説明

真空チャンバ間のシーリング

シーリングシステムが開示されている。1つのこのようなシーリングシステムは、第1の真空チャンバ及び第2の真空チャンバを含む。シーリングシステムは、近接端及び遠位端を有する第1のシーリングユニットを含み、第1のシーリングユニットの近接端は第1の真空チャンバ上に設置されている。シーリングシステムは遠位端及び近接端を有する第2のシーリングユニットを含み、第2のシーリングユニットの遠位端は第1のシールユニットの遠位端上に設置されており、第2のシーリングユニットの近接端は第2の真空チャンバ上に設置されている。シーリングユニットの一方は凹面形状であり、他方は凸面形状である。シーリングシステムは第1のOリング、第2のOリング及び第3のOリングも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールに関するものであり、特に2つの真空チャンバ間のシールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、導電性変更不純物を半導体ウェーハ中に導入する標準技術である。所望の不純物材料はイオンソース中でイオン化され、そのイオンは加速されて所定のエネルギーのイオンビームを形成し、イオンビームはウェーハ表面に向けられる。ビーム中のエネルギーイオンは半導体材料バルク中に侵入し、その半導体材料の結晶格子中に組み込まれる。
【0003】
イオン注入機は、ガス又は固体材料を明確に画定されたイオンビームに変換するイオンソースを含む。イオンビームは典型的には質量分析されて所望でないイオン種を除去し、所望のエネルギーまで加速され、ターゲット中に注入される。イオンビームは、静電又は磁気ビーム走査、ターゲット運動あるいはビーム走査とターゲット運動との組み合わせにより、ターゲット範囲上に分布させられる。イオンビームは、スポットビーム又は長い寸法及び短い寸法を有するリボンビームとすることができる。
【0004】
イオン注入機の多くの要素は、真空チャンバにおいて真空下で操作される。イオン注入を生起可能にするのに加えて、ワークピースへ移動可能な汚染粒子を低減するために、イオン注入の間は真空であることが望ましい。イオン注入に使用されるこれらの真空チャンバにおいてリークが制御されないと、イオンビームの散乱を引き起こし、粒子が真空チャンバの中心部に混入することが可能になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2つの真空チャンバを連結する必要がある場合、双方のチャンバを真空に維持するためにシールが必要である。このようなシールを形成する従来の方法は、例えば、くさびの両側に面シールを有するくさび形のシールデザインを使用している。この方法は、直線ミスアライメントに対してコンプライアンス(順応性)を提供し得るが、角度ミスアライメントに対してはコンプライアンスをほとんど提供し得ない。別の例は柔軟なベローズを使用するが、これは典型的には実装が困難であり、より大きな開口のために多大な費用がかかる。更に別の例は、シールの一端でピストンシール、他端で面シールを使用する。しかし、この特定の方法はOリングの圧縮のために角度コンプライアンスをほとんど提供せず、通常アライメントを必要とする。
【0006】
従って、当該技術分野には真空チャンバ間をシールするための新規の改良された装置のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、シーリングシステムが提供される。前記シーリングシステムは、第1の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第1の真空チャンバと、第2の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第2の真空チャンバとを具えることができる。前記シーリングシステムは、開口を規定する本体を具え、近接端と遠異端を有する第1のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第1の真空チャンバ上に設置されている、第1のシーリングユニットと、開口を規定する本体、遠位端及び近接端を有する第2のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記遠位端が前記第1のシーリングユニットの前記遠位端上に設置され、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第2の真空チャンバ上に設置されている、第2のシーリングユニットとを具えることもできる。前記シーリングシステムは、前記第1のシーリングユニットと前記第1の真空チャンバとの間に設置された第1のOリングと、前記第2のシーリングユニットと前記第2の真空チャンバとの間に設置された第2のOリングと、前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に設置された第3のOリングとを具えることもできる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、イオン注入機が提供される。前記イオン注入機は、イオン発生機と、第1の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第1の真空チャンバと、第2の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第2の真空チャンバとを具えることができる。前記イオン注入機は、開口を規定する本体を具え、近接端及び遠位端を有する第1のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第1の真空チャンバ上に設置されている、第1のシーリングユニットと、開口を規定する本体、遠位端及び近接端を有する第2のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記遠位端が前記第1のシーリングユニットの前記遠位端上に設置され、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第2の真空チャンバ上に設置されている、第2のシーリングユニットとを具えることもできる。前記イオン注入機は、前記第1のシーリングユニットと前記第1の真空チャンバとの間に設置された第1のOリングと、前記第2のシーリングユニットと前記第2の真空チャンバとの間に設置された第2のOリングと、前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に設置された第3のOリングとを具えることもできる。
【0009】
本開示のより良い理解のためには添付の図面を参照されたい。図中、同類の構成要素はリンク番号で参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】イオン注入機の一実施例のブロック線図である。
【図2】2つの真空チャンバの一実施例の斜視図である。
【図3】真空チャンバ間のシーリング装置の一実施例の断面図である。
【図4】真空チャンバ間のシーリング装置の一実施例の別の断面図である。
【図5】第2の真空チャンバ上に設置された第2のシーリングユニットの一実施例の断面図である。
【図6】第2のシーリングユニット上に設置された第1のシーリングユニットの一実施例の断面図である。
【図7】第2のシーリングユニット上に設置された第1のシーリングユニットの代替実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここではシーリングシステムをイオン注入機と関連して説明する。しかし、シーリングシステムは、半導体製造に関与する他のシステムおよびプロセス又は真空チャンバを使用する他のシステムとともに使用できる。従って、本発明は以下に説明する特定の実施例に限定されない。
【0012】
図1は、イオン注入機の一実施例である。イオン注入機は、当業者に既知の装置であり、イオンビーム65を生成し、イオンビーム65からワークピースにイオンを打ち込む。このシーリングシステムの実施例は、例えばイオン注入機66において使用できる。シールに係る2つの場所は、例えば分析マグネット61と補正マグネット62との間、又は補正マグネット62とプロセスチャンバ63との間である。イオン注入機66の幾つかの実施例において、このシーリングシステムを加速カラム64と分析マグネット61との間で使用できる。イオン注入機の他の実施例において、このシーリングシステムはソースチャンバ67と分析マグネット61との間で使用できる。このシーリング装置の実施例は、当業者に既知のイオン注入機における別の場所で使用することもできる。
【0013】
しかし、このシーリングシステムは、単にイオン注入機を使用する用途のみに限定されない。このシーリングシステムは、2つのモジュール間をシーリングするために構成されている。これは、半導体製造装置、又は他の産業又は科学装置の他の形態とすることができる。
【0014】
図2は、2つの真空チャンバの一実施例の斜視図である。第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17は、シーリング装置が2つのチャンバ間を真空シールできるように位置している。第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17は、線70に沿って整列させることができる。第1の真空チャンバ10は、表面A上に第1の真空チャンバ開口12を規定し、第2の真空チャンバ17は、表面B上に第2の真空チャンバ開口19を規定する。表面A及び表面Bは、この実施例においては互いに対向する。この特定の実施例において、第1の真空チャンバ開口12及び第2の真空チャンバ開口19は円形であるが、双方とも当業者に既知の他の形状とすることができる。
【0015】
第1のシーリングユニット13は、第1の真空チャンバ開口12の中又は周囲に設置される。第2のシーリングユニット20は、第2の真空チャンバ開口19の中又は周囲に設置される。第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20は、ここに説明するように、接合又は結合して、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間にシールを形成する。
【0016】
図3は、真空チャンバ間のシーリング装置の一実施例の断面図である。シーリングシステムは、2つのチャンバ間、即ち第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間に位置している。第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17は、図3に示される軸に関して位置している。
【0017】
第1の真空チャンバ10は、開口径D1を有する第1の真空チャンバ開口12を規定する壁11を有している。第2の真空チャンバ17は、第2の真空チャンバ開口19を規定する壁18を有している。第1の真空チャンバ開口12及び第2の真空チャンバ開口19は、円形又は当業者に既知の他の形状とすることができる。従って、第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間にシールを形成するために、円形又は他の形状とすることができる。
【0018】
第1のシーリングユニット13は、近接端14、遠位端15及び第1のシーリングユニットの開口25を形成する壁を有する中空体であり、円形又は他の形状とすることができる。この実施例における第1のシーリングユニット13は円形であるが、当業者に既知の他の形状とすることができる。この実施例においては、近接端14は、第1の真空チャンバ開口12により摺動自在に支えられるように構成されている。この実施例においては、遠位端部15はほぼ凸面形状を有するように構成されている。これは、第1のシーリングユニット13の近接端14と遠位端15との間の長さが、第1のシーリングユニット13の断面の外周における長さ(L2)よりも、第1のシーリングユニット13の断面の中心に向かうにつれて長くなる(L1)ことを意味している。このほぼ凸面形状は湾曲面にする、又は図3に示すように、角度が付けられた平坦面にすることができる。
【0019】
この実施例において、第1のシーリングユニット13は、2つの外径、即ちD2及びD3を有している。D3はシェルフ27に対応している。この実施例においては、外径D3は外径D2よりも十分大きい。外径D2は開口径D1よりもやや小さい。従って、第1のシーリングユニット13は、第1の真空チャンバ開口12内に摺動自在に受け入れることができ、第1の真空チャンバ開口12内の第1のシーリングユニット13の長さは、摺動自在に調整できる。シェルフ27の外径D3は、開口径D1よりも十分に大きい。従って、シェルフ27が壁11に接触したとき、第1のシーリングユニット13による移動は停止される。このように、第1のシーリングユニット13が第1の真空チャンバ10に落ちるのを防止できる。こうして、第1のシーリングユニット13は、第1の真空チャンバ10の壁11上に設置され、図3の軸により示されるz方向に動く。
【0020】
別の実施例において、第1のシーリングユニット13は、例えば、外径D2のみを有しシェルフ27のない第1のシーリングユニット13のような、単一の外径を有するものとすることができる。従って、第1のシーリングユニット13の径は均一であり、第1のシーリングユニット13は、第1の真空チャンバ10とぴったり重なる位置まで動かすことができる。更なる実施例において、第1のシーリングユニット13は、複数のセグメントで第1の真空チャンバ10の外側に順にはめ込むことができる。
【0021】
第1のシーリングユニット13は、第1のシーリングユニット13の外面上に第1のOリング16を有している。この実施例において、第1のOリング16は、第1のシーリングユニット13の外周を一周しているが、当業者に既知であるように寸法及び形状を変えることができる。この実施例において、第1のOリング16は、近接端14付近に位置している。しかし、第1のOリング16は他の場所に位置してもよい。この特定の実施例において、第1のOリングは、第1のシーリングユニット13の周囲にループを形成するピストン型のシールである。第1のOリング16は、第1のシーリングユニット13と第1の真空チャンバ10の壁11との間に設置される。
【0022】
この実施例において、第1のOリング16は、第1のシーリングユニット13の凹部に埋め込まれている。この凹部は第1のシーリングユニット13の本体28上に位置している。第1のシーリングユニット13の本体28の外径はD2に対応している。第1のOリング16は、本体28の長さの全部又は一部上に設置できる。第1のOリング16は凹部に埋め込まれることに限定されず、ガスケットのように、本体28の全部又は一部上に設置してもよく、また当業者に既知の他の設計を使用してシェルフ27上に設置してもよい。第1のOリング16は、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20が接合又は結合されたとき、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17を真空に維持するのに寄与する。
【0023】
第2のシーリングユニット20は、遠位端21、近接端22及び第2のシーリングユニットの開口26を形成する壁を有する中空体である。第2のシーリングユニットの開口26は、第1のシーリングユニットの開口25よりも大きな幅を有することができるが、開口25より小さい又は等しい幅を有することもできる。この実施例における第2のシーリングユニット20は円形であるが、当業者に既知の他の形状とすることもできる。近接端22は、壁18上に設置されるように構成されている。この実施例においては、遠位端21は、第1のシーリングユニット13のほぼ凸面の遠位端15と接合又は結合するほぼ凹面形状を有するように構成されている。これは、第2のシーリングユニット20の遠位端21と近接端22との間の長さが、第2のシーリングユニット20の断面の外周における長さ(L4)よりも、第2のシーリングユニット20の断面の中心に向うにつれて短かくなる(L3)ことを意味している。ほぼ凹面の遠位端21は、第1のシーリングユニット13のほぼ凸面の遠位端15と接合又は結合するように構成されている。このほぼ凹面形状は湾曲面にする又は図3に示すように、角度が付けられた平坦面にすることができる。第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17を真空に保持し得るシールが形成されるかぎり、第1のシーリングユニット13の面と第2のシーリングユニット20の面を異なる大きさにすることができる。
【0024】
この実施例における第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は、円形の面を有している。しかし、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20との間、第1のシーリングユニット13と第1の真空チャンバ10との間、及び第2のシーリングユニット20と第2の真空チャンバ17との間のシールが形状によって与えられる場合には、他の形状の近接端14、遠位端15、遠位端21及び近接端22が可能である。
【0025】
この実施例において、第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は、ステンレス鋼、めっき鋼又はアルミニウムからなる。しかし、例えば金属、金属合金又は複合材料のような、真空を保持可能な任意の材料を使用できる。第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は単に金属材料からなるものに限定されない。例えば、他の実施例においては、第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は、プラスチック及びエポキシ樹脂からなることができる。
【0026】
代替の実施例において、第1のシーリングユニット13又は第2のシーリングユニット20は、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20との接合又は結合を補助するために、更にフランジ、ガイド、又はへりを具えることができる。これらは第1のシーリングユニット13又は第2のシーリングユニット20のいずれかの外径上に設置できる。
【0027】
第3のOリング23及び第2のOリング24は、第2のシーリングユニット上に設置される。これは、この実施例のように、第2のシーリングユニット20の外面上又は第2のシーリングの開口26の内面上に置くことができる。第3のOリング23は、第2のシーリングユニット20のほぼ凹面状の遠位端21と第1のシーリングユニット13のほぼ凸面状の遠位端15との間に設置された球面シールとすることができる(つまり、例えば1つの凹面と1つの凸面のような2つの嵌め合い球面間のシール)。第3のOリング23は、この実施例においては、第2のシーリングユニット20を一周しており、当業者に既知のように、寸法及び形状を変えることができる。第3のOリング23は、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20とが接合又は結合されたとき、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17を真空に維持するのに寄与する。
【0028】
第2のOリング24は、第2のシーリングユニット20と第2の真空チャンバの壁18との間に設置された面シールである(つまり、2つの平坦面間のシール)。この実施例においては、第2のOリング24は、第2のシーリングユニット20を一周しており、当業者に既知のように、寸法及び形状を変えることができる。第2のOリング24は、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20とが接合又は結合されたとき、第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17を真空に維持するのに寄与する。
【0029】
この実施例においては、第2のOリング24及び第3のOリング23は、第2のシーリングユニット20の凹部に埋め込まれる。第2のOリング24及び第3のOリング23は凹部に埋め込まれることに限定されず、ガスケットのように、第2のシーリングユニット20の外面の全部又は一部上に設置することもでき、また当業者に既知の他の設計を使用して第2のシーリングユニット20上に設置することもできる。第3のOリング23は、別の実施例においては、第2のシーリングユニット20の代わりに、第1のシーリングユニット13の外面に埋め込む又は外面上に設置することもできる。他の実施例においては、第2のOリング24は、第2の真空チャンバ上に設置される。別の実施例においては、例えば第2のシーリングユニット20を第2の真空チャンバ17に溶接する、又は第2のシーリングユニット20を第2の真空チャンバ17の一部として製造することによって、第2のシーリングユニット20が第2の真空チャンバ上に設置され、第2のOリング24が必要になる。
【0030】
代替の実施例においては、第1のシーリングユニット13がほぼ凹面状の構成を有し、第2のシーリングユニット20がほぼ凸面状の構成を有することができる。このように、第1のシーリングユニット13の遠位端15がほぼ凹面状で、第2のシーリングユニット20のほぼ凸面状の遠位端21と接合又は結合することができる。
【0031】
別の実施例においては、第1のOリング16、第2のOリング24及び第3のOリング23に加えて、第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20に少なくとも1つの余分のシールが設置される。
【0032】
第1のOリング16、第2のOリング24及び第3のOリング23は、DuPont Performance Elastomers社のBuna又はViton(登録商標)からなることができる。しかし、第1のOリング16、第2のOリング24及び第3のOリング23に対して当業者に既知の他の化合物又は複合材料を使用でき、従ってこれらのOリングは単にBuna又はViton(登録商標)からなることに限定されない。第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間に真空を形成して維持することを可能にする如何なる材料も使用できる。第1のOリング16、第2のOリング24及び第3のOリング23は、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間にシールを形成できる、当業者に既知の他のシーリング装置とすることもできる。
【0033】
このシーリングシステムを使用するために、第1のシーリングユニット13は、図3に示すz軸に沿って第1の真空チャンバ開口12内へ移動される。第1のシーリングユニット13は、第1のシーリングユニット13のシェルフ27が第1の真空チャンバ10の壁11に当接するように十分深く、又はそれより少なく移動させることができる。第1のシーリングユニット13の移動は、例えば、手動又は電気力学的作動装置により行うことができる。
【0034】
第2のシーリングユニット20は、第2の真空チャンバ17の壁18に取り付けられる。第2のシーリングユニット20は、接合又は結合時に、第2のシーリングユニット20の操作を許すために第2の真空チャンバ17にゆるく取り付けるだけにできるが、第2のシーリングユニット20の移動が不可能なように取り付けることも可能である。これには、例えば図5に示されるような少なくとも1つの留め具31のような、第2のシーリングユニット20を第2の真空チャンバ17に設置するように構成された装置又は部材、又は当業者に既知の他の手段又は装置を使用できる。
【0035】
第1の真空チャンバ10及び第2の真空チャンバ17双方は、それらがまだであれば、イオン注入機、他の装置内においてシーリングのためにそれらの所望の位置に設置され、もしくは2つのスタンドアロン真空チャンバとして設置される。第1のシーリングユニット13は、図3に示すz軸に沿って第1の真空チャンバ開口12から移動される。第2のシーリングユニット20も、第2のシーリングユニット20と第1のシーリングユニット13を整列させるために、必要に応じて図3の軸で示すようにx及びy方向に沿って移動又は調整できる。次に、第2のシーリングユニット20は、例えば図5に示すように少なくとも1つの留め具31を使用して第2の真空チャンバ17の壁18にしっかりと固定できる。
【0036】
場合によっては、第2のシーリングユニット20の調整を可能にするために、第1のシーリングユニット13を第2のシーリングユニット20と接触又はほぼ接触させることにより、第1のシーリングユニット13をz軸に沿って更に動かして第2のシーリングユニット20と接合又は結合させることが必要かも知れない。しかし、別の場合には、第2のシーリングユニット20がx及びy方向に沿って移動又は調整されるとき、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20は既に接触している。更に別の場合には、第2のシーリングユニット20は調整を必要としない。
【0037】
第3のOリング23は、従って第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20が接合又は結合する間圧縮される。第3のOリング23は、x,y又はz方向における如何なる角度ミスアライメントも補償する。第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は、次に以下に説明するように固定される。別の実施例において、第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20は固定されず、単に真空により互いに保持される。
【0038】
第1のOリング16、第2のOリング24及び第3のOリング23は、図3に示す軸の全3方向にコンプライアンスを提供する。第1のOリング16は、δz方向のミスアライメントに対するコンプライアンスを提供する。第2のOリング24は、δx及びδy方向のミスアライメントに対するコンプライアンスを提供する。第3のOリング23も同様に、δx及びδy方向のミスアライメントに対するコンプライアンスを提供する。第2のOリング24及び第3のOリング23は、シールの圧縮によりδz方向のコンプライアンスも幾分提供する。このコンプライアンスに加えて、3つのシールとほぼ凹面状及びほぼ凸面状のシーリングユニットの組み合わせは、6つの自由度を与える。これらの6つの自由度は、δx,δy及びδz方向の移動を含むだけでなく、δx,δy及びδz方向の傾き又は回転も含む。
【0039】
図4は、真空チャンバ間のシーリング装置の一実施例の別の断面図である。図3とは異なり、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20とは整列していない。しかし、真空は、第1の真空チャンバ10と第2の真空チャンバ17との間で依然として形成される。第3のOリング23は、第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20がx及びy方向に完全に整列していない場合でも、依然として第1のシーリングユニット13と第2のシーリングユニット20との間にシールを維持する。
【0040】
図5は、第2の真空チャンバ上に設置された第2のシーリングユニットの一実施例の断面図である。第2のシーリングユニット20は、第2の真空チャンバ17の壁18上に取り付けられている。第2のシーリングユニット20は、少なくとも1つの孔30を有している。この実施例における孔30は、第2のシーリングユニット20を貫通して第2の真空チャンバ17に入り、第2のOリング24及び第3のOリング23よりも第2のシーリングユニット20の中心から離れて位置している。しかし、孔30は、第2のOリング24及び第3のOリング23に対して第2のシーリングユニット20上の他の場所に位置させてもよい。この特定の実施例において、孔30の一部は、留め具31よりも寸法が十分に大きい。幾つかの実施例において、孔30の全部又は一部にねじ山を付けることができる。
【0041】
少なくとも1つの留め具31を使用して第2のシーリングユニット20を第2の真空チャンバ17に固定する。この実施例において、留め具31はねじである。しかし、留め具31は、例えば、ねじ及びワッシャ、ナットとともに使用される位置決めねじ、第2の真空チャンバ17の壁18に位置する植え込みボルト固定されるナット、又は第2のシーリングユニット20を第2の真空チャンバ17に固定して真空を維持できる、当業者に既知の他の任意の装置とすることもできる。
【0042】
別の実施例において、第2のシーリングユニット20は第2の真空チャンバ17に永久に固定されている。この実施例において、図5に示すx及びy軸のコンプライアンスを維持するために、1つ以上の真空チャンバの全体が平行移動できることが必要である。
【0043】
図6は、第2のシーリングユニットに設置された第1のシーリングユニットの一実施例の断面図である。第1のシーリングユニット13は第2のシーリングユニット20に固定されている。図示の実施例において、この固定は、少なくとも1つの孔41を使用してなされている。スロット41の中に、留め具42がワッシャ43とともに挿入されている。留め具42は、ねじ、ボルト、又は第1のシーリングユニット13を第2のシーリングユニット20に十分に固定する当業者に既知の他の固定装置とすることができる。この特定の実施例において、スロット52は留め具42及びワッシャ43よりも寸法が十分に大きい。幾つかの実施例において、スロット52あるいはスロット41の全部又は一部にねじ山が付けられている。
【0044】
図7は、第2のシーリングユニットに設置された第1のシーリングユニットの代替実施例の断面図である。第1のシーリングユニット13は、第2のシーリングユニット20に固定されている。図示の実施例において、この固定は、少なくとも1つのラッチ51を使用してなされている。この実施例のラッチ51は、他方のシーリングユニットに設置された対向部分と接合又は結合するヒンジのレバーを有している。ラッチ51のヒンジ部分は、第1のシーリングユニット13又は第2のシーリングユニット20上に設置できる。ラッチ51は締めつけを可能にしてもよい。
【0045】
このラッチ方法又は結合方法で真空を形成できるならば、第1のシーリングユニット13を第2のシーリングユニット20に固定するために、当業者に既知の他の如何なるラッチ装置、又は結合装置も使用できる。このような一例は、少なくとも1つのばね仕掛けの留め具を使用して第1のシーリングユニット13及び第2のシーリングユニット20を一緒に圧縮するものである。
【0046】
ここで使用された用語及び表現は説明として使用され、限定されず、このような用語及び表現の使用には、図示され説明された特徴の如何なる等価なものも除外する意図はなく、特許請求の範囲内において様々な変更が可能であることを認識されたい。他の変更、変形及び代替物も可能である。従って、前述の説明は一例に過ぎず、限定する意図はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリングシステムであって、
第1の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第1の真空チャンバと、
第2の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第2の真空チャンバと、
開口を規定する本体、近接端及び遠位端を有する第1のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第1の真空チャンバ上に設置されている、第1のシーリングユニットと、
前記第1のシーリングユニットと前記第1の真空チャンバとの間に設置された第1のOリングと、
開口を規定する本体、遠位端及び近接端を有する第2のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記遠位端が前記第1のシーリングユニットの前記遠位端上に設置され、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第2の真空チャンバ上に設置されている、第2のシーリングユニットと、
前記第2のシーリングユニットと前記第2の真空チャンバとの間に設置された第2のOリングと、
前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に設置された第3のOリングと、
を具えることを特徴とするシーリングシステム。
【請求項2】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凸面形状を有しており、前記第2のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凹面形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項3】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凹面形状を有しており、前記第2のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凸面形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項4】
前記第1のOリングは前記第1のシーリングユニットの外面に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項5】
前記第2のシーリングユニットの前記近接端はほぼ平坦であり、前記第2のOリングは前記開口を取り囲む前記近接端の全周囲に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項6】
前記第3のOリングは、前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に前記開口の全周囲に設置され、シールを保持するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項7】
前記第1のシーリングユニットは、前記第1の真空チャンバの前記第1の真空チャンバ開口内に摺動自在に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項8】
前記第1のシーリングユニットの前記近接端の外寸は、前記第1の真空チャンバ開口の寸法よりも小さく、摺動自在の移動を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載のシーリングシステム。
【請求項9】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端の前記外寸は、前記第1の真空チャンバ開口の外寸よりも大きく、前記第1のシーリングユニットの摺動自在の移動を止めることを特徴とする、請求項8に記載のシーリングシステム。
【請求項10】
イオン注入機であって、
イオン発生機と、
第1の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第1の真空チャンバと、
第2の真空チャンバ開口を規定する壁を有する第2の真空チャンバと、
開口を規定する本体、近接端及び遠位端を有する第1のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第1の真空チャンバ上に設置されている、第1のシーリングユニットと、
前記第1のシーリングユニットと前記第1の真空チャンバとの間に設置された第1のOリングと、
開口を規定する本体、遠位端及び近接端を有する第2のシーリングユニットであって、当該シーリングユニットの前記遠位端が前記第1のシーリングユニットの前記遠位端上に設置され、当該シーリングユニットの前記近接端が前記第2の真空チャンバ上に設置されている、第2のシーリングユニットと、
前記第2のシーリングユニットと前記第2の真空チャンバとの間に設置された第2のOリングと、
前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に設置された第3のOリングと、
を具えることを特徴とするイオン注入機。
【請求項11】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凸面形状を有しており、前記第2のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凹面形状を有していることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項12】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凹面形状を有しており、前記第2のシーリングユニットの前記遠位端はほぼ凸面形状を有していることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項13】
前記第1のOリングは前記第1のシーリングユニットの外面に設置されていることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項14】
前記第2のシーリングユニットの前記近接端はほぼ平坦であり、前記第2のOリングは前記開口を取り囲む前記近接端の全周囲に設置されていることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項15】
前記第3のOリングは、前記第2のシーリングユニットと前記第1のシーリングユニットとの間に前記開口の全周囲に設置され、シールを保持するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項16】
前記第1のシーリングユニットは、前記第1の真空チャンバの前記第1の真空チャンバ開口内に摺動自在に設置されていることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項17】
前記第1のシーリングユニットの前記近接端の外寸は、前記第1の真空チャンバ開口の寸法よりも小さく、摺動自在の移動を可能にすることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項18】
前記第1のシーリングユニットの前記遠位端の前記外寸は、前記第1の真空チャンバ開口の外寸よりも大きく、前記第1のシーリングユニットの摺動自在の移動を止めることを特徴とする、請求項17に記載のイオン注入機。
【請求項19】
前記第1の真空チャンバは分析マグネットを具え、前記第2の真空チャンバは補正マグネットを具えることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項20】
前記第1の真空チャンバは補正マグネットを具え、前記第2の真空チャンバはプロセスチャンバを具えることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項21】
前記第1の真空チャンバは加速カラムを具え、前記第2の真空チャンバは分析マグネットを具えることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。
【請求項22】
前記第1の真空チャンバはソースチャンバを具え、前記第2の真空チャンバは分析マグネットを具えることを特徴とする、請求項10に記載のイオン注入機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−537431(P2010−537431A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522068(P2010−522068)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074024
【国際公開番号】WO2009/026521
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500239188)ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】