説明

直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造

【課題】簡単な構造にて軸受を潤滑可能であり、保全コストを低減可能である直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造を提供する。
【解決手段】本体と、直接駆動式トルクモータと、スピンドルと、軸受部材と、注油子と、調整ナットと含む直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造において、前記本体は後カバーを有し、前記後カバーの内部には潤滑油路が少なくとも一つ設けてあり、前記直接駆動式トルクモータは、前記本体の内部に取り付けられ、前記スピンドルは、前記直接駆動式トルクモータの内部に取り付けられ、前記軸受部材は、前記スピンドルと前記直接駆動式トルクモータと前記本体との間に配設され、その内部に補助ローラ軸受が設けてあり、前記調整ナットは前記スピンドルの末端にある外ねじ段にねじ込まれて、前記軸受部材の前記補助ローラ軸受に押付け、前記補助ローラ軸受に応じて環状潤滑空間が設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接駆動式トルクモータ装置用の軸受潤滑構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目下、直接駆動式トルクモータ装置がスピンドルの駆動に適用され、各種類の製品の設計が如何に変化しても、回転のスムーズを保持するために、直接駆動式トルクモータ装置とスピンドルとの間に多数の軸受が設けられる。
【0003】
しかしながら、直接駆動式トルクモータ装置とスピンドルとが長期間に運転したと、軸受が直接駆動式トルクモータ装置とスピンドルとの負荷を長期間に受けるので、ユーザは定期保全作業および潤滑作業を定期に実施することが必要であり、だが、上記の作業は機器を分解しないと実施できないため、保全コストは高くなる欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、簡単な構造にて軸受を潤滑可能であり、保全コストを低減可能である直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の発明は、本体と、直接駆動式トルクモータと、スピンドルと、軸受部材と、注油子と、調整ナットと含む直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造において、前記本体は後カバーを有し、前記後カバーの内部には潤滑油路が少なくとも一つ設けてあり、前記潤滑油路は互いに連通している注油経路と、第一潤滑経路と、第二潤滑経路とを含み、前記注油経路が外部と連通しており、前記直接駆動式トルクモータは前記本体の内部に取り付けられ、前記スピンドルは前記直接駆動式トルクモータの内部に取り付けられ、前記本体の後カバーに対応し、前記軸受部材は前記スピンドルと前記直接駆動式トルクモータと前記本体との間に配設され、その内部に補助ローラ軸受が設けてあり、前記補助ローラ軸受が前記本体の後カバーと前記スピンドルとを押し上げ、前記本体の潤滑油路の第一潤滑経路が前記補助ローラ軸受の一側の表面まで到達し、なお、前記本体の潤滑油路の第二潤滑経路が前記補助ローラ軸受の他側の表面まで到達し、前記注油子は前記本体の注油経路に取付けられ、前記調整ナットは前記スピンドルの末端にある外ねじ段にねじ込まれて、前記軸受部材の前記補助ローラ軸受に押付け、前記補助ローラ軸受に応じて環状潤滑空間が設けてあり、前記本体の第二潤滑経路が前記環状潤滑空間まで到達することを特徴とする、直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造であることを要旨としている。
【0006】
本願の発明では、前記補助ローラ軸受はテーパローラ軸受であることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造であることを要旨としている。
【0007】
本願の発明では、前記スピンドルの外周には、一端から他端へ徐々に縮径する、第一階層と、第二階層と、第三階層と、第四階層と、外ねじ段とが設けてあり、更に、制動子が設けてあり、前記制動子は、内周が前記スピンドルの第一階層に位置決められ、外周面に位置決め部が設けてあり、前記軸受部材は、更に、第一オイルシールと、メーン軸受と、第二オイルシールとを含み、前記第一オイルシールが前記制動子と前記スピンドルとの間に取付けられ、前記メーン軸受が前記スピンドルの第二階層に位置決められ、且つ前記メーン軸受が前記制動子に押付けており、前記第二オイルシールが前記スピンドルの第三階層に位置決められ、前記補助ローラ軸受が前記第四階層に位置決められ、且つ前記補助ローラ軸受が前記第二オイルシールに押付けており、前記直接駆動式トルクモータは、回転子固定台と、回転子オイルシールと、モータ回転子と、モータ固定子と、モータ冷却台とから構成されるものであり、前記回転子固定台が前記軸受部材のメーン軸受の近傍に位置決められ前記メーン軸受に押付けており、且つ前記回転子オイルシールとモータ回転子とが前記回転子固定台の外周面に固定され、前記モータ固定子が前記モータ冷却台の内部に取付けられ、前記本体は、更に、ケースと、後カバーオイルシールとを含み、前記後カバーが前記ケースに連接され、前記本体の一端が前記制動子の位置決め部に固定され、且つ前記本体と前記スピンドルとの間に前記軸受部材のメーン軸受が位置決められ、前記軸受部材の第二オイルシールと前記補助ローラ軸受との外に前記後カバーが位置決められ、前記後カバーの末端の内周に前記後カバーオイルシールが設けられ、前記ケースが上記の部品を収容し、且つ前記ケースには前記直接駆動式トルクモータのモータ冷却台が固定してあり、更に、前記本体の後カバーに固定される位置検知子が設けてあり、前記位置検知子にて前記スピンドルの回動位置の変化が検知されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造であることを要旨としている。
【0008】
本願の発明では、前記本体の潤滑油路には貫通孔が若干に開設してあり、これらの貫通孔が閉鎖ネジにて閉鎖されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造であることを要旨としている。
【0009】
本願の発明では、前記本体の潤滑油路の末端には外部に開放する排気孔が設けてあり、前記排気孔がU字形を呈することを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造であることを要旨としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造によれば、簡単な構造にて軸受を潤滑可能であり、保全コストを低減可能である効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
まず、図1ないし図3を参照する。本発明の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造は、スピンドル20と、制動子30と、軸受部材40と、直接駆動式トルクモータ50と、本体60と、注油子Aと、位置検知子70と、調整ナット80とを含む。
【0013】
前記スピンドル20の外周には、一端から他端へ徐々に縮径する第一階層21と、第二階層22と、第三階層23と、第四階層24と、外ねじ段25とが設けてあり、前記外ねじ段25が前記スピンドル20の端部の近傍の周面に設けられる。
【0014】
前記制動子30は、内周が前記スピンドル20の第一階層21に位置決められ、外周面に位置決め部31が設けてある。
【0015】
前記軸受部材40は、第一オイルシール41と、メーン軸受42と、第二オイルシール43と、補助ローラ軸受44とを含み、前記第一オイルシール41が前記制動子30と前記スピンドル20との間に取付けられ、前記メーン軸受42が前記スピンドル20の第二階層22に位置決められ、且つ前記メーン軸受42が前記制動子30に押付けており、前記第二オイルシール43が前記スピンドル20の第三階層23に位置決められ、前記補助ローラ軸受44は、テーパローラ軸受であり、前記第四階層に位置決められ、且つ前記補助ローラ軸受44が前記第二オイルシール43に押付けている。
【0016】
前記直接駆動式トルクモータ50は、回転子固定台51と、回転子オイルシール52と、モータ回転子53と、モータ固定子54と、モータ冷却台55とから構成されるものであり、前記回転子固定台51が前記軸受部材40のメーン軸受42の近傍に位置決められ、且つ前記回転子オイルシール52とモータ回転子53とが前記回転子固定台51の外周面に固定され、前記モータ固定子54が前記モータ冷却台55の内部に取付けられ、且つモータ回転子53がモータ固定子54に嵌められる。
【0017】
前記本体60は、ケース61と、後カバー62と、後カバーオイルシール63とを含み、前記後カバー62が前記ケース61に連接され、前記本体60の一端が前記制動子30の位置決め部31に固定され、且つ前記本体60と前記スピンドル20との間に前記軸受部材40のメーン軸受42が位置決められ、前記軸受部材40の第二オイルシール43と前記補助ローラ軸受44との外に前記後カバー62が位置決められ、前記後カバー62の末端の内周に前記後カバーオイルシール63が設けられ、前記ケース61が上記の部品を収容し、且つ前記ケース61には前記直接駆動式トルクモータ50のモータ冷却台55が固定しており、前記後カバー62の内部には潤滑油路621が少なくとも一つ設けてあり、前記潤滑油路621は、互いに連通している注油経路6211と、第一潤滑経路6212と、第二潤滑経路6213と、閉鎖ネジ6214とを含み、前記閉鎖ネジ6214により製造の便宜のために開設された貫通孔が閉鎖され、前記注油経路6211は後カバー62から外部と連通しており、その末端の周面に内ねじBが設けてあり、前記第一潤滑経路6212が前記軸受部材40の補助ローラ軸受44の一側の表面まで到達し、なお、前記第二潤滑経路6213が前記軸受部材40の前記補助ローラ軸受44の他側の表面まで到達し、前記潤滑油路621の末端には外部に開放する排気孔6215が設けてあり、水の侵入を防止するために前記排気孔6215がU字形を呈する。
【0018】
前記注油子Aは、前記本体60の注油経路6211の内ねじBに取付けられる。
【0019】
前記位置検知子70は、前記本体60の後カバー62に固定され、前記位置検知子70にて前記スピンドル20の回動位置の変化が検知される。
【0020】
前記調整ナット80は、前記スピンドル20の末端にある外ねじ段25にねじ込まれて、本体60の後カバーオイルシール63内に位置決められ、且つ前記調整ナット80を更にねじ込むと、前記軸受部材40の前記補助ローラ軸受44が緊迫され、前記調整ナット80は前記補助ローラ軸受44にある表面に応じて環状潤滑空間81が設けてあり、前記本体60の第二潤滑経路6213が前記環状潤滑空間81まで到達する。
【0021】
前記スピンドル20の外周には、一端から他端へ徐々に縮径する第一階層21と、第二階層22と、第三階層23と、第四階層24と、外ねじ段25とが設けてあり、前記外ねじ段25が前記スピンドル20の端部の近傍の周面に設けられ、且つ軸受部材40を使用し、制動子30と、直接駆動式トルクモータ50と、本体60とをスピンドル20の各階層に取り付けて、最後に、スピンドル20の端部の外ねじ段25に調整ナット80を締付けると、軸受部材40の補助ローラ軸受44が緊迫されるようになる。
【0022】
だから、調整ナット80を更にねじ込むことにより前記補助ローラ軸受44を緊迫すると、テーパローラ式設計により、前記補助ローラ軸受44がスピンドル20と、本体60の後カバーとを同時に押付けるようになり、スピンドル20に設けられた各部品の負荷および重量を充分に支持可能である。
【0023】
第一潤滑経路6212と第二潤滑経路6213とによって、後カバー62の潤滑油路621は補助ローラ軸受44の表面と、環状潤滑空間81とを充分に潤滑可能であり、前記環状潤滑空間81の潤滑油の流動により、本発明の潤滑効果は充分に発揮可能である。
【0024】
本発明に潤滑油を注油しようとする場合には、ユーザが注油道具にて潤滑油を注油子Aに注入すると、潤滑油が本体60の注油経路6211を経由して第一潤滑経路6212と第二潤滑経路6213とに流入し、且つ潤滑油路621の末端にある排気孔6215から潤滑油が溢れたと、潤滑油が潤滑油路621の内部を満たしたと判断する。
【0025】
また、環状潤滑空間81は、補助ローラ軸受44の表面と、調整ナット80の表面とから構成してもいい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例の外観図
【図2】本発明の実施例の組合状態の断面図
【図3】本発明の実施例の拡大断面図
【符号の説明】
【0027】
20 スピンドル
21 第一階層
22 第二階層
23 第三階層
24 第四階層
25 外ねじ段
30 制動子
31 位置決め部
40 軸受部材
41 第一オイルシール
42 メーン軸受
43 第二オイルシール
44 補助ローラ軸受
50 直接駆動式トルクモータ
51 回転子固定台
52 回転子オイルシール
53 モータ回転子
54 モータ固定子
55 モータ冷却台
60 本体
61 ケース
62 後カバー
63 後カバーオイルシール
70 位置検知子
80 調整ナット
81 環状潤滑空間
621 潤滑油路
6211 注油経路
6212 第一潤滑経路
6213 第二潤滑経路
6214 閉鎖ネジ
6215 排気孔
A 注油子
B 内ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、直接駆動式トルクモータと、スピンドルと、軸受部材と、注油子と、調整ナットと含む直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造において、前記本体は、後カバーを有し、前記後カバーの内部には潤滑油路が少なくとも一つ設けてあり、前記潤滑油路は互いに連通している、注油経路と、第一潤滑経路と、第二潤滑経路とを含み、前記注油経路が外部と連通しており、前記直接駆動式トルクモータは前記本体の内部に取り付けられ、前記スピンドルは前記直接駆動式トルクモータの内部に取り付けられ、前記本体の後カバーに対応し、前記軸受部材は前記スピンドルと前記直接駆動式トルクモータと前記本体との間に配設され、その内部に補助ローラ軸受が設けてあり、前記補助ローラ軸受が前記本体の後カバーと前記スピンドルとを押し上げ、前記本体の潤滑油路の第一潤滑経路が前記補助ローラ軸受の一側の表面まで到達し、なお、前記本体の潤滑油路の第二潤滑経路が前記補助ローラ軸受の他側の表面まで到達し、前記注油子は前記本体の注油経路に取付けられ、前記調整ナットは前記スピンドルの末端にある外ねじ段にねじ込まれて、前記軸受部材の前記補助ローラ軸受に押付け、前記補助ローラ軸受に応じて環状潤滑空間が設けてあり、前記本体の第二潤滑経路が前記環状潤滑空間まで到達することを特徴とする、直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造。
【請求項2】
前記補助ローラ軸受はテーパローラ軸受であることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造。
【請求項3】
前記スピンドルの外周には、一端から他端へ徐々に縮径する、第一階層と、第二階層と、第三階層と、第四階層と、外ねじ段とが設けてあり、更に、制動子が設けてあり、前記制動子は内周が前記スピンドルの第一階層に位置決められ、外周面に位置決め部が設けてあり、前記軸受部材は、更に、第一オイルシールと、メーン軸受と、第二オイルシールとを含み、前記第一オイルシールが前記制動子と前記スピンドルとの間に取付けられ、前記メーン軸受が前記スピンドルの第二階層に位置決められ、且つ前記メーン軸受が前記制動子に押付けており、前記第二オイルシールが前記スピンドルの第三階層に位置決められ、前記補助ローラ軸受が前記第四階層に位置決められ、且つ前記補助ローラ軸受が前記第二オイルシールに押付けており、前記直接駆動式トルクモータは、回転子固定台と、回転子オイルシールと、モータ回転子と、モータ固定子と、モータ冷却台とから構成されるものであり、前記回転子固定台が前記軸受部材のメーン軸受の近傍に位置決められ前記メーン軸受に押付けており、且つ前記回転子オイルシールとモータ回転子とが前記回転子固定台の外周面に固定され、前記モータ固定子が前記モータ冷却台の内部に取付けられ、前記本体は、更に、ケースと、後カバーオイルシールとを含み、前記後カバーが前記ケースに連接され、前記本体の一端が前記制動子の位置決め部に固定され、且つ前記本体と前記スピンドルとの間に前記軸受部材のメーン軸受が位置決められ、前記軸受部材の第二オイルシールと前記補助ローラ軸受との外に前記後カバーが位置決められ、前記後カバーの末端の内周に前記後カバーオイルシールが設けられ、前記ケースが上記の部品を収容し、且つ前記ケースには前記直接駆動式トルクモータのモータ冷却台が固定してあり、更に、前記本体の後カバーに固定される位置検知子が設けてあり、前記位置検知子にて前記スピンドルの回動位置の変化が検知されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造。
【請求項4】
前記本体の潤滑油路には貫通孔が若干に開設してあり、これらの貫通孔が閉鎖ネジにて閉鎖されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造。
【請求項5】
前記本体の潤滑油路の末端には外部に開放する排気孔が設けてあり、前記排気孔がU字形を呈することを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動式トルクモータ装置用軸受潤滑構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−63143(P2009−63143A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233808(P2007−233808)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(506171037)大銀微系統股▲ふん▼有限公司 (40)
【Fターム(参考)】