説明

目標表示装置及び目標表示方法

【課題】目標対象を効率良く探知することを可能とする。
【解決手段】目標情報データベース12aには、探知目標入力装置により探知された目標対象の目標情報が記憶される。CPU11は探知する目標対象の種類と探知期間とを指定する探知条件にしたがって目標情報データベース12aから目標情報を抽出する。この抽出された目標情報に基づいて、CPU11は目標対象の探知頻度を表す重複度を算出して重複情報データベース12bに記憶する。そして、CPU11は、重複情報データベース12bに記憶された重複度をもとに目標分布を作成し、目標分布を包含する地図情報を地図データ12cから読み出し、目標分布を地図上に重畳したデータを表示出力I/F16から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指揮統制システム等に用いられ、艦船や潜水艦等の目標対象を表示する目標表示装置及び目標表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標を探知するスケジュール等を作成する段階において、探知・捜索する目標対象が明確でない場合や探知していた目標対象を見失った場合等に、どこに捜索に向かうか迅速に決定できない場合が多く、人の経験に基づいて判断している場合が多い。
【0003】
そこで、目標対象の複数種の検知情報を評価、判定し目標情報を生成して、地図データと共に表示する手法が提案されている。これにより、目標対象に対する監視や対処を迅速かつ効果的に実行することが可能となる(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2001−52261公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記手法では、目標対象が存在する可能性を考慮しているわけではなく、目標対象を効率的に探知することができないという問題があった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、目標対象を効率良く探知することが可能な目標表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる目標表示装置は、複数種類の目標対象がそれぞれ探知された時刻情報と位置情報とを含む目標情報を入力する入力手段と、前記入力された目標情報を前記目標対象の種類毎に分類して記憶する目標情報記憶手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、少なくとも探知する目標対象の種類と探知期間とを指定した探知条件を受け付け、この探知条件に基づいて前記目標情報記憶手段から該当する目標情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された目標情報をもとに地理的位置毎に前記目標対象の探知頻度を表す重複度を求める算出手段と、前記求められた重複度に基づいて前記目標対象の分布を表す目標分布を作成する作成手段と、前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶手段から読み出し、読み出された地図情報と前記作成された目標分布とを合成して表示する表示手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
また、この発明に係わる目標表示方法は、複数種類の目標対象がそれぞれ探知された時刻情報と位置情報とを含む目標情報を前記目標対象の種類毎に分類して記憶する目標情報記憶部と、地図情報を記憶する地図情報記憶部とを具備する目標表示装置で用いられ、少なくとも探知する目標対象の種類と探知期間とを指定した探知条件を受け付け、この探知条件に基づいて前記目標情報記憶部から該当する目標情報を抽出し、前記抽出された目標情報をもとに地理的位置毎に前記目標対象の探知頻度を表す重複度を求め、前記求められた重複度に基づいて前記目標対象の分布を表す目標分布を作成し、前記記憶された地図情報から前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶部から読み出し、読み出された地図情報と前記作成された目標分布とを合成して表示することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、指揮統制システムなどに適応し、過去に探知した目標情報から目標分布を生成し、探知頻度を視覚的に表示することで、目標対象の探知・捜索を効率的に実行できるようになる。特に目標分布を地図に重畳表示することで、目標対象の探知された地理的位置関係を視覚的に確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
したがってこの発明によれば、目標対象を効率良く探知することが可能な目標表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明に係わる目標表示装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
目標表示装置100は、マイクロプロセッサ等の中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)11を備え、このCPU11に、データメモリ12と、プログラムメモリ14と、外部データ入力インタフェース(外部データ入力I/F)13と、操作入力インタフェース(操作入力I/F)15と、表示出力インタフェース(表示出力I/F)16とが接続される。
【0011】
外部データ入力I/F13は、外部とのデータ送受信を行う交換機を主要素とし、有線または無線の通信回線を通じて複数の探知目標入力装置(記録媒体、航空機や艦船からの通信であるデータリンク装置、レーダ等の各種センサ)が接続される。操作入力I/F15には、キーボードやマウス等の操作入力機器が接続され、オペレータによる操作情報が入力される。表示出力I/F16には、LCD等の表示装置が接続され、CPU11の制御により出力された画像情報等が表示装置に出力される。
【0012】
データメモリ12は、記憶媒体として例えばRAMやハードディスクで構成され、目標情報データベース12aと、重複情報データベース12bと、地図データ12cとを記憶する。目標情報データベース12aには、探知目標入力装置により探知された目標対象の目標情報が記憶される。図2に目標情報データベース12aの構成の一例を示す。このように目標情報は識別データ毎に分類される。識別データは探知目標の種類を表し、例えば、艦船や潜水艦等の目標を識別する。目標情報は、探知時刻、LATITUDE(緯度)、LONGITUDE(経度)の組で構成される。重複情報データベース12bは、識別データ毎の重複情報を記憶する。図3にその一例を示す。重複情報は、LATITUDEと、LONGITUDE)と、重複度との組で構成される。重複度の求め方については後述する。地図データ12cには、地図情報を表すイメージデータが記憶される。
【0013】
プログラムメモリ14には、この発明に係わる制御プログラムとして、目標情報抽出プログラム14aと、重複度算出プログラム14bと、目標分布作成プログラム14cとがそれぞれ格納されている。目標情報抽出プログラム13aは、操作入力I/F15により入力された探知条件に基づいて目標情報データベース12aから目標情報を抽出する。探知条件には、探知する目標対象の種類と探知期間とが指定される。重複度算出プログラム14bは、上記抽出された目標情報をもとに目標対象の探知頻度を表す重複度を算出して、重複情報データベース12bに記憶する。重複度は、識別データ毎に算出され、同じ地理的位置に複数回の目標対象が存在するほど値が高くなり、探知頻度が高いことを意味する。目標分布作成プログラム14cは、重複度算出プログラム14bにより算出された重複度をもとに目標対象の目標対象の分布を表す目標分布を作成する。
【0014】
次に、このように構成される目標表示装置100の動作について説明する。図4は、目標物分布表示の処理手順とその処理内容を示すフローチャートである。
ステップS4aにおいて、CPU11は、操作入力I/F15により目標対象の種類と探知期間とを指定した探知条件を受け付けると、目標情報抽出プログラム14aを実行して、探知条件に該当する目標情報を目標情報データベース12aから抽出する(ステップS4b)。
【0015】
CPU11は、ステップS4cにおいて重複度算出プログラム14bを実行して、抽出された目標情報から地理的位置毎に重複度を算出して重複情報データベース12bに記憶する。例えば、探知期間中のある位置に1〜10艘の潜水艦が探知された場合は重複度1、11〜20艘の潜水艦が探知された場合は重複度2というように、同じ位置に目標対象が多く存在するほど重複度が高くなるようにする。
【0016】
次に、CPU11は、目標分布作成プログラム14cを実行して、上記重複情報データベース12bから目標分布として表示する重複情報を抽出する(ステップS4d)。例えば、指定された重複度と同じまたは、指定された重複度以上の重複情報のみを抽出する。そして、抽出された重複情報を重複度ごとに色を割り当てシンボルデータに変換し、目標分布を作成する(ステップS4e)。そして、ステップS4fにおいて、CPU11は上記作成された目標分布を包含する地図を地図データ12cから読み出し、目標分布を地図上に重畳したデータを表示出力I/F16から出力する(ステップS4g)。
【0017】
図5にこのように作成された目標分布表示の一例を示す。ここでは、ステップS4dで抽出された重複情報をメッシュにして表示している。このとき、例えば、同一メッシュに重複度が1の重複情報と重複度が2の重複情報とが存在する場合、そのメッシュにおける重複度は重複度3として表示する。このように、例えば過去1年間の同一識別データに対して上記処理を実施することで、過去1年間に目標対象が探知された地理的な傾向を視覚的に把握することが可能となる。
【0018】
以上述べたように、上記実施形態によれば、指揮統制システムなどに適応し、過去に探知した目標情報から目標分布を生成し、探知頻度を視覚的に表示することで、目標対象の探知・捜索を効率的に実行できるようになる。特に目標分布を地図に重畳表示することで、目標対象の探知された地理的位置関係を視覚的に確認することができる。
【0019】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係わる目標表示装置の一実施形態を示すブロック構成図。
【図2】目標情報データベースに記憶される目標情報の構成の一例を示す図。
【図3】重複情報データベースに記憶される重複情報の構成の一例を示す図。
【図4】目標分布表示処理の手順とその内容を示すフローチャート。
【図5】目標分布表示の一例を示す図。
【符号の説明】
【0021】
100…目標表示装置、11…CPU、12…データメモリ、12a…目標情報データベース、12b…重複情報データベース、12c…地図データ、13…外部データ入力I/F、14…プログラムメモリ、14a…目標情報抽出プログラム、14b…重複度算出プログラム、14c…目標分布作成プログラム、15…操作入力I/F、16…表示出力I/F。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の目標対象がそれぞれ探知された時刻情報と位置情報とを含む目標情報を入力する入力手段と、
前記入力された目標情報を前記目標対象の種類毎に分類して記憶する目標情報記憶手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
少なくとも探知する目標対象の種類と探知期間とを指定した探知条件を受け付け、この探知条件に基づいて前記目標情報記憶手段から該当する目標情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された目標情報をもとに地理的位置毎に前記目標対象の探知頻度を表す重複度を求める算出手段と、
前記求められた重複度に基づいて前記目標対象の分布を表す目標分布を作成する作成手段と、
前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶手段から読み出し、読み出された地図情報と前記作成された目標分布とを合成して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする目標表示装置。
【請求項2】
前記作成手段は、前記求められた重複度をシンボルデータに変換し、このシンボルデータにより前記目標対象の分布を表す目標分布を作成し、
前記表示手段は、前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶手段から読み出し、読み出された地図上に前記目標分布を表すシンボルを重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の目標表示装置。
【請求項3】
複数種類の目標対象がそれぞれ探知された時刻情報と位置情報とを含む目標情報を前記目標対象の種類毎に分類して記憶する目標情報記憶部と、地図情報を記憶する地図情報記憶部とを具備する目標表示装置で用いられ、
少なくとも探知する目標対象の種類と探知期間とを指定した探知条件を受け付け、この探知条件に基づいて前記目標情報記憶部から該当する目標情報を抽出し、
前記抽出された目標情報をもとに地理的位置毎に前記目標対象の探知頻度を表す重複度を求め、
前記求められた重複度に基づいて前記目標対象の分布を表す目標分布を作成し、
前記記憶された地図情報から前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶部から読み出し、読み出された地図情報と前記作成された目標分布とを合成して表示することを特徴とする目標表示方法。
【請求項4】
前記求められた重複度をシンボルデータに変換し、このシンボルデータにより前記目標対象の分布を表す目標分布を作成し、
前記作成された目標分布を包含する地図情報を前記地図情報記憶部から読み出し、読み出された地図上に前記目標分布を表すシンボルを重ねて表示することを特徴とすることを特徴とする請求項3記載の目標表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−25977(P2008−25977A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202381(P2006−202381)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】