説明

相関受信処理装置

【課題】空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望信号及びその他の信号のサイドローブを抑圧することが可能な相関受信処理装置を提供する。
【解決手段】抑圧ウェイト算出部2233は、信号SBを零に抑圧するための抑圧ウェイト行列WBと、信号SCを零に抑圧するための抑圧ウェイト行列WCとを算出する。不要信号抑圧部2232は、FFT後の信号に対して、抑圧ウェイト行列WB,WCを掛け合わせ、入力信号行列Xにおける信号SB,SCを抑圧する。また、サイドローブフリー係数算出部2234は、抑圧ウェイト行列WB,WCが掛け合わされた入力信号行列Xの状態を考慮し、信号SAのサイドローブを抑圧するための自己相関のサイドローブフリー係数行列を算出する。そして、サイドローブ抑圧部2236は、不要信号抑圧部2232からの信号に、サイドローブフリー係数行列を掛け合わせることで、信号SAのサイドローブを抑圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)方式のレーダ装置に搭載される受信機に用いられる相関受信処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置において、受信信号におけるレンジサイドローブをフリー(零に抑圧)にすることで目標の誤検出を低減するサイドローブフリー方式が提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。このサイドローブフリー方式を用いたレーダ装置では、送信信号の符号情報に基づいてサイドローブフリー係数が算出される。そして、このサイドローブフリー係数を相関係数として、受信信号に対するパルス圧縮処理が行われる。これにより、所定のレンジでパルスが圧縮され急峻なピークが発生すると共に、その他のレンジではサイドローブが零に抑圧(又は低減)されることとなる。
【0003】
しかしながら、上記サイドローブフリー方式は、モノスタティック又はバイスタティックのようなレーダ形態において、想定される電波環境に自装置の信号のみが存在する場合に有用な手法と言える。一方、マルチスタティックレーダ及び、近年研究が盛んなMIMOレーダのようなレーダ形態では、複数種類の信号が空間中を伝搬する。通常、このようなマルチスタティックレーダ及びMIMOレーダのようなレーダ形態では、送信機同士は、空間的に干渉しない送信信号を送信する。また、受信側では、送信機数に相当する無相関信号を分離し、個別に処理する必要がある。このような状況においては、従来のサイドローブフリー方式を利用したレーダ装置では、自装置の信号におけるサイドローブは抑圧可能であるが、他の信号による影響を受けてしまうという問題がある。
【0004】
また、従来のサイドローブフリー方式を利用したレーダ装置で用いられる受信機では、受信可能な符号情報が予め設定されており、その符号情報に従った送信信号のみを受信するようになっている。しかしながら、マルチスタティックレーダ及びMIMOレーダのようなレーダ形態においては、各送信機からの送信信号が空間的に干渉しないようにするため、送信機毎に符号情報が予め設定されている。そのため、従来の受信機により、設定外の送信機からの信号を受信しようとする場合、対応した符号情報を手動で再設定しなければならず、ユーザの負担となっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】E. Fisher, A. H. Heimovich, "Spatial diversity in radar - models and detection Performance," IEEE Trans. On Signal Processing, vol. 54, no. 3, pp. 823-838
【非特許文献2】E. Fisher, A. H. Heimovich, "Performance of MIMO Radar System: Advantages of Angular Diversity," IEEE Trans. On Signal Processing, 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来のサイドローブフリー方式を利用したレーダ装置では、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合に、所望する信号におけるサイドローブは抑圧可能であるが、他の信号による影響を受けてしまうという問題があった。また、異なる送信機からの信号を受信しようとする場合には、符号情報を手動で再設定しなければならないため、ユーザの負担となっていた。
【0007】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望外の信号を抑圧し、かつ、所望信号のサイドローブを抑圧することが可能であり、また、異なる送信機からの信号を受信しようとする場合にユーザの負担を軽減させることが可能な相関受信処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る相関受信処理装置は、レーダ装置における受信機に用いられ、前記レーダ装置では、複数の送信機がそれぞれの符号化方式で無線信号を符号化して空間へ送信し、前記受信機が前記複数の無線信号が目標物により反射された反射信号を受信する相関受信処理装置において、前記反射信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を施すFFT部であって、前記反射信号は前記複数の無線信号のうち特定信号についての特定成分と、前記複数の無線信号のうち前記特定信号以外の不要信号についての不要成分とを含むFFT部と、前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記FFT後の信号における前記不要成分を零に抑圧するための抑圧ウェイトを算出する抑圧ウェイト算出部と、前記FFT後の信号に対して、前記抑圧ウェイトを掛け合わせ、前記不要成分を抑圧した抑圧信号を生成する不要信号抑圧部と、前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記抑圧信号における前記特定成分に含まれるサイドローブを抑圧するためのサイドローブフリー係数を算出するサイドローブフリー係数算出部と、前記抑圧信号に対して、前記サイドローブフリー係数を掛け合わせることで、前記サイドローブを抑圧するサイドローブ抑圧部とを具備する。
【0009】
上記構成による相関受信処理装置では、不要信号抑圧部で不要成分を零に抑圧する。そして、不要信号抑圧部からの信号に対して、不要成分の抑圧ウェイトを考慮したサイドローブフリー係数を掛け合わせる。これにより、不要成分を抑圧し、かつ、特定信号のサイドローブを抑圧することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る相関受信処理装置は、レーダ装置における受信機に用いられ、前記レーダ装置では、複数の送信機がそれぞれの符号化方式で無線信号を符号化して空間へ送信し、前記受信機が前記複数の無線信号が目標物により反射された反射信号を受信する相関受信処理装置において、前記反射信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を施すFFT部であって、前記反射信号は前記複数の無線信号のうち特定信号についての特定成分又は、前記複数の無線信号のうち前記特定信号以外の不要信号についての不要成分を含むFFT部と、前記反射信号が前記特定成分である場合は、前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記FFT後の信号における前記特定成分に含まれるサイドローブを抑圧するための第1のサイドローブフリー係数を算出し、前記反射信号が前記不要成分である場合は、前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記不要成分を抑圧するための第2のサイドローブフリー係数を算出するサイドローブフリー係数算出部と、前記FFT後の信号に対して、前記第1のサイドローブフリー係数を掛け合わせることで前記サイドローブを抑圧し、又は、前記第2のサイドローブフリー係数を掛け合わせることで前記不要成分を抑圧するサイドローブ抑圧部とを具備する。
【0011】
上記構成による相関受信処理装置では、反射信号及び複数の無線信号の符号情報を参照し、特定成分を含む反射信号が受信された場合には、その信号の符号化方式に基づいて自動的に第1のサイドローブフリー係数を算出し、特定成分のサイドローブを抑圧する。一方、不要成分を含む反射信号が受信された場合には、その信号の符号化方式に基づいて自動的に第2のサイドローブフリー係数を算出し、不要成分を抑圧するようにしている。これにより、所望信号を他の信号に切り替えた場合であっても、その信号に対応した符号化方式を改めて設定しなくとも、自動的にサイドローブフリー係数が算出され、所望信号のサイドローブが抑圧されることとなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望外の信号を抑圧し、かつ、所望信号のサイドローブを抑圧することが可能であり、また、異なる送信機からの信号を受信しようとする場合にユーザの負担を軽減させることが可能な相関受信処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る相関受信処理装置を用いた受信機を使用したレーダ装置の構成を示す図である。
【図2】図1の受信機における受信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図2の相関受信処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図3の相関受信処理装置を駆動させない場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】図3の相関受信処理装置を駆動させた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図4及び図5のシミュレーションにおけるパラメータ諸元を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る相関受信処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】図7のAcal1の導出の概念を示す図である。
【図9】図7の相関受信処理装置を駆動させた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】図9のシミュレーションにおけるパラメータ諸元を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る相関受信処理装置を用いた受信機を使用したレーダ装置の構成を示す図である。
【図12】図11の受信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図13】図12の相関受信処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図14】図13の相関受信処理装置を駆動させた場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】図14のシミュレーションにおけるパラメータ諸元を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る相関受信処理装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る相関受信処理装置を用いた受信機を使用したレーダ装置の構成を示す概略図である。
【0016】
図1におけるレーダ装置は、送信機10−1〜10−3及び受信機20を具備する。送信機10−1〜10−3は、それぞれにおいて予め設定された位相符号変調波形により信号を符号化する。これにより、それぞれの送信機10−1〜10−3からは、互いに無相関関係を有した送信信号が送信されることとなる。送信機10−1〜10−3は、送信信号を送信アンテナ11−1〜11−3から空間へ向けて送信する。また、送信機10−1〜10−3は、それぞれの位相符号変調波形に関する符号情報を受信機20へ通知する。
【0017】
3系統の送信信号は、目標物Tで反射される。受信機20は、目標物Tで反射された反射信号をN(Nは2以上の自然数)本の受信アンテナ21−1〜21−Nで互いに独立して受信する。受信アンテナ21−1〜21−Nには、受信装置22−1〜22−Nがそれぞれ接続されている。受信装置22−1〜22−Nは、接続されている受信アンテナからの反射信号に基づいて目標物Tの検出を行う。統合部23は、受信装置22−1〜22−Nの検出結果を統合し、目標物Tの有無を判定する。そして、統合部23は、判定結果を後段へ出力する。以下では、受信装置22−1を例に説明する。
【0018】
図2は、図1の受信機20における受信装置22−1の機能構成を示すブロック図である。
【0019】
図2における受信装置22−1は、受信処理部221、分配部222及び相関受信処理装置223−1〜223−3を備える。なお、相関受信処理装置223−1〜223−3の数は、送信機10−1〜10−3からの送信信号の数に対応する。
【0020】
受信処理部221は、受信アンテナ21−1からの反射信号に対して受信処理を施す。この受信処理により、反射信号は、中間周波数帯の信号へ変換された後、デジタル信号へ変換される。
【0021】
分配部222は、受信処理部221からのデジタル信号を三つに分配する。分配部222は、分配したデジタル信号を、相関受信処理装置223−1〜223−3へそれぞれ供給する。ここで、本実施形態において、相関受信処理装置223−1〜223−3へ供給されたデジタル信号を信号行列Xとし、信号行列Xには、送信機10−1からの送信信号に対応する入力信号SA、送信機10−2からの送信信号に対応する入力信号SB、及び、送信機10−3からの送信信号に対応する入力信号SCが含まれているとする。また、相関受信処理装置223−1〜223−3には、送信機10−1からの符号情報行列A、送信機10−2からの符号情報行列B、及び、送信機10−3からの符号情報行列Cが通知される。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る相関受信処理装置223−1の機能構成を示すブロック図である。相関受信処理装置223−1〜223−3は、同様の構成を採り、それぞれが入力信号SA,SB,SCのいずれかに対してパルス圧縮を行うようになっている。以下では、入力信号SAについてのパルス圧縮を行う相関受信処理装置223−1について説明する。
【0023】
相関受信処理装置223−1は、FFT(Fast Fourier Transform)部2231、不要信号抑圧部2232、抑圧ウェイト算出部2233、サイドローブフリー係数算出部2234、FFT部2235、サイドローブ抑圧部2236及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部2237を具備する。
【0024】
FFT部2231は、分配部222から信号行列Xを受け取り、FFTポイント数Nfに合わせて0付加した信号行列Xzに対してFFT処理を施す。信号行列Xzは、式(1)に示される。
【数1】

【0025】
ここで、Nは符号系列長を示す。FFT部2231は、式(2)により導出される信号を不要信号抑圧部2232へ出力する。
【数2】

【0026】
ここで、行列Qは式(3)に示すFFT演算マトリクスを表し、Tは行列の転置を表す。
【数3】

【0027】
抑圧ウェイト算出部2233は、送信機10−2からの符号情報行列B及び送信機10−3からの符号情報行列Cを受け取る。ここで、本実施形態では、符号情報行列A、符号情報行列B及び符号情報行列Cを、式(4)〜(6)のように定義する。
【数4】

【0028】
また、符号情報行列A〜Cは、FFTポイントNfに合わせて、式(7)〜(9)のように0付加が行われる。
【数5】

【0029】
抑圧ウェイト算出部2233は、第1の算出部22331及び第2の算出部22332を備える。第1の算出部22331は、符号情報行列Bに基づいて、入力信号SBを零に抑圧する抑圧ウェイト行列WBを式(10)により導出する。
【数6】

【0030】
第1の算出部22331は、抑圧ウェイト行列WBを不要信号抑圧部2232及び第2の算出部22332へ出力する。
【0031】
第2の算出部22332は、第1の算出部22331からの抑圧ウェイト行列WBと、符号情報行列Cとに基づいて、入力信号SCの抑圧ウェイト行列WCを算出する。ここで、入力信号SCの抑圧ウェイト行列WCは、信号SCが抑圧ウェイト行列WBと掛け合わされた状態を抑圧するように、式(11)により導出される。
【数7】

【0032】
第2の算出部22332は、抑圧ウェイト行列WCを不要信号抑圧部2232へ出力する。
【0033】
不要信号抑圧部2232は、第1の抑圧部22321及び第2の抑圧部22322を備える。第1の抑圧部22321は、FFT部2231からの信号に対して、第1の算出部22331からの抑圧ウェイト行列WBを掛け合わせる。これにより、入力信号行列Xにおける信号SBの成分が零に抑圧される。第1の抑圧部22321は、式(12)に示す信号を第2の抑圧部22322へ出力する。
【数8】

【0034】
第2の抑圧部22322は、第1の抑圧部22321からの信号に対して、第2の算出部22332からの抑圧ウェイト行列WCを掛け合わせる。これにより、入力信号行列Xにおける信号SCの成分が零に抑圧される。第2の抑圧部22322は、式(13)に示す信号をサイドローブ抑圧部2236へ出力する。
【数9】

【0035】
サイドローブフリー係数算出部2234は、符号情報行列A〜Cに基づいて、不要信号抑圧部2232からの信号に含まれる信号SAの信号成分のサイドローブを抑圧するための、自己相関のサイドローブフリー係数行列Hdzを算出する。ここで、IFFT部2237からの出力行列ymを、メインローブ近傍±Nxポイントまでのサイドローブを抑圧した信号として、式(14)で与える。
【数10】

【0036】
出力行列ymは、FFTポイントNfに合わせて、式(15)のように0付加される。
【数11】

【0037】
サイドローブフリー行列係数Hdzは、抑圧ウェイト行列WB,WCが掛け合わされた入力信号行列Xの状態を考慮し、かつ、S/Nロスを最小化するように、式(17)により導出される。
【数12】

【0038】
ここで、*は複素共役を示す。サイドローブフリー係数算出部2234は、式(17)により算出したサイドローブフリー係数行列Hdzを、FFT部2235へ出力する。FFT部2235は、サイドローブフリー係数行列HdzにFFT処理を施すことにより、係数行列Hdzを周波数領域の係数行列に変換する。FFT部2235は、FFT処理後の係数行列Hdzをサイドローブ抑圧部2236へ出力する。
【0039】
サイドローブ抑圧部2236は、FFT部2235からのサイドローブフリー係数行列Hdzを相関係数として、不要信号抑圧部2232からの信号に対してパルス圧縮処理を行う。これにより、不要信号抑圧部2232からの信号に含まれる入力信号SAのサイドローブが抑圧される。サイドローブ抑圧部2236は、サイドローブを抑圧した信号をIFFT部2237へ出力する。
【0040】
IFFT部2237は、サイドローブ抑圧部2236からの信号に対してIFFT処理を行い、時間領域の信号に変換する。IFFT部2237は、IFFT処理した信号を後段へ出力する。
【0041】
次に、相関受信処理装置223によるサイドローブフリー及びパルス圧縮のシミュレーション結果を図4及び図5に示す。なお、当シミュレーションにおいては、入力信号は、フランク補間符号により符号化されている。また、図6は、このシミュレーションにおけるパラメータ諸元を示す。
【0042】
図4は、本発明に係る相関受信処理装置223を駆動させない場合の、信号行列Xにおける自己相関特性及び相互相関特性を示す図である。図5は、本発明に係る相関受信処理装置223を駆動させた場合の、信号行列Xにおける自己相関特性及び相互相関特性を示す図である。図5により、相関受信処理装置223を駆動させることにより、自己相関のPSL(Peak Sidelobe Level)を低減すると共に、相互相関を零に低減できていることが確認できる。
【0043】
以上のように、上記一実施形態では、不要信号抑圧部2232で、抑圧ウェイト行列WB,WCにより不要信号SB,SCを零に抑圧する。そして、不要信号抑圧部2232からの信号に対して、抑圧ウェイト行列WB,WCを考慮したサイドローブフリー係数行列Hdzを掛け合わせるようにしている。これにより、信号SB,SCを抑圧し、かつ、信号SAのサイドローブを抑圧することが可能となる。
【0044】
したがって、本発明に係る相関受信処理装置によれば、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望外の信号を抑圧し、かつ、所望信号のサイドローブを抑圧することができる。
【0045】
なお、上記第1の実施形態では、入力信号行列Xに信号成分SA,SB,SCが含まれる例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、入力信号行列Xに信号成分SA,SBが含まれる場合であっても構わない。この場合、不要信号抑圧部2232は、第1の抑圧部22321のみ備え、抑圧ウェイト算出部2233の第1の算出部22331から出力される抑圧ウェイト行列WBに基づいて、信号成分SBを抑圧することとなる。
【0046】
また、例えば、入力信号行列Xに信号成分SA,SB,SC,SDが含まれていても構わない。この場合、抑圧ウェイト算出部2233は、抑圧ウェイト行列WDを算出する算出部をさらに備える。そして、不要信号抑圧部2232は、入力信号行列Xにこの抑圧ウェイト行列WDを掛け合わせることで、信号成分SDを抑圧する。
【0047】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る相関受信処理装置223の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態においては、入力信号SAについてのパルス圧縮を行う相関受信処理装置223について説明する。また、図7において図3と共通する部分には同じ符号を付して説明する。
【0048】
図7における相関受信処理装置223は、FFT(Fast Fourier Transform)部2231、不要信号抑圧部2238、抑圧ウェイト算出部2233、補正係数算出部2239、サイドローブフリー係数算出部2234、FFT部2235、サイドローブ抑圧部2236及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部2237を具備する。
【0049】
抑圧ウェイト算出部2233は、第1の算出部22331及び第2の算出部22332を備える。第1の算出部22331は、送信機10−2からの符号情報行列Bに基づいて、入力信号SBの抑圧ウェイト行列WBを、第1の実施形態における式(10)により算出する。そして、第1の算出部22331は、抑圧ウェイト行列WBを不要信号抑圧部2238、第2の算出部22332及び補正係数算出部2239へ出力する。
【0050】
第2の算出部22332は、第1の算出部22331からの抑圧ウェイト行列WBと、送信機10−3からの符号情報行列Cとに基づいて、入力信号SCの抑圧ウェイト行列WCを、第1の実施形態における式(11)により算出する。ここで、入力信号SCの抑圧ウェイト行列WCは、信号SCが抑圧ウェイト行列WBと掛け合わされた状態を抑圧するように算出される。第2の算出部22332は、抑圧ウェイト行列WCを不要信号抑圧部2238及び補正係数算出部2239へ出力する。
【0051】
補正係数算出部2239は、第3の算出部22391と第4の算出部22392とを備える。第3の算出部22391は、送信機10−1からの符号情報行列Aと、第1の算出部2231からの抑圧ウェイト行列WBとから補正係数行列Acal1を算出する。補正係数行列Acal1は、抑圧ウェイト行列WBを入力信号行列Xに掛け合わせることにより生じた、所望信号である信号SAの信号成分の変化を補正するものである。図8は、補正係数行列Acal1の導出の概念図である。
【0052】
抑圧ウェイト行列WBが掛け合わされる前の信号SAの信号状態行列qと、抑圧ウェイト行列WBが掛け合わされた後の信号SAの信号状態行列pとを符号情報行列Aを用いて、以下のように定義する。
【数13】

【0053】
これにより、補正係数行列Acal1の振幅s及び位相φは、式(20)、(21)によりそれぞれ求められる。
【数14】

【0054】
ここで、real()は括弧内の要素の実数部を示し、imag()は括弧内の要素の虚数部を示す。これにより、補正係数行列Acal1は、式(22)により求められる。
【数15】

【0055】
第3の算出部22391は、補正係数行列Acal1を不要信号抑圧部2238へ出力する。
【0056】
第4の算出部22392は、送信機10−1からの符号情報行列Aと、第2の算出部22332からの抑圧ウェイト行列WCとから補正係数行列Acal2を算出する。補正係数行列Acal2は、抑圧ウェイト行列WCを入力信号行列Xに掛け合わせることにより生じた、所望信号である信号SAの信号成分の変化を補正するものである。抑圧ウェイト行列WCが掛け合わされる前の信号SAの信号状態行列q’と、抑圧ウェイト行列WCが掛け合わされた後の信号SAの信号状態行列p’とを符号情報行列Aを用いて、以下のように定義する。
【数16】

【0057】
これにより、補正係数行列Acal2の振幅s’及び位相φ’は、式(25)、(26)によりそれぞれ導出される。
【数17】

【0058】
これにより、補正係数行列Acal2は、式(27)により求められる。
【数18】

【0059】
第4の算出部22392は、補正係数行列Acal2を不要信号抑圧部2238へ出力する。
【0060】
不要信号抑圧部2238は、第1の抑圧部22381と、第2の抑圧部22382とを備える。第1の抑圧部22381は、第1のウェイト係数乗算部223811と、第1の補正係数乗算部223812とを備える。第1のウェイト係数乗算部223811は、FFT部2231からの信号に対して、第1の算出部22331からの抑圧ウェイト行列WBを掛け合わせる。これにより、入力信号行列Xにおける信号SBの成分が零に抑圧される。
【0061】
第1の補正係数乗算部223812は、第1のウェイト係数乗算部223811からの信号に対して、第3の算出部22391からの補正係数行列Acal1を掛け合わせる。これにより、抑圧ウェイト行列WBを掛け合わせた後の信号SAの変化が補正される。
【0062】
第1の抑圧部22381における抑圧係数行列WB’は、抑圧ウェイト行列WBと、補正係数行列Acal1とから式(28)のように示される。
【数19】

【0063】
第2の抑圧部22382は、第2のウェイト係数乗算部223821と、第2の補正係数乗算部223822とを備える。第2のウェイト係数乗算部223821は、第1の抑圧部22382からの信号に対して、第2の算出部22332からの抑圧ウェイト行列WCを掛け合わせる。これにより、入力信号行列Xにおける信号SCの成分が零に抑圧される。
【0064】
第2の補正係数乗算部223822は、第2のウェイト係数乗算部223821からの信号に対して、第4の算出部22392からの補正係数行列Acal2を掛け合わせる。これにより、抑圧ウェイト行列WCを掛け合わせた後の信号SAの変化が補正される。
【0065】
第2の抑圧部22382における抑圧係数行列WC’は、抑圧ウェイト行列WCと、補正係数行列Acal2とから式(29)のように示される。
【数20】

【0066】
サイドローブ抑圧部2236は、FFT部2235からのサイドローブフリー係数行列Hdzを相関係数として、不要信号抑圧部2238からの信号に対してパルス圧縮処理を行う。これにより、不要信号抑圧部2238からの信号に含まれる入力信号SAのサイドローブが抑圧される。サイドローブ抑圧部2236は、サイドローブを抑圧した信号をIFFT部2237へ出力する。
【0067】
IFFT部2237は、サイドローブ抑圧部2236からの信号に対してIFFT処理を行い、時間領域の信号に変換する。IFFT部2237は、IFFT処理した信号を後段へ出力する。これにより、相関受信処理装置223によるパルス圧縮結果行列ymzは、式(30)により求められる。
【数21】

【0068】
次に、相関受信処理装置223によるサイドローブフリー及びパルス圧縮のシミュレーション結果を図9に示す。図9は、本発明に係る相関受信処理装置223を駆動させた場合の、信号行列Xにおける自己相関特性及び相互相関特性を示す図である。なお、当シミュレーションにおいては、入力信号は、フランク補間符号により符号化されている。図10は、このときのパラメータ諸元を示す。この結果から、本実施形態に係る相関受信処理装置223によるサイドローブフリーパルス圧縮方式によっては、不要信号SB,SCの抑圧を実現すると共に、信号SAのピーク利得も良好であることが確認できる。
【0069】
以上のように、上記一実施形態では、補正係数行列Acal1,Acal2に基づいて、抑圧ウェイト行列WB,WCによる信号SAの変化を補正するようにしている。これにより、不要信号SB,SCを抑圧する際に、所望信号SAに与える変化を補正することが可能となるため、サイドローブフリー係数を相関係数としてパルス圧縮を行う際に、良好なピーク利得を得ることが可能となる。
【0070】
したがって、本発明に係る相関受信処理装置によれば、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望外の信号を抑圧し、かつ、所望信号のサイドローブを抑圧することができる。
【0071】
なお、上記第2の実施形態では、入力信号行列Xに信号成分SA,SB,SCが含まれる例について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、入力信号行列Xに信号成分SA,SBが含まれる場合であっても構わない。この場合、不要信号抑圧部2238は、第1の抑圧部22381のみ備え、第1の算出部22331からの抑圧ウェイト行列WB及び、第3の算出部22391からの補正係数行列Acal1に基づいて、信号成分SBを抑圧することとなる。
【0072】
また、例えば、入力信号行列Xに信号成分SA,SB,SC,SDが含まれていても構わない。この場合、抑圧ウェイト算出部2233は抑圧ウェイト行列WDを算出する算出部をさらに備え、補正係数算出部2239は補正係数行列Acal3を算出する算出部をさらに備える。そして、不要信号抑圧部2238は、第2の抑圧部22382からの信号に対して、抑圧ウェイト行列WD及び補正係数行列Acal3を掛け合わせることで、信号成分SDを抑圧する。
【0073】
また、上記第1及び第2の実施形態では、信号SAについてサイドローブフリー及びパルス圧縮を行う相関受信処理装置を例に説明したが、信号SB又は信号SCについてサイドローブフリー及びパルス圧縮を行うように設定することも可能である。
【0074】
[第3の実施形態]
図11は、本発明の第3の実施形態に係る相関受信処理装置を用いた受信機を使用したレーダ装置の構成を示す概略図である。
【0075】
図11におけるレーダ装置は、送信機10−1〜10−3及び受信機20を具備する。送信機10−1〜10−3は、それぞれにおいて予め設定された位相符号変調波形により送信信号を符号化する。これにより、それぞれの送信機10−1〜10−3からは、互いに無相関関係を有した送信信号が送信されることとなる。送信機10−1〜10−3のうちいずれかの送信機は、送信信号を送信アンテナから空間へ向けて送信する。また、送信機10−1〜10−3は、それぞれの位相符号変調波形に関する符号情報を受信機20へ通知する。
【0076】
送信機10−1〜10−3のいずれかからの送信信号は、目標物Tで反射される。受信機20は、目標物Tで反射された反射信号をN(Nは2以上の自然数)本の受信アンテナ21−1〜21−Nで互いに独立して受信する。受信アンテナ21−1〜21−Nには、受信装置24−1〜24−Nがそれぞれ接続されている。受信装置24−1〜24−Nは、接続されている受信アンテナからの反射信号に基づいて目標物Tの検出を行う。統合部23は、受信装置24−1〜24−Nの検出結果を統合し、目標物Tの有無を判定する。そして、統合部23は、判定結果を後段へ出力する。以下では、受信装置24−1を例に説明する。
【0077】
図12は、図11の受信装置24−1の機能構成を示すブロック図である。
【0078】
図12における受信装置24−1は、受信処理部241及び相関受信処理装置242を備える。
【0079】
受信処理部241は、受信アンテナ21−1からの反射信号に対して受信処理を施す。この受信処理により、反射信号は、中間周波数帯の信号へ変換された後、デジタル信号へ変換される。受信処理部241は、デジタル信号を、相関受信処理装置242へ供給する。ここで、本実施形態において、相関受信処理装置242へ供給されたデジタル信号を信号行列Xとし、信号行列Xは、送信機10−1からの送信信号に対応する入力信号SA、送信機10−2からの送信信号に対応する入力信号SB、又は、送信機10−3からの送信信号に対応する入力信号SCのいずれかであるとする。また、相関受信処理装置242には、送信機10−1からの符号情報行列A、送信機10−2からの符号情報行列B、及び、送信機10−3からの符号情報行列Cが通知される。
【0080】
図13は、本発明の第3の実施形態に係る相関受信処理装置242の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、信号SAのサイドローブを抑圧し、信号SAをパルス圧縮する相関受信処理装置242を例に説明する。
【0081】
相関受信処理装置242は、FFT(Fast Fourier Transform)部2421、サイドローブフリー係数算出部2422、FFT部2423、サイドローブ抑圧部2424及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部2425を具備する。
【0082】
入力信号行列Xは、FFT部2421及びサイドローブフリー係数算出部2422へ供給される。
【0083】
FFT部2421は、受信処理部241から信号行列Xを受け取り、FFTポイント数Nfに合わせて0付加した信号行列Xzに対してFFT処理を施す。信号行列Xzは、第1の実施形態における式(1)で示される。FFT部2421は、式(2)により導出される信号をサイドローブ抑圧部2424へ出力する。
【0084】
サイドローブフリー係数算出部2422は、受信処理部241からの入力信号行列Xと、送信機10−1〜10−3からの符号情報行列A〜Cを受け取る。サイドローブフリー係数算出部2422は、信号SBを抑圧するための抑圧ウェイト行列WB’と、信号SCを抑圧するための抑圧ウェイト行列WC’とを算出する。抑圧ウェイト行列WB’は、式(31)により導出される。
【数22】

【0085】
ここで、抑圧ウェイト行列WBは、式(10)により求められる。また、行列Acal1は、式(32)により求められる。
【数23】

【0086】
また、抑圧ウェイト行列WC’は、式(34)により導出される。
【数24】

【0087】
ここで、抑圧ウェイト行列WCは、式(11)により求められる。また、行列Acal2は、式(35)により求められる。
【数25】

【0088】
サイドローブフリー係数行列Hdzは、式(31)により導出される抑圧ウェイト行列WB’と、式(34)により導出される抑圧ウェイト行列WC’とから、式(37)により導出される。
【数26】

【0089】
サイドローブフリー係数算出部2422は、式(37)により導出したサイドローブフリー係数行列HdzをFFT部2423へ出力する。FFT部2423は、サイドローブフリー係数行列Hdzを周波数領域の係数行列に変換し、サイドローブ抑圧部2424へ出力する。
【0090】
サイドローブ抑圧部2424は、FFT部2423からのサイドローブフリー係数行列Hdzを相関係数として、FFT部2421からの信号行列Xzに対してパルス圧縮処理を行う。これにより、信号SB,SCが抑圧され、かつ、信号SAのサイドローブが抑圧される。サイドローブ抑圧部2424は、サイドローブを抑圧した信号をIFFT部2425へ出力する。
【0091】
IFFT部2425は、サイドローブ抑圧部2424からの信号を時間領域の信号に変換し、式(38)に示す信号を出力する。
【数27】

【0092】
次に、相関受信処理装置242によるサイドローブフリー及びパルス圧縮のシミュレーション結果を図14に示す。図14は、本発明に係る相関受信処理装置242を駆動させた場合の、信号行列Xにおける自己相関特性及び相互相関特性を示す図である。なお、当シミュレーションにおいては、入力信号は、フランク補間符号により符号化されている。図15は、このときのパラメータ諸元を示す。この結果から、本実施形態に係る相関受信処理装置242に入力信号行列Xとして信号SAが入力された場合、信号SAのサイドローブフリー及びパルス圧縮が行われることが確認できる。そして、信号SAのピーク利得も良好であることが確認できる。
【0093】
以上のように、上記第3の実施形態では、サイドローブフリー係数算出部2422において、入力信号行列X及び符号情報行列A〜Cを参照して、信号SAのサイドローブを抑圧するためのサイドローブフリー係数を算出するようにしている。これにより、例えば、入力信号行列Xとして信号SAを受信した場合、信号SAのサイドローブを抑圧し、かつ、信号SAをパルス圧縮するサイドローブフリー係数が自動的に算出される。一方、入力信号行列Xとして信号SB,SCを受信した場合には、式(31)のWB成分、又は、式(34)のWC成分により、サイドローブフリー係数は零と算出される。つまり、相関受信処理装置242は、空間中に複数種類の信号が伝搬されている場合であっても、所望信号として設定した信号のみのサイドローブの抑圧及びその信号のみのパルス圧縮を行うこととなる。
【0094】
また、信号SBを受信しようとする場合には、信号SBを受信する旨を設定するのみで、信号SBに対応したサイドローブフリー係数が自動的に算出されることとなる。つまり、本実施形態による相関受信処理装置によれば、新たに選択した所望信号に対応した符号情報を改めて設定する必要はなく、入力信号行列Xに基づいてサイドローブフリー係数が自動的に算出されることとなる。
【0095】
したがって、本発明に係る相関受信処理装置では、異なる送信機からの信号を受信しようとする場合にユーザの負担を軽減させることができる。
【0096】
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、送信機10が3機使用される例について説明したが、送信機10の数は3機に限定される訳ではない。
【0097】
また、上記各実施形態では、相関受信処理装置223,242を用いた受信機20が、MIMOレーダ装置で使用される例について説明したが、本発明は、これに限定される訳ではない。例えば、相関受信処理装置は、マルチスタティックレーダ装置で使用される受信機に用いられる場合であっても構わない。
【0098】
さらに、この発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10−1〜10−3…送信機
11−1〜11−3…送信アンテナ
20…受信機
21−1〜21−N…受信アンテナ
22−1〜22−N,24−1〜24−N…受信装置
221,241…受信処理部
222…分配部
223−1〜223−3,242…相関受信処理装置
2231,2421…FFT部
2232,2238…不要信号抑圧部
22321,22381…第1の抑圧部
22322,22382…第2の抑圧部
2233…抑圧ウェイト算出部
22331…第1の算出部
22332…第2の算出部
2234,2422…サイドローブフリー係数算出部
2235,2423…FFT部
2236,2424…サイドローブ抑圧部
2237,2425…IFFT部
223811…第1のウェイト係数乗算部
223812…第1の補正係数乗算部
223821…第2のウェイト係数乗算部
223822…第2の補正係数乗算部
2239…補正係数乗算部
22391…第3の算出部
22392…第4の算出部
23…統合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置における受信機に用いられ、前記レーダ装置では、複数の送信機がそれぞれの符号化方式で無線信号を符号化して空間へ送信し、前記受信機が前記複数の無線信号が目標物により反射された反射信号を受信する相関受信処理装置において、
前記反射信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を施すFFT部であって、前記反射信号は前記複数の無線信号のうち特定信号についての特定成分と、前記複数の無線信号のうち前記特定信号以外の不要信号についての不要成分とを含むFFT部と、
前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記FFT後の信号における前記不要成分を零に抑圧するための抑圧ウェイトを算出する抑圧ウェイト算出部と、
前記FFT後の信号に対して、前記抑圧ウェイトを掛け合わせ、前記不要成分を抑圧した抑圧信号を生成する不要信号抑圧部と、
前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記抑圧信号における前記特定成分に含まれるサイドローブを抑圧するためのサイドローブフリー係数を算出するサイドローブフリー係数算出部と、
前記抑圧信号に対して、前記サイドローブフリー係数を掛け合わせることで、前記サイドローブを抑圧するサイドローブ抑圧部と
を具備する相関受信処理装置。
【請求項2】
前記不要信号は、第1の不要信号と第2の不要信号とを含み、
前記不要成分は、第1の不要成分と第2の不要成分とを含み、
前記抑圧ウェイト算出部は、第1の算出部と第2の算出部とを備え、
前記不要信号抑圧部は、第1の抑圧部と第2の抑圧部とを備え、
前記第1の算出部は、前記第1の不要信号の符号化方式に基づいて、前記FFT後の信号における前記第1の不要成分を零に抑圧するための第1の抑圧ウェイトを算出し、
前記第1の抑圧部は、前記FFT後の信号に対して前記第1の抑圧ウェイトを掛け合わせ、前記第2の抑圧部へ出力し、
前記第2の算出部は、前記第2の不要信号の符号化方式及び前記第1の抑圧ウェイトに基づいて、前記第1の抑圧部からの信号における前記第2の不要成分を零に抑圧するための第2の抑圧ウェイトを算出し、
前記第2の抑圧部は、前記第1の抑圧部からの信号に前記第2の抑圧ウェイトを掛け合わせ、前記抑圧信号を生成することを特徴とする請求項1記載の相関受信処理装置。
【請求項3】
前記抑圧ウェイトを前記FFT後の信号に掛け合わせることにより生じる前記特定成分の状態変化を補正するための補正係数を、前記特定信号の符号化方式と前記抑圧ウェイトとに基づいて算出する補正係数算出部をさらに具備し、
前記不要信号抑圧部は、前記抑圧ウェイトを掛け合わせた後の信号に対して、前記補正係数をさらに掛け合わせることを特徴とする請求項1記載の相関受信処理装置。
【請求項4】
前記第1の抑圧ウェイトを前記FFT後の信号に掛け合わせることにより生じる前記特定成分の第1の状態変化を補正するための第1の補正係数を、前記特定信号の符号化方式と前記第1の抑圧ウェイトとに基づいて算出する第1の補正係数算出部と、
前記第2の抑圧ウェイトを前記第1の抑圧部からの信号に掛け合わせることにより生じる前記特定成分の第2の状態変化を補正するための第2の補正係数を、前記特定信号の符号化方式と、前記第2の抑圧ウェイトとに基づいて算出する第2の補正係数算出部と
をさらに具備し、
前記第1の抑圧部は、前記第1の抑圧ウェイトを掛け合わせた後の信号に対して、前記第1の補正係数をさらに掛け合わせ、
前記第2の抑圧部は、前記第2の抑圧ウェイトを掛け合わせた後の信号に対して、前記第2の抑圧部をさらに掛け合わせることで、前記抑圧信号を生成することを特徴とする請求項2記載の相関受信処理装置。
【請求項5】
レーダ装置における受信機に用いられ、前記レーダ装置では、複数の送信機がそれぞれの符号化方式で無線信号を符号化して空間へ送信し、前記受信機が前記複数の無線信号が目標物により反射された反射信号を受信する相関受信処理装置において、
前記反射信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を施すFFT部であって、前記反射信号は前記複数の無線信号のうち特定信号についての特定成分又は、前記複数の無線信号のうち前記特定信号以外の不要信号についての不要成分を含むFFT部と、
前記反射信号が前記特定成分である場合は、前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記FFT後の信号における前記特定成分に含まれるサイドローブを抑圧するための第1のサイドローブフリー係数を算出し、前記反射信号が前記不要成分である場合は、前記特定信号及び前記不要信号の符号化方式に基づいて、前記不要成分を抑圧するための第2のサイドローブフリー係数を算出するサイドローブフリー係数算出部と、
前記FFT後の信号に対して、前記第1のサイドローブフリー係数を掛け合わせることで前記サイドローブを抑圧し、又は、前記第2のサイドローブフリー係数を掛け合わせることで前記不要成分を抑圧するサイドローブ抑圧部と
を具備することを特徴とする相関受信処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−141248(P2011−141248A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3309(P2010−3309)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】