説明

監視方法および装置

ECG信号を監視するための装置は、生理学的信号を受信し、処理手段、メモリおよび無線トランシーバを含む第1の身体装着要素1を含み、メモリは、複数の信号セグメントテンプレートを記憶する。処理手段は、生理学的信号のセグメントを記憶されたテンプレートと比較し照合するように構成される。装置は、更に、無線トランシーバと処理手段を含む第2の要素4を含み、処理手段は、信号セグメントテンプレートを生成しかつ/または修正し、また第2の要素の前記トランシーバに、生成または修正されたテンプレートを第1の要素に送信させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、監視方法および装置に関し、詳細には電気的または生化学的な生理学的信号を監視するための方法および装置に関するが、必ずしもこれらに限定されない。
【0002】
発明の背景
心電図すなわちECGは、患者の状態を監視し診断する手段を長い間提供してきた。従来、ECGは、2個以上の電極を患者の胸に取り付け、記録した信号にノイズを除去するフィルタ処理などの信号処理を実行し、処理した結果を記録することによって記録されてきた。心臓病の疑いのある患者の事例を検討してみると、症状を診断する1つの方法は、ECGデータをある期間(たとえば、数時間)継続的に記録し、記録したデータを医者が検討してあらゆる異常を識別することである。この方法は、データ収集システムが大きくなりやすく、したがって患者が処理の間同じ場所に留まっていなければならないため患者にとって不都合であり、かつ医者の側には時間がかかる。
【0003】
そのような問題を克服するために、ECGデータを実質的に実時間で分析して、心拍が正常か異常かを分類し、異常心拍の出現およびタイプだけを記録する比較的高性能な信号処理技術が開発されてきた。連続信号ではなくイベントおよびタイプのデータだけを記録するだけでよく、データ記憶要求が大幅に軽減されるので、記録装置を携帯し更に装着することを可能にすることができ、医者には、診断を容易かつ迅速にする心拍イベントの単純な分類が提示される。
【0004】
たとえば、ほぼトランプ1組サイズで、胸に装着された1対の電極に結合される装着可能なコンピュータ装置を提供することは既知である。コンピュータ装置は、記録した心拍をいくつかの記憶された「テンプレート心拍」と比較し、その結果を使用して記録した心拍を分類する。各テンプレートと一致する心拍はカウントし続けられる。どのテンプレートとも一致しない心拍は、将来分析するために記憶されてもよい。しかしながら、そのような一致しないテンプレートはごく希にしか現れないと予想されるため、データ記憶要求が極端に大きくなることはない。心拍分類プロセスは、集中的な計算が必要であり、したがって比較的大量の電力を消費する。一方、この所要電力は、一般的にコンピュータ装置内にあるバッテリによって提供されてもよい。
【0005】
このタイプの携帯型監視システムは、患者が特定の場所に留まることを必要とするタイプのシステムよりもかなり優れているが、まだ比較的大型である。ユーザが監視システムを使い易くする1つの手法は、監視システムを2つの要素からなるシステムとして構成することであり、第1の比較的小さく装着可能な要素が、監視電極に結合され、監視したECG信号を無線リンクによって第2のよりも大きいデータ処理装置(ポケットに入れて持ち運んでもよく、同じ区域内すなわち装着要素の有効範囲内のどこかに置かれてもよい)に送信する。しかしながら、ECG信号の連続的な放送を可能にするのに必要な電力によって、装着可能な要素のサイズとバッテリ寿命との両方が制限される。更に、装着者が、データ処理装置の有効範囲から出るとデータが失われる。
【0006】
類似の問題が、脳電図(EEG)や血糖値などの他の生理学的「状態」を監視するシステムでも生じることを理解するであろう(生体センサなどの生体電気変換器を使用して生化学的パラメータを電気信号に変換する場合)。これらの問題の解決策は、工業プロセス制御などの非医学分野でも応用することができる。
【0007】
発明の要約
本発明の目的は、既知の2つの要素からなる監視システムの欠点を克服するかまたは少なくとも緩和することである。本発明の目的は、極めて小さくかつユーザの身体に長期間装着することができる構成要素を有する2つの要素からなる監視システムを提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、状態を監視するための装置において、
第1の要素であって、
無線トランシーバと、
複数の信号セグメントテンプレートを記憶するメモリと、
電気信号を受信する入力と、
受信した電気信号を信号セグメントにセグメント化し、各セグメントが記憶されたテンプレートのうちの1つと一致するかどうかを判定し、トランシーバに照合操作の結果を無線リンクを介して送信させる処理手段とを含む第1の要素と、
第2の要素であって、
無線リンクを介して第1の要素から送信されたデータを受信する無線トランシーバと、
受信したデータまたは受信したデータを使用して生成された他のデータを記憶するメモリと、
信号セグメントテンプレートを生成または修正し、トランシーバに、生成したテンプレートまたは修正したテンプレートを第1の要素に送信させる処理手段とを含む第2の要素とを含むことを特徴とする装置が提供される。
【0009】
第2の要素に送信された照合操作の結果は、一致テンプレートの識別を含むことが好ましい。データは、第1の要素で収集され記憶され、第2の要素に定期的に送信されてもよい。データは、テンプレート識別とそのような識別の出現数の形で送信されてもよい。更新されたテンプレートが、定義された間隔で第1の要素から第2の要素に送信されてもよい。
【0010】
処理手段は、テンプレートが信号セグメントに一致しない場合に信号セグメントが第2の要素に送信されるように構成されることが好ましい。セグメントは、送信前に第1の要素のメモリに記憶されもよく、すぐに送信されてもよい。
【0011】
処理手段は、テンプレート一致が見つかったときでも、信号セグメントの異常を分析し異常が検出された場合に信号セグメントを第2の要素に送信するように構成されてもよい。この場合も、セグメントは、後で送信するために記憶されてもよく、すぐに送信されてもよい。
【0012】
第1の要素の処理手段は、後の分析で使用される一連の最近の信号セグメントをメモリに記録するように構成されてもよい。
【0013】
第1の要素の処理手段は、第1の要素が通信有効範囲の外にあることを検出し、そのような場合に別の状況では第2の要素に送信されるデータを記憶するように構成されることが好ましい。処理手段は、第2の要素が有効範囲内に戻ったことを検出し、その後で記憶したデータを送信する。
【0014】
第2の要素の処理手段は、第1の要素から送信された信号セグメントを受信し、それらのセグメントを使用して、第1の要素に送信するために信号セグメントテンプレートを生成または修正するように構成されることが好ましい。より好ましくは、テンプレートは、第2の要素のメモリに記憶される。
【0015】
第2の要素の処理手段は、第2の要素のメモリに記憶されたテンプレートを第1の要素のメモリに記憶されたテンプレートと同期させるように構成されることが好ましい。第1の要素のメモリにテンプレートが記憶されていない場合に、第2の要素のメモリに記憶されたテンプレートはすべて第1の要素に送信される。
【0016】
装置は、哺乳類のECGの監視に適していることが好ましい。第1の要素は、ECG信号を提供するために入力に結合された2つ以上の電極を備えてもよい。処理手段は、信号を個々の心拍にセグメント化するように構成される。セグメントは、隣接してもしなくてもよい。
【0017】
第1の要素の処理手段は、ECG信号のRR間隔を決定するように構成されてもよい。RR間隔は、ECGセグメントの異常を検出するために使用されてもよくかつ/または第2の要素に送信されてもよい。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、生理学的状態を監視するための装置において、
生理学的信号を受信し、処理手段、メモリおよび無線トランシーバを含む第1の身体装着要素であって、メモリが複数の信号セグメントテンプレートを記憶し、処理手段は、生理学的信号のセグメントを記憶されたテンプレートと比較し照合するように構成された第1の身体装着要素と、
無線トランシーバと処理手段とを含む第2の要素であって、処理手段は、信号セグメントテンプレートを生成しかつ/または修正し、第2の要素のトランシーバに、生成または修正されたテンプレートを第1の要素に送信させるように構成された第2の要素とを含むことを特徴とする装置が提供される。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、状態を監視する方法において、
第1の要素において、
状態を示す信号を受信し、
信号を連続した信号セグメントにセグメント化し、
各信号セグメントを1組の信号セグメントテンプレートの1つまたは複数と比較しあらゆる一致テンプレートを識別し、
一致テンプレートの識別を無線通信リンクを介して第2の要素に送信し、
第2の要素において、
受信したデータを記憶し、
新しい信号セグメントテンプレートまたは修正された信号セグメントテンプレートを生成し、信号セグメントテンプレートを無線通信リンクを介して第1の要素に送信し、
第1の要素において、
受信した新しいテンプレートまたは修正されたテンプレートを後で使用するために記憶することを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0020】
方法は、信号セグメントのテンプレート一致が見つからない場合あるいは一致が見つかったが信号セグメントに異常が検出された場合に、第1の要素から第2の要素に信号セグメントを送信することを含むことが好ましい。
【0021】
第1の要素は、一致テンプレートの識別と出現数とを収集し、その識別と出現数とを第2の要素に定期的に送信することが好ましい。第2の要素への送信を必要とする信号セグメントが定期的に収集され送信されてもよい。データは、第2の要素が有効範囲の外にあるか別の状況で第1の要素と通信できないときに第1の要素に記憶され、通信が再開できたときに第2の要素に送信されてもよい。
【0022】
発明の特定の実施形態の詳細な説明
図1に、公衆医療システムの1つの構成要素である2つの要素からなるECG監視システムが示されている。本明細書において「デジタルプラスタ(digital plaster)」と呼ばれる第1の要素1は、外傷や他の小さい傷を覆うための従来のプラスタと類似している。デジタルプラスタ1は、ユーザが自分の皮膚にプラスタを貼り付けることを可能にする接着剤を片面に備える。後で詳しく説明するように、プラスタは、それぞれの電極3a,3bに結合してECG信号を受信する入力2a,2bと、信号処理手段と、無線リンクを介して第2の要素すなわち「基地局」4と通信するトランシーバとを含む。電極は、プラスタ1に組み込まれることが好ましいが、プラスタと分離され適切なリードによって結合されてもよい。デジタルプラスタは、適切なバッテリ(たとえば、1V亜鉛空気電池)によって電力供給される。将来、技術の進歩によって、たとえば生体電気電池の使用や身体の電磁場の使用によってプラスタを自己動力化することができる可能性がある。
【0023】
基地局4は、特別設計されて構築されたモジュールでもよく、または専用ソフトウェアが動作する汎用ハードウェア(たとえば、PDAやスマートフォン)でもよい。いずれの場合も、基地局4の役割は、プラスタ1から送信されたECGデータを記録し処理しかつデジタルプラスタ1の動作を設定するために、無線リンクによってプラスタ1と通信することである。基地局4は、ポケットやハンドバックに入れて運んだりベルトに装着したりするのに適していなければならないが、システムの設計は、システムの必要な動作に大きな影響を及ぼすことなく無線リンクの有効範囲外に長期間置いたままにできるようなものである。
【0024】
図1は、また、中央データベース5の形の第3のシステム構成要素3を示す。基地局4は、たとえば携帯電話ネットワークを介して中央データベース5と定期的に通信して、記録したECGデータをデータベースに転送することができる。この動作により、医者や他の医療スタッフは、記録されたデータをリモートで閲覧することができる。そのような中央データベースは、何千もの個別の監視システムを管理する場合がある。中央データベースと個々の監視システムとの間で通信する手順は、中央データベースでデータを収集し分析する手順として容易に明らかになり、したがってここでは詳しく説明されない。
【0025】
図2は、デジタルプラスタ1の「アーキテクチャ」を機能的観点で示す。3つの大きな処理ブロックを識別することができる。
【0026】
センサインタフェースおよび処理6
電極3a,3bから受信したセンサ信号は、信号処理ブロックに適した形になるようにあらかじめ調整される(すなわち、たとえば増幅されフィルタリングされる)。これは、図3に概略的に示したアナログ回路を使用して実行される。この図で用語は次のとおりである。
【0027】
FIL1:パッシブ高域フィルタ(コーナー周波数約0.5Hz)。
FIL2:実際のECG信号よりもかなり高いレベルの電源ノイズ(50/60Hz)を除去するノッチフィルタ。
【0028】
PREAMP(前置増幅器):低レベルECG信号は、50〜100(標準)の適切な利得だけ増幅される。
【0029】
FIL3:このパッシブ低域フィルタは、実際には、後のスイッチドキャパシタフィルタ段FIL4のアンチエイリアスフィルタである。実際には、FIL3の極は、PREAMPに組み込まれ、実質的にこの前置増幅器の帯域幅(500Hz)である。
【0030】
FIL4:ECG信号を関心のある周波数に制限しかつ高周波ノイズを除去する低域フィルタ。カットオフ周波数は、たとえば100〜200〜300Hzのうちの1つに設定できる。これは、チップ面積を最小にしかつ低電源電圧での信号処理効率を最大にするスイッチドキャパシタ設計になる。
【0031】
VGA:後のデータ処理段に入力される信号レベルが実質的に一定になるように可変利得の最終段が必要な場合がある。
【0032】
ローカル信号処理およびデータ抽出ブロックは、ローカル信号処理を実行してECG波形を分析し、後で詳しく説明するあらかじめ定義された1組の検出規則により現在の心拍が正常に分類されるか不整脈に分類されるかを検出する。
【0033】
RFトランシーバ7
この機能ブロックは、デジタルプラスタ1と基地局4との間の通信を可能にする。Bluetooth(商標)、UWB、および独自プロトコルを含む任意の適切な通信プロトコルを使用してデータを送信することができる。デジタルプラスタ1から基地局4にセンサ状態情報、ECGサマリデータ(すなわち、テンプレート照合結果)または完全ECG波形を送信することができ、一方基地局4からデジタルプラスタ1に構成パラメータと制御パラメータとを返すことができる。そのような制御パラメータは、ユーザの不整脈検出設定を変更したり、デジタルプラスタの動作をローカル処理モードからトランスペアレントモードに変更したり、状態情報(たとえば、バッテリ寿命)を要求したりすることができる。
【0034】
コントローラ8
デジタルコントローラ8は、様々な制御機能、構成機能およびタイミング機能を実行し、基地局4からコマンドを受信したときにプラスタ動作を更新する。また、制御ブロック8は、ECG波形の短いセグメント(たとえば、現在処理している心拍の15秒前)と、ECG波形を分析し分類するためのユーザ固有のパラメータとを記憶するローカルメモリ(RAM)を含む。
【0035】
センサインタフェースおよび処理ブロック6のローカル信号処理およびデータ抽出機能を更に詳しく検討すると、この機能は、Open Source ECG Analysis (OSEA) model, P.S. Hamilton, 'Open Source ECG Analysis Software (OSEA) Documentation' www.eplimited.comに実質的に依存する。図4は、このモデルを極めて一般的な観点で示しており、主要なステップは次のとおりである。
【0036】
心拍検出
最初に、受信したECG信号を分析して、心拍が存在することを判断する。詳細には、これにより、心拍のQRSコンプレックスが存在することが判断される。図5は、OSEAモデル内でQRS検出を実現するために必要な基本機能を示す。フィルタリングに続いて、所定の時間ウィンドウにわたって信号の絶対値が平均される。平均化ウィンドウは、大雑把に一般的なQRSコンプレックスの幅になるように選択される。ウィンドウを150msよりも小さく設定すると最もよい結果が得られる。LPFカットオフは約16Hzであり、HPFカットオフは約8Hzである。LPF、HPFおよび微分の組み合わせにより、大雑把にQRSコンプレックスのほとんどのエネルギを含む帯域幅である5〜11Hzの通過帯域の帯域フィルタが作成される。
【0037】
移動平均を実行した後、信号は、QRSコンプレックスが生じるたびに「塊(lump)」を有効に生成する。T波も塊を生成する場合があるが、T波は、一般的にQRSコンプレックスによるものよりも小さい。ピーク検出器は「塊」の位置を見つけ、検出後、ピークは、QRSコンプレックスまたはノイズとして分類されるか、後で分類するために保存される。検出アルゴリズムは、図6に示したアルゴリズムの後で、ピーク高さ、ピーク位置および最大微分を使用してピークを分類する。
【0038】
図6のアルゴリズムは、ピークをQRSコンプレックスまたはノイズとして分類できるように検出しきい値を計算する必要がある。ピークがQRSとして分類されるたびに、そのピークは、8つの最新のQRSピークを含むバッファに追加され、RR間隔(RR interval)が、8つの最新のRR間隔を含むバッファに追加される。ピークがノイズとして分類されるたびに、そのピークは、8つの最新ノイズピークを含むバッファに追加される。検出しきい値(DET_TH)は、次の式にしたがってノイズピークの平均または中央値とQRSピークバッファ値との間に設定される。
DET_TH=nAVG+TH*(qAVG−nAVG)
【0039】
ここで、nAVGとqAVGとはそれぞれ、最新8つのノイズとQRSピーク値との平均であり、THはしきい値係数である。これらの各値の平均を、平均または中央値として計算することができる。QRSピーク、ノイズピークおよびRR間隔の平均を計算することにより、計算が簡単になり、実際にQRS検出器性能が改善される。しかしながら、QRSピークとノイズピークとの中央値を計算することにより、QRS検出器が心拍分類アルゴリズムと組み合わされたときに性能が改善されることが分かっている。したがって、平均化関数(すなわち、平均または中央値)を選択できることが望ましい場合がある。
【0040】
開始時に、検出された最初の8つのピークがQRSピークとして分類され、ノイズピークバッファがゼロに設定される。8つの最新RR間隔は1秒に設定される。更に、8秒間ピークが検出されない場合、検出しきい値は、前述のように再び初期化される。これは、一連の大きい心室心拍が、その後の正常な小さい振幅の心拍が無視されるほど検出しきい値を高める可能性が(極めて希に)あるからである。
【0041】
心拍(すなわち、QRSコンプレックス)が検出されると、アルゴリズムは、また、QRSコンプレックスを検出してから新しいサンプルが生じた数を示し、すなわちR波の時間と場所とを示す。これは、図6に示した心拍検出アルゴリズムが変化する検出遅延を有するので必要である。図6を参照すると、ステップ7でQRSピークを検出した場合、検出遅延は、およそフィルタ遅延、移動ウィンドウ積分幅(moving window integration width)、およびステップ4で確認するのに必要な200msの遅延の和になる。総検出遅延は一般的に395msになる。しかしながら、ステップ11でQRSコンプレックスを検出した場合(サーチバック検出とも呼ばれる)、全体の遅延は、この遅延と平均RR間隔の半分とを加えたものになり、これは1秒程度にもなることがある。単純に心拍数を報告する装着可能な監視用途では、この変化する検出遅延は大きな問題にはならない。しかしながら、用途によっては、比較的長い変化する遅延が問題になる可能性がある。たとえば患者の監視において、目視で確認できる心拍の表示は、手首で感じる脈とよく一致しなければならない(一般的に、検出遅延250ms以内)。
【0042】
1つの選択肢は、アルゴリズムのサーチバック部分をディスエーブルし、サーチバックから検出された決定を単純に報告しないことである。これにより、検出遅延は約395msに固定される。サーチバック検出を無視し(かつ、検出しきい値THを適切に調整し)ても、QRS検出感度は99.7%にかなり近い。残りの遅延のほとんどは、各ピーク検出後にQRS不応期内にもっと大きいピークが生じるかどうかを調べるためにアルゴリズムが200ms待つことにより起こる。より単純な選択肢は、ピーク検出後に200msのブランキング期間を設定することであり、これにより検出遅延は195msに固定される。しかしながら、この選択肢では、大きなP波をQRSコンプレックスとして検出する可能性があるので感度が低下し、その後のQRSコンプレックスは、200msのブランキング期間の間に生じるので無視される。
【0043】
想定された用途の場合、変化する検出遅延は大きな問題と見なされず、したがってフルアルゴリズムを使用することが提案される。短い検出遅延が必要な場合は、このフルアルゴリズムを使用して単純なショット遅延検出方式のしきい値を設定することができる。フルアルゴリズムバージョンか短い遅延バージョンかの選択はプログラム可能である。
【0044】
心拍検出ブロックは、R波の時点(time point)を示す(R波の位置は、「基準点(fiducial point)」としても知られる)。
【0045】
リズム検査
このブロックは、心拍検出ブロックからR波の時点を受信する。現在の心拍のRR間隔を前のRR心拍間隔と比較して現在のリズムを決定する。リズム検査は、NORMAL(正常)、PVC(早過ぎ)またはUNKNOWN(不明)の分類を返す。結果は、照合規則ブロックに渡される(下記参照)。
【0046】
テンプレートメモリ
いくつかの心拍テンプレートがテンプレートメモリに記憶される。これらのテンプレートは、基地局4によってプラスタ1に渡される。
【0047】
テンプレート照合
テンプレート照合ブロックは、心拍検出ブロックからR波の時点ならびにあらかじめ条件付けされたECG信号を受信する。現在の心拍の形状が、テンプレートメモリに記憶されたテンプレートの1つまたは複数と(たとえば、相関プロセスを使用して)比較され、記憶されているテンプレートのうち現在の心拍に最も似ているテンプレートが決定される(もしある場合)。心拍の形状が、記憶されているテンプレートのうちの1つに充分に近い場合は、テンプレートIDが記録され、現在の心拍が、記憶されているテンプレートに「平均化」される。
【0048】
支配的心拍モニタ
最新の180の心拍のテンプレート番号、リズムおよび特徴を監視して支配的心拍タイプを決定する。照合プロセスを促進しそれにより消費電力を減少させるために、支配的心拍タイプを使用してテンプレート照合中にテンプレートメモリからテンプレートを選択する順序を決定する。
【0049】
照合規則
照合規則は、テンプレート照合操作を実行しなければならないときを決定するための1組の規則を定義する。照合規則は、リズム検査ブロックのRR間隔出力に適用され、
a)平均心拍数が正常範囲内にあるとき
b)平均心拍数が所定のしきい値よりも低いとき(徐脈)
c)平均心拍数が所定のしきい値よりも高いとき(頻脈)
d)心拍が早すぎるとき(期外収縮すなわちPVC)
e)心拍が欠損するとき
f)心拍数が無秩序であるとき(細動)を検出する(図7参照)。状態a)〜e)が観察された場合、QRS波形(または、基準点に対する時間で参照された信号セクション)は、心臓の病状に関する予備情報を提供するためにテンプレートメモリ内の各テンプレートと照合される。状態a)の場合は、心拍が正常であると仮定されるので警告は出されない。状態b)〜e)の場合は、テンプレート照合操作が開始されるだけでなく、警告状態が開始される場合がある。状態f)の場合は、テンプレート照合操作を必要とせずに警告状態が開始される。警告状態は基地局に送信される。
【0050】
状態a)〜e)の場合、テンプレート一致が見つかった場合は、テンプレートIDは、後で基地局に送信するためにメモリに記憶される。後で送信するためにRR間隔も記憶されることがある。通常、保存したデータブロックを基地局に送信する前に、データが、事前に定義された期間(たとえば、30秒)プラスタのメモリに収集されるのがよい。
【0051】
一方、現在の心拍にテンプレート一致が見つからなかった場合、または状態f)の場合は、この結果を作成したあらかじめ条件付けされたECGデータは、すぐに基地局に送信されるか、後で送信するために「生」のデータメモリに記憶される。プラスタのメモリに記憶することができる心拍の数は、メモリのサイズによって制限される。履歴データの最近のセグメントをプラスタのメモリに記憶することが望ましいことがある(たとえば、最新30個の心拍)。これは、現在の心拍で検出された異常を分析するときに役立つ場合があり、要求に応じて基地局にアップロードされてもよい。
【0052】
以上の考察は、デジタルプラスタ内のOSEAモデルの実施形態を概略的に考察した。次に、極めて消費電力が少ないデジタルプラスタの実施形態を詳細に考察する。最初に、QRS検出段階を考察し、その後で心拍分類段階を考察する。
【0053】
QRS検出、帯域フィルタリング、ピーク検出およびしきい値化に必要な主要なステップは、混合信号ハードウェアで直接実現されてもよい。図8は、必要な機能を実現する混合信号回路アーキテクチャを示す。ピーク検出としきい値化とはアナログ領域で実行され、タイミングを調整し基本決定規則を実施するためにデジタル論理回路が使用される。この回路は、実質的に図5に示したものと全く同じアルゴリズムを正確に実現するが、ここでは、ソフトウェアによってではなく低消費電力混合信号ハードウェアを使用して実現されている。
【0054】
図8を参照すると、点線内の回路部分はデジタルであり、他のすべてのブロックはアナログである。入力ECG信号は、帯域フィルタリングされ、絶対値(大きさ)がとられ、次に実質的に平均化を実行する低域フィルタに通される。このフィルタリングされた信号は、ピーク検出器に送信され、ピーク検出器の出力は、2(または、選択可能な他のあらゆる適切な係数)で割られ、ポイントCのこの「ハーフピーク」が、ポイントAのフィルタリングされた信号と比較される。したがって、COMP1の出力(ポイントD)は、ポイントAの信号がポイントCの信号よりも小さくなるとき、すなわちフィルタリングした信号の大きさが現在のピーク値の半分よりも小さくなったときにハイになる。ポイントDの信号がハイになると、ピークが見つかったことを示し、この信号は、COMP2のイネーブルとしてはたらく。COMP2は、このピーク値が現在のしきい値(ポイントF)よりも高いか低いかを調べ、ピークがしきい値よりも高い場合、COMP2の出力(図8のポイントG)はハイになる。
【0055】
ポイントDがハイになると、ピークが検出されたことを示し、ロジックおよびタイミングブロックは、以下の一連のイベントを実行する。
【0056】
・ロジックおよびタイミングブロックは、ADCに現在のピーク値を変換させラッチさせる。これはPEAK[N]として記憶される。Gの対応する値もG[N]として記憶される。このピークと最後のピークとの間の時間がRR[N]として記憶される。
【0057】
・ロジックおよびタイミングブロックは、前のピーク値(PEAK[N−1])が200msよりも前に生じたかどうか、すなわちRR[N]<200msかどうかを調べる。前のピークが最近200ms以内にあった場合、前のピーク振幅は、このピークよりも大きくなければならず(または、前のピークは[N−1]番目サイクル中に破棄される)、したがってこのピークは破棄される。ピーク検出器がリセットされ、新しいピークの探索が継続される。
【0058】
・前のピークが最近200ms以内に生じなかった場合(すなわち、RR[N]>200ms)、ロジックおよびタイミングブロックは、ピーク検出器とピーク間隔カウンタとをリセットし、次の([N+1]番目)ピークが次の200ms以内に生じるかどうかを調べるために待つ。
【0059】
・新しいピークが次の200ms以内に生じた場合、ADCは、このピーク値を変換しPEAK[N+1]としてラッチするように指示される。G[N+1]とRR[N+1]との対応する値も記憶される。
【0060】
・ロジックブロックは、PEAK[N+1]>PEAK[N]かどうかを調べる。この場合、PEAK[N](およびG[N])は破棄され、これらの値はPEAK[N+1]とG[N+1]とで置き換えられる。次にRR[N]がRR[N]+RR[N+1]に設定される。しかしながら、PEAK[N+1]<PEAK[N]の場合は、PEAK[N+1]、G[N+1]およびRR[N+1]が破棄される。
【0061】
・PEAK[N]の現在の値が決定されたとき、ロジックおよびタイミングブロックは、G[N]の対応する値がハイかローかを確認し、ハイの場合は、PEAK[N]はQRSパルスとして分類され、PEAK[N]は値がQRSバッファに追加される。G[N]がローの場合、PEAK[N]はノイズとして分類され、PEAK[N]がノイズバッファに追加される。
【0062】
・ロジックおよびタイミングブロックは、COMP2にアナログしきい電圧Fを供給するためにDACに送信されるしきい値ワードEを更新する。次に、ピーク間隔カウンタとピーク検出器とがリセットされ、新しい([N+1]番目)ピークの探索が始まる。
【0063】
図9に、この決定プロセスを示す。
OSEAソフトウェアを再検討すると、(図4に示したような)心拍分類アルゴリズムの最も重要な部分は、リズム検査ルーチンとテンプレート照合ルーチンとである。実際には、現在の心拍が、以前に分類されたテンプレート形状とよく一致する場合、現在の心拍は単純にテンプレートの分類となる。テンプレートと一致しない心拍を分類し易くするため、あるいはまだ分類されたことがないテンプレートの心拍形状には、特徴抽出規則とより複雑な分類規則とが使用される。
【0064】
ここで述べるシステムは、新しい心拍形状を検出し分類する負担を基地局に転嫁する。したがって、デジタルプラスタは、リズム検査(単純なデジタルロジック)とテンプレート照合とを実行するだけでよい。心拍がいずれのテンプレートとも一致しない場合、またはRR間隔により警告状態になりテンプレート照合の必要がなくなる場合は、完全なECG波形が、更に特徴抽出と分類とのために二次ユニットに渡される。新しい心拍テンプレート形状が二次ユニットによって学習され分類された後、その心拍テンプレート形状はデジタルプラスタに戻される。
【0065】
デジタルプラスタに提供されるメモリは、基地局と通信することなくデータ(テンプレートID、RR間隔、および不定期のECGセグメント)を長期間記録できるほどの大きさである。これは、基地局が有効範囲の外にあることをデジタルプラスタが検出するとき必要なことがある。後で基地局が有効範囲内に戻ったとき、記憶されているデータが基地局にアップロードされ、デジタルプラスタのメモリが消去される。そのような時間中に新しいテンプレートを生成してデジタルプラスタに送信することができない間、監視操作の品質に対する全体的影響は小さくなる可能性が高い。
【0066】
図4を再び参照すると、基地局4(この例ではPDA)の機能的アーキテクチャが示されている。PDAは、心拍の特徴を決定する方法を実施する。OSEAソフトウェアは、その1つの例であるが、様々なベンダが自社の分析ソフトウェアを実施して商業的利点を提供することができる。図10にOSEAソフトウェアの流れを示す。分析モードでないとき、PDAは、イベントが生じた場合に心臓病学者がより詳しい履歴を使用できるように心拍およびテンプレート情報のデータだけを記憶する。ECG分析の必要を示すアラーム状態を受信したとき、現在のデータと履歴データとを含む入力ECGデータを使用してソフトウェアルーチン全体がイネーブルされる。基地局は、一致テンプレートIDの履歴を記録するためのブロックだけでなく、デジタルプラスタから受信したあらかじめ条件付けされたECGデータを分析するためのブロックを含む。より詳細には、基地局は、特徴抽出、心拍分類およびテンプレート生成のためのブロックを含む。これらのブロックは、テンプレート生成のためにOSEAモデルの機能を実施する。基地局4によって新しいテンプレートが生成されるたびに、そのテンプレートは、ダウンリンクチャネルを介してデジタルプラスタに送信され、そこでテンプレートメモリに記憶される。
【0067】
前述のように、時間と共に変化する心拍の特徴を補正するために、決定されたテンプレートは、現在の心拍と一致心拍テンプレートとの差の割合を使用して修正(「平均化」)される。少し時間が経った後、プラスタに記憶されているテンプレートは、第2の要素(PDA)に記憶されているテンプレートと大きく逸脱する可能性があり、したがって、PDAメモリを更新するためにテンプレートメモリはPDAに定期的にアップロードされなければならない。
【0068】
基地局に必要な機能は、純粋に、標準ハードウェアプラットホーム(たとえば、スマートフォンやPDA)上にあるソフトウェアアプリケーションとして実現されてもよい。新しい心拍形状を分類する計算的な負担が、電力と処理の利用可能度とが比較的高い基地局に転嫁されるので、デジタルプラスタで必要とされる処理負担が大幅に軽減され、基地局における消費電力の大幅な低減が達成される。
【0069】
ユーザがたとえば回路にバッテリを接続することによって新しいデジタルプラスタを作動させたとき、プラスタは、基地局との双方向通信リンクを確立する。この段階では、プラスタのテンプレートメモリにテンプレートは記憶されておらず、したがってすべての検出された心拍は一致せず、通信リンクを介して基地局に送信される。基地局は、送信されたデータから、プラスタにテンプレートが記憶されていないことを判断する。基地局自体のメモリにあらゆるテンプレートがある場合は、そのテンプレートが以前のデジタルプラスタに使用されていたことを示し、基地局はテンプレートをダウンリンクでプラスタに直ちに送信する。次に、プラスタは、その後の心拍のテンプレート照合プロセスを続ける。基地局にテンプレートを記憶されていない場合は、新しいプラスタが始めて使用されたプラスタであることを示し、基地局は、受信した心拍を使用してテンプレート生成プロセスを開始する。そのテンプレートは、生成されるとすぐにデジタルプラスタに送信される。プラスタが受信するテンプレートが増えるほど一致が増え、心拍が基地局に送信される割合が低下することを理解されよう。[基地局は、作動されたときに、基地局のメモリからテンプレートを消去して、前に使用されていた基地局を新しい患者に提供できるようにするリセット機能を備えてもよい。]
【0070】
本発明の範囲を逸脱することのなく以上説明した実施形態に様々な修正を行なうことができることを当業者は理解するであろう。たとえば、前述の実施形態は、心拍を検出し分類するためにOSEAモデルを利用しているが、他のモデルを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】公衆医療システムを概略的に示す図である。
【図2】図1のシステムの第1の要素またはデジタルプラスタを概略的に示す図である。
【図3】図2のデジタルプラスタのセンサインタフェースおよび前処理回路を示す図である。
【図4】図2のデジタルプラスタの機能ブロック図である。
【図5】図2のデジタルプラスタのQRS検出プロセスの機能構成要素を示す図である。
【図6】図5のプロセスのQRS検出アルゴリズムを示す流れ図である。
【図7】それぞれの心臓状態を示すいくつかのRRの傾向を示す図である。
【図8】QRS検出段階を実施する極めて消費電力が少ない混合信号回路アーキテクチャを概略的に示す図である。
【図9】図8のアーキテクチャのロジックおよびタイミングを実現するアルゴリズムを示す流れ図である。
【図10】図1のシステムの基地局で実施されるOSEAソフトウェアアーキテクチャを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態を監視するための装置において、
第1の要素であって、
無線トランシーバと、
複数の信号セグメントテンプレートを記憶するメモリと、
電気信号を受信する入力と、
受信した電気信号を信号セグメントにセグメント化し、各セグメントが記憶されたテンプレートのうちの1つと一致するかどうか判定し、トランシーバに、照合操作の結果を無線リンクを介して送信させる処理手段とを含む第1の要素と、
第2の要素であって、
無線リンクを介して第1の要素から送信されたデータを受信する無線トランシーバと、
受信したデータまたは受信したデータを使用して生成された他のデータを記憶するメモリと、
信号セグメントテンプレートを生成または修正し、トランシーバに、生成または修正したテンプレートを第1の要素へ送信させる処理手段とを含む第2の要素とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
第1の要素の処理手段は、一致テンプレートの識別と出現数を第2の要素に送信することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
処理手段は、データを収集し第1の要素のメモリに記憶し、かつ第1の要素のトランシーバに、収集したデータを第2の要素に定期的に送信させるように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
第1の要素の処理手段は、テンプレートが信号セグメントと一致していない場合に信号セグメントが第2の要素に送信されるように構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
第1の要素の処理手段は、テンプレート一致が見つかった場合でも、信号セグメントの異常を分析し、異常が検出された場合に信号セグメントを第2の要素に送信するように構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
第1の要素の処理手段は、一連の最新信号セグメントを後の分析で使用するために第1の要素のメモリに記録するように構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
第1の要素の処理手段は、第1の要素が通信有効範囲の外にあるか他の状況で通信できないことを検出し、そのような場合に、他の状況では第2の要素に送信されるデータを記憶し、第2の要素が再び通信できるようになったことを検出した後で記憶したデータを送信するように構成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
第2の要素の処理手段は、第1の要素から送信された信号セグメントを受信し、該セグメントを使用して第1の要素に送信する信号セグメントテンプレートを生成または修正するように構成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第2の要素の処理手段は、生成または修正したテンプレートを第2の要素のメモリに記憶させ、第1の要素のメモリに記憶されたテンプレートを第2の要素のメモリに記憶されたテンプレートと同期させるように構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
第1の要素の処理手段は、第1の要素に記憶されたテンプレートを、受信した信号に応じて修正し、第1の要素のメモリに記憶されたテンプレートを第2の要素のメモリに記憶されたテンプレートと同期させるように構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
信号セグメントは単一心拍を含む、哺乳類のECGを監視するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
第1の要素は、ECG信号を提供するために入力に結合された2個以上の電極を有することを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1の要素の処理手段は、ECG信号のRR間隔を決定するために配置されることを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
第1の要素の処理手段は、RR間隔を使用してECGセグメントの異常を検出することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第1の要素は、使用中に皮膚と接触して配置されるように構成され、第2の要素は、身体に装着可能な要素であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
生理学的状態を監視する装置において、
生理学的信号を受信し、処理手段、メモリおよび無線トランシーバを含む第1の身体装着要素であって、メモリが、複数の信号セグメントテンプレートを記憶し、処理手段が、生理学的信号セグメントを記憶されたテンプレートと比較し照合するように構成された第1の身体装着要素と、
無線トランシーバと処理手段とを含む第2の要素であって、処理手段は、信号セグメントテンプレートを生成しかつ/または修正し、第2の要素のトランシーバに、生成され修正されたテンプレートを第1の要素へ送信させるように構成された第2の要素とを含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
状態を監視する方法において、
第1の要素において、
状態を示す信号を受信し、
信号を連続する信号セグメントにセグメント化し、
各信号セグメントを1組の信号セグメントテンプレートの1つまたは複数と比較し一致テンプレートを識別し、
一致テンプレートの識別を無線通信リンクを介して第2の要素に送信し、
第2の要素において、
受信したデータまたは受信したデータから生成したデータを記憶し、
新しい信号セグメントテンプレートまたは修正した信号セグメントテンプレートを生成し、信号セグメントテンプレートを無線通信リンクを介して第1の要素に送信し、
第1の要素において、
受信した新しいテンプレートまたは修正されたテンプレートを後で使用するために記憶することを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
信号セグメントのテンプレート一致が見つからない場合および/または信号セグメントに異常が検出された場合に信号セグメントを第1の要素から第2の要素に送信することを含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の要素で、一致テンプレートの識別および出現数を収集し、識別と出現数とを第2の要素に定期的に送信することを含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
第2の要素が有効範囲の外にあるときあるいは別の状況で第1の要素と通信できないときにデータを第1の要素に記憶し、記憶したデータを通信が再開できるようになったときに第2の要素に送信することを含むことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−509607(P2009−509607A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532881(P2008−532881)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050278
【国際公開番号】WO2007/036748
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508092059)トゥーマズ テクノロジー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Toumaz Technology Limited
【住所又は居所原語表記】Suite F,Centurion Court,85 Milton Park,Abingdon,Oxon Oxfordshire,The United Kingdom
【Fターム(参考)】