説明

直動転動装置

【目的】 長手方向寸法の長大な案内レールの対向間隔が、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、この案内レールの対向間隔の拡縮に追従して各転動輪の対向間隔を拡縮させることによって、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗を防止できる直動転動装置を提供する。
【構成】 横行フレーム2と引抜きフレーム4の軸線方向に延び、かつ該軸線に交差する方向の対向間隔Wを有して各フレーム2、4に固定された案内レール14の前記対向間隔Wが拡縮しても、この対向間隔Wの拡縮に追従して、拡縮追従手段20により各転動輪18の対向間隔を前記該対向間隔Wと等しい大きさに拡縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直動転動装置に係り、たとえば、樹脂成形機に付設される成形品取出機の転動装置として好適な直動転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形機(以下の説明では、成形機という)と、成形機によって成形された成形品を取り出すために成形機に付設された成形品取出機との関係の一例を図6に示す。この図において、成形機Mの固定プラテン1の上面には、トラバース型の成形品取出機3のベース5が固定され、このベース5には成形機Mの軸線Cに直交する幅方向(矢印X方向および軸線C1方向)にのびる第1の長尺ガイドである横行フレーム2の基部が固定支持されており、この横行フレーム2には、成形機Mの軸線Cに平行に長手方向(矢印Y方向および軸線C2方向)にのびる第2の長尺ガイドである引抜きフレーム4の基部が成形機Mの幅方向(矢印X方向)の進退を自在に組付けられ、引抜きフレーム4には、成形品取出しヘッド6aを備えた昇降ユニット6が成形機Mの軸線Cに平行な長手方向(矢印Y方向および軸線C1方向)の進退を自在に組付けられているとともに、この昇降ユニット6は、成形機Mの上下方向(矢印Z方向および軸線C3方向)にのびて成形品取出しヘッド6aの昇降を案内するための第3の長尺ガイドである成形品取出しヘッド昇降フレーム6bを備えている。
【0003】
成形機Mは、固定プラテン1に交換可能に装着された固定金型1aと、可動プラテン7に交換可能に装着された可動金型7aとからなる金型機構8と、この金型機構8の型閉じ、型締めおよび型開を実行する電動式の金型開閉機構9と、金型機構8の型締め時に加熱溶融された樹脂を該金型機構8のキャビティ空間内に高圧で射出する射出機構(図示省略)と、金型機構8の型開時において可動金型7aに貼り付いた状態の成形品Sを可動金型7aから離型させるエジェクタ(図示省略)を駆動する電動式のエジェクタ駆動機構(図示省略)とを備えている。
【0004】
前記第1の長尺ガイドである横行フレーム2に沿う引抜きフレーム4基部の矢印X方向の進退と、前記第2の長尺ガイドである引抜きフレーム4に沿う昇降ユニット6の矢印Y方向進退および前記第3の長尺ガイドである成形品取出しヘッド昇降フレーム6bに沿う成形品取出しヘッド6a矢印Z方向の昇降は、図7に示す直動転動装置10の転動によって実現される(特許文献1)、(特許文献2)。
【0005】
前記特許文献1に記載されている図7の直動転動装置10は、横行フレーム2と、引抜きフレーム4と、板状の補助長尺ガイド11,12と、各補助長尺ガイド11,12に幅方向の対向間隔Wを有して固定された長尺の案内レール14と、各案内レール14に案内されて転動する複数の転動輪18とを備える。
【0006】
横行フレーム2と引抜きフレーム4それぞれの上面における幅方向(左右方向)両端部には、板状の補助長尺ガイド11,12が各フレーム2,4の幅方向の両端面から少し外側に張り出した水平姿勢でボルト13によって固着され、各補助長尺ガイド11,12の幅方向外端近傍の上下両面には、前記軸線C1,C2に直交する幅方向の対向間隔Wを有し、かつ各軸線C1,C2方向に平行に延在して長尺の案内レール14が固定される。
【0007】
成形品取出しヘッド昇降フレーム6bの一方の縦面(上側の面)における幅方向(左右方向)両端部には、板状の補助長尺ガイド11,12が成形品取出しヘッド昇降フレーム6bの一方の縦面の幅方向の両端面から少し外側に張り出した鉛直姿勢でボルト13によって固着され、各補助長尺ガイド11,12の幅方向外端近傍の前後両面には、前記軸線C3に直交する幅方向の対向間隔Wを有し、かつ該軸線C3方向に平行に延在して長尺の案内レール14が固定される。
【0008】
一方、引抜きフレーム4の基部は、門形の進退部材15を介して横行フレーム2に進退自在に組付けられ、昇降ユニット6の上下方向略中央部は門形の進退部材15を介して引抜きフレーム4に進退自在に組付けられるとともに、成形品取出しヘッド昇降フレーム6bの上下方向略中央部は門形の進退部材15を介して昇降ユニット6に昇降自在に組付けられる。
【0009】
前記引抜きフレーム4側の門形の進退部材15は、その左右両端部において下向きに延びて互いに対向する一対の脚部16を有し、各脚部16には、紙面方向に所定の間隔を有して上下方向で互いに対向する転動輪軸17が水平軸線C4を有して内側に突出して取付けられ、各転動輪軸17に転動輪18が回転自在、かつ水平軸線C4方向の移動を不能に支持されるとともに、各転動輪18の外周面に形成されている環状溝18aに長尺の案内レール14が嵌まり込むことで、各転動輪18は案内レール14に案内されて転動する。
【0010】
また、昇降ユニット6側の門形の進退部材15は、その上下両端部(図7では左右両端部)において水平に延びて(図7では上下方向に延びている)互いに対向する一対の脚部16を有し、各脚部16には、紙面方向に所定の間隔を有して水平方向(図7では上下方向)で互いに対向する転動輪軸17が鉛直軸線C4 (図7の水平軸線C4に相当する)を有して内側に突出して取付けられ、各転動輪軸17に転動輪18が回転自在、かつ鉛直軸線C4方向の移動を不能に支持されるとともに、各転動輪18の外周面に形成されている環状溝18aに長尺の案内レール14が嵌まり込むことで、各転動輪18は案内レール14に案内されて転動する。
【0011】
さらに、成形品取出しヘッド昇降フレーム6b側の門形の進退部材15は、図6の矢印X方向の両端部に相当する図7の左右両端部において下向きに延びて互いに対向する一対の脚部16を有し、各脚部16には、図7の紙面方向に所定の間隔を有して上下方向で互いに対向する転動輪軸17が水平軸線C4を有して内側に突出して取付けられ、各転動輪軸17に転動輪18が回転自在、かつ水平軸線C4方向の移動を不能に支持されるとともに、各転動輪18の外周面に形成されている環状溝18aに長尺の案内レール14が嵌まり込むことで、各転動輪18は案内レール14に案内されて転動する。
【0012】
【特許文献1】特開2001−38778号公報
【特許文献2】実用新案登録 第3000168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、前記特許文献1に記載されている直動転動装置10において、板状の補助長尺ガイド11,12に対する長尺の案内レール14の固定は、アルミの押し出し材からなる各板状の補助長尺ガイド11,12の略全長にわたって形成した断面略半円形の溝19に、焼入鋼などの硬質金属からなる断面円形の案内レール14を圧入することによってなされており、このように固定することで案内レール14の前記対向間隔Wが長手方向(図7の紙面方向)に一様に設定されている。
【0014】
ところが、溝19および案内レール14の断面寸法と比較して、溝19および案内レール14の長手方向の寸法(図7の紙面方向の寸法)は著しく長大であるので、この長大な全長の間には、案内レール14の対向間隔Wが部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮するおそれを有しており、万一、対向間隔Wが設計公差を微小に逸脱して部分的に拡縮すると、その拡縮した部分が起因して、各転動輪18の円滑な転動が妨げられるばかりか、経時により各転動輪18の環状溝18aや案内レール14に偏摩耗を生じてガタツキが発生し、門形の進退部材15の進退精度、つまり、引抜きフレーム4および昇降ユニット6の進退精度を低下させることになる。
【0015】
本発明は、このような問題を解決するものであって、その目的とするところは、長手方向寸法の長大な案内レールの対向間隔が、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、この案内レールの対向間隔の拡縮に追従して各転動輪の対向間隔を拡縮させることによって、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗を防止できる直動転動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明に係る直動転動装置は、長尺ガイドの軸線方向に延び、かつ該軸線に交差する方向の対向間隔を有して長尺ガイドに固定された案内レールと、前記対向間隔を有して各案内レールに案内されて転動する転動輪と、各転動輪を転動自在に支持して各転動輪とともに進退する進退部材とを備えた直動転動装置において、
前記対向間隔を有して互いに対向する各転動輪の少なくとも一方の転動輪が、前記各案内レールの対向間隔の拡縮に追従して拡縮する拡縮追従手段を介して前記進退部材に転動自在に支持されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、案内レールの対向間隔が、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、この案内レールの対向間隔の拡縮に追従して、拡縮追従手段により各転動輪の対向間隔を拡縮させることができるので、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗を確実に防止できる。
【0018】
また、本発明に係る直動転動装置は、前記拡縮追従手段を、前記少なくとも一方の転動輪の転動輪軸を、軸方向の移動を自在に支持するすべり軸受,玉軸受,ころ軸受などを含む軸受によって構成することが望ましい。これによると、案内レールの対向間隔が微小に拡縮しても、この微小な拡縮に追従して、軸方向の移動を自在に支持するすべり軸受,玉軸受,ころ軸受などを含む軸受により、各転動輪の対向間隔を応答性よく拡縮させて、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗を確実に防止できるばかりか、転動輪軸および転動輪のラジアル方向への変位をも抑制して、案内レールの対向間隔の拡縮に追従する各転動輪の拡縮精度を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る直動転動装置は、前記玉軸を、前記少なくとも一方の転動輪の転動輪軸を軸方向の移動を自在に支持する循環式直動玉軸受、非循環式直動玉軸受のいずれかで構成することがより一層望ましい。これによると、案内レールの対向間隔が微小に拡縮しても、この微小な拡縮に追従して、循環式直動玉軸受、非循環式直動玉軸受のいずれかにより、各転動輪の対向間隔をより一層応答性よく拡縮させて、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗をより一層確実に防止できるばかりか、転動輪軸および転動輪のラジアル方向への変位をも抑制して、案内レールの対向間隔の拡縮に追従する各転動輪の拡縮精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る直動転動装置は、前記転動輪が転動する案内レールを固定した長尺ガイドにより、トラバース型成形品取出機の第1の長尺ガイド機能を有して成形機の幅方向にのびる横行フレームと、トラバース型成形品取出機の第2の長尺ガイド機能を有して成形機の長手方向にのびる引抜きフレームと、トラバース型成形品取出機の第3の長尺ガイド機能を有して成形機の上下方向にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレームとの三つのフレームの内の少なくとも一つのフレームが構成されていることを特徴としている。
【0021】
これによると、第1の長尺ガイドである横行フレームと、第2の長尺ガイドである引抜きフレームおよび第3の長尺ガイドである成形品取出ヘッド昇降用フレームの三つのフレームからなる長尺ガイドを備えたトラバース型成形品取出機の昇降ユニットの進退および成形品取出ヘッドの昇降を円滑にして、成形品の取り出し精度を高めることができる。また、前記横行フレームと引抜きフレームおよび成形品取出ヘッド昇降用フレームの三つのフレームの内の少なくとも一つのフレームのみで前記長尺ガイドを構成しているトラバース型成形品取出機であっても、昇降ユニットの進退を円滑にして、成形品の取り出し精度を高めることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る直動転動装置の前記長尺ガイドは、前記転動輪が転動する案内レールを固定した長尺ガイドにより、旋回型成形品取出機の第1の長尺ガイド機能を有して成形機の長手方向にのびるとともに、該長手方向の軸線まわりに旋回する旋回引抜きフレームと、旋回型成形品取出機の第2の長尺ガイド機能を有して成形機の上下方向にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレームとの二つのフレーム中の、少なくとも旋回引抜きフレームが構成されていることを特徴としている。
【0023】
これによると、第1の長尺ガイドである旋回引抜きフレームと、第2の長尺ガイドである成形品取出ヘッド昇降用フレームとの二つのフレームからなる長尺ガイドを備えた旋回型成形品取出機の作動を円滑にして、成形品の取り出し精度を高めることができる。また、第1の長尺ガイドである旋回引抜きフレーム備え、かつ前記第2の長尺ガイドに代えて成形品取出ヘッドを昇降させるエアーシリンダなどのアクチュエータを備えた旋回型成形品取出機の作動を円滑にして、成形品の取り出し精度を高めることもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、長手方向寸法の長大な案内レールの対向間隔が、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、この案内レールの対向間隔の拡縮に追従して、拡縮追従手段により各転動輪の対向間隔を拡縮させることができるので、各転動輪の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪や案内レールの偏摩耗を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る直動転動装置の一実施形態を示す正面断面図、図2は要部を拡大して示す正面断面図である。なお、図6,図7で説明した従来例と同一もしくは相当部分には、同一符号を付して重複する説明は省略する。
図1,図2に示すように、幅方向(図1の左右方向)または鉛直方向(図1では左右方向に変換して示されている)の対向間隔Wを有して互いに対向する各転動輪18において、その一方の転動輪18(本実施形態では右側の転動輪18)は、転動輪軸17と拡縮追従手段20とを介して進退部材15における右側の脚部16に転動自在に支持されている。
【0026】
詳しくは、転動輪軸17に回転自在に支持された右側の転動輪18の内端面18bは、転動輪軸17の頭部17a内面に摺接し、右側の転動輪18の外端面18cは、転動輪軸17を挿通したワッシャ21を介して右側の脚部16の内面16aに対向し、転動輪軸17の外周面と右側の脚部16に形成した転動軸挿通孔22の内周面で囲まれる環状空間に、転動輪軸17の軸方向の移動を許容する拡縮追従手段20が介装されており、ボルト23によって抜け止め板24が転動輪軸17の外端面17bに密着して取付けられ、この抜け止め板24の内面と進退部材15における右側の脚部16に設けた横向きの凹部25の奥面25aとの間に、小さい隙間からなる拡縮追従代26を設けてある。したがって、案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従して、右側の転動輪18および転動輪軸17は、拡縮追従代26の範囲内で軸方向に移動して、右側の転動輪18と左側の転動輪18との対向間隔を案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従して該対向間隔Wと等しい大きさに拡縮させることができる。
【0027】
拡縮追従手段20は、右側の転動輪軸17を軸方向の移動を自在に支持している。この拡縮追従手段20は、すべり軸受,玉軸受,ころ軸受などを含む軸受によって構成される。これにより、案内レール14の対向間隔Wが、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、右側の転動輪18は応答性よく拡縮追従代26の範囲内で軸方向に移動して、右側の転動輪18と左側の転動輪18との対向間隔を案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従して該対向間隔Wと等しい大きさの対向間隔Wに拡縮させて、左右の転動輪18の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪18や案内レール14の偏摩耗を確実に防止できるばかりか、右側の転動輪軸17および右側の転動輪18のラジアル方向への変位をも抑制して、案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従する各転動輪18の拡縮精度を向上させることができる。
【0028】
特に、拡縮追従手段20の玉軸受を、図3に示す循環式直動玉軸受20a、または図4に示す非循環式直動玉軸受20bのいずれかで構成して、右側の転動輪軸17を軸方向の移動を自在に支持すると、案内レール14の対向間隔Wが、万一、部分的に設計公差を微小に逸脱して拡縮したとしても、右側の転動輪18はより一層応答性よく拡縮追従代26の範囲内で軸方向に移動して、右側の転動輪18と左側の転動輪18との対向間隔を案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従して該対向間隔Wと等しい大きさの対向間隔Wに拡縮させて、左右の転動輪18の円滑な転動を確保し、経時による各転動輪18や案内レール14の偏摩耗を確実に防止できるばかりか、右側の転動輪軸17および右側の転動輪18のラジアル方向への変位をも抑制して、案内レール14の対向間隔Wの拡縮に追従する各転動輪18の拡縮精度を向上させることができる。尚、図3において、符号20cは外筒を示し、符号20dは多数の鋼球を示す。また、図4において、符号20eは外筒を示し、符号20gはリテーナ20fに保持された鋼球を示す。
【0029】
図6に示すトラバース型成形品取出機3において、各転動輪18(図1参照)が転動する案内レール14(図1参照)を固定した長尺ガイドにより、トラバース型成形品取出機3の第1の長尺ガイド機能を有して、成形機Mの幅方向(図6の矢印X方向)にのびる横行フレーム2と、トラバース型成形品取出機3の第2の長尺ガイド機能を有して、成形機Mの長手方向(図6の矢印Y方向)にのびる引抜きフレーム4と、トラバース型成形品取出機3の第3の長尺ガイド機能を有して、成形機Mの上下方向(図6の矢印Z方向)にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bとの三つのフレーム2,4,6bを構成すれば、前述の理由により、昇降ユニット6の進退および成形品取出ヘッド6aの昇降を円滑にして、成形品Sの取り出し精度を高めることができる。
【0030】
また、前記長尺ガイドにより前記横行フレーム2と引抜きフレーム4との二つのフレーム2,4を構成し、かつ前記成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bに代えて成形品取出ヘッド6aを昇降させるエアーシリンダなどのアクチュエータを備えたトラバース型成形品取出機3、あるいは前記長尺ガイドにより横行フレーム2を構成し、引抜きフレーム4は前記従来構成の直動転動装置を採用し、かつ成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bに代えて成形品取出ヘッド6aを昇降させるエアーシリンダなどのアクチュエータを備えたトラバース型成形品取出機3、もしくは前記長尺ガイドにより引抜きフレーム4を構成し、横行フレーム2は前記従来構成の直動転動装置を採用し、かつ成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bに代えて成形品取出ヘッド6aを昇降させるエアーシリンダなどのアクチュエータを備えたトラバース型成形品取出機3、または前記長尺ガイドにより成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bを構成し、横行フレーム2と引抜きフレーム4との二つのフレーム2,4は、それぞれ前記従来構成の直動転動装置を採用したトラバース型成形品取出機3であっても、昇降ユニット6の進退を円滑にして、成形品Sの取り出し精度を高めることができる。
【0031】
さらに、図5(a)に示す旋回型成形品取出機3Aにおいて、各転動輪18 (図1参照)が転動する案内レール14(図1参照)を固定した長尺ガイドにより、旋回型成形品取出機3Aの第1の長尺ガイド機能を有して、成形機Mの長手方向[図5(a)の矢印Y方向]にのびるとともに、該長手方向の軸線まわり [図5(a)の矢印R方向]に旋回する旋回引抜きフレーム4Aと、旋回型成形品取出機3Aの第2の長尺ガイド機能を有して、成形機Mの上下方向[図5(a)の矢印Z方向]にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bとの二つのフレーム4A,6bを構成すれば、前述の理由により、昇降ユニット6の矢印Y方向の進退および成形品取出ヘッド6aの昇降を円滑にして、成形品S(図6参照)の取り出し精度を高めることができるとともに、図5(b)に示すように、前記長尺ガイドにより、旋回引抜きフレーム4Aを構成し、かつ図5(a)の成形品取出ヘッド昇降用フレーム6bに代えて、成形品取出ヘッド6aを昇降させるエアーシリンダなどのアクチュエータ6cを備えた旋回型成形品取出機3Aであっても、昇降ユニット6の矢印Y方向の進退を円滑にして、成形品S(図6参照)の取り出し精度を高めることもできる。なお、図5(a),図5(b)において、27は昇降ユニット6を旋回引抜きフレーム4Aに沿って進退させる駆動源として機能するエアーシリンダからなるアクチュエータを示し、28は旋回引抜きフレーム4Aを前記長手方向の軸線まわり(矢印R方向)に旋回させる駆動源として機能するエアーシリンダからなるアクチュエータを示す。また、図5(a),図5(b)において、図6と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
前記実施形態では、一方の転動輪18(本実施形態では図1の右側の転動輪18)を、転動輪軸17と拡縮追従手段20とを介して進退部材15における右側の脚部16に転動自在に支持した構成で説明しているが、左右両側の転動輪18を、転動輪軸17と拡縮追従手段20とを介して進退部材15における左右両側の脚部16に転動自在に支持した構成であっても、前記実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る直動転動装置の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】要部を拡大して示す正面断面図である。
【図3】拡縮追従手段の一例である循環式直動玉軸受の説明図である。
【図4】拡縮追従手段の他の例である非循環式直動玉軸受の説明図である。
【図5(a)】成形機と旋回型成形品取出機との関係を示す斜視図である。
【図5(b)】成形機と旋回型成形品取出機との関係を示す斜視図である。
【図6】成形機とトラバース型成形品取出機との関係を示す斜視図である。
【図7】直動転動装置の従来例を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 樹脂成形機
2 横行フレーム(第1の長尺ガイド)
3 トラバース型成形品取出機(成形品取出機)
3A 旋回型成形品取出機(成形品取出機)
4 引抜きフレーム(第2の長尺ガイド)
6 昇降ユニット
6b 成形品取出ヘッド昇降フレーム(第3の長尺ガイド)
10 直動転動装置
14 案内レール
15 進退部材
17 転動輪軸
18 転動輪
20 拡縮追従手段
20a 循環式直動玉軸受
20b 非循環式直動玉軸受
W 案内レールの対向間隔
S 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺ガイドの軸線方向に延び、かつ該軸線に交差する方向の対向間隔を有して長尺ガイドに固定された案内レールと、前記対向間隔を有して各案内レールに案内されて転動する転動輪と、各転動輪を転動自在に支持して各転動輪とともに進退する進退部材とを備えた直動転動装置において、
前記対向間隔を有して互いに対向する各転動輪の少なくとも一方の転動輪が、前記各案内レールの対向間隔の拡縮に追従して拡縮する拡縮追従手段を介して前記進退部材に転動自在に支持されていることを特徴とする直動転動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直動転動装置において、
前記拡縮追従手段は、前記少なくとも一方の転動輪の転動輪軸を、軸方向の移動を自在に支持するすべり軸受,玉軸受,ころ軸受などを含む軸受によって構成されていることを特徴とする直動転動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の直動転動装置において、
前記玉軸は、前記少なくとも一方の転動輪の転動輪軸を軸方向の移動を自在に支持する循環式直動玉軸受、非循環式直動玉軸受のいずれかで構成されていることを特徴とする直動転動装置。
【請求項4】
請求項1,請求項2または請求項3に記載の直動転動装置において、
前記転動輪が転動する案内レールを固定した長尺ガイドにより、トラバース型成形品取出機の第1の長尺ガイド機能を有して成形機の幅方向にのびる横行フレームと、トラバース型成形品取出機の第2の長尺ガイド機能を有して成形機の長手方向にのびる引抜きフレームと、トラバース型成形品取出機の第3の長尺ガイド機能を有して成形機の上下方向にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレームとの三つのフレームの内の少なくとも一つのフレームが構成されていることを特徴とする直動転動装置。
【請求項5】
請求項1,請求項2または請求項3に記載の直動転動装置において、
前記転動輪が転動する案内レールを固定した長尺ガイドにより、旋回型成形品取出機の第1の長尺ガイド機能を有して成形機の長手方向にのびるとともに、該長手方向の軸線まわりに旋回する旋回引抜きフレームと、旋回型成形品取出機の第2の長尺ガイド機能を有して成形機の上下方向にのびる成形品取出ヘッド昇降用フレームとの二つのフレーム中の、少なくともいずれか一方のフレームが構成されていることを特徴とする直動転動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5(a)】
image rotate

【図5(b)】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−290394(P2008−290394A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139644(P2007−139644)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000138473)株式会社ユーシン精機 (117)
【Fターム(参考)】