説明

目元画像シミュレーション装置、目元画像生成方法、及び目元画像生成プログラム

【課題】睫毛の形状を自由に変化させて目元画像を生成し、生成された目元画像からマスカラの仕上がりに対するユーザの嗜好性を調査する。
【解決手段】ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像シミュレーション装置であって、前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手段と、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手段と、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目元画像シミュレーション装置、目元画像生成方法、及び目元画像生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、目元に対する色調や質感、形状等の印象を変化させるアイメーキャップは女性にとって欠かせないアイテムとなっている。アイメーキャップの中でも特にマスカラは、睫毛に直接塗布することで印象を大きく変えるため、世代に関わらず人気が高い。そのため、各化粧品メーカーは様々な商品を市場に展開している。
【0003】
マスカラの種類には、例えば睫毛を長く見せるタイプ、太く見せるタイプ、あたかも睫毛の本数が増えたかのように見せるタイプ、更にこのように見せた睫毛のカール効果を高めるタイプ等が掛け合わされ、その仕上がりには沢山のバリエーションが考えられる。この仕上がりのバリエーションは、ユーザの嗜好により大きく異なり、ユーザのその時々の気分に影響された短期的な変化、季節性、時代性、ファッショントレンドのような長期的な変化等の影響が見られる。
【0004】
マスカラの商品を企画する際には、随時、上述した変化を踏まえながら、ユーザの実際の仕上がりの傾向や嗜好性を把握し、現時点での傾向を捉える必要がある。また、その傾向に基づいて、将来ユーザに好まれる仕上がりを先取りして、商品設計へ反映させていく必要がある。
【0005】
従来では、ユーザのマスカラの嗜好性を調査するため、マスカラの仕上がりのイメージを形容詞で表してもらったり、上述した各タイプ別に沿って長さや太さ等の機能的な面から嗜好性を調査したり、長さや太さ等を組み合わせた様々な種類の仕上がりの写真を作製して見た目からユーザの嗜好性を捉える調査等を行っていた。
【0006】
例えば、図1は、従来のマスカラ嗜好性調査で用いられる画像の一例を示す図である。図1に示す例では、睫毛の長さを変化させたタイプL1〜タイプL4の写真や、睫毛の長さと太さを変化させたタイプV1〜タイプV4の写真が示されており、ユーザに対してこれらの写真が提示され、どの仕上がりが好きであるかを選択させ、その選択結果から嗜好性を捉える調査等を行っていた。
【0007】
また、従来では、睫毛の曲率、長さ等のパラメータを変更することにより、睫毛の外観をシミュレーションする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−79619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したマスカラの仕上がりのイメージを言葉により表現したものは、抽象的であるため具体的な展開が図りにくく、睫毛の太さや長さ等の傾向は具体的な数値として把握できなければ商品設計への展開が難しかった。
【0010】
上述した写真を用いた調査では、各写真の睫毛の形状が形状を示す数値を連続的に変化させて作製したものではないため、各写真間に睫毛の形状における変化の連続性はなく、画一的なピンポイントの嗜好しか把握できなかった。そのため、嗜好性の幅を持った領域の面から把握できないため設計の許容幅を特定することができなかった。
【0011】
また、調査時における被験者の負担や疲労による結果の信頼性欠如を考えると、一度に提示できる写真枚数には限界があり、嗜好傾向の全体を網羅するような沢山の写真を提示する調査は実施しにくい。更に数値的な変化を踏まえ、非常に多くの写真を用意するとなると、その作製には時間や費用等、莫大なコストがかかるという問題もあった。
【0012】
また、上述した特許文献1の方法では、店頭等における接客時の販売促進を目的としており、シミュレーションした睫毛の外観からマスカラの仕上がりに対するユーザの嗜好性を数値分析するための具体的な方法が記載されていないため、数量的な嗜好性調査を実現することができなかった。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、睫毛の形状を自由に変化させて目元画像を生成し、生成された目元画像からマスカラの仕上がりに対するユーザの嗜好性を調査するための目元画像シミュレーション装置、目元画像生成方法、及び目元画像生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像シミュレーション装置であって、前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手段と、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手段と、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像シミュレーション装置により実行される目元画像生成方法であって、前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手順と、前記睫毛生成手順によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手順と、前記睫毛生成手順によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手順により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手順とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像生成プログラムであって、コンピュータを、前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手段、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手段、及び、前記睫毛生成手段によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手段として機能させるための目元画像生成プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、睫毛の形状を自由に変化させて目元画像を生成し、生成された目元画像からマスカラの仕上がりに対するユーザの嗜好性を調査することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のマスカラ嗜好性調査で用いられる画像の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る目元画像シミュレーション装置の機能ブロック図である。
【図3】目元画像シミュレーション装置を実現する一例のハードウェア構成図である。
【図4】本実施形態に係る目元画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】目元画像シミュレーション装置の表示画面の一例を示す図である。
【図6】睫毛の長さ、太さ、本数のパラメータを説明するための図である。
【図7】睫毛のカールを説明するための図である。
【図8】円錐状ポリゴンによる睫毛のカールの生成について実例を示す図である。
【図9】睫毛のフォルムを説明するための図である。
【図10】睫毛のフォルムが変更される場合の一例を示す図である。
【図11】上睫毛の曲率のパラメータが変更される場合の一例を示す図である。
【図12】下睫毛の曲率のパラメータが変更される場合の一例を示す図である。
【図13】睫毛のフォルムの解析方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<目元画像シミュレーション装置:機能ブロック構成例>
図2は、本実施形態に係る目元画像シミュレーション装置の機能ブロック図である。本実施形態では、顔部位のうち目元を画像化の対象とし、目元を構成する部位の中で睫毛の形状を自由に変化させる。睫毛は、上瞼の睫毛及び下瞼の睫毛の両方を示す。
【0021】
睫毛の形状を構築するために用いるパラメータは、睫毛の各要素となる睫毛の長さ、太さ、睫毛のカールの具合(カール具合)を示す曲率、睫毛の本数、及び例えば上瞼の目頭から目尻までの複数の睫毛の先端部を連結して構成されるラインであるフォルム等とし、これらを本実施形態における制御対象とする。このように、睫毛一本ずつを数量化対象とすることで、商品特性の設計に生かすことが可能となる。
【0022】
また、ユーザのマスカラ使用実態によれば、全ての睫毛を同じような長さ、方向へと仕上げるのではなく、例えば目尻だけ長く見せたい、目の中央部を大きく見せたい、又は目尻は大きく角度をつけて仕上げたい等、部位によって強調して仕上げることもある。したがって、上述した睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムや部位ごとに設定されたカール具合(曲率)を把握することはユーザの嗜好を捉える上で重要な要素となる。
【0023】
図2に示すように、目元画像シミュレーション装置10は、入力手段11と、出力手段12と、記録手段13と、設定手段14と、睫毛生成手段15と、フォルム変更手段16と、曲率変更手段17と、シミュレーション画像生成手段18と、解析手段19と、制御手段20とを有するように構成される。
【0024】
入力手段11は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル等からなり、ユーザ等からの各種指示の開始、終了等の入力を受け付ける。例えば、入力手段11は、ユーザにより設定される睫毛の形状に関する各種設定情報等を受け付ける。
【0025】
出力手段12は、例えばディスプレイ等の表示画面からなり、入力手段11により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の表示、出力を行う。例えば、出力手段12は、睫毛生成手段15により生成された睫毛を表示したり、フォルム変更手段16により変更されたフォルムを表示したり、曲率変更手段17により変更された曲率の睫毛を表示したり、シミュレーション画像生成手段18により生成された目元の画像を表示したりする。
【0026】
記録手段13は、ユーザにより設定された睫毛の形状に関する設定情報や、例えば円錐状等の所定形状のポリゴンに関する情報、目元画像の背景となる睫毛を排除した背景画像、例えば瞳の色、肌色、眉毛状態、瞼状態等を表すための目元関連情報等の各種データを記録する。また、記録手段13は、必要に応じて記録されている各種データを読み出すことができる。
【0027】
設定手段14は、表示画面上でユーザにより設定された睫毛の形状に関する設定情報を取得し、記録手段13に記録する。なお、睫毛の形状に関する設定情報とは、例えば睫毛の形状を構築する睫毛の太さ、長さ、睫毛をカールしたときのカール具合を示す曲率、睫毛の本数、及びフォルム等のうち少なくとも1つを含むが、本発明においては、これに限定されるものではない。上述の設定情報は、例えば上述した睫毛の形状を構築するためのパラメータ等として用いられる。
【0028】
睫毛生成手段15は、設定手段14により設定された睫毛の形状に関する設定情報を用いて、円錐状等の所定形状のポリゴンによって睫毛を生成する。なお、円錐状等の所定形状のポリゴンによる睫毛の生成方法については後述する。
【0029】
フォルム変更手段16は、睫毛生成手段15により生成された例えば上瞼の目頭から目尻までの複数の睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムがユーザにより変更されたか否か判断し、変更されたと判断した場合、ユーザにより変更されたフォルムの情報を取得し
、変更されたフォルムに合うように睫毛の長さ及び睫毛の方向(水平面上の角度)を変更する。なお、フォルムやフォルムの変更の仕方については後述する。
【0030】
曲率変更手段17は、睫毛生成手段15により生成された上睫毛又は下睫毛、又はフォルム変更手段16により変更されたフォルムの上睫毛又は下睫毛に対して、部位毎にカールしたときのカール具合を示す曲率を変更する。曲率変更手段17は、例えば上睫毛又は下睫毛の部位を根元部、中央部、及び先端部に分け、根元部、中央部、先端部の少なくとも1つの部位に対して曲率を変更する。
【0031】
上述したように、睫毛の各要素となる睫毛の長さ、太さ、カール具合(睫毛をカールしたときのカールの曲率)、睫毛の本数、フォルム等を、例えば円錐状等の所定形状のポリゴンによって表現することで、睫毛の形状を自在に変更することが可能となる。また、睫毛の形状を構築する各要素を数値化することにより、睫毛の見え方の嗜好性(マスカラの嗜好性)を定量化することが可能となる。
【0032】
シミュレーション画像生成手段18は、睫毛生成手段15によって生成された睫毛、又は、フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて、目元の画像を生成する。また、シミュレーション画像生成手段18は、曲率変更手段17により変更された曲率を用いて目元の画像を生成しても良い。
【0033】
このとき、シミュレーション画像生成手段18は、記録手段13に記録した目元画像の背景となる睫毛を排除した背景画像、例えば瞳の色、肌色、眉毛状態、瞼状態等を表すための目元関連情報を用いて目元画像の背景画像を生成し、生成した目元画像の背景画像に睫毛やフォルムを重ねて目元画像を生成する。
【0034】
なお、シミュレーション画像生成手段18は、瞳の色、肌色、一重、二重瞼等の瞼の形状を変更して目元画像を生成することもできる。また、シミュレーション画像生成手段18は、例えば正面、斜め30度、真横の三方向等からの視点で見たときの目元画像や、まばたきをしたり、目の開き方等を変更したりする目元画像を生成することもできる。
【0035】
これにより、ユーザにより設定された睫毛の形状について各形状の数値を反映させた具体的な仕上がり状態が表示され、その仕上がりの状態を各方向から確認することが可能となる。
【0036】
解析手段19は、シミュレーション画像生成手段18により生成された目元の画像から睫毛の形状を数値分析により解析する。すなわち、解析手段19は、マスカラの仕上がりにおけるユーザの嗜好性を数値化された睫毛の形状によって定量化し、数値分析を行う。なお、解析手段19による数値化された睫毛の形状の解析方法については後述する。
【0037】
これにより、マスカラの商品を企画する際には、上述にて得られる定量化された数値分析の結果に基づいて、ユーザの実際の仕上がりの傾向や嗜好性を把握し、現時点での傾向を捉えることが可能となると共に、例えば経時的な数値の変化量や特性に基づき、将来ユーザに好まれる仕上がりを先取りして、商品設計へ反映させていくことが可能となる。
【0038】
制御手段20は、目元画像シミュレーション装置10の各構成部全体の制御を行う。例えば、制御手段20は、ユーザにより設定された睫毛の形状に関する設定情報を用いて睫毛生成手段15により睫毛を生成し、フォルム変更手段16により睫毛のフォルムを変更する等の各制御を行う。
【0039】
<目元画像シミュレーション装置:ハードウェア構成例>
次に、図3を用いて、目元画像シミュレーション装置10を実現するハードウェア構成について説明する。図3は、目元画像シミュレーション装置を実現する一例のハードウェア構成図である。
【0040】
図3に示すように、目元画像シミュレーション装置10は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置21と、出力装置22と、ドライブ装置23と、補助記憶装置24と、メモリ装置25と、演算処理装置(CPU)26と、ネットワーク接続装置27と、記録媒体28とを有するように構成される。
【0041】
なお、図3の目元画像シミュレーション装置10を構成する各種デバイスは1つの筐体に収容してもよいし、複数の筐体に分散して収容してもよい。
【0042】
入力装置21は、ユーザが操作するキーボード、マウス等のポインティングデバイスや、ユーザが操作するタッチパネル等を有しており、ユーザからの目元画像生成プログラムの実行等、様々な操作指示を入力するために用いられる。
【0043】
出力装置22は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイ等を有し、演算処理装置26が有する制御プログラムにより目元画像生成プログラム等の実行経過や結果等を表示する。
【0044】
目元画像生成プログラム等の実行プログラムは、CD−ROM等の記録媒体28によって提供される。記録媒体28は、ドライブ装置23にセットされ、記録媒体28に含まれる実行プログラムは、記録媒体28からドライブ装置23を介して補助記憶装置24にインストールされる。
【0045】
なお、プログラムを記録した記録媒体28は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(MO)等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、又はROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることが可能である。
【0046】
補助記憶装置24は、ハードディスク等のストレージ手段であり、目元画像生成プログラム等の実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム、そのプログラムの処理に必要な各種ファイル、各種データ等を蓄積し、必要に応じて入出力を行う。
【0047】
メモリ装置25は、演算処理装置26により補助記憶装置24から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置25は、ROMやRAM等からなる。
【0048】
演算処理装置26は、OS等の制御プログラム、メモリ装置25に格納されている目元画像生成プログラム等の実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して各処理を実現する。また、プログラムの実行中に必要な各種情報は、補助記憶装置24から取得し、また格納する。
【0049】
ネットワーク接続装置27は、通信ネットワーク等と接続することにより、目元画像生成プログラム等の実行プログラムを通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は目元画像生成プログラム等の実行プログラム自体を他の端末に提供したりする。
【0050】
上述したハードウェア構成により、特別な構成を必要とせず、低コストで効率的に目元画像生成処理を実現することができる。また、プログラムをインストールすることにより本実施形態に係る目元画像生成処理を容易に実現することができる。
【0051】
なお、上述したハードウェア構成は、例えば汎用PC等を用いることができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、汎用PCとインターネット等の通信ネットワーク等により接続されるサーバ等に対して目元画像生成処理を実現するプログラムをインストールしておき、汎用PCからネットワーク接続装置27等を介してWebブラウザ等により予め指定されたURL等から上記サーバにアクセスして目元画像生成処理を実行することもできる。
【0052】
<目元画像生成処理の手順>
次に、図4を用いて、本実施形態に係る目元画像生成処理の手順について説明する。図4は、本実施形態に係る目元画像生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
図4に示すように、ユーザによって表示画面に表示された睫毛の形状に関するパラメータ等の情報が設定されると(S10)、設定手段14は、ユーザにより設定された睫毛の形状に関する設定情報を取得する(S11)。
【0054】
次に、睫毛生成手段15は、S11により設定された睫毛の形状に関する設定情報を用いて、例えば円錐状等の所定形状のポリゴンにより睫毛を生成する(S12)。
【0055】
次に、フォルム変更手段16は、S12の処理によって生成された、例えば上瞼の目頭から目尻までの複数の睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムがユーザによって表示画面上で変更されたか否か判断する(S13)。
【0056】
フォルム変更手段16は、ユーザによりフォルムが変更されたと判断した場合(S13において、YES)、変更されたフォルムの情報を取得し、変更されたフォルムに合わせて睫毛の長さ及び睫毛の方向を変更する(S14)。
【0057】
なお、フォルム変更手段16は、フォルムは変更されてないと判断した場合(S13において、NO)、そのままS15の処理に進む。
【0058】
シミュレーション画像生成手段18は、S12により生成された睫毛、又はS14により変更されたフォルムを含んだ目元の画像を生成する(S15)。なお、シミュレーション画像生成手段18は、上述したS12又はS14の処理の後、曲率変更手段17により変更された曲率を用いて目元の画像を生成しても良い。
【0059】
次に、解析手段19は、S13により生成された目元の画像から睫毛の形状を評価するための数値分析等の解析を行い(S16)、処理を終了する。
【0060】
<シミュレーション装置の表示画面の一例>
次に、図5を用いて、目元画像シミュレーション装置10の表示画面について説明する。図5は、目元画像シミュレーション装置の表示画面の一例を示す図である。
【0061】
図5に示すように、目元画像シミュレーション装置10の表示画面には、目元画像表示領域30と、睫毛形状設定領域40とが設けられている。目元画像表示領域30には、睫毛形状設定領域40で設定された設定情報を用いて睫毛生成手段15により生成された睫毛を含む目元画像が、シミュレーション画像生成手段18により生成されて表示される。
【0062】
なお、目元画像表示領域30には、瞳の色、肌の色、眉毛の状態、瞼の状態等の目元背景画像に関する目元関連情報も表示される。
【0063】
睫毛形状設定領域40には、睫毛の太さを設定する太さ設定領域41と、睫毛の長さを設定する長さ設定領域42と、睫毛の本数を設定する本数設定領域43と、睫毛のフォルムを設定するフォルム設定領域44とが設けられている。なお、睫毛形状設定領域40には、睫毛のカールの曲率を設定するカール(曲率)設定領域を含めても良い。
【0064】
図5に示すように、太さ設定領域41、長さ設定領域42、本数設定領域43には、各形状に応じた数値が表示され、ユーザにより各設定領域上の矢印が選択されると、表示されている数値が変更され、変更された数値に応じた太さ、長さ、本数の睫毛が目元画像表示領域30に表示される。
【0065】
また、フォルム設定領域44が選択されると、目元画像表示領域30上で表示されている睫毛の先端部を結んだフォルムが、例えばスプライン曲線等の所定関数を用いて形成され、目元画像表示領域30上に描画される。なお、スプライン曲線等の所定関数によりフォルムを変更する方法については後述する。
【0066】
上述したように、睫毛形状設定領域40上で睫毛の各形状を設定することで、睫毛の本数、長さ、太さ、カール具合、フォルム等の形状を自在に変更することが可能となる。
【0067】
また、目元画像表示領域30の下部には、例えば「正面」、「斜め」、「横」等が選択できる視点選択領域50が設けられ、いずれかを選択することにより、目元画像表示領域30に表示された目元画像を正面、斜め30度、真横の3方向等のいずれかの視点から表示可能となる。これにより、仕上がりの状態をより分かりやすくする。
【0068】
また、睫毛形状設定領域40の上部には、デフォルト選択領域51と、終了選択領域52とが設けられている。デフォルト選択領域51が選択されると、例えば太さ設定領域41、長さ設定領域42、本数設定領域43等の睫毛の各形状設定領域において予めデフォルトで設定された数値が表示され、目元画像表示領域30には、デフォルトで設定された数値に応じた睫毛が生成されて表示される。
【0069】
また、終了選択領域52が選択されると、表示画面は終了する。
【0070】
上述したように、目元画像シミュレーション装置10を用いることで、マスカラの仕上がりの定量化による数値分析、具体的理解、画像表現によるイメージの共有を簡便にPC又はWeb上でサーバを介して稼動するよう構築し、言葉を介さず直接的かつ視覚的に嗜好調査を実施することが可能となる。
【0071】
<睫毛の長さ、太さ、本数のパラメータについて>
次に、図6を用いて、睫毛の長さ、太さ、本数のパラメータについて説明する。図6は、睫毛の長さ、太さ、本数のパラメータを説明するための図である。上述したように、睫毛生成手段15は、ユーザによって設定された睫毛の形状に関する設定情報を用いて、例えば円錐状等の所定形状のポリゴンにより睫毛を生成する。なお、所定形状のポリゴンには、例えば円柱状、多角形の底面を持つ柱状、円錐先端部の形状を球面や平面とした形状、更に円錐状の側面に曲率を持たせた形状等のポリゴンが含まれる。
【0072】
以下、ポリゴンの一例として円錐状ポリゴンを用いて説明する。
【0073】
図6(A)に示すように、睫毛生成手段15は、設定情報に対応させて、睫毛の形状を構築する各要素である睫毛の太さ、長さ、本数等を円錐状ポリゴン60のパラメータを変化させることにより、睫毛を生成する。
【0074】
具体的には、睫毛生成手段15は、円錐状ポリゴン60の底面の半径61を睫毛の太さとして、半径61の値を変化させることで睫毛の太さを表現する。例えば、上述した太さ設定領域41で太さ「70」が設定された場合、太さ「70」に対応する半径61の値を入力して睫毛の太さを変化させる。
【0075】
また、睫毛生成手段15は、円錐状ポリゴン60の高さ62を睫毛の長さとして、高さ62の値を変化させることで睫毛の長さを表現する。
【0076】
なお、円錐状ポリゴン60の底面の形状は円でも楕円でも良く、楕円の場合には長軸の長さ(長径)や短軸の長さ(短径)の値を変化させることで、睫毛の太さを変化させる。
【0077】
また、図6(B)に示すように、睫毛生成手段15は、ユーザによって設定された睫毛の本数を、予め背景画像として用意されている「目」の例えば上瞼における目頭から目尻までの睫毛の生え際等を結んだライン63に対して、例えば等間隔になるよう円錐状ポリゴン60を配置する。すなわち、睫毛生成手段15は、ライン63上に等間隔等で配置された円錐状ポリゴン60の配置数が、ユーザにより設定された睫毛の本数となるように配置する。
【0078】
ここで、ユーザにより睫毛の本数が増減された場合には、睫毛生成手段15は、ライン63上で、増減された睫毛の本数が等間隔等に配置されるよう配分して円錐状ポリゴン60を描画する。なお、例えば下瞼において目尻から下瞼の中央位置まで円錐状ポリゴン60を等間隔等となるよう適宜描画しても良い。
【0079】
また、円錐状ポリゴン60は、初期値として各RGB値を「0」に設定して、その色味を「黒色」として描画するが、他の色へと調整可能である。例えば、円錐状ポリゴン60のツヤ加減は予め実装されているライティング設定値を変更することで表現することが可能である。また、例えばパール剤や干渉光等のより複雑なツヤを再現するには、予めその様子を描画した画像(テクスチャ)を用意しておき、テクスチャマッピング機能により表現することもできる。
【0080】
<睫毛のカールについて>
次に、図7を用いて、睫毛のカールについて説明する。図7は、睫毛のカールを説明するための図である。なお、図7では、円錐状ポリゴン60によって睫毛のカールが形成される手順が示されている。
【0081】
図7(A)に示すように、例えば円錐状ポリゴン60を表示画面等に対して垂直に置いて、円錐状ポリゴン60の手前側が頂点、奥側を底面として配置したとき、円錐状ポリゴン60の底面から頂点までの間を平行に等間隔で各要素60−1〜60−5に輪切りにしたものと仮定する。
【0082】
ここで、図7(B)に示すように、各要素60−1〜60−5をy座標(画面に水平方向、或いは底面に対して上下方向)の上方へスライドさせた状態を「Skew」とする。また、図7(C)に示すように、各要素60−1〜60−5をx軸(画面に左右水平方向)と平行で各要素の重心を通る回転軸を仮定したとき、その回転軸に沿って手前に回転させて角度をつけた状態を「Bend」とする。
【0083】
本実施形態では、円錐状ポリゴン60によって睫毛のカールを上述のように表現し、睫毛のカールのパラメータには、円錐状ポリゴン60の「Skew」と「Bend」の値を用いる。なお、上述のように睫毛をカールさせた場合、睫毛の長さも変化するため、図7(D)に示すように、円錐状ポリゴン60の頂点から各要素60−1〜60−5の重心を通り、底面の中心までを通る距離を求め、長さ64として再定義する。
【0084】
ここで、図8は、円錐状ポリゴンによる睫毛のカールの生成について実例を示す図である。図8(A)は、表示画面上で睫毛のカールを形成する前の円錐状ポリゴン60の状態を示しており、「Skew」又は「Bend」のいずれかのチェックボックスにチェックをすることで、チェックした処理による睫毛のカールの設定を行うことができる。
【0085】
図8(B)は、表示画面上で「Skew」が選択された場合の円錐状ポリゴン60の状態を示している。また、図8(C)は、表示画面上で「Bend」が選択された場合の円錐状ポリゴン60の状態を示している。このように、図8(A)の表示画面で設定した状態の円錐状ポリゴン60による睫毛のカールが表示画面上に表示される。
【0086】
その後、図8(D)に示すような表示画面を用いて、睫毛のカールの曲率を設定することができる。具体的には図8(D)に示すように、表示画面上に表示された睫毛のカールの曲率を設定するカール設定領域65を用いて、ユーザによりカールの曲率等が選択されることにより、睫毛生成手段15は、ユーザに選択されたカールの曲率に対応するパラメータを所定の睫毛のカールが形成された円錐状ポリゴン60に反映させる。これにより、睫毛のカールを自在に変化させることが可能となる。
【0087】
<睫毛のフォルムについて>
次に、図9を用いて、睫毛のフォルムについて説明する。図9は、睫毛のフォルムを説明するための図である。
【0088】
図9に示すように、例えば目元画像表示領域30上で表示された上瞼の目頭から目尻までの複数の睫毛の先端部を結んだ外周66を睫毛のフォルムとする。なお、図9に示す外周66は、ユーザによりフォルムが変更された後の睫毛のフォルムの状態を示している。
【0089】
図9に示すフォルム設定領域44が、ユーザによって選択されると、フォルム変更手段16は、目元画像表示領域30上で表示された上瞼の目頭から目尻までの複数の睫毛の先端部を結んだ外周66を、例えばスプライン曲線等の所定関数を用いて描画する。
【0090】
具体的には、フォルム変更手段16は、上瞼の目頭から目尻にかけて睫毛の先端にノードとする点を配置し、各点をスプライン曲線にて接続する。また、それぞれのノード間を等間隔に分割するように新たなノードを追加する。ここで、ノードの総数は、睫毛の本数の2倍から1引いた数、例えば睫毛が100本ある場合、199点のノードを配置すると良い。
【0091】
次に、フォルム変更手段16は、ユーザによるフォルムの変更動作を簡便にするため、外周66上の所定の間隔にあるノードを制御点67として表示する。例えば、制御点67を7つ設置する場合、目頭と目尻のノードと、その間を6等分する位置にある5つのノードを制御点67−1〜67−7とする。
【0092】
図9に示すように、ユーザによって外周66上に描画された制御点67がドラッグされて外周66の形状が変化する場合、フォルム変更手段16は、各ノードのx、y座標の変位によって睫毛の先端の移動先を決定する。y座標の変位は、睫毛の長さに反映し、フォルム変更手段16は、円錐状ポリゴン60のSkewの値(各ポリゴンのy座標変位)を変化させる。なお、変化分は睫毛の先端座標とフォルム移動点の2点間の距離とする。
【0093】
x座標の変位は、睫毛の方向を定め、睫毛の水平面上での角度変化として表される。すなわち、睫毛の先端のx座標は、制御点67を動かした変位に準じて水平方向へシフトされる。なお、このx座標の変位は、後述する解析手段19により睫毛の方向を解析するための睫毛の角度データとして用いることができる。
【0094】
なお、上述した睫毛のフォルム変更時には、図9の目元画像表示領域30に示すように、例えば「手」等のアイコン表示により、現在ドラッグしているか否か、指定している位置等を容易にユーザに伝えることが可能となる。
【0095】
ここで、図10は、睫毛のフォルムが変更される場合の一例を示す図である。図10に示すように、ユーザによって外周68〜外周70のように変更されると、フォルム変更手段16は、上述したように、睫毛の先端を外周68〜外周70に合うように修正する。ここで修正された睫毛のフォルム(外周68〜外周70の線の形状)は、後述するようにxy座標で表現し、睫毛のフォルムのパラメータとして用いられる。
【0096】
<カール具合を示す曲率の変更について>
次に、図11及び図12を用いて、曲率変更手段17により上睫毛又は下睫毛の部位毎にカールしたときのカールの具合を変更する方法について説明する。図11は、上睫毛の曲率のパラメータが変更される場合の一例を示す図である。また、図12は、下睫毛の曲率のパラメータが変更される場合の一例を示す図である。
【0097】
図11に示すように、目元画像シミュレーション装置10の表示画面には、正面を向いている正面の目元画像表示領域31−1と、横を向いている側面の目元画像表示領域31−2と、上睫毛形状設定領域45とが示されている。図11に示すように、例えば、ユーザは、表示画面上で上睫毛の形状を設定する場合には、上睫毛形状設定領域45のタグを選択し、下睫毛の形状を設定する場合には、下睫毛形状設定領域46のタグを選択して、各設定領域を画面上に表示する。
【0098】
なお、図11に示す正面の目元画像表示領域31−1と、側面の目元画像表示領域31−2には、上睫毛形状設定領域45で設定した設定情報を用いて、曲率変更手段17により変更された上睫毛を含む目元画像が、シミュレーション画像生成手段18により生成されて表示される。
【0099】
図11に示す上睫毛形状設定領域45には、上睫毛の太さを設定する太さ設定領域45−1と、上睫毛の本数を設定する本数設定領域45−2と、上睫毛のカール効果を変更するカール(曲率パラメータ)設定領域45−3とが設けられている。
【0100】
太さ設定領域45−1及び本数設定領域45−2には、各形状に対応する数値が表示される。ユーザにより設定領域上の矢印が選択された場合には、表示されている数値が変更され、変更された数値に応じた太さ、本数に対応する睫毛が目元画像表示領域30に表示される。
【0101】
また、図11の例では、カール設定領域45−3に、カールの先端部におけるカール具合を変更する先端部カール設定領域45−3Aと、カールの中央部におけるカール具合を変更する中央部カール設定領域45−3Bと、カールの根元部におけるカール具合を変更する根元部カール設定領域45−3Cとが設けられている。
【0102】
各設定領域には、上睫毛の各部位におけるカール具合(曲率)に対応する数値が表示される。ユーザにより各設定領域上に表示されている数値が変更された場合には、変更された数値に応じてカール具合が変更され、変更されたカール具合の上睫毛が正面の目元画像表示領域31−1と、側面の目元画像表示領域31−2とに表示される。
【0103】
具体的には、図11に示す先端部カール設定領域45−3Aで「60」、中央部カール設定領域45−3Bで「60」、根元部カール設定領域45−3Cで「60」と設定された場合、側面の目元画像表示領域31−2に示す上睫毛のカール形状が表示される。
【0104】
一方、数値設定後のカール設定領域45−4に示すように、先端部カール設定領域45−4Aで「228」、中央部カール設定領域45−4Bで「132」、根元部カール設定領域45−4Cで「162」と変更された場合、側面の目元画像表示領域31−3に示すように、上睫毛の先端部、中央部、根元部がそれぞれ数値に応じたカール具合に変更され、それぞれの部位で変更された上睫毛が表示される。
【0105】
上述した上睫毛と同様に、下睫毛に対しても、目元画像シミュレーション装置10の表示画面を用いて、カール具合を示す曲率のパラメータを変更することが可能である。図12に示すように、目元画像シミュレーション装置10の表示画面には、正面を向いている正面の目元画像表示領域31−4と、側面を向いている側面の目元画像表示領域31−5と、下睫毛形状設定領域46とが示されている。
【0106】
なお、図12に示す正面の目元画像表示領域31−4と、側面の目元画像表示領域31−5には、下睫毛形状設定領域46で設定された設定情報を用いて、曲率変更手段17により変更された下睫毛を含む目元画像が、シミュレーション画像生成手段18により生成されて表示される。
【0107】
図12の例では、下睫毛形状設定領域46には、下睫毛の太さを設定する太さ設定領域46−1と、下睫毛の本数を設定する本数設定領域46−2と、下睫毛のカール効果を設定するカール(曲率パラメータ)設定領域46−3とが設けられている。
【0108】
また、カール設定領域46−3には、下睫毛のカール先端部におけるカール具合を設定する先端部カール設定領域46−3Aと、下睫毛のカール中央部におけるカール具合を設定する中央部カール設定領域46−3Bと、下睫毛のカール根元部におけるカール具合を変更する根元部カール設定領域46−3Cとが設けられている。
【0109】
各設定領域には、下睫毛の各部位におけるカール具合に対応する数値が表示される。ユーザにより各設定領域上に表示されている数値が変更された場合には、変更された数値に応じてカール具合が変更され、変更されたカール具合の下睫毛が正面の目元画像表示領域31−4と、側面の目元画像表示領域31−5とに表示される。
【0110】
上述したように、曲率変更手段17は、睫毛生成手段15により生成された上睫毛又は下睫毛の部位を根元部、中央部、及び先端部に分け、根元部、中央部、先端部の少なくとも1つの部位に対する曲率を変更する。
【0111】
なお、曲率変更手段17は、フォルム変更手段16により変更されたフォルムの上睫毛又は下睫毛について、部位毎に曲率を変更しても良い。例えば、図11に示す正面の目元画像表示領域31−1には、上睫毛のフォルムを変更するための上睫毛の外周71が示され、図12に示す正面の目元画像表示領域31−4には、下睫毛のフォルムを変更するための下睫毛の外周80が示されている。
【0112】
ここで、ユーザは、例えば目元画像表示領域31−1に表示された上睫毛の外周71上に描画された制御点又は目元画像表示領域31−4に表示された下睫毛の外周80上に描画された制御点を用いてフォルムを変更することができる。また、このようにフォルムが変更された上睫毛又は下睫毛に対して、上述した各設定領域を用いて曲率等を変更していくことが可能である。
【0113】
上述のように、フォルムが変更された上睫毛又は下睫毛に対して曲率を変更する場合、曲率変更手段17は、フォルムを形成する睫毛の先端部のx座標、y座標を固定した状態で、各部位の曲率を変更していく。
【0114】
なお、図11及び図12に示すフォルム設定領域47を設け、上睫毛の外周71又は下睫毛の外周80を表示させないようにするためのOFFボタン48を設けても良い。また、フォルム設定領域47に制御点数選択領域49を設けて、上睫毛の外周71又は下睫毛の外周80上の制御点の数を選択させても良い。このように、制御点の数を増加させることにより、フォルムの変更をより細かく調整することが可能となる。
【0115】
<数値データと解析方法について>
次に、上述のように生成された目元画像から得られる数値データと解析方法について説明する。解析手段19は、シミュレーション画像生成手段18によって生成された目元画像から、「睫毛の太さ」、「睫毛の長さ」、「睫毛の本数」、「睫毛のカール(曲率)」、「睫毛のフォルム」等のパラメータの値を取得する。
【0116】
そのうち、「睫毛の太さ」と「睫毛の長さ」については、目元画像に含まれる1本の睫毛からそれぞれパラメータの値を1つずつ得ることができる。「睫毛の本数」については、1つの目元画像からパラメータの値を1つ得ることができる。例えば、解析手段19は、「睫毛の太さ」、「睫毛の長さ」、「睫毛の本数」について、得られたパラメータの値を数値の分布グラフとして表示することができる。
【0117】
また、「睫毛のカール」については、1本の睫毛から「Skew」と、「Bend」と、睫毛のカールの曲がり具合を把握するための両者の比である「Skew/Bend」の3つの値を得ることができる。したがって、解析手段19は、「Skew」と「Bend」の得られたパラメータの値について、「Skew」と「Bend」を縦軸、横軸に取ることで、散布図として表示し、「Skew/Bend」の得られた値について、数値の分布グラフとして表示することができる。
【0118】
<フォルムの解析方法について>
次に、図13を用いて、睫毛のフォルム解析方法について説明する。図13は、睫毛のフォルムの解析方法を説明するための図である。
【0119】
図13(A)に示す睫毛のフォルム72は、パラメータとして例えばxy座標(2次元マトリックス)で表現される。
【0120】
具体的には、図13(B)に示すように、解析手段19は、フォルム72を解析するにあたり、例えば上瞼から下瞼と眼球との境、すなわちライン63に沿った睫毛の存在部位をそのまま水平に広げ、新たな横軸として、睫毛の先端のx座標を順に並べる。また、縦軸には、睫毛の長さとなる「睫毛の先端y座標−睫毛の根元y座標」の値をプロットし、度数分布のようにグラフを描き、フォルム72を数値化する。
【0121】
解決手段18は、数値化したフォルム72から、例えば睫毛の長さの平均値、一番多い長さである最頻値、長さの均一性を求める分散、睫毛の長さの最大値、最小値、最大値と最小値の差である範囲等から睫毛の長さの全体傾向を把握し、平均値が多いx座標の分布、最頻値が多いx座標の分布等から特徴部位を把握する。
【0122】
また、解決手段18は、睫毛全体の形状についてフォルム72の勾配比から目尻側又は目頭側で変化が大きいか、フォルム72の歪度から目尻側又は目頭側に偏っているか、フォルム72の尖度から平坦な形状か尖っているかを把握する。更に、フォルム72の形状変化を二次元の振動波形の一部としてFFT(Fast Fourier Transform)による周波数解析により、フォルム72の睫毛の長さから大きなフォルムの変動を低周波数成分、細かいフォルムの変動を高周波成分として把握する。
【0123】
上述したように、解析手段19は、フォルム72を数値化することにより、睫毛全体の仕上がり感を定量化する。また、目頭部位、中央部、目尻部位等に分割して解析することも可能となる。
【0124】
なお、睫毛の形状を構築する各パラメータを、例えば2組ずつ等組み合わせ、マップ上に表示して嗜好の分布グラフを描くことにより、多方面から嗜好性を解析することも可能となる。
【0125】
上述したように、本実施形態によれば、容易に、かつ低コストで、睫毛の形状を自由に変化させ、目元画像を生成し、生成された目元画像からマスカラの仕上がりに対するユーザの嗜好性を調査することが可能となる。具体的には、例えばマスカラの仕上がりの嗜好性を、睫毛の長さ、太さ、本数、カール、全体のフォルム等の数値によって定量化して数値分析することが可能となる。また、これらの数値を反映させた仕上がりの画像を具体的に表現することも可能となる。
【0126】
また、睫毛の水平面上の角度(例えば根元を中心としたときの回転角)、睫毛の毛先を束ねたボリューム感(束ねる本数)、睫毛の部位毎の太さ、睫毛の部位毎のカール具合(例えば根元、中間部、毛先等)のパラメータを設定することで、より睫毛の形状を自由に表現することも可能となる。
【0127】
また、まばたき、目の開き方等の調整により目元の表示の仕方を変化させることも可能となる。更に、瞼の背景画像となる、肌色、瞳の色、瞼の形状(一重、二重等)等の目元関連情報を変化させることでより、グローバル対応が可能になると共に、瞼の形状等の個々の違いによるユーザのマスカラの嗜好性を解析することも可能となる。
【0128】
また、アイシャドウ等の原理を組み込み、瞼の色や質感を変化させることにより、目元の印象をより現実的に再現しながら、マスカラの嗜好性を解析することも可能となる。
【0129】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 目元画像シミュレーション装置
11 入力手段
12 出力手段
13 記録手段
14 設定手段
15 睫毛生成手段
16 フォルム変更手段
17 曲率変更手段
18 シミュレーション画像生成手段
19 解析手段
20 制御手段
21 入力装置
22 出力装置
23 ドライブ装置
24 補助記憶装置
25 メモリ装置
26 演算処理装置
27 ネットワーク接続装置
28 記録媒体
30,31−1〜5 目元画像表示領域
40 睫毛形状設定領域
41,45−1,46−1 太さ設定領域
42 長さ設定領域
43,45−2,46−2 本数設定領域
44,47 フォルム設定領域
45 上睫毛形状設定領域
45−3,45−4,65 カール設定領域
45−3A,45−4A,46−3A 先端部カール設定領域
45−3B,45−4B,46−3B 中央部カール設定領域
45−3C,45−4C,46−3C 根元部カール設定領域
46 下睫毛形状設定領域
47 OFFボタン
48 制御点数選択領域
50 視点選択領域
51 デフォルト選択領域
52 終了選択領域
60 円錐状ポリゴン
61 半径
62 高さ
63 ライン
64 長さ
66,68〜70 外周
67 制御点
71 上睫毛の外周
72 フォルム
80 下睫毛の外周

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像シミュレーション装置であって、
前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手段と、
前記睫毛生成手段によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手段と、
前記睫毛生成手段によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手段とを有することを特徴とする目元画像シミュレーション装置。
【請求項2】
前記フォルム変更手段は、ユーザによりフォルムが変更されたと判断した場合、変更されたフォルムに応じて睫毛の長さ及び睫毛の方向を変更することを特徴とする請求項1に記載の目元画像シミュレーション装置。
【請求項3】
前記睫毛生成手段によって生成された上睫毛又は下睫毛、又は前記フォルム変更手段によって変更されたフォルムの上睫毛又は下睫毛に対して、部位毎にカールしたときのカール具合を示す曲率を変更する曲率変更手段を有し、
前記シミュレーション画像生成手段は、前記曲率変更手段により変更された曲率を用いて前記目元の画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の目元画像シミュレーション装置。
【請求項4】
前記曲率変更手段は、前記上睫毛又は下睫毛の部位を根元部、中央部、及び先端部に分け、前記根元部、前記中央部、前記先端部の少なくとも1つの部位に対する曲率を変更することを特徴とする請求項3に記載の目元画像シミュレーション装置。
【請求項5】
前記シミュレーション画像生成手段により生成された目元画像から、前記睫毛の形状を数値分析により解析する解析手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の目元画像シミュレーション装置。
【請求項6】
前記睫毛の形状に関する情報は、睫毛の太さ、長さ、本数、曲率、及びフォルムに関する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の目元画像シミュレーション装置。
【請求項7】
ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像シミュレーション装置により実行される目元画像生成方法であって、
前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手順と、
前記睫毛生成手順によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手順と、
前記睫毛生成手順によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手順により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手順とを有することを特徴とする目元画像生成方法。
【請求項8】
前記フォルム変更手順は、ユーザによりフォルムが変更されたと判断した場合、変更されたフォルムに応じて睫毛の長さ及び睫毛の方向を変更することを特徴とする請求項7に記載の目元画像生成方法。
【請求項9】
前記睫毛生成手順によって生成された上睫毛又は下睫毛、又は前記フォルム変更手順によって変更されたフォルムの上睫毛又は下睫毛に対して、部位毎にカールしたときのカール具合を示す曲率を変更する曲率変更手順を有し、
前記シミュレーション画像生成手順は、前記曲率変更手順により変更された曲率を用いて前記目元の画像を生成することを特徴とする請求項7又は8に記載の目元画像生成方法。
【請求項10】
前記曲率変更手順は、前記上睫毛又は下睫毛の部位を根元部、中央部、及び先端部に分け、前記根元部、前記中央部、前記先端部の少なくとも1つの部位に対する曲率を変更することを特徴とする請求項9に記載の目元画像生成方法。
【請求項11】
前記シミュレーション画像生成手順により生成された目元画像から、前記睫毛の形状を数値分析により解析する解析手順を備えることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の目元画像生成方法。
【請求項12】
前記睫毛の形状に関する情報は、睫毛の太さ、長さ、本数、曲率、及びフォルムに関する情報を含むことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の目元画像生成方法。
【請求項13】
ユーザによって設定された睫毛の形状に関する情報を用いて、目元の画像を生成する目元画像生成プログラムであって、
コンピュータを、
前記睫毛の形状に関する情報を用いて、ポリゴンによって睫毛を生成する睫毛生成手段、
前記睫毛生成手段によって生成された睫毛の先端部を結んで形成されるフォルムを変更するフォルム変更手段、及び、
前記睫毛生成手段によって生成された睫毛、又は、前記フォルム変更手段により変更されたフォルムを用いて前記目元の画像を生成するシミュレーション画像生成手段として機能させるための目元画像生成プログラム。
【請求項14】
前記フォルム変更手段は、ユーザによりフォルムが変更されたと判断した場合、変更されたフォルムに応じて睫毛の長さ及び睫毛の方向を変更することを特徴とする請求項13に記載の目元画像生成プログラム。
【請求項15】
前記睫毛生成手段によって生成された上睫毛又は下睫毛、又は前記フォルム変更手段によって変更されたフォルムの上睫毛又は下睫毛に対して、部位毎にカールしたときのカール具合を示す曲率を変更する曲率変更手段を有し、
前記シミュレーション画像生成手段は、前記曲率変更手段により変更された曲率を用いて前記目元の画像を生成することを特徴とする請求項13又は14に記載の目元画像生成プログラム。
【請求項16】
前記曲率変更手段は、前記上睫毛又は下睫毛の部位を根元部、中央部、及び先端部に分け、前記根元部、前記中央部、前記先端部の少なくとも1つの部位に対する曲率を変更することを特徴とする請求項15に記載の目元画像生成プログラム。
【請求項17】
前記シミュレーション画像生成手段により生成された目元画像から、前記睫毛の形状を数値分析により解析する解析手段を備えることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載の目元画像生成プログラム。
【請求項18】
前記睫毛の形状に関する情報は、睫毛の太さ、長さ、本数、曲率、及びフォルムに関する情報を含むことを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載の目元画像生成プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−38296(P2012−38296A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150985(P2011−150985)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】