説明

目標物検出装置

【課題】 車両前方等の視界・視認性を良好な表示手段付きの目標物検出装置を提供すること
【解決手段】 ルームミラーに装着する本体11内に、自車の周囲に存在する目標物を検出する検出手段を内蔵するとともに、本体の側面外側に突出するようにして表示部13を設ける。検出手段で目標物が検出されると、表示部を介して報知される。表示部は、透明液晶・透明ELで構成され、その表示手段の透明な部分を介して表示画面の後方側である車両前方の状況が透過されて視認可能となる。よって、表示部の表示画面サイズが大きくても、邪魔にならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置に基づいて周囲の目標物を検出したり、所望の電波を受信することで目標物の存在を検出したりする目標物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両速度測定装置から送出されるマイクロ波を検知して報知する目標物検出装置が知られている。また、車両の速度を計測する装置としては、上記のマイクロ波を用いたものにかぎられず、例えば、道路下に埋め込み設置した2つのループコイルにて道路上を走行する車両を検出し、その2つのループコイルから出力される検出信号の時間差に基づいて車両計測するものもある。係るタイプの車両速度測定装置は、マイクロ波が出力されないため上記のマイクロ波検知を利用した目標物検出装置では検出できない。そこで、車両速度測定装置等の検出対象となる目標物の位置情報を記憶保持しておき、GPSにより検出した自車の現在位置と目標物の位置とが所定の関係になった場合に警報を発するようにした目標物検出装置がある(例えば、特許文献1等)。
【0003】
上記の特許文献1等の目標物検出装置の場合、例えば、検出対象物と車両の現在位置が設定された距離(例えば、1kmや500m等)に至った際に、「500m先、○○です。」(○○は、目標物を特定する情報(ループコイル等)等の音声による警報を出力したり、ディスプレイ上に係る情報をテキストで出力表示したりする。
【0004】
これらの目標物検出装置は、例えば車両速度測定装置への接近をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。このように、この種の目標物検出装置は、安全運転のための必要な情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3070388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のこの種の目標物検出装置は、目標物を検出した際の報知手段として、ディスプレイが用いられるが、表示する情報量や、表示対象物の種類の増加や、表示する内容の多様化により、そのディスプレイの画面も大型化している。そして、目標物報知時には、ドライバーがその内容を容易に確認することができるようにするため、目標物検出装置は、ドライバーの視界に入る位置、或いは入りやすい位置に設置される。
【0007】
一方、この種の目標物検出装置は、必ずしも常時稼働させているとは限らず、たとえば、目標物の存在位置等をよく知っている地域を走行する場合、目標物検出装置を動作させないことがある。すると、ドライバーの視界に入りやすい位置に目標物検出装置が設置されると、邪魔と感じることがある。
【0008】
さらに、目標物検出装置は、ダッシュボードの上に設置されるタイプや、ルームミラーに取り付けられるタイプなどがあるが、たとえばルームミラーに取り付けるタイプの場合、ミラー部分の一部に液晶パネルを配置して表示部を設けることから、ミラーとして使用できる部分の面積が狭くなり、その分、後方視界の視認性が低下する。
【0009】
もちろん、いずれの場合も、安全運転をする上での視界確保には問題はないものの、前方或いはルームミラーを介する後方の視界・視認性を、より良好にしたいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)自車の周囲に存在する目標物を検出する検出手段と、その検出手段で検出された目標物を報知する表示手段と、を備えた目標物検出装置であって、前記表示手段は、透明ディスプレイで構成され、その表示手段の透明な部分を介して表示画面の後方側が透過されて視認可能となるようにした。なお「目標物」としては、例えば、レーダー探知機で表示する速度測定装置に関するものや、経路案内を行うナビゲーション装置等で表示する施設・ランドマーク・交差点等のPOIに関するものなど、車両においてドライバーへ報知対象となるものを含む。「検出」としては、センサ等で目標物自体を直接的に検出するものだけでなく、例えば目標物の位置情報を記憶ないし取得し、この目標物の位置情報と自車位置情報との関係に基づいて目標物の存在を間接的に検出するものを含む。
【0011】
透明ディスプレイは、透明液晶)・透明ELなどの、透明のガラス板上に、透明電極等を配置したもので、前面の表示画面側から後方が視認できるものである。透明は、無色透明はもちろんのこと、有色であっても良いし、完全な透明に限らず、透過率が100%でない半透明のものも含む。表示手段(透明ディスプレイ)に所定の警報等を描画している場合でも、表示部の一部には透明な領域を含むとすると、その透明な領域から後方の状態を視認することができる。後方側は、表示手段の裏側(後方側)に何も設置していない場合には、その後方の空間に存在するものを視認することができるし、ミラーの上に設置している場合には、ミラーに映っているものを視認することができ、周囲の状況確認をしやすくなる。さらに、表示手段がOFFとなっている場合には、その表示画面の全面でその後方側が視認できるので、より視界の確保が良好になり好ましい。
【0012】
(2)車両に標準装備のルームミラーに装着する本体を備え、その本体内に前記検出手段を実装するとともに、その本体の前面にミラー部を設け、前記表示手段は、前記本体の側面の外側に突出するように配置されるようにするとよい。このようにすると、ミラー部を備えた本体の外側に表示手段を突出させたとしても、透明部分からその後方(車両の前方)側を見ることができる。
【0013】
(3)車両に標準装備のルームミラーに装着する本体を備え、その本体内に前記前記検出手段を実装するとともに、その本体の前面にミラー部を設け、前記表示手段は、前記ミラー部に重ねて配置されるようにしてもよい。このようにすると、表示手段の表示画面のうち、透明な部分では、その後方側に位置するミラー部が見えるため、そのミラー部に映った像を見ることで、車両の後方を確認することかできる。
【0014】
(4)前記検出手段を内蔵する本体と、前記表示手段は別ユニットで形成することができる。このようにすると、本体は、例えばダッシュボードの上でフロントガラス不均等の電波等を受信しやすい位置に置きつつ、表示手段を運転手に近い見やすい場所に設置することができる。特に、表示手段が透明であるので、設置位置の自由度が増す。
【0015】
(5)前記表示手段は空間に対して連続して透明となる部位と、不透明な保持手段で保持する部位とを有し、前記表示手段は、前記不透明な保持手段で保持する部位に常時表示する要素の表示を行う一方、前記目標物の報知は当該常時表示する要素よりも前記空間に対して連続して透明となる部位への表示として行なうようにするとよい。不透明な保持手段で保持する部位からは前方を視認することはできないが、係る部位に常時表示する要素を表示することで、当該常時表示する要素が透明パネルを介して視認できる背景に溶け込むことなく、ユーザは、その表示内容を確実に認識することができる。一方、それ以外の常時表示しない内容は、透明となる部位に表示することで、表示しないときには係る党名となる部位を介して前方の状態を視認により確認をすることができる。常時表示する要素は、たとえば、時計やカレンダーなどがある。
【0016】
(6)前記表示手段は運転者の視界内の異なる場所に複数備え、前記目標物の方向に対応する方向の表示手段に前記目標物を報知する表示を行うようにするとよい。目標物の存在箇所を容易に認識できる。なお、係る機能はなくても良い。
【0017】
(7)前記透明ディスプレイは、その表面と裏面との双方から視認可能なものを用い、前記目標物の報知は、前記表面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態と、裏面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態とを切り替える切替手段を備えるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、表示手段が透明ディスプレイで構成され、透明な部分からその後方側が透けて見えるようにしたので、例えば、動作停止中で表示手段のほぼ全面が透明になっている場合には、その表示手段の部分の後方側を視認することができ、視界が良好となる。また、仮に、表示手段に何かしらを表示していたとしても、透明な部分が残っている場合には、その透明な部分から後ろ側が透けて見えるので、やはりある程度の視界を確保できる。よって、表示手段の画面サイズを大きくしたとしても、邪魔に感じることが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の好適な第2の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の好適な第3の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の好適な実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態を示している。この第1の実施形態は、車両の標準装備のルームミラーに装着するタイプの目標物検出装置である。すなわち、図1(a),(b)に示すように、自動車に標準に取付けられているルームミラー1は、たとえばフロントガラス2に貼り付けた台座3に取り付けたアーム4の先端に、ジョイント部5を介してミラー部6を接続した構造を採る。ジョイント部5は、アーム4に対してミラー部6が所定の角度範囲内で可動かつ所望の位置でその姿勢を保持することができるようになっている。なお、図示のものはフロントガラスに装着したタイプであるが、装着位置はこれに限るものではない。
【0021】
そして、図1(b)に示すように、本実施形態の目標物検出装置10は、係る構成の標準のルームミラー1に対して装着するものである。この目標物検出装置10は、扁平な矩形状の筐体からなる本体11の表面のほぼ全面にわたって後方視認用のミラー部12が設けられる。
【0022】
また、本体11の背面中央側の上下には、固定用クランプ部14が設けられ、その固定用クランプ部14にて標準装備のルームミラー1に対して上下から挟み込んで目標物検出装置10を固定する。
【0023】
図1(c)に示すように、本実施形態では、このミラー部12の一方の側縁に、外側に突出するように表示部13を設けている。この表示部13は、透明液晶パネル(透明ELディスプレイ)を用いて形成される。
【0024】
この本体11内には、自車の周囲に存在する目標物を検出し、報知するための各機器が実装される。具体的には、各種の電波等を受信する受信機と、その受信機で受信した電波に基づき上記の目標物の有無を判断等の処理をする制御部と、警報を出力するスピーカ等の出力部と、電源回路等が実装される。
【0025】
受信機として位置検出手段たるGPS受信機と、マイクロ波受信機と、無線受信機と、を備えている。GPS受信機は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部に送る。
【0026】
マイクロ波受信機は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機は、飛来する所定周波数帯の無線を受信する。この所定周波数は、例えば、緊急車両が基地局に対して自車位置を通知する際に使用する無線の周波数帯とすることができる。
【0027】
制御部は、上記の各種の受信機から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部13,警報ランプ,スピーカ等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。なお、この受信機から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力する。なお、スピーカを用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0028】
本実施形態によれば、目標物検出装置10を動作させている場合には、目標物を検出したならば、表示部13の所定位置にその目標物を示すマーク・オブジェクトを描画したり、その目標物の内容・情報を表示部13の所定位置に文字その他で示したりすることでユーザ(ドライバ等)に報知する。一方、目標物検出装置10を使用しない場合には、電源をOFFにすることで、表示部13への出力が無くなる。すると、表示部13は、透明液晶であるので、表示部13は透き通っているため、ユーザは、その表示部13の裏側、つまり、車両の前方側の景色等を、表示部13を介してみることができる。よって視界が広がる。なお、目標物検出装置10を動作させている場合でも、表示部13の表示・出力をOFFにすることで、同様の効果を発揮させることができる。一例としては、目標物が周囲に存在しない待機中の場合、通常、表示部に各種の待ち受け画面を表示することがあるが、その待ち受け画面の一態様として、何も表示しないで透明にする状態を設けると良い。このようにすると、周囲に目標物が存在しない場合には、表示部13が透明になっているので、前方の視認性が良好となり、目標物が検出された場合には、それが適切に報知されるので、好ましい。
【0029】
また、表示部13のサイズが大型化する傾向にあるが、仮に寸法が大きくなったとしても、使用しない場合には、透明となるのでさほど問題はなく、情報を表示しているときは、安全運転のためにも有益な情報の提示のため、やはり問題は少ない。さらに、情報を表示している場合でも、表示部13のうちの一部に透明な部分が残ると、その透明な部分から表示部13の裏側となる車両の前方を見ることができるので好ましい。
【0030】
本実施形態では、図1(c)に示すように、表示部13をミラー部12の片側の外側に突出するように設けたが、その設置位置は任意であり、下側や反対側の側縁などとしても良いし、その設置個数も1箇所に限ることはなく複数としても良い。また、図1(d)に示すように、表示部13をミラー部12内に重なるように配置しても良い。このようにすれば、表示部13が透明にしたときは、ミラー部12のうち表示部13の裏側に位置する部分もミラーとして機能するので、後方確認をする際の視認性が良好となる。
【0031】
図2は、第2実施形態を示している。本実施形態では、ダッシュボード上に設置するタイプのものである。本実施形態の目標物検出装置20は、扁平矩形状の本体21の上面に表示部22を取り付けた構成を採る。本体21は、ダッシュボード上に直に置いて設置する。このとき、安定して固定するためには、本体21の底面側に、ゲル状の粘着性シートを配置すると、簡単に固定し、離脱後はダッシュボード上はきれいなままになるので好ましいが、両面接着テープや面ファスナー等を用いて固定しても良い。もちろん、所定のブラケットを介して設置しても良い。
【0032】
この扁平な本体21の内部に検出手段や制御部等を構成する各機器等が実装される。また、本体21の上面には、ソーラーパネル24や、スピーカ26等のユーザインタフェースが配置される。ソーラーパネル24の設置領域として比較的大きい面積を採ることができる。
【0033】
そして、表示部22は、透明液晶を用いて構成する。そして、透明液晶のための駆動回路は、本体21内に組み込み、図2(c)に示すように、表示部22が起立配置するが、上記の第1実施形態と同様に、表示部22が透明な状態では、その裏面側が透過して視認することができる。よって、表示部22が、ドライバー等のユーザに向くように設置すると、表示部22をONにして目標物等に関する情報を描画しているときは、係る情報を確認することができ、表示部22がOFFで透明になっているときは、表示部22の部分でも前方を確認することができ、視認性が向上する。
【0034】
図3は、本発明の第3実施形態を示している。本実施形態では、本体ユニット31と、表示ユニット34とを別ユニットで構成し、それら両ユニット31,34を接続ケーブル33で連結して構成される。
【0035】
本体ユニット31は、扁平な矩形状のケースの上面に、太陽電池であるソーラーパネル32を装着している。この本体ユニット31のケース内には、自車の周囲に存在する目標物を検出する検出手段を構成する各機器が実装される。さらに、本体ユニット31には、GPS受信機により検出した位置情報(自車両の現在位置情報)に基づく警報を行うためのデータベースを備える。
【0036】
このデータベースには、検出対象の目標物(交通監視装置等の交通監視ポイント)について、その監視の種類と位置情報(経度:緯度)と頻度等の情報が関連づけられたテーブル構造として格納される。さらに、その交通監視ポイント固有の警報表示情報が存在する場合には、当該警報表示情報を直接あるいはその情報を特定するための情報(ファイル名等)も併せて格納される。これらの目標物に関する情報は、出荷時に一定の目標物について登録されている。このデータは、公知の各種の手法により、更新可能となる。データベースは、制御部のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。さらに、データベースには、道路地図データも格納されている。なお、上述した検出手段を構成する各機器等の構成は一例であり、その一部を備えていなかったり、逆に別の機器が追加されて構成されていたりする場合もある。
【0037】
さらに、本体ユニット31内には、充電池並びに充放電回路を備えており、ソーラーパネル32で発電された電力は、充電池に充電可能となる。また、夜間等でソーラーパネル32による発電ができない場合、その充電池からの放電により動作する。
【0038】
本体ユニット31は、シンプルな箱形形状を採ることができるので、ソーラーパネル32を大きくしやすい。また、本体ユニット31は、通常の使用中においては運転者がその存在を見て確認する必要がないので、ダッシュボードの先端(車両の前側・フロントガラス付近)や、フロントガラスの上部やサンバイザー等に配置するため、運転席等から離れていたたり、運転中の視界から外れたりした位置にあると共に、扁平な箱状であることも相まって、運転中に目立たない。そのため、本体ユニット31の寸法形状を大きくしても、違和感なく設置できるので、それに伴い、本体ユニット31をさらに大型化できる。いずれの場合も、従来のソーラータイプの目標物検出装置に比べ、ソーラーパネル32の寸法を大きくすることができるので、それに伴い発電量も増大する。
【0039】
さらに、本実施形態では、本体ユニット31のケースの側面に、DCジャック37を設けている。このDCジャック37は、シガープラグコード38を接続するためのもので、そのシガープラグコード38を介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。DCジャック37に対してシガープラグコード38は着脱自在に装着する。これにより、ソーラーパネル32による発電量並びに充電池からの電力供給では電力が不足する場合などの他、必要に応じて車両からの電力供給を受け、安定した動作を行うことができる。なお、このように車両からの電源供給を受ける場合でも、充電池に充電が完了するまでといった一時的であるので、さほど問題はない。
【0040】
表示ユニット34は、透明液晶や透明ELからなる表示部35と、その駆動回路を内蔵するケース36を備えている。表示部35はケース36の上方外側に突出して接続されている。表示部35を駆動するための回路が内蔵されている。
【0041】
また、表示ユニット34は、本体ユニット31と独立した別ユニットとして形成され、薄型で起立した状態となるので、表示ユニット34(表示部35:液晶パネル)の寸法を大きいサイズとしても、違和感がない。しかも、透明状態になると、表示部35を介して全貌の景色を視認することができるので、表示ユニット34の存在が邪魔になることはない。
【0042】
接続ケーブル33は、電源ラインと、信号ラインの両方を備えている。上記の制御部から表示部35に対する制御信号は、その信号ラインを介して伝達される。また、表示部35その他の表示ユニット34(ケース36)内の回路・機器は、本体ユニット31側から接続ケーブル33の電源ラインを経由して伝達される電力を利用して駆動する。
【0043】
また、上述したように、本体ユニット31は、ダッシュボードの先端側(運転者から見た場合には奥まった側)に設置させ、表示ユニット34はダッシュボードの前面(運転者から見た場合に手前側の接近した場所)その他の好みの箇所に設置されることから、両ユニットは、ある程度離れて設置されることになるので、接続ケーブル33の長さは、それを考慮して十分な長さに設定している。また、接続ケーブル33は、フラットケーブルなど比較的薄いものを用いると、ダッシュボードの上に配線されていても目立たないので好ましい。
【0044】
さらに表示ユニット34の設置位置は、ダッシュボードの上に限ることはなく、各種の位置に設置することができる。特に、本実施形態では、表示部35が透明で、その裏側まで見えるので、たとえば、スピードメータその他の計器盤(インパネ)の前や、Aピラーや、その他の車内の任意の位置に取り付けることができる。
【0045】
表示ユニット34は複数設け本体ユニット31に複数の表示ユニット34をそれぞれ接続し制御するようにしてもよい。例えば2つの表示ユニット34を設け、右側のAピラーに第一の表示ユニット34を設置し、左側のAピラーに第二の表示ユニット34を設置する。そして、制御部は、目標物の位置が現在位置より右側である場合には、第一の表示ユニット34に表示を行い、目標物の位置が現在位置より左側である場合には、第二の表示ユニット34に表示を行う。表示部は透明液晶を用いているため、多数設置しても視界を妨げることがなく設置できる。
さらにまた、表示部を構成する透明液晶は、複数枚を重ねると共に、その各面で適宜ずらした画像を描画することで、立体映像を出力することもできる。
【0046】
また、表示部13・表示部22・表示部34は、複数の透明液晶・透明EL等の透明表示パネルの各々の表示面が所定間隔をおいて平行になるよう透明部材(例えばガラス板)を介して張りあわせたものとしてもよい。また、透明表示パネルを複数枚重ねる場合、異なる色を発する透明表示パネルを重ね合わせるようにするとよい。また、透明表示パネルを複数枚重ねる場合、各表示面の表示方向が平行になるように各々の透明表示パネルを配置してもよいが、各表示面の表示方向が所定角度を持つようにしてもよい。なお透明表示パネルは、ドットマトリックス型のものを用いてもよいし、予め設定されたセグメント表示型のものをもちいてもよい。
【0047】
さらに、透明表示パネルの表面・裏面の双方から視認可能なものを用い、制御部は表示部に対して表面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態と裏面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態とを切り替えて表示できるようにするとよい。例えば、スイッチやリモコンを設け、これらからの表面表示・裏面表示の切り替え指示信号を制御部で入力した場合、制御部は、目標物の位置や表示する文字等の左右反転描画を表示部に対して行う。なお、左右反転描画を行うのではなく、表面(表示画面の前方側)・裏面(表示画面の後方側)のどちらから見ても正常に視認可能な図柄を表示するようにしてもよい。
【0048】
図1(c)の表示部13・図2の表示部22・図3の表示部34のように、表示部の一方の端((本体11・本体21・ケース36側)以下装置側と称する(通常表示部のコントローラ等の装置がある側))で表示部を保持するようにし、本体11・本体21・ケース36は不透明な部材を用い、表示部の他の端(空間側と称する)は保持部材を設けないか、あるいは透明の保持部材で支えるようにしてもよい。このようにした場合、常時表示する要素(例えば、時刻や速度のデジタル表示)の表示は、表示部の装置側(保持端側)で行うとよい。すなわち、表示部を不透明な部材によって保持する場合、その不透明な保持部材側に常時表示する要素を表示するとよい。一方、目標物検出の警告用表示は常時行うのではなく、検出時のみ行うようにするとよく、特に空間側、すなわち透明な開放端側の当該常時表示する要素よりも空間側の位置への表示として行なうとよい。
【符号の説明】
【0049】
10 目標物検出装置
11,21 本体
13,22,35 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の周囲に存在する目標物を検出する検出手段と、その検出手段で検出された目標物を報知する表示手段と、を備えた目標物検出装置であって、
前記表示手段は、透明ディスプレイで構成され、その表示手段の透明な部分を介して表示画面の後方側が透過されて視認可能となるとしたことを特徴とする目標物検出装置。
【請求項2】
車両に標準装備のルームミラーに装着する本体を備え、
その本体内に前記前記検出手段を実装するとともに、その本体の前面にミラー部を設け、
前記表示手段は、前記本体の側面の外側に突出するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項3】
車両に標準装備のルームミラーに装着する本体を備え、
その本体内に前記前記検出手段を実装するとともに、その本体の前面にミラー部を設け、
前記表示手段は、前記ミラー部に重ねて配置されることを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項4】
前記検出手段を内蔵する本体と、前記表示手段は別ユニットで形成されることを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項5】
前記表示手段は空間に対して連続して透明となる部位と、不透明な保持手段で保持する部位とを有し、
前記表示手段は、前記不透明な保持手段で保持する部位に常時表示する要素の表示を行う一方、前記目標物の報知は当該常時表示する要素よりも前記空間に対して連続して透明となる部位への表示として行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の目標物検出装置。
【請求項6】
前記表示手段は運転者の視界内の異なる場所に複数備え、前記目標物の方向に対応する方向の表示手段に前記目標物を報知する表示を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の目標物検出装置。
【請求項7】
前記透明ディスプレイは、その表面と裏面との双方から視認可能なものを用い、前記目標物の報知は、前記表面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態と、裏面から見た場合に正常に視認可能とする表示状態とを切り替える切替手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の目標物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−18208(P2011−18208A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162512(P2009−162512)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】