、無線LAN通信部521が無線LANアクセスポイント4の電波を受信可能な領域に位置する場合であって、端末装置5の状態が活動状態である場合にのみ、互いに通信可能となる。ネットワーク通信部33とネットワーク通信部512との間の通信が可能である場合に、エレベータ監視部31と保守ツール部513との間の接続が可能となる。
【0039】
スイッチ状態通知部32および無線LAN通信部521は、無線LAN通信部521が無線LANアクセスポイント4の電波を受信可能な領域に位置する場合であれば、端末装置5の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、互いに通信可能となる。
【0040】
エレベータ監視装置3および端末装置5は、スイッチ状態通知部32および無線LAN通信部521が互いに通信可能である場合に、互いに通信可能となる。したがって、無線LAN通信部521が無線LANアクセスポイント4の電波を受信可能な領域に位置しない場合に、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が不能となる。
【0041】
無線LAN通信部521には、端末装置5を特定するMACアドレス(Media Access Control Address)が記憶されている。
【0042】
メールアドレス変換テーブル62では、端末装置5を特定するMACアドレスと、端末装置5を操作する作業者が所持する携帯電話装置8を特定するメールアドレスとが対応している。なお、メールアドレス変換テーブル62では、実施の形態1に記載のように、作業者を特定するIDとメールアドレスとをさらに対応させてもよい。通報メール送信部61には、端末装置5を特定するMACアドレスおよびエレベータ装置1の号機番号の情報を含んだ通報開始情報が公衆回線7を介してスイッチ状態通知部32から入力されるようになっている。通報メール送信部61は、スイッチ状態通知部32から通報開始情報が入力されると、通報開始情報に含まれるMACアドレスに対応したメールアドレスをメールアドレス変換テーブル62から読み出して、読み出したメールアドレスにより特定される携帯電話装置8に対して通報メールを送信するようになっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0043】
次に、スイッチ状態通知部32の動作について説明する。図5は図4のスイッチ状態通知部32の動作を示すフローチャートである。まず、スイッチ状態通知部32は、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が可能であるか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301で、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が不能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS301が繰り返される。
【0044】
一方、ステップS301で、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が可能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、無線LAN通信部521からMACアドレスを受信する(ステップS302)。その後、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31からエレベータ装置1の号機番号を読み出す(ステップS303)。
【0045】
その後、スイッチ状態通知部32は、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が可能であるか否かを再び判定する(ステップS304)。ステップS304で、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が可能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS304が繰り返される。
【0046】
一方、ステップS304で、スイッチ状態通知部32と無線LAN通信部521との間の通信が不能であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、エレベータ監視部31から点検用スイッチ12の状態の情報を読み出す(ステップS305)。その後、スイッチ状態通知部32は、何れかの点検用スイッチ12の状態が点検状態であるか否かを判定する(ステップS306)。
【0047】
ステップS306で、何れの点検用スイッチ12も状態が点検状態ではないとスイッチ状態通知部32が判定すると、ステップS301に戻る。一方、ステップS306で、何れかの点検用スイッチの状態が点検状態であるとスイッチ状態通知部32が判定すると、スイッチ状態通知部32は、通報メール送信部61に対して、端末装置5を特定するMACアドレスおよびエレベータ装置1の号機番号の情報を含んだ通報開始情報を送信する(ステップS307)。その後、ステップS301に戻る。
【0048】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ監視システム2によれば、エレベータ監視装置3から通報サーバ6に入力される通報開始情報には、端末装置5を特定するMACアドレスが含まれ、通報サーバ6は、MACアドレスと携帯電話装置8を特定するメールアドレスとが対応するメールアドレス変換テーブル62を有し、MACアドレスに対応するメールアドレスにより特定される携帯電話装置8に対して通報を行うので、通報サーバ6は、複数の携帯電話装置8の中から、端末装置5を操作する作業者が所持する携帯電話装置8を特定して、特定された携帯電話装置8に対して通報を行うことができる。
【0049】
また、エレベータ監視装置3は、端末装置5から端末装置5を特定するMACアドレスが入力されるので、作業者がエレベータ監視装置3に対してMACアドレスを入力する必要がなく、エレベータ装置1の点検作業の容易化を図ることができる。
【0050】
また、端末装置5の状態が活動状態であるか休止状態であるかに関係なく、MACアドレスが端末装置5からエレベータ監視装置3に入力されるので、作業者が端末装置5を起動させずにエレベータ装置1の点検作業を行う場合であっても、点検作業終了後に点検用スイッチ12の状態が点検状態となっていることを作業者に確実に知らせることができる。
【0051】
なお、各上記実施の形態では、監視対象装置として、エレベータ装置1を例に説明したが、これに限らず、例えば、エスカレータや動く歩道等の乗客コンベヤであってもよい。
【0052】
また、各上記実施の形態では、点検用スイッチ12として、点検作業中である旨をエレベータの表示装置(図示せず)に表示させるためのメンテナンススイッチ、かごの天井に設けられた照明装置(図示せず)を点滅点灯させるための点検スイッチ、停電時自動着床装置(図示せず)の駆動を停止させるための駆動停止スイッチ、エレベータ制御部11を収容する制御盤(図示せず)の扉の回動による操作口の開閉を検出する制御盤扉開閉スイッチを例に挙げて説明したが、これらの点検用スイッチ12に限らず、その他の点検用スイッチ12であってもよい。
【0053】
また、各上記実施の形態では、メンテナンススイッチ、点検スイッチ、駆動停止スイッチおよび制御盤扉開閉スイッチから構成される4個の点検用スイッチ12を備えたエレベータ装置1の構成について説明したが、メンテナンススイッチ、点検スイッチ、駆動停止スイッチおよび制御盤扉開閉スイッチのうちの何れか1個ないし3個から構成される点検用スイッチ12を備えたエレベータ装置1であってもよい。
【0054】
また、各上記実施の形態では、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が無線通信により行われる構成について説明したが、エレベータ監視装置3と端末装置5との間の通信が有線通信により行われる構成であってもよい。
【0055】
また、各上記実施の形態では、エレベータ監視装置3と通報サーバ6との間に設けられた公衆回線7を備えたエレベータ監視システム2について説明したが、公衆回線7に限らず、その他の通信手段がエレベータ監視装置3と通報サーバ6との間に設けられるエレベータ監視システム2であってもよい。
【0056】
また、各上記実施の形態では、通報サーバ6と携帯電話装置8との間に設けられた携帯電話回線9を備えたエレベータ監視装置3について説明したが、携帯電話回線9に限らず、その他の通信手段が通報装置と受信装置との間に設けられるエレベータ監視システム2であってもよい。この場合、受信装置としては、携帯電話装置8に限らず、通報を受けることができる装置であればよい。
【0057】
また、各上記実施の形態では、通報サーバ6からの通報メールの受信により通報サーバ6から携帯電話装置8が通報を受ける構成について説明したが、例えば、通報サーバ6からの自動音声等による通報電話の受信により通報サーバ6からの通報を携帯電話装置8が受ける構成であってもよい。
【0058】
また、各上記実施の形態では、端末装置5および携帯電話装置8のそれぞれが別部材となっている構成について説明したが、端末装置5と携帯電話装置8とを一体に組み合わせた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 エレベータ装置(監視対象装置)、2 エレベータ監視システム(監視システム)、3 エレベータ監視装置(監視装置)、4 無線LANアクセスポイント、5 端末装置、6 通報サーバ(通報装置)、7 公衆回線、8 携帯電話装置(受信装置)、9 携帯電話回線、11 エレベータ制御部、12 点検用スイッチ、13 ネットワーク通信部、14 シリアル通信部、31 エレベータ監視部、32 スイッチ状態通知部、33 ネットワーク通信部、34 シリアル通信部、35 LAN通信部、51 無線LAN通信部、52 ネットワーク通信部、53 保守ツール部、61 通報メール送信部、62 メールアドレス変換テーブル(変換テーブル)、81 通報メール受信部、510 活動状態動作部、511 OS部、512 ネットワーク通信部、513 保守ツール部、520 通常動作部、521 無線LAN通信部、522 管理エンジン部、523 電源管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、
前記監視装置との間で通信が可能である端末装置とを備えた監視システムであって、
前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、前記監視装置と前記端末装置との間の通信が不能となった場合に、前記監視装置から通報開始情報が入力されて、通報を行う通報装置と、
前記通報装置の前記通報を受ける受信装置とを備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記通報開始情報には、前記端末装置を操作する作業者を特定する作業者情報が含まれ、
前記通報装置は、前記作業者情報と前記受信装置を特定する受信装置情報とが対応する変換テーブルを有し、前記作業者情報に対応する前記受信装置情報により特定される前記受信装置に対して前記通報を行うことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、前記端末装置から前記作業者情報が入力されることを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記通報開始情報には、前記端末装置を特定する端末装置情報が含まれ、
前記通報装置は、前記端末装置情報と前記受信装置を特定する受信装置情報とが対応する変換テーブルを有し、前記端末装置情報に対応する前記受信装置情報により特定される前記受信装置に対して前記通報を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視装置は、前記端末装置から前記端末装置情報が入力されることを特徴とする請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
状態が通常状態と点検状態とに切り替わる点検用スイッチを備えた監視対象装置を監視する監視装置と、前記監視装置との間で通信が可能である端末装置と、前記監視装置から通報開始情報が入力される通報装置と、前記通報装置の通報を受ける受信装置とを備えた監視システムを用いた警告方法であって、
前記点検用スイッチの状態が前記点検状態である場合であって、前記監視装置と前記端末装置との間の通信が不能となった場合に、前記監視装置から前記通報装置に前記通報開始情報が入力されて、前記通報装置が前記通報を行う通報工程と、
前記通報装置の前記通報を前記受信装置が受ける受信工程とを備えたことを特徴とする警告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−184087(P2012−184087A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49028(P2011−49028)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】