説明

監視画像表示制御装置及び監視システム

【課題】監視範囲全体の領域を把握しながら注目すべき領域を確認することができるよう
にする。
【解決手段】監視範囲の全体領域を撮像する第1カメラから出力される全体画像撮像信号
と全体領域の中の注目領域を撮像する第2カメラC2から出力される注目領域撮像信号と
を入力し、全体領域に対応する全体画像の中に注目領域に対応する注目画像を挿入可能な
ブランキング部が生成された全体画像撮像信号を第1プロジェクターに送信するとともに
注目領域撮像信号を第2プロジェクターに送信する監視画像表示制御装置500であって
、第2カメラの撮像方向を設定する第2カメラ撮像方向設定信号及び第2カメラのズーム
値を設定する第2カメラズーム信号を出力する機能を有する撮像及び表示制御部510と
、第2カメラ撮像方向設定信号及び第2カメラズーム信号に基づいて全体画像にブランキ
ング信号を生成する表示画像信号生成部520とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視画像表示制御装置及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮像して得られた画像を画像表示装置で表示する監視装置は従来から種々提案
されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された監視装置は、できるだけ広範囲の監視が可能で、かつ、詳細に
表示可能とするために、例えば水平方向に回転可能に設けられた複数のカメラと、複数の
カメラの各カメラが撮像した画像を表示する複数の画像表示装置とを有するものであり、
操作者による操作や外部装置からの入力により設定された視野角に応じてズーム値とカメ
ラの撮像方向を調整可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−8843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された監視装置は、水平方向に回転可能な複数のカメ
ラから得られた各画像を、同じく水平方向に並べられた画像表示装置に表示させるもので
あるため、例えば、ある特定の領域について詳細な画像を見ようとして、当該特定の領域
に対応するカメラのズーム値を高く(ズームアップ)すると、当該カメラに対応した画像
表示装置に表示される画像もズームアップする。このように、ある特定の領域をズームア
ップすることによって、当該特定の領域については詳細な画像を見ることができるが、ズ
ームアップした特定の領域の視野角はズームアップ前に比べて狭くなるため、隣接する領
域との間に画像の空白部が生じてしまうこととなる。
【0006】
これに対処するために、例えば、広角系のズームレンズを備えたカメラと、望遠系のズ
ームレンズを備えたカメラとを用いて、同じ方向を撮像して得られた画像を2つの画像表
示装置で表示するか、又は、1台の画像表示装置の画面を左右方向に2分割又は上下方向
に2分割して表示することで、全体画像と詳細画像とを同時に表示することも可能である
。しかしながら、この場合、広角系のズームレンズを備えたカメラからの画像と、望遠系
のズームレンズとを備えたカメラからの画像の倍率が異なり、相互の関連性が分かりにく
く両者の位置関係などが把握しにくいといった課題がある。
【0007】
そこで本発明は、監視範囲の全体に対応する全体画像の中に、当該監視範囲において注
目すべき領域に対応する注目画像を表示とすることにより、監視範囲全体を把握しながら
注目すべき領域を確認することができる監視画像表示制御装置及び監視システムを提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の監視画像表示制御装置は、監視範囲の全体領域を撮像する第1カメラか
ら出力される全体領域撮像信号と前記全体領域の中の注目領域を撮像する第2カメラから
出力される注目領域撮像信号とを入力し、前記全体領域撮像信号に対応する全体画像の中
に前記注目領域撮像信号に対応する注目画像を挿入可能なブランキング部を全体領域撮像
信号に生成して、前記ブランキング部が生成された全体領域撮像信号を第1プロジェクタ
ーに送信するとともに前記注目領域撮像信号を第2プロジェクターに送信する監視画像表
示制御装置であって、前記注目領域を撮像する際の前記第2カメラの撮像方向を設定する
第2カメラ撮像方向設定信号及び前記第2カメラのズーム値を設定する第2カメラズーム
信号を前記第2カメラに出力する機能を有する撮像及び表示制御部と、前記ブランキング
部を生成するためのブランキング信号を、前記第2カメラ撮像方向設定信号及び前記第2
カメラズーム信号に基づいて生成する機能を有する表示画像データ生成部とを備えたこと
を特徴とする。
【0009】
本発明の監視画像表示制御装置によれば、監視範囲の全体領域に対応する全体画像の中
に、当該全体領域において注目すべき領域(注目領域)に対応する注目画像を表示するこ
とにより、監視範囲全体を把握しながら注目領域を確認することができる。なお、ブラン
キング信号は、第2カメラ撮像方向設定信号及び第2カメラズーム信号に基づいて生成さ
れるため、全体画像に生成されるブランキング部の位置及びブランキング部の範囲は、第
2カメラで撮像された注目画像の位置と注目画像の範囲に一致させることができる。
【0010】
[2]本発明の監視画像表示制御装置においては、前記撮像及び表示制御部は、前記第
2カメラズーム信号として前記注目画像を拡大して撮像するための第2カメラズーム信号
を前記第2カメラに出力する際には、前記第2プロジェクターに対し、前記注目画像の表
示サイズを縮小させるような第2プロジェクターズーム信号を前記第2カメラズーム信号
の変化に連携して出力する機能をさらに有することが好ましい。
【0011】
このように、第2カメラで注目画像を拡大(ズームアップ)して撮像した場合には、当
該注目画像を第2プロジェクターから投写する際の表示サイズを縮小させるように第2プ
ロジェクターのズーム値が設定される。これにより、第2プロジェクターから投写される
注目画像の解像度を高くすることができ、より詳細な情報を含んだ画像として表示される

【0012】
また、このとき、注目画像の被写体のサイズが変化しないようにすることも可能であり
、このようにすることにより、全体画像に存在する被写体と注目画像に存在する被写体と
の間において被写体の大きさに矛盾が生じることなく、全体画像を監視しながら注目画像
を監視する際、違和感なく監視することができる。
【0013】
[3]本発明の監視画像表示制御装置においては、前記注目画像を拡大して撮像するた
めの第2カメラズーム信号に、前記注目画像の表示サイズの縮小の度合いを切り換えるた
めの第1閾値が設定されており、前記撮像及び表示制御部は、前記第2カメラズーム信号
が前記第1閾値に達した以降は、前記第2プロジェクターが投写する前記注目画像の表示
サイズを一定とするように前記第2プロジェクターズーム信号を制御することが好ましい

【0014】
これは、第2カメラのズーム値が第1閾値に達するまでズームアップされた場合には、
第2プロジェクターから投写される注目画像の表示サイズをそれ以上縮小せずに一定のサ
イズに抑えてしまうというものである。このようにすることで、注目画像の解像度が必要
以上に高くなって詳細な画像となり過ぎてしまい、却って見づらい画像となってしまうこ
とを防ぐことができる。このとき、第2プロジェクターから投写されている注目画像の表
示サイズは所定の表示サイズで固定されるが、その状態で第2カメラのズーム値がさらに
高くなるとその分だけ、第2プロジェクターから投写されている注目画像の被写体のサイ
ズが大きくなり、全体画像の被写体と注目画像の被写体との間において被写体の大きさの
連続性は失われるが、注目画像がより拡大されて表示されるので、細部の確認が容易とな
る。
【0015】
[4]本発明の監視画像表示制御装置においては、前記第1閾値は、前記注目画像の表
示サイズが、監視者の視力、前記監視者から投写面までの視距離及び前記第2プロジェク
ターの垂直方向画素数をパラメータとして求められる前記注目画像の垂直方向高さを有す
る表示サイズとなるような値に設定されることが好ましい。
【0016】
第1閾値をこのように設定することにより、注目画像の表示サイズの縮小を、監視者の
視力、監視者から投写面までの視距離及び第2プロジェクターの垂直方向画素数との関係
に基づいて求められる表示サイズまでにとどめることができる。これによって、注目画像
が監視者の視力による分解能の限界を超えた解像度を有する画像となってしまうことを未
然に防止することができる。
【0017】
[5]本発明の監視画像表示制御装置においては、前記第1閾値を超えた前記第2カメ
ラズーム信号に対して第2閾値が設定されており、前記撮像及び表示制御部は、前記第2
カメラズーム信号が前記第2閾値に達した以降は、前記注目画像の表示サイズを大きくす
るように前記第2プロジェクターズーム信号を制御することが好ましい。
【0018】
これは、第2カメラのズーム値が第1閾値を超えてさらに高く(ズームアップ)される
場合もあり得ることを想定したものである。このような場合、第1閾値に対応するズーム
値よりもさらに大きなズーム値に対応させた第2閾値を設定しておくことで、第2カメラ
を第2閾値を超えてズームアップした場合、注目画像の表示サイズを逆に大きく変化させ
るようにする。このようにすることで、例えば、投写面に対して離れた位置にいる監視者
などからも注目画像が見やすくなる。
【0019】
[6]本発明の監視システムは、監視範囲の全体領域を撮像する第1カメラと、前記全
体領域の中の注目領域を撮像する第2カメラと、前記第1カメラから出力される全体領域
撮像信号と前記第2カメラから出力される注目領域撮像信号とを入力し、前記全体領域撮
像信号に対応する全体画像の中に前記注目領域撮像信号に対応する注目画像を挿入可能な
ブランキング部を全体領域撮像信号に生成して、前記ブランキング部が生成された全体領
域撮像信号を出力するとともに前記注目領域撮像信号を出力する監視画像表示制御装置と
、前記ブランキング部が生成された全体領域撮像信号に対応する全体画像を投写する第1
プロジェクターと、前記注目領域撮像信号に対応する注目画像を投写する第2プロジェク
ターとを備え、前記監視画像表示制御装置は、前記注目領域を撮像する際の前記第2カメ
ラの撮像方向を設定する第2カメラ撮像方向設定信号及び前記第2カメラのズーム値を設
定する第2カメラズーム信号を前記第2カメラに出力する機能を有する撮像及び表示制御
部と、前記ブランキング部を生成するためのブランキング信号を、前記第2カメラ撮像方
向設定信号及び前記第2カメラズーム信号に基づいて生成する機能を有する表示画像デー
タ生成部とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明の監視システムによれば、前記本発明の監視画像表示制御装置で述べたように、
監視範囲の全体に対応する全体画像の中に、当該監視範囲において注目すべき領域に対応
する注目画像を表示することにより、監視範囲全体を把握しながら注目すべき領域を確認
することができる。なお、本発明の監視システムにおいても、前記本発明の監視画像表示
制御装置が有する各特徴を有することが好ましい。
【0021】
[7]本発明の監視システムにおいては、前記第1カメラは、当該第1カメラの撮像方
向を任意に設定可能とするように少なくとも水平及び垂直方向への回転又はスライドが可
能となるように設置されており、前記第2カメラは、前記第1カメラの水平及び垂直方向
への回転又はスライドに連動して水平及び垂直方向に回転又はスライドし、かつ、前記注
目領域を撮像可能とするように、少なくとも水平及び垂直方向への回転又はスライドが可
能となるように設置されていることが好ましい。
【0022】
このような構成とすることにより、第1カメラは任意の範囲を全体領域として撮像する
ことができる。そして、第2カメラは第1カメラに連動するものであるため、第1カメラ
の撮像方向が設定されることにより、第2カメラで撮像される注目領域は、自動的に第1
カメラで撮像される全体画像の中の所定の領域とすることができる。
【0023】
また、第2カメラは、第1カメラの撮像範囲内の任意の領域を撮像可能とするように、
少なくとも水平及び垂直方向への回転又はスライドが可能となるように設置されている。
すなわち、第2カメラは、第1カメラとは別に単独で少なくとも水平及び垂直方向への回
転又はスライドが可能となるように設置されている。これにより、第1カメラの撮像範囲
内において任意の領域を注目領域として設定することができる。
【0024】
[8]本発明の監視システムにおいては、前記第2プロジェクターは、前記第2カメラ
の前記水平及び垂直方向への回転又はスライドに連動して水平及び垂直方向に回転又はス
ライドするように設置されていることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることにより、投写面上に表示される全体画像の中の注目画像の位
置は、第1カメラで撮像された全体画像の中の第2カメラで撮像された注目画像の位置に
一致する。すなわち、投写面に表示される全体画像と注目画像との関係は、第1カメラで
撮像された全体画像と第2カメラで撮像された注目画像との関係と同じとなる。このため
、監視範囲の全体の状況を把握しながら注目領域を確認する際、全体の位置関係などを適
切に判断することができ、それによって、注目領域以外の監視範囲内で何らかの変化が発
生した場合でも、状況を適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1に係る監視システム10の全体的な構成を示す図。
【図2】操作端末600の構成を示す図。
【図3】監視画像表示制御装置500の構成を示す図。
【図4】カメラインターフェース部300の構成を示す図。
【図5】表示インターフェース部400の構成を示す図。
【図6】スクリーンSCR上の表示画面について説明する図。
【図7】操作端末600による操作と監視画像表示制御装置500の第2インターフェース部516から出力される各動作指示信号との関係を示す図。
【図8】スクリーンSCR上に表示される監視画像を示す図。
【図9】図8に示す全体画像から注目画像のみを取り出して示す図。
【図10】第2カメラC2のズーム値と第2画面G2の表示サイズの変化の一例を示す図。
【図11】実施形態2に係る監視システム20の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る監視システム10の全体的な構成を示す図である。実施形態
1に係る監視システム10は、広角系ズームレンズを有する第1カメラC1と、第1カメ
ラC1が取り付けられる第1架台100と、望遠系ズームレンズを有する第2カメラC2
と、第2カメラC2が取り付けられる第2架台200と、画像表示装置としての第1プロ
ジェクターPJ1及び第2プロジェクターPJ2と、カメラインターフェース部(カメラ
I/F部)300と、表示インターフェース部(表示I/F部)400と、監視画像表示
制御装置500と、監視者Mによって操作される操作端末600と、スクリーンSCRと
を有している。
【0029】
第1カメラC1は、監視範囲の全体領域を撮像する。一方、第2カメラC2は、全体領
域の中の注目すべき領域(注目領域という)を撮像する。第1カメラC1は第1架台10
0に取り付けられ、第2カメラC2は第2架台200に取り付けられている。
【0030】
第1架台100は、水平方向への回転動作(パン動作という)及び垂直方向への傾き動
作(チルト動作という)が可能となっており、監視画像表示制御装置500からカメライ
ンターフェース部300を介して与えられる制御信号により、パン動作又はチルト動作を
行う。
【0031】
一方、第2架台200は第1架台100に取り付けられており、第1架台100のパン
動作及びチルト動作に連動してパン動作又はチルト動作を行うとともに、第2架台200
単独においてもパン動作又はチルト動作を行うことが可能となっている。第2架台200
のパン動作及びチルト動作は、監視画像表示制御装置500からカメラインターフェース
部300を介して与えられる制御信号によって行われる。
【0032】
このように、第2架台200は第1架台100に連動して動作するため、第1架台10
0がパン動作又はチルト動作を行うことにより、第1架台に取り付けられている第1カメ
ラC1だけではなく、第2架台200に取り付けられている第2カメラC2もパン動作又
はチルト動作を行う。また、第2架台200は単独でパン動作及びチルト動作が可能とな
っているため、第2カメラC2も単独でパン動作又はチルト動作が可能となっている。
【0033】
第1プロジェクターPJ1及び第2プロジェクターPJ2は、それぞれがリア投写型と
して用いられる。したがって、スクリーンSCRはリア投写用スクリーンである。また、
第1プロジェクターPJ1は、第1カメラC1が全体領域を撮像することによって得られ
た画像(全体画像という)をスクリーンSCRに表示する。また、第1プロジェクターP
J1は、固定架台(図示せず)などに固定されている。このため、第1プロジェクターP
J1は、全体画像をスクリーンSCRに固定的に投写する。なお、実際には、全体画像に
は、第2カメラC1が注目領域を撮像することによって得られた画像(注目画像という)
を挿入するためのブランキング部が設けられるが、これについては後述する。
【0034】
一方、第2プロジェクターPJ2は注目画像を投写する。なお、第2プロジェクターP
J2が投写する注目画像は、第1プロジェクターPJ1が表示する全体画像のブランキン
グ部に表示される。
【0035】
また、第2プロジェクターPJ2は、可動架台(第3架台という)700に取り付けら
れている。第3架台700は、第2架台200と連動してパン動作及びチルト動作を行う
ものである。第3架台700のパン動作及びチルト動作は、監視画像表示制御装置500
から表示インターフェース部(表示I/F部)400を介して与えられる制御信号により
行われる。第3架台700がパン動作又はチルト動作を行うことにより、第2プロジェク
ターPJ2もパン動作又はチルト動作を行う。
【0036】
また、第2プロジェクターPJ2は、投写レンズがズーム動作可能となっている、ズー
ム動作を行うことにより、注目画像の表示サイズの大きさを調整可能としている。投写レ
ンズのズーム動作は、監視画像表示制御装置500から表示インターフェース部400を
介して与えられる制御信号により行われる。
【0037】
図2は、操作端末600の構成を示す図である。操作端末600は、図2に示すように
、監視すべき方向に第1カメラC1及び第2カメラC2の向き(撮像方向という)を設定
する全体撮像方向設定部610、第1カメラC2の撮像範囲が監視範囲全体の領域(全体
領域)に対応するように第1カメラのズーム値を設定する第1カメラズーム値設定部62
0、第2カメラC2の撮像方向が全体領域の中の注目領域の方向となるように設定する第
2カメラ撮像方向設定部630、注目領域の撮像範囲を設定するために第2カメラC2の
ズーム値を設定する第2カメラズーム値設定部640を有している。
【0038】
なお、全体撮像方向設定部610が操作されると、第1架台100が動作し、それによ
って第1架台100に取り付けられている第1カメラC1の撮像方向が全体撮像方向設定
部610で設定された方向となる。また、第1架台100が動作することにより、第1架
台100と連動する第2架台も動作して、第2カメラC2の撮像方向も第1カメラC1と
同じ方向となる。
【0039】
また、第1カメラズーム値設定部620により第1カメラズーム値の設定がなされると
、第2カメラのズーム値も連動して設定される。また、第2カメラ撮像方向設定部630
が操作されると、第2架台200が単独で動作し、それによって第2架台200に取り付
けられている第2カメラC2の撮像方向が第1カメラズーム値設定部620で設定された
方向となる。
【0040】
なお、全体撮像方向設定部610、第1カメラズーム値設定部620、第2カメラ撮像
方向設定部630及び第2カメラズーム値設定部640が監視者Mにより操作されると、
上記以外の関連する構成要素に対しても動作が及ぶ場合もあるが、これについては、図7
により詳細に説明する。
【0041】
また、操作端末600は、上記各設定部の他に、第2プロジェクターPJ2が投写する
注目画像の表示サイズの大きさの変化の度合いを切り換えることが可能な表示サイズ切換
点設定部650、監視者M(望ましくは監視者Mの目の位置)からスクリーンSCRまで
の距離(視距離という)を設定する視距離設定部660、監視者Mの視力を設定する視力
設定部670を有している。これらの機能などについては後述する。
【0042】
監視者Mが図2に示す各設定部を操作することにより、操作された設定部からは設定項
目に対応した設定信号がインターフェース部(I/F部)680を介して監視画像表示制
御装置500に与えられる。
【0043】
図3は、監視画像表示制御装置500の構成を示す図である。監視画像表示制御装置5
00は、図3に示すように、撮像及び表示制御部510と、表示画像信号生成部520と
を有している。
【0044】
撮像及び表示制御部510は、バスライン511に接続された第1インターフェース部
(第1I/F部)512、CPU(Central Processing Unit)513、ROM(Read On
ly Memory)514、RAM(Random Access Memory)515及び第2インターフェース
部(第2I/F部)516と、第2インターフェース部516に接続された第1多重化部
517及び第2多重化部518とを有している。
【0045】
第1インターフェース部512は、操作端末600に設けられている各設定部(図2参
照)により設定された設定項目に対応した設定信号を入力するものであり、第1インター
フェース部512に入力された各設定信号はRAM515に蓄えられる。
【0046】
CPU513は、監視画像表示制御装置500全体の制御を行うものであり、例えば、
操作端末600によって設定された設定項目に対応した各動作指示信号(後述する)を、
第2インターフェース部516を介して第1多重化部517又は第2多重化部518に出
力する。
【0047】
第1多重化部517に出力される各動作指示信号としては、第1架台100をパン動作
させる第1架台パン信号、第1架台100をチルト動作させる第1架台チルト信号、第1
カメラC1のフォーカスを設定する第1カメラフォーカス信号、第1カメラC1のズーム
値を設定する第1カメラズーム信号、第2架台200をパン動作させる第2架台パン信号
、第2架台200をチルト動作させる第2架台チルト信号、第2カメラC2のフォーカス
を設定する第2カメラフォーカス信号及び第2カメラC2のズーム値を設定する第2カメ
ラズーム信号がある。
第1多重化部517は、第2インターフェース部516から与えられた上記各動作指示
信号を多重化してカメラインターフェース部300に出力する。
【0048】
ところで、第1架台パン信号及び第1架台チルト信号は、操作端末600の全体撮像方
向設定部610が操作されることにより出力される動作指示信号であり、上記第1カメラ
ズーム信号は、操作端末600の第1カメラズーム値設定部620が操作されることによ
り出力される動作指示信号である。
【0049】
また、上記第2架台パン信号及び第2架台チルト信号は、操作端末600の第2カメラ
撮像方向設定部630が操作されることにより出力される動作指示信号であり、これは、
第2カメラC1が注目領域を撮像する際に第2カメラの撮像方向を設定する第2カメラ撮
像方向設定信号として機能する。また、上記第2カメラズーム信号は、操作端末600の
第2カメラズーム値設定部640が操作されることにより出力される動作指示信号である

【0050】
一方、第2多重化部518に出力される各種の動作指示信号としては、第3架台700
をパン動作させる第3架台パン信号、第3架台700をチルト動作させる第3架台チルト
信号及び第2プロジェクターPJ2に対する第2プロジェクターズーム信号(第2PJズ
ーム信号)がある。
第2多重化部518は、第2インターフェース部516から与えられた上記各動作指示
信号を多重化して表示インターフェース部400に出力する。
【0051】
表示画像信号生成部520は、第2インターフェース部516に接続されたブランキン
グ信号生成部521と、ブランキング信号生成部521によって生成されたブランキング
信号を第1カメラC1から出力された撮像信号(全体領域撮像信号という)に合成するブ
ランキング信号合成部522と、ブランキング信号が合成された全体領域撮像信号をイン
ピーダンス整合して送出する第1バッファ523と、第2カメラC2から出力された撮像
信号(注目領域撮像信号という)をインピーダンス整合して送出する第2バッファ524
とを有している。
【0052】
ブランキング信号生成部521は、全体画像の中に注目画像を表示可能とするブランキ
ング部を形成するためのブランキング信号を生成するものであり、生成されたブランキン
グ信号はブランキング信号合成部522に出力される。ブランキング信号は、第2インタ
ーフェース部516を介して与えられる第2架台パン信号及び第2架台チルト信号すなわ
ち第2カメラ撮像方向設定信号と、カメラインターフェース部300(詳細は図4参照)
を介して与えられる注目領域撮像信号とに基づいて生成される。なお、ブランキング信号
は、ブランキング部として例えば黒画像を生成するものである。なお、ブランキング部は
黒画像となることが好ましいが、ブランキング部に注目画像が表示された場合、注目画像
が認識できれば、灰色やその他の特定の色であってもよい。
【0053】
ブランキング信号合成部522は、ブランキング信号生成部521によって生成された
ブランキング信号に基づいてカメラインターフェース部300を介して与えられる全体領
域撮像信号にブランキングをかけて、全体領域撮像信号にブランクキング部を形成するも
のである。
【0054】
また、カメラインターフェース部300を介して与えられる注目領域撮像信号は、第2
バッファ524を介して表示インターフェース部400に与えられたのち、第2プロジェ
クターPJ2によって注目画像として投写される。
【0055】
一方、ブランキング信号合成部522でブランキングがかけられた全体領域撮像信号は
、第1バッファ523を介して表示インターフェース部400に与えられたのち、第1プ
ロジェクターPJ1によって全体画像として投写される。なお、全体画像に形成されたブ
ランキング部には、第2プロジェクターPJ2により注目画像が投写される。
【0056】
図4は、カメラインターフェース部300の構成を示す図である。カメラインターフェ
ース部300は、図4に示すように、多重化信号復号化部310と、第1バッファ320
及び第2バッファ330とを有している。
【0057】
多重化信号復号化部310は、監視画像表示制御装置500の第1多重化部517から
送られてくる多重化信号を各々の信号に戻す。すなわち、第1多重化部517から送られ
てくる多重化信号は、第1架台パン信号、第1架台チルト信号、第1カメラフォーカス信
号、第1カメラズーム信号、第2架台パン信号、第2架台チルト信号、第2カメラフォー
カス信号及び第2カメラズーム信号に戻される。
【0058】
そして、第1架台パン信号及び第1架台チルト信号は、第1架台100に与えられ、第
1カメラフォーカス信号及び第1カメラズーム信号は第1カメラC1に与えられる。また
、第2架台パン信号及び第2架台チルト信号は、第2架台200に与えられ、第2カメラ
フォーカス信号及び第2カメラズーム信号は、第2カメラC2に与えられる。
【0059】
第1バッファ320は、第1カメラC1から出力された全体領域撮像信号を一時的に保
持するものであり、第2バッファ330は、第2カメラC2から出力された注目領域撮像
信号を一時的に保持するものである。第1バッファ320で保持された全体領域撮像信号
及び第2バッファ330で保持された注目領域撮像信号は、相互のフレームタイミングが
同期するように読み出されて、監視画像表示制御装置500に送られる。すなわち、第1
バッファ320で保持された全体領域撮像信号は、ブランキング信号合成部522に送ら
れ、第2バッファ330で保持された注目領域撮像信号は、ブランキング信号生成部52
1に送られるとともに、第2バッファ524に送られる。
【0060】
図5は、表示インターフェース部400の構成を示す図である。表示インターフェース
部400は、図5に示すように、多重化信号復号化部410と、第1バッファ420及び
第2バッファ430とを有している。多重化信号復号化部410は、監視画像表示制御装
置500の第2多重化部518から送られてくる多重化信号を各々の信号に戻す。すなわ
ち、第2多重化部518から送られてくる多重化信号は、第3架台パン信号、第3架台チ
ルト信号及び第2プロジェクターズーム信号に戻される。そして、第3架台パン信号及び
第3架台チルト信号は、第3架台700に与えられ、第2プロジェクターズーム信号(第
2PJズーム信号)信号は、第2プロジェクターPJ2に与えられる。
【0061】
第1バッファ420は、監視画像表示制御装置500における表示画像信号生成部52
0の第1バッファ523から送出された全体領域撮像信号を受け取り、インピーダンス整
合して第1プロジェクターPJ1に送出する。なお、全体領域撮像信号にはブランキング
部が形成されている。
【0062】
また、第2バッファ430は、監視画像表示制御装置500における表示画像信号生成
部520の第2バッファ524から送出された注目領域撮像信号を受け取り、インピーダ
ンス整合して第2プロジェクターPJ2に送出する。
【0063】
図6は、スクリーンSCR上の表示画面について説明する図である。スクリーンSCR
上の表示画面は、図6に示すように、全体領域に対応する全体画像が表示される第1画面
G1と、全体領域の中の注目領域に対応する注目画像が表示される第2画面G2とからな
る。具体的には、第1画面G1は、第1カメラC1で撮像された全体画像が第1プロジェ
クターPJ1によって投写される画面であり、第2画面G2は、第2カメラC2で撮像さ
れた注目画像が第2プロジェクターPJ2によって投写される画面である。
【0064】
なお、第1プロジェクターPJ1から投写される全体画像の中には、ブランキング部が
生成されており、このブランキング部が第2画面G1に相当する。そして、第2画面G2
には、第2カメラC2で撮像された注目画像が第2プロジェクターPJ2から投写される

【0065】
図7は、操作端末600による操作と監視画像表示制御装置500の第2インターフェ
ース部516から出力される各動作指示信号(図3参照)との関係を示す図である。図7
において、丸印「○」は監視者Mによる操作に密接に関連して制御される制御対象であり
、三角印「△」は監視者Mによる操作に密接には関連しないが、必要に応じて制御される
制御対象を示している。なお、「監視者Mによる操作」というのは、図2における「全体
撮像方向設定部610」、「第1カメラズーム値設定部620」、「第2カメラ撮像方向
設定部630」及び「第2カメラズーム値設定部640」を操作することである。
【0066】
図7に示すように、監視者Mが「全体撮像方向設定部610」を操作すると、第1架台
100のパン動作又はチルト動作が制御される。なお、第1架台100のパン動作又はチ
ルト動作が制御されることによって第1カメラC1と第2カメラC2の撮像方向が設定さ
れる。また、監視者Mが「第1カメラズーム値設定部620」を制御すると、第1カメラ
C1のズームとともに、第2カメラC2のズームも連携して制御される。
【0067】
また、監視者Mが「第2カメラ撮像方向設定部630」を操作すると、第2架台200
のパン動作又はチルト動作が制御されるとともに、第3架台700のパン動作又はチルト
動作が制御される。なお、第2架台200のパン動作又はチルト動作が制御されることに
よって第2カメラC2の向きが制御され、第3架台700のパン動作又はチルト動作が制
御されることによって第2プロジェクターPJ2による注目画像の表示位置(第2画面G
2の表示位置)が制御される。また、監視者Mが「第2カメラズーム値設定部640」を
操作すると、第2カメラC2のズーム値が制御されるとともに、第2プロジェクターPJ
2のズーム値が制御される。
【0068】
また、第1カメラC1のフォーカスと第2カメラC2のフォーカスについては、監視者
Mの各操作のうちの三角印「△」で示した各操作を行う際に調整が必要であればその都度
調整を行う。この場合、図2では省略したが、例えば、操作端末600に調整操作機能を
搭載しておき、画面を見ながら調整することが可能である。なお、第1カメラC1及び第
2カメラC2それぞれにオートフォーカス機能を搭載しておくことで自動的に調整するこ
とも可能である、
【0069】
次に、図8及び図9を参照しながら操作端末600による操作に対するスクリーンSC
R上の監視画像の様子を説明する。
【0070】
図8は、スクリーンSCR上に表示される監視画像を示す図である。監視者M(図1参
照)は図8に示すような監視画像を監視している。図8(A)〜(D)の第1画面G1に
は、第1カメラC1で撮影された全体画像が第1プロジェクターPJ1によって投写され
ており、第1画面G1の中の第2画面G2(破線で囲った枠内)には、第2カメラC2で
撮影された注目画像が第2プロジェクターPJ2によって投写されている。なお、第1カ
メラC1と第2カメラC2とは同じ解像度であって、第1プロジェクターPJ1と第2プ
ロジェクターPJ2も同じ解像度であるとする。ここでは、これらの解像度がすべて72
0画素×480画素の解像度であるとする。
【0071】
ここで、図8(A)〜(D)のうちの図8(A)〜(C)においては、注目画像を投写
する第2プロジェクターPJ2の投写レンズのズーム値を制御することにより、第1画面
G1に表示される全体画像と第2画面G2に表示される注目画像とはそれぞれの被写体の
大きさにおいて矛盾のない状態で表示されている。
【0072】
また、第1画面G1内における第2画面G2の表示位置は、第2カメラC2が取り付け
られている第2架台200のパン動作又はチルト動作に連動して第3架台700がパン動
作又はチルト動作するため、第1カメラC1で撮像した全体画像内における第2カメラC
2で撮像した注目画像の位置に一致する。
【0073】
なお、第2プロジェクターPJ2が投写する注目画像は、第3架台700によって投写
方向が変化すると、スクリーンSCRに対する投写角度が変わるために、台形歪が生じる
場合があるが、第2プロジェクターPJ2に内蔵された図示しない台形歪補正回路によっ
て、予め、スクリーンSCRに対する投写角度に応じた台形歪補正がなされるようにして
おくことで、台形歪が補正された画像を表示させることができる。
【0074】
また、第1画面G1に表示される全体画像と第2画面G2に表示される注目画像の解像
度が同じであるのに対して、注目画像は全体画像に比べて小さい画面サイズで表示されて
いるために、注目画像は全体画像に比べて、高解像度で表示を行うことができる。このた
め、監視者Mは、注目画像を詳細に監視することができる。
【0075】
次に、監視者Mの操作手順に沿って説明する。まず、撮像方向を設定するために、操作
端末600の「全体撮像方向設定部610」を操作して、第1架台100の向きを撮像方
向に設定する。このとき、第2架台200も第1架台100に連動してその向きが変わる
。これにより、第1カメラC1の撮像方向と第2カメラC2の撮像方向はともに同じ方向
となる。また、撮像範囲を設定するためには、「第1カメラズーム値設定部620」を操
作する。これにより、第1カメラC1のズーム値と第2カメラのズーム値が連動して設定
され、設定されたズーム値に応じた撮像範囲での撮像が可能となる。
【0076】
この状態で第1カメラC1及び第2カメラC2でそれぞれ撮像を行うと、第1カメラC
1からは例えば図8(A)の第1画面G1に示すような全体画像が得られ、第2カメラC
2からは第2画面G2に示すような注目画像が得られる。
【0077】
なお、全体画像内において注目画像の位置を任意に設定することも可能であり、その場
合には、操作端末600の「第2カメラ撮像方向設定部630」を操作する。「第2カメ
ラ撮像方向設定部630」を操作することによって、第2架台200と第3架台700が
連動して操作するため、第2プロジェクターPJ2によって投写される注目画像の位置(
第2画面G2)も第2カメラC2で撮像された注目画像の位置と一致する。
【0078】
図9は、図8に示す全体画像から注目画像のみを取り出して示す図である。図9(A)
は、図8(A)の第2画面G2に表示されている注目画像を取り出して示す図であり、注
目画像の被写体である「自動車」全体と右端側に存在する「塀」の一部が表示されたもの
となっている。ここで、図9(A)に示す注目画像を、より詳細に見たい場合には、操作
端末600の「第2カメラズーム値設定部640」を操作して、第2カメラC2のズーム
値を高くする。なお、ズーム値を高くすることを「ズームアップ」というように表現する
場合もある。
【0079】
この場合、第2カメラC2で撮像された注目画像は、ズームアップされた画像となり、
第2画面G2に表示される注目画像も図9(B)に示すようにズームアップした画像とな
るが、第2カメラC2のズームアップ動作に連動して第2プロジェクターPJ2の投写レ
ンズがズーム動作し、図8(B)に示すように、被写体(この場合自動車など)の大きさ
が変わらないように第2画面G2の表示範囲を縮小する方向へ変化させる。すなわち、第
2プロジェクターPJ2から投写される注目画像の見かけ上の解像度が高くなる。これに
より、注目画像は、詳細な画像として表示される。
【0080】
そして、第2カメラC2をさらにズームアップすると、第2カメラC2で撮像された注
目画像は、さらにズームアップされた画像となり、第2画面G1に表示される注目画像は
、図9(C)に示すように、図9(B)よりさらにズームアップした画像となるが、第2
カメラのズームアップ動作に連動して第2プロジェクターPJ2の投写レンズもズーム動
作し、図8(C)に示すように、被写体(自動車など)の大きさが変わらないように第2
画面G2の表示範囲をより縮小する方向へ変化させる。これにより、第2画面G2として
の注目画像の見かけ上の解像度はさらに高くなる。これにより、注目画像はより詳細な情
報を含んだ画像として表示される。
【0081】
なお、第2画面G2が縮小される際には、第2画面G2が縮小された分の領域が全体画
像として表示されるために、第1画面G1と第2画面G2との間に画像の空白部が生じる
ことなく両者の連続性は保たれる。
【0082】
図8(B),(C)に示したように、第2画面G2を縮小する制御を行うことにより、
第2画面G2に表示される注目画像の見かけ上の解像度は、より高くなり、注目画像はよ
り詳細な情報を含んだ画像として表示されるが、必要以上に詳細な画像を表示しても、監
視者Mが詳細な画像を見分けることができずに、却って見づらい画像となる場合もある。
しかしながら、監視者Mはそのことを意識することなく、注目画像をよりズームアップし
ようとする傾向がある。
【0083】
そこで、第2カメラC2のズーム値に閾値(第1閾値Th1とする)を設定しておき、
監視者Mが第1閾値Th1を超えて第2カメラC2をズームアップした場合、第2カメラ
C2で撮像される注目画像はズームアップした画像となるが、第2のプロジェクターPJ
2から投写される第2画面G2の大きさはそれ以上縮小させずに、表示サイズを一定とし
て表示する。
【0084】
例えば、図8(C)に示す状態が第2カメラC2のズーム値の第1閾値Th1であった
とすると、図8(C)の状態からさらに第2カメラC2のズーム値を高くした場合、第2
カメラC2で撮像される注目画像は、例えば、図9(D)に示すようにズームアップされ
たものとなるが、第2のプロジェクターPJ2から投写される第2画面G2の大きさは図
8(C)に示す表示サイズで固定する。
【0085】
このような表示制御を行うことで、図8(D)に示すように、注目画像がズームアップ
された画像となり、第2画面G2に表示される注目画像と第1画面G1に表示される全体
画像とは、被写体の大きさとしての連続性が失われるが、必要以上に詳細な画像となって
却って見づらい画像となってしまうことを防止できる。また、注目画像がズームアップさ
れた画像となることにより、細部の確認が容易となるといった効果が得られる。
【0086】
なお、第1閾値Th1については、監視者Mの視力、視距離及び第2画面G2の垂直方
向画素数(第2プロジェクターPJ2の垂直方向画素数)に基づいて決めることができる
。例えば、視力が1.0の場合は、分解能が1分(1/60度)と定義されている。そこ
で、視力をV、第2画面G2の高さをH、第2画面G2の垂直方向画素数(解像度)をr
、視距離をdとすると、垂直方向の画素ピッチは、H/rで示されるから、視力Vの監視
者が見ることのできる最小の画素ピッチの画角は、
1/(V・60)=H・360/(r・d・π) ・・・(1)
と表すことができる。従って、第2画面G2の高さHは、
H=r・d・π/(V・21600) ・・・(2)
と表すことができる。
【0087】
第2画面G2が(2)式で求められる第2画面G2の高さHを有する表示サイズになる
ような、第2プロジェクターPJ2の投写レンズのズーム値を、第1閾値Th1として設
定すればよい。この第1閾値Th1は、表示サイズの変化の度合いを切り換えるための表
示サイズ切換点としての役目をなすものである。なお、第1閾値Th1は、操作端末60
0(図2参照)の視距離設定部660及び視力設定部670で視距離と監視者の視力を設
定することによって演算により算出して設定するようにしてもよく、また、監視者が実際
にズーム値を高くしながら、見にくくなる点を表示サイズ切換点設定部650で設定して
もよい。
【0088】
また、監視者Mが第1閾値Th1を超えてさらにズームアップ操作を続けることを想定
し、第1閾値Th1を超えた第2閾値Th2を設定しておき、第2カメラC2を第2閾値
Th2を超えてズームアップしようとすると、第2画面G2の表示サイズを逆に拡大させ
るようにすることも可能である。このようにすることで、例えば、監視者Mよりもスクリ
ーンSCRから離れた位置にいる別の監視者などからも第2画面G2に表示される注目画
像が見やすくなる。
【0089】
なお、第2閾値Th2については、操作端末600の表示サイズ切換点設定部650に
より任意に設定可能とすればよいが、例えば、第2カメラC2のズーム値の最大値を第2
閾値Th2として設定してもよい。このように、第2カメラC2のズーム値の最大値を第
2閾値Th2として設定しておくと、第2カメラC2のズームアップの範囲を超えても、
第2画面G2上ではあたかも連続したズームアップがなされているような表示が行われる

【0090】
図10は、第2カメラC2のズーム値と第2画面G2の表示サイズの変化の一例を示す
図である。図10に示すように、監視者Mが第2カメラC2のズーム値を高くしていくと
、当初は第2画面G2の表示サイズが縮小して行くが、第2カメラC2のズーム値が第1
閾値Th1に達すると、第2画面G2の表示サイズはそれ以上縮小しないで一定となる。
そして、監視者Mが第2カメラC2のズーム値をさらに高くして、第2カメラC2のズー
ム値が第2閾値Th2に達すると、今度は、第2画面G2の表示サイズは拡大して行く。
なお、図10における第2画面G2の表示サイズは、(2)式で求められる第2画面G2
の高さHで表すことができる。
【0091】
なお、第2閾値Th2以降における第2画面G2の表示サイズの変化の度合いは、図1
0に示すように、表示サイズの変化の度合いを予め設定しておいてもよいが、表示サイズ
の変化の度合いを監視者によって任意に設定できるようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、実施形態1に係る監視システム10によれば、全体画像を表示す
る第1画面G1の中に注目画像を表示する第2画面G2を設けるようにしているために、
全体領域の状況を把握しながら当該全体領域内の注目領域を監視することができる。この
ため、注目領域以外の全体領域内で何か変化が発生した場合でも見落としをなくすことが
できる。また、第2画面G2に表示される注目画像は、高解像度で詳細な画像として表示
することができるので、注目領域をより詳細に監視することができる。
【0093】
また、第1画面G1内における第2画面G2の位置は、全体領域における注目領域の実
際の位置に一致した位置となっているので、全体領域と注目領域との位置関係の把握がし
易く、注目領域又は注目領域以外の全体領域に何らかの変化が生じた場合にも、変化の様
子を的確に把握することができる。
【0094】
また、注目画像をズームアップした場合でも、スクリーンSCRに表示される注目画像
は、被写体の大きさを変化させずに、解像度を高くするような表示が可能であるため、注
目画像の被写体と全体画像の被写体との大きさに矛盾が生じることがない。また、第2画
面G2の表示サイズを小さくする場合においては、第1画面G1との間に画像の空白部が
生じないようにすることができる。これにより、第2画面G2と第1画面G1との間で情
報の欠落を防止できる。
【0095】
また、第2画面G2に表示される注目画像、よりズームアップする場合に、第2カメラ
C2のズーム値に第1閾値Th1を設定しておき、第2カメラC2のズーム値が第1閾値
Th1に達した場合は、第2画面G2の表示サイズをそれ以上縮小せずに一定としている
。これにより、解像度が高くなり過ぎて、却って見づらい画像となってしまうことを未然
に防止することができる。また、さらにズームアップされることを想定して、第2カメラ
C2のズーム値に第2閾値Th2を設定しておき、第2カメラC2のズーム値が第2閾値
Th2に達した場合には、第2画面G2の表示サイズを今度は拡大するようにしている。
これにより、スクリーンSCRから離れた位置にいる別の監視者からも注目画像を見やす
くすることができる。
【0096】
[実施形態2]
図11は、実施形態2に係る監視システム20の構成を示す図である。実施形態2に係
る監視システム20においては、第1カメラC1の光軸L1と第2カメラC1の光軸L2
が直交するように、第1カメラC1と第2カメラC2を設置し、第1カメラC1の光軸L
1と第2カメラC2の光軸L2が直交する位置にハーフミラーHMを光軸L1,L2に対
して45度の角度で配置した構成としている。この場合、第2カメラC2で撮影される注
目画像は、上下が逆になってしまうので、あらかじめ上下が反転するように設定しておく

【0097】
なお、第1カメラC1と第2カメラC2との配置の仕方以外は実施形態1に係る監視シ
ステム10と同じであるので、実施形態1に係る監視システム10と同一構成要素には同
一符号が付されている
【0098】
図11に示すような構成を有することにより、第1カメラC1の光軸L1と第2カメラ
C2の光軸L2をほぼ一致させることができる。このため、実施形態2に係る監視システ
ム20は、実施形態2に係る監視システム10で得られる効果に加えて、スクリーンSC
R上に表示される全体画像と注目画像がより自然な状態で表示できるといった効果が得ら
れる。
【0099】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記(1)〜(6)に示すような変
形実施も可能である。
【0100】
(1)夜間の監視のために、第1カメラC1として赤外線カメラを使用し、第2カメラ
C2として高感度カメラを使用することも可能である。第1カメラC1として赤外線カメ
ラを使えば、全体を高感度カメラで撮像する場合よりも、熱源である人や動物などが動い
ている状況が監視しやすくなるため、侵入者などの発見が容易になる。なお、侵入者の行
動をより詳細に知るためには、第2カメラC2(高感度カメラ)で撮影すればよい。この
場合に、監視範囲全体の領域は常に第1画面G1に表示されているために、別の侵入者が
あっても見落としをなくすことができる。
【0101】
(2)上記した各実施形態においては、第1架台100及び第2架台200と、第3架
台700は、第1カメラC1及び第2カメラC2の撮像方向と、第2プロジェクターPJ
2の投写方向を変えるために、水平方向の回転(パン動作)と垂直方向の傾き(チルト動
作)を行うような構造としたが、撮像方向又は投写方向を設定するためには、水平方向の
回転(パン動作)と垂直方向の傾き(チルト動作)に限られるものではなく、例えば水平
方向及び垂直方向にそれぞれスライド可能とする構造としてもよい。
【0102】
(3)注目画像として撮像する注目領域の設定の仕方としては、全体画像の中で動きの
ある領域を注目領域として設定するようにしてもよい。
【0103】
(4)上記した各実施形態では、リア投写型の監視システムとしたが、第1プロジェク
ターPJ1及び第2プロジェクターPJ2を監視者と同じ方向から投写するフロント投写
型の監視システムとしてもよい。
【0104】
(5)スクリーンSCRとして半透過型のスクリーンを用い、第1プロジェクターPJ
1と第2プロジェクターPJ2を半透過型のスクリーンを挟んで互いに逆方向から投写す
るようにしてもよい。
【0105】
(6)第1プロジェクターPJ1の代わりに、LCD(液晶ディスプレー)やPDP(
プラズマディスプレー)のようなフラットパネルディスプレーを用いてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10,20・・・監視システム、100・・・第1架台、200・・・第2架台、30
0・・・カメラインターフェース、400・・・表示インターフェース、500・・・監
視画像表示制御装置、510・・・撮像及び表示制御部、520・・・表示画像信号生成
部、600・・・操作端末、C1・・・第1カメラ、C2・・・第2カメラ、G1・・・
第1画面、G2・・・第2画面、M・・・監視者、PJ1・・・第1プロジェクター、P
J2・・・第2プロジェクター、SCR・・・スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視範囲の全体領域を撮像する第1カメラから出力される全体領域撮像信号と前記全体
領域の中の注目領域を撮像する第2カメラから出力される注目領域撮像信号とを入力し、
前記全体領域撮像信号に対応する全体画像の中に前記注目領域撮像信号に対応する注目画
像を挿入可能なブランキング部を全体領域撮像信号に生成して、前記ブランキング部が生
成された全体領域撮像信号を第1プロジェクターに送信するとともに前記注目領域撮像信
号を第2プロジェクターに送信する監視画像表示制御装置であって、
前記注目領域を撮像する際の前記第2カメラの撮像方向を設定する第2カメラ撮像方向
設定信号及び前記第2カメラのズーム値を設定する第2カメラズーム信号を前記第2カメ
ラに出力する機能を有する撮像及び表示制御部と、
前記ブランキング部を生成するためのブランキング信号を、前記第2カメラ撮像方向設
定信号及び前記第2カメラズーム信号に基づいて生成する機能を有する表示画像データ生
成部と、
を備えたことを特徴とする監視画像表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視画像表示制御装置において、
前記撮像及び表示制御部は、前記第2カメラズーム信号として前記注目画像を拡大して
撮像するための第2カメラズーム信号を前記第2カメラに出力する際には、前記第2プロ
ジェクターに対し、前記注目画像の表示サイズを縮小させるような第2プロジェクターズ
ーム信号を前記第2カメラズーム信号の変化に連携して出力する機能をさらに有すること
を特徴とする監視画像表示制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視画像表示制御装置において、
前記注目画像を拡大して撮像するための第2カメラズーム信号に、前記注目画像の表示
サイズの縮小の度合いを切り換えるための第1閾値が設定されており、
前記撮像及び表示制御部は、前記第2カメラズーム信号が前記第1閾値に達した以降は
、前記第2プロジェクターが投写する前記注目画像の表示サイズを一定とするように前記
第2プロジェクターズーム信号を制御することを特徴とする監視画像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の監視画像表示制御装置において、
前記第1閾値は、前記注目画像の表示サイズが、監視者の視力、前記監視者から投写面
までの視距離及び前記第2プロジェクターの垂直方向画素数をパラメータとして求められ
る前記注目画像の垂直方向高さを有する表示サイズとなるような値に設定されることを特
徴とする監視画像表示装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の監視画像表示制御装置において、
前記第1閾値を超えた前記第2カメラズーム信号に対して第2閾値が設定されており、
前記撮像及び表示制御部は、前記第2カメラズーム信号が前記第2閾値に達した以降は
、前記注目画像の表示サイズを大きくするように前記第2プロジェクターズーム信号を制
御することを特徴とする監視画像表示装置。
【請求項6】
監視範囲の全体領域を撮像する第1カメラと、
前記全体領域の中の注目領域を撮像する第2カメラと、
前記第1カメラから出力される全体領域撮像信号と前記第2カメラから出力される注目
領域撮像信号とを入力し、前記全体領域撮像信号に対応する全体画像の中に前記注目領域
撮像信号に対応する注目画像を挿入可能なブランキング部を全体領域撮像信号に生成して
、前記ブランキング部が生成された全体領域撮像信号を出力するとともに前記注目領域撮
像信号を出力する監視画像表示制御装置と、
前記ブランキング部が生成された全体領域撮像信号に対応する全体画像を投写する第1
プロジェクターと、
前記注目領域撮像信号に対応する注目画像を投写する第2プロジェクターと、
を備え、
前記監視画像表示制御装置は、
前記注目領域を撮像する際の前記第2カメラの撮像方向を設定する第2カメラ撮像方向
設定信号及び前記第2カメラのズーム値を設定する第2カメラズーム信号を前記第2カメ
ラに出力する機能を有する撮像及び表示制御部と、
前記ブランキング部を生成するためのブランキング信号を、前記第2カメラ撮像方向設
定信号及び前記第2カメラズーム信号に基づいて生成する機能を有する表示画像データ生
成部とを有することを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムにおいて、
前記第1カメラは、当該第1カメラの撮像方向を任意に設定可能とするように少なくと
も水平及び垂直方向への回転又はスライドが可能となるように設置されており、
前記第2カメラは、前記第1カメラの水平及び垂直方向への回転又はスライドに連動し
て水平及び垂直方向に回転又はスライドし、かつ、前記注目領域を撮像可能とするように
、少なくとも水平及び垂直方向への回転又はスライドが可能となるように設置されている
ことを特徴とする監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載の監視システムにおいて、
前記第2プロジェクターは、前記第2カメラの前記水平及び垂直方向への回転又はスラ
イドに連動して水平及び垂直方向に回転又はスライドするように設置されていることを特
徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−217307(P2011−217307A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85858(P2010−85858)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】